説明

電気機器及び照明器具

【課題】絶縁性を確保し、実装位置に拘わりなく発熱部品を放熱させる。
【解決手段】ベースケース2の内面に第1の絶縁シート3配置され、発熱部品を含む電気部品が実装された回路基板6が第1の絶縁シート3を介してベースケース2の底面部側に配置され、カバーケース5の内側面に沿うようにカバーケース内面に第2の絶縁シート7が配置され、前記発熱部品に隣接する第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の少なくとも一方に開口部52が形成され、この開口部52を介して発熱部品51と、ベースケース2またはカバーケース5と少なくとも一方とを絶縁性放熱樹脂60によって結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベースケースとこれの蓋であるカバーケースにより箱状に構成され、内部の回路を絶縁するための絶縁シートを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明用点灯装置にあっては、図9(a)に示されるように、回路基板90の一面上に実装された発熱部品91の頭部91tや底面部91bに、プレート状の固定形状を有するシリコーンシート93を介装させて放熱を行っていた。発熱部品91の頭部91tに設けられるシリコーンシート93は、カバーケース94の内側に設けられている絶縁シート95と発熱部品91の頭部91t間に介装される。
【0003】
或いは、図9(b)に示されるよう回路基板90の裏面に実装された発熱部品96については、ベースケース97の内側に設けられている絶縁シート98と発熱部品96の頭部96tの間にシリコーンシート93が介装される。
【0004】
しかしながら、上記のようなシリコーンシート93は、前述の通り、固定形状であるから、発熱部品の大きさや形状に合わせて、更に、発熱部品と絶縁シートとの間の寸法に合わせて、大きさや厚みなど種々様々なラインナップを揃える必要があり、煩わしい上に、コスト的に高価である問題点があった。また、製造の過程においては、発熱部品の大きさや形状に合わせて、更に、発熱部品と絶縁シートとの間の寸法に合わせて、適切なシリコーンシートを選択して実装する必要があり、作業効率の点からも問題であった。
【0005】
上記に対し、基板のベースケース側に配置された絶縁シートに開口部を設け、基板のベースケース側に放熱用樹脂を充填し、上記開口部を介して放熱を必要とする電子部品とベースケースとを接触するようにした構成の放電灯点灯装置が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記の放電灯点灯装置では、基板のベースケース側に実装された電子部品が対象である上に、絶縁性が保たれない虞があり問題である。
【特許文献1】特許第4133597号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の点灯装置等の電気機器が有している問題点を解決するもので、シリコーンシートのように発熱部品の大きさや形状に合わせて種々な大きさ形状のものを用意する必要がなく、絶縁性を確保しつつ、どのような位置に実装された発熱部品についても容易に放熱させることが可能に構成された電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気機器は、底面部及びこの底面部の両側から上方に連続する一対の側壁部により樋状に構成されたベースケースと;ベースケースの底面部内面に及び一対の側壁部内面に沿うように、ベースケース内面に配置された第1の絶縁シートと;発熱部品を含む電気部品が実装された回路基板により構成され、回路基板が第1の絶縁シートを介してベースケースの底面部側に配置された電気回路と;天板部及びこの天板部の両側から連続してベースケースの側壁部に重なるように形成された一対の側板部を有し、この一対の側板部がベースケースの側壁部に重合するように係合されたカバーケースと;カバーケースの内側面に沿うようにカバーケース内面に配置された第2の絶縁シートと;前記発熱部品に隣接する第1の絶縁シート及び第2の絶縁シートの少なくとも一方に形成された開口部と;前記開口部を介して発熱部品と、ベースケースまたはカバーケースと少なくとも一方とを結合する絶縁性放熱樹脂とを具備したことを特徴とする。
【0009】
絶縁性放熱樹脂は、絶縁シートと同等の絶縁性能を備えたものであり、E種絶縁物登録を受けているものが好適である。絶縁性放熱樹脂としては、耐候性、絶縁性に優れた所定のグレードのウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。発熱部品は、発熱するため放熱の必要がある所要の電気電子部品であり、トランス、トランジスタ、コンデンサなどをあげることができるが、これらに限定されない。また、絶縁性放熱樹脂は、チキソ性を有するもものが好適である。チキソ性とは、チキソトロピー(Thixotropy)性のことで、攪拌すると流動性を増し、静置すると固形化する性質であり、塗布等の後に傾斜面や垂直面等に置いても流動しない性質である。開口部の大きさは、大きくするほどベースケースまたはカバーケースと発熱部品との安定的な接続が得られるため好適であるが、大きな開口となるほど使用する絶縁性放熱樹脂の量が多くなるので、発熱部品の大きさや発熱量等に応じて適当な大きさに設定すると効果的である。
【0010】
本発明に係る電気機器では、発熱部品が回路基板に半田により固定された部位を、絶縁性放熱樹脂により被覆したことを特徴とする。
【0011】
本発明の電気機器が点灯装置として用いられる場合、点灯させる光源としては、電球、蛍光ランプ、LEDなどを許容する。
