説明

電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器

【課題】外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査を実現する。
【解決手段】 互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線Sと、前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される電位信号と前記第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、前記第1の端子に供給される電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の端子に供給される電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器4aと、前記第1及び第2の端子の一方に基準電位を供給し、他方に前記画素に書込まれた電位信号を読み出して供給する供給手段13,9’と、前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量4i,4hとを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器に関し、特に、複数の画素にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子を有する電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶装置等の表示装置は、携帯電話、プロジェクタ等の機器に広く使用されている。TFT(Thin Film Transistor)等を用いた液晶表示装置は、TFT基板と対向基板とを貼り合わせて、両基板間に液晶を封入して構成されている。一般に、製造された液晶装置が正常に作動するか否かの検査は、完成品に対して行われる。例えば、所定の画像信号を液晶装置に表示データとして入力し、投影、表示等させることによって、正しくデータが表示されるか、欠陥画素の有無のチェックが行われていた。
しかし、完成品について検査を行う方法を採用した場合には、基板の製造工程後に不良品が発見されることとなる。このため、不良品の発見が遅れてしまい、製造工程の管理面からみると好ましくないという欠点がある。
【0003】
例えば、工程管理に不良発見の情報がフィードバックされるまでの時間が長くなる。その結果、歩留まり低下期間が長期化し、製造コストが上昇する。また、試作品の場合も、試作品の評価から設計にフィードバックされるまでの期間が長期化するため、開発期間の長期化、開発コストの上昇に繋がる。さらに、製品完成後は、いわゆるリペア、すなわち不良箇所の修理が困難である。
そこで、基板の製造工程内において、不良の発見、特に、表示装置の欠陥画素の発見を行うことが望まれている。
【0004】
そのような検査方法の一つとして、液晶表示装置の電極パッドに検査用プローブを接触させて、所定の電流を供給することによって、液晶表示装置の検査を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。同様に、画素のコンデンサ容量特性から、TFT基板の各画素に所定の電圧を印加して、放電電流及び放電電圧の波形に基づいてTFTの機能を検査する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、TFT基板の画素電極に対応する検査用の対向電極を用いて、画素電極の電位の変化量を検出することによって、各画素電極の動作検査を行う技術も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5-341302号公報
【特許文献2】特開平7-333278号公報
【特許文献3】特開平10-104563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1及び特許文献3に記載の技術による場合、検査装置において、基板の外部から電極パッド等に所定のプローブ等を接触あるいは近接させるための機械的な位置精度が要求される。その結果、機械的なアライメント精度を確保するために検査時間が長くなるという問題がある。さらに、高精細な液晶表示装置の場合は、多くの電極パッドに対して細いプローブ等を機械的な制御を行って接触させなければならなくなり、これらの方法が適用できない場合もある。
【0007】
また、一般的には、電極の付加容量を含む画素自体の容量に比べて、液晶表示装置と測定装置間の各種容量成分、例えばソース線、ビデオ線、電極パッド端子等における容量の方が極めて大きい。画素電極に印加する電圧は、ソース線等の容量と画素自体の容量との比に応じて決まり、微少な電圧レベルである。このため、画素に保持されている電圧を電極パッド等から取り出そうとすると、ソース線等の容量による影響によって、微少なレベルの画素電位に対して大レベルのノイズが重畳されることになり、画素保持電圧の測定精度は極めて悪化し、十分な測定精度は得られない。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度が得られる検査を実現すると共に、検査回路の占有面積を低減することができる電気光学装置用基板、電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される電位信号と前記第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、前記第1の端子に供給される電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の端子に供給される電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、前記第1及び第2の端子の一方に基準電位を供給し、他方に前記画素に書込まれた電位信号を読み出して供給する供給手段と、前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、供給手段は、増幅器の第1及び第2の端子の一方に基準電位を供給し、他方に画素電極に書込まれた電位信号を読み出して供給する。増幅器は、第1の端子に供給される電位信号と第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、第1の端子に供給される電位信号が低い場合には第1の端子の電位をより低くし、第1の端子に供給される電位信号が高い場合には第1の端子の電位をより高くして出力する。第1及び第2の端子には夫々第1及び第2の容量が電気的に接続されており、第1,第2の端子に供給されるリファレンス又は電位信号に生じるプッシュダウン量(フィールドスルーによる電位変動量)を低減することができる。これにより、増幅器が誤動作することを防止して、正確な比較結果を得ることができる。
【0011】
本発明に係る電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される第1の電位信号と前記第2の端子に供給される第2の電位信号との電位を比較して、前記第1の電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、前記第1の端子に接続されたリファレンス配線を介して前記第1の電位信号としてリファレンスを供給するリファレンス供給手段と、前記第2の端子に接続された検査配線と前記ソース線とを接続することにより、前記画素に書込まれた電位信号を読み出して前記ソース線及び検査配線を介して前記第2の電位信号として前記第2の端子に供給する接続手段と、前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、リファレンス供給手段は、リファレンス配線を介して増幅器の第1の端子にリファレンスを供給し、接続手段は、ソース線と検査配線とを接続することで、画素電極から読み出した電位信号を、第2の端子に供給する。増幅器は、第1の端子に供給される第1の電位信号と第2の端子に供給される第2の電位信号との電位を比較して、第1の電位信号が低い場合には第1の端子の電位をより低くし、第1の電位信号が高い場合には第1の端子の電位をより高くして出力する。第1及び第2の端子には、夫々第1又は第2の容量が電気的に接続される。これにより、第1及び第2の端子に供給される第2の電位信号及びリファレンスに生じるプッシュダウン量を低減することができ、増幅器が誤動作することを防止して、正確な比較結果を得ることができる。
【0013】
また、前記接続手段は、前記複数のソース線のうちの1本のソース線を選択して前記検査配線に接続することを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、1つの増幅器に複数のソース線を対応させることができ、増幅器の占有面積を大きくすることができる。これにより、駆動能力を向上させると共に、ばらつきを低減することができ、高精度の画素検査が可能である。
