電気光学装置および電子機器
【課題】右眼用画像と左眼用画像との混在が観察者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させる。
【解決手段】各制御期間T(T1,T2)は右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとで構成される。駆動回路40は、右眼用表示期間PR内の3個の単位期間Uの各々で右眼用画像GRに応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給し、左眼用表示期間PL内の3個の単位期間Uの各々で左眼用画像GLに応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。駆動回路40は、各表示期間P(PR,PL)内の先頭から2個の単位期間Uにてオーバードライブを実行し、各表示期間P内の先頭から2個の単位期間Uでの各画素PIXの印加電圧の極性を、制御期間T1の右眼用表示期間PRと制御期間T2の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定し、制御期間T1の左眼用表示期間PLと制御期間T2の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定する。
【解決手段】各制御期間T(T1,T2)は右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとで構成される。駆動回路40は、右眼用表示期間PR内の3個の単位期間Uの各々で右眼用画像GRに応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給し、左眼用表示期間PL内の3個の単位期間Uの各々で左眼用画像GLに応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。駆動回路40は、各表示期間P(PR,PL)内の先頭から2個の単位期間Uにてオーバードライブを実行し、各表示期間P内の先頭から2個の単位期間Uでの各画素PIXの印加電圧の極性を、制御期間T1の右眼用表示期間PRと制御期間T2の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定し、制御期間T1の左眼用表示期間PLと制御期間T2の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼用画像とを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立体視方法が従来から提案されている。右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間では右眼用画像と左眼用画像とが混在するから、観察者が画像を視認すると明確な立体感を認識することが困難となる(クロストーク)。以上の問題を解決するために、例えば特許文献1には、右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間(すなわち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間)において立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態として観察者に画像を視認させない技術が開示されている。
【0003】
図11に示すように、右眼用画像の表示期間PRと左眼用画像の表示期間PLとが交互に設定される。各表示期間P(PR,PL)は単位期間U1と単位期間U2とに区分される。表示期間PR内の単位期間U1では表示画像が左眼用画像から右眼用画像に更新されるとともに直後の単位期間U2では右眼用画像が表示され、表示期間PL内の単位期間U1では表示画像が右眼用画像から左眼用画像に更新されるとともに直後の単位期間U2では左眼用画像が表示される。各表示期間Pの単位期間U1では、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方が閉状態に制御される。したがって、右眼用画像と左眼用画像との混在は観察者に知覚されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術のもとでは、観察者が実際に画像を視認できる期間が、各表示期間Pの約半分(単位期間U2)に制限される。したがって、表示画像の明度を充分に確保することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、右眼用画像と左眼用画像との混在が観察者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、印加電圧に応じた階調を表示する複数の画素と、右眼用画像の各表示期間内のK個(Kは3以上の自然数)の単位期間の各々において右眼用画像の指定階調に応じた階調電位を複数の画素に供給し、左眼用画像の各表示期間内のK個の単位期間の各々において左眼用画像の指定階調に応じた階調電位を複数の画素に供給する駆動回路とを具備する。
【0007】
以上の構成では、各表示期間内の3個以上の単位期間の各々において指定階調に応じた階調電位が各画素に供給されるから、各表示期間が2個の単位期間Uで構成される特許文献1の技術と比較して、表示期間のうち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間(すなわち、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御する期間)の時間比率が低下する。したがって、各表示期間の時間長(フレームレート)を特許文献1の技術と同等とすれば、各表示期間のうち右眼用シャッターまたは左眼用シャッターが開状態に維持される時間を特許文献1の技術と比較して長時間に設定し、観察者が認識する表示画像の明度を特許文献1と比較して向上することが可能である。
【0008】
本発明の第1態様において、駆動回路は、各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、表示期間内のKA個の単位期間にて各画素に印加する電圧の極性を、右眼用画像の表示期間と左眼用画像の表示期間とを各々が含む複数の制御期間のうちの第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と第1制御期間とは相違する第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定し、かつ、第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定する。例えば各表示期間が3個の単位期間を含む構成(例えば後述の第1実施形態)では、駆動回路は、相前後する2個の単位期間を単位として各画素の印加電圧の極性を反転させる。
【0009】
第1態様では、各表示期間のうち先頭からKA個にわたる単位期間にてオーバードライブ(過電圧駆動)が実行されるから、表示画像を右眼用画像および左眼用画像の一方から他方に迅速に更新することが可能である。また、駆動回路がオーバードライブを実行するKA個の単位期間にて各画素に印加される電圧の極性が、第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定され、第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定される。したがって、各画素に印加される電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制され、直流成分の印加に起因した各画素の特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0010】
本発明の第2態様において、駆動回路は、各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKB(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、各表示期間にて各画素に印加される電圧の極性を、各表示期間内のKB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性に設定する。以上の態様では、各表示期間のうち先頭からKB個にわたる単位期間にてオーバードライブ(過電圧駆動)が実行されるから、表示画像を右眼用画像および左眼用画像の一方から他方に迅速に更新することが可能である。また、駆動回路がオーバードライブを実行するKB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性の電圧が各画素に印加されるから、各画素に印加される電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制され、直流成分の印加に起因した各画素の特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0011】
第2態様のうち各表示期間が3個または4個の単位期間を含む構成(例えば後述の第2実施形態や第4実施形態)では、駆動回路は、各単位期間を単位として各画素の印加電圧の極性を反転させる。以上の態様では、各画素の印加電圧の極性が単位期間毎に反転するから、極性差に起因した表示階調の変動(フリッカ)が知覚され難いという利点がある。また、第2態様のうち各表示期間が4個の単位期間を含む構成(例えば後述の第3実施形態)では、駆動回路が、各画素の印加電圧の極性を、各表示期間の第1番目の単位期間と第4番目の単位期間とにおいて第1極性に設定し、各表示期間の第2番目の単位期間と第3番目の単位期間とにおいて第1極性とは逆の第2極性に設定することも可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
各表示期間のうち第1番目の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御し、右眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターを開状態に制御するとともに左眼用シャッターを閉状態に制御し、左眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて左眼用シャッターを開状態に制御するとともに右眼用シャッターを閉状態に制御する眼鏡制御回路を具備する。
【0013】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備する立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】第1実施形態の動作の説明図である。
【図4】第1実施形態の変形例の動作の説明図である。
【図5】第2実施形態の動作の説明図である。
【図6】第3実施形態の動作の説明図である。
