電気接続箱
【課題】ケース内に収容されたプリント基板に配設される樹脂台座の熱変形を阻止しつつ、樹脂台座のプリント基板からの突出寸法を抑えて薄肉化を図ることの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供すること。
【解決手段】基板端子20に第一の屈曲部32と第二の屈曲部34を有するZ字形状36を形成して、樹脂台座26の端子挿通溝46aに前記基板端子20を挿通することにより、前記第一の屈曲部32をプリント基板18に当接させると共に、前記第一の屈曲部32から前記第二の屈曲部34にかけて前記プリント基板18から次第に離隔するようにした。
【解決手段】基板端子20に第一の屈曲部32と第二の屈曲部34を有するZ字形状36を形成して、樹脂台座26の端子挿通溝46aに前記基板端子20を挿通することにより、前記第一の屈曲部32をプリント基板18に当接させると共に、前記第一の屈曲部32から前記第二の屈曲部34にかけて前記プリント基板18から次第に離隔するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板端子が半田付けされたプリント基板をケース内に収容した電気接続箱に係り、特に、複数の基板端子が樹脂台座で保持された台座コネクタがプリント基板に設けられた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電気接続箱において、ケース内にプリント基板を収容し、該プリント基板で内部回路を構成したものが知られている。例えば、特開2003−217437号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。このような電気接続箱のプリント基板には、複数の基板端子が半田付けされており、それら基板端子がケース外に突出されることにより、コネクタやヒューズ等の外部電気部品と接続可能とされている。
【0003】
ところで、特許文献1にも記載されているように、プリント基板に半田付けされる基板端子は、半田付け作業の効率化や、外部電気部品の挿抜に際して基板端子を支持する等のために、複数が合成樹脂製の樹脂台座で纏められた台座コネクタとしてプリント基板に設けられることがある。
【0004】
しかし、プリント基板上に樹脂台座を設けると、樹脂台座を含んでプリント基板をケース内に収容しなければならないことから、電気接続箱の厚肉化を招くという問題があった。それ故、樹脂台座は、出来る限りプリント基板に接近されて、プリント基板からの突出量が小さくされることが好ましい。
【0005】
ところが、樹脂台座をプリント基板に接近させると、基板端子において半田付け部から樹脂台座に至る長さ寸法が短くなる。その結果、半田付けに際して半田付け部の熱が十分に放散されないまま基板端子を通じて樹脂台座に伝えられて、樹脂台座の熱変形を招くおそれがあった。そこで従来では、特許文献1にも記載されているように、樹脂台座に脚部を設けてプリント基板から離隔させることにより、基板端子における半田付け部から樹脂台座までの距離を大きくして、半田付けの熱が樹脂台座に伝わり難いようにされていたが、このような構造では、樹脂台座のプリント基板からの突出量が更に大きくなって、更なる厚肉化を招くこととなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−217437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ケース内に収容されたプリント基板に配設される樹脂台座の熱変形を阻止しつつ、樹脂台座のプリント基板からの突出寸法を抑えて薄肉化を図ることの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、ケース内に収容されたプリント基板に複数の基板端子が樹脂台座に保持されてなる台座コネクタが搭載されており、前記基板端子の一端側に設けられた半田付け部が前記プリント基板に半田付けされている一方、前記基板端子の他端側に設けられた接続部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、前記基板端子の前記接続部と前記半田付け部の間には、前記接続部側に位置する第一の屈曲部と、前記半田付け部側に位置する第二の屈曲部が形成されており、これら第一の屈曲部と第二の屈曲部がそれぞれ鋭角に屈曲されることで前記基板端子がZ字形状を有している一方、前記樹脂台座には、側面に開口する端子挿通溝が貫設されており、該端子挿通溝に対して前記基板端子の前記第一の屈曲部が挿通配置されている一方、前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には、前記端子挿通溝に挿通配置された前記第一の屈曲部が露呈されており、前記樹脂台座が前記プリント基板に載置された状態で、前記基板端子の前記第一の屈曲部が前記プリント基板に当接されていると共に、前記第一の屈曲部から前記第二の屈曲部に向かって前記プリント基板から次第に離隔されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明によれば、基板端子をZ字形状を有する形状とした。そして、樹脂台座に側面に開口する端子挿通溝を形成して、該端子挿通溝に基板端子を挿通することによって、基板端子を、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけて、プリント基板から次第に離隔させた。これにより、第二の屈曲部がプリント基板の上方に浮いた状態で位置されて、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけてプリント基板に対して斜め上方に延びる部分と、第二の屈曲部から半田付け部にかけてプリント基板に向けて延びる部分とによって、基板端子において半田付け部から樹脂台座に至る距離をより大きく確保することが出来る。その結果、基板端子を半田付けするに際して、半田付け部に生じた熱を樹脂台座に至るまでに有効に放散して、樹脂台座の熱変形を軽減することが出来る。
【0010】
そして、基板端子の半田付け部の熱を樹脂台座に至るまでに有効に放散出来る結果、樹脂台座をプリント基板により近づけて配設することが出来る。これにより、樹脂台座のプリント基板からの突出寸法を抑えることが出来て、電気接続箱の薄肉化を図ることが出来る。
【0011】
また、外部電気部品の挿抜に際して、基板端子におけるZ字形状部分が屈曲変形することにより、半田付け部に伝達される外力を緩和することが出来る。これにより、半田クラックの発生を抑えることが出来る。特に、外部電気部品の接続時には、第一の屈曲部がプリント基板に接触して支持されることにより、半田付け部への外力の伝達をより効果的に阻止することが出来る。
【0012】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記基板端子には、前記端子挿通溝に形成された係止面に係止されて前記基板端子の前記端子挿通溝への挿通端位置を規定する係止突部が形成されており、前記係止突部が前記挿通端位置で前記樹脂台座の上面と同一平面に位置されると共に、前記ケースには、前記係止突部に前記樹脂台座の上面側から重ね合わされる押さえ部が形成されているものである。
【0013】
本態様によれば、基板端子の係止突部を端子挿通溝の係止面に係止させることによって、基板端子の端子挿通溝への挿通端位置を精度良く規定することが出来る。その結果、複数の基板端子の樹脂台座からの突出寸法を容易に且つ精度良く揃えることが出来る。そして、ケースで基板端子の係止突部を押さえることにより、外部電気部品の抜去に際して基板端子に及ぼされる引抜方向の外力に対して、基板端子をケースで支持することが出来る。これにより、半田クラックのおそれをより軽減することが出来る。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記ケースには、前記プリント基板を挟んで前記第一の屈曲部と対向位置されて、該第一の屈曲部を前記プリント基板側から支持する支持部が形成されているものである。
【0015】
このようにすれば、外部電気部品の接続に際して基板端子に及ぼされる押込方向の外力に対して、第一の屈曲部をケースを用いてより強固に支持することが出来る。その結果、半田クラックのおそれをより軽減することが出来る。
【0016】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には位置決め突起が形成されている一方、前記プリント基板には、前記位置決め突起が差し込まれる位置決め穴が形成されているものである。