【0015】
本発明に係る電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される電位信号と前記第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、前記第1の端子に供給される電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の端子に供給される電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、前記第1及び第2の端子の一方にリファレンスを供給するリファレンス供給手段と、前記第1及び第2の端子の他方に接続された検査配線と前記ソース線とを接続することにより、前記画素に書込まれた電位信号を読み出して前記第1及び第2の端子の他方に供給する供給手段と、前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、リファレンス供給手段は、増幅器の第1及び第2の端子の一方に基準電位を供給し、接続手段は、ソース線と検査配線とを接続することで、画素電極から読み出した電位信号を、第1及び第2の端子の他方に供給する。増幅器は、第1の端子に供給される電位信号と第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、第1の端子に供給される電位信号が低い場合には第1の端子の電位をより低くし、第1の端子に供給される電位信号が高い場合には第1の端子の電位をより高くして出力する。第1及び第2の端子には、夫々第1又は第2の容量が電気的に接続される。これにより、第1及び第2の端子に生じるプッシュダウン量を低減することができ、増幅器が誤動作することを防止して、正確な比較結果を得ることができる。
【0017】
また、前記接続手段は、前記複数のソース線のうちの1本のソース線を選択して前記検査配線に接続することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、1つの増幅器に複数のソース線を対応させることができ、増幅器の占有面積を大きくすることができる。これにより、駆動能力を向上させると共に、ばらつきを低減することができ、高精度の画素検査が可能である。
【0019】
また、前記第1及び第2の容量は画素付加容量と同一層で形成されることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、前記第1,第2の容量を形成するにあたり、工程数を増加することなく容量が形成できる。
【0021】
本発明に係る電気光学装置は、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置において、前記一対の基板の一方に上記電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を用いたことを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板を用いた電気光学装置又は電子機器が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
ここでは、本発明の電気光学装置用基板の一例として、液晶表示装置に用いるアティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明する。
【0026】
本発明は基板に差動増幅器を含む検査回路を搭載するものであり、検査対象の画素から読み出した信号電位と基準電位(リファレンス)とを差動増幅器を用いて比較することで、画素の良不良の判定を行うようになっている。
【0027】
ところで、差動増幅器に対するリファレンスの供給の仕方及び検査対象画素の選択の仕方に応じて、<画素リファレンス型>、<外部リファレンス型>及び<検査列切換外部リファレンス型>の3つの分類が考えられる。
【0028】
画素リファレンス型は、一対の画素の一方の画素に基準電位を書込み、両画素から読み出した電位を差動増幅器で比較することで、他方の画素の良不良を判定するものである。
【0029】
外部リファレンス型は、基準電位(リファレンス)を外部から与え、差動増幅器において外部からのリファレンスと、検査対象の画素から読み出した電位とを比較することで、画素の良不良を判定するものである。
【0030】
また、検査列切換外部リファレンス型は、差動増幅器の2つの入力端子の一方に外部からのリファレンスを供給し、他方の入力端子に画素から読み出した電位を供給するもので、リファレンスを供給する入力端子と画素から読み出した電位を供給する入力端子とを相互に切換えるようにしたものである。
【0031】
更に、これらの<画素リファレンス型>、<外部リファレンス型>及び<検査列切換外部リファレンス型>は、検査対象からの画素から読み出した電位が与えられる差動増幅器の端子(検査端子)に、複数のソース線の1つを選択して接続する構成を付加したシェアード型で構成することができる。
【0032】
(第1の実施の形態)<外部リファレンス型>
図1は本発明の第1の実施の形態に係り、外部リファレンス型の電気光学装置用基板を示す回路図である。
【0033】
電気光学装置用基板である図1の液晶表示装置の素子基板1Bとして、アクティブマトリックス型表示装置用基板であるTFT基板を例に説明する。素子基板1Bは、表示素子アレイ部2と、プリチャージ及びリファレンス回路部13と、表示データ読み出し回路部4とを含む。表示部となる表示素子アレイ部2は、マトリックス状に2次元に配置されたm行×n列の複数の画素2aを有している。ここで、m,nはそれぞれ整数である。
【0034】
表示素子アレイ部2は、図1の右から第1列、第2列、・・第n列で、上から第1行、第2行、・・第m行のマトリックスであるが、図1では、説明を簡単にするために、4(行)×6(列)のマトリックスの画素からなる回路の例を示している。
【0035】
図2は図1中の画素2aの等価回路図である。表示素子アレイ部2は、例えば、両基板間に液晶を封入して構成される。表示素子アレイ部2は、ソース線S(S1,S2,…)と走査線G(G1,G2,…)との交点に対応して単位表示素子である画素2aが構成される。各画素2aは、夫々スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTという)11を有する。ソース線からTFTを介して画素電極に画素信号が供給され、この画素信号によって画素電極と共通電極との間の液晶の状態が変化する。こうして、表示素子アレイ部2の光の透過率を画素信号によって変化させることができ、画像表示が可能となる。
【0036】
画素において画素信号を長時間保持させるために、各画素2aの画素電極、共通電極及び液晶による容量(以下、液晶容量という)Clcには、付加容量Csが並列に接続されている。TFT11のドレインは、液晶容量Clcと付加容量Csのそれぞれの一端に接続され、付加容量Csの他端は、共通固定電位CsCOMが印加される。TFT11のゲート端子gは走査線Gに接続されている。TFT11のゲート端子gに所定の電圧信号が入力されてTFT11がオンすると、ソース線Sに接続されたTFT11のソース端子sに印加されている電圧が液晶容量Clcと付加容量Csに印加され、供給された所定の電位が維持される。
【0037】
素子基板1Bは、表示素子アレイ部2のX方向(横方向)及びY方向(縦方向)に並んだ複数の画素2aを駆動するために、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5bと、トランスミッションゲート部6と、ビデオ信号線7とを含む。Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6及びビデオ信号線7によって、データ書込み及びデータ読出しが行われる。
【0038】
トランスミッションゲート部6は、Xドライバ部5aからの出力タイミング信号に応じて、ビデオ信号線7から入力される画素信号をソース線S1,S2,…に供給する。ビデオ信号線7は、マトリックス状の表示素子アレイ部2の奇数列に信号を供給する信号線と、偶数列に信号を供給する信号線とを有し、それぞれの端子inoとineとに接続されている。ソース線S1,S2,…は夫々各列のn個の画素に接続されており、ソース線S1,S2,…からの画素信号は、ライン毎に画素に書込まれるようになっている。
【0039】
また、ビデオ信号線7には、カレントミラーアンプを含む差動増幅器10が設けられている。差動増幅器10は、ビデオ信号線7自体の持つ容量成分等によってハイレベル信号(以下、HIGH信号という)及びローレベル信号(以下、LOW信号という)の差が小さくなることを防止するために設けられており、HIGH,LOW信号を明確にして出力信号outo,outeを高速に精度良く出力する。
【0040】
