説明

電気化学腐食電位装置および方法

本発明は、原子炉内または原子炉に隣接するシステム内に配置される少なくとも2つの電気化学センサを提供し、少なくとも2つの電気化学センサのうち少なくとも1つが加熱されたジルコニウム電極を有し、かつ少なくとも2つの電気化学センサは、少なくとも2つの電気化学センサそれぞれが取り付けられた表面の電気化学腐食電位に比例した電圧を生成する。また本発明は、少なくとも2つの電気化学センサから生成された電圧を受け取るよう構成された装置を提供し、装置は、少なくとも2つの電気化学センサの電圧に基づいて、原子炉内のジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照として組み込まれる2004年9月28日出願の米国出願第10/951,531号の一部継続出願である。
【0002】
技術分野
本発明は、原子力発電所の構成品の電気化学腐食電位の決定に関する。さらに本発明は特に、原子力発電所の原子炉冷却剤システムにおいて、冷却水温度にてジルコニウム燃料棒、および(原子炉設備システムの)様々な設備材料双方の電気化学腐食電位を決定するための装置および方法を提供し、電気化学腐食電位は、燃料棒から離れた電位測定によって決定される。
【背景技術】
【0003】
原子炉、例えば沸騰水型軽水炉および加圧水型軽水炉は、核燃料を含む炉心の中に水を通過させる。この水を炉心に通すことにより、水は加熱される。この水は、高温液相(加圧水)、または高温液相と気相(沸騰水)との組み合わせのどちらかに加熱される。水、および/または蒸気は、核反応により生成された熱エネルギーを他の動作中のシステムへ移送するために、原子炉圧力容器、気水分離器、加圧器、および蒸気発生器などの原子力発電所のシステムを通じて移送される。流体を移送するこれらの配管システムおよび構成品は、腐食と、応力腐食割れを誘発または助長する照射との影響を受けやすい様々な材料から作られている。
【0004】
電気化学腐食電位(ECP)は、金属表面、例えば第一の水冷却剤パイプ表面に起こる酸化/還元反応の量を決定するための指針を提供する。酸化/還元反応は、例えば原子炉の水の溶解酸素濃度、水素濃度および/または水の放射線分解中に得られる過酸化水素濃度に依存する。これらの原子炉冷却剤システムの電気化学腐食電位を減少させるために、水の溶解酸素、および過酸化水素水濃は、可能な限り低く、約25ppbのレベルに保つことが好ましい。これは、例えばシステムに水素を加えることよって達成される。しかし、溶解酸素、水素、および過酸化水素の濃度をこの低いレベルに保つことは、原子炉冷却剤システムにおける水化学変化により、事実上きわめて難しい。
【0005】
電気化学腐食電位測定は、発電所に腐食状態が発生しているか、および応力腐食割れが発生しそうかということを判定するために、原子力発電所内にて行われる。特に、電気化学腐食電位の値が比較的低い(すなわち閾値より下である)場合、腐食率および/または応力腐食割れの成長率は著しくない。しかし、閾値より上でも電気化学腐食電位の値が増加する場合、応力腐食割れの可能性、および/または腐食率は増加する。電気化学腐食電位測定は、第一の冷却材システムの対象の材料、例えば、内部の最も弱い材料の一点において行われる。既存の電気化学電位プローブは、冷却水の酸素濃度に反応する通常金属−金属酸化物構成のセンサを含んでいる。
【0006】
電気化学腐食電位の測定に使用される既存のシステムは、多くの欠点を持つ。第一に、使用されるプローブは、壊れやすく、かつプローブ内のセンサは熱および放射により劣化するため、約3ヶ月しか使用できない。結果として、プローブは、炉心滞在時間の25%未満についての電気化学腐食電位を測定することしかできず、原子炉の周囲においての使用を妨げられる。この不都合を軽減するための、原子力発電所操作員の代替方法はほとんどない。原子力発電所は、腐食状態を監視することなく運転可能であるが、燃料サイクル全体にわたって電気化学腐食電位が計測されない場合、腐食または応力腐食割れの形成に好適な状態であるため、繊細かつ高価な原子力発電所システムは、潜在的なダメージをうける。別の方法としては、原子を停止し、原子炉周囲の電気化学腐食電位プローブを交換することができる。この代替方法は、施設閉鎖の経済性により経済的に好ましくない。第二の欠点は、既存のシステムは、分析に個別の測定点プローブを使用していることである。このタイプのシステムは、単に個々のシステム上の部分測定を提供している。既存のシステムは、直接測定していない原子炉設備システムの一部の電気化学腐食電位が高いかどうかを確認することができない。原子力発電所の冷却剤システムの複雑かつ変化する材料により、現在のシステムは、正確にシステム電気化学腐食電位を互いに相対的に測定することができない。結果として、原子炉の特定のシステムまたはサブシステムは、他に比べて腐食および応力腐食割れの傾向が大きい。現在のシステムにおいては、原子炉設備操作員は異なるシステムを測定して得られたデータを比較することができないため、プローブの位置に注意が集中する。原子炉設備システム全体の真の危機評価分析は行われていない。また現在のシステムは、構造内部、または配管の材料を測定した電気化学腐食電位と比較して、ジルコニウム被覆燃料要素の電気化学腐食電位を決定しない。現在まで、現在のシステムは、原子炉冷却剤システム内の構造、または配管の部材の電気化学腐食電位の決定に限られている。
【0007】
原子力発電所の燃料サイクル全体を通して、ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供する必要がある。
【0008】
