説明

電気光学装置及びこれを備えた電子機器

【課題】駆動回路を搭載する基板の延在部の強度を向上させることができる電気光学装置及びこれを使用した電気機器を提供する。
【解決手段】電気光学物質を挟む一対の基板31,32と、前記一対の基板の一方の基板32側を覆うカバーパネル40と、前記一対の基板における他方の基板31に形成された前記一方の基板より外方に延在する延在部37と、前記延在部37の前記一方の基板側に実装された前記電気光学物質を駆動する駆動回路38とを備え、前記カバーパネル40と前記延在部部37との間に補強材41,50,51を介在させた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学物質を挟む一対の基板と、この一対の基板の一方の基板を覆うカバーパネルと、前記一対の基板における他方の基板に形成された前記一方の基板より外方に延在する延在部と、この延在部の前記一方の基板側に配設された前記電気光学物質を駆動する駆動回路とを備えた電気光学装置及びこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置の一種である液晶表示装置では、例えば液晶層を挟んで対向し、対向面のそれぞれに複数の画素を形成する電極が設けられた一対の透明基板の一方に、他方の基板の外方に突出するドライバ搭載用張出部を形成し、前記張出部を形成した一方の基板の他方の基板側の面に、複数の画素以外の領域をマスクするための遮光膜を、その一部を前記張出部のドライバ搭載領域に対向させて設け、この遮光膜のドライバ搭載領域に対応する部分の上にドライバを搭載し、さらに他方の透明基板の一方の透明基板とは反対側の面に偏光板を貼着した構成を有する液晶表示素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−77475号公報(第1頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、液晶表示素子の他方の透明基板の偏光板上に、保護カバーを接着する場合やタッチパネルを接着する場合には、偏光板上に直接保護カバーやタッチパネルを接着するようにしており、保護カバーやタッチパネルと一方の透明基板のドライバ搭載領域との間に空間が生じてしまい、ドライバやその周囲のドライバ搭載領域の強度が不足するという未解決の課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、駆動回路を搭載する基板の延在部の強度を向上させることができる電気光学装置及びこれを使用した電気機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の形態にかかる電気光学装置は、電気光学物質を挟む一対の基板と、前記一対の基板の一方の基板側を覆うカバーパネルと、前記一対の基板における他方の基板に形成された前記一方の基板より外方に延在する延在部と、前記延在部の前記一方の基板側に実装された前記電気光学物質を駆動する駆動回路とを備え、前記カバーパネルと前記延在部との間に補強材を介在させた構成としている。
【0006】
この第1の形態では、カバーパネルと電気光学物質を挟む一対の基板の他方の基板に形成された延在部との間に、接着材やスペーサ等の補強部材を介在させたので、補強部材によって他方の基板の延在部を補強することができる。
また、第2の形態に係る電気光学装置は、第1の形態において、前記補強材が接着剤で構成されている。
【0007】
この第2の形態では、補強材が接着剤で構成されているので、カバーパネル及び延在部間を隙間なく覆うことができ、大きな補強効果を得ることができる。
さらに、第3の形態に係る電気光学装置は、第1の形態において、前記補強材が、前記駆動回路の周囲に配置したスペーサを含んで構成されている。
この第3の形態では、補強材が、駆動回路の周囲に配置したスペーサを含んで構成されているので、スペーサによって補強効果を向上させることができる。
【0008】
さらにまた、第4の形態に係る電気光学装置は、第1の形態において、前記補強材が、前記カバーパネルの内面に接着された偏光板と前記駆動回路の周囲に配置したスペーサとで構成されている。
この第4の形態では、補強材が偏光板とスペーサとで構成されているので、剛性の高い補強を行うことができる。
【0009】
なおさらに、第5の形態に係る電気光学装置は、第1の形態において、前記補強材が、前記駆動回路の周囲に配置したスペーサと隙間を埋める接着剤で構成されている。
この第5の形態では、スペーサで駆動回路を保護しながら接着剤で隙間を埋めることにより、より確実な補強を行うことができる。
また、第6の形態に係る電気光学装置は、第3乃至第5のいずれか1つの形態において、前記スペーサが前記接着材より高い剛性を有する。
【0010】
この第6の形態では、スペーサで剛性を確保しながら接着剤で隙間を埋めることができる。
さらに、第7の形態に係る電気光学装置は、第1乃至第7の形態のいずれか1つの形態において、前記カバーパネルがタッチパネルで構成されている。
この第7の形態では、カバーパネルがタッチパネルで構成されているので、表示機能と入力機能の双方を発揮することができる。
【0011】
さらにまた、第8の形態に係る電子機器は、第1乃至第6のいずれか1つの形態における電気光学装置を表示装置として備えたことを特徴とする電子機器。
この第8の形態では、耐衝撃性の高い電気光学装置を備えた電子機器を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電気光学装置を適用した電子機器としての携帯電話機を示す斜視図、図2は携帯電話機に内装されている電気光学装置を示す平面図、図3は図2のA−A線上の断面図である。
