説明

電気機器

【課題】筐体に形成された開口を開閉可能なカバーであって、筐体に容易に着脱可能で、開けたときに、筐体内に収納可能なカバーを備えた電気機器を提供する。
【解決手段】カバー5は、蓋部5aに連なって順次設けられた第1曲げ部5bと第2曲げ部5cを有し、筐体2には、カバー5が挿脱可能に、且つ筐体2の内外方向に移動可能に挿通される通口8が設けられ、又、カバー5が蓋部5aで開口部4を覆いつつ、略起立状態で係止されるカバー係止部9が設けられ、そして、カバー5は、第1曲げ部内側の隅部5dが、通口8の上側内壁面8aと前壁内壁面3aとの交点の内側端縁部8cを支点として、前後方向に回動可能であり、略起立状態と略横伏状態との間で変位可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体に形成された開口を開閉可能なカバーを備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、その外装をなす筐体に様々な用途で開口が形成されるが、開口を使用しないときにはそれを覆うことができる様に、筐体の開口を覆うカバーを備えているものがある。
【0003】
例えば、特開2002−281489号公報(特許文献1)に記載のテレビドアホンには、録画ユニットが収納されるユニット収納部が筐体内に設けられているが、録画ユニットを収納しないで、ドアホンを録画対応にしない場合に、ユニット収納部の開口を覆うように嵌合されるカバーを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−281489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電気機器における筐体の開口を使用しないときのためのカバーは、一般に、特許文献1に記載のカバーの様に、脱着によりカバーを開閉するものとなっており、開口を使用するときは、筐体から分離されるため、破損や紛失してしまうことがあった。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、筐体に形成された開口を開閉可能なカバーであって、筐体に容易に着脱可能であり、開けたときに、筐体内に収納可能なカバーを備えた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、周壁に開口部を有する筐体と、該開口部を開閉する蓋部を有するカバーとを備えた電気機器において、該カバーは、該蓋部に連なって順次設けられた第1曲げ部と第2曲げ部を更に有し、該筐体には、該カバーが挿脱可能に、且つ該筐体の内外方向に移動可能に挿通される通口が該開口部の近傍に設けられ、又、該筐体には、該カバーが該蓋部で該開口部を覆いつつ、略起立状態で係止されるカバー係止部が該開口部の周囲に設けられ、そして、該カバーは、該第1曲げ部内側の隅部が該通口の上側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部を支点として前後方向に回動可能であり、略起立状態と略横伏状態との間で変位可能であることを特徴とする電気機器である。
【0008】
又、この発明は、該電気機器であって、該第1曲げ部と該第2曲げ部はそれぞれ略L字状の曲げ部であり、且つ該第1曲げ部と該第2曲げ部は階段状に連なっていることを特徴とする電気機器である。
【0009】
又、この発明は、該電気機器であって、該第2曲げ部内側の隅部が、該通口の下側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部と係合されることを特徴とする電気機器である。
【0010】
又、この発明は、該電気機器であって、該カバー係止部は、該カバーが略起立状態にあるとき、該カバーの外面が該筐体の該周壁の外面と面一になる様に凹部が形成されていることを特徴とする電気機器である。
【0011】
又、この発明は、該電気機器であって、該カバーは金属製であり、該カバー係止部には、該カバーが付着して、該カバーを略起立状態に保持するマグネットが設けられていることを特徴とする電気機器である。
【0012】
又、この発明は、該電気機器であって、該筐体には、該カバーが略横伏状態で収納されるカバー収納部が該通口の内側に設けられることを特徴とする電気機器である。
【0013】
又、この発明は、該電気機器であって、該カバー収納部には、該カバーが該筐体の外部へ移動するのを付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする電気機器である。
【発明の効果】
【0014】