【0012】
本発明に係る照明器具は、点灯装置として使用される請求項1または2に記載の電気機器と;この点灯装置により点灯される光源と;点灯装置及び光源を配置している器具本体とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気機器によれば、ベースケースの内面に第1の絶縁シートが配置され、発熱部品を含む電気部品が実装された回路基板が第1の絶縁シートを介してベースケースの底面部側に配置され、カバーケースの内側面に沿うようにカバーケース内面に第2の絶縁シートが配置され、前記発熱部品に隣接する第1の絶縁シートと第2の絶縁シートの少なくとも一方に開口部が形成され、この開口部を介して発熱部品と、ベースケースまたはカバーケースと少なくとも一方とを絶縁性放熱樹脂によって結合しているので、発熱部品の熱をベースケースやカバーケースへ絶縁性放熱樹脂によって伝導して放熱することができると共に、絶縁シートの開口部を絶縁性放熱樹脂によって塞ぐことができ、開口部を設けない場合の構造と同じ絶縁性能を確保することが可能である。
【0014】
本発明に係る電気機器では、発熱部品が回路基板に半田により固定された部位を、絶縁性放熱樹脂により被覆したので、自動車などの振動に晒される環境に用いられる場合において、半田固定部位にクラックが生じる事態を防ぐことができる。
【0015】
本発明によれば、請求項1または2に記載の電気機器を備えた照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る点灯装置等の電気機器及び照明器具の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置を示す。
【0017】
放電ランプ点灯装置1は、ベースケース2、第1の絶縁シート3、点灯回路4、カバーケース5及び第2の絶縁シート7を主な構成要素としている。絶第1縁シート3は、ベースケース2の内側を沿って配置されており、金属製のベースケース2と点灯回路4との電気的接続を遮断している。点灯回路4は、回路基板6に電気部品を実装した構成を有している。カバーケース5は、ベースケース2に覆い被さる蓋の機能を有し、カバーケース5の内側に沿って、上に凸の半円の円弧に相当するR形状を有する第2の絶縁シート7が配置される。カバーケース5とベースケース2により構成される筐体内には、第1の絶縁シート3と第2の絶縁シート7に覆われた状態で点灯回路4が収納される。
【0018】
ベースケース2は、例えば1枚の金属製の平板を折り曲げて、底面部2aの両側部に一対の側壁部2b、2bを備えるように構成されている。金属としては、例えば鋼板材が用いられる。上記底面部2aは、細長い長方形の形状に形成されている。また、一対の側壁部2b、2bは、底面部2aの長手方向に沿うように両側から上方に折り曲げられ、底面部2aとほぼ直交し互いに対向してベースケース2の全体が略樋形状に形成されている。
【0019】
一対の側壁部2b、2bは、その長手方向の一端側2ba及び図示しない他端側及び中央位置に、係合部である孔8と、四角形状の透通孔10がそれぞれ形成されている。孔8は、円形状に形成され、カバーケース5の係合部である凸部(ベースケース2側へ向かって凸)16と係合する大きさに形成されている。
【0020】
更に、一対の側壁部2b、2bにおいては、その長手方向の一端側2ba及び図示しない他端側及び中央位置に、それぞれ側壁部2b、2bの内側に突出する長形の基板支持段部22が形成されている。合計6個である基板支持段部22は、第1の絶縁シート3を介して回路基板6を支持する。更に、底面部2aの長手方向の一端側2aa及び図示しない他端側には、取付け孔12が穿設されている。
【0021】
第1の絶縁シート3は、平面状に形成された絶縁性の例えば、厚さが0.2 〜1.0 mm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)などの弾性を有する樹脂により構成され、ベースケース2の内面に沿ってベースケース2に配置され、一部が側壁部2b、2bから上方へ突出している。第2の絶縁シート7の材質と厚みとを有する。
【0022】
点灯回路4は、電気部品が回路基板6に実装されて構成されている。回路基板6には、その上面6aにおいて、一端側6bに入力用の端子台13が配設されており、図示しない他端側に出力用の端子台が配設されている。入力用の端子台13には、商用交流電源からの電源線が接続され、出力用の端子台からは、放電ランプが装着されるランプソケットに接続されるリード線が導出される。
【0023】
電気部品は、回路基板6の入力用の端子台13と出力用の端子台との間に実装されており、コンデンサC1、インダクタL1更に図示しないトランジスタなどによって、交流電圧を直流電圧へ変換する直流電源回路、直流電圧を高周波交流電圧へ変換するインバータ回路、更に放電ランプに共振電圧を印加する共振回路などが形成されている。上記の点灯回路4は、第1の絶縁シート3を介してベースケース2の底面部2a側に配置されている。
【0024】
カバーケース5は、例えば鋼板材により構成され、一対の側板部5c、5c及びこの一対の側板部5c、5cをつなぐ天板部5aを有する。より詳細には、カバーケース5は、一枚の平板を折り曲げて構成したもので、長方形状の天板部5aと、この天板部5aの長手方向に沿う両端に連設すると共に天板部5aに対して互いに内向きに傾斜する一対の傾斜板部5b、5bを備える。この一対の傾斜板部5b、5bには、その長手方向に沿うように互いにほぼ平行に対向する一対の側板部5c、5cが連設している。更に、天板部5aにおける長手方向の両端には、天板部5aに対しほぼ直交するように形成された一対に端板部5d、5dが天板部5aに連設している。この端板部5d、5dは、平面形状が略五角形状をなし、カバーケース5における長手方向の両側端の開口14の上側を略閉塞している。側板部5c、5cは、傾斜板部5b、5bを介して天板部5aの長手方向に沿う両側に連設されている。
