説明

電気機器

【課題】本体装置の発熱を抑えることのできる電気機器を提供する。
【解決手段】電源供給装置20は本体装置10に対して着脱可能であって、本体装置10に電力を供給する電源供給端子21aと、電源供給端子21aから本体装置10に出力される電圧を、二次電池13の電池電圧に応じて決まる供給電圧に制御する充電制御回路25と、を含み、本体装置10は、二次電池13と、電源供給装置20から受け付けた供給電圧を二次電池13の電池電圧に調整して出力する電圧調整回路12と、二次電池13の電池電圧を取得し、当該取得した電池電圧に応じて供給電圧を決定し、充電制御回路25に指示する制御回路16と、を含み、二次電池13は、電圧調整回路12が出力する電力によって充電され、充電制御回路25は、制御回路16の指示に応じて、供給電圧の制御を行う電気機器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵された二次電池から供給される電力によって動作する本体装置、及び当該本体装置に対して電力供給を行う電源供給装置を含んで構成される電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の中には、二次電池を内蔵する本体装置と、本体装置に対して電力を供給する電源供給装置(ACアダプタ等)と、から構成されるものがある。このような電気機器においては、電源供給装置は本体装置に対して着脱可能に構成され、電源供給装置が接続されていない状態でも本体装置は二次電池が供給する電力によって単独で動作する。また、電源供給装置を本体装置に接続することで、二次電池を本体装置に内蔵した状態のまま、当該二次電池を充電することもできる。さらに、この電源供給装置が供給する電力によって二次電池を充電しながら本体装置を動作させることができるように構成される場合もある。このような電気機器が二次電池の充電を行う場合、二次電池の充電状態に応じて、二次電池に供給する充電電圧を変化させる必要がある。そのため、本体装置には充電制御回路が内蔵されており、この充電制御回路が、電源供給装置から供給される電圧を二次電池の充電状態に応じた充電電圧に変換して、二次電池に入力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような電気機器においては、電源供給装置から本体装置に電力供給が行われている間は、行われていない場合と比較して本体装置の発熱が大きくなる。これは、電源供給装置から供給される電力が充電制御回路を経由して内部の二次電池や負荷に伝達されるため、この充電制御回路の電圧変換作用によって熱が発生するからである。そこで、このような電気機器においては、電源供給装置から電力が供給される際の発熱を考慮して、本体装置に放熱機構を設けたり、本体装置を大型化したりする方策が採られている。あるいは、二次電池の充電時には、本体装置を動作させるための負荷への電力供給を行わないようにする機能制限を設けることで、充電制御回路の発熱による問題を回避する場合もある。
【0004】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、本体装置の発熱を抑えることのできる電気機器、並びに当該電気機器を構成する本体装置及び電源供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電気機器は、二次電池を備える本体装置と、前記本体装置に対して着脱可能な電源供給装置と、を含む電気機器であって、前記電源供給装置は、前記本体装置に電力を供給する電源供給端子と、前記電源供給端子から前記本体装置に出力される電圧を、前記二次電池の電池電圧に応じて決まる供給電圧に制御する充電制御回路と、を含み、前記本体装置は、前記電源供給装置から受け付けた前記供給電圧を、前記二次電池の電池電圧に調整して出力する電圧調整回路と、前記二次電池の電池電圧を取得し、当該取得した電池電圧に応じて前記供給電圧を決定し、前記充電制御回路に指示する制御回路と、を含み、前記二次電池は、前記電圧調整回路が出力する電力によって充電され、前記充電制御回路は、前記制御回路の指示に応じて、前記供給電圧の制御を行うことを特徴とする。
【0006】
前記電気機器において、前記電源供給装置は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換するACアダプタ部をさらに備え、前記充電制御回路は、前記ACアダプタ部と前記電源供給端子との間に配置され、前記ACアダプタ部が出力する電圧を、前記供給電圧に変換することとしてもよい。
