説明

電気式選択レバーモジュール

本発明は、自動車のオートマチックシフトトランスミッションのギアシフトシグナルを発生するための電気式選択レバーモジュールに関する。ギア選択レバーのメインシフトレーンP,R,N,D内での通常の旋回は、角度センサーのための回転動作に転換される。角度センサーは導体板上に配置されており、ローターによって非接触に作動させられる。ローターのガイドを、角度センサーに対して相対的に、可能な限り少ない部材、かつ可能な限り少ない公差でもって保証するために、ローター(9)は、導体板(5)の丸められた部分を取り囲むか、または導体板(5)に固定されえたローターガイドをフォーク状に取り囲む。シフトレーンの方向に対して横向きに行われるギア選択レバー(1)の動作(これはシフトゲートに応じて手動のギア選択のためのタップ動作であるかまたは第二のシフトレーン内へのレーンチェンジであり得る)は、本発明に従い、横動作を担当する第二の別のセンサー(7)が角度センサーであるように転換される。これに対応して、付随する横発振抑制要素(渦巻き流発振抑制要素)のためのキャリアもまた同様にある種のローターであり、このローターがここでは縦長のタップレバー(30)の形状で形成されており、回転可能に支承されている。ギア選択レバーの機械式の連結ポイントは、スライダー(13)の短いキャップであり、これら両方はシフトゲート動作のためのローター(9)に属しており、かつ回転可能に支承される横動作のためのタップレバー(30)を動かす。スライダーは、ローター(9)に対して相対的にレールの中を動き、これはローター(9)において直接放射方向に行われるか、ローターの回転中心に対して接線方向に(補助装置において)行われる。ローターは、スプリングシステムを使って導体板(5)に押さえつけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許文献1から公知であるような、自動車のオートマチックシフトトランスミッションのギアシフトシグナルを発生するための電気式選択レバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
この文献は、基本的に、二つのグループのセンサーと、ギア選択レバーの動作をセンサーに伝達する機構を有する導体板を開示している。公知のゲートタイプギアシフトユニット内には、ギア選択レバーのシフトレーンに対して相対的にずらされた側方にセンサー技術が存在しており、その際、導体板は、シフトレーンの平面に対して特に平行に配置されている。この電気式選択レバーモジュールは、作動に関しとても信頼性が高く、その構成のサイズはほとんどの適用範囲に対して適当である。しかし、存在する取付け空間が十分でないかもしれない適用範囲がある。
【0003】
それゆえ、本発明は、特許文献2に記載されるような電気式選択レバーモジュールにも関する。この文献内では、電気式選択レバーモジュールに対し、電気技術上の信頼性を維持しながら少ない取付け空間で済ませるという課題が解決されているので、モジュールは、様々な車両サイズにとって適当である。この解決策においては、導体板は、シフトレーンに対してもはや側方かつ平行に配置されず、横向きの方向づけでシフトレーンの前に置かれている。結果、ギア選択レバーのシフトレーンD,N,R,P内での動作は、導体板のセンサー側の方に向けられる。このような方向付けは、ギア選択レバーを導体板の領域においてセンサー操作構成要素と結びつける機構の新しい構造を前提としている。
【0004】
この機構の入口側と出口側では、つまりギア選択レバーに入力され、導体板に出力される動作の際には、発明に従い、モジュール内で特許文献1および2に従い実証されたという原則にとどまっている。メインのシフトレーンP,R,N,D内での通常のギア選択レバーの旋回は、角度センサーのための回転動作に変換される。角度センサーは導体板上に配置されており、ローターによって(好ましくは非接触式に)作動させられる。
【0005】
シフトレーンの方向に対して横向きに行われるギア選択レバーの動作は、シフトゲートに応じて手動ギア選択のためのタップ動作であるか、または他のシフトゲートでは第二のシフトレーン内へのレーンチェンジであり得る。特許文献2では、この横動作が直線的に別のセンサーのために転換される。このセンサーは、ストロークセンサーとして同様に導体板上に配置される。この箇所で、特許文献2に従う機構の改良が必要であることがわかった。従来の方法においては、破損の認識の際に問題が生じる。ギア選択レバーの動作は、球状延長部分を有するステーによって本発明に係る機構に伝達される。過剰要求または誤使用によってもしこのステーが破損した場合、このエラーは従来は検出することができなかった。
【0006】
更に、角度センサー発振抑制要素に対して追加的に設けられる発振抑制要素の別のガイドもまた問題としては判明した。シフトレーンの方向に対して横向きに行われるギア選択レバーのこの動作を転換する際に、過加圧または誤使用によってセンサー技術による評価が不正確となるということが起こり得る。