【0025】
上記一対の側板部5c、5cのそれぞれの一端側5cb、5cbおよび図示しない他端側には、係合部である凸部(ベースケース2側へ向かって凸)16と爪孔部9が形成されている。凸部16は、側板部5cの外面5ccを例えばプレスすることにより凹ませて形成され、側板部5cの内面5cdからカバーケース5の内側に突出している。そして、その突出面は、略球面状(楕円状)に形成されている。凸部16は、通称ダボ構造に形成されている。爪孔部9から凸部16までの距離は、爪部9cを折り曲げた際に生じる基部9a付近に生じる反り返りの影響の範囲を避ける程度に十分長く設定されている。
【0026】
カバーケース5をベースケース2に連結するときに、ベース2の一対の側壁部2b、2bは、カバーケース5の側板部5c、5cに挟まれる。これにより、カバーケース5の側板部5c、5cの内面5cd、5cdとベースケース2の一対の側壁部2b、2bの外面が重なり合う。そして、カバーケース5をベースケース2の底面部2a側に押圧して移動させると、カバーケース5の凸部16が側壁部2b、2bの外面に乗り上がる。
【0027】
凸部16は、一対の側板部5c、5cがベースケース2の一対の側壁部2b、2bに重なり合うときに、側壁部2b、2bに設けられた孔8に嵌合する。このとき、孔8のほぼ全周の縁部に凸部16の突出面が当接する。これにより、凸部16は孔8に強固に固定され、孔8において移動しなくなる。
【0028】
爪孔部9は、側板部5cの外面5ccを切り込むことにより形成されている。爪孔部9には、側板部5cの出幅方向(側板部5cの長手方向に直交する方向)を向くように爪部9cが形成されている。カバーケース5がベースケース2に被せられるようにして連結された状態では、カバーケース5の爪孔部9はベースケース2の透通孔10と重なる。ここで、爪孔部9の開口15に相当する部位を内面方向に押圧して爪部9cを折り曲げる治具を用いて、爪部9cが透通孔10より内側に折り込まれる。
【0029】
カバーケース5がベースケース2に被せられる場合には、カバーケース5の内側に沿って配置されているR形状を有する第2の絶縁シート7の下端部が、第1の絶縁シート3の上端部に被さる。これにより、端子台13などを除く回路基板6は、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7に包まれた状態となり、外部と電気的に絶縁される。
【0030】
回路基板6には、発熱部品51が実装されており、第1の実施形態においては、図2に示すような実装構造を有している。例えば、発熱部品51の発熱部位が頭部側にあり、発熱部品51とベースケース2との距離に比べて、発熱部品51とカバーケース5との距離が短い場合には、第2の絶縁シート7において、発熱部品51の頭部に対向する位置に開口部52を設ける。
【0031】
発熱部品51の頭部とカバーケース5との間に、開口部52を介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合、開口部52が絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。耐候性能または絶縁性能が低い通常の放熱樹脂を用いた場合には、開口部52を絶縁する必要があるが、第2の絶縁シート7の開口部52が絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっているので、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が確保される。また、発熱部品51の発熱部位である頭部の熱は、絶縁性放熱樹脂60により放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してカバーケース5に伝導して放熱される。
【0032】
第2の実施形態においては、図3に示すような実装構造を有している。例えば、発熱部品51の発熱部位が底部側にあり、回路基板6に発熱部品51が実装されている。発熱部品51の発熱部位である底部と対向する回路基板6の位置に、透孔61を穿設されている。透孔61を中心として発熱部品51の底部面積に相当する回路基板6の裏面と対向する第1の絶縁シート3の位置に、開口部52aを設ける。
【0033】
発熱部品51の発熱部位である底部とベースケース2の間に、透孔61及び開口部52を介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合にも、開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。係る構成によって、第2の絶縁シート7の開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっており、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が保たれている。また、発熱部品51の発熱部位である底部の熱は、絶縁性放熱樹脂60により放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してベースケース2に伝導して放熱される。
【0034】