【0017】
本態様によれば、樹脂台座の位置決め突起をプリント基板の位置決め穴に差し込むことにより、樹脂台座をプリント基板に容易に且つ精度良く位置決めすることが出来る。特に、予め樹脂台座をプリント基板に位置決めしてセットした後に、樹脂台座の各端子挿通溝に基板端子を挿通することにより台座コネクタをプリント基板に組み付けることも出来る。このようにすれば、基板端子を支持する治具を不要化或いは簡素化することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板端子に第一の屈曲部と第二の屈曲部を有するZ字形状を形成して、樹脂台座の端子挿通溝に基板端子を挿通することにより、第一の屈曲部をプリント基板に当接させると共に、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけて次第にプリント基板から離隔するようにした。これにより、基板端子において、半田付け部から樹脂台座に至るまでの距離をより大きく確保することが出来、半田付け部の熱を樹脂台座に至るまでに効果的に放散させることが出来る。その結果、樹脂台座の熱変形のおそれを軽減できると共に、樹脂台座をプリント基板により接近して配設することが出来て、電気接続箱の薄肉化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態としての電気接続箱の要部の断面図。
【図2】図1に示した電気接続箱を構成するプリント基板の要部の斜視図。
【図3】図2に示した台座コネクタを構成する基板端子の斜視図。
【図4】図3に示した基板端子の側面図。
【図5】図2に示した台座コネクタを構成する、図3とは異なる基板端子の斜視図。
【図6】図5に示した基板端子の側面図。
【図7】図2に示した台座コネクタを構成する樹脂台座の平面図。
【図8】図7におけるVIII−VIII平面図。
【図9】本発明の第二の実施形態としての電気接続箱を構成するプリント基板の要部の斜視図。
【図10】図9に示した台座コネクタを構成する基板端子の斜視図。
【図11】図10に示した基板端子の側面図。
【図12】図9に示した台座コネクタを構成する、図10とは異なる基板端子の斜視図。
【図13】図12に示した基板端子の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての電気接続箱10の要部を示す。電気接続箱10は、アッパケース12とロアケース14から構成されたケース16内にプリント基板18を収容すると共に、プリント基板18に突設された基板端子としての線材端子20,22(図1においては線材端子20のみ図示)がケース16外に突出された構造とされている。
【0022】
図2に、プリント基板18の要部を示す。プリント基板18には、台座コネクタ24が搭載されている。台座コネクタ24は、複数の線材端子20,22が合成樹脂製の樹脂台座26に保持された構造とされている。
【0023】
図3および図4に、線材端子20を示す。線材端子20は、正方形断面を有する金属線材が所定長さで切断されて形成されており、一方の端部が接続部28とされていると共に、他方の端部が半田付け部30とされている。線材端子20において、接続部28と半田付け部30の間には、接続部28側に位置する第一の屈曲部32と、半田付け部30側に位置する第二の屈曲部34が形成されている。図4に示すように、線材端子20は、第一の屈曲部32において角度:α1を形成するように屈曲されていると共に、第二の屈曲部34において角度:α2を形成するように屈曲されている。これら第一の屈曲部32における角度:α1および第二の屈曲部34における角度:α2は何れも鋭角に設定されており、互いに等しくされている。これにより、線材端子20は、長さ方向中間部分において、Z字形状に屈曲されたZ字状部36を有しており、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34にかけて、接続部28および半田付け部30の延出方向に対して斜めに延びる斜行部38と、第二の屈曲部34から半田付け部30に向けて直線状に延びる直下部40とを有している。なお、第一の屈曲部32および第二の屈曲部34における鋭角の大きさ、および斜行部38の長さ寸法は、線材端子20に要求される強度や樹脂台座26への熱影響などを考慮して適宜に設定可能である。例えば両屈曲部32,34における角度:α1,α2を大きくしたり、斜行部38の長さ寸法を大きくすることにより、半田付け部30を樹脂台座26からより離隔させることが出来る一方、両屈曲部32,34における角度:α1,α2を小さくしたり、斜行部38の長さ寸法を短くすることによって、半田付け部30を樹脂台座26により接近させて、台座コネクタ24をよりコンパクトにすることが出来る。
【0024】
また、線材端子20には、第一の屈曲部32からやや接続部28側に位置して、一対の係止突部42,42が形成されている。係止突部42,42は、線材端子20の幅方向両側に突出する突起形状とされており、線材端子20が部分的に潰し加工されることによって線材端子20に一体形成されている。一方、第二の屈曲部34と半田付け部30の間には、係止突部42,42と同様の形状とされた当て止め部44,44が形成されている。
【0025】
図5および図6に、線材端子22を示す。線材端子22において、線材端子20と同様の構造とされた部位には、図中に線材端子20と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0026】
線材端子22は、長手矩形断面を有する金属線材が所定長さで切断されて形成されている。これにより、線材端子22の接続部28は、長方形断面を有する扁平なタブ形状とされている。一方、半田付け部30は、幅方向両側がプレス打ち抜き加工等で切り落とされることにより、線材端子20の半田付け部30と略等しい大きさの正方形断面をもって延出されている。そして、半田付け部30において幅寸法が小さくされることによって、半田付け部30の延出基端部分には、半田付け部30の幅方向両側に突出する当て止め部44,44が形成されている。
【0027】
線材端子22の長さ方向中間部分には、線材端子20と同様のZ字状部36と、第一の屈曲部32および第二の屈曲部34が形成されている。線材端子22におけるZ字状部36の大きさは、線材端子20におけるZ字状部36の大きさと等しくされており、線材端子22における第一の屈曲部32の角度:β1と第二の屈曲部34の角度:β2は、線材端子20における第一の屈曲部32の角度:α1および第二の屈曲部34の角度:α2とそれぞれ等しくされている。
【0028】
これら線材端子20と線材端子22が、樹脂台座26に保持されている。図7および図8に、樹脂台座26を示す。樹脂台座26は、非導電性の合成樹脂から形成された長手矩形のブロック形状とされている。樹脂台座26には、複数の端子挿通溝46a,46bが形成されている。端子挿通溝46a,46bは、樹脂台座26の厚さ方向(図8中、上下方向)に貫通して、樹脂台座26においてアッパケース12との対向面となる上面48およびプリント基板18との対向面となる下面50の両面に開口されていると共に、樹脂台座26の長手方向(図7中、左右方向)に直交する両側面52a,52bにそれぞれ開口する溝形状とされている。端子挿通溝46a,46bの幅寸法(図7中、左右方向寸法)は、線材端子20および線材端子22にそれぞれ対応して、線材端子20および線材端子22の幅寸法と略等しくされている。本実施形態においては、端子挿通溝46a,46bの幅寸法は、線材端子20,22を圧入することなく挿通可能なように、線材端子20,22の幅寸法よりも僅かに大きくされている。更に、端子挿通溝46a,46bには、上面48への開口部分において幅方向両外側に突出する一対の位置決め凹所53,53が形成されており、それら位置決め凹所53,53の底面によって、端子挿通溝46a,46bの延出方向(図8中、上下方向)に直交する係止面54,54が形成されている。このような端子挿通溝46a,46bの複数が、樹脂台座26の長手方向で適当な間隔を隔てて形成されている。また、樹脂台座26において下面50の長手方向両端部には、位置決め突起56,56が突出形成されている。
【0029】
図2に示したように、このような樹脂台座26の端子挿通溝46aに線材端子20が挿通されると共に、端子挿通溝46bに線材端子22が挿通されることにより、台座コネクタ24が構成されている。そして、樹脂台座26がプリント基板18上に載置されると共に、線材端子20,22の半田付け部30がプリント基板18のスルーホール58に挿通されて半田付けされることにより、台座コネクタ24がプリント基板18に搭載される。
