電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタ
【課題】集電極と分極性電極の密着性が向上し、集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔12aの内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔12bの内壁に形成された第2分極性電極18bとを備え、第1分極性電極18aは、第1空孔12a内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔12b内に充填された電気二重層キャパシタ。
【解決手段】第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔12aの内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔12bの内壁に形成された第2分極性電極18bとを備え、第1分極性電極18aは、第1空孔12a内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔12b内に充填された電気二重層キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)およびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタに関し、特に、電極の表面積を増大し、容量特性に優れた電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
EDLCは、電極と電解液との界面に形成される電気二重層を利用して蓄電するため、化学反応を利用して蓄電する2次電池に比べて急速な充放電に耐えることができる。このため、EDLCは、例えば、燃料電池自動車やハイブリッド自動車の蓄電システム、特に減速時に散逸させるエネルギーを回収する回生エネルギー蓄電システムに必要不可欠となっている。しかし、EDLCによるエネルギー密度は電池に比べて低く、電気自動車の電源としては大幅に不足しているため、蓄電容量密度をさらに向上させることが必要である。
【0003】
このEDLCは、電気二重層が形成される電極、すなわち分極性電極と、電解液と、電解液のイオンのみを通過させるセパレータと、分極性電極の電荷を集電して取り出す集電極を有しており、背面に集電極を有する一対の分極性電極を、セパレータを挟んで対向させた構造体に電解液を封入したセルから構成されている。
【0004】
大きな蓄電能力を有するEDLCを提供することを目的として、EDLC用分極性材料としてカーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)を抄紙成型したシートを用い、表面に凹凸部のある多孔質金属体基材とその凹凸部により一体化された集電体を構成する例が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
同様に、大きな蓄電能力を有するEDLCを提供することを目的として、集電極にゼオライトを適用した炭素ナノ構造体を用い、大きな重量比表面積と同時に、体積比表面積を有するEDLCも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−99935号公報
【特許文献2】特開2007−326732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のEDLCにおいて、分極性電極の多孔質集電極金属への付着は、転写によるものであり、密着性の点で不具合が生じるという問題点がある。また、多孔質集電極金属内への分極性電極の充填が完全になされにくい。
【0008】
特許文献2のEDLCにおいて、ゼオライト細孔の利用では、大量にゼオライトシートを作製することが困難であるという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、容易に多孔質集電極の空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、多孔質集電極と、前記多孔質集電極の空孔内壁に形成された分極性電極とを備え、前記分極性電極は、前記空孔内に充填される電気二重層キャパシタの電極構造が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解液と、前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間を分離するセパレータと、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填される電気二重層キャパシタが提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解質と、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と、前記第1多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第1分極性電極を収容する水素導入部と、前記第2多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第2分極性電極を収容する酸素導入部とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填される燃料電池が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置され、リチウムイオンをドーピングした炭素電極と、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間に配置された電解液と、前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間を分離するセパレータと、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填されるリチウムイオンキャパシタが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易に多孔質集電極の空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの模式的断面構造図、(b)(a)のP部分の拡大図。
【図2】(a)本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの詳細構造の模式的断面構造図、(b)(a)のQ部分の拡大詳細図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタにおいて、アノード・カソード間に電圧を印加したときの動作説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタにおいて、アノード・カソード間に電圧を印加せず、負荷を接続したときの動作説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Ni発泡金属の模式的鳥瞰図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタに適用するNi発泡金属からなる多孔質集電極の電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタに適用するNi発泡金属からなる多孔質集電極の拡大された電子顕微鏡写真。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、多孔質集電極に対してCrからなるめっき金属層を形成する工程の模式的鳥瞰図。
【図9】図8の多孔質集電極に対してCrからなるめっき金属層を形成する工程に適用する電気めっきの模式的説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Crからなるめっき金属層上にFeからなる触媒金属を形成する工程の模式的鳥瞰図。
【図11】図10のR部分の拡大図。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Feからなる触媒金属に対してGNF成長する工程の模式的鳥瞰図。
【図13】図12のS部分の拡大図。
【図14】GNF成長工程における温度プロファイルの説明図。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、電極付け工程の説明図。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、一対の成長済みの多孔質集電極をセパレータを挟み組み上げ、電解液を真空中で含浸する工程の模式的断面構造図。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、アルミラミネートフィルムにより包装する工程の模式的断面構造図。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池の模式的断面構造図。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタの模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
なお、以下の説明において、CNTは、カーボンナノファイバ(CNF:Carbon Nano Fiber)と同義のものであるとして用いている。CNTは、七員環若しくは5員環を一部に含み、六員環ネットワークが単層若しくは同軸管状になった炭素原子集団である。
【0019】
また、以下の説明において、CNTは、グラファイトナノチューブ(GNT:Graphite Nano Tube)で置換されていても良い。すなわち、CNTの代わりに、グラッフェンシートの積層構造を備えていても良い。
【0020】
また、同様に、以下の説明において、GNTは、グラファイトナノファイバ(GNF:Graphite Nano Fiber)と同義のものであるとして用いている。
【0021】
以下においては、CNT、CNF、GNT、若しくはGNFなどを総称して、カーボンファイバ、若しくはカーボンナノファイバと呼ぶ。
【0022】
[第1の実施の形態]
(電気二重層キャパシタの電極構造)
本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2および電気二重層キャパシタ2の電極構造の模式的断面構造は、図1(a)に示すように表され、図1(a)のP部分の拡大は、図1(b)に示すように表される。
【0023】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2の電極構造は、図1(a)および図1(b)に示すように、多孔質集電極10,20と、多孔質集電極10,20のそれぞれの空孔12a,12bの内壁に形成された分極性電極18a,18bとを備える。分極性電極18a,18bは、それぞれの空孔12a,12b内に充填される。
【0024】