さらに、プローブおよびプローブに関連したセンサを、運用寿命の終わりに費用効率の高い方法にて交換することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供する必要がある。
【0009】
また、他の核システムと比較してどの核システムが腐食の危険にあるかというデータを原子炉設備操作員に提供するために、(原子炉設備システムを構成する)様々な材料の電気化学腐食電位を同時に決定することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供する必要がある。
【0010】
またさらに、原子炉の運転状態中に燃料棒電位の劣化量を決定するために利用することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の目的は、全体原子力発電所の燃料サイクル全体を通して冷却水温度にて、ジルコニウム燃料棒、および(原子炉設備システムの)様々な構造材料両方の電気化学腐食電位を決定することができる電気化学腐食電位測定システムを提供することである。
【0012】
また本発明の目的は、プローブおよびプローブに関連したセンサを、センサ個々の寿命の終わりに費用効率の高い方法にて交換することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供することである。
【0013】
また本発明の目的は、原子力発電所のいくつかの異なる構造材料の電気化学腐食電位の決定によって、(このようなシステムを構成する材料に基づいた)他の核システムと比較して、どの核システムが過度の腐食または応力腐食割れによる危険があるかというデータを原子炉設備操作員に提供することができる、電気化学腐食電位測定システムを提供することである。原子力発電所システム全体のいくつかの構成品の電気化学腐食電位測定によると、材料タイプおよび位置が密接に関連した構成品は、類似した電気化学腐食を有する。したがって、原子力発電所の他の核システムと比べて、どのシステムが腐食による危険があるかという決定は、ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位と、ジルコニウム構造要素(例えば、パイプまたは他の構造)、またはステンレス鋼構造要素(例えばパイプまたは他の構造)、またはそれらのいくつかの組み合わせの電気化学腐食電位との比較によって行われる。ECPが最高値の材料構造要素は、ECPが低い値の他の材料構造要素と比較して、腐食による危険が最も高くなる。
【0014】
本発明のさらなる目的は、運用温度における核燃料棒の電気化学腐食電位を決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、図示、説明されるように達成される。本発明は、ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するシステムを提供し、このシステムは、原子炉または原子炉に隣接するシステムのどちらかに配置された少なくとも二つの電気化学センサを備え、少なくとも二つの電気化学センサのうち少なくともひとつは、加熱されたジルコニウム電極を含み、かつ少なくとも二つの電気化学センサは、少なくとも二つの電気化学センサそれぞれが取り付けられた表面の電気化学腐食電位に比例する電圧を測定する。またシステムは、ジルコニウム電極を加熱する手段と、少なくとも二つの電気化学センサによって生成された電圧を受け入れるために構成された装置とを含み、この装置は、少なくとも二つの電気化学センサの電圧に基づくジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するよう構成されている。ジルコニウム電極を加熱する手段は、加熱スリーブが好ましく、それによりジルコニウム電極は、燃料棒表面温度とほとんど等しい温度に加熱される。
【0016】
また本発明は、ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定する方法を提供し、この方法は、原子炉または原子炉に隣接するシステムのいずれかに少なくとも二つの電気化学腐食センサを配置するステップと、少なくとも二つの電気化学腐食センサ間に電圧を生成するステップとを備え、少なくとも二つの電気化学センサのうち少なくともひとつは、加熱されたジルコニウム電極を含んでいる。またこの方法は、電圧に誘起された電流を測定するステップと、誘起された電流に基づくジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するステップとを含む。加熱されたジルコニウム電極は、燃料棒表面温度とほとんど等しい温度に加熱されることが好ましい。通常、燃料棒表面温度は約400℃である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】加圧水型軽水炉の模範的な原子炉冷却剤システム内に電気化学電位センサを配置するための配置図である。
【図2】沸騰水型軽水炉の模範的な原子炉冷却剤システム内に電気化学電位センサを配置するための配置図である。
【図3】ジルコニウム被覆燃料棒を図示した燃料集合体配置図である。
【図4】本発明に適合する電気化学腐食電位を測定するための配置図である。
【図5】実験室設備にて試験された、加熱されたジルコニウム電極を含むいくつかの電極の電気化学腐食電位を図示したグラフである。
