説明

電気器具

【課題】該当地データに対応した標準時の設定が容易とし、または省略できる便利で有益なものにする。
【解決手段】選択できる該当地別の標準時の種類を、該当地データ121で液晶表示部101などに表示し、表示した該当地データ121に対する時刻キー102などによる選択入力に基づき、選択された該当地データ121の標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことにより、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の標準時での計時時刻を表示して使用に供する電気器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気器具に計時機能を備え、時刻表示のほか、計時データを利用した各種制御を行うものが多種ある。炊飯器を始めとする調理器においても行われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
因みに、特許文献1は、炊飯器において、計時手段から出力される現在時刻と予約手段により予約設定された予約時刻とを表示手段で表示するのに、日付表示を行うカレンダー手段と、カレンダー手段による表示日付に応じ保温行程での保温温度を制御し、季節による米の性状の相違、季節による室温の相違などの影響を受けることなく年間を通じて良好な保温を実現することができ、延いては炊飯器の商品価値の向上に寄与できる技術を開示している。
【0004】
特許文献2は、調理器において、計時手段が計時する時刻をサマータイムの設定に基づき一定時間繰り上げ、サマータイム解除時には前記繰り上がった時刻を基に繰り下げる制御を行い、サマータイムの設定に従って所定時間早めに機能させることで、日照時間を有効に活用できる技術を開示している。
【0005】
特許文献3は、炊飯器において、商用電源と接続した時点で、受信部を介して標準時刻信号を受信することで、給電停止の間の計時の必要なく、従って、バックアップ電源の必要なく電源投入の間標準時刻をリアルタイムに表示し続けられる技術を開示している。
【特許文献1】特許第2914224号公報
【特許文献2】特許第3306856号公報
【特許文献3】特開2003−24211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いずれにしても、特許文献1〜3に開示の技術は、既に知られる他の電気器具と共に、予め設定された特定の該当地データ標準時の1種類にしか対応しないものである。このため、多くの場合メーカは、商品の仕向け先に応じた標準時を商品の制御系に初期設定して出荷しており、この初期設定に比較的手間が掛かるし、万が一の誤設定に対する対応も必要で、製品コストに跳ね返ってもいる。
【0007】
本発明の目的は、該当地データに対応した標準時の設定が容易とし、または省略できる便利で有益な電気器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するため、本発明の電気器具は、選択できる該当地別の標準時の種類を、該当地データで表示し、表示した該当地データに対する選択入力に基づき、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことを1つの特徴としている。
【0009】
このような構成では、電源の投入などの標準時設定時点で標準計時モードを開始し、最
初に、選択できる該当地別の標準時を表示することにより、操作者に選択対象となる必要種類の標準時を該当地データの違いとして明瞭に示して選択に供した上で、標準時の選択入力に基づき選択された該当地データの標準時での計時、時刻表示を開始する。
【0010】
本発明の電気器具は、また、電源への接続時に標準時計時モードを開始し、標準時の違いに対応した電源の種類を検出して、検出された電源の種類に対応して複数の該当地データが判定される場合は少なくともそれらを表示して選択に供し、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示を行い、判定された該当地データが1つであればその該当地データ標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことを別の特徴としている。
【0011】
このような構成では、標準時の違いに対応して電源の種類がある割合で異なることから、電源への接続時に接続された電源の種類を検出し、検出された電源の種類に複数の該当地データが対応する場合は少なくともそれらを表示して選択に供し、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示とを行うことで、選択すべき該当地データの数を数分の1に低減することができるし、標準時の違いに対応する該当地データが1つである場合は、該当地データの選択なしに、つまり、人為操作なしに接続された電源の種類に対応する該当地データでの標準時の計時と時刻表示が行われる。
【0012】
