説明

電気機器、機器制御システム及び識別情報共有方法

【課題】簡易に遠隔操作に必要な識別情報のランダム性を確保することが可能な電気機器、機器制御システム及び識別情報共有方法を提供する。
【解決手段】空調機100内のペアリングID生成部124は、カメラ106によって撮影された画像に応じて設置空間に存在する人の顔の画像の特徴を示す顔画像特徴量データを生成し、あるいは、サーモパイル107からの設置空間における熱分布を示す電圧値に応じて、設置空間の熱分布を示す熱分布特徴量データを生成する。次に、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134とする。ペアリングID134は、リモコン装置200へ送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器と、その電気機器を操作する操作端末との間で情報を共有する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機等の電気機器は、操作端末であるリモコン装置からの無線信号によって遠隔操作が行われる。リモコン装置によって電気機器の遠隔操作を可能とするために、電気機器とリモコン装置との間で識別情報(ペアリングID)が共有される(例えば、特許文献1参照)。ペアリングIDが共有されると、リモコン装置は、遠隔操作のための無線信号にペアリングIDを含めて送信する。電気機器は、無線信号に含まれるペアリングIDを検出し、そのペアリングIDと登録されているペアリングIDとが一致する場合、操作に対応する処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3440648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気機器は、誤動作を防止するために、1のリモコン装置のみによって遠隔操作が行われる必要がある。このため、ペアリングIDは、電気機器とリモコン装置との組み合わせ毎に異なることが好ましい。しかしながら、ペアリングIDのランダム性を確保するために、従来は、電気機器とリモコン装置の製造業者が、電気機器とリモコン装置の組み合わせ毎にペアリングIDを管理する必要があり、煩雑であった。一方、製造業者がペアリングIDを管理しない場合には、ユーザがペアリングIDを登録することが可能である。しかし、この場合には、ペアリングIDのランダム性の確保が困難である。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、簡易に遠隔操作に必要な識別情報のランダム性を確保することが可能な電気機器、機器制御システム及び識別情報共有方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電気機器は、
操作端末からの無線信号によって操作される電気機器であって、
前記電気機器の設置空間の特徴量を検出する特徴量検出手段と、
前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量に応じて、前記電気機器と前記操作端末とによって共有されることによって前記操作端末による前記電気機器の操作を可能とするための識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記識別情報生成手段により生成された前記識別情報を前記操作端末へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易に遠隔操作に必要な識別情報のランダム性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係る空調システムの構成を示す図である。
【図2】一実施形態に係る空調機による第1のペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態に係る空調機による第2のペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。
【図4】一実施形態に係るリモコン装置によるペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。
【図5】一実施形態に係る空調機によるペアリングID共有確認の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る機器制御システムとしての空調システム1の構成を示す図である。空調システム1は、電気機器としての空調機100と、空調機100を遠隔操作するための無線信号を送出する操作端末としてのリモートコントロール装置(リモコン装置)200とを含む。空調システム1において、リモコン装置200によって空調機100の遠隔操作を可能とするために、空調機100とリモコン装置200との間で識別情報(ペアリングID)が共有される。
【0011】
空調機100は、制御部102、メモリ104、無線通信部105、特徴量検出手段としてのカメラ106、特徴量検出手段としてのサーモパイル107、通知手段としての発光ダイオード(LED)108、及び、登録ボタン109を備える。
【0012】
制御部102は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。制御部102は、メモリ104に記憶されたプログラム(例えば、空調機100とリモコン装置200との間でペアリングIDを共有するための処理を行うプログラム)132に従ってソフトウェア処理を実行することにより、空調機100が具備する各種機能を実現する。本実施形態において、制御部102は、識別情報生成手段としてのペアリングID生成部124の機能と、表示検出手段としての表示検出部126の機能とを実現する。
