説明

電気炊飯器

【課題】マイコン制御式の電気炊飯器において、停電時からのAC電源復帰時にマイコンバックアップ用の電源電池の電圧値をチェック可能とし、そのチェック結果に応じた適切な炊飯制御を可能とする。
【解決手段】内鍋と、内鍋を加熱する加熱手段と、マイコンよりなる炊飯制御手段と、該炊飯制御手段の所要部の動作電源を停電時においてバックアップする電源電池とを備えてなる電気炊飯器であって、上記電源電池の電圧を検出する電池電圧検出手段を設け、停電状態から停電状態への電源復帰時に上記電源電池の電圧を検出し、その検出電圧値に応じた適切な炊飯制御を実行できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、制御部にバックアップ用の電源電池を備えた電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電気炊飯器では、高い加熱出力で効率良く炊飯を行ない、炊飯が完了すると、自動的に保温工程に移行し、所望の保温温度に維持するマイコン式の電気炊飯器が主流となっている(特許文献1参照)。
【0003】
そして、このようなマイコン式の電気炊飯器の場合、マイコンを中心とする制御部のメモリ部(RAM)に対し、電源プラグが抜かれた停電時などにも、時計機能の維持や必要な制御データを消失しないように、例えばリチウム電池等の電源電池よりなる長寿命のバックアップ電源が設けられている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−14541号公報(明細書第1−10頁,図1−11)
【特許文献2】特開2002−374638号公報(明細書第1−7頁,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、以上の構成におけるバックアップ用の電源電池は、如何に長寿命かつ高性能なものであると言っても、その寿命は有限であり、また何らかの事情で寿命が来る前に出力電圧が大きく低下するということも起こり得る。
【0006】
そのような状態になると、上述した停電時の適正なバックアップ機能を果たすことができず、次のような問題が発生する。
【0007】
(1) リアルタイムクロック回路等のクロック回路が停止又は誤動作し、正確な時計機能を維持することができなくなるので、電源復帰後にも、正確なタイマー予約炊飯機能を実現することができない。
【0008】
(2) 内部RAM等のメモリ部のバックアップが不能となり、次に電源が復帰したとしても、同メモリ部は、一旦初期化されてしまうことから、新たなリセットスタートとなり、内部RAM等メモリ中に前回使用した炊飯メニューのデータは全く記憶されていないことになる。
【0009】
したがって、ユーザーは、前回使用した炊飯メニューデータにより簡単な操作で炊飯を行うということはできず、その都度、必要な全ての設定操作を行った上で、改めて炊飯を行わなければならない不便がある。
【0010】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、バックアップ用電源電池の電圧を検出できるようにし、停電状態から電源が復帰した時に、同バックアップ用電源電池の電圧値をチェックして、その電圧値に応じた適切な対応を取ることができるようにすることにより、上述した従来の問題を解消した電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、上記の問題を解決することを目的としてなされたものであって、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0012】
(1) 第1の課題解決手段
この発明の第1の課題解決手段は、内鍋と、内鍋を加熱する加熱手段と、マイコンよりなる炊飯制御手段と、該炊飯制御手段の所要部の動作電源を停電時においてバックアップする電源電池とを備えてなる電気炊飯器であって、上記電源電池の電圧を検出する電池電圧検出手段を設け、停電状態から復電状態への電源復帰時に上記電源電池の電圧を検出し、その検出電圧値に応じた適切な炊飯制御を実行できるようにしたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によると、電源プラグが抜かれた停電状態から、電源プラグが接続された復電状態になった時に、電池電圧検出手段によってバックアップ用の電源電池の電圧を検出し、その電圧値が低すぎる時には、例えば減算タイマーなど、本来の時計機能とは別の計時手段で予約炊飯と可能にするとか、また制御部の内部RAM等動作電源のバックアップが必要であったメモリのデータは使わないで、その他の動作電源のバックアップを必要としない外部メモリに記憶させておいた代替データを使うとか、適切な対応を採ることができる。
【0014】
(2) 第2の課題解決手段
この発明の第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段の構成において、適切な炊飯制御が、時計機能を用いない現在時点からの減算タイマー方式で予約炊飯を行う予約炊飯制御であることを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、バックアップ用の電源電池の電圧値が所定レベル以下に低下して、正確な時計機能を維持することができなくなったとしても、減算タイマー方式で、何時間何分後に炊き上がるような形で、適切な予約炊飯機能を実現することができる。