【図6】実験室設備にて試験された、オートクレーブ内に使用された電極および構成品の模式図である(オートクレーブの壁は図示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、加圧水型軽水炉の電気化学腐食電位分析システム10が図示されている。図1は、加圧水型軽水炉に関連しているが、システム10は、沸騰水型軽水炉(BWR)にも等しく適用でき、したがって、図示された実施形態の例は、限定されるものではない。原子炉12は、燃料集合体18形状の核燃料を含む。燃料集合体18は、既定の条件下にて、燃料集合体18の核燃料が、結果として熱を生成する核分裂連鎖反応を引き起こすように原子炉12内に配置される。反応により生成された熱は、付属の原子炉冷却剤システム13を流れる水により原子炉12から除去される。水は、原子炉冷却剤システム13の中を冷却水入口14から原子炉12へ流れ、核燃料集合体18を通過する。原子炉出口20により、原子炉12からの温められた水は、その後の処理のために原子炉12から出ることができる。温められた水は、原子炉出口20から出て進み、次いで原子炉冷却剤システム13の圧力および衝撃制御を維持する加圧器22を通り過ぎる。気相58は、ヒーター制御装置24により制御されたヒーター26の作動によって加圧器22の上方部に保持される。加圧器22内の水量は、加圧器調整タンクから原子炉冷却剤を加えることにより変更できる。加圧器22は、加圧器調整ライン30を介して原子炉冷却剤システムに接続され、加圧器調整ラインは、直線、または屈曲(例えばS字湾曲)にすることができ、これを通じて圧力、および衝撃制御が行われる。
【0019】
原子炉出口20を通って移動する水は、原子炉冷却剤システム蒸気発生器入口48を通り、加圧器へ移動する温められた水は、蒸気発生器42を通過し、蒸気発生器第二入口44から蒸気発生器第二出口46へ移動する分離した水体に熱を移す。蒸気発生器第二入口44から蒸気発生器第二出口46へ通過する水は、気相へ変化することができ、その後例えば電気を生成する目的のタービンを通過する。蒸気発生器42を通過する水は、原子炉冷却剤システム蒸気発生器出口50を通って出る。そして、水は、原子炉冷却剤システム13を通り原子炉冷却剤ポンプ52の補助により原子炉12へ戻る。原子炉出口20から出た温められた水が、制御バルブ34により残留熱除去入口ライン54へ向かう場合、温められた水は、熱交換器38が接続された残留熱除去ポンプ36を通過する。温められた水の熱は、熱交換器38により入口/出口40を流れる水の分離体に移すことができる。残留熱除去ポンプ36を通過する水は、残留熱除去出口ライン56を通り残りの原子炉冷却剤システム13へ戻ることができる。
【0020】
図2を参照すると、逆ポンプ沸騰水型軽水炉用の電気化学腐食電位分析システムが示されている。原子炉12は、燃料集合体18の形状の核燃料を含む。燃料集合体18は、規定の条件下にて、燃料集合体18の核燃料が核放射線の放出による核分裂連鎖反応および熱を生じるように、原子炉12内に配置される。反応により生成された熱は、原子炉12から沸騰水により取り除かれ、蒸気を生成する。沸騰に使用される水は、給水パイプ60を介して原子炉12に移送される。内部ジェットポンプ70を使用し、水を燃料集合体18に強制的に通すことができる。水は、燃料集合体18を通過する際に、蒸気に変化することができる。その後蒸気は、気水分離器62および蒸気乾燥器64を通り、蒸気を原子炉12から遠くへ誘導する蒸気パイプ66へ移動する。水の平均温度分散は、外部再循環パイプ13を通じて水の循環させることにより達成される。水は、原子炉出口パイプ20を通じて原子炉12から取り除かれる。その後、再循環ポンプ80を通じて移送され、次いで原子炉入口パイプ14を通り、原子炉に戻される。
【0021】
図1、および図2を参照すると、システム10のプローブ200、202は、電気化学腐食電位を測定するために、原子炉冷却剤システム13および原子炉12と、隣接システムとの多数の位置に配置可能である。例えば原子炉12に隣接するシステムは、バイパス循環路に位置するオートクレーブ(例えば再生熱交換器)であることができ、原子炉冷却剤は、バイパス循環路のオートクレーブを通って流れることができ、ECPはそこで測定可能である。原子炉12に近い区域の電気化学腐食電位を測定するために、プローブ200、202を原子炉冷却剤入口14および原子炉出口20に配置することができる。また電位測定のために、プローブ200、202を原子炉冷却剤システム13内の任意の場所、例えばジルコニウム材料構造体に配置することができる。また図示されるように、プローブ200、202は燃料集合体18、例えば下部タイプレート、または集合体ノズルに取り付けることができる。図3を参照すると、核燃料集合体18の拡大図が示されている。核燃料集合体18は、濃縮二酸化ウラン燃料の円柱の燃料要素を備える燃料棒104を有する。濃縮二酸化ウラン燃料は、棒104の形状に、ジルコニウム合金金属に覆われている。燃料棒104の通常の長さは、例えば350cm〜450cmである。個々の燃料棒104は、燃料集合体上部110と燃料集合体下部112の中間位置に配置されたスペーサ106を使用することによって相対位置を維持している。制御棒102は、燃料集合体に起こる核反応を減速させるために、燃料棒104の間に挿入するよう構成されている。
【0022】
