説明

電気ポット

【課題】蓋部の結露排出口から排出された結露がロック部材上に垂れ落ちず、且つ、ロック部材近傍の配置スペースをコンパクトにして、電気ポットの小型化を図ることできる電気ポットを提供する。
【解決手段】電気ポット1において、蓋部20は、貫穿された蒸気排出通路25の中途部と蓋部20の外部とを連通して、蒸気排出通路25内の結露を排出するための結露排出口26を備え、ヒンジ部100は、蓋部20を着脱可能に嵌着するロック部130の爪部132・132を備え、蓋部20が内容器30に対して閉塞状態の場合に、結露排出口26を正面視でヒンジ部100の外径の内側に配置し、且つ結露排出口26とロック部130の爪部132・132とを正面視で重複させずに横列に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ポットの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体ケース内に配置されて液体を収容する内容器と、前記本体ケースに配設されたヒンジ部によって前記内容器に対して開閉自在に支持される蓋部と、を備えた電気ポットにおいて、ヒンジ部近傍に蓋部に貫穿された蒸気通路途中の開口部(結露排出口)を配置した技術は、公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。また、ヒンジ部に、蓋部を着脱可能に嵌着するロック部材を備えた技術は、公知となっている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、結露排出口は、ヒンジ部の前下方に配置される。これによって、結露排出口は、蓋部を内容器に対して開放した場合に、蓋部の内部に溜まった結露を下方へ排出することができる。
【0004】
特許文献2に記載の技術では、ヒンジ部に備えられたロック部材は、下方に配置されたバネによって、上下方向に往復移動可能に構成される。これによって、ロック部材は、蓋部を着脱可能に嵌着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−55973号公報
【特許文献2】特開2002−219059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を、特許文献2に記載の技術に適用すると、蓋部を内容器に対して開放した場合に、結露排出口の下方にヒンジ部のロック部材が配置されることとなる。したがって、結露排出口から排出された結露は、ロック部材上に垂れ落ちることとなり好ましくなかった。また、例えば、蓋部を内容器に対して閉塞した場合に結露排出口に本体ケースから蒸気センサが突設される構成とすると、蒸気センサを上下方向に往復移動可能なロック部材と干渉しない位置、すなわちロック部材から離間した位置に配置する必要があった。その結果、結露排出口がロック部材から離間した位置に配置され、ロック部材近傍に大きな配置スペースが必要となるので、電気ポットの小型化を図ることが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、蓋部の結露排出口から排出された結露がロック部材上に垂れ落ちず、且つ、例えば蒸気センサが配置された場合であっても結露排出口がロック部材に近接した位置に配置され、ロック部材近傍の配置スペースをコンパクトにして、電気ポットの小型化を図ることできる電気ポットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、本体ケース内に配置されて液体を収容する内容器と、前記本体ケースに配設されたヒンジ部によって前記内容器に対して開閉自在に支持される蓋部と、を備えた電気ポットであって、前記蓋部は、貫穿された蒸気排出通路の中途部と前記蓋部の外部とを連通して、前記蒸気排出通路内の結露を排出するための結露排出口を備え、前記ヒンジ部は、前記蓋部を着脱可能に嵌着するロック部材を備え、前記蓋部が前記内容器に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口を正面視で前記ヒンジ部の外径の内側に配置し、且つ前記結露排出口と前記ロック部材とを正面視で重複させずに横列に配置するものである。
【0010】
請求項2においては、本体ケース内に配置されて液体を収容する内容器と、前記本体ケースに配設されたヒンジ部によって前記内容器に対して開閉自在に支持される蓋部と、を備えた電気ポットであって、前記蓋部は、貫穿された蒸気排出通路の中途部と前記蓋部の外部とを連通して、前記蒸気排出通路内の結露を排出するための結露排出口を備え、前記ヒンジ部は、前記蓋部を着脱可能に嵌着するロック部材を備え、前記本体ケースは、前記結露排出口を通じて前記蒸気排出通路内に挿入される蒸気検出手段と、を備え、前記蓋部が前記内容器に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口と前記蒸気検出手段とを正面視で前記ヒンジ部の外径の内側にて相互に重複させて配置し、前記結露排出口及び前記蒸気検出手段と前記ロック部材とを正面視で重複させずに横列に配置するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