【0016】
したがって、ユーザーは実質的な不便を感じなくて済む。
【0017】
(3) 第3の課題解決手段
この発明の第3の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段の構成において、適切な炊飯制御が、予じめバックアップ電源を必要としない外部メモリ中に記憶させておいた炊飯メニューデータを用いて行う炊飯制御であることを特徴としている。
【0018】
すでに述べたように、バックアップ用の電源電池の電圧が所定レベル以下に低下しているような場合において、電源プラグが抜かれて停電状態になると、バックアップ不能となり、次に電源が復帰したとしても、新たなリセットスタートとなることから、マイコン等炊飯制御手段の内部RAM等メモリ中に前回使用した炊飯メニューのデータは記憶されていないことになる。
【0019】
したがって、ユーザーは、前回使用した炊飯メニューデータを用いて簡単な操作で炊飯を行うということはできず、その都度、必要な全ての設定操作を行った上で、新たな炊飯を行わなければならない不便があった。
【0020】
ところが、以上のように、復電時に、バックアップ用電源電池の電圧の値を検出確認するようにし、同電圧の値が上記所定レベル以下に低下している場合には、その後に設定される炊飯メニューを、例えば別途バックアップ電源を必要としない外部メモリ中に記憶させて置くなどして、以後必要に応じて読み出して上記内部RAM中に展開させて炊飯するようにすると、バックアップ用電源電池の電圧が低くなっている状態において、停電状態が発生したとしても、復電時に、前回の炊飯メニューを使用した簡単な操作で適切な炊飯が行えるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上の結果、本願発明によると、停電時にバックアップ用の電源電池の電圧が所定レベル以下に低下していたような場合においても、電源復帰時に、当該電源電池の電圧が正確に判定されて、それに対応した適切な対応を採ることが可能になる。
【0022】
その結果、炊飯器の信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器全体の構成を示す縦断面図である。
【図2】同電気炊飯器正面の液晶表示部を中心とする操作パネル部分の構成を示す拡大正面図である。
【図3】同電気炊飯器の制御回路部分の構成を示すブロック図である。
【図4】同電気炊飯器のマイコン部分のバックアップ用電源電池の電圧検出回路の構成を示すブロック図(結線図)ある。
【図5】同電気炊飯器の上記バックアップ用電源電池の検出電圧値に対応した復電時の炊飯制御の内容を示すフローチャートである。
【図6】同電気炊飯器における上記図5の制御に対応したタイムチャート(電池電圧が高い場合)である。
【図7】同電気炊飯器の上記図5の制御に対応したタイムチャート(電池電圧が低い場合)である。
【図8】同電気炊飯器のバックアップ用電源回路部分の構成の一部を変更した他の実施の形態1の構成を拡大して示すブロック図(結線図)部分である。
【図9】上記図1〜図6および図8の構成における電気炊飯器の新な課題に対応した本願発明の他の実施の形態2に係る電気炊飯器の電源電圧監視システムの構成を示すブロック図である。
【図10】上記図1〜図6および図8の構成における電気炊飯器の新な課題を示すシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図4は、本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成を、また図5〜図7は、同電気炊飯器の制御内容を示している。
【0025】
(炊飯器本体の構成)
この電気炊飯器1は、図1に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として非金属材料からなる蓄熱性の良い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が一例として採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面部)および該底壁部3a外周の湾曲面部(R面部)には、それぞれ内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
【0026】
そして、この電気炊飯器1は、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の底壁部4aおよび上部側筒状の側壁部4bよりなる内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース5と、該外ケース5の下部に一体に嵌合された底ケース13と、上記外ケース5と上記内ケース4とを肩部10により一体化して形成された炊飯器本体の上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋体)2とから構成されている。
【0027】