【0007】
また、前記電気機器において、前記電源供給装置は、前記本体装置に対して着脱されるコネクタを備え、前記電源供給端子及び前記充電制御回路は、いずれも前記コネクタの筐体内に収容されることとしてもよい。
【0008】
また、前記電気機器において、前記制御回路は、前記二次電池の電池電圧の値に所定値を加算した値を、前記供給電圧の値として決定することとしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る電源供給装置は、二次電池を備える本体装置に対して着脱可能な電源供給装置であって、前記本体装置に電力を供給する電源供給端子と、前記電源供給端子から前記本体装置に出力される電圧を、前記二次電池の電池電圧に応じて決まる供給電圧に制御する充電制御回路と、を含み、前記充電制御回路は、前記本体装置から前記供給電圧の値を指定する指示を受け付け、当該指示に応じて前記供給電圧の制御を行うことを特徴とする。
【0010】
前記電源供給装置は、前記本体装置に対して着脱されるコネクタを備え、前記電源供給端子及び前記充電制御回路は、いずれも前記コネクタの筐体内に収容されることとしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る電気機器の本体装置は、電源供給装置を着脱可能に構成され、二次電池と、前記電源供給装置から受け付けた供給電圧を、前記二次電池の電池電圧に調整して出力する電圧調整回路と、前記二次電池の電池電圧を取得し、当該取得した電池電圧に応じて前記供給電圧を決定し、前記電源供給装置に指示する制御回路と、を含み、前記二次電池は、前記電圧調整回路が出力する電力によって充電されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気機器の回路構成を示す図である。
【図2】電源供給装置の変形例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る電気機器の回路構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電気機器による制御フローの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電気機器1a全体の回路構成を示す図である。同図に示されるように、電気機器1aは、本体装置10と電源供給装置20とを含んで構成されている。本体装置10と電源供給装置20とは互いに別体になっており、電源供給装置20はコネクタ21を介して本体装置10のコネクタ11に接続される。すなわち、電源供給装置20は、本体装置10と物理的に分離しており、本体装置10に対して着脱可能に構成されている。電気機器1aは、例えばノートパソコンや携帯型ゲーム機、携帯電話、携帯型音楽プレーヤー、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ICレコーダーなど、内蔵する二次電池によって動作する各種の携帯機器であってよい。
【0015】
本体装置10は、電気機器1aの本体部分であって、コネクタ11と、電圧調整回路12と、二次電池13と、電源IC14と、負荷15と、制御回路16と、を含んで構成されている。
【0016】
コネクタ11は、電源供給装置20のコネクタ21と接続されて、電源供給装置20から供給される電力を受け付ける。具体的に、コネクタ11は、少なくとも電源入力端子11a及び信号出力端子11bの二つの端子を含んでいる。そして、電源入力端子11aが電源供給装置20から供給される電力を受け付け、信号出力端子11bは、後述する制御回路16が出力する制御信号を電源供給装置20に対して出力する。
【0017】
電圧調整回路12は、電源供給装置20から電源入力端子11aに入力された電圧(以下、供給電圧Vsと表記する)を、二次電池13の現在の充電状態に応じた電圧(以下、電池電圧Vbと表記する)に変換して出力する。例えば電圧調整回路12は、LDO(Low Drop Out)レギュレータであってよい。
【0018】
二次電池13は、例えばリチウムイオン二次電池など、外部から供給される電力によって充電可能な蓄電装置であって、電源供給装置20から供給される電力によって充電される。充電によって二次電池13に蓄積された電力は、電源IC14に供給される。なお、二次電池13の両端の間に生じる電圧(電池電圧Vb)は、二次電池13の充電状態に応じて変化する。