【0030】
なお、台座コネクタ24のプリント基板18への組み付けは、例えば以下のようにして好適に行なわれる。先ず、線材端子20,22が挿通されていない樹脂台座26の単品を、プリント基板18上に載置する。図1に示したように、プリント基板18には、樹脂台座26の位置決め突起56,56に対応する大きさの位置決め穴60,60(図1においては一方のみ図示)が貫設されている。これら位置決め穴60,60に樹脂台座26の位置決め突起56,56を差し込むことによって、接着剤や特別な固定部材等を用いることなく樹脂台座26をプリント基板18上に固定できると共に、プリント基板18上で精度良く位置決めすることが可能とされている。
【0031】
そして、プリント基板18上に固定された樹脂台座26の端子挿通溝46aに線材端子20の第一の屈曲部32を挿通すると共に、端子挿通溝46bに線材端子22の第一の屈曲部32を挿通する。なお、本実施形態においては、端子挿通溝46a,46bの幅寸法が線材端子20,22の幅寸法よりも僅かに大きくされていることにより、線材端子20,22を、特別な押込力を要することなく非圧入状態で挿通することが出来る。そして、図2に示したように、線材端子20,22の係止突部42,42が端子挿通溝46a,46bの位置決め凹所53,53に収容されて係止面54,54(図7、図8参照)で係止されることによって、線材端子20,22の樹脂台座26への挿通端位置が規定されるようになっている。なお、挿通端位置において、線材端子20,22の係止突部42,42は、樹脂台座26の上面48と同一平面に位置されるようになっている。また、線材端子20,22の端子挿通溝46a,46bへの挿通と同時に、両端子20,22の半田付け部30がスルーホール58にそれぞれ挿通されると共に、当て止め部44,44がスルーホール58の外周縁部に接触することによって、半田付け部30のスルーホール58への挿通量が規定されるようになっている。そして、スルーホール58に挿通された各半田付け部30がそれぞれ半田付けされることにより、線材端子20,22がプリント基板18上に突設されると共に、プリント基板18の図示しないプリント配線と電気的に接続される。このようにして、プリント基板18に台座コネクタ24が搭載される。
【0032】
図1から明らかなように、台座コネクタ24のプリント基板18への組付状態で、線材端子20,22の第一の屈曲部32は、端子挿通溝46a,46b内に配置されて、樹脂台座26の下面50に露呈されており、プリント基板18に接触されている。これにより、線材端子20,22は、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に向けて、樹脂台座26の側面52a,52bから樹脂台座26の幅方向外方に突出されていると共に、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に行くに連れて、プリント基板18から次第に離隔されている。
【0033】
このような台座コネクタ24が搭載されたプリント基板18が、アッパケース12とロアケース14から構成されたケース16に収容されている。アッパケース12およびロアケース14は、非導電性の合成樹脂から形成されている。アッパケース12には部品装着部としてのコネクタ装着部62が形成されている。コネクタ装着部62は、アッパケース12の表面64上に開口する略矩形周壁形状を有している。コネクタ装着部62の底部66には、端子挿通孔68a,68b(図1においては、端子挿通孔68aのみ図示)が貫設されている。詳細な図示は省略するが、端子挿通孔68a,68bは、それぞれ、線材端子20,22の断面形状に対応する断面形状をもって、アッパケース12を貫通して形成されている。なお、コネクタ装着部62の底部66は、アッパケース12の内方(図1中、下方)に突出して形成されており、その突出端面70は平坦面とされている。
【0034】
一方、ロアケース14には、一対の支持部72,72が一体形成されている。詳細な図示は省略するが、支持部72,72は所定距離を隔てて互いに平行に延び出されていると共に、ロアケース14の内方(図1中、上方)に突出して、樹脂台座26の長手方向寸法(図7中、左右方向寸法)と略等しい長さ寸法をもって延びる突壁形状とされている。なお、支持部72の突出端面となる支持面74は平坦面とされている。
【0035】
これらアッパケース12とロアケース14が、プリント基板18を収容した状態で、従来公知の図示しないロック機構等により相互に固定される。これにより、アッパケース12とロアケース14でケース16が構成されて、ケース16内にプリント基板18が収容されている。
【0036】
ケース16への収容状態で、プリント基板18に突設された線材端子20,22の接続部28が、コネクタ装着部62の端子挿通孔68a,68bにそれぞれ挿通されて、コネクタ装着部62内でアッパケース12の外方に突出される。これにより、コネクタ装着部62内に収容される図示しない外部電気部品としてのコネクタが線材端子20の接続部28および線材端子22の接続部28と接続されて、コネクタ装着部62に装着されるようになっている。また、コネクタ装着部62の底部66が樹脂台座26の上面48に重ね合わされる。
【0037】
一方、ロアケース14の支持部72,72が、プリント基板18を挟んで、樹脂台座26において端子挿通溝46a,46bが形成された幅方向両端部の下方(図1中、下方)に位置されて、支持面74がプリント基板18に重ね合わされる。これにより、線材端子20,22の第一の屈曲部32と、支持部72が、プリント基板18を挟んで対向位置される。なお、図示は省略するが、支持部72,72の対向面間において、プリント基板18の位置決め穴60,60と重なる位置には、位置決め穴60,60と略同じ大きさの逃げ孔が形成されており、樹脂台座26の位置決め突起56,56と支持部72,72が干渉しないようにされている。
【0038】
本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10によれば、線材端子20,22にZ字状部36を形成して、接続部28側に位置する第一の屈曲部32から半田付け部30側に位置する第二の屈曲部34に向けて、プリント基板18から次第に離隔するようにした。これにより、第一の屈曲部32と第二の屈曲部34をそれぞれ直角に屈曲したクランク状部として、該クランク状部をプリント基板18に重ね合わせて配設した場合に比して、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に向かう斜行部38と、第二の屈曲部34から半田付け部30に向かう直下部40によって、半田付け部30から樹脂台座26に至る距離をより大きく確保することが出来る。その結果、線材端子20,22の半田付けに際して、半田付け部30から各端子20,22を通じて樹脂台座26に伝わる熱を、樹脂台座26に到達する前に直下部40と斜行部38で十分に放散させることが出来て、樹脂台座26の熱変形のおそれを軽減することが出来る。特に、直下部40と斜行部38をプリント基板18から浮かせて配設したことによってZ字状部36の周囲の通気性も向上されることから、より優れた放熱効果を発揮することが出来る。
【0039】
そして、線材端子20,22を通じて樹脂台座26に伝わる熱を軽減できることから、樹脂台座26をプリント基板18により近づけて配設することが可能であり、脚部などを有することの無いブロック形状として、下面50をプリント基板18に重ねて配設することも出来る。これにより、樹脂台座26のプリント基板18からの突出寸法を抑えることが出来て、電気接続箱10の薄肉化を図ることが出来る。
【0040】
更にまた、線材端子20,22にコネクタが挿抜される場合には、Z字状部36の変形により、半田付け部30への外力の伝達を軽減して、半田クラックの発生を抑えることが出来る。特に、接続部28の延長線上に第一の屈曲部32が位置されていることから、コネクタが接続される際には、第一の屈曲部32をプリント基板18に接触させることによって、接続部28を強固に支持することが出来る。加えて、ロアケース14から突出された支持部72で第一の屈曲部32をプリント基板18側から支持することによって、接続部28をより強固に支持することが出来る。一方、コネクタが抜去される際には、線材端子20,22の係止突部42を、アッパケース12から突出されたコネクタ装着部62の底部66で上方(図1中、上方)から押さえることによって、引抜方向(図1中、下方から上方)の外力に対して、線材端子20,22を支持することが出来る。このように、本実施形態においては、コネクタ装着部62の底部66によって押さえ部が構成されている。