外ケース5の前面部上方には、操作パネル部20が設けられている。そして、該操作パネル部20面には、例えば図2に示すように、大きな表示面積をもつ液晶表示部21と、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ22a、炊飯スイッチ22b、保温スイッチ22c、取消スイッチ22d、音声ガイドスイッチ22e、炊飯メニュー(例えば白米、炊き分け、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定する炊飯メニュースイッチ22f、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ22g、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ22h、お米選択スイッチ22i、火加減レベル設定スイッチ22j等の各種操作スイッチが設けられている。
【0028】
また、タイマー予約スイッチ22a、炊飯スイッチ22b、保温スイッチ22cには、それぞれ同スイッチ22a,22b,22cのON操作状態を示す表示用LEDが設けられている。
【0029】
上記液晶表示部21の表示面には、各種炊飯メニューや設定された炊飯メニューの表示、炊飯予約状態、炊飯状態の他、現在時刻(図2の「10:30」参照)等の表示を行うようになっている。また、上記現在時刻の表示部「10:30」は、後述する減算タイマー方式による予約炊飯時には、同減算方式による炊き上がり時刻表示に表示状態が変更される。
【0030】
また、該操作パネル部20の内側部分(裏側空間)には、内ケース4側壁部4bの前側に設けられた制御基板B1の上端位置から斜め前方に下降する格好で、マイコン基板B2がマイコン基板カバー18を介して傾斜設置されている。
【0031】
このマイコン基板B2上の外気に開放された所定の位置には、室内の温度を検出する室温センサS3が設けられている。
【0032】
一方、内ケース4の底壁部4aの下方側には、フェライトコア収納部を備えたコイルカバー(コイル台)6が設けられ、その下部にはフェライトコア(符号省略)を配置し、またそれらの間には、上記内鍋3の底壁部3aの中央部側フラット面部と外周部側湾曲面部の上記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には上記内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2にうず電流を誘起して、上記内鍋3を効率良く加熱するようになっている。
【0033】
上記内ケース4(側壁部4b)の前方部側には、上記のようにワークコイルC1,C2、保温ヒータH1等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた制御基板B1および制御基板カバー7が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0034】
この制御基板B1には、IGBTの側に隣接する形で、同部分の温度検出する基板センサS2が設けられている。
【0035】
上記内ケース4の皿状の底壁部4aは、その底面部の中央部に内鍋3の底壁部3aの温度を検知するサーミスタを内装した底センサーS1のセンサー部嵌合口が形成されているとともに、同センサー部嵌合口の外周側上面にはドーナツ状の遮熱板8が設けられている。また、外周側湾曲面部の上端側には、所定幅半径方向外方に張り出したフランジ状の段部9が設けられ、この段部9部分に上記上部側筒状の側壁部4bの下端側が係合載置されている。
【0036】
他方、同上部側筒状の側壁部4bの上端は、図示しない内枠部材を介して上記炊飯器本体側外ケース5上端の肩部材10側に連結して固定されるようになっている。
【0037】
また、上記内ケース4の上部側筒状の側壁部4bの外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する側面ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の全周を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0038】
なお、符号12,12・・・は、上記外ケース5の底部側に嵌合一体化された底ケース13の前部部分にグリル状に設けられた冷却ファン11用の空気吸込口である。
【0039】
(蓋ユニット部の構成)
さらに図1中の符号2は上記蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成するとともに中央部に調圧ユニット14を備えた合成樹脂製の外カバー2aと、該外カバー2aの外周部内側に嵌合一体化して設けられた合成樹脂製の内枠2bと、該内枠2bの内側開口部内に嵌合された金属製の放熱板2cと、放熱板2cの上面に設けられた蓋ヒータH2と、上記放熱板2cの下方に設けられた金属製の内蓋2dとを備えて構成されている。また、放熱板2cの外周縁部下方および内蓋2dの外周縁部下方には、それぞれパッキン19a,19bが設けられており、内蓋2dは、同パッキン19bを介して内鍋3の開口縁部3cの上面部に接触させられている。また、14dは、上記外カバー2aの調圧口2eに嵌合された調圧パイプ14a内の調圧弁(球体)、14cはその下部側の弁口部を有する弁座プレート、14bは調圧パイプ14aの下方側に拡大された開口部に嵌合された調圧キャップである。