【図7】第4実施形態の動作の説明図である。
【図8】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図9】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図10】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図11】従来の技術における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッター方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。電気光学装置10は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割で交互に表示する。
【0016】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させることで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0017】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光学パネル12は、複数の画素(画素回路)PIXが配列された画素部30と、各画素PIXを駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自然数)。画素部30内の複数の画素PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配列される。
【0018】
図2は、各画素PIXの回路図である。図2に示すように、各画素PIXは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相互に対向する画素電極62および共通電極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成され、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制御する。したがって、画素PIX(液晶素子CL)は、選択スイッチSWがオン状態に制御されたときの信号線34の電位(後述の階調電位X[n])に応じた階調を表示する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0019】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144とを具備する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを単体の集積回路に搭載した構成や、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを別体の集積回路に分散した構成が採用され得る。表示制御回路142は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとが時分割で画素部30に表示されるように駆動回路40を制御する。
【0020】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。図3に示すように、電気光学装置10の動作期間は、複数の制御期間T(T1,T2)に区分される。制御期間T1と制御期間T2とは時間軸上で交互に配列する。各制御期間T(T1,T2)は、所定長の2個の表示期間P(右眼用表示期間PRおよび左眼用表示期間PL)に区分される。右眼用表示期間PRでは画素部30に右眼用画像GRが表示され、左眼用表示期間PLでは画素部30に左眼用画像GLが表示される。右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとは時間軸上で交互に配列する。すなわち、相前後する右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとで1個の制御期間Tが構成される。各表示期間P(PR,PL)は、相等しい時間長の3個の単位期間U(U1〜U3)に区分される。単位期間U2は単位期間U1に後続し、単位期間U3は単位期間U2に後続する。
【0021】
図1の駆動回路40は、外部回路から供給される画像信号が各画素PIXに指定する階調(以下「指定階調」という)に応じた階調電位X[n](n=1〜N)を各画素PIXに供給する回路であり、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。
【0022】
走査線駆動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給でM本の走査線32の各々を順次に選択する。第m行(m=1〜M)の走査線32に供給される走査信号Y[m]は、各単位期間U内のM個の選択期間(水平走査期間)のうち第m番目の選択期間にて選択電位(走査線32の選択を意味する電位)に設定される。走査線32が走査信号Y[m]を選択電位に設定すると、第m行に属するN個の画素PIXの各選択スイッチSWがオン状態に遷移する。
【0023】
図1の信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による各走査線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調電位X[1]〜X[N]を供給する。右眼用表示期間PRの各単位期間Uのうち第m行の走査線32が選択される選択期間にて第n列目の信号線34に供給される階調電位X[n]は、右眼用画像GRのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。同様に、左眼用表示期間PLの各単位期間Uのうち第m番目の選択期間では、階調電位X[n]は、左眼用画像GLのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。
【0024】
すなわち、右眼用表示期間PRでは、右眼用画像GRに応じた階調電位X[n]が単位期間U毎に各画素PIXに供給されることで各単位期間Uにて右眼用画像GRが画素部30に表示され、左眼用表示期間PLでは、左眼用画像GLに応じた階調電位X[n]が単位期間U毎に各画素PIXに供給されることで各単位期間Uにて左眼用画像GLが画素部30に表示される。
【0025】
ところで、各表示期間Pの最初の単位期間U1では、表示画像が右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方から他方に更新されるから、直前の単位期間Uと同等の画像を表示する単位期間U2や単位期間U3と比較して液晶素子CLの液晶66の配向状態を大きく変化させる必要がある。そこで、第1実施形態の駆動回路40(信号線駆動回路44)は、図3に示すように、指定階調に応じた目標電圧を上回る過電圧を各画素PIXの液晶素子CLに印加するオーバードライブ(過電圧駆動)を各表示期間P(PR,PL)の単位期間U1にて実行する。単位期間U2および単位期間U3ではオーバードライブは実行されない。
【0026】
また、駆動回路40(信号線駆動回路44)は、各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧の極性が周期的に反転するように所定の基準電位に対する各階調電位X[n]の極性を順次に反転させる。第1実施形態では、図3に示すように、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転する。例えば図3の制御期間T1では、右眼用表示期間PRの単位期間U1および単位期間U2にて階調電位X[n]が正極性(+)に設定され、右眼用表示期間PRの単位期間U3と直後の左眼用表示期間PLの単位期間U1とで階調電位X[n]が負極性(-)に設定される。
【0027】
したがって、各表示期間Pのうちオーバードライブが実行される単位期間U1での階調電位X[n]の極性は、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性となり、かつ、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性となる。例えば、右眼用表示期間PR内の単位期間U1における階調電位X[n]の極性は、制御期間T1内では正極性に設定されるのに対して制御期間T2では負極性に設定され、左眼用表示期間PL内の単位期間U1における階調電位X[n]の極性は、制御期間T1では負極性に設定されるのに対して制御期間T2では正極性に設定される。
【0028】
相前後する各制御期間Tの右眼用表示期間PRの単位期間U1にて階調電位X[n]を同極性に設定した場合、各右眼用表示期間PRの単位期間U1におけるオーバードライブで液晶素子CLに印加される過電圧の極性に偏りが発生し、結果的に液晶素子CLに直流成分が印加される可能性がある。第1実施形態では、右眼用表示期間PRのうちオーバードライブが実行される単位期間U1内の階調電位X[n]が制御期間T1と制御期間T2とで逆極性に設定されるから、例えば制御期間T1内の右眼用表示期間PRの単位期間U1における正極性の過電圧の影響と制御期間T2内の右眼用表示期間PRの単位期間U1における負極性の過電圧の影響とが相殺される。左眼用表示期間PLについても同様である。以上に説明したように、第1実施形態によれば、液晶素子CLに対する印加電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制されるから、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化が有効に防止され、装置の信頼性を向上することが可能である。
【0029】
図1の制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の動作に同期して制御する。具体的には、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、各表示期間P内の単位期間U1にて右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に制御する。また、眼鏡制御回路144は、右眼用表示期間PR内の単位期間U2および単位期間U3において右眼用シャッター22を開状態に制御するとともに左眼用シャッター24を閉状態に制御し、左眼用表示期間PL内の単位期間U2および単位期間U3において左眼用シャッター24を開状態に制御するとともに右眼用シャッター22を閉状態に制御する。
【0030】
したがって、右眼用表示期間PRのうち単位期間U2および単位期間U3にて画素部30に表示される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するとともに左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2および単位期間U3にて画素部30に表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター22を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0031】