【0019】
電源IC14は、二次電池13から供給される電力、または電源供給装置20から電圧調整回路12を経由して供給される電力を、負荷15を動作させるための電圧に変換して、負荷15に対して出力する。なお、負荷15が複数存在し、かつそれぞれの動作電圧が異なる場合には、電源IC14は、複数の負荷15のそれぞれに対して、互いに異なる電圧を出力してもよい。
【0020】
負荷15は、電源IC14から供給される電力を消費して動作する電子部品である。負荷15が動作することによって、電気機器1aとしての機能が実現される。例えば電気機器1aが携帯型ゲーム機などの情報処理装置の場合、負荷15は、CPUやメモリ、液晶パネルなどであってよい。
【0021】
制御回路16は、二次電池13の充電状態や電源IC14への電力の供給状況に応じて、電圧調整回路12、電源IC14、及び後述する充電制御回路25の動作を制御する。具体的に、本実施形態において制御回路16は、二次電池13の電池電圧Vbをリアルタイムでモニタする。そして、定期的に、取得した電池電圧Vbの値に応じて供給電圧Vsの値を算出し、算出した供給電圧Vsの値を示す制御信号を信号出力端子11b経由で電源供給装置20に送信する。具体的に、供給電圧Vsの値は、電池電圧Vbよりわずかな値αだけ高い値となるように算出される。すなわち、供給電圧Vsは
Vs=Vb+α
という計算式により算出される。なお、αは、例えば0.1V以上1.0V以下の値であってよい。
【0022】
本実施形態では、負荷15及び制御回路16は、電源供給装置20から供給される電力、及び二次電池13から供給される電力の双方によって動作する。すなわち、本体装置10は、二次電池13が充電された状態にあれば、電源供給装置20が接続されておらずとも動作可能であり、また、電源供給装置20が接続されていれば、二次電池13が充電されておらずとも動作可能になっている。
【0023】
電源供給装置20は、外部の電力供給源(例えば商用電源)から供給される電力を本体装置10に供給するために用いられる。本実施形態では、電源供給装置20は、商用電源から供給される電力を本体装置10に供給するACアダプタであることとする。電源供給装置20は、コネクタ21と、電源プラグ22と、電源ケーブル23a及び23bと、ACアダプタ部24と、充電制御回路25と、を含んで構成される。
【0024】
コネクタ21は、本体装置10のコネクタ11と接続される。具体的に、コネクタ21の筐体は、電源供給装置20を本体装置10に着脱する際にユーザが手で把持する部分であって、少なくとも電源供給端子21a及び信号入力端子21bの2つの端子を含んでいる。コネクタ21がコネクタ11と接続される際には、電源供給端子21aはコネクタ11内の電源入力端子11aと、信号入力端子21bはコネクタ11内の信号出力端子11bと、それぞれ電気的に接続される。電源供給端子21aは、後述する充電制御回路25が出力する電力を本体装置10に対して出力する。信号入力端子21bは、信号出力端子11bを経由して制御回路16から入力される制御信号を受け付けて、後述する充電制御回路25に対して出力する。
【0025】
電源プラグ22は、商用電源のコンセントに差し込まれて、電源供給装置20外部の商用電源から供給される電力を受け付ける。
【0026】
電源ケーブル23a及び23bは、商用電源から供給される電力をコネクタ21まで伝達する電力供給路として機能する。具体的に、電源ケーブル23aは、電源プラグ22とACアダプタ部24とを接続し、電源ケーブル23bは、ACアダプタ部24とコネクタ21とを接続する。
【0027】
ACアダプタ部24は、ケーブル23aとケーブル23bの間に配置されて、電源プラグ22から供給される交流電力を所定の電圧値の直流電力に変換するAC−DCコンバータとして機能する。なお、ここでACアダプタ部24が出力する電圧は、固定値であって、本体装置10の状態等によって変化することはない。
【0028】