本発明の電気器具は、また、GPSと、GPSデータから対応する該当地データの標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードと、を備えたことを他の特徴としている。
【0013】
このような構成では、電源の投入を伴う標準時設定時点で標準時計時モードを開始して、GPSデータから対応する該当地データの標準時をごく単純に判定し、判定された標準時の計時と時刻表示を自動的に開始することができる。
【0014】
本発明の電気器具は、また、標準時が異なる該当地データのうちの特定の該当地データまたはおよびそれに対応する標準時に関する通信データを持って後付けされたICタグと、このICタグとの間で通信し、ICタグからの受信データから該当地データの標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことを今1つの特徴としている。
【0015】
このような構成では、標準時が異なる該当地データのうちの特定の該当地データまたはおよびそれに対応する標準時に関する通信データを持つICタグは、後付けしたものとすることにより、仕向け先別に異なる標準時に関する通信データを製造上の作業から独立して付与した電気器具とすることができ、仕向け先において電源が投入されるなどした標準時設定時点で標準時計時モードを開始して、ICタグとの通信による受信データに対応する標準時での計時と時刻表示とを自動的に開始することができる。
【0016】
上記の各発明の電気器具において、さらに、標準時計時モードが実行され選択または設定された特定の該当地データに応じ計時および時刻表示をしている現標準時を基準に、特定の該当地データ以外の他に選択されるべき該当地データに対応する標準時を、現標準時との時間差データとして記憶しておく記憶手段と、表示されている標準時が変更されたとき、現標準時の表示時刻から変更後の標準時に対応する記憶標準時としての時間差分を演算して現標準時の計時と時刻表示とを変更後の標準時に変更するのに併せ、記憶手段に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ以外の選択対象となる他の該当地データの標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換える標準時変更手段と、を備えたことを特徴とすることができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、標準時計時モードにより選択またはおよび設定に応じた特定の該当地データに対応する標準時での計時と時刻表示が行われるのに、併せ、記憶手段に現在標準時に対応する特定該当地データ以外の選択対象となる該当地データに対応する標準時につき、現標準時との時間差データとして記憶される。現標準時が変更されると標準時変更手段が働き、変更後の該当地データに対応して記憶されている標準時の時間差データから変更後の該当地データに対応する標準時を簡易に演算し計時、時刻表示を変更させられるのに併せ、記憶手段に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ以外の選択対象となる他の該当地データの標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換えるので、次に標準時の変更があった場合も簡易な演算で対応できるようにする。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、または種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気器具の1つの特徴によれば、標準時計時モードは、まず、選択できる該当地別の標準時を該当地データの違いとして表示し選択に供するので、選択、設定に戸惑いや間違いがなくなり、メーカでの仕向け先別対応が容易かつ短時間に行えるので製品コストの低減にも繋がる。また、ユーザが標準時を初期設定し、異なる該当地別の移動にて設定し直しをするにも容易に対応されるものとすることができる。また、標準時計時モードを開始するのに、品質管理後や販売後の初期電源投入時を標準時計時モード開始時点として仕向け先別対応や、ユーザによる対応がモード開始操作を省略して始められる利点がある。
【0020】
また、本発明の電気器具の別の特徴によれば、標準時計時モードは電源への接続時に自動的に開始され、検出した接続電源の種類に複数の該当地データが対応する場合、選択すべき該当地データの数を数分の1に低減して表示し選択に供し、ユーザ側での初期使用時にでも容易に間違いにくく対応されるようにできるし、該当地データが1つであればそのまま自動的に対応されて人為的操作を不要とすることができさらに便利である。
【0021】
本発明の電気器具の他の特徴によれば、標準時計時モードが電源投入を伴う所定時点で開始し、GPSデータから対応する該当地データの標準時をごく単純に正確に判定し、その場で必要な標準時の計時と時刻表示を自動的に開始することができるし、仕向け先別やユーザごとの人為的な設定が不要となる利点がある上、異なった該当地データへの移動にも自動的に対応することができる。