【0007】
最後に、特許文献2に従う球状延長部分を有するステーの動作軌道内にある公差もまた機械的に相殺されるべきであり、これで評価における不正確さを引き起こさない。
【0008】
最後に、ローターのガイドもまた、角度センサーに対して相対的に、可能な限り少ない部材、かつ可能な限り少ない間隔公差でもって保証されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許明細書 DE 103 19 720 B3
【特許文献2】独国特許明細書 DE 10 2006 021 078 B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の積極的課題は、ギアシフトシグナルを発生させるための電気式選択レバーモジュールにおいて、
・ ステーの破損によって行われる機械的連結ポイントのリリースを認識すること、
・ 出来る限り少ない部材で済ませること、
・ シフトレーンに対して縦および横向きに行われるギア変換レバーの動作を転換するための発振抑制要素をできるだけ正確に案内すること、
・ しかも、連結されたギア変換レバーの動作軌道が機械的公差の結果ぶれた時にもそうであることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この解決は、請求項1または代替として請求項28による、角度センサーを有する電気式選択レバーモジュールによって成される。特に信頼性の高い角度センサーが、請求項30および35から生じる。目的にかなった改良形が、各従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明の新しい点は、横動作に適した第二のセンサーがまた角度センサーであるという点にある。これに対応して、付随する横発振抑制要素のためのキャリアもまた同様にある種のローターであり、このローターがここでは縦長のタップレバーの形状で形成されており、回転可能に支承されている。ギア選択レバーのステー延長部分の機械式連結ポイントは、二役重複的(ein doppelter)である。シフトレーン動作のためのローターも、横動作のために回転可能に支承されたタップレバーもまた、連結ポイント内の共通な短いキャップを使って動かされる。キャップは、スライダーとしっかりと接続されており、タップレバーの空所内で可動に案内されている。
【0013】
スライダーは、ローターに対して相対的にレール内を動くことができる。特別な実施形では、レールは、スライダーのためにローター内に直接放射方向に統合されておらず、縦スライダーを使って補助装置に回転中心に対して接線方向に配置されている。これによって、スライダーの所定の動作の際に、ローターが(軽度であれ)引きずられて動くということが排除可能である。この好ましくない動作とは、例えばユーザーによって引き起こされるギア選択レバーの過加圧または刺激である(誤使用)。特別な実施形においては、部材として縦スライダー、レールを有する補助装置およびローターの延長アームが付け加えられる。
【0014】
重要な別の発明の特徴は、導体板の丸められた縁を取り囲むか、または導体板上に固定されるローターガイドをフォーク状に囲むローターの正確な案内である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】自身の動作を本発明に係る選択レバーモジュールに伝達するギア選択レバーが支承されるシフトゲートを有するハウジング
【図2】本発明に係る選択レバーモジュールの斜視分解図
【図3a】本発明に係る選択レバーモジュールの上面図、ローター位置はギア選択レバーの位置Dに相当する
【図3b】図3と同様の上面図、ローター位置は、ギア選択レバーの位置Pに相当する
【図3c】ローターおよびタップレバーを有する本発明に係る選択レバーモジュールの斜視図、連結ポイントの位置は、ギア選択レバーの「破損時の逸脱」位置に相当する
【図4】選択レバーモジュールの導体板の図、角度センサーのコイルの可能な配置が見られる
【図5a】本発明に係る選択レバーモジュールの別の実施例の上面図、ローター位置は、ギア選択レバーのシフトポジションSに相当する
【図5b】図5aと同様の上面図、ローター位置は、ギア選択レバーのシフトポジションDに相当する
【図5c】図5aおよび5bと同様の上面図、ローター位置は、ギア選択レバーのシフトポジションPに相当する
【図6】図5b(シフトポジションD)と同様の上面図、シフトレーンチェンジによって横動作がタップレバーに伝達され、第二のシフトレーン内でタップ動作M+が実施される
【図7】図5b(シフトポジションD)と同様の上面図、シフトレーンチェンジによって横動作がタップレバーに伝達され、第二のシフトレーン内でタップ動作M−が実施される
【図8】スプリングシステムおよび導体板を有する本発明に係る選択レバーモジュールの互いに分解された斜視図