核反応プロセス中、ジルコニウム被覆は、例えば溶解酸素レベルの上昇による腐食の影響を受けやすい。ジルコニウム被覆核燃料棒の電気化学腐食の感受性を正確に測定するために、電気化学腐食電位システム10は、炉心内部エリア、または(ジルコニウム燃料棒から離れてはいるが)核燃料集合体がジルコニウム被覆の電気化学腐食電位の代表値を提供するのに十分近い炉心外部エリアの電気化学腐食電位を測定する。(加熱されたジルコニウム電極を含む)プローブ200、202は原子炉12の外部に配置され、そこでは主要な放射線分解生成物(例えば水素、酸素、および/または過酸化水素水)の半減期は、このような生成物がプローブ200、202に達する時間を越えない程度に、プローブが原子炉12に十分近接していることが好ましい。つまり、プローブ200、202(および加熱されたジルコニウム電極)は、主要な放射線分解生成物の半分以上がまだ原子炉冷却剤に存在する、原子炉冷却剤システム13内の場所に配置されることが好ましい。プローブ200、202(および加熱されたジルコニウム電極)のこのような位置によって、ジルコニウム燃料棒の正確な状態が、プローブ200、202の測定位置においてさらに近接かつ正確に再現され、それによりプローブ200、202(および加熱されたジルコニウム電極)による、さらに正確かつ有益な電気化学腐食電位測定を行うことができる。原子炉冷却剤システム13の個別の区域の電気化学腐食電を測定するプローブは、原子炉冷却剤システム13全体、例えば上記実施形態の例に記載された給水入口14および原子炉出口20に配置可能であり、これにより発電所操作員が、原子炉構成品の個々の構成品、およびシステム概観全体の双方の感受性を個別に決定することができる。
【0023】
原子炉内部または外部のいくつかの構成品の電気化学腐食電位を測定することにより、材料のタイプおよび位置が密接に関連した構成品は、類似の電気化学腐食性を有する。このため、記載された実施形態の例においては、電気化学腐食プローブは、原子炉12に近いが、中性子束および原子炉12の熱からは十分離れた、核原子炉圧力容器の給水入口14に配置することができる。これらのプローブは、測定された個々の金属成分の電気化学腐食電位に比例する電圧を各プローブが測定するよう構成することができる。次いで測定された値は、導線または他の装置により、このような入力電圧を受け取るよう構成されたポテンショスタットおよび/またはコンピュータのような装置208へ送ることができる。さらに装置208は、電気化学腐食電位の平均値を得るために、原子炉の入口および出口、もしくは原子炉または隣接するシステムの他の位置にて得られた値を平均することができる。装置208は、原子炉冷却剤システム13から離れた位置に配置可能であり、これにより操作員は放射性環境の外にて電気化学腐食電位を監視することができる。
【0024】
電気化学腐食システム10は、少なくとも二つのセンサ200、202を有するプローブを有することができ、これらのセンサうち少なくともひとつは、少なくともひとつのジルコニウム電極を有する。さらに、これらのセンサのうち少なくともひとつは、ジルコニウム燃料棒の他に原子力発電所の構造要素と一致する材料を備えている電極を含むことができる。例えば電極は、配管などの発電所の構造要素に一致するテンレス鋼(例えば300シリーズステンレス鋼)を備えることができる。したがって、特定の構造要素に一致する材料を備える電極による電気化学腐食電位測定を行うことにより、この構造要素は、類似の電気化学腐食電位を有するため、腐食感受性を測定することができる。
【0025】
センサ200、202の少なくともひとつは、ジルコニウム電極を有し、ジルコニウム電極は、燃料棒のジルコニウム燃料被覆の構成要素材料に密接に合致している。それにより、原子炉内部の他の構造部材および配管の腐食電位と比較した燃料要素のジルコニウム被覆材料の腐食電位を示している。ジルコニウム電極は、燃料棒被覆材料として頻繁に使用されるジルカロイを備えることが好ましい。ジルコニウム電極は、燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱されることが好ましい。通常燃料棒表面温度は、約250〜400℃の間、特に約296〜400℃の間である。ジルコニウム電極の加熱は、任意の通常の手段、例えば、加熱棒、または加熱要素をジルコニウム電極へ挿入することにより達成することができる。ジルコニウム電極が燃料棒表面温度とほぼ等しい温度に加熱されるように、加熱棒、または加熱要素は、核燃料棒のワット密度代表値を有するべきである。ジルコニウム電極を燃料棒表面温度に加熱することにより,ジルコニウム燃料棒の正確な状態が、より近接かつ正確にジルコニウム電極に再現され、それによりジルコニウム電極によるより正確かつ有益な電気化学腐食電位測定を行うことができる。したがって、既知の電極および電極の使用方法と比較して、本発明の加熱されたジルコニウム電極は、電気化学腐食を受けるジルコニウム被覆核燃料棒の感受性のより正確な測定を提供する。
【0026】
電気化学腐食電位測定は、二つの異なる方法により成り立つことができる。センサは、センサと基準センサとの間の電圧を測定した後、プローブのセンサへの外部電流の印加により、電気化学腐食電位決定のためのデータを提供することができる。別の方法としては、ポテンショスタットを用いて制御された(電圧制御された)(すなわち少なくとも二つのセンサ間に電圧差が作られた)センサにより提供されたデータから電気化学腐食電位を決定することができる。次いで、二つのセンサ間の電流が測定される。ポテンショスタットを用いて制御された二つのセンサを有するプローブの場合、例えば材料タイプ、サンプル区域、およびサンプル材料のおおよその密度がわかれば、測定電流を腐食率の計算に使用することができる。
【0027】