【0041】
また、本実施形態においては、樹脂台座26の位置決め突起56,56をプリント基板18の位置決め穴60,60に差し込むことで樹脂台座26をプリント基板18上に位置決めして固定することが出来ると共に、線材端子20,22を、端子挿通溝46a,46bに対して特別な押込力を要することなく非圧入状態で差し込むことが出来る。これにより、予め樹脂台座26のみをプリント基板18にセットした後に、線材端子20,22を端子挿通溝46a,46bに挿通して半田付けすることが出来る。従って、半田付け工程と同一ライン上で台座コネクタ24の組み立ても行なうことが可能であり、製造効率の向上が図られると共に、半田付け前の線材端子20,22を保持する治具の不要化や簡素化を図ることが出来る。また、半田付け部30をスルーホール58に挿通するに際して、第一の屈曲部32と当て止め部44の2箇所でプリント基板18に接触されることから、線材端子20,22の挿通端を精度良く規定することが出来ると共に、線材端子20,22の傾きを抑えることも出来る。
【0042】
次に、図9に、本発明の第二の実施形態としての電気接続箱に用いられる台座コネクタ80を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0043】
本実施形態における台座コネクタ80の樹脂台座26には、基板端子としての複数の条材端子82,84が組み付けられている。図10および図11に示すように、条材端子82は、金属板がプレス打ち抜き加工されて形成されており、正方形断面を有する接続部28と、接続部28と同じ大きさの正方形断面とされた半田付け部30を有している。そして、第一の屈曲部32と第二の屈曲部34のそれぞれにおいて鋭角に屈曲されることにより、接続部28と半田付け部30の間に、Z字状部36が形成されている。
【0044】
また、第一の屈曲部32から接続部28側には、一対の係止突部42,42が形成されている。係止突部42,42は、条材端子82が金属板のプレス打ち抜き加工で形成されていることにより、条材端子82におけるその他の部位の厚さ寸法(図11中、左右方向寸法)と等しい厚さ寸法をもって形成されている。また、係止突部42,42における第一の屈曲部32の端面は、後述する位置決め凹所53への圧入を容易とするために、第一の屈曲部32側に行くに連れて係止突部42,42の形成箇所が先細となるテーパ形状とされている。
【0045】
一方、図12および図13に示すように、条材端子84は、条材端子82と同様に金属板がプレス打ち抜き加工されることで形成されており、長方形断面を有する扁平なタブ形状とされた接続部28と、接続部28よりも小さな幅寸法で、条材端子82の半田付け部30と同じ大きさの正方形断面を有する半田付け部30を有している。なお、半田付け部30の幅寸法は接続部28の幅寸法よりも小さくされており、プリント基板18に接触する第一の屈曲部32は、接続部28と同じ幅寸法をもって形成されている一方、第二の屈曲部34は、半田付け部30と同じ幅寸法をもって形成されている。また、条材端子82と同様に、条材端子84の係止突部42,42も、条材端子84における他の部位と同じ幅寸法(図13中、左右寸法)をもって形成されている。
【0046】
なお、樹脂台座26は、前記第一の実施形態と略同様の構造とされており、位置決め凹所53,53が、条材端子82および条材端子84の係止突部42,42を圧入し得るように、係止突部42,42よりも僅かに小さく形成されている。
【0047】
そして、樹脂台座26の端子挿通溝46a,46bに条材端子82および条材端子84がそれぞれ挿通される。本実施形態においては、条材端子82,84の係止突部42,42が位置決め凹所53,53内に圧入されることにより、条材端子82,84が、樹脂台座26に固定的に保持されるようになっている。また、前記第一の実施形態と同様に、条材端子82,84の係止突部42,42は、樹脂台座26の上面48と同一平面上に位置されるようになっている。
【0048】
本実施形態によれば、条材端子82,84の係止突部42,42を端子挿通溝46a,46bの位置決め凹所53,53に圧入することにより、条材端子82および条材端子84を樹脂台座26に固定することが出来る。これにより、従来と同様に、予め樹脂台座26に条材端子82,84を固定して台座コネクタ80を形成して、樹脂台座26に固定された条材端子82,84の半田付け部30をプリント基板18の各スルーホール58に纏めて挿通して半田付けすることが出来る。そして、条材端子82,84が金属板のプレス打ち抜き加工で形成されていることにより、係止突部42,42の厚さ寸法を全体に亘って一定に確保することが出来て、位置決め凹所53,53に対する圧入保持力を安定的に確保することが出来る。また、係止突部42,42をプレス打ち抜き加工で形成したことにより、位置決め凹所53,53への差し込み状態で、位置決め凹所53,53の上面48への開口の略全体を塞いで、上面48と同一平面上に位置させることが出来て、アッパケース12の底部66(図1参照)による押さえ込みもより安定的に行なうことが出来る。
【0049】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態における樹脂台座は、脚部を有することのない矩形ブロック形状とされて、プリント基板からの突出寸法が可及的に小さくされていたが、熱影響をより軽減するために、従来と同様に脚部を形成しても良い。
【0050】
また、前記実施形態における基板端子についても、あくまでも例示である。例えば、前記基板端子に形成されていた係止突起は、必ずしも必要ではない。更に、基板端子としては、コネクタが接続されるものに限らず、ヒューズやリレーなどが接続されるものでも良い。従って、基板端子の接続部の形状としては、ヒューズやリレーのタブ形状の端子を挟み込む一対の圧接刃を備えた所謂音叉形状等も採用可能である。また、従来から知られているように、1つの基板端子に2つの半田付け部を形成する等しても良い。
【符号の説明】
【0051】
10:電気接続箱、16:ケース、18:プリント基板、20,22:線材端子(基板端子)、24,80:台座コネクタ、26:樹脂台座、28:接続部、30:半田付け部、32:第一の屈曲部、34:第二の屈曲部、36:Z字状部、42:係止突部、46a,b:端子挿通溝、48:上面、50:下面(プリント基板との対向面)、52a,b:側面、54:係止面、56:位置決め突起、60:位置決め穴、66:底部(押さえ部)、72:支持部、80:台座コネクタ、82,84:条材端子(基板端子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板端子が半田付けされたプリント基板をケース内に収容した電気接続箱に係り、特に、複数の基板端子が樹脂台座で保持された台座コネクタがプリント基板に設けられた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電気接続箱において、ケース内にプリント基板を収容し、該プリント基板で内部回路を構成したものが知られている。例えば、特開2003−217437号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。このような電気接続箱のプリント基板には、複数の基板端子が半田付けされており、それら基板端子がケース外に突出されることにより、コネクタやヒューズ等の外部電気部品と接続可能とされている。
【0003】
ところで、特許文献1にも記載されているように、プリント基板に半田付けされる基板端子は、半田付け作業の効率化や、外部電気部品の挿抜に際して基板端子を支持する等のために、複数が合成樹脂製の樹脂台座で纏められた台座コネクタとしてプリント基板に設けられることがある。
【0004】
しかし、プリント基板上に樹脂台座を設けると、樹脂台座を含んでプリント基板をケース内に収容しなければならないことから、電気接続箱の厚肉化を招くという問題があった。それ故、樹脂台座は、出来る限りプリント基板に接近されて、プリント基板からの突出量が小さくされることが好ましい。
【0005】