【図9】図8の、スプリングシステムを有し、しかし導体板は有さない本発明に係る選択レバーモジュールの互いに分解された斜視図
【図10a】特に有利な角度センサーの互いに分解された斜視図、導体板のセンサー側からの図
【図10b】図10aと同様の角度センサー、導体板の下側からの図
【図11a】図10aによる角度センサーのセンサー側からの図、組立てられた状態
【図11b】図10bによる角度センサーの下側からの図、安全ねじは除外
【図11c】図10bによる角度センサーの下側からの図、組立てられた状態
【図12a】角度センサーの別の実施例の互いに分解された斜視図、導体板のセンサー側からの図
【図12b】図12a同様の別の角度センサー、導体板の下側からの図
【図13a】図12a同様の別の角度センサー、センサー側からの図、組立てられた状態
【図13b】図12b同様の別の角度センサー、下側からの図、組立てられた状態
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を、図面を基に以下に説明する。
【0017】
次の表は、シフトゲート(Schaltkulisse)のレイアウトの三つの実施例を示す。選択レバーモジュール内でのこの動作のシフトは、図1から4に認められる。
【0018】
【表1】

【0019】
ここでレイアウト1は、一つのシフトレーン内の通常のポジションP,R,NおよびDを有する単一のシフトゲートと、自動ドライビングポジションDからシフト位置D+およびD−への、公知のTIPTRONIC(R)の形式での手動ギア選択を可能とする横向きの動作を表している。シフトレーン内では、ポジションP,R,NおよびDが横切られ、その後選択レバーモジュール内でローター9によって検出される、D+またはD−への横動作は、回転可能に支承されるタップレバー30によって検出される。
【0020】
左ハンドルまたは右ハンドルのためのレイアウト2および3においては、センサー機能は、以下のとおりである。
【0021】
・ メインシフトレーン内ではタップレバー30は動かされず、位置P,R,N,DおよびSはローター9によって検出される。
【0022】
・ DからMへのレーンチェンジは、タップレバー30によって検出され、レール11内に案内されるスライダー13を使ってローター9に合わされる。
【0023】
・ これらレイアウト2および3において、ギアシフトレーンに平行に位置するタップレーンM+およびM−内では、ここでもまたローター9が、ただし今度はレーンチェンジの為に、延長または短縮されたスライダー13を有して有効である。
【0024】
全レイアウトに対する追加のエラー機能として以下が有効である。
【0025】
・ 例えば、ステー19の破損によってタップレバー30が連結ポイントでリリースされると、回転スプリング29がタップレバーをきわめて側方の位置に押す。この位置で、別のセンサー7によってエラー検出が行われ、つまりタップレバー30が別のコイルセンサー7上に特別なシグナルを発生させるか、またはシグナルを発生させず、いずれにせよ通常のレーンチェンジセンサーおよび横センサー上へはシグナルを発生しない。
【0026】
・ ローター9はまた、予荷重をかけられたスパイラルスプリング35によって保持されている。このため、ローター9は破損の際には、活動領域から押し出されるということが保証されている。
【0027】
両角度センサー3および7のコイルは冗長的である。つまり、第一にエラーを修正し、第二にエラーを識別するよう、少なくとも二つのアーチ内に配置されている。円状に配置されたコイルの上方には、非接触に作用する各発振抑制ローター9または30が存在している。発振抑制ローター9は、シフト位置P,R,N,D,Sの検出のためにレール11を介してスライダー13と直接連結されている。スライダー13のキャップ37は、他方ではタップレバー30の空所部内に案内もされている。
【0028】
タップレバー30のお陰で、車両ハンドルに起因し存在する過加圧および誤使用、または公差によって若しくは非平坦な路面を走行することによって発生する機械的な影響が相殺される。新しい形式のタップレバー30によって、一定で変調を受けることの無い、センサー技術による評価を楽にするシグナルが得られる。
【0029】
タップレバー30の下側の面、角度センサー7を有するレーンチェンジ検出フィールドの領域内には、別の角度センサー7のコイルの発振を抑制する発振抑制要素が存在している。このコイルは、レーンチェンジを検出するために使用される。レーンチェンジの後新たに、第一のローター9のスライダー13は自身のガイドに沿ってタップレバー30内を動かされる。タップM+,M−は、シフトゲートのこのレイアウト2またはレイアウト3においては、第一のローター9によって検出される。
【0030】