ところで、右眼用表示期間PR内の単位期間U1では、直前の左眼用表示期間PL(単位期間U3)で表示された左眼用画像GLが行単位で順次に右眼用画像GRに更新され、左眼用表示期間PLの単位期間U1では、直前の右眼用表示期間PR(単位期間U3)で表示された右眼用画像GRが行単位で順次に左眼用画像GLに更新される。すなわち、各表示期間P内の単位期間U1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。第1実施形態では、図3を参照して説明した通り、各表示期間Pの単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離されるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0032】
以上に説明した第1実施形態では、各表示期間Pが3個の単位期間U1〜U3で構成されて各単位期間Uにて画像(右眼用画像GR,左眼用画像GL)が表示されるから、各表示期間Pが2個の単位期間Uで構成される特許文献1の技術と比較して、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間(すなわち右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に維持すべき期間)の時間比率が低下する。したがって、各表示期間Pの時間長(フレームレート)が特許文献1の技術とで同等であるならば、第1実施形態では、表示期間Pのうち右眼用シャッター22または左眼用シャッター24が開状態に維持される時間を特許文献1の技術と比較して長時間に設定できる。すなわち、第1実施形態によれば、観察者が認識する表示画像の明度を特許文献1と比較して向上することが可能である。
【0033】
なお、各表示期間Pの単位期間U1における階調電位X[n]の極性を制御期間T1と制御期間T2とで逆極性に設定する構成としては、例えば、制御期間Tを単位として階調電位X[n]の極性を反転させる構成(以下「構成A」という)も想定され得る。例えば、構成Aでは、制御期間T1内の6個の単位期間U(右眼用表示期間PRの3個の単位期間U1〜U3および左眼用表示期間PLの3個の単位期間U1〜U3)にわたり階調電位X[n]が正極性に設定され、制御期間T2内の6個の単位期間Uにわたり階調電位X[n]が負極性に設定される。
【0034】
ところで、指定階調が共通する場合でも、階調電位X[n]が正極性に設定された場合と負極性に設定された場合とでは、液晶素子CLに対する印加電圧(各画素PIXの表示階調)が相違する場合がある。階調電位X[n]の極性の反転周期が長い構成Aでは、階調電位X[n]の極性差に起因した表示階調の変動(すなわちフリッカ)が観察者に知覚され易いという問題がある。第1実施形態では、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧の極性が、制御期間T(例えば1/60秒)よりも短い時間を周期として反転するから、構成Aと比較して、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが観察者に知覚され難いという利点がある。
【0035】
なお、第1実施形態では各表示期間P内の1個の単位期間U1にてオーバードライブを実行したが、表示期間P内の複数の単位期間Uのうち先頭から2個以上の単位期間にわたりオーバードライブを実行する構成も採用される。例えば図4に示すように、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2とでオーバードライブを実行することが可能である。図4の形態でも、駆動回路40がオーバードライブを実行する単位期間U1および単位期間U2での階調電位X[n](各画素PIXの印加電圧)は、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定され、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定される。
【0036】
各表示期間Pを構成する単位期間U2の個数や各表示期間P内でオーバードライブを実行する単位期間Uの個数は適宜に変更される。各表示期間PがK個(Kは3以上の自然数)の単位期間Uで構成され、各表示期間P内のK個の単位期間Uのうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行する場合を想定すると、駆動回路40は、各表示期間P内のKA個の単位期間Uにて各画素PIXに印加する電圧の極性を、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定し、かつ、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定する要素として包括される。図3に例示した第1実施形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KAを1個に設定した形態であり、図4に例示した形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KAを2個に設定した形態である。以上のようにオーバードライブを実行する構成によれば、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)を有効に防止することが可能である。
【0037】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0038】
図5は、第2実施形態の動作の説明図である。図5に示すように、第2実施形態の駆動回路40は、各表示期間P(PR,PL)の3個の単位期間U1〜U3の各々において指定階調に応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。したがって、第1実施形態と同様に、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間の時間比率が低下し、観察者が認識する表示画像の明度が特許文献1と比較して向上する。第2実施形態の駆動回路40は、図4に例示した形態と同様に、各表示期間P内の3個の単位期間U1〜U3のうち先頭から2個の単位期間U1および単位期間U2にてオーバードライブを実行する。なお、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の開閉動作は第1実施形態と同様である。
【0039】
また、駆動回路40は、階調電位X[n]の極性を1個の単位期間U毎に順次に反転させる。具体的には、駆動回路40は、右眼用表示期間PRの単位期間U1および単位期間U3と左眼用表示期間PLの単位期間U2とで階調電位X[n]を正極性に設定し、右眼用表示期間PRの単位期間U2と左眼用表示期間PLの単位期間U1および単位期間U3とで階調電位X[n]を負極性に設定する。したがって、図5に示すように、各表示期間Pにおいてオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とでは各画素PIXの液晶素子CLに対して相互に逆極性の電圧が印加される。
【0040】
第2実施形態では、各表示期間P内でオーバードライブが実行される単位期間U1と単位期間U2とで階調電位X[n]が逆極性に設定されるから、例えば右眼用表示期間PRの単位期間U1内における正極性の過電圧の影響と直後の単位期間U2内における負極性の過電圧の影響とが相殺される。したがって、第2実施形態でも、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏りが抑制され、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を防止できるという利点がある。
【0041】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態の動作の説明図である。図6に示すように、各表示期間P(PR,PL)は、相等しい時間長の4個の単位期間U1〜U4に区分される。駆動回路40は、4個の単位期間U1〜U4の各々において、各画素PIXの指定階調に応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。したがって、第1実施形態と同様に、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間の時間比率が低下し、観察者が認識する表示画像の明度が特許文献1と比較して向上する。
【0042】
各表示期間P内の最初の単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される。右眼用表示期間PRのうち単位期間U2以降の単位期間U(U2〜U4)では右眼用シャッター22が開状態に制御されるとともに左眼用シャッター24が閉状態に制御され、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2以降の単位期間U(U2〜U4)では左眼用シャッター24が開状態に制御されるとともに右眼用シャッター22が閉状態に制御される。
【0043】
図6に示すように、駆動回路40は、各表示期間P内の4個の単位期間U1〜U4のうち先頭から2個の単位期間U1および単位期間U2にてオーバードライブを実行する。また、駆動回路40は、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性を順次に反転させる。具体的には、駆動回路40は、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2との間、および、各表示期間P内の単位期間U3と単位期間U4との間を極性反転の境界として階調電位X[n]の極性を反転させる。すなわち、各表示期間P(PR,PL)内の単位期間U1および単位期間U4にて階調電位X[n]は正極性に設定され、各表示期間P内の単位期間U2および単位期間U3にて階調電位X[n]は負極性に設定される。
【0044】
以上に説明したように、第3実施形態では、各表示期間Pのうちオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とにおいて各画素PIXの液晶素子CLに逆極性の電圧が印加される。したがって、第2実施形態と同様に、各表示期間Pの単位期間U1における正極性の過電圧の影響と直後の単位期間U2内における負極性の過電圧の影響とが相殺され、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を防止することが可能である。
【0045】
