説明

電気接続部材

【課題】本発明は、バスバーとカバーとの組み付け作業の効率が向上された電気接続部材を提供する。
【解決手段】直線状に延びる直線部13と直線部13の延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部14とを備えたバスバー11と、直線部13を覆う二つ割りのカバー12と、を備えた電気接続部材10であって、二つ割りのカバー12のうち一方のカバー12には立ち上がり部14の一方側を覆う受けカバー部22が形成されており、二つ割りのカバー12のうち他方のカバー12には立ち上がり部14の他方側を覆って受けカバー部22と共に立ち上がり部14を覆う押さえカバー部23が形成されており、受けカバー部22には、直線部13の延び方向に対して直交する方向に立ち上がる立設壁24が形成されており、押さえカバー部23には立設壁24と摺接する摺接壁25が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子間を電気的に接続する電気接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端子間を電気的に接続する電気接続部材として特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続部材は、バスバーと、このバスバーの少なくとも一方の面を覆うカバーと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術においては、バスバーのうちカバーで覆われていない面は露出した状態になっている。このため、バスバーのうちカバーで覆われていない面に異物が接触すると、バスバーと異物とが短絡することが懸念される。
【0005】
そこで、二つ割りのカバーの間にバスバーを挟み、二つ割りのカバーを一体に組み付けることにより、バスバーの両面をカバーによって覆うことが考えられる。これによりバスバーを確実に電気的に絶縁することができる。
【0006】
しかしながら、上記の構成によると、バスバーが、直線状に延びる直線部と、この直線部の側方から立ち上がる立ち上がり部と、を有する場合に、バスバーとカバーとの組み付け作業が煩わしいという問題が懸念された。以下に詳細に説明する。
【0007】
バスバーとカバーとの組み付け作業は、以下のように行われる。まず、二つ割りのカバーのうち一方のカバー内にバスバーを収容する。次に、他方のカバーを、一方のカバーに対して接近させる。このとき、作業者は、他方のカバーの姿勢について、バスバーの延び方向について位置合わせをすると共に、バスバーの延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部についても相対的な位置合わせをする必要がある。つまり、作業者は、2つの位置合わせ作業を同時に行わなければならない。
【0008】
このとき、立ち上がり部の位置について他方のカバーをガイドする構成が全くない場合、作業者は立ち上がり部の位置を探りながら他方のカバーを取り付けなければならないため、カバーの組み付け作業の効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバーとカバーとの組み付け作業の効率が向上された電気接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、直線状に延びる直線部と前記直線部の延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部とを備えたバスバーと、前記直線部を覆う二つ割りのカバーと、を備えた電気接続部材であって、前記二つ割りのカバーのうち一方のカバーには前記立ち上がり部の一方側を覆う受けカバー部が形成されており、前記二つ割りのカバーのうち他方のカバーには前記立ち上がり部の他方側を覆って前記受けカバー部と共に立ち上がり部を覆う押さえカバー部が形成されており、前記受けカバー部には、前記直線部の延び方向に対して直交する方向に立ち上がる立設壁が形成されており、前記押さえカバー部には前記立設壁と摺接する摺接壁が形成されている。
【0011】
本発明によれば、一方のカバーの受けカバー部に設けられた立設壁と、他方のカバーの押さえカバー部に設けられた摺接壁とを摺接させることにより、他方のカバーは、バスバーの立ち上がり部に対して容易に位置合わせされる。これにより、バスバーとカバーとの組み付け作業の効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記立設壁は前記受けカバー部の両側縁に形成されており、前記摺接壁は前記押さえカバー部の両側縁に形成されていることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、一対の立設壁に対して一対の摺接壁がそれぞれ摺接することにより、他方のカバーが、バスバーの立ち上がり部に対して位置合わせされる。これにより、一方のカバーと他方のカバーとの組み付け作業の効率を更に向上させることができる。
【0014】
前記一方のカバーと前記他方のカバーとが組み付けられた状態で、前記一方のカバーの側壁と、前記他方のカバーの側壁とがオーバーラップして配されていることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、バスバーを確実に電気的に絶縁することができる。
【0016】