【0040】
この蓋ユニット2は、図示しない上記外ケース5上部の後端側で肩部材10に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の前端側所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構17が設けられている。
【0041】
また、符号S4は、上記内鍋3内の温度および沸騰状態を検知する蓋センサ(蒸気センサ)であり、この蓋センサS4は上記内蓋2dの開口部に蒸気通路16eを有した蒸気パイプ16cを嵌合するとともに、同蒸気パイプ16c内の蒸気通路16e内に上方側放熱板2c側に取付ホルダー16aおよび16dを介して取り付けられているサーミスタ16bの先端を挿入する形で設けられている。この場合、同サーミスタ16bは、図示のように上方から下方に向けて長く延びる軸体状のものよりなり、その先端側センサ部(温度検知部)が、上記内鍋3の開口縁部3cよりも内側に臨んで(侵入する形で)設けられている。
【0042】
そして、それにより内鍋3内の温度を蒸気の発生前の段階から極めて精度良く検出するようになっている。
【0043】
(制御回路部分の構成)
次に図3、図4は、上述のように構成された炊飯器本体の炊飯および保温制御を行う制御回路部分の構成を示す。
【0044】
この実施の形態の電気炊飯器の場合、上述のように制御部はマイコン基板B2と制御基板B1との2つの回路基板により構成されており、マイコン基板B2は、第1,第2のワークコイルC1,C2および保温ヒータH1、蓋ヒータH2等の出力を制御する制御用のマイコン(炊飯制御ユニット)40を中心として、また制御基板B1は、AC電源30側からの電源回路部以降に、整流平滑回路、第1,第2のワークコイルC1,C2、IGBT、チョークコイル、共振回路よりなるIH回路、DC電源回路、各種センサを用いた温度検出回路、入力電圧検出回路、IGBT駆動回路、入力電流検出回路、電源電圧のゼロクロス検出回路、保温ヒータ駆動回路、蓋ヒータ駆動回路、送風ファン11のファンモータ駆動回路などを設けて構成されているが、それら制御基板B1側各回路部の詳細については周知のものであり、図示を省略している。
【0045】
そして、図3では、具体的に本願発明に関係する構成要素として、制御周期等設定のためのメインクロック信号発生回路(OSC1)45a、時計表示用のクロック信号を発生するサブクロック信号発生回路(OSC3)45b、液晶表示部21用の画像データ、音声回路50駆動用の音声ガイダンスデータやメロディーおよび後述する常には変化しない制御データを記憶したバックアップ電源の不要なフラッシュメモリよりなる外部RAM46、停電時におけるマイコン(RTC回路43およびバッテリーバックアップRAM42)バックアップ用の電源電池BE、活電時におけるマイコン駆動制御用の電源回路41、リセット回路48、音声ガイダンスおよびメロディーを流す音声回路50等がそれぞれ設けられており、それらが各々図示のようにマイコン(炊飯制御ユニット)40に対して接続されている。
【0046】
この場合、上記バックアップ用の電源電池BEからの電池電圧は、ツェナーダイオードZD1を介して、上記バッテリーバックアップRAM42およびRTC回路43に供給されるようになっている。
【0047】
また、同バッテリーバックアップRAM42およびRTC回路43には、AC電源30がある活電時にはマイコン駆動制御用の電源回路41からツェナーダイオードZD2を介して動作電源(3.3V)が供給されるようになっており、可能な限り電源電池BEの寿命が長くなるように構成されている。
【0048】
また、同マイコン制御ユニット40には、さらに液晶表示部21、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ、炊飯スイッチ、保温スイッチ、取消スイッチ、音声設定スイッチ、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定する炊飯メニュースイッチ、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ、お米選択スイッチ、火加減レベル設定スイッチ等の各種操作キースイッチ22a〜22jがそれぞれ接続されており、その操作内容、操作量に応じた電気信号が入力されるようになっている。
【0049】
炊飯制御ユニットであるマイコン40内には、例えば炊飯制御データとしての炊飯メニューデータ等を記憶した内部RAM、時計表示のためのRTC回路(リアルタイムクロック回路)43、バッテリーバックアップRAM42等が設けられており、停電時には、リアルタイムクロック回路43のバッテリーバックアップモードにより、当該マイコン(炊飯制御ユニット)40のRTC回路(リアルタイムクロック回路)43およびバッテリーバックアップRAM42以外の部分へのバックアップ電源BEからの電源の供給を全て停止し(スリープ制御)、可能な限りバックアップ用電源電池BEの電力消費量を低減し、長寿命化を図る。
【0050】