アタッチメント(球状延長部分21を有するギア選択レバー1のステー19)の破損を識別できるよう、タップレバー30の回転軸受内に、予負荷をかけられたスプリング29が組み込まれている。アタッチメント19,21が破損した場合、これは通常、タップレバー30がその元の位置で保持されることに通じ、この場合、スプリングは負荷解放され、別の角度センサー7の通常の発振抑制領域からタップレバー30を外へ押し出す。通常の機能領域の外側では、破損を検出するオプションのコイルが設けられるか、または当該破損が存在することが、エラーを含む若しくは誤った通常シグナルにより認定されることも可能である。
【0031】
特許文献2の先行技術内で使用されるキャップ37は、本発明に係る構造ではスライダー13の中に統合されているので、これは上述したタップレバー30内に案内されることが可能である。本発明に係る装置においては、タップレバー30は同時に、導体板5への間隔保持機構としても使用されている。機械的な連結ポイントを、支持導体板に対して押さえつけている所には、(図面には示されていない)スライド軌道が設けられている。
【0032】
図5a,5bおよび5cには、本発明の別の実施例が、ギア選択レバーの三つのシフトポジションS,DおよびPにおいて表されている。スライダー13のためのレールは、先に記載した実施例と異なり、直接ローター9内に統合されていない。むしろレールはローター9から離れ、位置固定の補助装置によって別体として選択レバーモジュール内に設けられている。
【0033】
この実施例は、大部分で先に記載した構成と同一であるが、新しい部材として縦スライダーがある。これはレールを有する補助装置であり、その上ローター9の延長アームである。縦スライダーは、可動にセットされており、つまりレールと位置固定の補助装置の間をスライド可能である。縦スライダーは、今や、ギア選択レバー1のシフトレーン内での縦動作を受け入れる。補助装置は、全構成の上方に存在している。
【0034】
スライダー13は、縦スライダーの内部に案内されている。同時にローターの延長アームが、縦スライダーと連結されるに至り、ギア選択レバーがシフトレーン内で意図された縦動作をする際に、常にローターがともなって動かされる。センサーコイル、発振抑制要素および安全スプリングは、上述された実施例とまったく同様に実施される。
【0035】
一方向にだけ移動可能な縦スライダーの内部でのスライダー13のガイドによってと、ローターが延長アームを使って運ばれることによって、ローターは誤使用の場合、ともなって動かされない。このようにして常に明白なシグナルが得られる。
【0036】
図6および7には追加的に、シフトポジションDからのシフトレーンチェンジが示されている(図5b参照)。横動作は、スライダー13とそのキャップを介して、回転可能に支承されるタップレバー30の旋回動作へと通じる。新しいシフトレーン内では、その後タップ動作M+およびM−が実施可能であり、このタップ動作は、更新されて、ローターの延長アームへの相応する伝達を伴う縦スライダーの縦動作へと通じる。
【0037】
以下の更なる利点が、本発明に係る装置より生じる。
【0038】
・ タップレバー30の回転ポイントがスライドすることによって、角度の置換を希望により調整することが可能である。選択レバー1によって進まれた道程は、小さい角度から大きな角度へと置き換えられることが可能であり、また逆も可能である。
【0039】
・ 本発明に係る装置は、あらゆる形式のオートマチックトランスミッションのために設計されており、つまり位置認識は、H,X,Tレイアウト等といったあらゆるレイアウトに対して実現可能である。
【0040】
・ 追加的な安全機能が実現されたにもかかわらず、当該選択レバーモジュールは、特許文献2による先行モデルと同様場所を取らない。
【0041】
図8および9は、必ずしも必須ではないが所定の状況では有利である、可能な選択レバーモジュールの改良形を示している。揺さぶられた場合、ローターは導体板から離れて動くことがありうる。回転軸受が磨耗した際にも、ローターと導体板の間の距離は変化し得る。この機械的変調は、図8および9のスプリングシステムによって相殺される。スプリングシステムは、ガイド要素32を有する圧力スプリング31と、軸受内のローター軸に接するドームを使った収容部33とからなる。圧力スプリング31は、収容部33によってドームを用いておよびローター9内のガイド要素32を介して予負荷をかけられている。ローター9は、閉じられた収容部33を備えており、スプリングシステムを用いて常に一定に導体板5に対して押さえつけられている。スプリングシステムを選択レバーモジュール内に統合することは、必ずしも必要ではないが、別のスプリング31を使用することにより以下の利益が生じる。
【0042】
・ 揺さぶられた場合に、ローター9が、もはや導体板5から離れて動かされない。これによってシフトポジションが常に正確に検出される。
【0043】
・ 揺さぶられた場合に、検出されたシグナルが間欠し途切れ得ない。ローター9が、導体板5の切断軸にそってずり落ち、その後その元来の位置を取ることが起こらない。シグナルは一定である。