充電制御回路25は、ACアダプタ部24が出力する電圧を、本体装置10に供給すべき供給電圧Vsに変換して出力する。具体的に、充電制御回路25は、充電IC30とコイル36とを含んで構成される。また、充電IC30は、5つのスイッチ素子31,32,33,34,及び35を内蔵している。スイッチ素子31,32,33,及び34は、電源ケーブル23bにつながる電力線と基準電位点(アース)との間に配置され、この順に直列に接続されている。コイル36の一端は、スイッチ素子33とスイッチ素子34との間に接続されており、コイル36の他端は、スイッチ素子35の一端と接続されている。さらに、スイッチ素子35の他端は、電源供給端子21aと接続されている。また、充電IC30には信号入力端子21bも接続されており、充電制御回路25は、この信号入力端子21bから入力される制御信号に応じて動作する。
【0029】
スイッチ素子31及び32は、充電IC30に入力される電流を制限するために用いられる。スイッチ素子31及び32を用いて、充電IC30は、ACアダプタ部24から充電IC30に想定以上の電流が流れないように制御する。スイッチ素子33及び34、並びにコイル36は、スイッチングレギュレータを構成しており、DC−DCコンバータとして機能する。スイッチ素子33及び34を制御することにより、充電IC30は、ACアダプタ部24が出力する電圧を制御回路16からの制御信号によって指示された供給電圧Vsに変換する。なお、制御回路16から電力供給を停止する旨の指示が送信された場合、充電IC30はスイッチ素子35をオフにして本体装置10への電力供給を停止する。また、スイッチ素子35は、本体装置10に流れる電流を制限するために用いることもできる。なお、スイッチ素子35は必ずしも必須の構成ではなく、回路構成上省略してもよい。
【0030】
本実施形態に係る電気機器1aの特徴の一つは、本体装置10の二次電池13に対する充電制御を行う充電制御回路25が、本体装置10ではなく電源供給装置20に内蔵されていることである。このため、充電制御回路25による発熱を考慮して本体装置10を設計する必要はない。なお、本実施形態に係る電気機器1aにおいても、本体装置10内に電圧調整回路12が存在するので、この電圧調整回路12での電圧降下に起因する発熱がある。しかしながら、電源供給装置20の供給電圧Vsが電池電圧Vbに応じて決められた電圧になっているので、電圧調整回路12で降下する電圧は、従来のACアダプタ等から供給される電圧を電池電圧Vbに降下させる場合と比較して、わずかな大きさに過ぎない。具体的に、前述した計算式によって供給電圧Vsが決定される場合、電圧調整回路12での電圧降下の大きさはαに略等しくなる。そのため、電圧調整回路12による発熱は、充電制御回路25による発熱と比較して軽微なものとなる。また、二次電池13の電池電圧Vbは、その充電状態によって比較的大きく変動する。すなわち、二次電池13が満充電の状態と、放電が行われた状態とでは、電池電圧Vbの差が大きい。しかしながら、本実施形態では、電池電圧Vbの大きさがどの程度であっても、電圧調整回路12による電圧降下の大きさがほぼ一定となるよう供給電圧Vsが制御されるので、二次電池13の充電状態によって本体装置10の発熱量が大きく変動することを避けることができる。
【0031】
さらに本実施形態では、充電制御回路25は、コネクタ21の筐体内部に配置されている。すなわち、充電制御回路25は、ACアダプタ部24から電源供給端子21aまでの電力供給路のうち、相対的に本体装置10に近い位置に配置されていることになる。そのため、充電制御回路25から出力される供給電圧Vsが途中で降下して、電池電圧Vbより低い電圧が二次電池13に入力されてしまうことを避けることができる。なお、充電制御回路25から本体装置10までの間の電圧降下が問題とならないレベルである場合には、充電制御回路25をコネクタ21内ではなく、例えばACアダプタ部24の筐体内など、本体装置10から離れた位置に配置してもよい。あるいは、ACアダプタ部24やコネクタ21とは別に電源ケーブル23bの途中に設けられた筐体内に充電制御回路25を配置してもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る電源供給装置20は、従来のACアダプタ等と異なり、本体装置10に対して、二次電池13の充電状態に応じて変化する供給電圧Vsで電力を供給する。充電制御回路25と二次電池13との間には電圧調整回路12が配置されているので、充電制御回路25は、直接二次電池13の電池電圧Vbの大きさを検出することはできない。そこで本実施形態では、制御回路16が電池電圧Vbの大きさをモニタし、その大きさに応じて決定された供給電圧Vsの値を、定期的に充電制御回路25に送信することとしている。これにより、充電制御回路25を含む電源供給装置20は本体装置10と別体であるにも関わらず、充電制御回路25は二次電池13の充電状態に応じて変化する供給電圧Vsを出力することができる。