RTC回路(リアルタイムクロック回路)43は、停電時においては、マイコン駆動制御用の電源回路41ではなくバックアップ用電源電池BEからの電源により動作し、所定の発振周期の時計表示用サブクロック信号発生回路(OSC3/8MHz)45bからのクロック信号を基に正確な時計表示を行う。
【0051】
バッテリーバックアップRAM42は、少なくとも16バイトのバッテリーバックアップ領域を有しており、バッテリーバックアップモード時には、該16バイトのバックアップ領域にバックアップが必要な制御データを格納保持し、電源復帰時には、当該格納されていた制御データを用いて停電前の制御状態(例えば待機状態、炊飯予約状態、保温状態など)に戻して本来の制御(停電前の状態からの継続制御)を可能とする。
【0052】
この場合、該バッテリーバックアップRAM42に格納すべき制御データとしては、例えば予約炊飯メニューに加えて、時間の経過に応じて常に変化する具体的なデータ、例えば炊飯中におけるタイマーの計時値、炊飯工程シーケンス(吸水、合数判定、昇温工程1、昇温工程2、炊き上げ1、炊き上げ2)、むらし時間、保温時間などが選ばれている。
【0053】
また、該バッテリーバックアップRAM42の格納データを制御に使用する場合、当該格納されているデータが正しいものであるか否かををチェックする必要がある。そこで、この実施の形態では、例えば上記16バイトのバックアップ領域の内、1/16〜15/16のNO1〜NO15領域をデータ記憶領域、残り1/16のNO16領域をNO1〜NO15領域のデータの合計値(サム値)を入れるチェックサム領域として使用するようにしている。
【0054】
そして、停電前に入れて置いたNO16領域のサム値と復電後におけるNO1〜NO15領域のデータ値の合計値とを比較し、それらが一致する場合にはNO1〜NO15領域のデータが正常、一致しない場合には正常でないと判定する。そして、正常でない場合には、それらNO1〜NO15領域のデータを全て初期化し、未設定の待機状態のデータに戻す。これにより、誤ったデータにより制御が継続されることを回避する。
【0055】
外部RAM46は、例えば所定ブロック単位での消去と書き込みが可能で、電源の供給が停止されても記憶データを保持することができるフラッシュメモリにより構成されており、例えば主たるブロック部分には、上述の液晶表示部21に表示される各種の画面データや音声回路50の駆動に必要な音声データ(ガイダンスデータ、メロディデータなど)が書き込まれている。
【0056】
一方、その他にも所定の空きブロックがあり、該空きブロックを利用して、上記16バイトのバックアップRAM42だけでは記憶し切れない制御データ、例えば時間の経過に応じて常には変化しないが、各炊飯タイミング毎に設定状態が変更される可能性のある音声ガイダンス機能における音声内容や音量レベルに加え、後述するタイマー予約炊飯時における予約時刻や前回の炊飯メニューデータを記憶させる。
【0057】
ところが、以上の構成におけるバックアップ用の電源電池BEは、如何に長寿命かつ高性能なものであると言っても、その寿命は有限であり、また何らかの事情で寿命が来る前に出力電圧が大きく低下するということも起こり得る。
【0058】
そのような状態になると、上述した停電時の適正なバックアップ機能を果たすことができず、次のような問題が発生する。
【0059】
(1) RTC回路(リアルタイムクロック回路)43およびサブクロック信号発生回路45bが停止又は誤動作し、正確な時計機能を維持することができなくなるので、電源復帰後にも、正確なタイマー予約炊飯機能を実現することができない。
【0060】
(2) 内部RAM44等のメモリ部のバックアップが不能となり、次に電源が復帰したとしても、同メモリ部は、一旦初期化されてしまうことから、新たなリセットスタートとなり、これら各メモリ中に前回使用した炊飯メニューのデータ等は全く記憶されていないことになる。
【0061】
したがって、ユーザーは、前回使用した炊飯メニューデータにより簡単な操作で炊飯を行うということはできず、その都度、必要な全ての設定操作を行った上で、改めて炊飯を行わなければならない不便がある。
【0062】
(3) またメインクロック信号発生回路(OSC1)の発振安定待ちには、例えば3秒程度の時間(MAX)が必要なため、メインクロック信号発生回路(OSC1)45aの停止状態(電池電圧無し)から電源復帰した場合、その発振安定待ち中にメインクロック信号発生回路(OSC1)45aに切り替えてはならない。
【0063】
(4) メインクロック信号発生回路(OSC1)45aに切り替えることができるか否かの判断をバッテリーバックアップRAM42の内容が壊れているかで判断しているが、実際に電源電池BEが無くなった状態ではバッテリーバックアップRAM42は不定のため、本来そのような判断に使用してはならないと考えられる。
【0064】
本実施の形態では、このような問題を解決するために、例えば図3、図4のような、バックアップ用電源電池BEの電圧値を検出することができるFET50を用いた電池電圧検出回路を設けており、停電状態からAC電源30が復帰した時に、上記バックアップ用電源電池BEの電圧値を速やかにチェックして、その電圧値に応じた適切な対応を取ることができるようにしている。
【0065】
