説明

電気炊飯器

【課題】電気炊飯器の蓋体上面に液晶パネルを設けた場合において、正面方向からも表示内容を見やすくする。
【解決手段】内鍋と、該内鍋を取り出し可能に収納する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、該蓋体の上面に設けられ、炊飯に必要な情報を表示する液晶パネルと、上記内鍋を加熱する炊飯加熱手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記液晶パネルは、上記蓋体の透明な外カバー面下方にあって、同外カバー面とは異なる傾斜角を有して設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蓋部上面に液晶パネルを備えた電気炊飯器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気炊飯器では、マイコン制御手段を備え、例えば白米、無洗米、早炊き、すしめし、炊き込み、玄米、おかゆ等の各種の炊飯メニューの選択設定と、それらに対応した炊飯工程の制御並びに保温制御を行えるようにしたものが多くなっている。また、保温の場合にも、例えば標準保温やつやつや保温などの保温メニューに加え、高め、低め、標準等任意の保温温度の設定が可能となっている。
【0003】
これら各種炊飯又は保温メニューの選択設定は、炊飯器本体の外ケース前面側に設置されている各種の操作キーを備えた操作パネルに対応して設けられ、その操作設定状態を表示する液晶パネルを使用して行われるようになっており、操作キーにより必要な選択設定操作が行われると、その設定メニュー、設定内容が当該液晶パネルに表示され、それに対応した炊飯又は保温メニューのプログラムが上記マイコン制御手段側のメモリ部から自動的に読み出されて、適切な炊飯又は保温制御が実行されるようになっている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
そして、最近では、以上の操作パネルや液晶パネルを、蓋体の上面に設けるようにしたものも増えている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−137421号公報(明細書第1−8頁、図1−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、以上のように蓋体上部に操作パネルおよび液晶パネルを設けると、当該電気炊飯器を床面等のユーザーの目線位置よりも低い所に置いた場合にはともかく、例えば棚部分やレンジ庫内に置くなど、ユーザーの目線位置または目線位置に近い高さに置いた場合などには、液晶パネルの表示面の傾斜角(対面する前傾角)が小さいために、液晶パネルの表示内容が見えにくくなる問題がある。
【0007】
このような問題を解決するためには、蓋体上面(外ケース上面)の前傾角度が大きくなるように傾斜させ、最も傾斜角の大きい斜面部分に液晶パネルを設けた製品も提供されている。
【0008】
しかし、そのような構成を採用した場合、それによって蓋体自体のデザインが大きく制約されたものとなってしまうし、蓋部上面をできるだけ緩やかなフラットに近い傾斜面に形成しようとしている最近の製品傾向に対応することができない。
【0009】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、蓋体外側の液晶パネル対応面部分の傾斜角よりも大きな独自の傾斜角をもたせて内側の液晶パネルを設置することにより、蓋体上面の水平に近い正面方向の位置からも液晶パネルの表示内容を見えるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気炊飯器は、内鍋と、該内鍋を取り出し可能に収納する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、該蓋体の上面に設けられ、炊飯に必要な情報を表示する液晶パネルと、上記内鍋を加熱する炊飯加熱手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記液晶パネルは、上記蓋体の透明な外カバー面下方にあって、同外カバー面とは異なる傾斜角を有して設置されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によると、蓋体の外カバー上面の傾斜角如何にかかわらず、液晶パネルを独自の炊飯器本体の正面方向から見やすい任意の角度に設置することができる。
【0013】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1の発明の構成において、傾斜角が前傾角であり、液晶パネルの前傾角が透明な外カバー部分の前傾角よりも大きいことを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、蓋体の透明な外カバー上面部分の前傾角如何にかかわらず、液晶パネルを独自の炊飯器本体の正面方向から見やすい所望の前傾角度に設置することができる。
【0015】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1又は2の発明の構成において、液晶パネルは、所定の電気回路基板上に設けられ、同電気回路基板の前傾角よりも大きな前傾角で支持されていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、上述した視認性の向上に加えて、電気回路基板と液晶パネルとの間に従来よりも距離の大きな空き空間を形成することができ、この部分に、例えば水晶発振子や電解コンデンサなどの高さの高い電子部品を余裕をもって設置することができるようになる。
【0017】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1,2又は3の発明の構成において、蓋体の透明な外カバー部分も液晶パネルの前傾角に近い前傾角に傾斜させたことを特徴としている。
【0018】