本発明に係る電気ポットにおいては、蓋部の結露排出口から排出された結露がロック部材上に垂れ落ちず、且つ、例えば蒸気センサが配置された場合であっても結露排出口がロック部材に近接した位置に配置され、ロック部材近傍の配置スペースをコンパクトにして、電気ポットの小型化を図ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気ポットの全体的な構成を示した斜視図。
【図2】同じく、蓋部の一部側面断面図。
【図3】同じく、図1における一部拡大図。
【図4】同じく、ヒンジ部のヒンジロックの構成を示した正面図。
【図5】同じく、肩部材に対するヒンジ部及び蒸気センサの配置構成を示した斜視図。
【図6】本発明の第二実施形態に係る電気ポットの一部拡大図。
【図7】本発明の第三実施形態に係る電気ポットの肩部材に対するヒンジ部及び蒸気センサの配置構成を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る電気ポット1の全体的な構成について説明する。
なお、以下の説明では、各図面に示す矢印に基づいて、前後方向、左右方向、及び上下方向を規定する。
【0016】
図1に示す、電気ポット1は、主として、本体ケース10と、蓋部20と、内容器30と、により構成される。
【0017】
本体ケース10は、電気ポット1の外郭を為す部材である。本体ケース10は、主として、外部材11と、肩部材12と、により構成される。
【0018】
本体ケース10の外部材11は、軸心方向を上下方向とした有底筒状に形成される。外部材11は、電気ポット1の外周面及び底面を形成する。外部材11の前部は、その板面を前後方向へ向けた板状に形成される。
【0019】
本体ケース10の肩部材12は、外部材11の上端部に配置される。肩部材12は、上下側が開口された環状に形成される。肩部材12の前部は、外部材11の前部よりも前方へ突出される。肩部材12の前部には、その上側面に操作部13や表示部14が配設され、その下側面にお湯が注湯される注湯口15が配設される。肩部材12の後部には、後述するヒンジ部100や蒸気センサ190が配設される。また、肩部材12の後部には、U字状に形成された取手16が配設される。
【0020】
蓋部20は、本体ケース10の上側の開口部を開閉する部材である。蓋部20は、主として、略平板状に形成された上部材21と、略円筒状に形成された下部材22と、により構成される。蓋部20は、肩部材12の後部に配設されたヒンジ部100を介して、当該肩部材12に開閉可能であって、且つ着脱可能に支持される。
【0021】
蓋部20の下部材22の下側面の略中央には、蒸気排出口24が形成される。また、蓋部20の上部材21の上面側の後部には、蒸気口23が形成される(図2参照)。蒸気排出口24と蒸気口23とは、蓋部20の内部に形成された蒸気排出通路25を介して連通される(図2参照)。
【0022】
内容器30は、お湯を入れるための部材である。内容器30は、軸心方向を上下方向とした有底筒状に形成される。内容器30は、本体ケース10内に固定されている。なお、内容器30の底面と本体ケース10の外部材11の底面との間には空間が設けられ、当該空間内には内容器30を加熱するヒータや内容器30の温度を検知する温度センサ等が配設される(不図示)。
【0023】
このような構成の電気ポット1は、内容器30にお水を入れて蓋部20を閉塞した後に、前記ヒータによってお水を沸騰可能に構成される。また、沸騰したお湯は、前記温度センサや蒸気センサ190の検知結果に基づいて所定の温度にて保温可能であって、操作部13の操作によって注湯口15から注湯可能に構成される。
【0024】
次に、図2を用いて、蓋部20の内部に形成された蒸気排出通路25の構成について、さらに詳細に説明する。
【0025】
図2に示す、蒸気排出通路25は、まず、蓋部20の下部材22の下側面の略中央に形成された蒸気排出口24から蓋部20内の上斜め後方に配置された第一空間R1に延出される。第一空間R1には、止水弁27が配設される。止水弁27は、電気ポット1が転倒した場合に、内容器30内のお湯が蒸気排出通路25を介して当該電気ポット1から排出されることを防止する部材である。
【0026】
蒸気排出通路25は、次に、第一空間R1から上斜め後方に配置された第二空間R2に延出される。第二空間R2は、蓋部20内の最後部に配置される。第二空間R2には、結露排出口26が形成される。なお、結露排出口26の構成についての詳細な説明は後述する。
【0027】
蒸気排出通路25は、次に、第二空間R2から上斜め前方に配置された蒸気口23に延出される。
【0028】