図4を参照すると、電気化学腐食電位測定のためのシステム10が示されている。第一プローブ200および第二プローブ202は、装置208に接続されている。第一プローブ200および第二プローブ202は、プローブ200、202が取り付けられている表面の電気化学腐食電位測定に使用する内部センサを有することができる。装置208は、個々の第一プローブ200および第二プローブ202の電圧差の確立、または第一プローブ200および第二プローブ202それぞれに、個別の第一導線204および第二206導線を通じた電流の印加、の少なくともひとつが行えるよう構成されている。第一および第二導線204、206それぞれは、導線204、206が過剰な加熱状態にさらされないように配置することができる。そのうえ、装置208に接続されたプローブ200、202のそれぞれは、異なる材料タイプの電気化学腐食電位を決定できるよう、異なるジルコニウム合金材料によって構成されている。また導線204および206は、流れる電流および/または電圧による潜在的な電気的干渉が最小となるように、配置することができる。導線204および206は、装置208と第一プローブ200および第二プローブ202との間に延在する。導線204および206は、プローブ200、202と装置208との間を双方向に電流および/または電圧の送信および受信をすることができる。別の構成においてプローブ200、202は、プローブによって決定されたデータの送信が無線技術によって行われるよう構成することができる。限定されない例として、装置208はポテンショスタットとすることができる。
【0028】
また装置208は、プローブ200、202からのデータを保持することができるコンピュータ210に接続することができる。コンピュータ210は、操作員の裁量により周期的、または連続的にプローブ200、202からのデータを得ることができる。コンピュータ210は、プローブ200、202からのデータをメモリに保持することができ、または、データを付属のプリンタ212、データ記憶装置214および/またはディスプレイ装置216に出力することができる。操作員が放射性環境の外から電気化学腐食電位監視することができるように、装置208、コンピュータ210、プリンタ212、データ記憶装置214および/またはディスプレイ装置216のそれぞれは、原子炉冷却剤システム13から離れた場所に配置することができる。さらに、これらの構成品が原子炉冷却剤システム13から離れた場所に配置されていなくとも、これらの構成品は、これら構成品間のデータ送信が無線技術にて行われる(すなわちデータに遠隔アクセス可能)ように、構成することができる。装置208およびコンピュータ210は、データを取得するために二つ以上のプローブが接続されるように構成することができる。またコンピュータ210は、電気化学腐食電位および得られた腐食率の計算を与えることにより、時間全体での燃料棒104の腐食損傷の量を計算することができる。時間全体での予測損傷量のこの計算を行うことにより、時間を超過した核燃料集合体18の許容安全限界の評価を原子炉操作員に提供する。結果としてこれは、原子炉操作員に、原子炉の停止を計画し、かつ原子炉停止の間どのような作業を完了する必要があるのかを予測するのに十分な時間を与える。
【0029】
また、プローブ200、202および関連した導線204、206は、原子炉燃料集合体18近くにて測定を行うことができるように、原子炉内部に取り付けることができる。プローブ200、202および関連した導線204、206が原子炉圧力容器12内部に取り付けられている場合、プローブ200、202および導線204、206は、原子炉12の予想される中性子束および熱条件に耐えることができるように設計することができる。導線204、206は、原子炉圧力容器12の既存の計装貫通口を通じて配置することができ、それにより、改良することなく既存の原子力発電所にシステム10を取り付けることができる。プローブ200、202は、ジルコニウム合金を含む原子炉圧力容器12内部の構造部材に取り付けることができ、それにより測定が得られる。別の方法としては、プローブ200、202は、燃料集合体18の特定できる部分、例えばノズル108外側のような燃料集合体の終端などに取り付けることができる。プローブ200、202の原子炉12への取り付けは、プローブ200、202からの異物が、通常および事故の状態において冷却水冷却剤蒸気から取り除かれるように行われる。実施形態の他の例においては、プローブまたは個別のセンサ、例えば二つのセンサが原子炉12内部に配置され、その一方で二つのセンサが参照値を提供するために原子炉12の外側に残っている。次いで、原子炉12内部および原子炉12外部のセンサによって得られた測定は、装置、例えばポテンショスタットに提供される。プローブ200、202は、原子炉圧力容器12の底の貫通口、例えば計装用シンブル貫通口から延在可能であり、原子炉12の下部構造部、例えば下層コアプレート、フローミキサープレートまたは下部支持鍛造部に配置することができる。さらにコンピュータ210は、ポテンショスタット208に提供されたデータを用い、電気化学腐食電位を計算することができる。プローブ200、202は、原子炉停止中の容器内での作業中に取り除くことができるように構成され、プローブ200、202の整備は原子炉の運用に対して経済的に厳しい影響を与えない。
【0030】
上記に示したように、本発明の好ましい実施形態において、ジルコニウム電極は、燃料棒表面温度とほとんど等しい温度に加熱されている。既知の電極および電極の使用方法と比較して、本発明の加熱されたジルコニウム電極は、ジルコニウム被覆核燃料棒の電気化学腐食を受ける感受性についてのより正確な測定を提供する。本発明の加熱されたジルコニウム電極によるより正確な測定機能を示すために、実験室の設備にて試験が実施された。
【0031】
典型的な原子力発電所の燃料サイクルの初期の状況(すなわち不純物または表面に堆積したごみがない状態)を模擬するために、実験室の再循環ループが使用され、入口および出口にて水化学を制御するために必要なすべての手段が装備された。(たとえば、伝導率、O2レベル、H2レベルなど)さらに、必要に応じて特定の不純物レベルを提供するために、制御された計量ポンプが再循環ループに設けられている。
【0032】