【0033】
なお、電源入力端子11aから入力される電圧が、常に二次電池13の充電状態に応じたものになっていることが保証されるのであれば、電圧調整回路12はなくともよい。しかしながら本実施形態では、本体装置10とは独立した電源供給装置20側に充電制御回路25を配置しているので、電源入力端子11aから入力される電圧は、必ず二次電池13の充電状態に応じて制御された電圧になるとは限らない。具体的に、コネクタ11に対して、本実施形態における電源供給装置20ではなく充電制御回路25を持たないACアダプタ等が接続されてしまった場合や、コネクタ11に対してコネクタ21が正しく挿入されず、各端子間の電気的接触が不完全な場合などにおいては、電源入力端子11aに供給電圧Vsとは異なる電圧が入力されてしまうこともあり得る。そこで本実施形態では、電圧調整回路12が電源入力端子11aから入力される電圧を二次電池13の電池電圧Vbに変換することとしている。これにより、電圧調整回路12が二次電池13を保護する保護回路として機能し、想定外の電圧が二次電池13に印加されてしまわないよう防ぐことができる。
【0034】
また、以上説明したような想定外の電圧が入力されてしまうことを防ぐために、本体装置10は、電源供給装置20の認証を行うこととしてもよい。具体例として、本体装置10の制御回路16は、コネクタ11に対してなんらかの機器が接続されたことを検知した場合、信号出力端子11b経由で接続された機器に対して問い合わせを行う。さらに制御回路16は、この問い合わせに対して、接続された機器から所定の応答が合った場合に、接続された機器が本実施形態に係る電源供給装置20であると判断し、電力供給を受け付けることとする。逆に所定の応答が得られなかった場合、例えば電圧調整回路12を制御することによって、電源入力端子11aからの電力供給を遮断してもよい。
【0035】
なお、以上の説明では、電源供給装置20は商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するACアダプタであることとしたが、電源供給装置20はこのようなものに限られず、例えばUSBホスト機器がUSB規格に従って供給する電力を本体装置10に供給するUSBケーブル等であってもよい。この場合、コネクタ21は、電源供給端子21a及び信号入力端子21bのほかに、USB信号端子(D+端子及びD−端子)を備えてもよい。また、電源供給端子21aとは別に、USB規格に従った電圧値での電力供給を本体装置10に対して行うVBUS端子を備えてもよい。
【0036】
さらに、電源供給装置20は、これら複数の電力供給方法に対応するものであってもよい。図2は、このような電源供給装置20の変形例を示す図である。同図において、図1と同様の機能を有する部材には、同様の符号が付されている。図2の電源供給装置20は、商用電源のコンセントに接続される電源プラグ22に加えて、USBホスト機器に接続されるUSBプラグ41を備えている。USBホスト機器からUSBプラグ41に入力される電力は、USBケーブル42、及びUSBプラグ43を経由して、USBソケット44内の電源端子に入力される。USBソケット44の電源端子は充電IC30内のスイッチ素子45に接続されている。充電IC30内のスイッチ素子45及び46は、互いに直列に接続されており、かつ、スイッチ素子31及び32と並列に接続されている。スイッチ素子45及び46は、スイッチ素子31及び32と同様に、USBホスト機器から充電IC30に入力される電流を制限するために用いられる。また、これらのスイッチ素子は、商用電源から供給される電力と、USBホスト機器から供給される電力と、のいずれか一方を選択的に受け付けるためにも動作する。この図2に示す電源供給装置20によれば、商用電源、及びUSBホスト機器の双方を電力供給源として、二次電池13を充電したり、負荷15を駆動させたりするための電力を本体装置10に対して供給することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る電気機器1bについて、説明する。なお、本実施形態に係る電気機器1bに関して、第1の実施形態に係る電気機器1aと同様の構成要素や機能についてはその説明を省略し、以下では第1の実施形態と異なる部分についてだけ説明する。