このように、内容器30内のお湯から発生する蒸気は、蒸気排出口24から蒸気排出通路25内に入り、第一空間R1、第二空間R2、と順番に移動した後、蒸気口23から電気ポット1の外部へ排出される。なお、蒸気排出通路25は、側面視で第二空間R2の結露排出口26を頂点として前方へ向けて開放された略「く」の字状に形成される。
【0029】
次に、図2及び図3を用いて、蒸気排出通路25の第二空間R2に形成された結露排出口26の構成について、さらに詳細に説明する。
【0030】
結露排出口26は、蓋部20を開けた時に、蒸気排出通路25内で発生した結露を蓋部20の外部(内容器30内)へ排出するための排出口である。結露排出口26は、蓋部20の後端面を前後方向に貫通して形成される。結露排出口26は、正面視で略矩形状であって後下方を臨んで形成される。すなわち、結露排出口26は、側面視で前低後高に傾斜して形成される。蒸気排出通路25内の第二空間R2と蓋部20の外部とは、結露排出口26を通じて連通される。結露排出口26の周縁部には、シール部材28が配設される。
【0031】
図2に示すように、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、結露排出口26は、本体ケース10の肩部材12(より詳細には、後述する中央傾斜部180)によって外側から閉塞される。なお、結露排出口26の周縁部に配設されたシール部材28を介して、当該結露排出口26は、本体ケース10の肩部材12によって略隙間無く閉塞される。このように、蒸気排出通路25内の蒸気は、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、結露排出口26を通じて蓋部20の外部へ排出されないように構成される。
【0032】
また、図2に示すように、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、結露排出口26には、本体ケース10の肩部材12から突出された蒸気センサ190(より詳細には、検出部191)が挿入される。すなわち、蒸気センサ190は、本体ケース10の肩部材12において、結露排出口26を閉塞している箇所から前方へ向けて突出されている。これによって、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、蒸気センサ190は、蒸気排出通路25内の第二空間R2内に配置される。このように、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、蒸気センサ190によって、蒸気排出通路25内の蒸気の温度が検出されるように構成される。なお、蒸気センサ190の構成についての詳細な説明は後述する。
【0033】
このような構成によって、蒸気排出通路25内に発生した結露の一部は、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を閉塞している状態において、当該蒸気排出通路25内を自重によって下方へと流れて蒸気排出口24から内容器30内に排出される。また、蒸気排出通路25内に発生した結露の残り(蒸気排出口24から内容器30内に排出されない結露)は、当該蒸気排出通路25内に留まることとなる。
【0034】
また、蒸気排出通路25内に留まった結露は、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を開放している状態において、結露排出口26から内容器30内に排出される。より詳細には、図3に示すように、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を開放している状態において、結露排出口26は、蓋部20の蒸気排出通路25の最下端に配置される。また、上述の如く、蒸気排出通路25は、側面視で第二空間R2の結露排出口26を頂点として前方へ向けて開放された略「く」の字状に形成される。したがって、蒸気排出通路25内に留まった結露は、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を開放している状態において、当該蒸気排出通路25内を自重によって下方へと流れて結露排出口26から垂れ落ちて、本体ケース10の肩部材12の内斜面に形成された後述する中央傾斜部180にガイドされて、内容器30内に排出される。
【0035】
なお、蒸気排出通路25は、本発明に係る「蒸気排出通路」の一実施形態であり、上記の如き構成に限定するものではない。例えば、蓋部20の上部材21の上面側に蒸気口23を設けない、いわゆる「蒸気レス」タイプの「蒸気排出通路」であってもよい。
【0036】
次に、蒸気センサ190の構成について、詳細に説明する。
なお、蒸気センサ190は、本体ケース10の肩部材12において、ヒンジ部100と共に配置される。そこで、以下の説明では、蒸気センサ190及びヒンジ部100の配置構成について詳細に説明する。