ところが、樹脂台座をプリント基板に接近させると、基板端子において半田付け部から樹脂台座に至る長さ寸法が短くなる。その結果、半田付けに際して半田付け部の熱が十分に放散されないまま基板端子を通じて樹脂台座に伝えられて、樹脂台座の熱変形を招くおそれがあった。そこで従来では、特許文献1にも記載されているように、樹脂台座に脚部を設けてプリント基板から離隔させることにより、基板端子における半田付け部から樹脂台座までの距離を大きくして、半田付けの熱が樹脂台座に伝わり難いようにされていたが、このような構造では、樹脂台座のプリント基板からの突出量が更に大きくなって、更なる厚肉化を招くこととなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−217437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ケース内に収容されたプリント基板に配設される樹脂台座の熱変形を阻止しつつ、樹脂台座のプリント基板からの突出寸法を抑えて薄肉化を図ることの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、ケース内に収容されたプリント基板に複数の基板端子が樹脂台座に保持されてなる台座コネクタが搭載されており、前記基板端子の一端側に設けられた半田付け部が前記プリント基板に半田付けされている一方、前記基板端子の他端側に設けられた接続部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、前記基板端子の前記接続部と前記半田付け部の間には、前記接続部側に位置する第一の屈曲部と、前記半田付け部側に位置する第二の屈曲部が形成されており、これら第一の屈曲部と第二の屈曲部がそれぞれ鋭角に屈曲されることで前記基板端子がZ字形状を有している一方、前記樹脂台座には、側面に開口する端子挿通溝が貫設されており、該端子挿通溝に対して前記基板端子の前記第一の屈曲部が挿通配置されている一方、前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には、前記端子挿通溝に挿通配置された前記第一の屈曲部が露呈されており、前記樹脂台座が前記プリント基板に載置された状態で、前記基板端子の前記第一の屈曲部が前記プリント基板に当接されていると共に、前記第一の屈曲部から前記第二の屈曲部に向かって前記プリント基板から次第に離隔されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明によれば、基板端子をZ字形状を有する形状とした。そして、樹脂台座に側面に開口する端子挿通溝を形成して、該端子挿通溝に基板端子を挿通することによって、基板端子を、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけて、プリント基板から次第に離隔させた。これにより、第二の屈曲部がプリント基板の上方に浮いた状態で位置されて、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけてプリント基板に対して斜め上方に延びる部分と、第二の屈曲部から半田付け部にかけてプリント基板に向けて延びる部分とによって、基板端子において半田付け部から樹脂台座に至る距離をより大きく確保することが出来る。その結果、基板端子を半田付けするに際して、半田付け部に生じた熱を樹脂台座に至るまでに有効に放散して、樹脂台座の熱変形を軽減することが出来る。
【0010】
そして、基板端子の半田付け部の熱を樹脂台座に至るまでに有効に放散出来る結果、樹脂台座をプリント基板により近づけて配設することが出来る。これにより、樹脂台座のプリント基板からの突出寸法を抑えることが出来て、電気接続箱の薄肉化を図ることが出来る。
【0011】
また、外部電気部品の挿抜に際して、基板端子におけるZ字形状部分が屈曲変形することにより、半田付け部に伝達される外力を緩和することが出来る。これにより、半田クラックの発生を抑えることが出来る。特に、外部電気部品の接続時には、第一の屈曲部がプリント基板に接触して支持されることにより、半田付け部への外力の伝達をより効果的に阻止することが出来る。
【0012】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記基板端子には、前記端子挿通溝に形成された係止面に係止されて前記基板端子の前記端子挿通溝への挿通端位置を規定する係止突部が形成されており、前記係止突部が前記挿通端位置で前記樹脂台座の上面と同一平面に位置されると共に、前記ケースには、前記係止突部に前記樹脂台座の上面側から重ね合わされる押さえ部が形成されているものである。
【0013】
本態様によれば、基板端子の係止突部を端子挿通溝の係止面に係止させることによって、基板端子の端子挿通溝への挿通端位置を精度良く規定することが出来る。その結果、複数の基板端子の樹脂台座からの突出寸法を容易に且つ精度良く揃えることが出来る。そして、ケースで基板端子の係止突部を押さえることにより、外部電気部品の抜去に際して基板端子に及ぼされる引抜方向の外力に対して、基板端子をケースで支持することが出来る。これにより、半田クラックのおそれをより軽減することが出来る。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記ケースには、前記プリント基板を挟んで前記第一の屈曲部と対向位置されて、該第一の屈曲部を前記プリント基板側から支持する支持部が形成されているものである。
【0015】
このようにすれば、外部電気部品の接続に際して基板端子に及ぼされる押込方向の外力に対して、第一の屈曲部をケースを用いてより強固に支持することが出来る。その結果、半田クラックのおそれをより軽減することが出来る。
【0016】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には位置決め突起が形成されている一方、前記プリント基板には、前記位置決め突起が差し込まれる位置決め穴が形成されているものである。
【0017】
本態様によれば、樹脂台座の位置決め突起をプリント基板の位置決め穴に差し込むことにより、樹脂台座をプリント基板に容易に且つ精度良く位置決めすることが出来る。特に、予め樹脂台座をプリント基板に位置決めしてセットした後に、樹脂台座の各端子挿通溝に基板端子を挿通することにより台座コネクタをプリント基板に組み付けることも出来る。このようにすれば、基板端子を支持する治具を不要化或いは簡素化することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板端子に第一の屈曲部と第二の屈曲部を有するZ字形状を形成して、樹脂台座の端子挿通溝に基板端子を挿通することにより、第一の屈曲部をプリント基板に当接させると共に、第一の屈曲部から第二の屈曲部にかけて次第にプリント基板から離隔するようにした。これにより、基板端子において、半田付け部から樹脂台座に至るまでの距離をより大きく確保することが出来、半田付け部の熱を樹脂台座に至るまでに効果的に放散させることが出来る。その結果、樹脂台座の熱変形のおそれを軽減できると共に、樹脂台座をプリント基板により接近して配設することが出来て、電気接続箱の薄肉化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態としての電気接続箱の要部の断面図。
【図2】図1に示した電気接続箱を構成するプリント基板の要部の斜視図。
【図3】図2に示した台座コネクタを構成する基板端子の斜視図。
【図4】図3に示した基板端子の側面図。
【図5】図2に示した台座コネクタを構成する、図3とは異なる基板端子の斜視図。
【図6】図5に示した基板端子の側面図。
【図7】図2に示した台座コネクタを構成する樹脂台座の平面図。
【図8】図7におけるVIII−VIII平面図。
【図9】本発明の第二の実施形態としての電気接続箱を構成するプリント基板の要部の斜視図。
【図10】図9に示した台座コネクタを構成する基板端子の斜視図。
【図11】図10に示した基板端子の側面図。
【図12】図9に示した台座コネクタを構成する、図10とは異なる基板端子の斜視図。
【図13】図12に示した基板端子の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての電気接続箱10の要部を示す。電気接続箱10は、アッパケース12とロアケース14から構成されたケース16内にプリント基板18を収容すると共に、プリント基板18に突設された基板端子としての線材端子20,22(図1においては線材端子20のみ図示)がケース16外に突出された構造とされている。
【0022】
図2に、プリント基板18の要部を示す。プリント基板18には、台座コネクタ24が搭載されている。台座コネクタ24は、複数の線材端子20,22が合成樹脂製の樹脂台座26に保持された構造とされている。
【0023】