【0013】
メモリ104は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)である。メモリ104は、空調機100における制御等に用いられる各種情報(プログラム132、ペアリングID134等)を記憶する。無線通信部105は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成される。無線通信部105は、リモコン装置200との間で無線信号の送信及び受信を行う。無線通信部105は、送信信号の符号化及び変調と、受信信号の復調及び復号とを行う。
【0014】
カメラ106は、制御部102の制御に応じて、空調機100が設置された空間(設置空間)を撮影する。カメラ106は、例えば、規則的に二次元配列された複数の受光素子により構成される。受光素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像デバイスである。カメラ106は、図示しないレンズを介して入光された光学像を所定範囲の撮像画角で撮像(受光)し、1つのフレームに対応する画像データを生成する。画像データは、1つのフレームを構成する画素毎の色や明度を示す値(画素値)の集合である。
【0015】
サーモパイル107は、制御部102の制御に応じて、空調機100の設置空間の所定範囲に存在する対象物の温度を、その対象物に接触せずに測定する。サーモパイル107は、熱電対により構成される。サーモパイル107は、設置空間の所定範囲を分割して得られる領域である熱画素毎に、対象物から発せられる放射エネルギーによって上昇する熱電対の測定点における温度と基準点における温度との差に応じた電圧値を検出して出力する。
【0016】
LED108は、制御部102の制御に応じて点灯動作を行う。登録ボタン109は、ユーザによって押下される。登録ボタン109が押下されると、登録ボタン109は、制御部102に向けて押下されたことを示す信号(押下信号)を出力する。
【0017】
リモコン装置200は、制御部202、メモリ204、無線通信部205、操作部206及びLED207を備える。
【0018】
制御部202は、例えばCPUによって構成される。制御部202は、メモリ204に記憶されたプログラム(例えば、空調機100とリモコン装置200との間でペアリングIDを共有するための処理を行うプログラム)232に従ってソフトウェア処理を実行することにより、リモコン装置200が具備する各種機能を実現する。本実施形態において、制御部202は、ペアリングID登録要求部222と、ペアリングID登録部224との機能を実現する。
【0019】
メモリ204は、例えばRAMやROMである。メモリ204は、リモコン装置200における制御等に用いられる各種情報(プログラム232、ペアリングID234等)を記憶する。無線通信部205は、例えばRF回路やBB回路等を用いて構成される。無線通信部205は、空調機100との間で無線信号の送信及び受信を行う。無線通信部205は、送信信号の符号化及び変調と、受信信号の復調及び復号とを行う。
【0020】
操作部206は、テンキーやファンクションキー等によって構成され、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。LED207は、制御部202の制御に応じて点滅動作を行う。
【0021】
次に、空調システム1を構成する空調機100及びリモコン装置200の動作を説明する。図2は、空調機100による第1のペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。
【0022】
制御部102内のペアリングID生成部124は、登録ボタン109が押下されたか否か、又は、リモコン装置200からの登録要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。
【0023】
具体的には、ペアリングID生成部124は、登録ボタン109からの押下信号が入力された場合、登録ボタン109が押下されたと判定し、それ以外の場合、登録ボタン109が押下されていないと判定する。
【0024】
また、リモコン装置200の操作部206は、ユーザによってペアリングIDの登録要求の操作が行われた場合、対応する操作信号を制御部202内のペアリングID登録要求部222へ出力する。ペアリングID登録要求部222は、操作信号が入力された場合、空調機200に対してペアリングIDの登録を要求するための登録要求データを無線通信部205へ出力する。無線通信部205は、入力された登録要求データの符号化及び変調を行って登録要求データに対応する無線信号(登録要求信号)を生成し、空調機100へ送信する。このとき、無線通信部205は、空調機100の電源のオンオフや、設定温度の変更等の操作のための無線信号の送信出力よりも低い送信出力で登録要求信号を送信する。登録要求信号の送信出力を小さくすることにより、空調機100以外の他の空調機(例えば、隣家の空調機)によって登録要求信号が受信され、他の空調機とリモコン装置200との間でペアリングIDが共有されてしまうことが防止される。
【0025】