第3の実施形態においては、図4に示すような実装構造を有している。例えば、発熱部品51の発熱部位が底部側の周囲部に近い部分にある。このため、発熱部品51の発熱部位に近い回路基板の位置に、複数(ここでは、2)の透孔61a、61aが穿設されている。第2の絶縁シート7の開口部52aについては、第2の実施形態と同様に構成されている。
【0035】
発熱部品51の発熱部位である底部側の周囲部から、二か所の透孔61a、61a及び開口部52aを介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合にも、開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。耐候性能または絶縁性能が低い通常の放熱樹脂を用いた場合には、開口部52を絶縁する必要があるが、第2の絶縁シート7の開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっているので、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が確保される。また、発熱部品51の発熱部位である底部側の周囲部の熱は、直接に接している絶縁性放熱樹脂60によって放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してベースケース2に伝導して放熱される。更に、リード線55の半田付け部位にも、絶縁性放熱樹脂60が設けられているので、振動によって半田固定部位にクラックなどが生じることなく、点灯回路4における故障の発生を防止することが可能である。
【0036】
第4の実施形態においては、図5に示すような実装構造を有している。例えば、発熱部品54の発熱部位が底部側にあり、回路基板6に発熱部品54が実装されている。発熱部品54の底部と回路基板6間に空間があり、リード線55が半田付けされている。この放電ランプ点灯装置1は、自動車などの振動が生じる環境に用いられる。発熱部品54の発熱部位である底部と対向する回路基板6の位置に、透孔61を穿設されている。透孔61を中心として発熱部品54の底部面積に相当する回路基板6の裏面と対向する第1の絶縁シート3の位置に、開口部52aを設ける。
【0037】
発熱部品54の発熱部位である底部とベースケース2の間に、透孔61及び開口部52を介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。また、リード線55の半田付け部位にも、絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合にも、開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。
【0038】
係る構成によって、第2の絶縁シート7の開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっており、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が保たれている。また、発熱部品54の発熱部位である底部の熱は、絶縁性放熱樹脂60により放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してベースケース2に伝導して放熱される。更に、リード線55の半田付け部位にも、絶縁性放熱樹脂60が設けられているので、振動によって半田固定部位にクラックなどが生じることなく、点灯回路4における故障の発生を防止することが可能である。
【0039】
第5の実施形態においては、図6に示すような実装構造を有している。例えば、回路基板6の裏面側(ベースケース2に対向する側)にチップ部品などの発熱部品56が実装されている。発熱部品56の発熱部位が前面及び側面にある。発熱部品56の前面よりやや広い面積に相当する第1の絶縁シート3の位置に、開口部52bを設ける。発熱部品56の全体を覆うように絶縁性放熱樹脂60を設けると共に、発熱部位である発熱部品56の前面とベースケース2の間に、開口部52bを介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合にも、開口部52bが絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。
【0040】
係る構成によって、第2の絶縁シート7の開口部52aが絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっており、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が保たれている。また、発熱部品56の発熱部位の熱は、絶縁性放熱樹脂60により放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してベースケース2に伝導して放熱される。
【0041】
第6の実施形態においては、図7に示すような実装構造を有している。例えば、発熱部品57の発熱部位が底部側にあり、この底部が回路基板6にほぼ密着した状態で発熱部品57が実装されている。発熱部品57が回路基板6の隅部に実装されているため、回路基板6の側面部に近い第1の絶縁シート3縦壁の位置に、開口部52bを設ける。また、回路基板6の側面部に近い底面の位置に、開口部52cを設ける。
【0042】
回路基板6の側面部とベースケース2の側壁部2bとの間に、開口部52bを介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。また、回路基板6の側面部に近い底面とベースケース2の底面部2aとの間に、開口部52cを介して絶縁性放熱樹脂60を設ける。この場合にも、開口部52b、52cが絶縁性放熱樹脂60により覆われるようにする。発熱部品57の発熱部位が底部に近い側面部を囲繞するように絶縁性放熱樹脂60を設けても良い。