図3および図4に、線材端子20を示す。線材端子20は、正方形断面を有する金属線材が所定長さで切断されて形成されており、一方の端部が接続部28とされていると共に、他方の端部が半田付け部30とされている。線材端子20において、接続部28と半田付け部30の間には、接続部28側に位置する第一の屈曲部32と、半田付け部30側に位置する第二の屈曲部34が形成されている。図4に示すように、線材端子20は、第一の屈曲部32において角度:α1を形成するように屈曲されていると共に、第二の屈曲部34において角度:α2を形成するように屈曲されている。これら第一の屈曲部32における角度:α1および第二の屈曲部34における角度:α2は何れも鋭角に設定されており、互いに等しくされている。これにより、線材端子20は、長さ方向中間部分において、Z字形状に屈曲されたZ字状部36を有しており、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34にかけて、接続部28および半田付け部30の延出方向に対して斜めに延びる斜行部38と、第二の屈曲部34から半田付け部30に向けて直線状に延びる直下部40とを有している。なお、第一の屈曲部32および第二の屈曲部34における鋭角の大きさ、および斜行部38の長さ寸法は、線材端子20に要求される強度や樹脂台座26への熱影響などを考慮して適宜に設定可能である。例えば両屈曲部32,34における角度:α1,α2を大きくしたり、斜行部38の長さ寸法を大きくすることにより、半田付け部30を樹脂台座26からより離隔させることが出来る一方、両屈曲部32,34における角度:α1,α2を小さくしたり、斜行部38の長さ寸法を短くすることによって、半田付け部30を樹脂台座26により接近させて、台座コネクタ24をよりコンパクトにすることが出来る。
【0024】
また、線材端子20には、第一の屈曲部32からやや接続部28側に位置して、一対の係止突部42,42が形成されている。係止突部42,42は、線材端子20の幅方向両側に突出する突起形状とされており、線材端子20が部分的に潰し加工されることによって線材端子20に一体形成されている。一方、第二の屈曲部34と半田付け部30の間には、係止突部42,42と同様の形状とされた当て止め部44,44が形成されている。
【0025】
図5および図6に、線材端子22を示す。線材端子22において、線材端子20と同様の構造とされた部位には、図中に線材端子20と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0026】
線材端子22は、長手矩形断面を有する金属線材が所定長さで切断されて形成されている。これにより、線材端子22の接続部28は、長方形断面を有する扁平なタブ形状とされている。一方、半田付け部30は、幅方向両側がプレス打ち抜き加工等で切り落とされることにより、線材端子20の半田付け部30と略等しい大きさの正方形断面をもって延出されている。そして、半田付け部30において幅寸法が小さくされることによって、半田付け部30の延出基端部分には、半田付け部30の幅方向両側に突出する当て止め部44,44が形成されている。
【0027】
線材端子22の長さ方向中間部分には、線材端子20と同様のZ字状部36と、第一の屈曲部32および第二の屈曲部34が形成されている。線材端子22におけるZ字状部36の大きさは、線材端子20におけるZ字状部36の大きさと等しくされており、線材端子22における第一の屈曲部32の角度:β1と第二の屈曲部34の角度:β2は、線材端子20における第一の屈曲部32の角度:α1および第二の屈曲部34の角度:α2とそれぞれ等しくされている。
【0028】
これら線材端子20と線材端子22が、樹脂台座26に保持されている。図7および図8に、樹脂台座26を示す。樹脂台座26は、非導電性の合成樹脂から形成された長手矩形のブロック形状とされている。樹脂台座26には、複数の端子挿通溝46a,46bが形成されている。端子挿通溝46a,46bは、樹脂台座26の厚さ方向(図8中、上下方向)に貫通して、樹脂台座26においてアッパケース12との対向面となる上面48およびプリント基板18との対向面となる下面50の両面に開口されていると共に、樹脂台座26の長手方向(図7中、左右方向)に直交する両側面52a,52bにそれぞれ開口する溝形状とされている。端子挿通溝46a,46bの幅寸法(図7中、左右方向寸法)は、線材端子20および線材端子22にそれぞれ対応して、線材端子20および線材端子22の幅寸法と略等しくされている。本実施形態においては、端子挿通溝46a,46bの幅寸法は、線材端子20,22を圧入することなく挿通可能なように、線材端子20,22の幅寸法よりも僅かに大きくされている。更に、端子挿通溝46a,46bには、上面48への開口部分において幅方向両外側に突出する一対の位置決め凹所53,53が形成されており、それら位置決め凹所53,53の底面によって、端子挿通溝46a,46bの延出方向(図8中、上下方向)に直交する係止面54,54が形成されている。このような端子挿通溝46a,46bの複数が、樹脂台座26の長手方向で適当な間隔を隔てて形成されている。また、樹脂台座26において下面50の長手方向両端部には、位置決め突起56,56が突出形成されている。
【0029】
図2に示したように、このような樹脂台座26の端子挿通溝46aに線材端子20が挿通されると共に、端子挿通溝46bに線材端子22が挿通されることにより、台座コネクタ24が構成されている。そして、樹脂台座26がプリント基板18上に載置されると共に、線材端子20,22の半田付け部30がプリント基板18のスルーホール58に挿通されて半田付けされることにより、台座コネクタ24がプリント基板18に搭載される。
【0030】
なお、台座コネクタ24のプリント基板18への組み付けは、例えば以下のようにして好適に行なわれる。先ず、線材端子20,22が挿通されていない樹脂台座26の単品を、プリント基板18上に載置する。図1に示したように、プリント基板18には、樹脂台座26の位置決め突起56,56に対応する大きさの位置決め穴60,60(図1においては一方のみ図示)が貫設されている。これら位置決め穴60,60に樹脂台座26の位置決め突起56,56を差し込むことによって、接着剤や特別な固定部材等を用いることなく樹脂台座26をプリント基板18上に固定できると共に、プリント基板18上で精度良く位置決めすることが可能とされている。
【0031】
そして、プリント基板18上に固定された樹脂台座26の端子挿通溝46aに線材端子20の第一の屈曲部32を挿通すると共に、端子挿通溝46bに線材端子22の第一の屈曲部32を挿通する。なお、本実施形態においては、端子挿通溝46a,46bの幅寸法が線材端子20,22の幅寸法よりも僅かに大きくされていることにより、線材端子20,22を、特別な押込力を要することなく非圧入状態で挿通することが出来る。そして、図2に示したように、線材端子20,22の係止突部42,42が端子挿通溝46a,46bの位置決め凹所53,53に収容されて係止面54,54(図7、図8参照)で係止されることによって、線材端子20,22の樹脂台座26への挿通端位置が規定されるようになっている。なお、挿通端位置において、線材端子20,22の係止突部42,42は、樹脂台座26の上面48と同一平面に位置されるようになっている。また、線材端子20,22の端子挿通溝46a,46bへの挿通と同時に、両端子20,22の半田付け部30がスルーホール58にそれぞれ挿通されると共に、当て止め部44,44がスルーホール58の外周縁部に接触することによって、半田付け部30のスルーホール58への挿通量が規定されるようになっている。そして、スルーホール58に挿通された各半田付け部30がそれぞれ半田付けされることにより、線材端子20,22がプリント基板18上に突設されると共に、プリント基板18の図示しないプリント配線と電気的に接続される。このようにして、プリント基板18に台座コネクタ24が搭載される。
【0032】
図1から明らかなように、台座コネクタ24のプリント基板18への組付状態で、線材端子20,22の第一の屈曲部32は、端子挿通溝46a,46b内に配置されて、樹脂台座26の下面50に露呈されており、プリント基板18に接触されている。これにより、線材端子20,22は、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に向けて、樹脂台座26の側面52a,52bから樹脂台座26の幅方向外方に突出されていると共に、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に行くに連れて、プリント基板18から次第に離隔されている。
【0033】