空調機100の無線通信部105は、リモコン装置200からの登録要求信号を受信すると、その登録要求信号に対して復調及び復号とを行い、登録要求データを取得する。更に、無線通信部105は、登録要求データをペアリングID生成部124へ出力する。ペアリングID生成部124は、登録要求データが入力された場合には、登録要求信号を受信したと判定し、それ以外の場合には、登録要求信号を受信していないと判定する。
【0026】
登録ボタン109が押下されていない場合、及び、登録要求信号を受信していない場合(ステップS101:NO)、ペアリングID生成部124は、再び、登録ボタン109が押下されたか否か、又は、リモコン装置200からの登録要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。一方、登録ボタン109が押下された場合、又は、登録要求信号を受信した場合(ステップS101:YES)、ペアリングID134の設定の動作が行われる。
【0027】
ペアリングID134の設定の動作において、まず、カメラ106は、空調機100が設置された空間(設置空間)を撮影する(ステップS102)。具体的には、ペアリングID生成部124は、カメラ106に対して撮影を指示するための信号(撮影指示信号)を出力する。カメラ106は、撮影指示信号が入力されると、撮影空間の撮影を開始し、1つのフレームに対応する画像データを生成する。更に、カメラ106は、画像データをペアリングID生成部124へ出力する。
【0028】
次に、ペアリングID生成部124は、画像データに対応する画像(設置空間の撮影画像)内に人の顔の画像(顔画像)があるか否かを判定する(ステップS103)。設置空間の撮影画像に顔画像があるか否かの判定は、周知の画像処理技術を用いることができる。例えば、ペアリングID生成部124は、カメラ106からの画像データが入力されると、その画像データに含まれる画素値に基づいて、設置空間の撮影画像の輪郭線を検出する。次に、ペアリングID生成部124は、検出した輪郭線の集合と、基準となる眉、目、鼻、口等の人の顔の輪郭線の組み合わせとを比較し、検出した輪郭線の集合に、基準となる人の顔の輪郭線の組み合わせと近似する組み合わせが含まれるか否かを判定する。ペアリングID生成部124は、検出した輪郭線の集合に、基準となる人の顔の輪郭線の組み合わせと近似する組み合わせが含まれる場合には、設置空間の撮影画像に顔画像があると判定し、それ以外の場合には、設置空間の撮影画像に顔画像がないと判定する。なお、基準となる人の顔の輪郭線の組み合わせは、人の標準的な顔の輪郭線の組み合わせでもよいし、特定の人の顔の輪郭線の組み合わせでもよい。
【0029】
設置空間の撮影画像に顔画像がない場合(ステップS103:NO)、制御部102は、一連の動作を終了する。一方、設置空間の撮影画像に顔画像がある場合(ステップS103:YES)、ペアリングID生成部124は、設置空間の特徴量として、設置空間に存在する人の顔の画像の特徴を示す顔画像特徴量データを生成する(ステップS104)。例えば、顔画像特徴量データは、顔画像に対応する画素の画素値の集合である。
【0030】
次に、制御部102内のペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、生成したデータをペアリングID134とする(ステップS105)。例えば、ペアリングID生成部124は、以下のようにして2値化圧縮データを生成する。すなわち、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データ内の各画素値に含まれる明度を示す値を、閾値以上の場合は「1」閾値未満の場合は「0」に変換し、2値化データを生成する。更に、ペアリングID生成部124は、生成した各2値化データを対応する画素の配列に従って配列し、配列後の2値化データの集合に対して、ランレングス圧縮を行う。このような処理によって2値化圧縮データが得られる。
【0031】
次に、無線通信部105は、生成されたペアリングID134に対応する無線信号をリモコン装置200へ送信する(ステップS106)。具体的には、ペアリングID生成部124は、生成したペアリングID134を無線通信部105へ出力する。無線通信部105は、入力されたペアリングID134の符号化及び変調を行ってペアリングID134に対応する無線信号を生成し、リモコン装置200へ送信する。
【0032】
次に、ペアリングID生成部124は、生成したペアリングID134をメモリ104に記憶させる(ステップS107)。
【0033】
図3は、空調機100の第2のペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。
【0034】
制御部102内のペアリングID生成部124は、登録ボタン109が押下されたか否か、又は、リモコン装置200からの登録要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS201)。具体的な動作は、図2のステップS101における動作と同様である。
【0035】
登録ボタン109が押下されていない場合、及び、登録要求信号を受信していない場合(ステップS201:NO)、ペアリングID生成部124は、再び、登録ボタン109が押下されたか否か、又は、リモコン装置200からの登録要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS201)。一方、登録ボタン109が押下された場合、又は、登録要求信号を受信した場合(ステップS201:YES)、ペアリングID134の設定の動作が行われる。
【0036】