【0022】
本発明の電気器具の今1つの特徴によれば、後付けされるICタグは、異なる標準時に関する通信データを持ったものを、電気器具の仕向け先の違いに応じて製造上の作業から独立して付与でき、仕向け先において電源が投入されるなどした標準時設定時点で標準時計時モードを開始して、ICタグとの通信による受信データに対応する標準時での計時と時刻表示とを自動的に開始することができ、仕向け先別の対応が簡単になり、生産性の向上が図れる。
【0023】
上記に加え、さらに、標準時計時モードで選択またはおよび設定に応じた特定の該当地データに対応する標準時での計時と時刻表示が行われるが、現在の標準時はこれと違った標準時の選択によって変更される際、対応する標準時は記憶手段に記憶されている現標準時との時間差データと現在標準時とから演算して簡易に変更することができるし、記憶手段に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ以外の選択対象となる他の該当地データの標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換
えるので、次に標準時の変更があった場合も簡易な演算で対応できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る電気器具の実施の形態について、図1〜図 7を参照しながら詳細に説明し本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載内容を限定するものではない。
【0025】
本実施の形態の電気器具は、特定の標準時での計時時刻を表示して使用に供されるもの全てを含み、図1は電気炊飯器100の場合の一例を示している。電気炊飯器100は図1に示す内部構造を持ち、図2に示すような制御回路23を持ち、特定の標準時での計時時刻を器体2の肩前部上面に設けた操作パネル31上の示すような液晶表示部101に表示して使用に供するようになっている。制御回路23は図3にマイクロコンピュータ22を有し、炊飯は主として、吸水工程、昇温工程、炊き上げ工程、蒸らし工程、を順次に実行して行い、炊飯終了後は選択に従って保温をも行う。そのための加熱手段4として、鍋3を着脱できるように収容する器体2の外装ケース41、内装ケース42間に、主として、金属製の鍋3の底部に対向するメイン加熱コイル11aとその外まわりのコーナまわりに配した側面加熱コイル11bとからなるIHコイル11を設けて、鍋3の対応する部分を加熱コイル11a、11bからの交番磁界によって発熱させて炊飯などを行う。また、補助的な加熱手段4として、さらに、器体2の内装ケース42の胴部外周に側面ヒータ12を巻き付けるのに加え、器体2の開口を閉じる蓋体1の内側に、鍋3の開口を閉じるように支持された金属製の内蓋13の外周との熱結合によって熱伝導させる肩ヒータ14を設けてあり、IHコイル11に併せ、炊飯の工程や炊飯後の保温に適した加熱条件をもってマイクロコンピュータ22により駆動するようになっている。
【0026】
しかし、これに限られることはなく、鍋3および内蓋13の全体を各部に配置した加熱コイルからの電磁誘導にて発熱させ加熱を行うようにしてもよく、土鍋で代表される非金属製の鍋3や内蓋13を採用する場合に適し、この場合は加熱コイルからの交番磁界によって発熱する発熱体を鍋3や内蓋13の適所の外面や内面、あるいは埋め込んで設ければよい。また、逆に、全てヒータでもよいし、また、電気的な制御手段を持ち標準時の表示を行うものであれば、本発明はガス炊飯器にも適用できる。
【0027】
さらに詳述すると、IHコイル11は駆動基板15によってそれに搭載したIGBT16のスイッチング機能を利用した高周波駆動を受け、その時々に必要な加熱容量で出力されるようにしている。駆動基板15上にはIGBT16を始めとする発熱素子が搭載されており、それらを冷却する冷却ファン17が器体2内に設けられている。また、特に発熱の大きなIGBT16等はその冷却効果を高めるためにヒートシンク18に接触させて冷却しやすくしている。側面ヒータ12および肩ヒータ14には電源回路19を通じて100Vの交流電流をそのまま給電し、駆動基板15および操作パネル31の内側に設けたマイクロコンピュータ22を搭載した制御回路23にはそれぞれに必要な直流電流を給電するようにしており、これらは自動炊飯器全体の制御手段6を構成している。
【0028】
器体2に施された蓋体1は器体2の後部にヒンジピン131により起伏できるように枢支されたヒンジ片32に対し着脱できるように嵌め合わされ、ヒンジ片32と一体になった回動によって器体2の上端を開閉できるようになっている。ヒンジ片32には蓋体1を開き方向に付勢するばね33が器体2との間に働かされている。ばね33の付勢による開き動作を制動する制動機構が必要に応じて設けられるし、蓋体1が勝手に開かないように閉じ位置にロックするよう図示しないばねにて付勢したロック爪34が設けられ、ロック爪34をばねに抗して回動させることにより蓋体1がばね33の付勢によって自動的に開かれる。