このような台座コネクタ24が搭載されたプリント基板18が、アッパケース12とロアケース14から構成されたケース16に収容されている。アッパケース12およびロアケース14は、非導電性の合成樹脂から形成されている。アッパケース12には部品装着部としてのコネクタ装着部62が形成されている。コネクタ装着部62は、アッパケース12の表面64上に開口する略矩形周壁形状を有している。コネクタ装着部62の底部66には、端子挿通孔68a,68b(図1においては、端子挿通孔68aのみ図示)が貫設されている。詳細な図示は省略するが、端子挿通孔68a,68bは、それぞれ、線材端子20,22の断面形状に対応する断面形状をもって、アッパケース12を貫通して形成されている。なお、コネクタ装着部62の底部66は、アッパケース12の内方(図1中、下方)に突出して形成されており、その突出端面70は平坦面とされている。
【0034】
一方、ロアケース14には、一対の支持部72,72が一体形成されている。詳細な図示は省略するが、支持部72,72は所定距離を隔てて互いに平行に延び出されていると共に、ロアケース14の内方(図1中、上方)に突出して、樹脂台座26の長手方向寸法(図7中、左右方向寸法)と略等しい長さ寸法をもって延びる突壁形状とされている。なお、支持部72の突出端面となる支持面74は平坦面とされている。
【0035】
これらアッパケース12とロアケース14が、プリント基板18を収容した状態で、従来公知の図示しないロック機構等により相互に固定される。これにより、アッパケース12とロアケース14でケース16が構成されて、ケース16内にプリント基板18が収容されている。
【0036】
ケース16への収容状態で、プリント基板18に突設された線材端子20,22の接続部28が、コネクタ装着部62の端子挿通孔68a,68bにそれぞれ挿通されて、コネクタ装着部62内でアッパケース12の外方に突出される。これにより、コネクタ装着部62内に収容される図示しない外部電気部品としてのコネクタが線材端子20の接続部28および線材端子22の接続部28と接続されて、コネクタ装着部62に装着されるようになっている。また、コネクタ装着部62の底部66が樹脂台座26の上面48に重ね合わされる。
【0037】
一方、ロアケース14の支持部72,72が、プリント基板18を挟んで、樹脂台座26において端子挿通溝46a,46bが形成された幅方向両端部の下方(図1中、下方)に位置されて、支持面74がプリント基板18に重ね合わされる。これにより、線材端子20,22の第一の屈曲部32と、支持部72が、プリント基板18を挟んで対向位置される。なお、図示は省略するが、支持部72,72の対向面間において、プリント基板18の位置決め穴60,60と重なる位置には、位置決め穴60,60と略同じ大きさの逃げ孔が形成されており、樹脂台座26の位置決め突起56,56と支持部72,72が干渉しないようにされている。
【0038】
本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10によれば、線材端子20,22にZ字状部36を形成して、接続部28側に位置する第一の屈曲部32から半田付け部30側に位置する第二の屈曲部34に向けて、プリント基板18から次第に離隔するようにした。これにより、第一の屈曲部32と第二の屈曲部34をそれぞれ直角に屈曲したクランク状部として、該クランク状部をプリント基板18に重ね合わせて配設した場合に比して、第一の屈曲部32から第二の屈曲部34に向かう斜行部38と、第二の屈曲部34から半田付け部30に向かう直下部40によって、半田付け部30から樹脂台座26に至る距離をより大きく確保することが出来る。その結果、線材端子20,22の半田付けに際して、半田付け部30から各端子20,22を通じて樹脂台座26に伝わる熱を、樹脂台座26に到達する前に直下部40と斜行部38で十分に放散させることが出来て、樹脂台座26の熱変形のおそれを軽減することが出来る。特に、直下部40と斜行部38をプリント基板18から浮かせて配設したことによってZ字状部36の周囲の通気性も向上されることから、より優れた放熱効果を発揮することが出来る。
【0039】
そして、線材端子20,22を通じて樹脂台座26に伝わる熱を軽減できることから、樹脂台座26をプリント基板18により近づけて配設することが可能であり、脚部などを有することの無いブロック形状として、下面50をプリント基板18に重ねて配設することも出来る。これにより、樹脂台座26のプリント基板18からの突出寸法を抑えることが出来て、電気接続箱10の薄肉化を図ることが出来る。
【0040】
更にまた、線材端子20,22にコネクタが挿抜される場合には、Z字状部36の変形により、半田付け部30への外力の伝達を軽減して、半田クラックの発生を抑えることが出来る。特に、接続部28の延長線上に第一の屈曲部32が位置されていることから、コネクタが接続される際には、第一の屈曲部32をプリント基板18に接触させることによって、接続部28を強固に支持することが出来る。加えて、ロアケース14から突出された支持部72で第一の屈曲部32をプリント基板18側から支持することによって、接続部28をより強固に支持することが出来る。一方、コネクタが抜去される際には、線材端子20,22の係止突部42を、アッパケース12から突出されたコネクタ装着部62の底部66で上方(図1中、上方)から押さえることによって、引抜方向(図1中、下方から上方)の外力に対して、線材端子20,22を支持することが出来る。このように、本実施形態においては、コネクタ装着部62の底部66によって押さえ部が構成されている。
【0041】
また、本実施形態においては、樹脂台座26の位置決め突起56,56をプリント基板18の位置決め穴60,60に差し込むことで樹脂台座26をプリント基板18上に位置決めして固定することが出来ると共に、線材端子20,22を、端子挿通溝46a,46bに対して特別な押込力を要することなく非圧入状態で差し込むことが出来る。これにより、予め樹脂台座26のみをプリント基板18にセットした後に、線材端子20,22を端子挿通溝46a,46bに挿通して半田付けすることが出来る。従って、半田付け工程と同一ライン上で台座コネクタ24の組み立ても行なうことが可能であり、製造効率の向上が図られると共に、半田付け前の線材端子20,22を保持する治具の不要化や簡素化を図ることが出来る。また、半田付け部30をスルーホール58に挿通するに際して、第一の屈曲部32と当て止め部44の2箇所でプリント基板18に接触されることから、線材端子20,22の挿通端を精度良く規定することが出来ると共に、線材端子20,22の傾きを抑えることも出来る。
【0042】
次に、図9に、本発明の第二の実施形態としての電気接続箱に用いられる台座コネクタ80を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0043】
本実施形態における台座コネクタ80の樹脂台座26には、基板端子としての複数の条材端子82,84が組み付けられている。図10および図11に示すように、条材端子82は、金属板がプレス打ち抜き加工されて形成されており、正方形断面を有する接続部28と、接続部28と同じ大きさの正方形断面とされた半田付け部30を有している。そして、第一の屈曲部32と第二の屈曲部34のそれぞれにおいて鋭角に屈曲されることにより、接続部28と半田付け部30の間に、Z字状部36が形成されている。
【0044】
また、第一の屈曲部32から接続部28側には、一対の係止突部42,42が形成されている。係止突部42,42は、条材端子82が金属板のプレス打ち抜き加工で形成されていることにより、条材端子82におけるその他の部位の厚さ寸法(図11中、左右方向寸法)と等しい厚さ寸法をもって形成されている。また、係止突部42,42における第一の屈曲部32の端面は、後述する位置決め凹所53への圧入を容易とするために、第一の屈曲部32側に行くに連れて係止突部42,42の形成箇所が先細となるテーパ形状とされている。
【0045】
一方、図12および図13に示すように、条材端子84は、条材端子82と同様に金属板がプレス打ち抜き加工されることで形成されており、長方形断面を有する扁平なタブ形状とされた接続部28と、接続部28よりも小さな幅寸法で、条材端子82の半田付け部30と同じ大きさの正方形断面を有する半田付け部30を有している。なお、半田付け部30の幅寸法は接続部28の幅寸法よりも小さくされており、プリント基板18に接触する第一の屈曲部32は、接続部28と同じ幅寸法をもって形成されている一方、第二の屈曲部34は、半田付け部30と同じ幅寸法をもって形成されている。また、条材端子82と同様に、条材端子84の係止突部42,42も、条材端子84における他の部位と同じ幅寸法(図13中、左右寸法)をもって形成されている。
【0046】