ペアリングID134の設定の動作において、まず、サーモパイル107は、空調機100が設置された空間(設置空間)の熱分布を検出する(ステップS202)。具体的には、ペアリングID生成部124は、サーモパイル107に対して熱分布の検出を指示するための信号(熱分布検出指示信号)を出力する。サーモパイル107は、熱分布検出指示信号が入力されると、設置空間の所定範囲を構成する熱画素毎に、対象物から発せられる放射エネルギーによって上昇する熱電対の測定点における温度と基準点における温度との差に応じた電圧値を検出し、ペアリングID生成部124へ出力する。
【0037】
次に、ペアリングID生成部124は、空調機100の設置空間に人が存在するか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、ペアリングID生成部124は、サーモパイル107からの熱画素毎の電圧値が入力されると、電圧値が閾値以上である熱画素を特定する。次に、ペアリングID生成部124は、特定した熱画素によって構成される領域が基準となる人の形状と近似するか否かを判定する。ペアリングID生成部124は、特定した熱画素によって構成される領域が基準となる人の形状と近似する場合には、設置空間に人が存在すると判定し、それ以外の場合には、設置空間に人が存在しないと判定する。
【0038】
設置空間に人が存在しない場合(ステップS203:NO)、制御部102は、一連の動作を終了する。一方、設置空間に人が存在する場合(ステップS203:YES)、ペアリングID生成部124は、設置空間の特徴量として、設置空間の熱分布を示す熱分布特徴量データを生成する(ステップS204)。例えば、熱分布特徴量データは、設置空間の所定範囲を構成する熱画素毎の電圧値の集合である。
【0039】
次に、制御部102内のペアリングID生成部124は、熱分布特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、生成したデータをペアリングID134とする(ステップS205)。ペアリングID134は、ビットデータ列である。例えば、ペアリングID生成部124は、以下のようにして2値化圧縮データを生成する。すなわち、ペアリングID生成部124は、熱分布特徴量データ内の各熱画素の電圧値を、閾値以上の場合は「1」、閾値未満の場合は「0」に変換し、2値化データを生成する。更に、ペアリングID生成部124は、生成した各2値化データを対応する熱画素の配列に従って配列し、配列後の2値化データの集合に対して、ランレングス圧縮を行う。このような処理によって2値化圧縮データが得られる。
【0040】
次に、無線通信部105は、生成されたペアリングID134に対応する無線信号をリモコン装置200へ送信する(ステップS206)。具体的な動作は、図2のステップS106における動作と同様である。次に、ペアリングID生成部124は、生成したペアリングID134をメモリ104に記憶させる(ステップS207)。具体的な動作は、図2のステップS107における動作と同様である。
【0041】
図4は、リモコン装置200によるペアリングID設定の動作を示すフローチャートである。制御部202内のペアリングID登録部224は、ペアリングID134を受信したか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、無線通信部205は、空調機100からのペアリングID134に対応する無線信号を受信すると、その無線信号に対して復調及び復号とを行い、ペアリングID134を取得する。更に、無線通信部205は、ペアリングID134をペアリング登録部224へ出力する。ペアリングID登録部224は、ペアリングID134が入力された場合には、ペアリングID134を受信したと判定し、それ以外の場合には、ペアリングIDを受信していないと判定する。
【0042】
ペアリングID134を受信していない場合(ステップS301:NO)、ペアリングID登録部224は、再び、ペアリングID134を受信したか否かを判定する(ステップS301)。一方、ペアリングID134を受信した場合(ステップS301:YES)、ペアリングID登録部224は、ペアリングID134をメモリ205に記憶させる(ステップS302)。
【0043】
次に、LED207は、ペアリングID134に応じた点滅動作を行う(ステップS303)。具体的には、制御部202は、ペアリングID134のビットデータ列を構成する各ビットデータを1つずつ随時選択し、選択したビットデータが「1」である場合には、LED207をオン(点灯)に制御し、選択したビットデータが「0」である場合には、LED207をオフ(消灯)に制御する。LED207は、制御部202による制御に応じて、点灯及び消灯を行う。この際、ユーザがLED207を空調機100の方向に向けることで、空調機100は、カメラ106の撮影によってLEDの点滅状態を確認することができる。
【0044】
図5は、空調機100によるペアリングID共有確認の動作を示すフローチャートである。図2のステップS106又は図3のステップS206において、ペアリングID134が送信された後、制御部202内の表示検出部126は、リモコン装置200内のLED207による点滅動作が行われているか否かを判定する(ステップS401)。
【0045】