ここで、多孔質集電極10,20は、分極性電極18a,18bの析出金属から形成されていても良い。多孔質集電極10,20の多孔質金属が分極性電極18a,18bの析出・成長金属であれば、そのまま、例えば化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により分極性電極18a,18bの析出・成長が可能となるからである。
【0025】
また、空孔12a,12bの内壁にそれぞれ形成されためっき金属層14a,14bと、めっき金属層14a,14b上にそれぞれ形成された触媒金属16a,16bとを備え、分極性電極18a,18bは、それぞれ触媒金属16a,16b上に形成されていても良い。発泡金属からなる多孔質集電極10,20の空孔内壁部でもめっき性が良好となるからである。
【0026】
また、分極性電極18a,18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0027】
また、分極性電極18a,18bは、CVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により、それぞれ空孔12a,12b内に一括形成されていても良い。
【0028】
めっき金属層14a,14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0029】
図1(b)に示すように、空孔12bの最大径をA、分極性電極18bの長さをBと定義する。空孔12aの最大径A、分極性電極18aの長さBも同様に定義することができる。
【0030】
空孔12a,12bのサイズは、約50μm〜600μm程度である。発泡金属からなる多孔質金属は、寸法約50μm〜600μm程度のランダムな空孔を備えるからである。空孔12a,12bは、ランダムな細孔であり、径のサイズも要求に応じて、約50μm〜600μm程度に揃えることができる。コスト面で、メッシュ構造に形成する電極構造よりも低く抑えることができる。
【0031】
空孔12a,12bの最大径Aと、分極性電極18a,18bの長さBとの比は、1/2≦B/A≦1であることが、分極性電極18a,18bによってそれぞれ空孔12a,12bを充填する上で望ましい。発泡金属からなる多孔質金属の最大径Aは、分極性電極の長さBの倍程度であれば、分極性電極によってそれぞれ空孔を充填することができる。尚、空孔12a,12bの形状は楕円形状、円形状など様々である。寸法約50μm〜600μmの範囲でばらついた複数の空孔12a,12bの内、最大径Aとは、最も大きな空孔の最大径に相当する。
【0032】
ここで、発泡金属からなる多孔質集電極10,20の金属材料としては、例えば、Ni、SUS、Cr、Al、Mo、W、Ti、Cuなどを適用することができる。
【0033】
触媒金属16a,16bは、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどで形成することができる。また、多孔質金属が分極性電極18a,18bの析出・成長金属である場合、分極性電極18a,18bの析出・成長金属材料としては、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。
【0034】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造は、単純電極シートと同体積で約5倍(厚さ1mmのシート)の表面積を稼ぐことができる。また、シート内部の空間に活性炭やGNFを充填させることができる。GNFが内部充填されることで、多孔質集電極からGNFが剥がれにくいという利点もある。
【0035】
第1の実施の形態によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタの電極構造を提供することができる。
【0036】
(電気二重層キャパシタ)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2の詳細構造の模式的断面構造は、図2(a)に示すように表され、図2(a)のQ部分の拡大は、図2(b)に示すように表される。図2(b)から明らかなように、第1分極性電極18aは、例えば、グラッフェンシート19が複数積層されたGNF構造を備える。
【0037】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2は、図1〜図2に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔12aの内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔12bの内壁に形成された第2分極性電極18bとを備える。ここで、第1分極性電極18aは、第1空孔12a内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔12b内に充填される。
【0038】
ここで、第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属から形成され、第2多孔質集電極20は、第2分極性電極18bの析出金属から形成されていても良い。第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属がそれぞれ分極性電極18a,18bの析出・成長金属であれば、そのまま、例えばCVD法により分極性電極18a,18bの析出・成長が可能となるからである。
【0039】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aと、第1めっき金属層14a上に形成された第1触媒金属16aと、第2空孔12bの内壁に形成された第2めっき金属層14bと、第2めっき金属層14b上に形成された第2触媒金属16bとを備え、第1分極性電極18aは第1触媒金属16a上に形成され、第2分極性電極18bは第2触媒金属16b上に形成されていても良い。発泡金属からなる第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属の空孔内壁部でもめっき性が良好となるからである。
【0040】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0041】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により、それぞれ空孔12a,12b内に一括形成されていても良い。
【0042】
また、第1めっき金属層14aおよび第2めっき金属層14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0043】
図1(b)に示すように、第2空孔12bの最大径をA、第2分極性電極18bの長さをBと定義する。第1空孔12aの最大径A、第1分極性電極18aの長さBも同様に定義することができる。
【0044】
第1空孔12a,第2空孔12bのサイズは、約50μm〜600μm程度である。発泡金属からなる多孔質金属は、寸法約50μm〜600μm程度のランダムな空孔を備えるからである。第1空孔12a,第2空孔12bは、ランダムな細孔であり、径のサイズも要求に応じて、約50μm〜600μm程度に揃えることができる。
【0045】
第1空孔12a,第2空孔12bの最大径Aと、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの長さBとの比は、1/2≦B/A≦1であることが、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bによってそれぞれ第1空孔12a,第2空孔12bを充填する上で望ましい。発泡金属からなる多孔質金属の最大径Aは、分極性電極の厚さ(長さ)Bの倍程度であれば、分極性電極によってそれぞれ空孔を充填することができる。尚、第1空孔12a,第2空孔12bの形状は楕円形状、円形状など様々である。寸法約50μm〜600μmの範囲でばらついた複数の第1空孔12a,第2空孔12bの内、最大径Aとは、最も大きな空孔の最大径に相当する。
【0046】
ここで、発泡金属からなる第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属の金属材料としては、例えば、Ni、SUS、Cr、Al、Mo、W、Ti、Cuなどを適用することができる。
【0047】
第1触媒金属16a,第2触媒金属16bの金属材料としては、例えば、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。また、多孔質金属が第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの析出・成長金属である場合、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの析出・成長金属材料としては、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。
【0048】
(動作原理)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2において、電圧を印加したときの動作は、図3に示すように模式的に表され、電圧を印加せず、負荷を接続したときの動作は、図4に示すように模式的に表される。尚、図3および図4では、セパレータ30を省略して図示している。
第1多孔質集電極10をアノード、第2多孔質集電極20をカソードとして、アノード・カソード間に電源42を、アノードが正電位、カソードが負電位となるように接続すると、第1分極性電極18aとイオン伝導性の電解液40との界面、および第2分極性電極18bとイオン伝導性の電解液40との界面に、それぞれ電気二重層が形成される。形成された電気二重層は、平板型コンデンサの挙動を示す。したがって、図3に示す電気二重層キャパシタ2は、直列に2つのコンデンサが接続された等価回路となる。
【0049】
図3において、第1分極性電極18aとイオン伝導性の電解液40との界面では、カーボンナノファイバからなる第1分極性電極18a内に正(プラス)電荷が誘起され、イオン伝導性の電解液40側に負(マイナス)イオンが誘起される。同様に、第2分極性電極18bとイオン伝導性の電解液40との界面では、カーボンナノファイバからなる第2分極性電極18b内に負(マイナス)電荷が誘起され、イオン伝導性の電解液40側に正(プラス)イオンが誘起される。この状態では、直列に2つのコンデンサが接続された等価回路において、アノードからカソードに向けて、プラス・マイナス・プラス・マイナスの電荷が充電されている。
【0050】
次に、図4に示すように、電源42の代わりに負荷44を第1多孔質集電極10、第2多孔質集電極20間に接続すると、充電されていた電気二重層キャパシタが放電し、負荷44を通して外部電流が導通後、アノード・カソード間は同電位となる。
【0051】
電気二重層キャパシタの充放電機構は、上記のように、正負イオンの分極性電極への物理的な吸脱着である。電気二重層キャパシタは、充放電時に化学反応を伴わないため、急速大電流の充放電が可能であり、広い温度範囲において安定した充放電動作が可能であり、短絡しても故障が起こりにくく、充放電時の制約もなく、半永久的に充放電使用が可能であり、交換の必要もほとんどなく、また、鉛やカドミウムなどの重金属を含まず環境に易しい。