【0044】
・ 揺さぶりの問題は、ローター9の磨耗によって強められる。この場合、ローター9は、より多くの遊びを持ち、導体板5の切断軸に沿って容易にスライドしてしまうかもしれない。シグナル認識のための間隔は変動するかもしれない。予負荷をかけられたスプリング31によって、この磨耗が相殺される。
【0045】
図10および11には、本発明に係る選択レバーモジュールの特に重要なアセンブリーのための別の実施例が表されている。図10a(導体板のセンサー側上面図)および図10b(導体板の下側の図)の分解図から、これらセンサーのためには少ない数量の部材が必要であることがわかる。アセンブリーは、スパイラルスプリング35、スライダー13、ローター9、導体板5およびオプションとしての安全ねじ41からなる。導体板5は、冗長的に実施されるアーチ状に配置されたセンサーコイルを支持している。コイルは、一方ではシフト位置P,R,N,Dのための回転動作の検出のために使用され、他方ではレーンチェンジの検出のために使用される。特に図12aからわかるように、コイルの上方には、組み込まれたスライダー13を有するローター9が存在している。ローター9は予負荷をかけられたスパイラルスプリング35によって保持されており、ゆえに変調の場合、活動領域から外へ出されることが可能である。図11cを参照すると、スナップフック42を使ってローター9が軸受内に保持されている。一般的に、ローター9は導体板5上に単に引っ掛けられているだけである。安全ねじ41は不可欠ではなく、追加的にオプションとして固定のために使用されることができる。
【0046】
ローター軸受の特別な点は、まず回転軸受近傍の三つのフックにある。これらフックは、可動のソケット連結部として導体板5に差し込まれる。ローター9の対抗する端は、導体板5をアーチ状の縁で取り囲んでいる。導体板5のこの領域内では、(図示されていない)スライド軌道が存在しており、このスライド軌道は、ローター9が導体板5に案内されるよう作用する。導体板5の背後の側にもやはりスライド軌道が存在しており、ローター9のスライドがサポートされる。それゆえローター9は導体板5と直接接触しており、同時にこの上を案内されている(図11a,11bおよび11c)。これによってローター9の発振抑制要素は、導体板5のコイルに対して常に一定の距離を有するので、このセンサー技術の最も重要な前提条件の一つが満たされる。温度影響によるローター9の歪みは、もはや導体板から持ち上がることに通じない。導体板5のたわみに関する製造上の公差もまた、間隔にはもはや影響しない。ローター9の両側の案内によって導体板5上では強制ガイドが生じる。
【0047】
強制ガイドを有する角度センサーのための別の例が図12および図13から見てとれる。この場合、別体式のローターガイド39が導体板5の取り囲みの代わりに設けられている。図13aによると、ローターガイド39は、導体板5上で固定されている。固定装置として、図13では例えばスクリューコネクションが背面に設けられているが、ソケットによる接続またはフックによる接続もまた可能である。図12aおよび図13aでは、ローター9のローターガイド39を使っておよびその発振抑制要素を使って、導体板5のコイルに対する一定の距離が保持されている。このため、ローターが例えば温度の影響によってゆがんだときに、コイルと発振抑制要素の間の距離は変化することが無い。
【符号の説明】
【0048】
1 ギア選択レバー
3 角度センサー
5 導体板
7 別のセンサー(角度センサー)
9 ローター
11 レール
13 スライダー
15 回転軸受
16 スライド軌道
19 ステー
21 球状延長部分
29 スプリング
30 タップレバー
31 圧力スプリング
32 ガイド要素
33 軸収容部
35 スパイラルスプリング
37 キャップ
39 ローターガイド
41 安全ねじ
42 スナップフック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気式選択レバーモジュールであって、
・ ギア選択レバー(1)のシフトレーン動作(P,R,N,D;P,R,N,D,S)を、導体板(5)上に配置される角度センサー(3)のための回転動作に変換するため、
・ および、シフトレーンの平面に対して横向きに行われるギア選択レバー(1)の動作(D+;D−;M)を、同様に導体板(5)上に配置される別のセンサー(7)によって検出される動作に転換するための機構を有する電気式選択レバーモジュールにおいて、
この機構内で可動の要素として、
・ 角度センサー(3)を作動させるためのローター(9)、
・ ローター(9)において、回転動作の間長さが変動するレバーアーム(11,13,15)として、ローターの回転平面内で半径方向に案内されるスライダー(13)であって、