本実施の形態においては、画素の検査のために表示データ読み出し回路部4が、アクティブマトリックス駆動型の液晶表示パネルの素子基板1Bに形成されている。表示素子アレイ部2と表示データ読み出し回路部4との間には、供給手段としてのトランスミッションゲート部9’が設けられている。
【0041】
表示データ読み出し回路部4は、複数の差動増幅器4aを有しており、差動増幅器4aの2つの入力端子se,soに、検査対象の画素から読み出した電位と検査の基準となる基準電位(リファレンス)とが与えられるようになっている。
【0042】
図3は図1中の表示データ読み出し回路部4の差動増幅器4aの具体的な構成を示す回路図である。
【0043】
各差動増幅器4aは、2つのPチャネル型のトランジスタTr1,Tr2と、2つのNチャネル型のトランジスタTr3,Tr4とを含む。トランジスタTr1,Tr3のゲートは端子soに接続され、トランジスタTr2,Tr4のゲートは端子seに接続される。トランジスタTr1,Tr2のソース・ドレイン路同士は直列接続され、トランジスタTr3,Tr4のソース・ドレイン路同士も直列接続される。端子so,se相互間に、トランジスタTr1,Tr2同士のソース・ドレイン路と、トランジスタTr3,Tr4同士のソース・ドレイン路とが並列接続されている。
【0044】
端子se,soは夫々これらの端子に電位を供給するse配線4f又はso配線4gに接続される。se配線4f,so配線4gの一方には、検査対象の画素から読み出した信号電位が供給され、他方には、リファレンスが供給される。トランジスタTr1,Tr2のソースとドレインとの接続点は電源端子spに接続され、トランジスタTr3,Tr4のソースとドレインとの接続点は電源端子snに接続される。図1に示すように、電源端子spには、電源トランジスタ4dを介して電源電圧Vddが供給され、電源端子snには電源トランジスタ4eを介して基準電位点から接地電位が供給される。電源トランジスタ4d,4eは、夫々端子4b,4cを介して供給される駆動パルスSAp−ch,SAn−chによってオン,オフ制御されるようになっている。
【0045】
このように構成された差動増幅器4aにおいては、端子se,soに供給された電位を、一方は電源電位まで引き上げ、他方は基準電位点の電位(接地電位)まで引き下げる。例えば、端子seに端子soに比べて僅かでも高い電位が供給されたものとする。そうすると、トランジスタTr1〜Tr4のうち、トランジスタTr4が最初にオンする。トランジスタTr4がオンになるので、端子soの電位は端子snの低い接地電位まで低下する。そして、端子soが端子snの低い接地電位まで低下するので、ゲート端が端子soに接続されたトランジスタTr1がオンなる。その結果、端子seは電源端子spの高い電源電圧Vddまで上昇する。
【0046】
このように、差動増幅器4aは、端子se,soに印加される電位のうち高い方の電位をより高くし、低い方の電位をより低くするように機能する。
【0047】
トランスミッションゲート部9’は各ソース線S1,S2,…に対応して設けられたトランジスタ9aによって構成されている。差動増幅器4aの端子soに接続されたso配線4gは、トランジスタ9aのソースに接続され、トランジスタ9aのドレインは各ソース線S1,S2,…に接続される。トランジスタ9aのゲートは制御端子9bに接続される。トランジスタ9aは、制御端子9bを介して入力されるHIGHの接続制御信号によってオンとなり、ソース線S1,S2,…に、テスト回路を接続するようになっている。
【0048】
なお、制御端子9bは、トランジスタ9dによって構成されるプルダウン回路が接続されており、通常時はLOWに維持される。これにより、通常時は、トランジスタ9aはオフであり、表示データ読み出し回路部4は各ソース線から切り離された状態になっている。テスト時には、接続制御端子9bにHIGHの接続制御信号を供給することで、トランジスタ9aをオンにして、ソース線に表示データ読み出し回路部4を接続するようになっている。
【0049】
表示素子アレイ部2と表示データ読み出し回路部4との間には、供給手段としてのプリチャージ及びリファレンス回路部13及びイコライズ回路部8も設けられている。プリチャージ及びリファレンス回路部13は、各差動増幅器4aに対応して夫々2つのトランジスタ3co,3ceを有する。トランジスタ3coはソースが電圧印加端子3aに接続され、ドレインがso配線4gを介して差動増幅器4aの端子soに接続される。また、トランジスタ3ceはソースが電圧印加端子3aに接続され、ドレインがse配線4fを介して差動増幅器4aの端子seに接続される。電圧印加端子3aにはリファレンス及びプリチャージ電圧が供給されるようになっている。
【0050】
トランジスタ3co,3ceのゲートは制御端子3bに接続されており、制御端子3bには、プリチャージ及びリファレンス制御信号(以下、単にプリチャージ制御信号ともいう)が入力されるようになっている。HIGHのプリチャージ及びリファレンス制御信号が制御端子3bを介してトランジスタ3co,3ceのゲートに印加されることで、トランジスタ3co,3ceはオンとなり、電圧印加端子3aに供給されるリファレンス及びプリチャージ電圧を夫々se配線4f又はso配線4gに供給するようになっている。
【0051】
即ち、差動増幅器4aの端子seに接続されたse配線4fは、外部からのリファレンスを端子seに供給するためのリファレンス配線として用いられる。一方、so配線4gは、トランジスタ9aによって各ソース線Sに接続されて、検査対象の画素からのデータを端子soに供給するための検査配線として用いられる。
【0052】
即ち、本実施の形態では、差動増幅器4aの一方の端子に接続された検査配線とソース線とが接続されて、1つの差動増幅器4aによって1本のソース線Sに接続された画素の検査が可能である。差増増幅器4aは表示素子アレイ部2の列数nと同数設けられる。
【0053】
プリチャージ期間においては、so配線4gにはプリチャージ電圧が供給され、se配線4fにはリファレンスが供給される。なお、プリチャージ処理は、各種特性の検査のために、ソース線S及びso配線4gにプリチャージ電圧を印加するためのものである。なお、プリチャージ電圧としては種々の電圧を選択することができ、例えば、電源電圧Vddでもよく、接地電位でもよく、あるいはこれらの中間電位でもよい。図1の例では、プリチャージ電圧とリファレンスとを共通の例えば中間電位に設定している。なお、プリチャージ電圧とリファレンスとを相互に異ならせてもよい。
【0054】
イコライズ回路部8は、ソース、ドレインが夫々so配線4gとse配線4fとに接続されたn個のイコライズトランジスタ8aを有している。トランジスタ8aは、ゲートが制御端子8bに接続され、制御端子8bからのHIGHのイコライズ制御信号によってオンとなって、so配線4gとse配線4fを同電位にするようになっている。
【0055】
ところで、本実施の形態における画素の検査においては、後述するように、各画素に例えばLOW又はHIGHを書込み、画素に書込まれた信号を読み出して差動増幅器4aの端子soに与える。差動増幅器4aの端子seにはリファレンスを与える。差動増幅器4aは、上述したように、2入力のうちの低いレベルの電位を接地電位まで低下させ、高いレベルの電位を電源電位まで上昇させることで、微少な2入力のレベル差を大きくして、2入力のレベルの大小の判定を容易にする。ところが、差動増幅器4aの端子so,seに接続された配線同士の容量の相違から、差動増幅器4aが誤動作し、画素の良不良の判定に誤りが生じる虞がある。
【0056】
図8はこの問題を説明するための波形図である。図8はプリチャージ制御信号PCG及びイコライズ制御信号EQ、走査線G1に供給される走査信号、端子soの電位並びに端子seの電位を示している。
【0057】
差動増幅器4aの端子soに画素からの信号電位を供給する前に、検査配線であるse配線4g及びソース線Sにプリチャージ電圧を供給すると共に、端子se,soを同電位とする。このプリチャージ及びイコライズ処理のために、トランジスタ3ce,3coのゲートにHIGHのプリチャージ制御信号PCGを印加し、トランジスタ8aのゲートにHIGHのイコライズ制御信号EQを印加する(図8参照)。
【0058】
差動増幅器4aの端子soに画素からの信号電位を供給する直前に、プリチャージ及びイコライズ処理を停止させるために、プリチャージ制御信号PCG及びイコライズ制御信号EQをHIGHからLOWに切換える(図8参照)。このHIGHからLOWへの切換えに伴って、トランジスタ3co,3ce,8aの寄生容量により、端子so,seにプッシュダウン(フィールドスルーによる電位降下)が生じる。
【0059】
画素の検査時においては、トランジスタ9aはオンであり、差動増幅器4aの端子soには、so配線4g及びソース線Sが接続される。一方、差動増幅器4aの端子seに接続される配線は、se配線4fのみである。so配線4g及びソース線Sの配線容量は、se配線4fのみの配線容量に比べて十分に大きい。このため、図8の端子soの電位に示すように、プリチャージ制御信号PCG及びイコライズ制御信号EQをHIGHからLOWに切換えたタイミングにおいて、端子soに生じるプッシュダウン(電位降下)は比較的小さいのに対し、端子seには比較的大きなプッシュダウンが生じることが考えられる。