【0052】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、多孔質金属内部表面全体に分極性電極(活性炭、カーボンファイバ)を析出・成長させるための金属をめっきすることにより、CVDプロセス後、多孔質空孔内に分極性電極を満たすことが可能となる。尚、めっき以外にも真空蒸着法、スパッタリング法などを適用することができる。
【0053】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、多孔質金属自身に分極性電極が析出・成長する金属を採用することで、CVDプロセス後に分極性電極を満たすこともでき、
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能である。
【0054】
第1の実施の形態によれば、めっきを用いたことによって、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくくなり、しかも低抵抗特性が得られる。
【0055】
また、第1の実施の形態によれば、めっきを用いたことによって、CNF、GNFなどを効率よく成長させることができ、空孔内へのCNF、GNFなどの充填を効率良く実施することができる。
【0056】
第1の実施の形態によれば、発泡金属からなる多孔質集電極を用いたことによって、集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する。
【0057】
第1の実施の形態によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタを提供することができる。
【0058】
(製造方法)
図5〜図17を参照して、第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法を説明する。
【0059】
(a)まず、図5〜図7に示すように、Ni発泡金属からなる多孔質集電極10(20)を準備する。多孔質集電極10(20)は、無数の空孔12を有する。空孔のサイズは、前述の通り、例えば、約50μm〜600μm程度である。尚、多孔質集電極10(20)には、ステンレスSUSを使用する場合もあることは、前述の通りである。
【0060】
(b)次に、図8に示すように、多孔質集電極10(20)の空孔12にCrからなるめっき金属層14を形成する。Crからなるめっき金属層14を形成する工程に適用する電気めっきは、図9に示すように、めっき槽24にめっき用電解液22を充填し、陰極に発泡金属からなる多孔質集電極10(20)、陽極にめっき素材電極8を配置する。めっき素材電極8としては、Crめっき素材を用いる。尚、他のめっき素材としては、例えば、カーボン、Ptなどを適用することができる。めっきは図9に示す電気めっきの他に、無電解めっきを用いても良い。尚、多孔質集電極10(20)に、ステンレスSUSを使用する場合には、めっき金属層14を形成する必要はない。
【0061】
(c)次に、図10〜図11に示すように、Crからなるめっき金属層14上に触媒金属16を形成する。触媒金属16も図9と同様に、めっきによって形成する。触媒金属16としては、Fe、Ni、Coなどの単一触媒または合金触媒を適用することができる。上記同様に電気めっきまたは無電界めっきで被覆することができる。めっき金属層14は、核状または平坦な触媒膜として形成される。尚、多孔質集電極10(20)にステンレスSUSを使用する場合は、触媒金属16を形成する必要はない。
【0062】
―めっき工程―
ここで、めっき素材電極8に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きいCrなどの金属を使用する。めっき用電解液22中に溶けた金属イオンが、多孔質集電極10(20)からなる陰極に優先的に析出されないようにするためである。
【0063】
イオン化傾向は、K>Na>Sr>Ca>Mg>Al>Ce>Cr>Mn>Zn>Cd>Fe>Co>Ni>Sn>Pb>(H)>Ge>In>Sb>Bi>Cu>Hg>Ag>Pt>Au>Si>Ti>C>W>Mo>Seで表される。
【0064】
したがって、めっき素材電極8に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きい、例えば、Mg、Al、Ce、Cr、Mn、Zn、Cdなどの金属材料を適用すると良い。
【0065】
めっき用電解液22に溶かし込む触媒金属塩としては、例えば、Feイオンであるならば、FeCl2・4H2O,FeCl3・6H2O,Fe(SO4)・7H2O,Fe(NH4)2(SO4)・6H2Oなどを用いることができる。Coイオンであるならば、CoSO4・7H2O,CuSO4(NH)2 ・6H2O,CoCl2・6H2Oなどを用いることができる。Niイオンあるならば、NiO,NiSO4・7H2O,NiCl2・6H2O,NiSO4(NH4) SO4・6H2Oなどを用いることができる。なお、塩化物を含む触媒金属塩は、めっき素材電極8において塩素ガスを放出する点に留意する必要がある。
【0066】
(d)次に、図12〜図13に示すように、触媒金属16上にGNFを成長させる。カーボン原料ガスと還元ガスにより熱CVD、プラズマCVDなどを用いてGNFを成長させることができる。GNF成長によって空孔12を充填する。
【0067】
―GNFの成長工程―
メッキ後の多孔質集電極10(20)に対してアセトン、アルコール洗浄を行い、残留メッキイオン成分を取り除く。GNFの気相成長装置としては、例えば、熱CVD装置、或いはプラズマCVD装置、リモートプラズマCVD装置などを使用することができる。カーボン原料ガスとしては、例えば、CH4,C2H2,CO,メタノール,エタノールなどを用いる。還元ガスとしては、例えば、Ar,H2,Heなどを用いる。
【0068】
成長温度は、例えば、約300℃〜650℃程度の範囲である。成長時間は、例えば、約5分〜120分程度である。成長時間は、成長温度、ガス種、触媒によって多種多様である。
【0069】
GNF成長工程における温度プロファイルは、図14に示すように表される。
【0070】
GNF成長工程においては、触媒金属16に対して、事前酸化を実施しても良い。
【0071】
(i)まず、図14に示すように、時刻t1から時刻t2において、成長温度Tを室温RTからT1まで上昇する。T1は、約300℃〜500℃程度である。
【0072】
(ii)次に、時刻t2から時刻t3において、酸素(O2)若しくは空気(Air)の導入によって、触媒金属16の表面を事前酸化する。事前酸化工程は、例えば約450℃で、10分〜20分程度実施する。これによって、触媒金属16の表面部分が酸化され、触媒金属16を活性化することができる。
【0073】
(iii)次に、時刻t3から時刻t4において、成長温度Tを室温T1からRTまで下降させる。
【0074】
(iv)次に、時刻t5から時刻t6において、成長温度Tを室温RTからT2まで上昇する。T2は、約500℃〜650℃程度である。
【0075】
(v)次に、時刻t6から時刻t7において、原料ガスCO/H2、C2H2の導入によって、約500℃〜650℃程度で加熱し、触媒金属16の表面にGNFを成長させる。一例として、成長時間は、約580℃で、10分〜30分程度である。上記事前酸化工程、GNFの成長工程の温度条件は、一例である。また、GNFの成長温度は、約600℃以下である。この温度条件によって、垂直配向のGNFの成長が確認されている。
【0076】
ここでは、酸化した触媒金属(Fe,Ni,Co)からはGNFが成長するという選択性を利用している。例えば、Fe2O3, FeO, NiO, Co2O3, CoOが還元されて、結果として、触媒金属が酸化されていたとしても、Fe, Co, Niが生じることで、酸化した触媒金属からは、GNFが成長する。
【0077】
(vi)次に、時刻t7から時刻t8において、成長温度Tを室温T2からRTまで下降させる。
【0078】
(e)次に、図15に示すように、多孔質集電極10に対して電極付けを行う。図15の例では、多孔質集電極10に対してアノード引き出し電極36を電極付けし、同様に、多孔質集電極20に対してカソード引き出し電極38を電極付けする。このような電極付けの工程は、例えば、超音波溶接、半田付けなどにより行うことができる。アノード引き出し電極36およびカソード引き出し電極38は、例えば、Ni、Al、ステンレスなどで形成することができる。なお、図15では、詳細構造を省略しているが、図12に示されたGNF成長済みの多孔質集電極10,20を使用している。
【0079】
(f)次に、図16に示すように、一対の多孔質集電極10、20をセパレータ30を挟み組み上げ、電解液(40)を真空中で含浸する。ここで、セパレータ30は、セルロース、ポリエチレンなどで形成することができる。また、テープなどで形成された保持部32により多孔質集電極10、20とセパレータ30を保持する。組み上げたセパレータ30と多孔質集電極10、20に電解液(40)を真空中で含浸する理由は、脱泡のためである。
【0080】
(g)次に、図17に示すように、アルミラミネートフィルム34により包装することによって、電気二重層キャパシタ2を完成する。電気二重層キャパシタ2の全体構造は、アルミラミネートフィルム包装以外に、巻形形状、コイル形状であっても良い。
【0081】
(燃料電池)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池4の模式的断面構造は、図18に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解質46と、第1多孔質集電極10の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極18bと、第1多孔質集電極10と電解質46との間に配置され、第1分極性電極18aを収容する水素導入部58と、第2多孔質集電極20と電解質46との間に配置され、第2分極性電極18bを収容する酸素導入部60とを備える。ここで、第1分極性電極18aは、第1空孔内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔内に充填される。尚、ここで、第1多孔質集電極10の第1空孔12aおよび第2多孔質集電極20の第2空孔12bは、図1と同様に表される。
【0082】
前記第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属からなり、第2多孔質集電極20は、第2分極性電極18bの析出金属から形成されていても良い。
【0083】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aと、第2空孔12bの内壁に形成された第2めっき金属層14bとを備え、第1分極性電極18aは第1めっき金属層14a上に形成され、第2分極性電極18bは第2めっき金属層14b上に形成されていても良い。
【0084】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0085】
第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されていても良い。