また、第3実施形態では、表示期間P内で階調電位X[n]が正極性に設定される時間長(単位期間U1,単位期間U4)と階調電位X[n]が負極性に設定される時間長(単位期間U2,単位期間U3)とが相等しい。したがって、階調電位X[n]の正極性の時間長と負極性の時間長とが各表示期間P内で相違する構成(例えば第2実施形態)と比較して、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏りを有効に抑制できるという利点がある。
【0046】
第3実施形態では、各表示期間Pが4個の単位期間U1〜U4で構成されるとともに2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、各表示期間Pが3個の単位期間U1〜U3で構成されて2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される第1実施形態と比較して短い周期で階調電位X[n]の極性が反転される。したがって、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが観察者に知覚され難いという利点もある。
【0047】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態の動作の説明図である。第4実施形態では、第3実施形態と同様に、各表示期間P(PR,PL)が4個の単位期間U1〜U4で構成され、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2にて駆動回路40はオーバードライブを実行する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の開閉動作は第3実施形態と同様である。
【0048】
駆動回路40は、階調電位X[n]の極性を1個の単位期間U毎に順次に反転させる。具体的には、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U3にて階調電位X[n]は正極性に設定され、各表示期間P内の単位期間U2および単位期間U4にて階調電位X[n]は負極性に設定される。したがって、第3実施形態と同様に、各表示期間Pのうちオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とでは各画素PIXの液晶素子CLに対して相互に逆極性の電圧が印加される。
【0049】
したがって、第4実施形態においても第3実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態では単位期間U毎に階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性を反転させる第3実施形態と比較して短い周期で階調電位X[n]の極性が反転される。したがって、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが第3実施形態と比較して知覚され難いという利点がある。
【0050】
なお、第2実施形態から第4実施形態では、各表示期間P内の単位期間Uの個数や各表示期間P内でオーバードライブを実行する単位期間Uの個数は適宜に変更される。すなわち、第2実施形態から第4実施形態の構成は、各表示期間P内のK個の単位期間Uのうち先頭からKB個(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間Uにてオーバードライブを実行し、各表示期間Pにて各画素PIXに印加される電圧の極性を、各表示期間P内の先頭からKB個にわたる単位期間Uのうち半数(KB/2個)の単位期間と残余の半数(KB/2個)の単位期間Uとで逆極性に設定する構成として包括される。以上の構成によれば、各表示期間P内のKB個の単位期間Uのうち半数の単位期間Uにおける正極性の過電圧の影響と残余の半数の単位期間Uにおける負極性の過電圧の影響とが相殺されるから、液晶素子CLに対する直流成分の印加が抑制される。前述の第2実施形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KBを2個に設定した形態であり、第3実施形態および第4実施形態は、個数Kを4個に設定するとともに個数KBを2個に設定した形態である。
【0051】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0052】
前述の各形態では、右眼用表示期間PRのうち単位期間U1の終点にて右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以前に右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、単位期間U1内での右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、表示画像の明度は低下するが、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚されることを確実に防止することが可能である。同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させる時期を、右眼用表示期間PRの終点以前に設定した構成(表示画像の明度は低下するが右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在は防止される)や、右眼用表示期間PRの終点以降に設定した構成(左眼用表示期間PLの単位期間U1内で右眼用画像GRと左眼用画像GLとの若干の混在は知覚されるが表示画像の明度は向上する)も採用され得る。また、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL)の応答特性との関係にも依存する。したがって、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期や開状態から閉状態に変化させる時期は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在を観察者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度(バランス)や、立体視用眼鏡20の応答特性と電気光学パネル12の応答特性との関係といった種々の要因を考慮して選定される。なお、以上の説明では右眼用シャッター22に言及したが、左眼用シャッター24の開閉の時期についても同様の事情が妥当する。
【0053】
以上の説明から理解されるように、右眼用シャッター22が開状態に制御される期間は、右眼用表示期間PRのうち単位期間U2以降の期間の少なくとも一部を含む期間(単位期間U1の一部を含むか否かは不問)として包括される。同様に、左眼用シャッター24が開状態に制御される期間は、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2以降の期間の少なくとも一部を含む期間(単位期間U1の一部を含むか否かは不問)として包括される。また、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される期間は、各表示期間P(PR,PL)のうち単位期間U1の少なくとも一部を含む期間(単位期間U2以降の期間の一部を含むか否かは不問)として包括される。
【0054】
電気光学素子は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子として包括される。
【0055】
<応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図8から図10には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0056】
図8は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20(図8では図示略)で視認する。
【0057】
図9は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0058】
図10は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0059】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図8から図10に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼用画像とを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立体視方法が従来から提案されている。右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間では右眼用画像と左眼用画像とが混在するから、観察者が画像を視認すると明確な立体感を認識することが困難となる(クロストーク)。以上の問題を解決するために、例えば特許文献1には、右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間(すなわち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間)において立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態として観察者に画像を視認させない技術が開示されている。
【0003】
図11に示すように、右眼用画像の表示期間PRと左眼用画像の表示期間PLとが交互に設定される。各表示期間P(PR,PL)は単位期間U1と単位期間U2とに区分される。表示期間PR内の単位期間U1では表示画像が左眼用画像から右眼用画像に更新されるとともに直後の単位期間U2では右眼用画像が表示され、表示期間PL内の単位期間U1では表示画像が右眼用画像から左眼用画像に更新されるとともに直後の単位期間U2では左眼用画像が表示される。各表示期間Pの単位期間U1では、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方が閉状態に制御される。したがって、右眼用画像と左眼用画像との混在は観察者に知覚されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術のもとでは、観察者が実際に画像を視認できる期間が、各表示期間Pの約半分(単位期間U2)に制限される。したがって、表示画像の明度を充分に確保することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、右眼用画像と左眼用画像との混在が観察者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、印加電圧に応じた階調を表示する複数の画素と、右眼用画像の各表示期間内のK個(Kは3以上の自然数)の単位期間の各々において右眼用画像の指定階調に応じた階調電位を複数の画素に供給し、左眼用画像の各表示期間内のK個の単位期間の各々において左眼用画像の指定階調に応じた階調電位を複数の画素に供給する駆動回路とを具備する。