【0037】
まず、図2から図5を用いて、ヒンジ部100の構成について詳細に説明する。
【0038】
ヒンジ部100は、ヒンジロック110と、ロックカバー150と、により構成される。
【0039】
図4に示す、ヒンジロック110は、本体ケース10の肩部材12後部の上端部にて、後述するロックカバー150の内部に配置される。ヒンジロック110は、ロック本体部120と、ロック部130と、バネ140と、により構成される。
【0040】
ロック本体部120は、正面視で上下方向に細長い略矩形状であって、前後方向に貫通して形成された枠体である。ロック本体部120の下縁部には、突出部121が上方へ向けて突出される。
【0041】
ロック部130は、正面視で略Y字状に形成された部材である。より詳細には、ロック部130は、中央に配置される中央部131と、当該中央部131の左右に配置される爪部132・132と、により構成される。
【0042】
ロック部130の中央部131は、正面視で上下方向に細長い略矩形状に形成される。また、中央部131は、後方へ向けて凹んだ凹み部133を有する略箱状に形成される。中央部131は、ロック本体部120の内側に、上下方向に摺動自在に嵌め込まれる。図5に示すように、中央部131の後側面には、略板状の把持部134が後方へ向けて突設される。把持部134は、肩部材12の後側面に形成された開口部を通じて当該肩部材12の外部に露出される。
【0043】
ロック部130の爪部132・132は、中央部131の上下中途部から左右斜め上方へ向けて延出された後、上方へ向けて延出されて形成される。爪部132・132の上端部の高さ位置は、中央部131の上端部の高さ位置よりも高く形成される。なお、爪部132・132の上端部は、後述するロックカバー150から上方へ向けて突出するように形成される。
【0044】
バネ140は、長手方向を上下方向として配置される。バネ140は、下端部がロック本体部120の突出部121に接続され、上端部がロック部130の中央部131の下端部に接続される。バネ140は、ロック部130を上方へ向けて付勢している。
【0045】
このような、ヒンジロック110の構成において、図2及び図4に示すような、通常時(中央部131の把持部134に下方への押圧力が付与されていない場合)には、ロック部130がバネ140の付勢力によって、ロック本体部120に対して最上部に位置している。
【0046】
図2及び図3に示す、ロックカバー150は、本体ケース10の肩部材12の上端部に配置される。ロックカバー150は、その内部にヒンジロック110を収納する部材である。ロックカバー150は、図2及び図3に示すように、ヒンジ軸支部160と、爪部収容部170・170と、中央傾斜部180と、により構成される。
【0047】
ヒンジ軸支部160は、蓋部20の後端部に横架されたヒンジ軸18を回動自在に支持する部材である。ヒンジ軸支部160は、ロックカバー150における最上部に配置される。ヒンジ軸支部160は、左右方向に細長い略矩形状であて、前側が開口された略箱状に形成される。ヒンジ軸支部160の左右側面には後方へ向けて切り欠いた支部切り欠き部161がそれぞれ形成される。これによって、蓋部20を本体ケース10に取り付ける場合に、蓋部20のヒンジ軸18が、支部切り欠き部161に前方から緩挿される。
【0048】
爪部収容部170・170は、ヒンジロック110の爪部132・132を内部に収容する部材である。爪部収容部170・170は、ヒンジ軸支部160の左右下部に配置される。爪部収容部170・170は、肩部材12の上端部から上方へ向けて突出された略箱状に形成される。爪部収容部170・170の上側面171には、長手方向を左右方向とした収容部切り欠き部174・174が、上側面171を上下方向に貫通して形成される。収容部切り欠き部174・174からは、ヒンジロック110の爪部132・132の上端部が、上方へ向けて突出される。爪部収容部170・170の前側面175は、板面を概ね前方へ向けた略垂直面に形成される。なお、ヒンジロック110の爪部132・132は、爪部収容部170・170の内部を上下方向に摺動可能に形成される。換言すれば、爪部収容部170・170の前側面175は、少なくともヒンジロック110の爪部132・132の上下方向への摺動範囲においては、爪部132・132の前後方向位置よりも前方に配置される。
【0049】
中央傾斜部180は、ヒンジロック110の中央部131を内部に収容する部材である。中央傾斜部180は、ヒンジ軸支部160の下部であって、爪部収容部170・170の間に配置される。中央傾斜部180は、その板面を概ね前上方へ向けた平面に形成される。中央傾斜部180は、蓋部20の結露排出口26に対向して形成される。また、中央傾斜部180の左右幅は、結露排出口26の左右幅よりも大きく形成される。また、中央傾斜部180の上下幅は、結露排出口26の上下幅よりも大きく形成される。
【0050】