【0086】
第1めっき金属層14aおよび第2めっき金属層14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0087】
電解質46は、イオン交換膜、リン酸、ジルコニア、炭酸リチウムなどで形成可能である。第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bを形成するカーボンナノファイバに白金(Pt)を担持させることによって、H2、O2の分解反応を促進させることができる。H2、O2の吸蔵が、カーボンナノファイバの構造により、良好となる。特に、カーボンナノファイバをGNFで形成した場合、GNFのグラッフェンシート間に、H2、O2ガスが入りやすい。
【0088】
第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20を発泡金属で形成する点は、前述の電気二重層キャパシタと同様である。
【0089】
第1多孔質集電極10をアノード(正極)、第2多孔質集電極20をカソード(負極)とし、アノード・カソード間に負荷48を接続することで、起電力を取り出すことができる。
【0090】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池4の全体構造は、アノード(正極)とカソード(負極)を複数層重ねるバッテリー型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせたコイン型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせアルミラミネートフィルムにより包装したパウチ型形状などを適用可能である。
【0091】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上するため、蓄電能力を向上することができる。
【0092】
(リチウムイオンキャパシタ)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6の模式的断面構造は。図19に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置され、リチウムイオンLi+をドーピングした炭素電極50と、第1多孔質集電極10と炭素電極50間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と炭素電極50間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極18aとを備える。第1分極性電極18aは、第1空孔内に充填される。尚、ここで、第1多孔質集電極10の第1空孔12aは、図1と同様に表される。また、炭素電極50に積層された第2多孔質集電極20を備えていても良い。
【0093】
前記第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属から形成されていても良い。
【0094】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aを備え、第1分極性電極18aは第1めっき金属層14a上に形成されていても良い。
【0095】
また、第1分極性電極18aは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0096】
第1分極性電極18aは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されていても良い。
【0097】
第1めっき金属層14aは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0098】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6において、アノード(正極)側の電解液40中では、陰イオンが移動し、カソード(負極)側の電解液40中では、リチウムイオンLi+が移動する。
【0099】
第1多孔質集電極10をアノード(正極)、炭素電極50に接続された第2多孔質集電極20をカソード(負極)とし、アノード・カソード間に負荷52を接続することで、起電力を取り出すことができる。
【0100】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6の全体構造は、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせたコイン型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせアルミラミネートフィルムにより包装したパウチ型形状などを適用可能である。
【0101】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタによれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上するため、蓄電能力を向上することができる。
【0102】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0103】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の電気二重層キャパシタおよびその電極構造は、燃料電池およびその電極構造、リチウムイオンキャパシタおよびその電極構造のみならず、Liイオン電池およびその電極構造、2次電池およびその電極構造、ガスセンサ用吸収剤、触媒用途など幅広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
2…電気二重層キャパシタ
4…燃料電池
6…リチウムイオンキャパシタ
8…めっき素材電極
10、20…多孔質集電電極
12、12a、12b…空孔
14、14a、14b…めっき金属層
16、16a、16b…触媒金属
18、18a、18b…分極性電極
19…グラッフェンシート
22…めっき用電解液
24…めっき槽
30…セパレータ
32…保持部
34…ラミネートフィルム
36、38…引き出し電極
40…電解液
42…電源
44、48、52…負荷
46…電解質
50…炭素電極
58…水素(H2)導入部
60…酸素(O2)導入部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)およびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタに関し、特に、電極の表面積を増大し、容量特性に優れた電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
EDLCは、電極と電解液との界面に形成される電気二重層を利用して蓄電するため、化学反応を利用して蓄電する2次電池に比べて急速な充放電に耐えることができる。このため、EDLCは、例えば、燃料電池自動車やハイブリッド自動車の蓄電システム、特に減速時に散逸させるエネルギーを回収する回生エネルギー蓄電システムに必要不可欠となっている。しかし、EDLCによるエネルギー密度は電池に比べて低く、電気自動車の電源としては大幅に不足しているため、蓄電容量密度をさらに向上させることが必要である。
【0003】
このEDLCは、電気二重層が形成される電極、すなわち分極性電極と、電解液と、電解液のイオンのみを通過させるセパレータと、分極性電極の電荷を集電して取り出す集電極を有しており、背面に集電極を有する一対の分極性電極を、セパレータを挟んで対向させた構造体に電解液を封入したセルから構成されている。
【0004】
大きな蓄電能力を有するEDLCを提供することを目的として、EDLC用分極性材料としてカーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)を抄紙成型したシートを用い、表面に凹凸部のある多孔質金属体基材とその凹凸部により一体化された集電体を構成する例が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
同様に、大きな蓄電能力を有するEDLCを提供することを目的として、集電極にゼオライトを適用した炭素ナノ構造体を用い、大きな重量比表面積と同時に、体積比表面積を有するEDLCも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−99935号公報
【特許文献2】特開2007−326732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のEDLCにおいて、分極性電極の多孔質集電極金属への付着は、転写によるものであり、密着性の点で不具合が生じるという問題点がある。また、多孔質集電極金属内への分極性電極の充填が完全になされにくい。
【0008】
特許文献2のEDLCにおいて、ゼオライト細孔の利用では、大量にゼオライトシートを作製することが困難であるという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、容易に多孔質集電極の空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、多孔質集電極と、前記多孔質集電極の空孔内壁に形成された分極性電極とを備え、前記分極性電極は、前記空孔内に充填される電気二重層キャパシタの電極構造が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解液と、前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間を分離するセパレータと、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填される電気二重層キャパシタが提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解質と、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と、前記第1多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第1分極性電極を収容する水素導入部と、前記第2多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第2分極性電極を収容する酸素導入部とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填される燃料電池が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、第1多孔質集電極と、前記第1多孔質集電極に対向して配置され、リチウムイオンをドーピングした炭素電極と、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間に配置された電解液と、前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間を分離するセパレータと、前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填されるリチウムイオンキャパシタが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易に多孔質集電極の空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタおよびその電極構造、燃料電池およびリチウムイオンキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの模式的断面構造図、(b)(a)のP部分の拡大図。