また、第1の実施形態に係る電気機器1aと同様の構成要素については、同一の参照符号を用いて参照する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る電気機器1bの回路構成を示す図である。同図に示されるように、本実施形態に係る電気機器1bは、電圧調整回路12と二次電池13の間に電流制御回路17が配置されている点で第1の実施形態に係る電気機器1aと相違する。この電流制御回路17は、制御回路16からの制御信号に従って、二次電池13に流れる電流を制御する。電流制御回路17は、電圧調整回路12と同様にLDO(Low Drop Out)レギュレータであってよい。また、FETなどで構成されるその他の回路であってもよい。なお、本体装置10が二次電池13から供給される電力によって動作する際には、二次電池13から電流制御回路17を経由して電源IC14に電流が流れる。そのため、電流制御回路17は低抵抗であることが望ましい。
【0039】
また、コネクタ11は、電源入力端子11a及び信号出力端子11bの他に、接続検出用端子11cを含んでいる。この接続検出用端子11cは、抵抗を介して電圧調整回路12の出力側と接続されている。また、コネクタ11側の接続検出用端子11cに対応して、コネクタ21も接続検出用端子21cを含んでいる。この接続検出用端子21cは、抵抗を介して接地されている。本体装置10と電源供給装置20とが接続されると、接続検出用端子11cから接続検出用端子21cに電流が流れる結果、接続検出用端子11cの電圧が降下する。制御回路16は、この電圧をモニタすることによって、コネクタ11に何らかの機器が接続されたことを検知できる。なお、本体装置10はここで説明した方式に限らず、各種の方式でコネクタ11に対して何らかの機器が接続されたことを検出してよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る電気機器1bにおいて実行される制御フローの一例について、図4のフロー図を用いて説明する。
【0041】
まず、電源供給装置20と本体装置10とが接続されると、本体装置10の制御回路16は、接続検出用端子11cの電圧の変化によって、コネクタ11に何らかの機器が接続されたことを検知する(S1)。これを受けて制御回路16は、信号出力端子11bを介して接続された機器に対して認証要求を送出し、これに対する接続された機器からの応答により、接続機器を認証する(S2)。認証の結果、接続された機器が正規の電源供給装置20ではないと判定された場合(S3の判定が「N」の場合)、制御回路16は電圧調整回路12を制御して本体装置10内部への電力供給を停止する(S4)。すなわち、この場合には本体装置10は接続された機器からの電力供給を受け付けないこととする。
【0042】
一方、S2の認証により接続されたのが正規の電源供給装置20であると判定された場合(S3の判定が「Y」の場合)、制御回路16はACアダプタ部24から充電制御回路25に入力される入力電流I1、及び/又は充電制御回路25が本体装置10に対して出力すべき出力電流I2の値を信号出力端子11bを介して充電制御回路25に対して設定する(S5)。なお、ここでは制御回路16が入力電流I1や出力電流I2の値を充電制御回路25に設定することとしたが、この入力電流I1や出力電流I2の値は、予め充電制御回路25内に保持されることとしてもよい。
【0043】
次に制御回路16は、電圧調整回路12が出力すべき出力電圧Vpの値を電圧調整回路12に対して設定する(S6)。この出力電圧Vpの値は、二次電池13の現在の電池電圧Vbを計測し、その値に対してβを加算することによって求められる。すなわち、
Vp=Vb+β
となる。このβの値は、電流制御回路17による電圧降下を考慮して設定される値であって、二次電池13に流れる充電電流Ibの値と電流制御回路17の回路特性に応じて決定される。このようにして算出される出力電圧Vpを電圧調整回路12が出力することによって、二次電池13に対して電池電圧Vbが供給されることになる。なお、制御回路16は、このときあわせて、充電時に二次電池13に流すべき目標電流Itの値を電流制御回路17に設定してもよい。あるいは、目標電流Itの値は予め電流制御回路17に設定されていることとしてもよい。
【0044】
続いて制御回路16は、S6で設定された出力電圧Vpに対して、さらに所定値αを加算した電圧を、供給電圧Vsの値として充電制御回路25に対して設定する(S7)。すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、電流制御回路17による電圧降下を考慮して、供給電圧Vsは(Vb+α)ではなく(Vb+β+α)として算出されることになる。