【0043】
係る構成によって、第1の絶縁シート3の開口部52b、52cが絶縁性放熱樹脂60により塞がれた状態となっており、第1の絶縁シート3及び第2の絶縁シート7の内部にある回路基板6の点灯回路4は絶縁が保たれている。また、発熱部品57の発熱部位である底部に直接に絶縁性放熱樹脂60を設けない場合にも、発熱部品57の熱は、間接的に接している回路基板6を介して絶縁性放熱樹脂60へ伝導して絶縁性放熱樹脂60によって放熱されると共に、絶縁性放熱樹脂60を介してベースケース2に伝導して放熱される。
【0044】
図8には、本発明に係る照明器具の実施例を示す。照明器具30は、天井面などに直付けされる照明器具であり、略枠状の器具本体17の両端に一対のランプソケット18、18が設けられている。このランプソケット18、18には、放電ランプである直管形蛍光ランプ19が装着されている。また、器具本体17は、蛍光ランプ19に対向して断面略皿状の反射板20を取り付けており、この反射板20の表面は反射面20aとなっている。
【0045】
また、器具本体17は、反射板20の内側において、図1に示した放電ランプ点灯装置1をベースケース2の底面部2aに設けた取付け孔12に通しねじにより固定している。そして、放電ランプ点灯装置1が給電されることにより、蛍光ランプ19が点灯する。
【0046】
照明器具30は、放電ランプ点灯装置1の小型化により、容易に配設スペースを確保することができ、放電ランプ点灯装置1の低コスト化により、安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置を示す一部省略組立斜視図。
【図2】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第1の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図3】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第2の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図4】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第3の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図5】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第4の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図6】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第5の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図7】本発明に係る電気機器の実施例である放電ランプ点灯装置の第6の実施形態における要部構成を示す一部断面側面図。
【図8】本発明の電気機器に係る実施例を用いて構成した照明器具の構成を示す斜視図。
【図9】電気機器の従来例である放電ランプ点灯装置の要部構成を示す一部断面側面図。
【符号の説明】
【0048】
2 ベースケース
3 第1の絶縁シート
5 カバーケース
6 回路基板
7 第2の絶縁シート
52、52a〜52c 開口部
60 絶縁性放熱樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及びこの底面部の両側から上方に連続する一対の側壁部により樋状に構成されたベースケースと;
ベースケースの底面部内面に及び一対の側壁部内面に沿うように、ベースケース内面に配置された第1の絶縁シートと;
発熱部品を含む電気部品が実装された回路基板により構成され、回路基板が第1の絶縁シートを介してベースケースの底面部側に配置された電気回路と;
天板部及びこの天板部の両側から連続してベースケースの側壁部に重なるように形成された一対の側板部を有し、この一対の側板部がベースケースの側壁部に重合するように係合されたカバーケースと;
カバーケースの内側面に沿うようにカバーケース内面に配置された第2の絶縁シートと;
前記発熱部品に隣接する第1の絶縁シート及び第2の絶縁シートの少なくとも一方に形成された開口部と;
前記開口部を介して発熱部品と、ベースケースまたはカバーケースと少なくとも一方とを結合する絶縁性放熱樹脂と
を具備したことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
発熱部品が回路基板に半田により固定された部位を、絶縁性放熱樹脂により被覆したことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
点灯装置として使用される請求項1または2に記載の電気機器と;
この点灯装置により点灯される光源と;
点灯装置及び光源を配置している器具本体と
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−108879(P2010−108879A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282411(P2008−282411)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】