また、中央傾斜部180の下端部の前後方向位置は、爪部収容部170・170の前側面175の下端部の前後方向位置と、略同一となるように形成される。一方、中央傾斜部180の上端部の前後方向位置は、爪部収容部170・170の前側面175の上端部の前後方向位置よりも後方となるように形成される。なお、中央傾斜部180の上側部の前後方向位置は、ヒンジロック110の爪部132・132の上端部の前後方向位置よりも後方となるように形成される。
【0051】
ここで、ヒンジロック110は、上述の如く、正面視で略Y字状に形成される部材であり、当該ヒンジロック110の中央部131の高さ位置は爪部132・132の高さ位置よりも低く形成される。したがって、ヒンジロック110の中央部131を内部に収容する中央傾斜部180は、ヒンジロック110の爪部132・132を内部に収容する爪部収容部170・170よりも高さ位置を低くすることができる
【0052】
このようなヒンジ部100の構成において、蓋部20のヒンジ軸18が、ヒンジ軸支部160に嵌挿された状態で、ヒンジロック110の爪部132・132の上端部が、当該ヒンジ軸支部160の前側の開口部を閉塞している。すなわち、ヒンジ部100は、蓋部20を回動自在に支持(嵌着)している。
【0053】
また、ロック部130の把持部134を下方へ向けて押圧すると、当該中央部131がバネ140の付勢力に抗って、ロック本体部120に対して下方へ摺動する。そして、中央部131と共に爪部132・132が、ロック本体部120に対して下方へ摺動する。その結果、爪部132・132とヒンジ軸支部160とによるヒンジ軸18の嵌着状態が解除される。つまり、ヒンジ部100は、蓋部20を着脱可能に支持(嵌着)している。
【0054】
次に、図2、図3、及び図5を用いて、蒸気センサ190の構成について詳細に説明する。
【0055】
蒸気センサ190は、検出部191によって蒸気の温度を検出するものである。蒸気センサ190には、検出部191にて検出した検出結果を制御部(不図示)へ送信するための配線193が接続される。蒸気センサ190は、ヒンジ部100の中央傾斜部180に配置される。中央傾斜部180の略中央部には、軸心方向を前後方向とした略円筒状のセンサ取付ボス181が形成される。蒸気センサ190は、後方からセンサ取付ボス181に挿入される。そして、蒸気センサ190は、複数の取り付け具192を介して、中央傾斜部180に後方から固定される。かかる場合、蒸気センサ190の検出部191は、センサ取付ボス181を通じて中央傾斜部180から前方へ向けて突出される。
【0056】
なお、図2に示すように、センサ取付ボス181及び蒸気センサ190の後端部は、側面視でロック部130の中央部131の前側の開口部を通じて当該中央部131の凹み部133の内側に配置される。ここで、中央部131は、上下方向に往復移動可能に構成される部材であるが、センサ取付ボス181及び蒸気センサ190の高さ位置は、中央部131が最下部に移動した場合の凹み部133の上縁部の高さ位置よりも低く形成される。また、センサ取付ボス181及び蒸気センサ190の高さ位置は、中央部131が最上部に移動した場合の凹み部133の下縁部の高さ位置よりも高く形成される。したがって、ロック部130の中央部131は、センサ取付ボス181及び蒸気センサ190と干渉することなく、上下方向に往復移動することができる。
【0057】
なお、蒸気センサ190は、本発明に係る「蒸気検出手段」の一実施形態であり、上記の如き構成に限定するものではない。
【0058】
次に、図2、図3、及び図5を用いて、結露排出口26と蒸気センサ190とヒンジ部100との配置構成について、さらに詳細に説明する。
【0059】
まず、結露排出口26とヒンジ部100との配置構成については、蓋部20が内容器30に対して閉塞状態の場合に、結露排出口26が正面視でヒンジ部100の外径の内側に配置され、且つ結露排出口26とロック部130の爪部132・132とが正面視で重複されずに横列に配置される。
【0060】
より詳細には、結露排出口26は、正面視で爪部収容部170・170の上端部と下端部との間に配置される。また、結露排出口26は、正面視で、左側の爪部収容部170の左側面172と右側の爪部収容部170の右側面173との間に配置される。つまり、結露排出口26は、正面視でヒンジ部100の外径の内側に配置される。また、結露排出口26は、左側の爪部収容部170の右側面173と右側の爪部収容部170の左側面172との間(正面視でロック部130の爪部132・132と重複しない位置)に配置される。そして、結露排出口26は、正面視で、爪部収容部170・170の内部に収容された爪部132・132と、横列に配置される。
【0061】
次に、結露排出口26と蒸気センサ190とヒンジ部100との配置構成については、蓋部20が内容器30に対して閉塞状態の場合に、結露排出口26と蒸気センサ190とが正面視でヒンジ部100の外径の内側にて相互に重複して配置され、且つ結露排出口26及び蒸気センサ190とロック部130の爪部132・132とが正面視で重複されずに横列に配置される。