蓋体の透明な外カバー部分は、必ずしも液晶パネルと同じだけ前傾している必要はないが、可能な限り液晶パネルの前傾角に近い状態に前傾していると、上述した正面方向からの視認性が、より向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上の結果、本願発明によると、電気炊飯器設置場所の如何にかかわらず液晶パネルの表示面を視認しやすくなり、調理メニュー等設定時の調理情報表示の明確性、利便性が向上し、非常に操作しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器本体の全体的な構成を示す断面図である。
【図2】同電気炊飯器本体の要部である操作パネル(液晶パネル)部分の構成を示す拡大正面図である。
【図3】同電気炊飯器本体の要部である液晶パネルおよびマイコン基板設置部分の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図3は、蓋体の上部に液晶パネルを備えた本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の構成を示している。
【0022】
(炊飯器本体の構成)
先ず本願発明の実施の形態における電気炊飯器では、図1に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として鉄系の金属材料からなる鍋が採用されている。
【0023】
すなわち、該電気炊飯器は、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された下部側皿状の底壁部4aおよび上部側筒状の側壁部4bよりなる内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを肩部材5を介して一体化して形成された炊飯器本体の上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(先に述べた蓋体に相当する)2とから構成されている。
【0024】
上記内ケース4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイルカバー9が設けられ、その下部にはフェライトコア7を配置し、またその上部には、上記内鍋3の底壁部3aの下面側と側部湾曲面に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それにより通電時には内鍋3にうず電流を誘起して、内鍋3を加熱するようになっている。
【0025】
内ケース4の下部側皿状の底壁部4aは、中央部にセンターセンサーの嵌合口が形成されている一方、上部側筒状の側壁部6の上端6aは、内枠部材を介して炊飯器本体側上端の肩部材5に連結して固定されている。
【0026】
また、上記内ケース4の上部側筒状の側壁部4bの外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する側面ヒータ(保温ヒータ)H1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0027】
そして、それらワークコイルC1,C2、保温ヒータH1と後述する蓋ヒータH2の各々を、内鍋3に近い炊飯器本体側の制御基板35(制御基板カバー36により保持)と蓋ユニット2の操作パネル部21内側のマイコン基板25とによって、適切に駆動制御することによって、適切な炊飯/調理機能と保温機能とを実現できるようになっている。
【0028】
一方、上記蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー10Aと、該外カバー10Aの外周縁部内側における内枠10Bと、該内枠10Bの下面側に取り付けられた蓋ヒータH2付きの放熱板11と、該放熱板11の下方に着脱可能に設けられた内カバー12とによって図示のような中空構造に形成されている。
【0029】
そして、この蓋ユニット2は、上記肩部材5の後端側に対してヒンジカバー14bによりカバーされたヒンジ機構14aを介して上下方向に回動自在に取り付けられており、その開放端内側(前端内側)は、外ケース1の前面側上部位置に設けられているロック機構(ロック・アンロック機構)15のロック爪15aが係合されるようになっている。
【0030】
また、符号16は、上記蓋ユニット2の中央部に設けられた蒸気逃がし通路、17は同蒸気逃がし通路16の下部に着脱可能に設けられたおねば戻し機能を有する蒸気放出パイプである。
【0031】
そして、同蓋ユニット2の外カバー10Aの前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル設置用の凹部10aが形成されており、同凹部10a部分に外カバー10Aの外周面と連続する外周面を形成するように操作パネル部21が設けられている。該操作パネル部21は、例えば図2に示されるように、上方側中央部に液晶パネル24に対応する透明窓21bを有するとともに、その周囲には、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ22a、炊飯スイッチ22b、保温取消スイッチ22c、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他)を指定するメニュースイッチ22d、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ22e、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ22fが設けられている。
【0032】
一方、同操作パネル部21の裏側には、上記上記各種スイッチ22a〜22fのスイッチ部品およびそれら操作スイッチ22a〜22fの操作状態表示制御機能、上記第1,第2のワークコイルC1,C2、保温ヒータH1、蓋ヒータH2各々への通電制御機能を有するマイコン制御ユニットを備えたマイコン基板(電気回路基板)25とともに液晶パネル24がそれぞれ上記操作パネル部21に対して所定の相対角を有した状態で設けられている。