【図2】(a)本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの詳細構造の模式的断面構造図、(b)(a)のQ部分の拡大詳細図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタにおいて、アノード・カソード間に電圧を印加したときの動作説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタにおいて、アノード・カソード間に電圧を印加せず、負荷を接続したときの動作説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Ni発泡金属の模式的鳥瞰図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタに適用するNi発泡金属からなる多孔質集電極の電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタに適用するNi発泡金属からなる多孔質集電極の拡大された電子顕微鏡写真。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、多孔質集電極に対してCrからなるめっき金属層を形成する工程の模式的鳥瞰図。
【図9】図8の多孔質集電極に対してCrからなるめっき金属層を形成する工程に適用する電気めっきの模式的説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Crからなるめっき金属層上にFeからなる触媒金属を形成する工程の模式的鳥瞰図。
【図11】図10のR部分の拡大図。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、Feからなる触媒金属に対してGNF成長する工程の模式的鳥瞰図。
【図13】図12のS部分の拡大図。
【図14】GNF成長工程における温度プロファイルの説明図。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、電極付け工程の説明図。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、一対の成長済みの多孔質集電極をセパレータを挟み組み上げ、電解液を真空中で含浸する工程の模式的断面構造図。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法の一工程を説明する図であって、アルミラミネートフィルムにより包装する工程の模式的断面構造図。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池の模式的断面構造図。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタの模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
なお、以下の説明において、CNTは、カーボンナノファイバ(CNF:Carbon Nano Fiber)と同義のものであるとして用いている。CNTは、七員環若しくは5員環を一部に含み、六員環ネットワークが単層若しくは同軸管状になった炭素原子集団である。
【0019】
また、以下の説明において、CNTは、グラファイトナノチューブ(GNT:Graphite Nano Tube)で置換されていても良い。すなわち、CNTの代わりに、グラッフェンシートの積層構造を備えていても良い。
【0020】
また、同様に、以下の説明において、GNTは、グラファイトナノファイバ(GNF:Graphite Nano Fiber)と同義のものであるとして用いている。
【0021】
以下においては、CNT、CNF、GNT、若しくはGNFなどを総称して、カーボンファイバ、若しくはカーボンナノファイバと呼ぶ。
【0022】
[第1の実施の形態]
(電気二重層キャパシタの電極構造)
本発明の第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2および電気二重層キャパシタ2の電極構造の模式的断面構造は、図1(a)に示すように表され、図1(a)のP部分の拡大は、図1(b)に示すように表される。
【0023】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2の電極構造は、図1(a)および図1(b)に示すように、多孔質集電極10,20と、多孔質集電極10,20のそれぞれの空孔12a,12bの内壁に形成された分極性電極18a,18bとを備える。分極性電極18a,18bは、それぞれの空孔12a,12b内に充填される。
【0024】
ここで、多孔質集電極10,20は、分極性電極18a,18bの析出金属から形成されていても良い。多孔質集電極10,20の多孔質金属が分極性電極18a,18bの析出・成長金属であれば、そのまま、例えば化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により分極性電極18a,18bの析出・成長が可能となるからである。
【0025】
また、空孔12a,12bの内壁にそれぞれ形成されためっき金属層14a,14bと、めっき金属層14a,14b上にそれぞれ形成された触媒金属16a,16bとを備え、分極性電極18a,18bは、それぞれ触媒金属16a,16b上に形成されていても良い。発泡金属からなる多孔質集電極10,20の空孔内壁部でもめっき性が良好となるからである。
【0026】
また、分極性電極18a,18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0027】
また、分極性電極18a,18bは、CVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により、それぞれ空孔12a,12b内に一括形成されていても良い。
【0028】
めっき金属層14a,14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0029】
図1(b)に示すように、空孔12bの最大径をA、分極性電極18bの長さをBと定義する。空孔12aの最大径A、分極性電極18aの長さBも同様に定義することができる。
【0030】
空孔12a,12bのサイズは、約50μm〜600μm程度である。発泡金属からなる多孔質金属は、寸法約50μm〜600μm程度のランダムな空孔を備えるからである。空孔12a,12bは、ランダムな細孔であり、径のサイズも要求に応じて、約50μm〜600μm程度に揃えることができる。コスト面で、メッシュ構造に形成する電極構造よりも低く抑えることができる。
【0031】
空孔12a,12bの最大径Aと、分極性電極18a,18bの長さBとの比は、1/2≦B/A≦1であることが、分極性電極18a,18bによってそれぞれ空孔12a,12bを充填する上で望ましい。発泡金属からなる多孔質金属の最大径Aは、分極性電極の長さBの倍程度であれば、分極性電極によってそれぞれ空孔を充填することができる。尚、空孔12a,12bの形状は楕円形状、円形状など様々である。寸法約50μm〜600μmの範囲でばらついた複数の空孔12a,12bの内、最大径Aとは、最も大きな空孔の最大径に相当する。
【0032】
ここで、発泡金属からなる多孔質集電極10,20の金属材料としては、例えば、Ni、SUS、Cr、Al、Mo、W、Ti、Cuなどを適用することができる。
【0033】
触媒金属16a,16bは、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどで形成することができる。また、多孔質金属が分極性電極18a,18bの析出・成長金属である場合、分極性電極18a,18bの析出・成長金属材料としては、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。
【0034】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造は、単純電極シートと同体積で約5倍(厚さ1mmのシート)の表面積を稼ぐことができる。また、シート内部の空間に活性炭やGNFを充填させることができる。GNFが内部充填されることで、多孔質集電極からGNFが剥がれにくいという利点もある。
【0035】
第1の実施の形態によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタの電極構造を提供することができる。
【0036】
(電気二重層キャパシタ)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2の詳細構造の模式的断面構造は、図2(a)に示すように表され、図2(a)のQ部分の拡大は、図2(b)に示すように表される。図2(b)から明らかなように、第1分極性電極18aは、例えば、グラッフェンシート19が複数積層されたGNF構造を備える。
【0037】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2は、図1〜図2に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔12aの内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔12bの内壁に形成された第2分極性電極18bとを備える。ここで、第1分極性電極18aは、第1空孔12a内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔12b内に充填される。
【0038】
ここで、第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属から形成され、第2多孔質集電極20は、第2分極性電極18bの析出金属から形成されていても良い。第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属がそれぞれ分極性電極18a,18bの析出・成長金属であれば、そのまま、例えばCVD法により分極性電極18a,18bの析出・成長が可能となるからである。
【0039】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aと、第1めっき金属層14a上に形成された第1触媒金属16aと、第2空孔12bの内壁に形成された第2めっき金属層14bと、第2めっき金属層14b上に形成された第2触媒金属16bとを備え、第1分極性電極18aは第1触媒金属16a上に形成され、第2分極性電極18bは第2触媒金属16b上に形成されていても良い。発泡金属からなる第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属の空孔内壁部でもめっき性が良好となるからである。