【0060】
走査線G1にHIGHが供給されて画素の信号が端子soに転送されると、端子soの電位は画素に書込まれた電位に応じて変化する。図8に示すように、画素にHIGHが書込まれた場合には実線に示すように端子soの電位は若干上昇し、画素にLOWが書込まれた場合には破線に示すように端子soの電位は若干低下する。差動増幅器4aは端子so,seの電位を比較する。図8に示すように、端子seのプッシュダウンが比較的大きく、端子seの電位(リファレンス)が、画素にLOWが書込まれた場合の端子soの電位よりも低くなると、差増増幅器4aは、画素に書込んだ信号レベルに拘わらず、端子soが常に電源電圧Vddになってしまう。この場合には、画素の良不良の判定が不能となる。
【0061】
そこで、本実施の形態においては、プッシュダウンによる差動増幅器4aの端子so,seの電位の変動を抑制するために、各端子soと基準電位(接地電位)点との間に容量4hを接続し、各端子seと基準電位(接地電位)点との間に容量4iを電気的に接続するようになっている。
【0062】
なお、容量4h,4iの容量値は、端子soに電位的に接続されるソース線Sの容量に比べて、十分に大きな値であればよい。少なくとも、容量4h,4iの容量値は、ソース線Sの配線容量より大きくする必要がある。また、容量4h,4iの容量値は相互に同一である必要もない。端子se,soのプッシュダウン量が、端子so,seに印加される画素から読み出した電位及びリファレンスの電位差に比べて十分に小さくなるような容量値に設定すればよい。また、例えば図8の例では、容量4h,4iの容量値として、プッシュダウン後の端子seのリファレンスが、画素にLOWが書込まれた場合の端子soの電位よりも高くなるような容量値を選択すればよい。
【0063】
以上のような構成のアクティブマトリックス型表示装置である液晶表示装置の素子基板が製造工程において製造されると、対向基板と貼り合わせて液晶を封入する前の素子基板自体の電気特性を評価あるいは検査することができる。なお、電気的特性の検査対象とする不良としては、素子基板の各画素のデータ保持用キャパシタ(付加容量Cs)のリークによって画素がLOWに固定されてしまう不良(以下、LOW固定不良という)、スイッチング素子であるTFTのソース・ドレイン間リークによって画素がHIGHに固定されてしまう不良(以下、HIGH固定不良という)がある。
【0064】
次に、このように構成された基板の検査及び動作について説明する。
【0065】
製造工程における素子基板1Bの検査の手法について説明する前に、図1に示すTFT基板が対向基板と貼り合わされて液晶が封入されて完成された液晶表示装置が、通常の画像表示を行うときの動作について説明する。
【0066】
まず、2本のビデオ信号線7には、それぞれ奇数列と偶数列の画素信号である画素信号が、ビデオ信号線7の入力端子ineとinoに入力される。それぞれの画素信号は、Xドライバ5aからの列選択信号に応じて、トランスミッションゲート部6のそれぞれのトランジスタTG1,TG2,…を介して、各ソース線Sへ供給される。
【0067】
各ソース線Sに供給された画素信号は、Yドライバ5bからの走査線GがHIGHになって選択された行の各画素2aに書き込まれる。即ち、選択された走査線Gにおいて、ソース線Sに供給される画素信号が対応する画素2aに表示用の画素信号として供給されて保持される。この動作を、行順次で行うことにより、液晶表示装置の表示素子アレイ部2には、所望の画像が表示される。
【0068】
プリチャージ及びリファレンス回路部13は、走査線GがHIGHになる前に、プリチャージ電圧Vpreを各ソース線Sに印加する。プリチャージ電圧Vpreは、プリチャージ及びリファレンス回路部13の電圧印加端子3aに供給される。プリチャージ電圧Vpreを供給するタイミングは、制御端子3bに与えるプリチャージ制御信号PCGによって決定される。
【0069】
なお、製品あるいは試作品としての液晶表示装置として画像表示が行われるときは、トランスミッションゲート部9’のトランジスタ9aはオフであり、素子基板1Bの表示データ読み出し回路部4は、動作せず使用されない。
【0070】
次に、素子基板1Bにおいて、図1に示す回路部分が半導体プロセスの工程によって製造された後に、素子基板1Bの状態において行われる検査の手順について図4乃至図7を参照して説明する。この素子基板1Bの検査において、表示データ読み出し回路部4が動作して使用される。
【0071】
まず検査方法を実現するための検査システムについて説明する。図4は検査システムの構成図である。素子基板1Bと、画素データの書き込みと読み込みができるテスト装置15とを、接続ケーブル16を介して接続する。接続ケーブル16は、素子基板1Bのビデオ信号線7の端子ino,ine、表示データ読み出し回路部4の信号線の端子4b、4c、プリチャージ及びリファレンス回路部13の端子3a、3b等を、テスト装置15に電気的に接続する。
【0072】
テスト装置15から、後述する所定の順番で、所定の電圧を各端子に供給することによって、素子基板1Bの電気的特性の検査を行うことができる。以下に、その検査内容として、上述した不良のうちLOW固定不良の有無についての検査を行う手順を説明する。
【0073】
図5は検査の全体の流れの例を示すフローチャートである。また、図6は図5のステップST2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、図6では、画素が不良である場合の動作を破線にて示している。
【0074】
図5のステップST1において、ビデオ信号線7の入力端子ino,ineからセルである各画素に所定の画素信号を入力する。画素の検査は、基準となる列の画素に対して、検査対象の列の画素が正常であるか否かを判定することによって行われる。図6に示す各タイミング信号は、テスト装置15によって生成されて各端子に供給される。
【0075】
本実施の形態においては、リファレンスは、外部から供給しており、画素に書込む必要はない。各画素には検査のための書き込みを行う。例えば、LOW固定不良の検査を行うものとすると、素子アレイ部2の全ての走査線Gをオンして、全ての画素にHIGHを書き込む。
【0076】
図7は各画素の書込みの状態を示しており、4(行)×6(列)の各画素に書き込まれる画素データが、HIGH(H)であることを示している。図7に示すように、表示素子アレイ部2の各画素データは、HIGH(H)である。
【0077】
なお、各画素にLOWを書き込んだ場合には、HIGH固定不良の検査が可能である。また、以下、全画素にHIGHを書き込んで基板1Bの検査を行う例を説明するが、一部の画素についてのみ検査を行うようにしてもよい。書き込み後、走査線Gのゲートはオフにされる。
【0078】
なお、この時点では、駆動パルスSAp−chは電源電位Vdd、駆動パルスSAn−chは接地電位であり、表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aは非動作状態である。
【0079】
次に、ステップST2において、画素データの読出しを行う。接続制御端子9bにHIGHの接続制御信号TEを供給することで、トランスミッションゲート部9’の各トランジスタ9aをオンにする。これにより、トランジスタ9aがオンとなって、ソース線S1,S2,…と各so配線4gとが接続される。こうして、書き込まれた画素データを行毎に読み出して、表示データ読み出し回路部4に供給する。
【0080】
ステップST2の読み出しの直前に、プリチャージ及びイコライズ処理が行われる。即ち、全画素への上述した所定の画素データの書き込み後に、先ず、プリチャージ及びリファレンス回路部13の制御端子3bに供給されるプリチャージ制御信号PCG(図6参照)が、HIGHとなる。
【0081】
なお、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部13の端子3aに供給されるプリチャージ制御信号PCGがt1期間だけHIGHとなる。
【0082】
これにより、電圧印加端子3aに供給される電圧がトランジスタ3co,3ceを介して夫々so配線4g及び各ソース線Sとse配線4fとに印加される。即ち、電圧印加端子3aに供給された電圧は、so配線4g及びソース線にはプリチャージ電圧として供給され、se配線にはリファレンスとして供給される。例えば、プリチャージ電圧Vpre及びリファレンスとしては、中間電位が選択される。
【0083】