【0007】
以上の構成では、各表示期間内の3個以上の単位期間の各々において指定階調に応じた階調電位が各画素に供給されるから、各表示期間が2個の単位期間Uで構成される特許文献1の技術と比較して、表示期間のうち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間(すなわち、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御する期間)の時間比率が低下する。したがって、各表示期間の時間長(フレームレート)を特許文献1の技術と同等とすれば、各表示期間のうち右眼用シャッターまたは左眼用シャッターが開状態に維持される時間を特許文献1の技術と比較して長時間に設定し、観察者が認識する表示画像の明度を特許文献1と比較して向上することが可能である。
【0008】
本発明の第1態様において、駆動回路は、各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、表示期間内のKA個の単位期間にて各画素に印加する電圧の極性を、右眼用画像の表示期間と左眼用画像の表示期間とを各々が含む複数の制御期間のうちの第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と第1制御期間とは相違する第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定し、かつ、第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定する。例えば各表示期間が3個の単位期間を含む構成(例えば後述の第1実施形態)では、駆動回路は、相前後する2個の単位期間を単位として各画素の印加電圧の極性を反転させる。
【0009】
第1態様では、各表示期間のうち先頭からKA個にわたる単位期間にてオーバードライブ(過電圧駆動)が実行されるから、表示画像を右眼用画像および左眼用画像の一方から他方に迅速に更新することが可能である。また、駆動回路がオーバードライブを実行するKA個の単位期間にて各画素に印加される電圧の極性が、第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定され、第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定される。したがって、各画素に印加される電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制され、直流成分の印加に起因した各画素の特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0010】
本発明の第2態様において、駆動回路は、各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKB(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、各表示期間にて各画素に印加される電圧の極性を、各表示期間内のKB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性に設定する。以上の態様では、各表示期間のうち先頭からKB個にわたる単位期間にてオーバードライブ(過電圧駆動)が実行されるから、表示画像を右眼用画像および左眼用画像の一方から他方に迅速に更新することが可能である。また、駆動回路がオーバードライブを実行するKB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性の電圧が各画素に印加されるから、各画素に印加される電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制され、直流成分の印加に起因した各画素の特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0011】
第2態様のうち各表示期間が3個または4個の単位期間を含む構成(例えば後述の第2実施形態や第4実施形態)では、駆動回路は、各単位期間を単位として各画素の印加電圧の極性を反転させる。以上の態様では、各画素の印加電圧の極性が単位期間毎に反転するから、極性差に起因した表示階調の変動(フリッカ)が知覚され難いという利点がある。また、第2態様のうち各表示期間が4個の単位期間を含む構成(例えば後述の第3実施形態)では、駆動回路が、各画素の印加電圧の極性を、各表示期間の第1番目の単位期間と第4番目の単位期間とにおいて第1極性に設定し、各表示期間の第2番目の単位期間と第3番目の単位期間とにおいて第1極性とは逆の第2極性に設定することも可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
各表示期間のうち第1番目の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御し、右眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて右眼用シャッターを開状態に制御するとともに左眼用シャッターを閉状態に制御し、左眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて左眼用シャッターを開状態に制御するとともに右眼用シャッターを閉状態に制御する眼鏡制御回路を具備する。
【0013】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備する立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】第1実施形態の動作の説明図である。
【図4】第1実施形態の変形例の動作の説明図である。
【図5】第2実施形態の動作の説明図である。
【図6】第3実施形態の動作の説明図である。
【図7】第4実施形態の動作の説明図である。
【図8】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図9】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図10】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図11】従来の技術における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッター方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。電気光学装置10は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割で交互に表示する。
【0016】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させることで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0017】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光学パネル12は、複数の画素(画素回路)PIXが配列された画素部30と、各画素PIXを駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自然数)。画素部30内の複数の画素PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配列される。
【0018】
図2は、各画素PIXの回路図である。図2に示すように、各画素PIXは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相互に対向する画素電極62および共通電極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成され、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制御する。したがって、画素PIX(液晶素子CL)は、選択スイッチSWがオン状態に制御されたときの信号線34の電位(後述の階調電位X[n])に応じた階調を表示する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0019】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144とを具備する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを単体の集積回路に搭載した構成や、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを別体の集積回路に分散した構成が採用され得る。表示制御回路142は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとが時分割で画素部30に表示されるように駆動回路40を制御する。
【0020】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。図3に示すように、電気光学装置10の動作期間は、複数の制御期間T(T1,T2)に区分される。制御期間T1と制御期間T2とは時間軸上で交互に配列する。各制御期間T(T1,T2)は、所定長の2個の表示期間P(右眼用表示期間PRおよび左眼用表示期間PL)に区分される。右眼用表示期間PRでは画素部30に右眼用画像GRが表示され、左眼用表示期間PLでは画素部30に左眼用画像GLが表示される。右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとは時間軸上で交互に配列する。すなわち、相前後する右眼用表示期間PRと左眼用表示期間PLとで1個の制御期間Tが構成される。各表示期間P(PR,PL)は、相等しい時間長の3個の単位期間U(U1〜U3)に区分される。単位期間U2は単位期間U1に後続し、単位期間U3は単位期間U2に後続する。
【0021】
図1の駆動回路40は、外部回路から供給される画像信号が各画素PIXに指定する階調(以下「指定階調」という)に応じた階調電位X[n](n=1〜N)を各画素PIXに供給する回路であり、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。
【0022】
走査線駆動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給でM本の走査線32の各々を順次に選択する。第m行(m=1〜M)の走査線32に供給される走査信号Y[m]は、各単位期間U内のM個の選択期間(水平走査期間)のうち第m番目の選択期間にて選択電位(走査線32の選択を意味する電位)に設定される。走査線32が走査信号Y[m]を選択電位に設定すると、第m行に属するN個の画素PIXの各選択スイッチSWがオン状態に遷移する。