具体的には、表示検出部126は、カメラ106に対して撮影指示信号を出力する。カメラ106は、撮影指示信号が入力されると、撮影空間の撮影を開始し、随時、フレームに対応する画像データを生成し、表示検出部126へ出力する。表示検出部126は、時間軸上で連続する複数のフレームに対応する画像データのそれぞれに含まれる画素値によって示される明度に基づいて、画像内に点滅箇所が存在するか否かを判定する。例えば、画像の所定箇所に対応する明度が閾値以上である場合と閾値未満である場合とに変化する場合、表示検出部126は、画像内に点滅箇所が存在する(LED207による点滅動作が行われている)と判定し、それ以外の場合には、画像内に点滅箇所が存在しない(LED207による点滅動作が行われていない)と判定する。
【0046】
リモコン装置200内のLED207による点滅動作が行われていない場合(ステップS401:NO)、表示検出部126は、再び、リモコン装置200内のLED207による点滅動作があるか否かを判定する(ステップS401)。一方、リモコン装置200内のLED207による点滅動作が行われている場合(ステップS401:YES)、表示検出部126は、LED207による点滅動作がペアリングID134に応じた点滅動作であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0047】
具体的には、表示検出部126は、時間軸上での画像内の点滅箇所における点滅状態を示すビットデータ列を生成する。ここで、表示検出部126は、時間軸上において、画像内の点滅箇所が点灯しているタイミング、換言すれば、LED207が点灯しているタイミングに対して、ビットデータ「1」を設定し、画像内の点滅箇所が消灯しているタイミング、換言すれば、LED207が消灯しているタイミングに対して、ビットデータ「0」を設定する。次に、表示検出部126は、生成したビットデータ列と、メモリ104に記憶されたペアリングID134のビットデータ列とを比較する。表示検出部126は、生成したビットデータ列と、メモリ104に記憶されたペアリングID134のビットデータ列とが一致する場合には、LED207による点滅動作がペアリングID134に応じた点滅動作であると判定し、一致しない場合には、LED207による点滅動作がペアリングID134に応じた点滅動作でないと判定する。
【0048】
LED207による点滅動作がペアリングID134に応じた点滅動作でない場合(ステップS402:NO)、制御部102は、一連の動作を終了する。一方、LED207による点滅動作がペアリングID134に応じた点滅動作である場合(ステップS402:YES)、表示検出部126は、LED108を点灯させる制御を行う。LED108は、制御部102の制御により、空調機100とリモコン装置200との間でペアリングID134が共有されたことを示す点灯動作を行う(ステップS403)。
【0049】
このように、本実施形態における空調システム1において、空調機100は、設置空間に存在する人の顔の特徴を示す顔画像特徴量データや、設置空間の熱分布を示す熱分布特徴量データを生成し、これら顔画像特徴量データや熱分布特徴量データに応じて、リモコン装置200によって空調機100の遠隔操作を可能とするために空調機100とリモコン装置200との間で共有されるペアリングID134を生成し、リモコン装置200へ送信する。空調機100の設置空間の特徴は、設置空間毎に異なっており、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データは空調機100の設置空間の特徴を示す。従って、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データに応じてペアリングID134が生成されることにより、ペアリングID134のランダム性を確保でき、ペアリングID134が他の空調機と他のリモコン装置との間で共有されるペアリングIDと重複してしまうことが防止される。
【0050】
また、本実施形態における空調システム1において、空調機100は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134とする。ハッシュ値、チェックサム、2値化データは、元のデータである顔画像特徴量データや熱分布特徴量データのランダム性と同等のランダム性を維持している。従って、ハッシュ値、チェックサム、2値化データをペアリングID134とすることにより、ペアリングID134は、ランダム性を維持しつつ、データ量を少なくすることができる。
【0051】
また、本実施形態における空調システム1において、空調機100は、画像内に顔画像がある場合や、熱分布によって設置空間に人が存在すると判定した場合に、ペアリングID134を生成する。このため、例えば、空調機100が、隣家に存在するリモコン装置からの登録要求信号を受信したような場合、設置空間に人が存在しなければ、誤受信であるとみなしてペアリングID134を生成しないようにすることができる。
【0052】
また、本実施形態における空調システム1において、リモコン装置200内のLED207は、リモコン装置200が空調機100からのペアリングID134を受信した場合、そのペアリングID134に応じた点滅動作を行う。一方、空調機100は、LED207による点滅動作を検出することでペアリングID134が空調機100とリモコン装置200との間で共有されたことを認識することができる。更に、空調機100内のLED108は、空調機100とリモコン装置200との間でペアリングID134が共有されたことを示す点灯動作を行う。ユーザは、LED108の点灯動作によって、ペアリングID134が空調機100とリモコン装置200との間で共有されたことを認識することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態によって限定されるものではない。