その際、ローター(9)の付随する角度位置内で行われるギア選択レバー(1)の、シフトレーンの平面から外への横動作(D+,D−;M)の際に、レバーアーム(11,13,15)の追加的な長さ変更が、タップレバー(30)の回転動作として別のセンサー(7)のために使用可能であるスライダー(13)、
または、縦スライダーを介してローター(9)によって補助装置に案内されているスライダー(13)、
・ 球状延長部分(21)を介してスライダー(13)のキャップ(37)にかみ合っているので、軸方向でキャップ(37)を指すギア選択レバー(1)の各動作要素が、これら動作要素を先送りすることなく相殺され、一方、ギア選択レバー(1)の、導体板(5)内に位置する残りの動作要素が、両回転動作に転換されるギア選択レバー(1)、
が協働することを特徴とする電気式選択レバーモジュール。
【請求項2】
シフトレーン(P,R,N,D,S)の平面に対して横向きに行われるギア選択レバー(1)の動作(D+,D−)が、シフトゲート内でのギアの手動でのシフトアップまたはシフトダウンのためのタップ動作であることを特徴とする請求項1に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項3】
シフトレーン(P,R,N,D,S)の平面に対して横向きに行われるギア選択レバー(1)の動作(M)が、シフトゲート内の別のシフトレーン(M+,M,M−)へのレーンチェンジであることを特徴とする請求項1に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項4】
別のシフトレーン(M+,M,M−)内で、ギアの手動でのシフトアップまたはシフトダウンのためのタップ動作(M+,M−)が実施可能であることを特徴とする請求項3に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項5】
別のシフトレーン(M+,M,M−)内でのタップ動作が、タップレバー(30)の回転動作に転換されることを特徴とする請求項4に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項6】
角度センサー(3,7)が複数のフラットコイルを備え、これらフラットコイルが、円セグメント上で互いに近接して並べられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項7】
角度センサー(3)が、互いに近接して並べられた別のフラットコイルを有する、予備の円セグメントを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項8】
導体板(5)が、角度センサー(3,7)に背を向ける側にスラスト軸受を有しており、このスラスト軸受が、ローター(9)を支承するためのピボットとともに導体板(5)に差し込まれていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項9】
ローター(9)が、フラットコイルのインダクタンスに影響を及ぼすための、少なくとも一つの電気伝導性の操作構成要素を有していることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項10】
スラスト軸受が、導体板(5)に差し込まれるブリッジによって固定されていることを特徴とする請求項8に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項11】
ブリッジが、ローター(9)をカバーするためおよび案内するためのハウジングを有していることを特徴とする請求項10に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項12】
スライダー(13)がローター(9)に対して相対的に、つまりローター(9)に対してかまたは補助装置に対して、レール(11)内を案内されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項13】
タップレバー(30)が、別のセンサー(7)に影響を及ぼすための電気伝導性の操作構成要素を有していることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項14】
タップレバー(30)が、スライダー(13)のキャップ(37)によって動かされることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項15】
別のセンサー(7)が、円セグメント上に互いに近接して配置される複数のフラットコイルを備えていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項16】
ステー(19)の球状延長部分(21)が、スライダー(13)のキャップ(37)内でスライド可能に案内されていることを特徴とする請求項14に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項17】