【0023】
図1の信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による各走査線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調電位X[1]〜X[N]を供給する。右眼用表示期間PRの各単位期間Uのうち第m行の走査線32が選択される選択期間にて第n列目の信号線34に供給される階調電位X[n]は、右眼用画像GRのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。同様に、左眼用表示期間PLの各単位期間Uのうち第m番目の選択期間では、階調電位X[n]は、左眼用画像GLのうち第m行の第n列に位置する画素PIXの指定階調に応じた電位に設定される。
【0024】
すなわち、右眼用表示期間PRでは、右眼用画像GRに応じた階調電位X[n]が単位期間U毎に各画素PIXに供給されることで各単位期間Uにて右眼用画像GRが画素部30に表示され、左眼用表示期間PLでは、左眼用画像GLに応じた階調電位X[n]が単位期間U毎に各画素PIXに供給されることで各単位期間Uにて左眼用画像GLが画素部30に表示される。
【0025】
ところで、各表示期間Pの最初の単位期間U1では、表示画像が右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方から他方に更新されるから、直前の単位期間Uと同等の画像を表示する単位期間U2や単位期間U3と比較して液晶素子CLの液晶66の配向状態を大きく変化させる必要がある。そこで、第1実施形態の駆動回路40(信号線駆動回路44)は、図3に示すように、指定階調に応じた目標電圧を上回る過電圧を各画素PIXの液晶素子CLに印加するオーバードライブ(過電圧駆動)を各表示期間P(PR,PL)の単位期間U1にて実行する。単位期間U2および単位期間U3ではオーバードライブは実行されない。
【0026】
また、駆動回路40(信号線駆動回路44)は、各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧の極性が周期的に反転するように所定の基準電位に対する各階調電位X[n]の極性を順次に反転させる。第1実施形態では、図3に示すように、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転する。例えば図3の制御期間T1では、右眼用表示期間PRの単位期間U1および単位期間U2にて階調電位X[n]が正極性(+)に設定され、右眼用表示期間PRの単位期間U3と直後の左眼用表示期間PLの単位期間U1とで階調電位X[n]が負極性(-)に設定される。
【0027】
したがって、各表示期間Pのうちオーバードライブが実行される単位期間U1での階調電位X[n]の極性は、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性となり、かつ、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性となる。例えば、右眼用表示期間PR内の単位期間U1における階調電位X[n]の極性は、制御期間T1内では正極性に設定されるのに対して制御期間T2では負極性に設定され、左眼用表示期間PL内の単位期間U1における階調電位X[n]の極性は、制御期間T1では負極性に設定されるのに対して制御期間T2では正極性に設定される。
【0028】
相前後する各制御期間Tの右眼用表示期間PRの単位期間U1にて階調電位X[n]を同極性に設定した場合、各右眼用表示期間PRの単位期間U1におけるオーバードライブで液晶素子CLに印加される過電圧の極性に偏りが発生し、結果的に液晶素子CLに直流成分が印加される可能性がある。第1実施形態では、右眼用表示期間PRのうちオーバードライブが実行される単位期間U1内の階調電位X[n]が制御期間T1と制御期間T2とで逆極性に設定されるから、例えば制御期間T1内の右眼用表示期間PRの単位期間U1における正極性の過電圧の影響と制御期間T2内の右眼用表示期間PRの単位期間U1における負極性の過電圧の影響とが相殺される。左眼用表示期間PLについても同様である。以上に説明したように、第1実施形態によれば、液晶素子CLに対する印加電圧の極性の偏り(直流成分の残留)が抑制されるから、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化が有効に防止され、装置の信頼性を向上することが可能である。
【0029】
図1の制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の動作に同期して制御する。具体的には、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、各表示期間P内の単位期間U1にて右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に制御する。また、眼鏡制御回路144は、右眼用表示期間PR内の単位期間U2および単位期間U3において右眼用シャッター22を開状態に制御するとともに左眼用シャッター24を閉状態に制御し、左眼用表示期間PL内の単位期間U2および単位期間U3において左眼用シャッター24を開状態に制御するとともに右眼用シャッター22を閉状態に制御する。
【0030】
したがって、右眼用表示期間PRのうち単位期間U2および単位期間U3にて画素部30に表示される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するとともに左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2および単位期間U3にて画素部30に表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター22を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0031】
ところで、右眼用表示期間PR内の単位期間U1では、直前の左眼用表示期間PL(単位期間U3)で表示された左眼用画像GLが行単位で順次に右眼用画像GRに更新され、左眼用表示期間PLの単位期間U1では、直前の右眼用表示期間PR(単位期間U3)で表示された右眼用画像GRが行単位で順次に左眼用画像GLに更新される。すなわち、各表示期間P内の単位期間U1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。第1実施形態では、図3を参照して説明した通り、各表示期間Pの単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離されるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0032】
以上に説明した第1実施形態では、各表示期間Pが3個の単位期間U1〜U3で構成されて各単位期間Uにて画像(右眼用画像GR,左眼用画像GL)が表示されるから、各表示期間Pが2個の単位期間Uで構成される特許文献1の技術と比較して、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間(すなわち右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に維持すべき期間)の時間比率が低下する。したがって、各表示期間Pの時間長(フレームレート)が特許文献1の技術とで同等であるならば、第1実施形態では、表示期間Pのうち右眼用シャッター22または左眼用シャッター24が開状態に維持される時間を特許文献1の技術と比較して長時間に設定できる。すなわち、第1実施形態によれば、観察者が認識する表示画像の明度を特許文献1と比較して向上することが可能である。
【0033】
なお、各表示期間Pの単位期間U1における階調電位X[n]の極性を制御期間T1と制御期間T2とで逆極性に設定する構成としては、例えば、制御期間Tを単位として階調電位X[n]の極性を反転させる構成(以下「構成A」という)も想定され得る。例えば、構成Aでは、制御期間T1内の6個の単位期間U(右眼用表示期間PRの3個の単位期間U1〜U3および左眼用表示期間PLの3個の単位期間U1〜U3)にわたり階調電位X[n]が正極性に設定され、制御期間T2内の6個の単位期間Uにわたり階調電位X[n]が負極性に設定される。
【0034】
ところで、指定階調が共通する場合でも、階調電位X[n]が正極性に設定された場合と負極性に設定された場合とでは、液晶素子CLに対する印加電圧(各画素PIXの表示階調)が相違する場合がある。階調電位X[n]の極性の反転周期が長い構成Aでは、階調電位X[n]の極性差に起因した表示階調の変動(すなわちフリッカ)が観察者に知覚され易いという問題がある。第1実施形態では、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧の極性が、制御期間T(例えば1/60秒)よりも短い時間を周期として反転するから、構成Aと比較して、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが観察者に知覚され難いという利点がある。
【0035】
なお、第1実施形態では各表示期間P内の1個の単位期間U1にてオーバードライブを実行したが、表示期間P内の複数の単位期間Uのうち先頭から2個以上の単位期間にわたりオーバードライブを実行する構成も採用される。例えば図4に示すように、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2とでオーバードライブを実行することが可能である。図4の形態でも、駆動回路40がオーバードライブを実行する単位期間U1および単位期間U2での階調電位X[n](各画素PIXの印加電圧)は、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定され、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定される。
【0036】
各表示期間Pを構成する単位期間U2の個数や各表示期間P内でオーバードライブを実行する単位期間Uの個数は適宜に変更される。各表示期間PがK個(Kは3以上の自然数)の単位期間Uで構成され、各表示期間P内のK個の単位期間Uのうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行する場合を想定すると、駆動回路40は、各表示期間P内のKA個の単位期間Uにて各画素PIXに印加する電圧の極性を、制御期間T1内の右眼用表示期間PRと制御期間T2内の右眼用表示期間PRとで逆極性に設定し、かつ、制御期間T1内の左眼用表示期間PLと制御期間T2内の左眼用表示期間PLとで逆極性に設定する要素として包括される。図3に例示した第1実施形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KAを1個に設定した形態であり、図4に例示した形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KAを2個に設定した形態である。以上のようにオーバードライブを実行する構成によれば、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)を有効に防止することが可能である。