【0062】
より詳細には、結露排出口26は、蒸気センサ190に対向して配置されている。したがって、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視で相互に重複して配置される。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視で爪部収容部170・170の上端部と下端部との間に配置される。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視で、左側の爪部収容部170の左側面172と右側の爪部収容部170の右側面173との間に配置される。つまり、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視でヒンジ部100の外径の内側に配置される。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、左側の爪部収容部170の右側面173と右側の爪部収容部170の左側面172との間(正面視でロック部130の爪部132・132と重複しない位置)に配置される。そして、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視で、爪部収容部170・170の内部に収容された爪部132・132と、横列に配置される。
【0063】
さらに、蓋部20が内容器30に対して閉塞状態の場合に、結露排出口26と蒸気センサ190とが平面視でヒンジ部100の外径の内側にて配置され、且つ結露排出口26及び蒸気センサ190とロック部130の爪部132・132とが平面視で重複されずに横列に配置される。
【0064】
より詳細には、結露排出口26は、蒸気センサ190に対向して配置されている。したがって、結露排出口26と蒸気センサ190とは、正面視で相互に重複して配置される(平面視で相互に重複して配置される)。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、平面視で爪部収容部170・170の前端部と後端部との間に配置される。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、平面視で、左側の爪部収容部170の左側面172と右側の爪部収容部170の右側面173との間に配置される。つまり、結露排出口26と蒸気センサ190とは、平面視でヒンジ部100の外径の内側に配置される。また、結露排出口26と蒸気センサ190とは、左側の爪部収容部170の右側面173と右側の爪部収容部170の左側面172との間(平面視でロック部130の爪部132・132と重複しない位置)に配置される。そして、結露排出口26と蒸気センサ190とは、平面視で、爪部収容部170・170の内部に収容された爪部132・132と、横列に配置される。
【0065】
このような構成によって、本体ケース10の肩部材12のヒンジ部100近傍において、ロック部130の爪部132・132と、蒸気センサ190及び結露排出口26とを近接さえて配置することができる。したがって、本体ケース10の肩部材12のヒンジ部100近傍における配置スペースを前後方向及び上下方向にコンパクトにすることができる。その結果、電気ポット1の小型化を図ることができる。
【0066】
また、このような構成によって、蓋部20が本体ケース10の上側の開口部を開放している状態において、蓋部20の結露排出口26の下方にはロック部130の爪部132・132が配置されない。したがって、蒸気排出通路25内に留まった結露が、結露排出口26から垂れ落ちる場合に、その垂れ落ちる結露が、ロック部130の爪部132・132の上に垂れ落ちることを防止することができる。
【0067】
以上のように、
本発明の一実施形態に係る電気ポット1は、
本体ケース10内に配置されて液体を収容する内容器30と、
前記本体ケース10に配設されたヒンジ部100によって前記内容器30に対して開閉自在に支持される蓋部20と、を備えた電気ポットであって、
前記蓋部20は、貫穿された蒸気排出通路25の中途部と前記蓋部20の外部とを連通して、前記蒸気排出通路25内の結露を排出するための結露排出口26を備え、
前記ヒンジ部100は、前記蓋部20を着脱可能に嵌着するロック部130の爪部132・132を備え、
前記蓋部20が前記内容器30に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口26を正面視で前記ヒンジ部100の外径の内側に配置し、且つ前記結露排出口26と前記ロック部130の爪部132・132とを正面視で重複させずに横列に配置するものである。
【0068】
また、本発明の一実施形態に係る電気ポット1は、