前記一方のカバーと前記他方のカバーとはヒンジを介して一体に形成されていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、一方のカバーと他方のカバーとが別体に形成された場合に比べて部品点数を削減できる。
【0018】
前記直線部の少なくとも一方の端部には、前記直線部の板面内において延び方向と交差する方向に屈曲する屈曲部が形成されており、前記立ち上がり部は前記屈曲部の先端に形成されていてもよい。
【0019】
上記の態様によれば、バスバーの設計の自由度を高くすることができる。
【0020】
前記カバー内に前記バスバーが収容された状態で、前記バスバーの前記屈曲部と前記カバーの側壁との間には空隙が形成されていることが好ましい。
【0021】
カバーのうち屈曲部が収容される領域においては、カバーの構造が複雑になるためにヒンジ又はロック構造を設けることができない。このため、屈曲部の外周側においては、一方のカバーと他方のカバーとが離間しやすくなっている。このため、一方のカバーと他方のカバーとが離間すると、カバーの内部に異物が侵入してバスバーと接触することによりバスバーの電気的な絶縁性が低下することが懸念される。上記の態様によれば、カバーの屈曲部とカバーの側壁との間には空隙が形成されているので、異物がカバー内に侵入した場合でも、バスバーと接触することを抑制できる。これにより、バスバーを確実に電気的に絶縁することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、バスバーとカバーとの組み付け作業の効率が向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続部材を示す平面図
【図2】バスバーを示す斜視図
【図3】バスバーを示す平面図
【図4】バスバーを示す側面図
【図5】図1における矢線Aで示す方向から見た電気接続部材を示す側面図
【図6】図1における矢線Bで示す方向から見た電気接続部材を示す側面図
【図7】図1における矢線Cで示す方向から見た電気接続部材を示す側面図
【図8】下カバー及び上カバーを示す平面図
【図9】図8における矢線Dで示す方向から見たカバーを示す側面図
【図10】図8における矢線Eで示す方向から見たカバーを示す側面図
【図11】図8における矢線Fで示す方向から見たカバーを示す側面図
【図12】下カバーにバスバーを収容した状態を示す平面図
【図13】図1におけるG−G線断面図
【図14】図1におけるH−H線断面図
【図15】図1におけるI−I線断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図12を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気接続部材10は、複数の端子(図示せず)の間を電気的に接続するために用いられる。例えば、この電気接続部材10は、電気自動車や、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、この車両の駆動源として用いられる電池モジュール(図示せず)に対して使用される。この電気接続部材10は、異なる電池モジュール同士を接続する場合や、一つの電池モジュール内において、電池モジュールに含まれる図示しない複数の単電池間を接続する場合に用いることができる。電気接続部材10は、車両内において任意の姿勢で配置することができる。
【0025】
図1に示すように、電気接続部材10は、金属板材を所定形状にプレス加工してなるバスバー11と、このバスバー11に取り付けられる合成樹脂製のカバー12と、を備える。バスバー11を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を、必要に応じて適宜選択できる。バスバー11の表面には、メッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等を、必要に応じて適宜選択できる。
【0026】
また、カバー12を構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PBT、PET等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6等のポリアミドなど、絶縁性を有する任意の合成樹脂を用いることができる。
【0027】
図2に示すように、バスバー11は、直線状に延びる細長い直線部13と、直線部13の延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部14と、を備える。図3に示すように、直線部13の一方の端部(図3における左端部)には、端子が挿通される挿通孔15Aがバスバー11を貫通して形成されている。挿通孔15Aは円形状をなしている。直線部13の他方の端部(図3における右端部)には、直線部13の板面内において、直線部13の延び方向と交差する方向に屈曲する屈曲部16が設けられている。屈曲部16は、延び方向(図3における左右方向)に対して略直角方向(図3における上方)に曲げられている。
【0028】
図2に示すように、屈曲部16の先端には、立ち上がり部14が形成されている。図3及び図4に示すように、立ち上がり部14は直線部13の板面に対して略垂直に立ち上がって形成されている。図4に示すように、立ち上がり部14の先端(上端)には、端子が挿通される挿通孔15Bが立ち上がり部14を貫通して形成されている。挿通孔15Bは円形状をなしている。
【0029】