この発明においては、カバーは、通口に挿脱可能であり、即ち筐体に着脱可能であり、又、第1曲げ部内側の隅部は、通口の上側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部を支点として、前後方向に回動し、略起立状態と略横伏状態との間で変位して、開口部の開閉が可能であり、そして、略横伏状態で、即ち開口部を開けた状態で、筐体のカバー収納部内に収納可能である。更に、第2曲げ部内側の隅部は、通口の下側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部と係合されるので、カバー収納部における上下方向のがたつきを抑えられる。
【0015】
従って、この発明によれば、開口部を開閉するカバーが筐体に着脱可能でありながら、開口部を開けているときに、カバーを筐体内に収納することができる電気機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の電気機器の一例としての火災感知器の第1の実施の形態を示し、カバーが略起立状態で開口部を閉じている状態における斜視図である。
【図2】同上の火災感知器において、カバーが開口を開け、筐体内部に略横伏状態で収納されている状態における斜視図である。
【図3】同上の火災感知器において、図1の状態における、(a)が一部省略した正面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図、(c)が(b)のB部拡大図である。
【図4】同上の火災感知器において、図2の状態における、(a)が一部省略した正面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図、(c)が(b)のB部拡大図である。
【図5】同上の火災感知器におけるカバーを示す斜視図である。
【図6】同上を示し、カバーを筐体の背面から取付していて、フックに係止していない状態における要部斜視縦断面図である。
【図7】同上を示し、カバーが筐体外部へ引き出され、略横伏状態と略起立状態との間の回動途中の状態における、(a)が一部省略した正面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図、(c)が(b)のB部拡大図である。
【図8】同火災感知器の第2の実施の形態を示し、図3に相当し、(a)が一部省略した正面図であり、(b)が(a)のC−C線断面図、(c)が(b)のD部拡大図である。
【図9】同上を示し、図4に相当し、(a)が一部省略した正面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図、(c)が(b)のB部拡大図である。
【図10】同上を示し、カバーを図9の状態から更に筐体内部に移動して、付勢部材に係止している状態における要部斜視縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態を煙感知器に適用する場合を例に説明する。
【0018】
先ず、第1の実施の形態を図1乃至図7に基づき説明する。
【0019】
電気機器の一例である煙感知器1は、筐体2によって箱状に外装されている。筐体2には、その周壁中、前壁3に開口部4が形成されており、その開口部4を開閉する蓋部5aを有するカバー5が設けられている。
【0020】
尚、煙感知器1は、空気中に浮遊する煙等を光学的に検知するためのものであり、詳細な説明は省略するが、筐体2内に光学的に煙を検出する煙検出ユニットや煙検出ユニット内の検煙部内にサンプリングされた空気を流入させるファンや空気通路等を備えている。
【0021】
本例において、開口部4には、例えば、外部との通信用の端子6と電話用のジャック7が設けられているが、それら端子は、図1に示されるように、カバー5の蓋部5aが開口部4を閉じているときには、カバー5の蓋部5aにより覆われ、図2に示されるように、カバー5の蓋部5aが開口部4を開けているときには、外方に露出されるようになっている。
【0022】
開口部4の下方には、カバー5が挿脱可能に、且つ筐体2の内外方向に移動可能に挿通されるスリット状の通口8が設けられている。又、開口部4の周囲には、カバー5がその蓋部5aで開口部4を覆いつつ、略起立状態で係止されるカバー係止部9が設けられている。カバー係止部9は、カバー5が略起立状態で係止されているときに、カバー5の外面が前壁3の外面と面一になる様に凹部が形成されており、又、カバー係止部9には、カバー5が磁力で吸着されて、カバー5を略起立状態で係止される状態を保持するマグネット10が開口部4の上方に設けられている。
【0023】