【0037】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0038】
図5は、第2実施形態の動作の説明図である。図5に示すように、第2実施形態の駆動回路40は、各表示期間P(PR,PL)の3個の単位期間U1〜U3の各々において指定階調に応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。したがって、第1実施形態と同様に、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間の時間比率が低下し、観察者が認識する表示画像の明度が特許文献1と比較して向上する。第2実施形態の駆動回路40は、図4に例示した形態と同様に、各表示期間P内の3個の単位期間U1〜U3のうち先頭から2個の単位期間U1および単位期間U2にてオーバードライブを実行する。なお、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の開閉動作は第1実施形態と同様である。
【0039】
また、駆動回路40は、階調電位X[n]の極性を1個の単位期間U毎に順次に反転させる。具体的には、駆動回路40は、右眼用表示期間PRの単位期間U1および単位期間U3と左眼用表示期間PLの単位期間U2とで階調電位X[n]を正極性に設定し、右眼用表示期間PRの単位期間U2と左眼用表示期間PLの単位期間U1および単位期間U3とで階調電位X[n]を負極性に設定する。したがって、図5に示すように、各表示期間Pにおいてオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とでは各画素PIXの液晶素子CLに対して相互に逆極性の電圧が印加される。
【0040】
第2実施形態では、各表示期間P内でオーバードライブが実行される単位期間U1と単位期間U2とで階調電位X[n]が逆極性に設定されるから、例えば右眼用表示期間PRの単位期間U1内における正極性の過電圧の影響と直後の単位期間U2内における負極性の過電圧の影響とが相殺される。したがって、第2実施形態でも、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏りが抑制され、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を防止できるという利点がある。
【0041】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態の動作の説明図である。図6に示すように、各表示期間P(PR,PL)は、相等しい時間長の4個の単位期間U1〜U4に区分される。駆動回路40は、4個の単位期間U1〜U4の各々において、各画素PIXの指定階調に応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する。したがって、第1実施形態と同様に、表示期間Pのうち右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間の時間比率が低下し、観察者が認識する表示画像の明度が特許文献1と比較して向上する。
【0042】
各表示期間P内の最初の単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される。右眼用表示期間PRのうち単位期間U2以降の単位期間U(U2〜U4)では右眼用シャッター22が開状態に制御されるとともに左眼用シャッター24が閉状態に制御され、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2以降の単位期間U(U2〜U4)では左眼用シャッター24が開状態に制御されるとともに右眼用シャッター22が閉状態に制御される。
【0043】
図6に示すように、駆動回路40は、各表示期間P内の4個の単位期間U1〜U4のうち先頭から2個の単位期間U1および単位期間U2にてオーバードライブを実行する。また、駆動回路40は、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性を順次に反転させる。具体的には、駆動回路40は、各表示期間P内の単位期間U1と単位期間U2との間、および、各表示期間P内の単位期間U3と単位期間U4との間を極性反転の境界として階調電位X[n]の極性を反転させる。すなわち、各表示期間P(PR,PL)内の単位期間U1および単位期間U4にて階調電位X[n]は正極性に設定され、各表示期間P内の単位期間U2および単位期間U3にて階調電位X[n]は負極性に設定される。
【0044】
以上に説明したように、第3実施形態では、各表示期間Pのうちオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とにおいて各画素PIXの液晶素子CLに逆極性の電圧が印加される。したがって、第2実施形態と同様に、各表示期間Pの単位期間U1における正極性の過電圧の影響と直後の単位期間U2内における負極性の過電圧の影響とが相殺され、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を防止することが可能である。
【0045】
また、第3実施形態では、表示期間P内で階調電位X[n]が正極性に設定される時間長(単位期間U1,単位期間U4)と階調電位X[n]が負極性に設定される時間長(単位期間U2,単位期間U3)とが相等しい。したがって、階調電位X[n]の正極性の時間長と負極性の時間長とが各表示期間P内で相違する構成(例えば第2実施形態)と比較して、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏りを有効に抑制できるという利点がある。
【0046】
第3実施形態では、各表示期間Pが4個の単位期間U1〜U4で構成されるとともに2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、各表示期間Pが3個の単位期間U1〜U3で構成されて2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性が反転される第1実施形態と比較して短い周期で階調電位X[n]の極性が反転される。したがって、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが観察者に知覚され難いという利点もある。
【0047】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態の動作の説明図である。第4実施形態では、第3実施形態と同様に、各表示期間P(PR,PL)が4個の単位期間U1〜U4で構成され、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U2にて駆動回路40はオーバードライブを実行する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の開閉動作は第3実施形態と同様である。
【0048】
駆動回路40は、階調電位X[n]の極性を1個の単位期間U毎に順次に反転させる。具体的には、各表示期間P内の単位期間U1および単位期間U3にて階調電位X[n]は正極性に設定され、各表示期間P内の単位期間U2および単位期間U4にて階調電位X[n]は負極性に設定される。したがって、第3実施形態と同様に、各表示期間Pのうちオーバードライブを実行する単位期間U1と単位期間U2とでは各画素PIXの液晶素子CLに対して相互に逆極性の電圧が印加される。
【0049】
したがって、第4実施形態においても第3実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態では単位期間U毎に階調電位X[n]の極性が反転される。すなわち、相前後する2個の単位期間Uを単位として階調電位X[n]の極性を反転させる第3実施形態と比較して短い周期で階調電位X[n]の極性が反転される。したがって、階調電位X[n]の極性差に起因したフリッカが第3実施形態と比較して知覚され難いという利点がある。
【0050】
なお、第2実施形態から第4実施形態では、各表示期間P内の単位期間Uの個数や各表示期間P内でオーバードライブを実行する単位期間Uの個数は適宜に変更される。すなわち、第2実施形態から第4実施形態の構成は、各表示期間P内のK個の単位期間Uのうち先頭からKB個(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間Uにてオーバードライブを実行し、各表示期間Pにて各画素PIXに印加される電圧の極性を、各表示期間P内の先頭からKB個にわたる単位期間Uのうち半数(KB/2個)の単位期間と残余の半数(KB/2個)の単位期間Uとで逆極性に設定する構成として包括される。以上の構成によれば、各表示期間P内のKB個の単位期間Uのうち半数の単位期間Uにおける正極性の過電圧の影響と残余の半数の単位期間Uにおける負極性の過電圧の影響とが相殺されるから、液晶素子CLに対する直流成分の印加が抑制される。前述の第2実施形態は、個数Kを3個に設定するとともに個数KBを2個に設定した形態であり、第3実施形態および第4実施形態は、個数Kを4個に設定するとともに個数KBを2個に設定した形態である。
【0051】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0052】
前述の各形態では、右眼用表示期間PRのうち単位期間U1の終点にて右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以前に右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、単位期間U1内での右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、表示画像の明度は低下するが、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚されることを確実に防止することが可能である。同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させる時期を、右眼用表示期間PRの終点以前に設定した構成(表示画像の明度は低下するが右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在は防止される)や、右眼用表示期間PRの終点以降に設定した構成(左眼用表示期間PLの単位期間U1内で右眼用画像GRと左眼用画像GLとの若干の混在は知覚されるが表示画像の明度は向上する)も採用され得る。また、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL)の応答特性との関係にも依存する。したがって、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させる時期や開状態から閉状態に変化させる時期は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在を観察者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度(バランス)や、立体視用眼鏡20の応答特性と電気光学パネル12の応答特性との関係といった種々の要因を考慮して選定される。なお、以上の説明では右眼用シャッター22に言及したが、左眼用シャッター24の開閉の時期についても同様の事情が妥当する。