図1に示すように、バスバー11の直線部13のうち挿通孔15Aが形成された側の端部は、カバー12から外方に突出して、外部に露出している。また、図5及び図6に示すように、バスバー11の立ち上がり部14のうち挿通孔15Bが形成された側の端部は、カバー12から外方に突出して、外部に露出している。直線部13のうちカバー12から露出した端部と、立ち上がり部14のうちカバー12から露出した端部とは、図示しない端子にそれぞれ重ねられて、図示しないボルトが挿通孔15A,15B内に挿通されて螺合されることにより、端子にそれぞれ接続される。
【0030】
図1に示すように、カバー12はバスバー11の直線部13を覆っている。カバー12は概ね直線部13の形状に倣って直線状に細長く延びて形成されている。
【0031】
図5に示すように、カバー12は、バスバー11の板面に対して図5における下側に位置する下カバー17(一方のカバー12に相当)と、バスバー11の板面に対して図5における上側に位置する上カバー18(他方のカバー12に相当)と、を備える。このように、カバー12は、二つ割り構造をなす下カバー17及び上カバー18とを備える。
【0032】
図1に示すように、カバー12のうち直線部13を覆う領域には、一方の側縁(図1における下縁)に複数(本実施形態では2つ)のヒンジ19が形成されている。このヒンジ19によって、下カバー17と上カバー18とは一体に形成されている。下カバー17と上カバー18とは、ヒンジ19を中心にして回動可能になっている。
【0033】
下カバー17と上カバー18とは、下カバー17に形成されたロック受け部20と、上カバー18に形成されたロック部21とが弾性的に係止することにより組み付けられるようになっている(図14参照)。ロック受け部20は、下カバー17のうち直線部13に対応する領域であって、ヒンジ19が形成された側縁と反対側の側縁(図1における上縁)に、複数個(本実施形態では2つ)形成されている。また、ロック部21は、上カバー18のうち直線部13に対応する領域であって、ヒンジ19が形成された側縁と反対側の側縁(図1における上縁)に複数個(本実施形態では2つ)形成されている。
【0034】
図1に示すように、下カバー17には、バスバー11の立ち上がり部14の一方側(図1における上側)を覆う受けカバー部22が形成されている。図5に示すように、受けカバー部22は、下カバー17から図5における上方に突出して形成されている。立ち上がり部14は、受けカバー部22の上端部よりも上方に突出している。
【0035】
図1に示すように、上カバー18には、バスバー11の立ち上がり部14の他方側(図1における下側)を覆う押さえカバー部23が形成されている。図6に示すように、押さえカバー部23は、上カバー18から図6における上方に突出して形成されている。立ち上がり部14は、押さえカバー部23の上端部よりも上方に突出している。
【0036】
図5、図6、及び図7に示すように、押さえカバー部23は、受けカバー部22と共に立ち上がり部14を覆うようになっている。図6に示すように、押さえカバー部23の上端部と、受けカバー部22の上端部とは、略同じ高さ位置に設定されている。
【0037】
図6に示すように、受けカバー部22には、バスバー11の直線部13の延び方向(図6における左右方向)に対して直交する方向(図6における上方)に立ち上がる立設壁24が形成されている。立設壁24は、受けカバー部22の両側縁に形成されている。図7に示すように、立設壁24は、図7における上下方向について、上方に向かうに従って先細り形状に形成されている。
【0038】
図6に示すように、押さえカバー部23には、バスバー11の直線部13の延び方向(図6における左右方向)に対して直交する方向(図6における上方)に立ち上がると共に、立設壁24と摺接する摺接壁25が形成されている。摺接壁25は、押さえカバー部23の両側縁に形成されている。摺接壁25は、立設壁24に対して、図6における左右方向の内側の位置に配されて、内側から摺接するようになっている。
【0039】
図8に示すように、下カバー17は、直線部13の下面を覆う底壁26を有する。底壁26には、下カバー17のうちロック部21が形成された側縁(図8における上縁)に、下部第1側壁27が底壁26から立ち上がって形成されている。また、底壁26には、下カバー17のうちヒンジ19が形成された側縁(図8における下縁)に、下部第2側壁28が底壁26から立ち上がって形成されている。下部第2側壁28は、バスバー11の屈曲部16の外方に位置する領域にまで延びている。
【0040】
図8に示すように、上カバー18は、直線部13の上面を覆う上壁29を有する。上壁には、上カバー18のうちロック受け部20が形成された側縁(図8における下縁)に、上部第1側壁30が上壁から立ち上がって形成されている。また、上壁には、上カバー18のうちヒンジ19が形成された側縁(図8における上縁)に、上部第2側壁31が上壁から立ち上がって形成されている。上部第2側壁31は、バスバー11の屈曲部16の外方に位置する領域にまで延びている。
【0041】
図11に示すように、ヒンジ19は、下カバー17の底壁26と、上カバー18の上部第2側壁31の端縁(図11における上端縁)とを連結するように形成されている。
【0042】