【0045】
S7で供給電圧Vsの値が設定されると、充電制御回路25はこの供給電圧Vsでの電力供給を開始する(S8)。これにより、二次電池13の充電が開始される。
【0046】
二次電池13の充電が開始されると、制御回路16は、二次電池13が所定の目標電流Itで充電されるように(すなわち、定電流充電を行うように)、電流制御回路17、電圧調整回路12、及び充電制御回路25のそれぞれに対する制御を実行する(S9)。具体的に、制御回路16は、二次電池13に流れる充電電流Ibが所定の目標電流Itに一致するように電流制御回路17を制御するとともに、充電電流Ibの現在の値に応じて出力電圧Vp及び供給電圧Vsの値を再計算し、当該再計算された電圧値を出力するよう電圧調整回路12及び充電制御回路25のそれぞれに対して指示を行う。制御回路16は、電池電圧Vbが予め設定された満充電電圧Vf(例えば4.2V)に到達したかを判定し(S10)、この判定条件が満たされるまでS9の制御を繰り返し実行する。
【0047】
二次電池13の電池電圧Vbが満充電電圧Vfに到達してS10の判定条件が満たされた後は、制御回路16は、その電池電圧Vbを維持したままさらに二次電池13の充電を継続するように(すなわち、定電圧充電を行うように)、電流制御回路17、電圧調整回路12、及び充電制御回路25のそれぞれに対する制御を実行する(S11)。すなわち制御回路16は、充電電流Ibをモニタし、S9と同様に充電電流Ibの値に応じて出力電圧Vp及び供給電圧Vsの値を再計算し、当該再計算された値を電圧調整回路12及び充電制御回路25のそれぞれに設定する。そして、充電電流Ibが予め設定された満充電電流If以下になったかを判定し(S12)、この判定条件が満たされるまでS11の制御を繰り返し実行する。
【0048】
充電電流Ibが満充電電流If以下になってS12の判定条件が満たされると、制御回路16は、電流制御回路17を制御して、二次電池13に流れる電流を遮断する。これにより、二次電池13の充電が完了する(S13)。
【0049】
二次電池13の充電完了後も制御回路16は電池電圧Vbを定期的にモニタし、電源IC14への電力供給等によって電池電圧Vbが予め設定された再充電電圧Vr(例えば4.0V)以下になったか否かを判定する(S14)。そして、再充電電圧Vr以下になった場合には、S6に戻って二次電池13の充電を再開する。
【0050】
また、第2の実施形態に係る電気機器1bの変形例として、電圧調整回路12を省略してもよい。この場合、電源供給装置20から供給される供給電圧Vsは、電流制御回路17によって二次電池13の電池電圧Vbに変換されて二次電池13に供給されることになる。すなわち、この場合には、電流制御回路17が電圧調整回路12の機能を兼ねることになる。この場合にも、本体装置10の外部から供給される電力が直接二次電池13に入力されることはないので、想定外の電圧が本体装置10外部から入力された場合に二次電池13を保護することができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば第1の実施形態に係る電気機器1aについても、第2の実施形態に係る電気機器1bと同様に、本体装置10がコネクタ11に対して何らかの機器が接続されたことを検出するための機構を備えてよい。
【0052】
また、以上の説明においては、供給電圧Vsを算出する際に用いるαは固定値であることとしたが、制御回路16は、本体装置10の状態に応じてαの値を変更してもよい。例えば制御回路16は、電源IC14に流れる電流の大きさをモニタし、電流値が大きくなるほどαの値として大きな値を用いて、供給電圧Vsを算出してもよい。こうすれば、電源IC14に供給される電力を安定化させることができる。
【0053】