本発明は、実施形態及び以下の変形例を適宜組み合わせたものも含み、また、それらと均等なものも含む。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134とした。しかし、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データをそのままペアリングID134としてもよい。また、ペアリングID生成部124は、ハッシュ値の生成、チェックサムの生成、2値化圧縮データの生成以外のデータ圧縮手法を用いて、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データを圧縮したデータを生成し、ペアリングID134として用いてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データを生成した。しかし、ペアリングID生成部124は、設置空間の全体の特徴を示す設置空間特徴量データを生成してペアリングID134としてもよいし、設置空間特徴量データのハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134としてもよい。例えば、設置空間特徴量データは、設置空間の撮影画像に対応する画素の画素値の集合である。
【0056】
また、空調機100は、異なるタイミングで生成された顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの差分に応じて、ペアリングID134を生成するようにしてもよい。
【0057】
この場合、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データを生成する都度、メモリ104に記憶させる。次に、ペアリングID生成部124は、生成タイミングが連続する2つの顔画像特徴量データをメモリ104から読み出して、差分を算出する。あるいは、ペアリングID生成部124は、生成タイミングが連続する2つの熱分布特徴量データをメモリ104から読み出して、差分を算出する。更に、ペアリングID生成部124は、算出した差分をペアリングID134とする。あるいは、ペアリングID生成部124は、算出した差分のハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134とする。顔画像特徴量データや熱分布特徴量データは空調機100の設置空間の特徴を示すため、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの差分も設置空間の特徴を示す。このため、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの差分に応じたペアリングID134が生成されることで、ペアリングID134のランダム性を確保することができる。
【0058】
また、空調機100は、所定期間内に生成された顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの統計量に応じて、ペアリングID134を生成するようにしてもよい。
【0059】
この場合、ペアリングID生成部124は、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データを生成する都度、メモリ104に記憶させる。次に、ペアリングID生成部124は、所定期間内に生成された複数の顔画像特徴量データをメモリ104から読み出して、統計量(例えば平均値)を算出する。あるいは、ペアリングID生成部124は、所定期間内に生成された複数の熱分布特徴量データをメモリ104から読み出して、統計量を算出する。更に、ペアリングID生成部124は、算出した統計量をペアリングID134とする。あるいは、ペアリングID生成部124は、算出した統計量のハッシュ値、チェックサム、2値化圧縮データの何れかを生成し、ペアリングID134とする。顔画像特徴量データや熱分布特徴量データは空調機100の設置空間の特徴を示すため、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの統計量も設置空間の特徴を示す。このため、顔画像特徴量データや熱分布特徴量データの統計量に応じたペアリングID134が生成されることで、ペアリングID134のランダム性を確保することができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、電気機器が空調機100である場合について説明したが、リモコン装置によって遠隔操作が行われる電気機器であれば、同様に、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 空調機
102、202 制御部
104、204 メモリ
105、205 無線通信部
106 カメラ
107 サーモパイル
108、207 LED
109 登録ボタン
124 ペアリングID生成部
126 表示検出部
132、232 プログラム
134、234 ペアリングID
206 操作部
222 ペアリングID登録要求部
224 ペアリングID登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末からの無線信号によって操作される電気機器であって、
前記電気機器の設置空間の特徴量を検出する特徴量検出手段と、