なお、各ソース線Sのプリチャージ電位(電圧印加端子3aに印加される電圧)VpreはHIGHとLOWの中間電位にし、図2に示すCsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とする。CsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とするのは、データ保持用キャパシタCsがリーク不良である場合、リーク先のCsCOM電位が(Low電位−ΔV)となるため、読み出し電位は基準側の電位より低くなるようにするためである。そして、最初のプリチャージ期間は、やや長い時間を設定しておき、リーク不良による電圧変化が現れるようにする。
【0084】
また、図6に示すように、プリチャージ及びリファレンスの印加時には、制御端子8bにもHIGHのイコライズ制御信号を供給しており、イコライズ回路部8のトランジスタ8aもオンとなって、so配線4gとse配線4fとは同電位となる。これにより、この時点では、各ソース線S及び差動増幅器4aの端子so,seは、中間電位の状態となっている。
【0085】
次に、画素データの読み出し直前に、プリチャージ制御信号PCG及びイコライズ制御信号EQをLOWにして、プリチャージ及びリファレンス処理を停止させる。この場合には、トランジスタ3co,3ce,8aのゲートがHIGHからLOWに変化することによって、プッシュダウンが生じる。
【0086】
本実施の形態においては、端子soには容量4iが接続され、端子seには容量4hが接続されており、プッシュダウンによる端子so,seの電位低下は十分に抑制される。これにより、端子seのプッシュダウン量と端子soのプッシュダウン量とは略同程度で、いずれも無視できるくらい小さな量となる。なお、プッシュダウンによる端子so,seの電位低下量は十分に小さく、図6では図示が省略されている。
【0087】
次に、データ保持時間t1の経過後に、走査線G1をHIGHにして、画素データの読み出しを開始する。なお、この時点では、駆動パルスSAp−chは電源電位Vdd、駆動パルスSAn−chは接地電位であり、各差動増幅器4aはまだ動作していない状態である。
【0088】
走査線G1をHIGHにすると、走査線G1に接続された各画素から一斉にデータが出力される。つまり、コンデンサCsに書き込まれて保持された電荷が、対応するソース線Sに一斉に移動する。各画素にはHIGHが書込まれており、画素が正常であれば、図6の実線に示すように、各ソース線S及びso配線4gの電位がわずかに上昇する。もしも、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線Sの電位は、破線で示したようにわずかに下降する。一方、リファレンスが供給された端子seの電位は、プッシュダウン量が十分に小さく、略中間電位のままとなる(図6参照)。
【0089】
ゲート線G1を開いた後、接続制御信号TEをLOWにし、トランスミッションゲート部9’のトランジスタ9aを所定期間t2だけオフにする。即ち、トランジスタ9a,8a,3co,3ceがオフとなり、so配線4g及びse配線4fはフローティング状態となる。これにより、se配線4fの中間電位及び僅かに上昇したso配線4gの電位は、夫々配線so,se内で維持され、ソース線S等の他の配線からの影響を受けない。
【0090】
接続制御信号TEを電位のLOWへの変化の瞬間と同時あるいはその前後に、駆動パルスSAn−chをLOWからHIGHにし、更に、駆動パルスSAp−chをHIGHからLOWにする。駆動パルスSAn−chがHIGHになることで、接地電位が差動増幅器4aの電源端子snに印加され、端子se,soのうちより低い電位となっている端子seが接地電位まで低下する(図6のse参照)。また、駆動パルスSAp−chがLOWになることで、電源電圧Vddが差動増幅器4aの電源端子spに印加され、端子se,soのうちより高い電位となっている端子soが電源電位まで上昇する(図6のso参照)。こうして、端子se,soの電位が確定する。この動作は走査線G1に接続された画素すべてにおいて一斉に行われる。
【0091】
このように、表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aは、2つの端子so,seに現れる高低2つの電位レベルを電源端子sp又はsnの電圧まで変化させて明確にする。こうして、差動増幅器4aの端子so,seの電位をLOW又はHIGHに確定させる。
【0092】
ここで検査対象の奇数側の画素に、例えばデータ保持用キャパシタCsのリークが生じてLOW固定不良が発生していたものとする。この場合に、図6のSの破線に示すように、ソース線Sの電位がリファレンス(中間電位)より若干低下するものとする。これにより、駆動パルスSAn−chがHIGHとなって電源端子snが接地電位になると、差動増幅器4aの端子soは接地電位まで低下する(図6の端子soの破線参照)。そして、駆動パルスSAp−chがLOWになり、電源端子spが電源電圧Vddになると、差動増幅器4aの端子seは電源電圧Vddまで上昇する(図6の端子seの破線参照)。
【0093】
つまり、この場合には、端子so,seの電位は、画素が正常な場合と逆の論理値となる。
【0094】
ステップST3では、確定した端子se,soの電位の比較が行われる。即ち、端子so,seの電位がLOW又はHIGHに確定すると、端子soの電位を出力させるために、接続制御信号TEをHIGHにしてトランスミッションゲート部9’のトランジスタ9aをオンにさせる。
【0095】
差動増幅器4aの端子soの確定した論理データは、so配線4gから対応するソース線Sに供給される。トランスミッションゲート部6の各トランジスタのゲートTG1からTGnを順に開き(HIGHにし)、ビデオ信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出し、出力端子outoとouteに出力させる。
【0096】
ゲート線G1に接続されたすべての画素のデータが読み出されたら、ゲート線G1をLOWにし、駆動パルスSAn−chをLOW電位、駆動パルスSAp−chをHIGH電位にして差動増幅器4aを動作停止させる。次に、図6に示すように、プリチャージ制御信号PCG及びイコライズ制御信号EQをHIGHにして、全ソース線Sをプリチャージする。2回目以降のプリチャージ時間は初回ほど長い必要はない。そのプリチャージ動作を停止した後は、第2の走査線G2の電位をHIGHにすることによって、第2行目の各画素のTFT11をオンにする。以降同様の動作を、最後の走査線Gmに接続された画素(第m行目の各画素)まで繰返して、全画素データを読み出す。
【0097】
確定した端子se,soの電位は、出力端子outu,outeからテスト装置15に出力される。テスト装置15は、読出工程において読み出した画素データと、書込工程において書き込んだ画素データとを比較する。画素が正常な場合には、図6のouto,outeの実線に示すように、HIGHの出力が得られる。画素にLOW固定不良が生じている場合には、図6のouto,outeの破線に示すように、LOWの出力が得られる。こうして、テスト装置15は検査対象の画素にLOW固定不良が生じているか否かを検出することができる。
【0098】
テスト装置15は、検査対象の画素から読み出したデータがHIGHでないセル(画素)を特定し、異常セルとして、例えばセル番号等のデータを、図示しないモニタの画面上に表示するように出力する(ステップST4)。
【0099】
このように、各差動増幅器4aは、外部から印加された中間電位であるリファレンスと、各ソース線Sの電位とを比較することで、比較結果によって画素の不良を判定する。
【0100】
なお、リファレンスを中間電位に設定し、検査対象画素にLOWを書込むことによって、HIGH固定不良の検査を行うことができることは明らかである。
【0101】
このように製品あるいは試作品における素子基板工程の完了後に、素子基板の不良を検出することができるので、歩留まり低下期間の短縮が可能となり、不良品を組み立てることが少なくなくなって、コスト低減を図ることができる。特に、試作品の場合には、開発期間の短縮と開発コストの削減を期待することができる。更に、素子基板の段階で不良が検出できるので、いわゆるリペアも容易となる。
【0102】
また、本実施の形態においては、端子so,seに容量4i,4hを付加していることから、端子seと端子soに生じるプッシュダウン量をいずれも十分に小さい値にしており、差動増幅器4aに誤動作が生じることはなく、高精度の画素検査が可能である。
【0103】
なお、端子so,seに付加する容量4i,4hの容量値としては、差動増幅器4aの比較動作においてプッシュダウン量を無視可能にできる値であれば、適宜の値を設定することができる。
【0104】
また、本実施の形態においては、容量4i,4hを画素付加容量Csと同工程で形成するとよい。すなわち、画素付加容量Csと同一層で形成すれば、容量4i,4h形成にあたり、工程数が増加することはない。
【0105】
(第2の実施の形態)<外部リファレンス、シェアード型>