【0053】
以上の説明から理解されるように、右眼用シャッター22が開状態に制御される期間は、右眼用表示期間PRのうち単位期間U2以降の期間の少なくとも一部を含む期間(単位期間U1の一部を含むか否かは不問)として包括される。同様に、左眼用シャッター24が開状態に制御される期間は、左眼用表示期間PLのうち単位期間U2以降の期間の少なくとも一部を含む期間(単位期間U1の一部を含むか否かは不問)として包括される。また、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される期間は、各表示期間P(PR,PL)のうち単位期間U1の少なくとも一部を含む期間(単位期間U2以降の期間の一部を含むか否かは不問)として包括される。
【0054】
電気光学素子は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子として包括される。
【0055】
<応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図8から図10には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0056】
図8は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20(図8では図示略)で視認する。
【0057】
図9は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0058】
図10は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0059】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図8から図10に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、
印加電圧に応じた階調を表示する複数の画素と、
右眼用画像の各表示期間内のK個(Kは3以上の自然数)の単位期間の各々において右眼用画像の指定階調に応じた階調電位を前記複数の画素に供給し、左眼用画像の各表示期間内のK個の単位期間の各々において左眼用画像の指定階調に応じた階調電位を前記複数の画素に供給する駆動回路と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、
前記各表示期間内の前記K個の単位期間のうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、
前記表示期間内の前記KA個の単位期間にて前記各画素に印加する電圧の極性を、右眼用画像の表示期間と左眼用画像の表示期間とを各々が含む複数の制御期間のうちの第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と前記第1制御期間とは相違する第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定し、かつ、前記第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と前記第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定する
請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記各表示期間は3個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、相前後する2個の単位期間を単位として前記各画素の印加電圧の極性を反転させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、
前記各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKB(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、
前記各表示期間にて前記各画素に印加される電圧の極性を、前記各表示期間内の前記KB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性に設定する
請求項1の電気光学装置。
【請求項5】
前記各表示期間は3個または4個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、各単位期間を単位として前記各画素の印加電圧の極性を反転させる
請求項4の電気光学装置。
【請求項6】
前記各表示期間は4個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、前記各画素の印加電圧の極性を、前記各表示期間の第1番目の単位期間と第4番目の単位期間とにおいて第1極性に設定し、前記各表示期間の第2番目の単位期間と第3番目の単位期間とにおいて前記第1極性とは逆の第2極性に設定する
請求項4の電気光学装置。
【請求項7】
右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
前記各表示期間のうち第1番目の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記右眼用シャッターおよび前記左眼用シャッターの双方を閉状態に制御し、前記右眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記右眼用シャッターを開状態に制御するとともに前記左眼用シャッターを閉状態に制御し、前記左眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記左眼用シャッターを開状態に制御するとともに前記右眼用シャッターを閉状態に制御する眼鏡制御回路
を具備する請求項1から請求項6の何れかの電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項1】
右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に交互に表示する電気光学装置であって、
印加電圧に応じた階調を表示する複数の画素と、
右眼用画像の各表示期間内のK個(Kは3以上の自然数)の単位期間の各々において右眼用画像の指定階調に応じた階調電位を前記複数の画素に供給し、左眼用画像の各表示期間内のK個の単位期間の各々において左眼用画像の指定階調に応じた階調電位を前記複数の画素に供給する駆動回路と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、
前記各表示期間内の前記K個の単位期間のうち先頭からKA個(KAはKを下回る自然数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、
前記表示期間内の前記KA個の単位期間にて前記各画素に印加する電圧の極性を、右眼用画像の表示期間と左眼用画像の表示期間とを各々が含む複数の制御期間のうちの第1制御期間内の右眼用画像の表示期間と前記第1制御期間とは相違する第2制御期間内の右眼用画像の表示期間とで逆極性に設定し、かつ、前記第1制御期間内の左眼用画像の表示期間と前記第2制御期間内の左眼用画像の表示期間とで逆極性に設定する
請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記各表示期間は3個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、相前後する2個の単位期間を単位として前記各画素の印加電圧の極性を反転させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、
前記各表示期間内のK個の単位期間のうち先頭からKB(KBはKを下回る偶数)にわたる単位期間にてオーバードライブを実行し、
前記各表示期間にて前記各画素に印加される電圧の極性を、前記各表示期間内の前記KB個の単位期間のうち半数の単位期間と残余の半数の単位期間とで逆極性に設定する
請求項1の電気光学装置。
【請求項5】
前記各表示期間は3個または4個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、各単位期間を単位として前記各画素の印加電圧の極性を反転させる
請求項4の電気光学装置。
【請求項6】
前記各表示期間は4個の単位期間を含み、
前記駆動回路は、前記各画素の印加電圧の極性を、前記各表示期間の第1番目の単位期間と第4番目の単位期間とにおいて第1極性に設定し、前記各表示期間の第2番目の単位期間と第3番目の単位期間とにおいて前記第1極性とは逆の第2極性に設定する
請求項4の電気光学装置。
【請求項7】
右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
前記各表示期間のうち第1番目の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記右眼用シャッターおよび前記左眼用シャッターの双方を閉状態に制御し、前記右眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記右眼用シャッターを開状態に制御するとともに前記左眼用シャッターを閉状態に制御し、前記左眼用画像の表示期間のうち第2番目以降の単位期間の少なくとも一部を含む期間にて前記左眼用シャッターを開状態に制御するとともに前記右眼用シャッターを閉状態に制御する眼鏡制御回路
を具備する請求項1から請求項6の何れかの電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−44992(P2013−44992A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183467(P2011−183467)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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