【0033】
液晶パネル24は、上記操作パネル部21の上記透明窓21bに対応して設けられており、同透明窓21b部分の前傾角θ1(ここで前傾角とは、図2中に示す蓋ユニット2上面の水平面Hに対して、図2の図面左側(前側)が低くなる傾斜角を指称している)よりも所定角以上大きな前傾角θ2を有して、液晶パネルホルダー26により支持されている。
【0034】
またマイコン基板25は、上記操作パネル部21の全体に対応し、かつ上記液晶パネル24よりも下方側に位置して、上記操作パネル部21の前傾角θ1よりも小さな前傾角θ3を有して外カバー10Aの操作パネル設置用凹部(マイコン基板等収納ボックスともなっている)27の底面側に設置されている。
【0035】
以上のように、この実施の形態における上記液晶パネル24は、上記蓋ユニット2の透明な外カバー部分である操作パネル部21の透明窓21b面下方にあって、同透明窓21b面とは異なる傾斜角を有して設置されている。
【0036】
このような構成によると、蓋ユニット2の外カバー部分である透明窓21b面の傾斜角如何にかかわらず、液晶パネル24を独自の炊飯器本体の正面方向から見やすい傾斜角度に設置することができる。
【0037】
同傾斜角は、具体的には、図3のように前端側が後端側よりも低くなる前傾角θであり、液晶パネル24の前傾角θ2が透明窓21b部分の前傾角θ1よりも十分に大きくなるようにしている。
【0038】
このような構成によると、蓋ユニット2(操作パネル部21)の透明窓21b部分の前傾角θ1に対応して液晶パネル24を炊飯器本体の正面方向から見やすくなる独自の、より大きく前傾した傾斜角度θ2に設置することができる。
【0039】
また以上の構成では、上記液晶パネル24が電気回路基板であるマイコン基板25の上方に設けられ、同マイコン基板25の前傾角θ3よりも大きな前傾角θ2で支持されている。
【0040】
したがって、図3に詳細に示すように、上述した視認性の向上に加えて、マイコン基板25と液晶パネル24との間に、従来よりも遥かに上下方向の距離が大きな空き空間を形成することができるようになり、この部分に、例えば図示のように水晶発振子28や電解コンデンサ29、バックアップ用バッテリー(図示省略)などの高さの高い電子部品をも余裕をもって設置することができるようになる。
【0041】
したがって、例えばバックライト方式を採用し、液晶パネル24の厚さが厚くなった時にも同様に対応することができる(高さの高い部品を設置することができる)。
【0042】
また、その結果、液晶パネル24が放熱板11上の蓋ヒータH2からも遠くなり、耐熱保護の点でも有利となる。
【0043】
また、販売店の店頭陳列時における棚上段での展示時や家庭でのレンジ台収納庫内に収納されている場合でも、正面側から液晶表示部を容易に見ることができるようになる。
【0044】
また液晶パネル24を傾斜させており、蓋ユニット2の外カバー10Aを傾斜させるのではないので、蓋ユニット2のデザイン性を損ねることがない。
【0045】
さらに、必要に応じて、上記液晶パネル24部分の取付角度を可動式として構成し、その前傾角を調整できるようにすると、設置場所に応じた所望の前傾角度に設定でき、さらに使い勝手を向上させることができる。
【0046】
さらに、また液晶スペーサーで角度をつけるようにすると、液晶パネル24の脚(図3の符号30参照)は従来の角度(約90度)のまま使用することができる。
【0047】
なお、以上の構成では、蓋ユニット2の透明窓21b部分および操作パネル部21部分も、できるだけ液晶パネル24の前傾角θ2に近くなるように所定の前傾角θ1を持たせて操作面および表示面を形成している。
【0048】
蓋ユニット2の透明窓21bや操作パネル部21の操作面部分は、必ずしも上述した液晶パネル24と同じだけ前傾している必要はないが、可能な限り液晶パネル24の前傾角θ2に近い状態に前傾させると、上述した正面方向からの視認性が、より向上する。
【0049】
以上の結果、この実施の形態の構成によると、電気炊飯器設置場所の如何にかかわらず液晶パネル24の表示面を視認しやすくなり、調理メニュー等設定時の調理情報表示の明確性、利便性が向上し、非常に操作しやすくなる。
【符号の説明】
【0050】
1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、4は内ケース、5は肩部材、21は操作パネル部、21aは操作キー設置面、21bは透明窓、24は液晶パネル、25はマイコン基板である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、該内鍋を取り出し可能に収納する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、該蓋体の上面に設けられ、炊飯に必要な情報を表示する液晶パネルと、上記内鍋を加熱する炊飯加熱手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記液晶パネルは、上記蓋体の透明な外カバー面下方にあって、同外カバー面とは異なる傾斜角を有して設置されていることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
傾斜角が前傾角であり、液晶パネルの前傾角が透明な外カバー部分の前傾角よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
液晶パネルは、所定の電気回路基板上に設けられ、同電気回路基板の前傾角よりも大きな前傾角で支持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項4】
蓋体の透明な外カバー部分も液晶パネルの前傾角に近い前傾角に傾斜させたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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