図9は外部リファレンス型に属するシェアード型の電気光学装置用基板を示す回路図である。図9において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。なお、図9では図面の簡略化のために、表示素子アレイ部2を駆動するXドライバ部5a、Yドライバ部5b、ビデオ信号線7等は図示を省略している。図9の素子基板11Bは、1つの差動増幅器4aで4本のソース線に接続された画素の検査を可能にするものである。即ち、4ソース線を配置する間隔に1つの差動増幅器4aを形成することができ、差動増幅器4aの面積を広くして、駆動能力を向上させると共に、差増増幅器4aのばらつきを低減して、検査精度を向上させることを可能にする。
【0106】
図9の基板11Bは、表示素子アレイ部2、Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6、ビデオ信号線7、差動増幅器10及び表示データ読み出し回路部4の構成は図1の基板1Bと同様である。また、表示データ読み出し回路部4と表示素子アレイ部2との間に設けられたイコライズ回路部8、プリチャージ及びリファレンス回路部13の構成も図1の基板1Bと同様である。
【0107】
本実施の形態は、トランスミッションゲート部9’に代えてトランスミッションゲート部22を採用した点が第1の実施の形態と異なる。トランスミッションゲート部22は、so配線4gを4本のソース線の1つに選択的に接続する。即ち、図9の例では、差動増幅器4aは、4本のソース線毎に設けられ、各差動増幅器4aの端子soに接続されたso配線4gは、トランジスタ23a〜23dを夫々介して第(4u+1)(u=0,1,2,…)列〜第(4u+4)列のソース線に接続される。
【0108】
トランジスタ23a〜23dのゲートは、トランスファゲート24a〜24dを夫々介してTEゲートデコード回路25に接続される。トランスファゲート24a〜24dは、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタが相補的に接続されて構成されており、入力端には、TEゲートデコード回路25の出力TE1〜TE4がそれぞれ供給される。トランスファゲート24a〜24dは、nチャネルトランジスタのゲートに端子27からの制御信号が入力される。インバータ26は、端子27の出力を反転させて、トランスファゲート24a〜24dのpチャネルトランジスタのゲートに与える。
【0109】
端子27に接続されたプルダウン回路によって、非テスト時は端子27はLOWであり、インバータ26の出力はHIGHであって、トランスファゲート24a〜24dはオフである。テスト時には端子27にHIGHの制御信号が印加されて、トランスファゲート24a〜24dはオンとなる。
【0110】
トランスファゲート24aは、端子27にHIGHの制御信号が入力されることで、TEゲートデコード回路25からの接続制御信号TE1をトランジスタ23aのゲートに与える。同様に、トランスファゲート24b〜24dは、端子27にHIGHの制御信号が入力されることで、TEゲートデコード回路25からの接続制御信号TE2〜TE4を夫々トランジスタ23b〜23dのゲートに与える。
【0111】
TEゲートデコード回路25は、端子28,29に入力されるデータA0,A1に基づいて、差動増幅器4aの各so配線4gをいずれのソース線Sに接続するかを決定するための接続制御信号TE1〜TE4を出力する。LOWの接続制御信号TE1〜TE4がゲートに印加されたトランジスタ23a〜23dはオフとなり、so配線とソース線との接続を切断する。逆に、HIGHの接続制御信号TE1〜TE4がゲートに印加されたトランジスタ23a〜23dはオンとなって、so配線とソース線とを接続する。
【0112】
本実施の形態においても、差動増幅器4aの端子so,seには、夫々例えばソース線Sの配線容量に応じた容量4i,4hが接続されている。容量4i,4hによって端子so,seのプッシュダウン量を十分に低減させることができる。なお、端子so,seに付加する容量4i,4hの容量値としては、差動増幅器4aの比較動作において、プッシュダウン量を無視可能にできる値であれば、適宜の値を設定することができる。ただし、少なくとも、端子soに電気的に接続されたソース線S1からS4の4本のソース線の容量の合計(総和)よりも大きい容量値に設定する必要がある。
【0113】
このように構成された実施の形態においては、TEゲートデコード回路25からHIGHの接続制御信号TE1が出力されると、トランジスタ23aがオンとなり、第(4u+1)列のソース線がso配線4gに接続される。こうして、ソース線S1,S5,…に接続された画素の良、不良の検査が行われる。
【0114】
同様に、TEゲートデコード回路25から、HIGHの接続制御信号TE2〜TE4が出力されると、対応するトランジスタ23b〜23dがオンとなり、第(4u+2)列〜第(4u+4)列のソース線の1つがso配線4gに接続される。これにより、接続されたソース線に対応する画素の良、不良の検査が行われる。
【0115】
なお、接続制御信号TE1〜TE4は、検査する列に対応した1つの接続制御信号のみが検査フローに応じてLOW又はHIGHに切換り、他の3つの接続制御信号はLOWを維持する。検査する列に対応した1つの接続制御信号のLOW,HIGHの切換えは、例えば図6の接続制御信号TEと同様である。
【0116】
差動増幅器4aの端子so,seのプッシュダウン量は、端子so,seに容量4i,4hを接続していることから、十分に小さく且つ端子so,seの電位に比べると相互に略等しいレベルとなり、プッシュダウン後の端子seのリファレンスが、LOW書込み時の端子soの電位よりも低くなることはなく、差動増幅器4aの判定結果に誤りが生じることを防止することができる。
【0117】
他の作用及び効果は図1の実施の形態と同様である。
【0118】
(第3の実施の形態)<検査列切換外部リファレンス型>
図10は本発明の第3の実施の形態に係り、検査列切換外部リファレンス型の電気光学装置用基板を示す回路図である。図10において図1と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態は、1つの差動増幅器4aで2本のソース線に接続された画素の検査を可能にするものである。
【0119】
図10においては、基板1Cは、4行×6列画素で表示素子アレイ部2を示しているが、表示素子アレイ部2、Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6、ビデオ信号線7、差動増幅器10及び表示データ読み出し回路部4の構成は第1の実施の形態と同様である。表示データ読み出し回路部4と表示素子アレイ部2との間には、イコライズ回路部8、プリチャージ及びリファレンス回路部13及びトランスミッションゲート部19が設けられている。プリチャージ及びリファレンス回路部13、イコライズ回路部8並びに表示データ読み出し回路部4によってテスト回路が構成される。
【0120】
第1の実施の形態においては、so配線4gを検査配線として差動増幅器4aの端子soに画素から読み出した画素信号を与え、se配線4fをリファレンス配線として差動増幅器4aの端子seに外部からのリファレンスを与えた。
【0121】
これに対し、本実施の形態は、検査配線とリファレンス配線とを相互に切換え可能にして、1つの差動増幅器4aで奇数列と偶数列の2列に接続された画素の検査を可能にするものである。この切換えをトランスミッションゲート部19によって行うようになっている。
【0122】
トランスミッションゲート部19は、奇数列のソース線S1,S3,…に対応して設けられたn/2個のトランジスタ9ao及び偶数列のソース線S2,S4,…に対応して設けられたn/2個のトランジスタ9aeを有している。差動増幅器4aの端子soに接続されたso配線4gは、トランジスタ9aoのソース・ドレイン路を介して奇数列のソース線S1,S3,…に接続される。また、差動増幅器4aの端子seに接続されたse配線4fは、トランジスタ9aeのソース・ドレイン路を介して偶数列のソース線S2,S4,…に接続される。
【0123】
トランジスタ9ao,9aeのゲートは、夫々トランスファゲート9bo,9beを介してTEゲートデコード回路9dに接続されている。トランスファゲート9bo,9beは、ゲートに端子27からの制御信号がインバータ9eを介して与えられる。端子27に接続されたプルダウン回路によって、非テスト時は端子27はLOWであり、インバータ9eの出力はHIGHであって、トランスファゲート9bo,9beはオフである。テスト時には端子27にHIGHの制御信号が印加されて、トランスファゲート9bo,9beはオンとなる。
【0124】
TEゲートデコード回路9dは、検査配線を決定するための接続制御信号TEo,TEeを出力する。トランスファゲート9bo,9beは、導通状態になると、TEゲートデコード回路9dからの接続制御信号TEo,TEeをトランジスタ9ao,9aeのゲートに与えるようになっている。
【0125】