【0029】
肩ヒータ14は器体2の肩部上面に形成した溝35内に収容して金属カバー36が施され、蓋体1の内側に設けた内蓋13の外周部が金属カバー36に当接して肩ヒータ14の熱を伝導されて鍋3の開口部全域を上方からむら無く加熱するようにしている。蓋体1の中央部には蒸気を適度に外部に逃がす弁37が設けられ美味しいご飯が炊けるようにしている。器体2の外装ケース41と内装ケース42とはそれらの上端部が肩部材43によって連結一体化され合成樹脂製の器体2を構成している。なお、合成樹脂は透磁性を有し、IHコイル11などが鍋3を電磁誘導加熱させる範囲に設ければ有効であるが、他の部分にそのような有効性はなく、他の部材と代替することができる。
【0030】
蓋体1は合成樹脂製の上板44と下板45の間の空間に断熱材46を充填した断熱構造をなし、その中央部の貫通孔47にその上側から前記弁37が挿入され、下側には内蓋13のツマミ兼用の蒸気逃がし筒48が弾性ブッシュ49によって着脱できるように弾性係合している。器体2にはさらに電源コードの巻取りリール51が内蔵され、手提げハンドル52が起伏できるように枢支して外付けされている。
【0031】
器体2の内装ケース42の底部まわりには、合成樹脂製の放射状をしたコイル台53が配置され、IHコイル11を下方から保持するようにしている。コイル台53の各放射状部に形成した下向きの内にはフェライトコア54が設けられて加熱コイル11の働きを助けている。コイル台53の中央部には内装ケース42の中央穴55を前記温度センサ5が貫通して鍋3の底部に当接し鍋3の温度を検出するようにしている。
【0032】
操作パネル31には図3に示すように既述の液晶表示部101のほか、標準時選択・設定に係る時刻キー102や炊飯キー、保温キー、停止キーなどその他の選択、設定キー、および必要な表示部も設けられる。液晶表示部101は標準時の種類とその現在時刻の表示のほか、炊飯や保温の選択メニューや動作状態、その他のメッセージを表示する。なお、制御回路23にはブザー103も搭載し視覚表示とは別に聴覚表示ないしは警告を行う。
【0033】
本実施の形態では、特に、マイクロコンピュータ22の内部機能として計時手段104に併せ、標準時表示制御手段105を持ち、計時手段104に計時させる該当地別の標準時を選択、設定できるようにする。このために選択できる該当地別の標準時の種類を、該当地データ121で表示し、表示した該当地データ121に対する時刻キー102などによる選択入力に基づき、選択された該当地データ121の標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたものとしている。
【0034】
ここで、選択に供する該当地データ121は、具体的な国名、地域名でもよいが多数に過ぎるので図3(a)〜(e)に示すように標準時の種類を示すJST(日本標準時)、EST(東部標準時)、CST(中部標準時)、MST(山岳標準時)、PST(太平洋標準時)などを用いるのが好都合である。また、計時機能を持つ電気器具を生産販売するのに、その生産国、生産地の標準時に合せて計時手段104に計時させ表示する標準時を初期設定しておけばそのまま出荷し販売できる確率が高い。そこで、我が国の場合を例にとれば、JSTで計時、時刻表示が行われるように初期設定すればよく、また、該当地データ121とする「JST」やそれに代わる「日本」の表示を省略しても、日本内の使用に特段の問題は生じない。この場合、初期設定を行う標準時設定時点は、マイクロコンピュータ22や制御回路23の製造段階とすることができるし、製品の組み立て後でもよい。いずれにしても、初期設定段階に見合った電源の投入を伴うことになる。
【0035】
このように、特定の該当地での標準時を初期設定してそれに基づく計時および時刻表示が行われる製品として製造しても、標準時制御手段105は、標準時の選択のための操作、例えば本実施の形態での時刻キー102の操作があったときを次の標準時設定時点として、標準時の選択を伴う標準時計時モードをスタートし、該当地別の標準時を既述のような該当地データ121などとして表示することにより、操作者に選択対象となる必要種類の標準時を該当地データの違いとして明瞭に示して選択に供した上で、標準時の選択入力に基づき選択された該当地データの標準時での計時、時刻表示を開始する。これによって、標準時計時モードは、まず、選択できる該当地別の標準時を該当地データ121の違いとして表示し選択に供するので、選択、設定に戸惑いや間違いがなくなり、メーカでの仕向け先別対応が容易かつ短時間に行えるので製品コストの低減にも繋がる。また、ユーザが標準時を初期設定し、異なる該当地別の移動にて設定し直しをするにも容易に対応されるものとすることができる。また、標準時計時モードを開始するのに、品質管理後や販売後の初期電源投入時を標準時計時モード開始時点として仕向け先別対応や、ユーザによる対応がモード開始操作を省略して始められる利点がある。
【0036】