ジルカロイ燃料被覆に挿入される加熱棒は、BWRにおける典型的な加熱レベルである70W/cm2に加熱されたジルコニウム表面をつくるために使用されている。いくつかの電極が、ジルカロイ燃料棒のECPを測定するために使用された:加熱されたジルカロイ電極(燃料棒表面温度に加熱された)、非加熱タイプ347ステンレス鋼電極および非加熱ジルカロイ電極。プラチナ電極は、電解液のレドックス電位を測定するために使用され、高温度Ag/AgCl電極は参照電極として使用された。図6に示すように原子炉に隣接する(例えば、原子炉容器外側に近接して位置する)再循環オートクレーブを(より小さい尺度にて)模擬するために、集合体は再循環1リットルオートクレーブに取り付けられた。
【0033】
再循環1リットルオートクレーブには、加熱されたジルカロイ電極606(ジルカロイ管の内部)および高温度Ag/AgCl参照電極607への電気的進入を冷却するために、特別に適合された冷却ジャケット601、602、603および604がオートクレーブのふた611に装備されている。電極は、開口部612を介してオートクレーブのふた611から出た。
【0034】
3つの異なるエリアの加熱されたジルカロイ電極の温度は、オートクレーブのふた611に付属の浸漬管によって加熱されたジルカロイ電極の表面近くにもたらされた3つの熱電対605a、605bおよび605cによって測定された。浸漬管は、試験中に熱電対が加熱されたジルカロイ電極に直接接触することを維持するために溶接された小さい鋼鉄の策を有していた。これらは、ECP測定が行われた加熱されたエリアの真ん中(真ん中の熱電対により)と、非加熱エリア(上の熱電対、および下の熱電対)との温度測定を行うような位置にあった。真ん中の熱電対と、非加熱エリアの熱電対との距離は等しく、約4cmであった。加熱されたジルカロイ電極内部の加熱されたエリアの幅は、8cmであり、中央の熱電対の位置の周辺に等しく分布している。この加熱されたジルコニウム電極の例から明らかなように、本発明に従ってジルコニウム電極のECP測定部分のみが加熱される必要がある。(すなわちジルコニウム電極のECPが測定される部分のみが、好ましくは燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱される必要がある(またジルコニウム電極の残りの部分も加熱してもよいが、必要ではない))
【0035】
再循環1リットルオートクレーブ内部においては、レドックス電位を測定するためのプラチナ電極609は、加熱されたジルカロイ電極606、非加熱347SS電極610、および非加熱ジルカロイ電極608のそれぞれからほぼ等しく2cm離れていた。各電極の表面積を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
高温Ag/AgCl参照電極に対する電極の相対距離を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
腐食電位測定は、BWRの圧力および温度条件下にて(すなわち、流体流出温度288℃、86bar、加熱されたジルカロイ電極の表面温度296℃において)行われた。さらに、試験中にいくつかの異なる化学条件が実施された:
・不活性水状態;
・0.68ppm〜1.6ppm3段階の水素噴射;
・2.2ppm〜8ppm3段階の酸素噴射;および
・閉ループ内でのメタノール2ppmおよび酸素2ppm(メタノールリフレッシュなし)。
【0040】
水素噴射コース中の異なる電極によるECP測定を図5に示す。曲線Aは、Pt電極(対水素電極基準(SHE))によって中間の温度(すなわちオーツクレーブ中に冷却剤水あり)にて測定されたECPを表し、曲線Bは非加熱ジルカロイ電極(対SHE)にて測定されたECPを表し、曲線Cは非加熱SS347電極(対SHE)にて測定されたECPを表し、曲線Dは加熱された(燃料棒表面温度に加熱された)ジルカロイ電極(対SHE)にて測定されたECPを表す。曲線EおよびFはそれぞれ、中間の温度および加熱されたジルカロイ電極の温度を示す。試験は、H2レベル=0.8ppm;H2レベル=1.6ppm;および不活性水状態の3つの異なる水条件にて実施された。
【0041】
図5から明らかなように、ジルカロイ電極の温度が燃料棒表面温度(296℃)に上昇する(すなわち、ジルカロイ電極が加熱された)場合、および冷却水のH2レベルが1.6ppm(さらに腐食しやすい)に上昇する場合、加熱されたジルカロイ電極により測定されたECPの結果は(曲線D)は、同じ材料の非加熱電極よって測定されたECPよりはるかに高い(曲線B)。実際、曲線Dは、このグラフの範囲においては約100E/mV曲線Bより高く、腐食率において大きく異なる。したがって、これらの結果は、加熱されたジルコニウム電極は、非加熱ジルコニウム電極に比べ、はるかに正確な(ジルコニウム燃料棒の)ECPの値を提供していることを示し、それによって腐食が発生しそうかどうかについてのさらに有益な指標を提供する。
【0042】
また図5から明らかなように、曲線B(非加熱ジルカロイ電極によって測定されたECPを表す)および曲線C(非加熱SS347電極によって測定されたECPを表す)は、冷却水のH2レベルが1.6ppmに上昇した際の試験部分において、互いに大きく一致する。これはジルコニウムまたはステンレス鋼電極のどちらかを非加熱状態にて使用することは、非常に類似したECP結果をもたらすということを示しており、過度腐食感受性および応力腐食割れ感受性のどちらの指標も示さないように見える。
【0043】