図12に示すように、下カバー17の下部第1側壁27の内面には、底壁26にバスバー11を載置した状態において、バスバー11を、下部第2側壁28との間で挟持する複数(本実施形態では2つ)の係止突部32が形成されている。係止突部32は、ロック受け部20と対応する位置に形成されている。また、上カバー18の上部第1側壁30には、下カバー17と上カバー18とを組み付けたときに、係止突部32と対応する位置に、係止突部32との干渉を防ぐ切欠部33が形成されている。
【0043】
係止突部32がバスバー11と係止することにより、下部第1側壁27とバスバー11との間には隙間が形成されている。この隙間は、下カバー17と上カバー18とが組み付けられた状態で、上部第1側壁30が収容される収容空間34とされる。収容空間34内に嵌入した上部第1側壁30と、下部第2側壁28との間でバスバー11が挟持されるようになっている(図13参照)。
【0044】
図12に示すように、底壁26にバスバー11が載置された状態で、バスバー11の屈曲部16と、下部第2側壁28との間には空隙35が形成されている。
【0045】
図13に示すように、下カバー17と上カバー18とが組み付けられた状態において、下部第1側壁27と、上部第1側壁30とは、各側壁の肉厚方向についてオーバーラップして配されている。本実施形態においては、下部第1側壁27が、上部第1側壁30の外側に位置するようになっている。上カバー18の端縁には、下部第1側壁27の上端縁に対して上方から当接する上フランジ部36が、外方に突出して形成されている。
【0046】
また、図13に示すように、下カバー17と上カバー18とが組み付けられた状態において、下部第2側壁28と、上部第2側壁31とは、各側壁の肉厚方向についてオーバーラップして配されている。本実施形態においては、上部第2側壁31が、下部第2側壁28の外側に位置するようになっている。下カバー17の端縁には、上部第2側壁31の下端縁に対して下方から当接する下フランジ部37が、外方に突出して形成されている。上記したヒンジ19は下フランジ部37の先端に形成されている。
【0047】
図14に示すように、下カバー17及び上カバー18の側縁のうちヒンジ19が形成された側縁においては、上部第2側壁31が外側に位置して、下部第2側壁28が内側に位置するようになっている。また、下カバー17及び上カバー18の側縁のうちロック部21及びロック受け部20が形成された側縁においては、下部第1側壁27が外側に位置して、上部第1側壁30が内側に位置するようになっている。
【0048】
図15に示すように、下カバー17と上カバー18とを組み付けた状態では、バスバー11の屈曲部16の外側に位置する領域において、上カバー18の上部第2側壁31が、下カバー17の下部第2側壁28の外側に位置するようになっている。
【0049】
(本実施形態の作用、効果)
下カバー17の底壁26にバスバー11を載置する。その後、ヒンジ19を中心にして上カバー18を回動させ、下カバー17のロック部21と、上カバー18のロック受け部20とを弾性的に係合させることにより、下カバー17と上カバー18とを一体に組み付ける。
【0050】
本実施形態によれば、電気接続部材10は、直線状に延びる直線部13と直線部13の延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部14とを備えたバスバー11と、直線部13を覆う二つ割りのカバー12と、を備え、二つ割りのカバー12のうち下カバー17には立ち上がり部14の一方側を覆う受けカバー部22が形成されており、二つ割りのカバー12のうち上カバー18には立ち上がり部14の他方側を覆って受けカバー部22と共に立ち上がり部14を覆う押さえカバー部23が形成されており、受けカバー部22には、直線部13の延び方向に対して直交する方向に立ち上がる立設壁24が形成されており、押さえカバー部23には立設壁24と摺接する摺接壁25が形成されている。
【0051】
これにより、下カバー17の受けカバー部22に設けられた立設壁24と、上カバー18の押さえカバー部23に設けられた摺接壁25とを摺接させることにより、上カバー18は、バスバー11の立ち上がり部14に対して容易に位置合わせされる。これにより、バスバー11とカバー12との組み付け作業の効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、立設壁24は受けカバー部22の両側縁に形成されており、摺接壁25は押さえカバー部23の両側縁に形成されている。この結果、一対の立設壁24に対して一対の摺接壁25がそれぞれ摺接することにより、上カバー18が、バスバー11の立ち上がり部14に対して位置合わせされる。これにより、下カバー17と上カバー18との組み付け作業の効率を更に向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、下カバー17と上カバー18とが組み付けられた状態で、上カバー18の側壁と、下カバー17の側壁とがオーバーラップして配されている。これにより、上カバー18又は下カバー17が開く方向にずれたとしても、オーバーラップした側壁によって、カバー12内に異物が侵入することを抑制できるので、バスバー11を確実に電気的に絶縁することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、下カバー17と上カバー18とはヒンジ19を介して一体に形成されている。これにより、下カバー17と上カバー18とが別体に形成される場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、直線部13の少なくとも一方の端部には、直線部13の板面内において延び方向と交差する方向に屈曲する屈曲部16が形成されており、立ち上がり部14は屈曲部16の先端に形成されている。