カバー5は、平板状の蓋部5aに連続して、順次設けられた第1曲げ部5bと中間部5iと第2曲げ部5cを有している。この第1曲げ部5b及び第2曲げ部5cはそれぞれ略L字状に形成されており、それらが階段状に連続してなるものとなっている。又、このカバー5において、第1曲げ部5b及び第2曲げ部5cのそれぞれの略L字状をなす外側及び内側の面が何れも曲げ加工によって曲面になっている。尚、カバー5は金属製であり、カバー係止部9に設けられているマグネット10に磁力で直接吸着されるものとなっている。カバー5を樹脂成形品として、マグネット10の代わりに、カバー5とカバー係止部9の凹部の底面9aとにそれぞれ係止手段を設けて保持するようにしてもよい。
【0024】
図3に示されるように、カバー5は、蓋部5aで開口部4を閉じている状態においては、通口8に挿通されて、通口8より外部に蓋部5aを露出させ、略起立状態になるようになっている。このとき、カバー5の第2曲げ部5cの内側の略L字状の面は、通口8の下側内壁面8bとそれに垂直に連続する前壁3の内壁面3aによって形成される略L字状の面と係合するようになっており、それによりカバー5は略起立状態の姿勢になるようになっている。尚、カバー5の基端5h側の第2曲げ部5cに連続する平板部には、両側方に突出するフランジ部5fが設けられており、このフランジ部5fにより通口8から外方側へカバー5が抜けるのを防止できるようになっている。
【0025】
更に、カバー5は、具体的には、図7に示されるように、略L字状をなす第1曲げ部内側の隅部5dは、通口8の上側内壁面8aと前壁内壁面3aとの交点のの内側端縁部8cを支点として、矢印A1及びA2方向、即ち前後方向に回動可能となっており、それにより、開口部4を閉じている略起立状態と開口部4を開けている略横伏状態との間で変位することができ、開口部4の開閉ができるようになっている。又、略L字状をなす第2曲げ部内側の隅部5eは、通口8の下側内壁面8bと前壁内壁面3aとの交点の内側端縁部8dと係合されるために、カバー5がカバー係止部9の凹面において、上下方向にがたつくのを防止できる。
【0026】
筐体2内には通口8の内側にカバー収納部11が設けられており、カバー5は略横伏状態で通口8を通って筐体2内に移動されて、このカバー収納部11に略横伏状態で収納されるようになっている。尚、12は一対のフックであり、このフック12にカバー5のフランジ部5fが掛止されて、カバー5のカバー収納部11への収納状態が維持されるようになっている。尚、カバー5は、蓋部5aの先端5gを通口8から外部に露出させた状態で、カバー収納部11内に収納されるようになっており、カバー5で開口部4を閉じるときに、カバー5の先端を摘んで容易に筐体2内から容易に引き出すことができるようになっている。
【0027】
煙感知器1においては、前記のように、カバー5は、通口8に挿脱可能であり、即ち筐体2に着脱可能なものになっていながら、第1曲げ部内側の隅部5dは、通口8の上側内壁面8aと前壁内壁面3aとの交点の内側端縁部8cを支点として、前後方向に回動して、略起立状態と略横伏状態との間で変位し、それにより開口部4の開閉が可能なものになっており、そして、略横伏状態で、即ち開口部4を開けた状態で、筐体2のカバー収納部11内に収納可能なものとなっている。
【0028】
ここで、カバー5を筐体2に取付する手順を説明する。まず、カバー5の蓋部5aを内側から横伏状態で通口8に挿入する。次に、第1曲げ部5bの内側の隅部5dが内側端縁部8cに接すると、そこを支点として回転を開始後、第1曲げ部5bが通口8内を通れるようになる。それに応じて、カバー5は略起立状態へと変位をはじめる。更に、カバー5がほとんど起立した状態となると、中間部5iが通口8内を通れるようになるので、その姿勢で略平行移動する。最後に、第2曲げ部5cの内側の隅部5eが係合手段である通口8の内側端縁部8dに接すると、略起立状態で維持する。尚、カバー5を筐体2から外すには、上述と逆の動作をすればよい。上記の各隅部は1点でなく、略L字状のコーナー部分の面を含めるものである。そして、内側の隅部5d、5eの形状に応じて、支点(内側端縁部8c)と係合手段(内側端縁部8d)とそれぞれ接する部分は変わる。
【0029】
次に、この発明の第2の実施の形態を図8乃至図10に基づき説明する。
【0030】
第2の実施の形態は、図8乃至図10に示されるように、カバー収納部11にストッパ13とガイド爪14を更に備えたものとなっている。それら以外の構成は第1の実施の形態と実質的に同じ構成のものとなっている。
【0031】
ストッパ13は、ガイド爪14の前方の位置に、カバー収納部11の底部11a(筐体2の底板)より垂直に立設された板状体である。このストッパ13は、通口8に挿通されるカバー5の基端5hが当接して、カバー5の筐体2内部への移動を制限できるものとなっている。