本体ケース10内に配置されて液体を収容する内容器30と、
前記本体ケース10に配設されたヒンジ部100によって前記内容器30に対して開閉自在に支持される蓋部20と、を備えた電気ポットであって、
前記蓋部20は、貫穿された蒸気排出通路25の中途部と前記蓋部20の外部とを連通して、前記蒸気排出通路25内の結露を排出するための結露排出口26を備え、
前記ヒンジ部100は、前記蓋部20を着脱可能に嵌着するロック部130の爪部132・132を備え、
前記本体ケース10は、前記結露排出口26を通じて前記蒸気排出通路25内に挿入される蒸気センサ190(蒸気検出手段)と、を備え、
前記蓋部20が前記内容器30に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口26と前記蒸気センサ190(蒸気検出手段)とを正面視で前記ヒンジ部100の外径の内側にて相互に重複させて配置し、前記結露排出口26及び前記蒸気センサ190(蒸気検出手段)と前記ロック部130の爪部132・132とを正面視で重複させずに横列に配置するものである。
【0069】
このような構成により、蓋部20の結露排出口26から排出された結露がロック部130の爪部132・132上に垂れ落ちず、且つ、蒸気センサ190が配置されているが結露排出口26がロック部130の爪部132・132に近接した位置に配置され、ロック部130の爪部132・132近傍の配置スペースをコンパクトにして、電気ポット1の小型化を図ることできる。
【0070】
なお、第二実施形態として、図6に示すように、正面視でロック部130の爪部132を収容している爪部収容部170を左側に配置し、傾斜部180aを右側に配置する構成とすることができる。かかる実施形態において、ロック部130の構成は、第一実施形態として説明した正面視で略Y字状に形成されたロック部130の左右の爪部132・132のうち、右側の爪部132が設けられていないものである。なお、正面視でロック部130の爪部132を収容している爪部収容部170を右側に配置し、傾斜部180aを左側に配置する構成であってもよい。
【0071】
また、第三実施形態として、図7に示すように、結露排出口26の配置は第一実施形態に係る配置のままで、蒸気センサ190を本体ケース10の肩部材12の前部に配置する構成とすることができる。かかる実施形態においては、蒸気排出通路25は、まず蓋部20の下部材22の蒸気排出口24から蓋部20内の前方へと延出され、その後に蓋部20内の後方へと延出される。このような構成によれば、蒸気センサ190とヒンジ部100との配置構成にかかわらず、本体ケース10の肩部材12のヒンジ部100近傍(ロック部130近傍)の配置スペースを前後方向及び上下方向にコンパクトにすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 電気ポット
10 本体ケース
20 蓋部
25 蒸気排出通路
26 結露排出口
30 内容器
100 ヒンジ部
130 ロック部
132 爪部
190 蒸気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に配置されて液体を収容する内容器と、
前記本体ケースに配設されたヒンジ部によって前記内容器に対して開閉自在に支持される蓋部と、を備えた電気ポットであって、
前記蓋部は、貫穿された蒸気排出通路の中途部と前記蓋部の外部とを連通して、前記蒸気排出通路内の結露を排出するための結露排出口を備え、
前記ヒンジ部は、前記蓋部を着脱可能に嵌着するロック部材を備え、
前記蓋部が前記内容器に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口を正面視で前記ヒンジ部の外径の内側に配置し、且つ前記結露排出口と前記ロック部材とを正面視で重複させずに横列に配置する、
ことを特徴とする電気ポット。
【請求項2】
本体ケース内に配置されて液体を収容する内容器と、
前記本体ケースに配設されたヒンジ部によって前記内容器に対して開閉自在に支持される蓋部と、を備えた電気ポットであって、
前記蓋部は、貫穿された蒸気排出通路の中途部と前記蓋部の外部とを連通して、前記蒸気排出通路内の結露を排出するための結露排出口を備え、
前記ヒンジ部は、前記蓋部を着脱可能に嵌着するロック部材を備え、
前記本体ケースは、前記結露排出口を通じて前記蒸気排出通路内に挿入される蒸気検出手段と、を備え、
前記蓋部が前記内容器に対して閉塞状態の場合に、前記結露排出口と前記蒸気検出手段とを正面視で前記ヒンジ部の外径の内側にて相互に重複させて配置し、前記結露排出口及び前記蒸気検出手段と前記ロック部材とを正面視で重複させずに横列に配置する、
ことを特徴とする電気ポット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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