この携帯電話機1は、図1に示すように、操作側ケース2と、この操作側ケース2の長手方向端部にヒンジ結合されている表示側ケース3と、操作側ケース2に設けられた操作キー4及びスクロールキー5と、表示側ケース3の中央部に設けた表示部6と、この表示部6に設けられた電気光学装置としての液晶表示装置7と、操作側ケース2の下端側に設けられた送話部8と、表示側ケース3の上端部に設けられた受話部9とを備えている。
【0013】
液晶表示装置7は、図2及び図3に示すように、上端面を開放した箱状の筐体10内に、底部側からバックライト機構20、液晶表示素子30及び透光性を有するカバーパネルとしての保護カバー40がその順に配設されている。
バックライト機構20は、筐体10の周壁に配置された支持枠体21の内側に支持された発光ダイオードを所定間隔で保持した発光部22と、この発光部22から出力される光を導く導光板23と、この導光板23の上面に形成されたプリズム・拡散シート24と、発光部22を駆動制御する制御信号を供給するフレキシブルプリント基板25とで構成されている。
【0014】
液晶表示素子30は、所定間隔を保って対向配置された上下一対の下ガラス基板31及び上ガラス基板32が上ガラス基板32下面側にその外周面に沿って枠状に設けたシール部材33に接着されて一体化されている。そして、下ガラス基板31及び上ガラス基板32のシール部材33で囲まれる領域に液晶層34が封止され、この液晶層34の液晶分子の配向を制御する透明電極(図示せず)が下ガラス基板31の上面及び上ガラス基板32の下面に形成されている。
【0015】
そして、下ガラス基板31の液晶層34に対向する下面に偏光板35が配設されているとともに、上ガラス基板32の液晶層34に対向する上面に同様に偏光板36が接着されている。
さらに、下ガラス基板31には、上ガラス基板32の図3における左端面から外方に延在する延在部37が形成され、この延在部37の上面に液晶層34の液晶分子の配向を制御する駆動回路としてのドライバIC38がCOG実装されている。このドライバIC38には、フレキシブルプリント基板39が接続され、このフレキシブルプリント基板39を介して表示制御信号が入力される。
【0016】
そして、偏光板36の上面に下ガラス基板31と略同形の保護カバー40が例えば光硬化性接着剤41によって接着されている。このとき、図3に示すように、光硬化性接着剤41は偏光板36の上面と保護カバー40との間に充填する場合に限らず、下ガラス基板31の延在部37と保護カバー40との間の空間部にも充填し、この光硬化性接着剤41の充填状態で例えば保護カバー40側から例えば紫外光を照射して硬化させる。
【0017】
上記施形態によると、外部の表示制御装置からフレキシブルプリント基板39を介して表示制御信号がドライバIC38に入力されることにより、このドライバIC38で液晶表示素子30の液晶層34の液晶分子の配向を画素毎に制御して画像表示を行う。このとき、バックライト機構20の発光部22に設けられた発光ダイオードの発光量が入射光量に応じて制御される。
【0018】
ここで、保護カバー40を液晶表示素子30の偏光板36の上面に光硬化性接着剤41で接着する際に、液晶表示素子30の上ガラス基板32より外方に延在する延在部37と保護カバー40との間に、ドライバIC38及びフレキシブルプリント基板39を埋設するように光硬化性接着剤41を充填してから、紫外光を照射して硬化させることにより、下ガラス基板31の延在部37と保護カバー40との間が光硬化性接着剤41で隙間なく固められて補強材となる。
【0019】
したがって、下ガラス基板31の延在部37と、保護カバー40との間に補強材が介在されることにより、下ガラス基板31の延在部37が単独で突出している従来例に比較して強度を向上させることができ、大きな補強効果を発揮することができる。したがって、携帯電話機を落下させたり、固定部に衝突させたりした場合に生じる衝撃力が下ガラス基板31の延在部37に伝達された場合でも、延在部37及びドライバICの少なくとも一方が破損することを確実に防止することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【0020】
因みに、従来例では、図7に示すように、保護カバー40が液晶表示素子30の偏光板36上に光硬化性接着剤で接着するだけで、下ガラス基板31の延在部37と保護カバー40との間には空間部が形成され、下ガラス基板31の延在部37が露出しており、携帯電話機を落下させたり、固定部に衝接させたりした場合に生じる衝撃力が下ガラス基板31の延在部37に伝達された場合に、延在部37及びドライバIC38の少なくとも一方が破損する可能性が高く液晶表示機能が損なわれるという問題がある。
【0021】
また、上記構成を有する電気光学装置を表示装置として電子機器としての携帯電話機1に装着したので、耐衝撃性の高い携帯電話機を提供することができる。
なお、上記実施形態においては、下ガラス基板31の延在部37と保護カバー40との間に光硬化性接着剤41を充填させて硬化させて補強材とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図4及び図5に示すように、ドライバIC38の周囲におけるドライバIC38の左右位置に高さが上ガラス基板32の厚みと略等しく且つ光硬化性接着剤41より剛性の高いスペーサ50を接着し、これらスペーサ50の上面と保護カバー40の下面との間に偏光板36の厚みと略等しい同様に光硬化性接着剤41より剛性の高い平板状スペーサ51を接着するようにしてもよい。ここで、スペーサ50、51と延在部37及び保護カバー40との接着は接着剤や両面接着テープを適用することができる。この場合には、スペーサ50及び51によって下ガラス基板31の延在部37と保護カバー40との間が連結されるので、剛性が高くなり、光硬化性接着剤41のみで補強材を構成する場合より高い補強効果を発揮することができる。また、フレキシブルプリント配線39の上面とスペーサ51の下面との間にもスペーサを介挿するようにしてもよい。さらにはスペーサ50の周囲に光硬化性接着剤を充填して紫外光照射により硬化させるようにしてもよく、この場合にはさらに高い補強効果を発揮することができる。また、スペーサ51を省略してスペーサ50の高さを下ガラス基板31の延在部37の上面と保護カバー40の下面との間隔と等しく設定するようにしてもよい。