また、電源供給装置20は、本体装置10に対して着脱可能なコネクタ21を備える代わりに、本体装置10を載せて支持することのできるように構成されたクレイドルを備えてもよい。この場合、やはりクレイドル部分に充電制御回路25を備えることで、電源供給装置20は、本体装置10に対して二次電池13の充電状態に応じた供給電圧Vsで電力供給を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 電気機器、10 本体装置、11 コネクタ、11a 電源入力端子、11b 信号出力端子、11c 接続検出用端子、12 電圧調整回路、13 二次電池、14 電源IC、15 負荷、16 制御回路、17 電流制御回路、20 電源供給装置、21 コネクタ、21a 電源供給端子、21b 信号入力端子、21c 接続検出用端子、22 電源プラグ、23a,23b 電源ケーブル、24 ACアダプタ部、25 充電制御回路、30 充電IC、31,32,33,34,35,45,46 スイッチ素子、36 コイル、41,43 USBプラグ、42 USBケーブル、44 USBソケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を備える本体装置と、前記本体装置に対して着脱可能な電源供給装置と、を含む電気機器であって、
前記電源供給装置は、
前記本体装置に電力を供給する電源供給端子と、
前記電源供給端子から前記本体装置に出力される電圧を、前記二次電池の電池電圧に応じて決まる供給電圧に制御する充電制御回路と、
を含み、
前記本体装置は、
前記電源供給装置から受け付けた前記供給電圧を、前記二次電池の電池電圧に調整して出力する電圧調整回路と、
前記二次電池の電池電圧を取得し、当該取得した電池電圧に応じて前記供給電圧を決定し、前記充電制御回路に指示する制御回路と、
を含み、
前記二次電池は、前記電圧調整回路が出力する電力によって充電され、
前記充電制御回路は、前記制御回路の指示に応じて、前記供給電圧の制御を行う
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器において、
前記電源供給装置は、
商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換するACアダプタ部をさらに備え、
前記充電制御回路は、前記ACアダプタ部と前記電源供給端子との間に配置され、前記ACアダプタ部が出力する電圧を、前記供給電圧に変換する
ことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器において、
前記電源供給装置は、
前記本体装置に対して着脱されるコネクタを備え、
前記電源供給端子及び前記充電制御回路は、いずれも前記コネクタの筐体内に収容される
ことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気機器において、
前記制御回路は、前記二次電池の電池電圧の値に所定値を加算した値を、前記供給電圧の値として決定する
ことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
二次電池を備える本体装置に対して着脱可能な電源供給装置であって、
前記本体装置に電力を供給する電源供給端子と、
前記電源供給端子から前記本体装置に出力される電圧を、前記二次電池の電池電圧に応じて決まる供給電圧に制御する充電制御回路と、
を含み、
前記充電制御回路は、前記本体装置から前記供給電圧の値を指定する指示を受け付け、当該指示に応じて前記供給電圧の制御を行う
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源供給装置であって、
前記本体装置に対して着脱されるコネクタを備え、
前記電源供給端子及び前記充電制御回路は、いずれも前記コネクタの筐体内に収容される
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項7】
電源供給装置を着脱可能に構成される電気機器の本体装置であって、
二次電池と、
前記電源供給装置から受け付けた供給電圧を、前記二次電池の電池電圧に調整して出力する電圧調整回路と、
前記二次電池の電池電圧を取得し、当該取得した電池電圧に応じて前記供給電圧を決定し、前記電源供給装置に指示する制御回路と、
を含み、
前記二次電池は、前記電圧調整回路が出力する電力によって充電される
ことを特徴とする電気機器の本体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−175895(P2012−175895A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38753(P2011−38753)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】