前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量に応じて、前記電気機器と前記操作端末とによって共有されることによって前記操作端末による前記電気機器の操作を可能とするための識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記識別情報生成手段により生成された前記識別情報を前記操作端末へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記識別情報生成手段は、前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量のハッシュ値を生成することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記識別情報生成手段は、前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量のチェックサムを生成することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項4】
前記識別情報生成手段は、前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量を二値化し、前記二値化されたデータを圧縮した値を生成することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項5】
前記識別情報生成手段は、前記特徴量検出手段により異なるタイミングで検出された前記電気機器の設置空間の特徴量の差分に応じて、前記識別情報を生成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記識別情報生成手段は、前記特徴量検出手段により所定期間内に検出された前記電気機器の設置空間の特徴量の統計量に応じて、前記識別情報を生成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記特徴量検出手段は、前記電気機器の設置空間を撮影して画像を生成する撮影手段を備え、
前記識別情報生成手段は、前記撮影手段によって生成された前記画像に応じて、前記識別情報を生成することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記識別情報生成手段は、前記撮影手段によって生成された画像に含まれる顔画像に応じて、前記識別情報を生成することを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
前記識別情報生成手段は、前記撮影手段によって生成された画像に前記顔画像が含まれる場合に、前記識別情報を生成可能な状態とすることを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【請求項10】
前記特徴量検出手段は、前記電気機器の設置空間の熱分布を検出する熱分布検出手段を備え、
前記識別情報生成手段は、前記熱分布検出手段によって検出された前記熱分布に応じて、前記識別情報を生成することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項11】
前記識別情報生成手段は、前記熱分布検出手段によって検出された前記熱分布に基づいて前記電気機器の設置空間に人が存在することが判別された場合に、前記識別情報を生成可能な状態とすることを特徴とする請求項10に記載の電気機器。
【請求項12】
前記操作端末における前記識別情報に対応する表示を検出する表示検出手段を備えることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項13】
前記表示検出手段により前記識別情報に対応する表示が検出された場合に、前記電気機器と前記操作端末とによって前記識別情報が共有されたことが判別されたことを示す通知を行う通知手段を備える請求項12に記載の電気機器。
【請求項14】
電気機器と、前記電気機器を操作するための無線信号を送出する操作端末とを含む機器制御システムであって、
前記電気機器は、
前記電気機器の設置空間の特徴量を検出する特徴量検出手段と、
前記特徴量検出手段により検出された前記電気機器の設置空間の特徴量に応じて、前記電気機器と前記操作端末とによって共有されることによって前記操作端末による前記電気機器の操作を可能とするための識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記識別情報生成手段により生成された前記識別情報を前記操作端末へ送信する送信手段と、
を備え、
前記操作端末は、
前記電気機器からの前記識別情報を受信する受信手段を、
備えることを特徴とする機器制御システム。
【請求項15】
操作端末からの無線信号によって操作される電気機器における識別情報共有方法であって、
前記電気機器の設置空間の特徴量を検出し、
前記検出された前記電気機器の設置空間の特徴量に応じて、前記電気機器と前記操作端末とによって共有されることによって前記操作端末による前記電気機器の操作を可能とするための識別情報を生成し、
前記生成された前記識別情報を前記操作端末へ送信する、
ことを特徴とする識別情報共有方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98969(P2013−98969A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243354(P2011−243354)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】