タップレバー(30)が、材料破損の場合のために、スプリング(29)を使って予負荷をかけられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項18】
スプリング(29)が、スパイラルスプリングであることを特徴とする請求項17に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項19】
タップレバー(30)が、材料破損の後にスプリング(29)を使って破損認識コイルを有する位置に押しこまれることを特徴とする請求項17または18に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項20】
タップレバー(30)が、材料破損の後にスプリングを使って、コイルを有さない位置に押し出され、シグナルが発生しないことを特徴とする請求項17または18に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項21】
スライダー(13)が縦スライダー内で案内されており、この縦スライダーがレールを使って自身の側で位置固定の補助装置内で案内されていることを特徴とする請求項12に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項22】
縦スライダーが、ギア選択レバー(1)のシフトレーン動作(P,R,N,D)を受け入れていること、およびスライダー(13)がギア選択レバー(1)の横動作(D+,D−,M)のみを受け入れていることを特徴とする請求項21に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項23】
ローター(9)が、縦スライダーと連結される延長アームを備えていることを特徴とする請求項21または22に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項24】
スプリングシステム(31,32,33)がローター(9)を軸方向で導体板(5)に押さえつけていることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項25】
回転軸受(15)が、閉じた軸収容部(33)を備えていることを特徴とする請求項24に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項26】
スプリングシステムが圧力スプリング(31)を備えていることを特徴とする請求項24および25に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項27】
スプリングシステムが、回転軸受(15)の閉じた軸収容部(33)内に挿入可能なガイド要素(32)を備えていることを特徴とする請求項24、25または26に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項28】
電気式選択レバーモジュールであって、
・ ギア選択レバー(1)のシフトレーン動作(P,R,N,D;P,R,N,D,S)を、導体板(5)上に配置される角度センサー(3)のための回転動作に変換するため、
・ および、シフトレーンの平面に対して横向きに行われるギア選択レバー(1)の動作(D+;D−;M)を、同様に導体板(5)上に配置される別のセンサー(7)によって検出される動作に転換するための機構を有する電気式選択レバーモジュールにおいて、
この機構内で可動の要素として、
・ 角度センサー(3)を作動させるためのローター(9)、
・ 縦スライダーを介してローター(9)によって補助装置に案内されているスライダー(13)、
・ 球状延長部分(21)を介してスライダー(13)のキャップ(37)にかみ合っているので、軸方向でキャップ(37)を指すギア選択レバー(1)の各動作要素が、これら動作要素を先送りすることなく相殺され、一方、ギア選択レバー(1)の、導体板(5)内に位置する残りの動作要素が、両回転動作に転換されるギア選択レバー(1)、
が協働することを特徴とする電気式選択レバーモジュール。
【請求項29】
請求項2から27に記載の別の一つの特徴または複数の追加的な特徴を有することを特徴とする請求項28に記載の電気式選択レバーモジュール。
【請求項30】
導体板(5)に配置される角度センサー(3)、特に請求項1から29のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール内で使用するためのものであって、
角度センサー(3)を作動するためのローター(9)、およびローター(9)において、回転動作の間長さが変動するレバーアーム(11,13,15)として、ローターの回転平面内で半径方向に案内されるスライダー(13)を有する角度センサー(3)において、