本発明は、原子力発電所燃料サイクル全体を通した核燃料棒の電気化学腐食電位を決定することができる電気化学腐食電位システムを提供する。プローブを燃料集合体近くに配置し、かつジルコニウム電極を加熱することにより、他のシステムでは達成できない、燃料集合体のジルコニウム被覆の電気化学腐食電位の計算を行うことができる。本発明の交換および維持費用は、設備に対する経済的な影響を最小にして、設備の操作員が腐食電位を正確に監視することができる。
【0044】
上述の説明において、特定の模範的な実施形態を参照にして、本発明は説明された。しかし、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明のより広い精神および技術範囲から逸脱することなく、本発明に対し多様な改良および変更をなしうることは明らかだろう。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0045】
10 電気化学腐食電位分析システム
12 原子炉
13 原子炉冷却剤システム
14 冷却水入口
18 燃料アセンブリ
20 原子炉出口
22 加圧器
24 ヒーター制御装置
26 ヒーター
34 制御バルブ
36 残留熱除去ポンプ
38 熱交換器
40 入口/出口
42 蒸気発生器
44 蒸気発生器第二入口
46 蒸気発生器第二出口
48 原子炉冷却剤システム蒸気発生器入口
50 原子炉冷却剤システム蒸気発生器出口
54 残留熱除去入口ライン
60 給水パイプ
62 気水分離器
64 蒸気乾燥器
66 主蒸気パイプ
70 内部ジェットポンプ
80 再循環ポンプ
102 制御棒
104 燃料棒
106 スペーサ
110 燃料アセンブリ上部
112 燃料アセンブリ下部
200 プローブ
202 プローブ
204 導線
206 導線
208 装置
210 コンピュータ
212 プリンタ
214 データ記憶装置
216 ディスプレイ装置
601 冷却ジャケット
602 冷却ジャケット
603 冷却ジャケット
604 冷却ジャケット
605a 熱電対
605b 熱電対
605c 熱電対
606 加熱されたジルカロイ電極
607 高温度Ag/AgCl参照電極
609 プラチナ電極
610 非加熱347SS電極
611 ふた
612 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するシステムであって、
原子炉内または該原子炉に隣接するシステム内のどちらかに配置された少なくとも二つの電気化学センサであって、少なくとも二つの該電気化学センサのうち少なくともひとつの電気化学センサは、ジルコニウム電極を含み、かつ少なくとも二つの前記電気化学センサは、少なくとも二つの該電気化学センサそれぞれが取り付けられた表面の電気化学腐食電位に比例する電圧を測定する、少なくとも二つの電気化学センサと、
前記ジルコニウム電極を加熱する手段と、
少なくとも二つの前記電気化学センサによって生成された電圧を受け入れるために構成された装置であって、少なくとも二つの前記電気化学センサの電圧に基づいてジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するために構成された前記装置と
を備えるジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するシステム。
【請求項2】
前記ジルコニウム電極を加熱するための前記手段が、前記ジルコニウム電極に挿入された加熱棒であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ジルコニウム電極が、前記燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱されていること特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ジルコニウム電極が、約250℃〜400℃の範囲の温度に加熱されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも2つの前記電気化学センサのうち少なくとも1つが、前記ジルコニウム燃料棒以外の原子力発電所の構造要素に一致する材料を備える電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも2つの前記電気化学センサから生成された電圧を受け取るために構成されている前記装置が、ポテンショスタットであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポテンショスタットに接続されたコンピュータをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータに接続されたディスプレイ装置と、
データ記憶装置および前記コンピュータが、無線技術を介して互いにデータを送信するよう構成されている、前記コンピュータに接続されたデータ記憶装置と、
前記コンピュータに接続されたプリンタと
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータが、前記ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するために、少なくとも2つの前記電気化学センサから得られた電圧値を平均化するよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも2つの前記電気化学センサのそれぞれが、ジルコニウム電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも2つの前記電気化学センサのそれぞれが、異なるジルコニウム合金電極を含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも2つの前記電気化学センサが、前記原子炉に隣接したシステムに配置され、前記放射線分解主生成物の半減期が、放射線分解主生成物が少なくとも2つの前記電気化学センサに達する時間を越えない程度に、少なくとも2つの前記電気化学センサが前記原子炉に十分近いことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定する方法であって、