LOWの接続制御信号TEo,TEeがゲートに印加されたトランジスタ9ao,9aeはオフとなり、so,se配線とソース線との接続を切断する。逆に、HIGHの接続制御信号TEo,TEeがゲートに印加されたトランジスタ9ao,9aeはオンとなって、so,se配線とソース線とを接続する。TEゲートデコード回路9dは、奇数列の画素の検査を行う場合には、接続制御信号TEeをLOWにし、接続制御信号TEoについては検査フローに応じてLOW又はHIGHに切換える。また、TEゲートデコード回路9dは、偶数列の画素の検査を行う場合には、接続制御信号TEoをLOWにし、接続制御信号TEeについては検査フローに応じてLOW又はHIGHに切換える。
【0126】
本実施の形態においても、差動増幅器4aの端子soには容量4iが接続されており、差動増幅器4aの端子seには容量4hが接続されている。
【0127】
次に、図11のタイミングチャートを参照して検査方法について説明する。本実施の形態においても検査の全体の流れは図5のフローと同様である。図11は本実施の形態における読み出し動作を示している。
【0128】
本実施の形態においては、検査配線とリファレンス配線とを相互に切換え可能である点が第1の実施の形態と異なるのみである。図11の例はTEゲートデコード回路9dが接続制御信号TEeをLOWにし、接続制御信号TEoは検査フローに応じてLOW,HIGH切換えた状態を示している。即ち、この場合には、トランジスタ9aoがオン、トランジスタ9aeがオフとなり、奇数列のソース線S1,S3,…がso配線4gに接続されると共に、奇数列のソース線S2,S4,…とse配線4fとの接続は切断される。即ち、図11の例は、第1の実施の形態と同様の状態となり、図6と同様の検査が行われる。
【0129】
また、端子soには容量4iが接続され、端子seには容量4hが接続されている。容量4iと4hの大きさは夫々ソース線Sの容量よりも大きくすればよい。これにより、端子se,soのプッシュダウン量は、端子so,seに印加される画素から読み出した電位及びリファレンスの電位差に比べて十分に小さく、プッシュダウン後の端子seのリファレンスが、LOW書込み時の端子soの電位よりも低くなることはなく、差動増幅器4aの判定結果に誤りが生じることはない。
【0130】
なお、図11に示すように、端子soからso配線4g及び奇数列のソース線S1,S3,…を介して読み出したデータは、奇数列のoutoのみから出力されることになる。
【0131】
偶数列の画素の検査を行う場合には、TEゲートデコード回路9dは、接続制御信号TEoをLOWにし、接続制御信号TEeについては検査フローに応じてLOW又はHIGHに切換える。これにより、トランジスタ9aoはオフを維持し、奇数列のソース線S1,S3,…とso配線4gとの接続を切断し、トランジスタ9aeはオン,オフ切換り、偶数列のソース線S2,S4,…をse配線4fに接続する。
【0132】
この場合には、電圧印加端子3aからso配線に供給された中間電位がリファレンスとして端子soに供給され、se配線に供給された中間電位がプリチャージ電圧としてse配線及び偶数列のソース線S2,S4,…に供給される。
【0133】
この場合でも、端子so,seに夫々容量4i,4hが接続されていることから、端子so,seのプッシュダウンが十分に低減され、プッシュダウン後の端子soのリファレンスが、LOW書込み時の端子seの電位よりも低くなることはなく、差動増幅器4aの判定結果に誤りが生じることはない。
【0134】
他の作用及び効果は第1の実施の形態と同様である。
【0135】
(第4の実施の形態)<検査列切換外部リファレンス、シェアード型>
図12は検査列切換外部リファレンス型に属するシェアード型の電気光学装置用基板型を示す回路図である。図12において図10又は図9と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0136】
なお、図12では図面の簡略化のために、表示素子アレイ部2を駆動するXドライバ部5a、Yドライバ部5b、ビデオ信号線7等は図示を省略している。図12の実施の形態は、1つの差動増幅器4aで4本のソース線に接続された画素の検査を可能にするものである。即ち、4ソース線を配置する間隔に1つの差動増幅器4aを形成することができ、差動増幅器4aの面積を広くして、駆動能力を向上させると共に、差増増幅器4aのばらつきを低減して、検査精度を向上させることを可能にする。
【0137】
図12の基板11Cは、表示素子アレイ部2、Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6、ビデオ信号線7、差動増幅器10及び表示データ読み出し回路部4の構成は図10の基板1Cと同様である。また、表示データ読み出し回路部4と表示素子アレイ部2との間に設けられたイコライズ回路部8、プリチャージ及びリファレンス回路部13の構成も図10の基板1Cと同様である。
【0138】
更に、差動増幅器4aの端子soに容量4iが接続され、端子seに容量4hが接続されることも図10と同様である。
【0139】
本実施の形態は、トランスミッションゲート部19に代えてトランスミッションゲート部31を採用した点が第3の実施の形態と異なる。トランスミッションゲート部31は、so配線4gを2本のソース線の1つに選択的に接続すると共に、se配線4gを2本のソース線の1つに選択的に接続する。即ち、図12の例では、差動増幅器4aは、4本のソース線毎に設けられる。差動増幅器4aの端子soに接続されたso配線4gは、トランジスタ32a,32bを夫々介して第(4u+1)列又は第(4u+2)列のソース線に接続される。また、差動増幅器4aの端子seに接続されたse配線4fは、トランジスタ32c,32dを夫々介して第(4u+3)列又は第(4u+4)列のソース線に接続される。
【0140】
トランジスタ32a〜32dのゲートは、トランスファゲート24a〜24dを夫々介してTEゲートデコード回路25に接続されている。トランスファゲート24aは、端子27にHIGHの制御信号が入力されることで、TEゲートデコード回路25からの接続制御信号TE1をトランジスタ32aのゲートに与える。同様に、トランスファゲート24b〜24dは、端子27にHIGHの制御信号が入力されることで、TEゲートデコード回路25からの接続制御信号TE2〜TE4を夫々トランジスタ32b〜32dのゲートに与える。
【0141】
TEゲートデコード回路25は、差動増幅器4aのso配線4g及びso配線4fをいずれのソース線に接続するかを決定するための接続制御信号TE1〜TE4を出力する。LOWの接続制御信号TE1〜TE4がゲートに印加されたトランジスタ32a〜32dはオフとなり、so配線及びse配線とソース線との接続を切断する。逆に、HIGHの接続制御信号TE1〜TE4がゲートに印加されたトランジスタ32a〜32dはオンとなって、so配線及びse配線とソース線とを接続する。
【0142】
このように構成された実施の形態においては、TEゲートデコード回路25からHIGHの接続制御信号TE1が出力されると、トランジスタ32aがオンとなり、第(4u+1)列のソース線がso配線4gに接続される。こうして、ソース線S1,S5,…に接続された画素の良、不良の検査が行われる。
【0143】
また、端子so,seには、夫々容量4i,4hが接続されている。容量4iと4hの値は夫々ソース線S1とS2の容量の総和(若しくはソース線S3とS4の容量の総和)よりも大きい値に設定する。これにより、端子se,soのプッシュダウン量は十分に小さく、プッシュダウン後の端子seのリファレンスが、LOW書込み時の端子soの電位よりも低くなることはなく、差動増幅器4aの判定結果に誤りが生じることはない。
【0144】
同様に、TEゲートデコード回路25からHIGHの接続制御信号TE2〜TE4が出力されると、トランジスタ32b〜32dがオンとなり、第(4u+2)列〜第(4u+4)のソース線がse配線4fに接続される。こうして、各ソース線Sに接続された画素の良、不良の検査が行われる。
【0145】
なお、いずれの場合でも、端子so,seに容量4i,4hが接続されているので、端子se,soのプッシュダウン量は十分に小さく、プッシュダウン後の端子se,soのリファレンスが、LOW書込み時の検査端子の電位よりも低くなることはなく、差動増幅器4aの判定結果に誤りが生じることはない。
【0146】
なお、接続制御信号TE1〜TE4は、検査する列に対応した1つの接続制御信号のみが検査フローに応じてLOW又はHIGHに切換り、他の3つの接続制御信号はLOWを維持する。検査する列に対応した1つの接続制御信号のLOW,HIGHの切換えは、例えば図11の接続制御信号TEoと同様である。
【0147】
他の作用及び効果は図10の実施の形態と同様である。
【0148】
以上のように、上記3つの実施の形態では、本発明の電気光学装置用基板について、アクティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0149】