【0022】
さらに、上記実施形態においては、偏光板36が上ガラス基板32と同じ大きさである場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、保護カバー40と同じ大きさとして、保護カバー40の下面全面に偏光板36を接着し、この偏光板36延在部37との間にスペーサ50を介挿して接着するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、補強材としての接着剤として光硬化性接着剤を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、熱硬化性接着剤や光/熱硬化性接着剤を適用することができる。
【0023】
さらにまた、上記実施形態においては、偏光板36の上面に保護カバー40を接着する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、タッチパネルを接着するようにしてもよい。この場合には、液晶表示機能とタッチパネルによる入力機能との双方を発揮することができる。
なおさらに、上記実施形態では、本発明による電気光学装置を表示装置として携帯電話機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、PDA(Personal Digital Assistant)、ディジタルスチルカメラ、ディジタルビデオカメラ等の携帯型の電子機器や液晶テレビ、液晶ディスプレイ等の任意の電子機器に本発明による電気光学装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を携帯電話機に適用した場合の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】液晶表示装置を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線上の断面図である。
【図4】本発明の変形例を示す図2と同様の平面図である。
【図5】図4のB−B線上の断面図である。
【図6】本発明の他の変形例を示す断面図である。
【図7】従来例を示す図2と同様の平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…携帯電話機、2…操作側ケース、3…表示側ケース、4…操作キー、5…スクロールキー、6…表示部、7…液晶表示装置、8…送話部、9…受話部、10…筐体、20…バックライト機構、22…発光部、23…導光板、30…液晶表示素子、31…下ガラス基板、32…上ガラス基板、33…シール部材、34…液晶層、35,36…偏光板、37…延在部、38…ドライバIC、39…フレキシブルプリント基板、40…保護カバー、41…光硬化性接着剤、50,51…スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学物質を挟む一対の基板と、
前記一対の基板の一方の基板側を覆うカバーパネルと、
前記一対の基板における他方の基板に形成された前記一方の基板より外方に延在する延在部と、
前記延在部の前記一方の基板側に実装された前記電気光学物質を駆動する駆動回路とを備え、
前記カバーパネルと前記延在部との間に補強材を介在させた
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記補強材は接着剤で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記補強材は、前記駆動回路の周囲に配置したスペーサを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記補強材は、前記カバーパネルの内面に接着された偏光板と前記駆動回路の周囲に配置したスペーサとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記補強材は、前記駆動回路の周囲に配置したスペーサと隙間を埋める接着剤で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記スペーサは前記接着材より高い剛性を有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記カバーパネルはタッチパネルで構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずか1項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気光学装置を表示装置として備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85632(P2010−85632A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253613(P2008−253613)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】