本実施の形態では、選択できる該当地の標準時は、図3(a)〜(e)に示すように時刻キー102を操作する都度、該当地データ121に伴い対応する標準時の計時および時刻表示がロータリ方式で切り替わって順次に選択されていくようにしており、時刻キー102の操作後所定時間次の操作がないと判断したときに、最終操作時点での標準時が選択されたものとして、以降その標準時での計時、時刻表示が継続してなされるように自動設定する。
【0037】
いずれにしても、現標準時の計時と時刻および該当地データ121の表示は、標準時の初期設定、またはその後の選択設定に応じたものとしてなされるのに対し、現標準時の該当地以外の選択対象となる他の該当地に対応する該当地データ121と、対応する標準時とを記憶手段106に記憶しておくことになるが、選択対象となる各標準時は現標準時を基準にした時間差データとして記憶しておくことにより、表示されている標準時が次の選択、設定によって変更されたとき、現標準時の表示時刻から変更後の標準時に対応する記憶標準時としての時間差分を演算するだけで、現標準時の計時と時刻表示とを変更後の標準時に簡単かつ迅速に変更して、標準時の選択、設定をスピーディに行わせられる。この標準時の変更に併せ、マイクロコンピュータ22は標準時変更手段107を備えて、記憶手段106に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ121以外の選択対象となる他の該当地データ121の標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換える。
【0038】
このように、標準時計時モードにより選択またはおよび設定に応じた特定の該当地データ121に対応する標準時での計時と時刻表示が行われるのに併せ、記憶手段106に現在標準時に対応する特定該当地データ121以外の選択対象となる該当地データ121に対応する標準時につき、現標準時との時間差データとして記憶されるが、現標準時が変更されると標準時変更手段107が働き、変更後の該当地データ121に対応して記憶されている標準時の時間差データから変更後の該当地データ121に対応する標準時を簡易に演算し計時、時刻表示を変更させられるのに併せ、記憶手段106に記憶している選択対象である標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ以外の選択対象となる他の該当地データ121の標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換えるので、次に標準時の変更があった場合も簡易な演算で対応できるようにする。
【0039】
この結果、標準時計時モードで選択またはおよび設定に応じた特定の該当地データ121に対応する標準時での計時と時刻表示が行われるが、現在の標準時はこれと違った標準時の選択によって変更される際、対応する標準時は記憶手段に記憶されている現標準時との時間差データと現在標準時とから演算して簡易に変更することができるし、記憶手段106に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ121以外の選択対象となる他の該当地データ121の標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換えるので、次に標準時の変更があった場合も簡易な演算で対応できるようになる。
【0040】
図3(e)の切り替え表示に移行しても、なお、所定時間未満で次の時刻キー102の操作が行われれば、次の標準時がまだ選択されていないので、表示を図3(a)に戻って変更させていけばよいが、図3(a)の日本標準時設定状態からの標準時変更であることから、変更対象は図3(b)〜図3(e)のうちの1つと見做せるので、図示するように図3(b)に戻って図3(b)〜図3(e)を繰り返すようにするのが合理的である。これは、どの標準時からの変更の場合にも実用して有効であり、これは、選択順位のロータリ変化から現標準時順位を除外する制御であるといえる。
【0041】
このような制御例につき図5に示すフローチャートを参照しながら説明すると、初期設定または選択・設定によって特定の製造地域ないしは仕向け先地域例えば「日本」に対応した標準時1が設定され、計時および時刻表示が行われている環境で、時刻キー102が操作される都度、標準時選択順位を−1して、所定時間、例えば5秒間の設定タイマをスタートさせ、タイマが終了しない間上記の制御を繰り返し、設定タイマが終了するとその時点の標準時選択順位を判定し、例えば2であると、これに対応するEST標準時を、それにつき記憶されている現標準時であるJSTとの時間差データと現標準時JSTとから演算して、時刻表示を演算結果時刻に変更してEST標準時とし、それによる計時が以降続行されるようにする。併せ、変更後の選択対象となる他の該当地に対応する標準時を、変更後標準時の時間差として演算し、記憶データを演算結果に置き換える。つまり、更新する。
【0042】