少なくとも2つの電気化学腐食センサのうち少なくとも1つが加熱されたジルコニウム電極を含んでいる少なくとも2つの該電気化学腐食センサを、原子炉内または前記原子炉に隣接したシステム内のどちらかに配置するステップと、
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサの間に電圧を生成するステップと、
前記電圧に誘起された電流を測定するステップと、
誘起された前記電流に基づいたジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するステップと
を備えるジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定する方法。
【請求項14】
前記加熱されたジルコニウム電極が、前記燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱されたジルコニウム電極が、約250℃〜400℃の範囲の温度に加熱されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサが、前記原子炉内に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサの位置が、核燃料集合体の底のひとつおよび上端のひとつであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサが、前記原子炉に隣接したシステム内に配置されていること特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱されたジルコニウム電極が、前記燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱されていること特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱されたジルコニウム電極が、約250℃〜400℃の範囲の温度に加熱されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱されたジルコニウム電極が、前記燃料棒表面温度にほぼ等しい温度に加熱されていること特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱されたジルコニウム電極が、約250℃〜400℃の範囲の温度に加熱されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線分解主生成物の半減期が、放射線分解主生成物が少なくとも2つの前記電気化学センサに達する時間を越えない程度に、少なくとも2つの前記電気化学腐食センサが、前記原子炉に十分近いことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
他の原子力発電所システムと比べて原子力発電所のどのシステムが腐食の危険にあるかを決定する方法であって、
原子炉内または原子炉に隣接したシステム内のいずれかに少なくとも2つの電気化学腐食センサを配置するステップであって、少なくとも2つの電気化学腐食センサのうち少なくとも1つが加熱されたジルコニウム電極を含んでいるステップと、
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサの間に電圧を生成するステップと、
前記電圧に誘起された電流を測定するステップと、
誘起された前記電流に基づいたジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位を決定するステップと、
前記ジルコニウム燃料棒の電気化学腐食電位をジルコニウム構造要素と、ステンレス鋼構造要素と、それらの組合せとから成るグループ部材との電気化学腐食電位を比較するステップと
を備える他の原子力発電所システムと比べて原子力発電所のどのシステムが腐食の危険にあるかを決定する方法。
【請求項25】
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサが、前記原子炉内に配置されていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも2つの前記電気化学腐食センサが、前記原子炉に隣接するシステム内に配置されていることを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−536010(P2010−536010A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509312(P2010−509312)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/014599
【国際公開番号】WO2008/147371
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508330076)アレバ・エヌピー・インコーポレイテッド (7)
【出願人】(509312455)アレバ・エヌペー・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】