【0040】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0041】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により、それぞれ空孔12a,12b内に一括形成されていても良い。
【0042】
また、第1めっき金属層14aおよび第2めっき金属層14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0043】
図1(b)に示すように、第2空孔12bの最大径をA、第2分極性電極18bの長さをBと定義する。第1空孔12aの最大径A、第1分極性電極18aの長さBも同様に定義することができる。
【0044】
第1空孔12a,第2空孔12bのサイズは、約50μm〜600μm程度である。発泡金属からなる多孔質金属は、寸法約50μm〜600μm程度のランダムな空孔を備えるからである。第1空孔12a,第2空孔12bは、ランダムな細孔であり、径のサイズも要求に応じて、約50μm〜600μm程度に揃えることができる。
【0045】
第1空孔12a,第2空孔12bの最大径Aと、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの長さBとの比は、1/2≦B/A≦1であることが、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bによってそれぞれ第1空孔12a,第2空孔12bを充填する上で望ましい。発泡金属からなる多孔質金属の最大径Aは、分極性電極の厚さ(長さ)Bの倍程度であれば、分極性電極によってそれぞれ空孔を充填することができる。尚、第1空孔12a,第2空孔12bの形状は楕円形状、円形状など様々である。寸法約50μm〜600μmの範囲でばらついた複数の第1空孔12a,第2空孔12bの内、最大径Aとは、最も大きな空孔の最大径に相当する。
【0046】
ここで、発泡金属からなる第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20の多孔質金属の金属材料としては、例えば、Ni、SUS、Cr、Al、Mo、W、Ti、Cuなどを適用することができる。
【0047】
第1触媒金属16a,第2触媒金属16bの金属材料としては、例えば、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。また、多孔質金属が第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの析出・成長金属である場合、第1分極性電極18a,第2分極性電極18bの析出・成長金属材料としては、例えば、SUS、Fe、Ni、Coなどを適用することができる。
【0048】
(動作原理)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2において、電圧を印加したときの動作は、図3に示すように模式的に表され、電圧を印加せず、負荷を接続したときの動作は、図4に示すように模式的に表される。尚、図3および図4では、セパレータ30を省略して図示している。
第1多孔質集電極10をアノード、第2多孔質集電極20をカソードとして、アノード・カソード間に電源42を、アノードが正電位、カソードが負電位となるように接続すると、第1分極性電極18aとイオン伝導性の電解液40との界面、および第2分極性電極18bとイオン伝導性の電解液40との界面に、それぞれ電気二重層が形成される。形成された電気二重層は、平板型コンデンサの挙動を示す。したがって、図3に示す電気二重層キャパシタ2は、直列に2つのコンデンサが接続された等価回路となる。
【0049】
図3において、第1分極性電極18aとイオン伝導性の電解液40との界面では、カーボンナノファイバからなる第1分極性電極18a内に正(プラス)電荷が誘起され、イオン伝導性の電解液40側に負(マイナス)イオンが誘起される。同様に、第2分極性電極18bとイオン伝導性の電解液40との界面では、カーボンナノファイバからなる第2分極性電極18b内に負(マイナス)電荷が誘起され、イオン伝導性の電解液40側に正(プラス)イオンが誘起される。この状態では、直列に2つのコンデンサが接続された等価回路において、アノードからカソードに向けて、プラス・マイナス・プラス・マイナスの電荷が充電されている。
【0050】
次に、図4に示すように、電源42の代わりに負荷44を第1多孔質集電極10、第2多孔質集電極20間に接続すると、充電されていた電気二重層キャパシタが放電し、負荷44を通して外部電流が導通後、アノード・カソード間は同電位となる。
【0051】
電気二重層キャパシタの充放電機構は、上記のように、正負イオンの分極性電極への物理的な吸脱着である。電気二重層キャパシタは、充放電時に化学反応を伴わないため、急速大電流の充放電が可能であり、広い温度範囲において安定した充放電動作が可能であり、短絡しても故障が起こりにくく、充放電時の制約もなく、半永久的に充放電使用が可能であり、交換の必要もほとんどなく、また、鉛やカドミウムなどの重金属を含まず環境に易しい。
【0052】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、多孔質金属内部表面全体に分極性電極(活性炭、カーボンファイバ)を析出・成長させるための金属をめっきすることにより、CVDプロセス後、多孔質空孔内に分極性電極を満たすことが可能となる。尚、めっき以外にも真空蒸着法、スパッタリング法などを適用することができる。
【0053】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、多孔質金属自身に分極性電極が析出・成長する金属を採用することで、CVDプロセス後に分極性電極を満たすこともでき、
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタ2においては、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能である。
【0054】
第1の実施の形態によれば、めっきを用いたことによって、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくくなり、しかも低抵抗特性が得られる。
【0055】
また、第1の実施の形態によれば、めっきを用いたことによって、CNF、GNFなどを効率よく成長させることができ、空孔内へのCNF、GNFなどの充填を効率良く実施することができる。
【0056】
第1の実施の形態によれば、発泡金属からなる多孔質集電極を用いたことによって、集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する。
【0057】
第1の実施の形態によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上する電気二重層キャパシタを提供することができる。
【0058】
(製造方法)
図5〜図17を参照して、第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法を説明する。
【0059】
(a)まず、図5〜図7に示すように、Ni発泡金属からなる多孔質集電極10(20)を準備する。多孔質集電極10(20)は、無数の空孔12を有する。空孔のサイズは、前述の通り、例えば、約50μm〜600μm程度である。尚、多孔質集電極10(20)には、ステンレスSUSを使用する場合もあることは、前述の通りである。
【0060】
(b)次に、図8に示すように、多孔質集電極10(20)の空孔12にCrからなるめっき金属層14を形成する。Crからなるめっき金属層14を形成する工程に適用する電気めっきは、図9に示すように、めっき槽24にめっき用電解液22を充填し、陰極に発泡金属からなる多孔質集電極10(20)、陽極にめっき素材電極8を配置する。めっき素材電極8としては、Crめっき素材を用いる。尚、他のめっき素材としては、例えば、カーボン、Ptなどを適用することができる。めっきは図9に示す電気めっきの他に、無電解めっきを用いても良い。尚、多孔質集電極10(20)に、ステンレスSUSを使用する場合には、めっき金属層14を形成する必要はない。
【0061】
(c)次に、図10〜図11に示すように、Crからなるめっき金属層14上に触媒金属16を形成する。触媒金属16も図9と同様に、めっきによって形成する。触媒金属16としては、Fe、Ni、Coなどの単一触媒または合金触媒を適用することができる。上記同様に電気めっきまたは無電界めっきで被覆することができる。めっき金属層14は、核状または平坦な触媒膜として形成される。尚、多孔質集電極10(20)にステンレスSUSを使用する場合は、触媒金属16を形成する必要はない。
【0062】
―めっき工程―
ここで、めっき素材電極8に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きいCrなどの金属を使用する。めっき用電解液22中に溶けた金属イオンが、多孔質集電極10(20)からなる陰極に優先的に析出されないようにするためである。
【0063】
イオン化傾向は、K>Na>Sr>Ca>Mg>Al>Ce>Cr>Mn>Zn>Cd>Fe>Co>Ni>Sn>Pb>(H)>Ge>In>Sb>Bi>Cu>Hg>Ag>Pt>Au>Si>Ti>C>W>Mo>Seで表される。
【0064】
したがって、めっき素材電極8に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きい、例えば、Mg、Al、Ce、Cr、Mn、Zn、Cdなどの金属材料を適用すると良い。
【0065】
めっき用電解液22に溶かし込む触媒金属塩としては、例えば、Feイオンであるならば、FeCl2・4H2O,FeCl3・6H2O,Fe(SO4)・7H2O,Fe(NH4)2(SO4)・6H2Oなどを用いることができる。Coイオンであるならば、CoSO4・7H2O,CuSO4(NH)2 ・6H2O,CoCl2・6H2Oなどを用いることができる。Niイオンあるならば、NiO,NiSO4・7H2O,NiCl2・6H2O,NiSO4(NH4) SO4・6H2Oなどを用いることができる。なお、塩化物を含む触媒金属塩は、めっき素材電極8において塩素ガスを放出する点に留意する必要がある。
【0066】
(d)次に、図12〜図13に示すように、触媒金属16上にGNFを成長させる。カーボン原料ガスと還元ガスにより熱CVD、プラズマCVDなどを用いてGNFを成長させることができる。GNF成長によって空孔12を充填する。
【0067】
―GNFの成長工程―
メッキ後の多孔質集電極10(20)に対してアセトン、アルコール洗浄を行い、残留メッキイオン成分を取り除く。GNFの気相成長装置としては、例えば、熱CVD装置、或いはプラズマCVD装置、リモートプラズマCVD装置などを使用することができる。カーボン原料ガスとしては、例えば、CH4,C2H2,CO,メタノール,エタノールなどを用いる。還元ガスとしては、例えば、Ar,H2,Heなどを用いる。