しかし、これに限られることはなく、該当地データ121は、液晶表示部101に列挙して選択に供してもよく、この場合、列挙された複数の該当地データ121の1つをダイレクト選択すると、選択順位の変更操作やそれの判定制御なしに対応することができる。上記とは別に、電気炊飯器100などの電源への接続時に、標準時計時モードを開始し、標準時の違いに対応した電源の種類を検出して、検出された電源の種類に対応して複数の該当地データ121が判定される場合は少なくともそれらを表示して選択に供し、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示を行い、判定された該当地データ121が1つであればその該当地データ標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたものとすることができる。標準時の違いに対応して電源の種類がある割合で異なることから、以上のように、電源への接続時に接続された電源の種類を検出し、検出された電源の種類に複数の該当地データが対応する場合は少なくともそれらを表示して選択に供し、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示とを行うことで、選択すべき該当地データ121の数を数分の1に低減することができるし、仕向け先の数によっては、標準時の違いに対応する該当地データ121が1つであることもあり、この場合は、該当地データ121の選択なしに、つまり、人為操作なしに接続された電源の種類に対応する該当地データ121での標準時の計時と時刻表示が行われる。
【0043】
なお、電源接続時は、ユーザ側での毎回の電源接続時とすることもできるが、標準時の選択、設定後、該当地間の移動がない限り無駄な制御となるので、標準時の選択、設定を伴う標準時計時モードとなる電源接続時、例えば、ユーザ側での初期使用時、あるいは該当地間移動が原因しての前記時刻キー102の操作などによる標準時変更の意志表示があった場合といった限定タイミングに設定しておくのが好適である。
【0044】
このような制御例につき図6に示すフローチャートに従って説明すると、電源接続時に標準時計時モードを開始して、ます電源の種類、例えば、電圧、周波数などを検出、判定する。電源の種類が判定されると、それに対応する該当地が複数かどうか判定する。複数でなければ、そのまま該当地に対応する標準時での計時、時刻表示を行う。対応する該当地が複数であれば、複数該当地ないしは対応する標準時データを表示して、要選択の告知
をブザー音を伴い視覚表示するなどして行い、選択があると選択された標準時での計時、時刻表示を行う。
【0045】
また、別に、GPSと、GPSデータから対応する該当地データ121の標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードと、を備えたものとすることもできる。これにより、電源の投入を伴う既述の場合と同様の標準時設定時点で、標準時計時モードを開始して、GPSデータから対応する該当地データ121の標準時をごく単純に判定し、判定された標準時の計時と時刻表示を自動的に開始することができる。従って、標準時計時モードが電源投入を伴う所定時点で開始し、GPSデータから対応する該当地データ121の標準時をごく単純に正確に判定し、その場で必要な標準時の計時と時刻表示を自動的に開始することができるし、仕向け先別やユーザごとの人為的な設定が不要となる利点がある上、異なった該当地データ121への移動にも自動的に対応することができる。GPSは該当地の違いに影響がないので、図2に符号111を付して示すように、制御手段23の基板に予め搭載しておくなど内臓品とすることができる。
【0046】
このような制御例につき図7に示すフローチャートを参照して説明すると、標準時計時モードの開始によってGPSデータを読み込み、GPSデータから対応する該当地を判定し、判定した該当地に対応する標準時での計時と時刻表示を行うことになり、制御が非常に単純化する。
【0047】
また、別に、標準時が異なる該当地データのうちの特定の該当地データ121またはおよびそれに対応する標準時に関する通信データを持って後付けされたICタグと、このICタグとの間で通信し、ICタグからの受信データから該当地データ121の標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたものとすることもできる。このように、標準時が異なる該当地データのうちの特定の該当地データ121またはおよびそれに対応する標準時に関する通信データを持つICタグは、後付けしたものとすることにより、仕向け先別に異なる標準時に関する通信データを製造上の作業から独立して付与した電気器具とすることができ、仕向け先において電源が投入されるなどした標準時設定時点で標準時計時モードを開始して、ICタグとの通信による受信データに対応する標準時での計時と時刻表示とを自動的に開始することができる。
【0048】