ローター(9)が、導体板(5)の丸められた縁を、接線方向に案内されて取り囲むことを特徴とする角度センサー(3)。
【請求項31】
ローター(9)が、スナップフック(42)を使って導体板(5)に回転可能に直接はめ込まれていることを特徴とする請求項30に記載の角度センサー(3)。
【請求項32】
ローター(9)の回転軸受(15)に接する、接線方向に作用するスパイラルスプリング(35)を特徴とする請求項30または31に記載の角度センサー(3)。
【請求項33】
ギア選択レバー(1)のシフトレーン動作(P,R,N,D)を回転動作に変換するための機構部品としての請求項30から32に記載される角度センサー(3)であって、
ギア選択レバー(1)が球状延長部分(21)を介してスライダー(13)のキャップ(37)にかみ込んでいるので、軸方向でキャップを指すギア選択レバー(1)の各動作要素が、これら動作要素を先送りすることなく相殺され、一方、ギア選択レバー(1)の、導体板(5)内に位置する動作要素がローター(9)の回転動作に転換されることを特徴とする角度センサー(3)。
【請求項34】
ギア選択レバー(1)の、シフトレーンの平面に対して横向きに行われる動作(D+,D−;M)が、同様に導体板(5)上に配置される別の角度センサー(7)によって検出される回転動作に転換され、
その際選択レバー(1)の横動作(D+,D−;M)が、シフトレーンから外へ出て、ローター(9)の付随する角度位置で行われ、
およびその際、レバーアーム(11,13,15)の追加的な長さ変化が、タップレバー(30)の回転動作として別の角度センサー(7)のために使用可能であることを特徴とする請求項33に記載の角度センサー(3)。
【請求項35】
請求項2から27に記載の一つの追加特徴または複数の追加特徴を有することを特徴とする請求項30から34に記載の角度センサー(3)。
【請求項36】
導体板(5)上に配置される角度センサー(3)、特に請求項1〜29のいずれか一項に記載の電気式選択レバーモジュール内で使用するためのものであって、
角度センサー(3)を作動するためのローター(9)、およびローター(9)において、回転動作の間長さが変動するレバーアーム(11,13,15)として、ローターの回転平面内で半径方向に案内されるスライダー(13)を有する角度センサー(3)において、
ローター(9)が、導体板(5)上に取付けられたローターガイド(39)をフォーク状に取り囲んでいることを特徴とする角度センサー(3)。
【請求項37】
ローター(9)の回転軸受(15)に接する、接線方向に作用するスパイラルスプリング(35)を特徴とする請求項36に記載の角度センサー(3)。
【請求項38】
ギア選択レバー(1)のシフトレーン動作(P,R,N,D)を回転動作に変換するための機構部品としての請求項36または37に記載される角度センサー(3)であって、
ギア選択レバー(1)が球状延長部分(21)を介してスライダー(13)のキャップ(37)にかみ込んでいるので、軸方向でキャップを指すギア選択レバー(1)の各動作要素が、これら動作要素を先送りすることなく相殺され、一方、ギア選択レバー(1)の、導体板(5)内に位置する動作要素が回転動作に転換されることを特徴とする角度センサー(3)。
【請求項39】
ギア選択レバー(1)の、シフトレーンの平面に対して横向きに行われる動作(D+,D−;M)が、同様に導体板(5)上に配置される別の角度センサー(7)によって検出される回転動作に転換され、
その際選択レバー(1)の横動作(D+,D−;M)が、シフトレーンから外へ出て、ローター(9)の付随する角度位置で行われ、
およびその際、レバーアーム(11,13,15)の追加的な長さ変化が、タップレバー(30)の回転動作として別の角度センサー(7)のために使用可能であることを特徴とする請求項38に記載の角度センサー(3)。
【請求項40】
従属請求項2から27に記載の一つの追加特徴または複数の追加特徴を有することを特徴とする請求項36から39に記載の角度センサー(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【公表番号】特表2010−533093(P2010−533093A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515522(P2010−515522)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059089
【国際公開番号】WO2009/007449
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(504111347)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (75)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】