なお、樹脂台座26は、前記第一の実施形態と略同様の構造とされており、位置決め凹所53,53が、条材端子82および条材端子84の係止突部42,42を圧入し得るように、係止突部42,42よりも僅かに小さく形成されている。
【0047】
そして、樹脂台座26の端子挿通溝46a,46bに条材端子82および条材端子84がそれぞれ挿通される。本実施形態においては、条材端子82,84の係止突部42,42が位置決め凹所53,53内に圧入されることにより、条材端子82,84が、樹脂台座26に固定的に保持されるようになっている。また、前記第一の実施形態と同様に、条材端子82,84の係止突部42,42は、樹脂台座26の上面48と同一平面上に位置されるようになっている。
【0048】
本実施形態によれば、条材端子82,84の係止突部42,42を端子挿通溝46a,46bの位置決め凹所53,53に圧入することにより、条材端子82および条材端子84を樹脂台座26に固定することが出来る。これにより、従来と同様に、予め樹脂台座26に条材端子82,84を固定して台座コネクタ80を形成して、樹脂台座26に固定された条材端子82,84の半田付け部30をプリント基板18の各スルーホール58に纏めて挿通して半田付けすることが出来る。そして、条材端子82,84が金属板のプレス打ち抜き加工で形成されていることにより、係止突部42,42の厚さ寸法を全体に亘って一定に確保することが出来て、位置決め凹所53,53に対する圧入保持力を安定的に確保することが出来る。また、係止突部42,42をプレス打ち抜き加工で形成したことにより、位置決め凹所53,53への差し込み状態で、位置決め凹所53,53の上面48への開口の略全体を塞いで、上面48と同一平面上に位置させることが出来て、アッパケース12の底部66(図1参照)による押さえ込みもより安定的に行なうことが出来る。
【0049】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態における樹脂台座は、脚部を有することのない矩形ブロック形状とされて、プリント基板からの突出寸法が可及的に小さくされていたが、熱影響をより軽減するために、従来と同様に脚部を形成しても良い。
【0050】
また、前記実施形態における基板端子についても、あくまでも例示である。例えば、前記基板端子に形成されていた係止突起は、必ずしも必要ではない。更に、基板端子としては、コネクタが接続されるものに限らず、ヒューズやリレーなどが接続されるものでも良い。従って、基板端子の接続部の形状としては、ヒューズやリレーのタブ形状の端子を挟み込む一対の圧接刃を備えた所謂音叉形状等も採用可能である。また、従来から知られているように、1つの基板端子に2つの半田付け部を形成する等しても良い。
【符号の説明】
【0051】
10:電気接続箱、16:ケース、18:プリント基板、20,22:線材端子(基板端子)、24,80:台座コネクタ、26:樹脂台座、28:接続部、30:半田付け部、32:第一の屈曲部、34:第二の屈曲部、36:Z字状部、42:係止突部、46a,b:端子挿通溝、48:上面、50:下面(プリント基板との対向面)、52a,b:側面、54:係止面、56:位置決め突起、60:位置決め穴、66:底部(押さえ部)、72:支持部、80:台座コネクタ、82,84:条材端子(基板端子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に収容されたプリント基板に複数の基板端子が樹脂台座に保持されてなる台座コネクタが搭載されており、前記基板端子の一端側に設けられた半田付け部が前記プリント基板に半田付けされている一方、前記基板端子の他端側に設けられた接続部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、
前記基板端子の前記接続部と前記半田付け部の間には、前記接続部側に位置する第一の屈曲部と、前記半田付け部側に位置する第二の屈曲部が形成されており、これら第一の屈曲部と第二の屈曲部がそれぞれ鋭角に屈曲されることで前記基板端子がZ字形状を有している一方、
前記樹脂台座には、側面に開口する端子挿通溝が貫設されており、該端子挿通溝に対して前記基板端子の前記第一の屈曲部が挿通配置されている一方、
前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には、前記端子挿通溝に挿通配置された前記第一の屈曲部が露呈されており、前記樹脂台座が前記プリント基板に載置された状態で、前記基板端子の前記第一の屈曲部が前記プリント基板に当接されていると共に、前記第一の屈曲部から前記第二の屈曲部に向かって前記プリント基板から次第に離隔されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記基板端子には、前記端子挿通溝に形成された係止面に係止されて前記基板端子の前記端子挿通溝への挿通端位置を規定する係止突部が形成されており、前記係止突部が前記挿通端位置で前記樹脂台座の上面と同一平面に位置されると共に、前記ケースには、前記係止突部に前記樹脂台座の上面側から重ね合わされる押さえ部が形成されている
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ケースには、前記プリント基板を挟んで前記第一の屈曲部と対向位置されて、該第一の屈曲部を前記プリント基板側から支持する支持部が形成されている
請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には位置決め突起が形成されている一方、前記プリント基板には、前記位置決め突起が差し込まれる位置決め穴が形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
【請求項1】
ケース内に収容されたプリント基板に複数の基板端子が樹脂台座に保持されてなる台座コネクタが搭載されており、前記基板端子の一端側に設けられた半田付け部が前記プリント基板に半田付けされている一方、前記基板端子の他端側に設けられた接続部が前記ケース外に突出されて外部電気部品と接続可能とされている電気接続箱において、
前記基板端子の前記接続部と前記半田付け部の間には、前記接続部側に位置する第一の屈曲部と、前記半田付け部側に位置する第二の屈曲部が形成されており、これら第一の屈曲部と第二の屈曲部がそれぞれ鋭角に屈曲されることで前記基板端子がZ字形状を有している一方、
前記樹脂台座には、側面に開口する端子挿通溝が貫設されており、該端子挿通溝に対して前記基板端子の前記第一の屈曲部が挿通配置されている一方、
前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には、前記端子挿通溝に挿通配置された前記第一の屈曲部が露呈されており、前記樹脂台座が前記プリント基板に載置された状態で、前記基板端子の前記第一の屈曲部が前記プリント基板に当接されていると共に、前記第一の屈曲部から前記第二の屈曲部に向かって前記プリント基板から次第に離隔されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記基板端子には、前記端子挿通溝に形成された係止面に係止されて前記基板端子の前記端子挿通溝への挿通端位置を規定する係止突部が形成されており、前記係止突部が前記挿通端位置で前記樹脂台座の上面と同一平面に位置されると共に、前記ケースには、前記係止突部に前記樹脂台座の上面側から重ね合わされる押さえ部が形成されている
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ケースには、前記プリント基板を挟んで前記第一の屈曲部と対向位置されて、該第一の屈曲部を前記プリント基板側から支持する支持部が形成されている
請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記樹脂台座の前記プリント基板との対向面には位置決め突起が形成されている一方、前記プリント基板には、前記位置決め突起が差し込まれる位置決め穴が形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−134087(P2012−134087A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286983(P2010−286983)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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