すなわち、図3、図4中において、符号50はサブストレート内部接続のMOS形FET(Nチャンネル)であり、そのドレン側は上記バックアップ用の電源電池BEの正極に、またソース側は上記マイコン40のA/D変換用入力端子A1N3に、さらにゲート側は上記マイコン40のH/L切替信号出力端子PA7に、それぞれ接続されており、AC電源30の復帰に対応してマイコン40側のH/L切替信号出力端子PA7からH(ハイ)信号が出力されると、FET50がONになってバックアップ用電源電池BEの出力電圧(電位)Vがマイコン40のA/D変換用入力端子A1N3に入力されてA/D変換される。
【0066】
上記H/L切替信号出力端子PA7からの出力信号は、上記のように停電状態からAC電源30が復帰した復電時に出力され、それに対応して上記のようにA/D変換用入力端子A1N3にバックアップ用電源電池BEの電圧値Vが入力されてA/D変換されるが、当該H/L切替信号出力端子PA7のH信号は、可及的速やかにL(ロー)信号出力に切り替えられてFET50をOFFにする。
【0067】
A/D変換用入力端子A1N3から入力された電源電池BEの電圧値Vの値は、マイコン40内のA/D変換回路でA/D変換された後、そのデジタル値によって当該電池電圧レベルが所定基準電圧(例えば定格3.3Vに対して2.7V)以下に低下しているか否かが判定される。
【0068】
そして、その判定結果に応じて、以下の図5のフローチャートおよび図6、図7のタイムチャートに示されるような適切な炊飯制御方法が採用される。
【0069】
(バックアップ用電源電池BEの電源電圧監視および停電時対応制御)
次に図5のフローチャートおよび図6、図7のタイムチャートは、上記バックアップ用電源電池BEの電源電圧監視制御および停電状態から電源が復帰した時の対応する予約炊飯等の制御内容を示している。
【0070】
なお、図6のタイムチャートは、上記バックアップ用電源電池BEの電池電圧Vが所定の基準電圧よりも高い場合、図7のタイムチャートは、電池電圧Vが所定の基準電圧以下の場合の各動作を示している。
【0071】
この制御は、上述したAC電源30のプラグ抜けその他の停電の発生により開始され、同停電状態からAC電源30が復帰したことを判定して必要な停電対応処理を行ない、その後、具体的な復電処理制御に移行するようになっている。
【0072】
すなわち、先ずステップS1で、上述したAC電源30のゼロクロス電圧を検出するゼロクロス電圧検出回路からのゼロクロス信号(図6、図7のZc)をマイコン40に入力し、実際にゼロクロス信号(H信号)が入力されたか否かを判断する。この判断は、ゼロクロス信号(H信号)が入力されるまで(YESと判定されるまで)、所定の周期で繰返し行われ、ゼロクロス信号が入力されてYESになると、AC電源30が復帰したと判定してステップS2に進む。
【0073】
そして、ステップS2で、上述のマイコン40のH/L切替信号出力端子PA7の出力をH出力(図6、図7のPA7の信号波形を参照)とし、上述のFET50を瞬間的にONにして上記A/D変換用入力端子A1N3のポートを開き(図6、図7のA1N3の信号波形を参照)、電源電池BEの電圧値V(図6、図7のBEの信号レベルを参照)を入力する。そして、続くステップS3で同A/D変換用入力端子A1N3より入力されたバックアップ用電源電池BEの電圧値V(図6、図7のBEレベル)のAD変換値を入力してメモリする。それに対応して、ステップS4で、速やかに上記H/L切替信号出力端子PA7の出力をL(ロー)出力に切り換える(図6、図7のA1N3の出力信号波形を参照)。
【0074】
そして、その上でステップS5に進み、上記AD変換されたバックアップ用電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値以上のレベルにあるか否かを判断する。
【0075】
その結果、YESと判定されたバックアップ用電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値以上の有効なレベルにある時は、スリープ制御時を含めてサブクロック信号発生回路(OSC3)45bにより動作させることにより、上述したバッテリーバックアップRAM42の初期化は行わず、かつメインクロック信号発生回路(OSC1)45aの発振安定を待つことなく、直ちにステップS6に進んで、それまでに設定されていたバックアップ用電源電池BEが所定の基準値以下に低下していることを示す電源電池電圧低下フラグをリセットした上で、また同フラグが設定されていなかった場合には、単にリセット処理のみを行った上で、ステップS13の復電処理に進む。
【0076】
この場合における上記電源電池電圧低下フラグは、実際の電池電圧Vが基準電圧以下に低下していることを条件として、以下のステップS7〜S12に示すような処理過程を経た時にセットされている(後述)。
【0077】
他方、NOと判定された電源電池BEの電圧Vが上記所定の基準電圧値以下に低下している時には、先ずステップS7で、上述したメインクロック信号発生回路(OSC1)45aの発振状態が安定するのを待ち(3秒程度)、ステップS8で上述のバッテリーバックアップRAM42を実際のメモリ内容如何に関係なく必ず初期化(リセット)する。
【0078】
そして、その上でステップS9で上記外部RAM(フラッシュメモリ)46より炊飯メニューを読み出し、ステップS10でマイコン40の内部RAM44中に該読み出した炊飯メニュー情報(詳細な設定データ)を展開する。