例えば、表示部に光学センサーを設けることで、入力機能を備えた表示装置用基板にも適用することが可能である。また、上記各実施の形態においては、差動増幅器の2つの端子に同数のソース線を接続する例を説明したが、相互に異なる数のソース線を接続するようにしてもよい。
【0150】
また、本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置も本発明に含まれる。
【0151】
例えば、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置であって、一対の基板の一方に本発明の電気光学装置用基板を用いたものである。
【0152】
また、上述の電気光学装置を用いた電子機器も本発明に含まれる。図13及び図14は、電子機器の例を示す図である。図13は、1つの例に係るパーソナルコンピュータの外観図である。図14は、1つの例に係る携帯電話の外観図である。図13に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ100の表示部101に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。図14に示すように、電子機器として携帯電話200の表示部201に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。
【0153】
他にも、電子機器としては、例えば、光源と該光源から出射された光を変調するライトバルブと、該ライトバルブにより変調された光を投射するための光学系を備えた、投射型表示装置である。さらに、電子機器としては、他にも、テレビジョンや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る表示パネルが適用可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、以上説明したTFTを含む液晶表示装置に限られことはなく、アクティブマトリックス駆動の表示装置に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係り、外部リファレンス型の電気光学装置用基板を示す回路図。
【図2】図1中の画素2aの等価回路図。
【図3】図1中の表示データ読み出し回路部4の差動増幅器4aの具体的な構成を示す回路図。
【図4】検査システムの構成図。
【図5】検査の全体の流れの例を示すフローチャート。
【図6】図5のステップST2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャート。
【図7】各画素の書込みの状態を示す説明図。
【図8】プッシュダウンによる問題を説明するための波形図。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係り、外部リファレンス型に属するシェアード型の電気光学装置用基板を示す回路図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係り、検査列切換外部リファレンス型の電気光学装置用基板を示す回路図。
【図11】第3の実施の形態の検査方法を説明するためのタイミングチャート。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係り、検査列切換外部リファレンス型に属するシェアード型の電気光学装置用基板型を示す回路図
【図13】電子機器の例を示す斜視図である。
【図14】電子機器の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0156】
1B 素子基板、2 表示素子アレイ部、4 表示データ読み出し回路部、4a 差動増幅器、4h,4i…容量、9’…トランスファゲート部、13…プリチャージ及びリファレンス回路部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、
前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、
第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される電位信号と前記第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、前記第1の端子に供給される電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の端子に供給される電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、
前記第1及び第2の端子の一方に基準電位を供給し、他方に前記画素に書込まれた電位信号を読み出して供給する供給手段と、
前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、
前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、
第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される第1の電位信号と前記第2の端子に供給される第2の電位信号との電位を比較して、前記第1の電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、
前記第1の端子に接続されたリファレンス配線を介して前記第1の電位信号としてリファレンスを供給するリファレンス供給手段と、
前記第2の端子に接続された検査配線と前記ソース線とを接続することにより、前記画素に書込まれた電位信号を読み出して前記ソース線及び検査配線を介して前記第2の電位信号として前記第2の端子に供給する接続手段と、
前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記接続手段は、前記複数のソース線のうちの1本のソース線を選択して前記検査配線に接続することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
互いに交差する複数の走査線及び複数のソース線と、
前記複数の走査線及び前記複数のソース線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、
第1及び第2の端子を有し、前記第1の端子に供給される電位信号と前記第2の端子に供給される電位信号との電位を比較して、前記第1の端子に供給される電位信号が低い場合には前記第1の端子の電位をより低くし、前記第1の端子に供給される電位信号が高い場合には前記第1の端子の電位をより高くして出力する増幅器と、
前記第1及び第2の端子の一方にリファレンスを供給するリファレンス供給手段と、
前記第1及び第2の端子の他方に接続された検査配線と前記ソース線とを接続することにより、前記画素に書込まれた電位信号を読み出して前記第1及び第2の端子の他方に供給する供給手段と、
前記第1及び第2の端子に夫々電気的に接続される第1及び第2の容量とを具備したことを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項5】
前記接続手段は、前記複数のソース線のうちの1本のソース線を選択して前記検査配線に接続することを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置用基板。
【請求項6】
前記第1の端子と前記第2の端子のうち少なくとも一方の端子には前記ソース線が電気的に接続されており、前記第1及び第2の容量はそれぞれ前記少なくとも一方の端子に電気的に接続された前記ソース線の容量よりも大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項7】
前記第1の端子と前記第2の端子のうち少なくとも一方の端子には複数の前記ソース線が電気的に接続されており、前記第1及び第2の容量はそれぞれ前記少なくとも一方の端子に電気的に接続された複数の前記ソース線の容量の総和よりも大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項8】
前記第1及び第2の容量は画素付加容量と同一層で形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項9】
一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置において、前記一対の基板の一方に請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−235160(P2006−235160A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48625(P2005−48625)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】