従って、後付けされるICタグは、異なる標準時に関する通信データを持ったものを、電気器具の仕向け先の違いに応じて製造上の作業から独立して付与でき、仕向け先において電源が投入されるなどした標準時設定時点で標準時計時モードを開始して、ICタグとの通信による受信データに対応する標準時での計時と時刻表示とを自動的に開始することができ、仕向け先別の対応が簡単になり、生産性の向上が図れる。ICタグは例えば、図1に符号112を付して示すように、外装ケース41の前部壁に設けた透孔113を通じて電源基板19などに後付けすればよく、透孔113は銘板シール114で塞いでおけば、不用意な水の侵入を防止できるし、体裁が悪くなるようなことを回避できる。
【0049】
このような制御例につき図7に示すフローチャートを参照して説明する。標準時計時モードの開始によってICタグデータを読み込み、ICデータから対応する該当地を判定し、判定した該当地に対応する標準時での計時と時刻表示を行うことになり、制御が非常に単純化する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、標準時での計時、時刻表示を行うのに、仕向け先や使用地に対応した標準時選択、設定が容易に間違いにくく行える。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気器具としての電気炊飯器を示す断面図である。
【図2】図1の電気炊飯器の電気回路を示すブロック図である。
【図3】図1の電気炊飯器の操作パネルでの液晶表示部と時刻キーとを示し、時刻キーの操作の都度、初期の標準時表示状態から選択順に変化する状態を示す説明図である。
【図4】図1の電気炊飯器での標準時計時モードを実行する1つの制御例を示すフローチャートである。
【図5】図1の電気炊飯器での標準時計時モードを実行する別の制御例を示すフローチャートである。
【図6】図1の電気炊飯器での標準時計時モードを実行する他の制御例を示すフローチャートである。
【図7】図1の電気炊飯器での標準時計時モードを実行する今1つの制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 蓋体
2 器体
3 鍋
4 加熱手段
5 温度センサ
11 加熱コイル
22 マイクロコンピュータ
23 制御手段
31 操作パネル
100 電気炊飯器
101 液晶表示部
102 時刻キー
103 ブザー
104 計時手段
105 標準時制御手段
106 記憶手段
107 標準時変更手段
111 GPS
112 ICタグ
113 透孔
121 該当地データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択できる該当地別の標準時の種類を、該当地データで表示し、表示した該当地データに対する選択入力に基づき、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことを特徴とする電気器具。
【請求項2】
電源への接続時、標準時の違いに対応した電源の種類を検出して、検出された電源の種類に対応して複数の該当地データが判定される場合は少なくともそれらを表示して選択に供し、選択された該当地データの標準時での計時と時刻表示を行い、判定された該当地データが1つであればその該当地データ標準時での計時と時刻示を行う標準時計時モードを備えたことを特徴とする電気器具。
【請求項3】
GPSと、GPSデータから対応する該当地データの標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードと、を備えたことを特徴とする電気器具。
【請求項4】
標準時が異なる該当地データのうちの特定の該当地データまたはおよびそれに対応する標準時に関する通信データを持って後付けされたICタグと、このICタグとの間で通信し、ICタグからの受信データから該当地データの標準時を判定し、判定された標準時での計時と時刻表示を行う標準時計時モードを備えたことを特徴とする電気器具。
【請求項5】
標準時計時モードが実行され選択または設定された特定の該当地データに応じ計時および時刻表示をしている現標準時を基準に、特定の該当地データ以外の他に選択されるべき該当地データに対応する標準時を、現標準時との時間差データとして記憶しておく記憶手段と、表示されている標準時が変更されたとき、現標準時の表示時刻から変更後の標準時に対応する記憶標準時としての時間差分を演算して現標準時の計時と時刻表示とを変更後の標準時に変更するのに併せ、記憶手段に記憶している標準時データを、変更後の標準時に対応する該当地データ以外の選択対象となる他の該当地データの標準時につき変更後の標準時との時間差データとして書き換える標準時変更手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−19666(P2010−19666A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179925(P2008−179925)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】