【0079】
次にステップS11に進み、同内部RAM44より上記展開された現在の設定炊飯メニューを以後必要に応じて読み出すことができるような状態にセットする。次に続くステップS12で、電源電池電圧Vが所定の基準電圧値以下に低下していることを示すフラグをセットした上で、ステップS13の復電処理制御に進む。
【0080】
この復電に対応した復電処理制御は、当該炊飯器の制御部各部の状態を時刻表示状態を含めて停電前の状態に戻す処理であって、これが実行されることによって、元の待機状態、予約炊飯状態、炊飯状態等に復帰せしめられる。
【0081】
そして、この復電処理が完了すると、続いて上述の炊飯予約スイッチ22aが押し下げ操作されたか、または炊飯スイッチ22bが押し下げ操作されたか、さらに、それら各場合において、電源電池BEの電圧の状態がどうであるかによって、それぞれ次のような異なる処理が行われる。
【0082】
すなわち、先ずステップS14で上述の炊飯予約スイッチ22aが押されたか否かを判定する。
【0083】
その結果、YESの炊飯予約スイッチ22aが押された時には、次にステップS17に進んで、上述の電源電池電圧低下フラグがリセットされている状態であるか、セットされている状態であるかの判定を行う。
【0084】
その結果、同フラグがリセット状態である電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値よりも高い、有効な動作電圧レベルの時には、時計機能も正確に維持されている筈であるから、そのままステップS18に進んで、予約炊飯モードを、時計機能による現在時刻を基準とした予約設定モードに切り替え、続くステップS19で同時計機能により炊き上げ時刻を設定する。
【0085】
そして、その後、ステップS20で炊飯スイッチ22bが押されたか否かを判定し、炊飯スイッチ22bが押されると現在時刻を基準とした時計機能に基くタイマー予約時刻を確定して、予約炊飯モードに移行する。
【0086】
他方、上記電源電圧低下フラグがセット状態である電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値以下で、有効に内部RAM44やバッテリーバックアップRAM42、RTC回路43のバックアップ機能を果たしていないと判断される場合には、正確な時計機能は維持できておらず、正確な現在時刻は不明であるから、ステップS21に進んで、減算タイマーによる予約時刻設定モードに切り替え、同減算タイマー方式で続くステップS22で炊き上げまでの演算時間を設定する。
【0087】
そして、その後、さらに炊飯スイッチ22bが押されたか否かを判定し、同炊飯スイッチ22bが押されると、当該減算タイマーによる予約時刻の設定を確定して、予約炊飯モードに移行する。
【0088】
このような構成によると、マイコン40の内部RAM44、バッテリーバックアップRAM42、RTC回路43等バックアップ用の電源電池BEの電圧値Vが必要な基準電圧レベル以下に低下して、正確な時計機能を維持することができなくなったとしても、減算タイマー方式で、何時間何分後に炊き上がるというような形で予約炊飯機能を実現することができる。
【0089】
一方、上述のステップS14の予約スイッチ22aの押し下げ判定でNOと判定された場合には、次にステップS15に進んで、今度は炊飯スイッチ22bが押し下げられたか否かを判定する。
【0090】
その結果、YESの復電処理終了後、炊飯スイッチ22bが押された時には、次にステップS24に進んで、上述の電源電池電圧低下フラグがセットされている状態であるか、リセットされている状態であるかの判定を行う。
【0091】
その結果、リセット状態である電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値よりも高い、有効な動作電圧レベルの時には、上記マイコン40の内部RAM44のメモリデータも正確に維持されている筈であるから、そのまま炊飯モードに進んで炊飯を実行する。
【0092】
他方、電源電圧低下フラグがセット状態である電源電池BEの電圧値Vが所定の基準電圧値よりも低い電圧レベルの時には、ステップS25に進んで、先ず今回炊飯しようとしている炊飯メニューが、すでに設定されている前回のものと同じであるか否かを判定する。
【0093】
その結果、YESの場合には、上述のようにして外部メモリ46に記憶させていた炊飯メニューを内部RAM44に展開させ、読み出し可能としていることから、そのまま炊飯モードに移行して炊飯を実行する。他方、NOの別のメニューである時は、ステップS26に進んで、上記マイコン40の内部RAM44に設定するべき現在の炊飯メニューを上記内部RAM44ではなく、上述の外部メモリ46の空きブロック部分に記憶させた上で、炊飯モードに移行して同メニューによる炊飯機能を実行する。
【0094】
他方、上述のステップS15でNOと判定された場合には、さらにステップS16に移って、メニュースイッチ22fが押されたか否かを判定を判定する。
【0095】
その結果、NOのメニュースイッチ22fが押されなかった時、すなわち新たなメニュー設定がなされなかった場合には、そのままステップS14にリターンし、上述したステップS14〜S26の制御動作を繰り返す。