【0068】
成長温度は、例えば、約300℃〜650℃程度の範囲である。成長時間は、例えば、約5分〜120分程度である。成長時間は、成長温度、ガス種、触媒によって多種多様である。
【0069】
GNF成長工程における温度プロファイルは、図14に示すように表される。
【0070】
GNF成長工程においては、触媒金属16に対して、事前酸化を実施しても良い。
【0071】
(i)まず、図14に示すように、時刻t1から時刻t2において、成長温度Tを室温RTからT1まで上昇する。T1は、約300℃〜500℃程度である。
【0072】
(ii)次に、時刻t2から時刻t3において、酸素(O2)若しくは空気(Air)の導入によって、触媒金属16の表面を事前酸化する。事前酸化工程は、例えば約450℃で、10分〜20分程度実施する。これによって、触媒金属16の表面部分が酸化され、触媒金属16を活性化することができる。
【0073】
(iii)次に、時刻t3から時刻t4において、成長温度Tを室温T1からRTまで下降させる。
【0074】
(iv)次に、時刻t5から時刻t6において、成長温度Tを室温RTからT2まで上昇する。T2は、約500℃〜650℃程度である。
【0075】
(v)次に、時刻t6から時刻t7において、原料ガスCO/H2、C2H2の導入によって、約500℃〜650℃程度で加熱し、触媒金属16の表面にGNFを成長させる。一例として、成長時間は、約580℃で、10分〜30分程度である。上記事前酸化工程、GNFの成長工程の温度条件は、一例である。また、GNFの成長温度は、約600℃以下である。この温度条件によって、垂直配向のGNFの成長が確認されている。
【0076】
ここでは、酸化した触媒金属(Fe,Ni,Co)からはGNFが成長するという選択性を利用している。例えば、Fe2O3, FeO, NiO, Co2O3, CoOが還元されて、結果として、触媒金属が酸化されていたとしても、Fe, Co, Niが生じることで、酸化した触媒金属からは、GNFが成長する。
【0077】
(vi)次に、時刻t7から時刻t8において、成長温度Tを室温T2からRTまで下降させる。
【0078】
(e)次に、図15に示すように、多孔質集電極10に対して電極付けを行う。図15の例では、多孔質集電極10に対してアノード引き出し電極36を電極付けし、同様に、多孔質集電極20に対してカソード引き出し電極38を電極付けする。このような電極付けの工程は、例えば、超音波溶接、半田付けなどにより行うことができる。アノード引き出し電極36およびカソード引き出し電極38は、例えば、Ni、Al、ステンレスなどで形成することができる。なお、図15では、詳細構造を省略しているが、図12に示されたGNF成長済みの多孔質集電極10,20を使用している。
【0079】
(f)次に、図16に示すように、一対の多孔質集電極10、20をセパレータ30を挟み組み上げ、電解液(40)を真空中で含浸する。ここで、セパレータ30は、セルロース、ポリエチレンなどで形成することができる。また、テープなどで形成された保持部32により多孔質集電極10、20とセパレータ30を保持する。組み上げたセパレータ30と多孔質集電極10、20に電解液(40)を真空中で含浸する理由は、脱泡のためである。
【0080】
(g)次に、図17に示すように、アルミラミネートフィルム34により包装することによって、電気二重層キャパシタ2を完成する。電気二重層キャパシタ2の全体構造は、アルミラミネートフィルム包装以外に、巻形形状、コイル形状であっても良い。
【0081】
(燃料電池)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池4の模式的断面構造は、図18に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置された第2多孔質集電極20と、第1多孔質集電極10と第2多孔質集電極20間に配置された電解質46と、第1多孔質集電極10の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極18aと、第2多孔質集電極20の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極18bと、第1多孔質集電極10と電解質46との間に配置され、第1分極性電極18aを収容する水素導入部58と、第2多孔質集電極20と電解質46との間に配置され、第2分極性電極18bを収容する酸素導入部60とを備える。ここで、第1分極性電極18aは、第1空孔内に充填され、第2分極性電極18bは、第2空孔内に充填される。尚、ここで、第1多孔質集電極10の第1空孔12aおよび第2多孔質集電極20の第2空孔12bは、図1と同様に表される。
【0082】
前記第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属からなり、第2多孔質集電極20は、第2分極性電極18bの析出金属から形成されていても良い。
【0083】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aと、第2空孔12bの内壁に形成された第2めっき金属層14bとを備え、第1分極性電極18aは第1めっき金属層14a上に形成され、第2分極性電極18bは第2めっき金属層14b上に形成されていても良い。
【0084】
また、第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0085】
第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されていても良い。
【0086】
第1めっき金属層14aおよび第2めっき金属層14bは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0087】
電解質46は、イオン交換膜、リン酸、ジルコニア、炭酸リチウムなどで形成可能である。第1分極性電極18aおよび第2分極性電極18bを形成するカーボンナノファイバに白金(Pt)を担持させることによって、H2、O2の分解反応を促進させることができる。H2、O2の吸蔵が、カーボンナノファイバの構造により、良好となる。特に、カーボンナノファイバをGNFで形成した場合、GNFのグラッフェンシート間に、H2、O2ガスが入りやすい。
【0088】
第1多孔質集電極10および第2多孔質集電極20を発泡金属で形成する点は、前述の電気二重層キャパシタと同様である。
【0089】
第1多孔質集電極10をアノード(正極)、第2多孔質集電極20をカソード(負極)とし、アノード・カソード間に負荷48を接続することで、起電力を取り出すことができる。
【0090】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池4の全体構造は、アノード(正極)とカソード(負極)を複数層重ねるバッテリー型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせたコイン型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせアルミラミネートフィルムにより包装したパウチ型形状などを適用可能である。
【0091】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成された燃料電池によれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上するため、蓄電能力を向上することができる。
【0092】
(リチウムイオンキャパシタ)
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6の模式的断面構造は。図19に示すように、第1多孔質集電極10と、第1多孔質集電極10に対向して配置され、リチウムイオンLi+をドーピングした炭素電極50と、第1多孔質集電極10と炭素電極50間に配置された電解液40と、電解液40中に配置され、第1多孔質集電極10と炭素電極50間を分離するセパレータ30と、第1多孔質集電極10の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極18aとを備える。第1分極性電極18aは、第1空孔内に充填される。尚、ここで、第1多孔質集電極10の第1空孔12aは、図1と同様に表される。また、炭素電極50に積層された第2多孔質集電極20を備えていても良い。
【0093】
前記第1多孔質集電極10は、第1分極性電極18aの析出金属から形成されていても良い。
【0094】
また、第1空孔12aの内壁に形成された第1めっき金属層14aを備え、第1分極性電極18aは第1めっき金属層14a上に形成されていても良い。
【0095】
また、第1分極性電極18aは、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成される。
【0096】
第1分極性電極18aは、例えばCVD法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されていても良い。
【0097】
第1めっき金属層14aは、電界めっきにより形成されていても良い。
【0098】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6において、アノード(正極)側の電解液40中では、陰イオンが移動し、カソード(負極)側の電解液40中では、リチウムイオンLi+が移動する。
【0099】
第1多孔質集電極10をアノード(正極)、炭素電極50に接続された第2多孔質集電極20をカソード(負極)とし、アノード・カソード間に負荷52を接続することで、起電力を取り出すことができる。
【0100】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタ6の全体構造は、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせたコイン型形状、アノード(正極)とカソード(負極)を向かい合わせアルミラミネートフィルムにより包装したパウチ型形状などを適用可能である。
【0101】
第1の実施の形態に係る電気二重層キャパシタの電極構造を適用して形成されたリチウムイオンキャパシタによれば、容易に多孔質集電極空孔内を分極性電極で充填可能であり、電気的なコンタクトを取る集電極と分極性電極の密着性が向上し、剥がれにくく、低抵抗特性が得られ、かつ集電極体積当りの分極性電極の占有する体積が向上するため、蓄電能力を向上することができる。
【0102】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0103】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の電気二重層キャパシタおよびその電極構造は、燃料電池およびその電極構造、リチウムイオンキャパシタおよびその電極構造のみならず、Liイオン電池およびその電極構造、2次電池およびその電極構造、ガスセンサ用吸収剤、触媒用途など幅広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