【0032】
ガイド爪14は、ストッパ13の後方の位置に、カバー収納部11の底部11a(筐体2の底板)より前方に傾斜して斜設され、自由端とされた2本の柱状体からなる先端14aがストッパ13や通口8よりも高い位置にあるものとなっている。このガイド爪14は弾性を有し、先端14aは斜め上方から垂直上方に向かうよう角度が付されており、カバー5の平板部が上方から先端14aに掛止されるようになっているが、カバー5が掛止状態から外れれば、カバー5の外方への移動を付勢することができるものとなっている。
【0033】
第2の実施の形態は、前記の通り、ストッパ13、ガイド爪14以外の構成は第1の実施の形態と同じものとなっており、この第2の実施の形態の煙感知器1においても、カバー5は、通口8に挿脱可能であり、即ち筐体2に着脱可能なものになっていながら、第1曲げ部内側の隅部5dは、通口8の上側内壁面8aと前壁内壁面3aとの交点の内側端縁部8cを支点として、前後方向に回動して、略起立状態と略横伏状態との間で変位し、それにより開口部4の開閉が可能なものになっており、そして、略横伏状態で、即ち開口部4を開けた状態で、筐体2のカバー収納部11内に収納可能なものとなっている。
【符号の説明】
【0034】
1 煙感知器 2 筐体
3 前壁 3a 前壁内壁面
4 開口部 5 カバー
5a 蓋部 5b 第1曲げ部
5c 第2曲げ部 5d 第1曲げ部内側の隅部
5e 第2曲げ部内側の隅部 5f フランジ部
5g 先端 5h 基端
5i 中間部 6 通信用の端子
7 電話用のジャック 8 通口
8a 上側内壁面 8b 下側内壁面
8c 内側端縁部 8d 内側端縁部
9 カバー係止部 9a 凹部の底面
10 マグネット 11 カバー収納部
12 フック 13 ストッパ
14 ガイド爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁に開口部を有する筐体と、該開口部を開閉する蓋部を有するカバーとを備えた電気機器において、
該カバーは、該蓋部に連なって順次設けられた第1曲げ部と第2曲げ部を更に有し、
該筐体には、該カバーが挿脱可能に、且つ該筐体の内外方向に移動可能に挿通される通口が該開口部の近傍に設けられ、又、該筐体には、該カバーが該蓋部で該開口部を覆いつつ、略起立状態で係止されるカバー係止部が該開口部の周囲に設けられ、
そして、該カバーは、該第1曲げ部内側の隅部が、該通口の上側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部を支点として、前後方向に回動可能であり、略起立状態と略横伏状態との間で変位可能であることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
該第1曲げ部と該第2曲げ部はそれぞれ略L字状の曲げ部であり、且つ該第1曲げ部と該第2曲げ部は階段状に連なっていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
該第2曲げ部内側の隅部が、該通口の下側内壁面と前壁内壁面との交点の内側端縁部と係合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
該カバー係止部は、該カバーが略起立状態にあるとき、該カバーの外面が該筐体の該周壁の外面と面一になる様に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電気機器。
【請求項5】
該カバーは金属製であり、該カバー係止部には、該カバーが付着して、該カバーを略起立状態に保持するマグネットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電気機器。
【請求項6】
該筐体には、該カバーが略横伏状態で収納されるカバー収納部が該通口の内側に設けられることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電気機器。
【請求項7】
該カバー収納部には、該カバーが該筐体の外部へ移動するのを付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−238643(P2010−238643A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87851(P2009−87851)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】