このように本実施形態によれば、バスバー11の形状について設計の自由度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、カバー12内にバスバー11が収容された状態で、バスバー11の屈曲部16とカバー12の側壁との間には空隙35が形成されている。カバー12のうち屈曲部16が収容される領域においては、カバー12の構造が複雑になるためにヒンジ19又はロック構造を設けることができない。このため、屈曲部16の外周側においては、一方のカバー12と他方のカバー12とが離間しやすくなっている。このため、一方のカバー12と他方のカバー12とが離間すると、カバー12の内部に異物が侵入してバスバー11と接触することによりバスバー11の電気的な絶縁性が低下することが懸念される。上記の態様によれば、カバー12の屈曲部16とカバー12の側壁との間には空隙35が形成されているので、異物がカバー12内に侵入した場合でも、バスバー11と接触することを抑制できる。これにより、バスバー11を確実に電気的に絶縁することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、立設壁24は受けカバー部22の両側縁に形成される構成としたが、これに限られず、立設壁24は受けカバー部22の一方の側縁に形成されて、摺接壁25は押さえカバー部23のうち立設壁24と対応する側縁に形成される構成としてもよい。
【0058】
(2)本実施形態においては、下カバー17と上カバー18とはヒンジ19によって一体に形成される構成としたが、ヒンジ19は省略してもよい。すなわち、カバー12は、別体に形成された下カバー17と上カバー18とを組み付けて構成してもよい。
【0059】
(3)本実施形態においては、立ち上がり部14は直線部13の端部に屈曲部16に形成される構成としたが、これに限られず、立ち上がり部14は直線部13の端部と異なる位置に形成されていてもよく、例えば、直線部13の中間位置に形成されていてもよい。
【0060】
(4)本実施形態においては、直線部13の一方の端部に屈曲部16が形成される構成としたが、これに限られず、直線部13の両端に屈曲部16が形成されていてもよい。
【0061】
(5)本実施形態においては、カバー12のうち屈曲部16の外側に位置する下部第2側壁28と、バスバー11の屈曲部16とが離間する構成としたが、これに限られず、カバー12のうち屈曲部16の外側に位置する側壁と、バスバー11の屈曲部16とが密着する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…電気接続部材
11…バスバー
12…カバー
13…直線部
14…立ち上がり部
16…屈曲部
17…下カバー(一方のカバー)
18…上カバー(他方のカバー)
19…ヒンジ
22…受けカバー部
23…押さえカバー部
24…立設壁
25…摺接壁
27…下部第1側壁
28…下部第2側壁
30…上部第1側壁
31…上部第2側壁
35…空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に延びる直線部と前記直線部の延び方向の側方から立ち上がる立ち上がり部とを備えたバスバーと、
前記直線部を覆う二つ割りのカバーと、を備えた電気接続部材であって、
前記二つ割りのカバーのうち一方のカバーには前記立ち上がり部の一方側を覆う受けカバー部が形成されており、
前記二つ割りのカバーのうち他方のカバーには前記立ち上がり部の他方側を覆って前記受けカバー部と共に立ち上がり部を覆う押さえカバー部が形成されており、
前記受けカバー部には、前記直線部の延び方向に対して直交する方向に立ち上がる立設壁が形成されており、前記押さえカバー部には前記立設壁と摺接する摺接壁が形成されている電気接続部材。
【請求項2】
前記立設壁は前記受けカバー部の両側縁に形成されており、前記摺接壁は前記押さえカバー部の両側縁に形成されている請求項1に記載の電気接続部材。
【請求項3】
前記一方のカバーと前記他方のカバーとが組み付けられた状態で、前記一方のカバーの側壁と、前記他方のカバーの側壁とがオーバーラップして配されている請求項1または請求項2に記載の電気接続部材。
【請求項4】
前記一方のカバーと前記他方のカバーとはヒンジを介して一体に形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続部材。
【請求項5】
前記直線部の少なくとも一方の端部には、前記直線部の板面内において延び方向と交差する方向に屈曲する屈曲部が形成されており、前記立ち上がり部は前記屈曲部の先端に形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気接続部材。
【請求項6】
前記カバー内に前記バスバーが収容された状態で、前記バスバーの前記屈曲部と前記カバーの側壁との間には空隙が形成されている請求項5に記載の電気接続部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−41706(P2013−41706A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176666(P2011−176666)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】