2…電気二重層キャパシタ
4…燃料電池
6…リチウムイオンキャパシタ
8…めっき素材電極
10、20…多孔質集電電極
12、12a、12b…空孔
14、14a、14b…めっき金属層
16、16a、16b…触媒金属
18、18a、18b…分極性電極
19…グラッフェンシート
22…めっき用電解液
24…めっき槽
30…セパレータ
32…保持部
34…ラミネートフィルム
36、38…引き出し電極
40…電解液
42…電源
44、48、52…負荷
46…電解質
50…炭素電極
58…水素(H2)導入部
60…酸素(O2)導入部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質集電極と、
前記多孔質集電極の空孔の内壁に形成された分極性電極と
を備え、前記分極性電極は、前記空孔内に充填されることを特徴とする電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項2】
前記多孔質集電極は、前記分極性電極の析出金属からなることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項3】
前記空孔の内壁に形成されためっき金属層と、前記めっき金属層上に形成された触媒金属とを備え、前記分極性電極は、前記触媒金属上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項4】
前記分極性電極は、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項5】
前記分極性電極は、化学的気相堆積法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されることを特徴とする請求項2に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項6】
前記めっき金属層は、電界めっきにより形成されることを特徴とする請求項3に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項7】
前記空孔の最大径をAとし、前記分極性電極の長さをBとし、1/2≦B/A≦1であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項8】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解液と、
前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間を分離するセパレータと、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、
前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填されることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項9】
前記第1多孔質集電極は、前記第1分極性電極の析出金属からなり、前記第2多孔質集電極は、前記第2分極性電極の析出金属からなることを特徴とする請求項8に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項10】
前記第1空孔の内壁に形成された第1めっき金属層と、前記第1めっき金属層上に形成された第1触媒金属と、前記第2空孔の内壁に形成された第2めっき金属層と、前記第2めっき金属層上に形成された第2触媒金属とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1触媒金属上に形成され、前記第2分極性電極は、前記第2触媒金属上に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項11】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解質と、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、
前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と、
前記第1多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第1分極性電極を収容する水素導入部と、
前記第2多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第2分極性電極を収容する酸素導入部と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填されることを特徴とする燃料電池。
【請求項12】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置され、リチウムイオンをドーピングした炭素電極と、
前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間に配置された電解液と、
前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間を分離するセパレータと、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填されることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【請求項13】
前記第1分極性電極は、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成されることを特徴とする請求項12に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項1】
多孔質集電極と、
前記多孔質集電極の空孔の内壁に形成された分極性電極と
を備え、前記分極性電極は、前記空孔内に充填されることを特徴とする電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項2】
前記多孔質集電極は、前記分極性電極の析出金属からなることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項3】
前記空孔の内壁に形成されためっき金属層と、前記めっき金属層上に形成された触媒金属とを備え、前記分極性電極は、前記触媒金属上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項4】
前記分極性電極は、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項5】
前記分極性電極は、化学的気相堆積法により形成されたカーボンナノファイバの析出により一括形成されることを特徴とする請求項2に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項6】
前記めっき金属層は、電界めっきにより形成されることを特徴とする請求項3に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項7】
前記空孔の最大径をAとし、前記分極性電極の長さをBとし、1/2≦B/A≦1であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの電極構造。
【請求項8】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解液と、
前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間を分離するセパレータと、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、
前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填されることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【請求項9】
前記第1多孔質集電極は、前記第1分極性電極の析出金属からなり、前記第2多孔質集電極は、前記第2分極性電極の析出金属からなることを特徴とする請求項8に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項10】
前記第1空孔の内壁に形成された第1めっき金属層と、前記第1めっき金属層上に形成された第1触媒金属と、前記第2空孔の内壁に形成された第2めっき金属層と、前記第2めっき金属層上に形成された第2触媒金属とを備え、前記第1分極性電極は、前記第1触媒金属上に形成され、前記第2分極性電極は、前記第2触媒金属上に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項11】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置された第2多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極と前記第2多孔質集電極間に配置された電解質と、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と、
前記第2多孔質集電極の第2空孔の内壁に形成された第2分極性電極と、
前記第1多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第1分極性電極を収容する水素導入部と、
前記第2多孔質集電極と前記電解質との間に配置され、前記第2分極性電極を収容する酸素導入部と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填され、前記第2分極性電極は、前記第2空孔内に充填されることを特徴とする燃料電池。
【請求項12】
第1多孔質集電極と、
前記第1多孔質集電極に対向して配置され、リチウムイオンをドーピングした炭素電極と、
前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間に配置された電解液と、
前記電解液中に配置され、前記第1多孔質集電極と前記炭素電極間を分離するセパレータと、
前記第1多孔質集電極の第1空孔の内壁に形成された第1分極性電極と
を備え、前記第1分極性電極は、前記第1空孔内に充填されることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【請求項13】
前記第1分極性電極は、活性炭若しくはカーボンナノファイバで形成されることを特徴とする請求項12に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−129560(P2011−129560A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283853(P2009−283853)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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