【0096】
一方、YESのメニュースイッチ22fが押されて、新たなメニューが設定された場合には、ステップS27に進んで、現在設定されているメニュー(例えば白米)を次の新たなメニュー(例えば炊き分け)に変更(内部RAM44に新たにメモリ)した上で、上記ステップS14〜S26にリターンする。
【0097】
これにより、同ケースでは、上述したステップS25,S26の処理も、上記ステップS27の処理に対応して変更され、同新たなメニュー(例えば炊き分け)が上記外部メモリ46にメモリされ、同外部メモリ46にメモリされたメニューが上述のようにステップS9,S10,S25,S26で使用されることになる。
【0098】
すでに述べたように、上記バックアップ用の電源電池BEの電圧Vが所定の基準電圧値(例えば定格3.3Vの場合の2.7V)以下に低下しているような場合において、電源プラグが抜かれると(AC電源30が停電状態になると)、バックアップ不能となり、次に電源プラグが接続されてAC電源30が復帰したとしても、新たなリセットスタートとなり、内部RAM44中に前回使用した炊飯メニューのデータは記憶されていないことになる。
【0099】
したがって、ユーザーは、前回使用した炊飯メニューにより簡単な操作で炊飯を行うということはできず、その都度、必要な全ての設定操作を行った上で、炊飯を行わなければならない不便があった。
【0100】
ところが、以上のように、復電時に、バックアップ用電源電池BEの電圧Vの値を確認するようにし、同電圧Vの値が上記基準電圧(2.7V)以下に低下している場合には、その後に設定される炊飯メニューを外部RAM(バックアップ電源を必要としないフラッシュメモリ)46に記憶させて置き、以後必要に応じて読み出して内部RAM(内部メモリ)44中に展開させることによって炊飯するようにし、バックアップ用電源電池BEの電圧が低くなっている状態において、停電状態が発生したとしても、復電時に、前回の炊飯メニューを使用した簡単な操作で炊飯が行えるようになる。
【0101】
(その他の実施形態1)
次に図8は、本願発明の他の実施形態1に係るバックアップ電源回路の構成を示している。
【0102】
本実施形態の場合、上述の図3、図4の回路に示すように、バックアップ用の電源電池BEは、停電時におけるバッテリーバックアップRAM42およびRTC回路43の動作電源(3.3V)として機能している。
【0103】
しかし、そのままでは、同電源電池BEの電圧Vが所定レベル以下に低下すると、上述のように時計機能が失われるだけでなく、スリープモード(省エネモード)からの復帰もできなくなる恐れがある。
【0104】
そこで、図3に示すように、上記マイコン40駆動用の電源回路41からの制御電源ライン(3.3V)をツェナーダイオードZD2を介してバックアップ用電源電池BEの出力ラインに接続している。このようにして置くと、バックアップ用電源電池BEの電圧が低下したような場合にも、少なくともAC電源がある限りにおいて、必要な動作を確保することができる。また、非停電状態バックアップ用電源電池BE自体の消費電流を小さくすることができるので、当該電源電池BE自体の寿命を長くすることができることになる。
【0105】
この場合、上記図3の本実施の形態の構成では、マイコン駆動用電源回路41からの制御電源ラインをツェナーダイオードZD2を介して電源電池BEの出力側に接続するようにしたが、同ツェナーダイオードZD2は、例えば図8の構成のように通常のダイオードDであってもかまわない。
【0106】
(その他の実施形態2)
次に図9は、本願発明の他の実施形態2に係る停電時のマイコンバックアップシステムの構成を示している。
【0107】
例えば図10に示すように、上記図3、図8のようなマイコン40の駆動用電源回路41からの制御電源の供給を可能とする一方、上記マイコン40の内部RAM44を中心とした主メモリシステム51とは別にサブメモリシステム52を設け、停電時にはサブメモリシステム52に必要な制御データを保持させるようにすると、主メモリシステム51のバックアップ用電源電池BEによるバックアップを不要とすることができ、省エネ機能を向上させることができる。
【0108】
しかし、この場合、少なくとも上記サブメモリシステム52は、電源電池BEによるバックアップを必要とする。そのため、もしもバックアップ用の電源電池BEに寿命が来たとすると、停電時に動作に必要な電源電圧を得ることができず、必要な制御データの保持ができなくなる。
【0109】
したがって、このような回路の場合、主メモリシステム51、サブメモリシステム52の各々に対して電源電圧監視回路53,54を設けて、その電源電圧を監視する必要がある。
【0110】
ところが、この場合にも、例えば図9の回路に示すように、復電したことを条件として、主メモリシステム51側に設けられたAD変換回路で、サブメモリシステム52側の動作入力電圧を検出し、それが所定の基準電圧以下の場合には、サブメモリシステム52の初期化を行って誤った制御を防止するとともに警報を発生させるようにすることができる。
【0111】
そして、このようにした場合には、図9の回路構成からも理解されるように、少なくともサブメモリシステム52側の電源電圧監視回路54を不要とすることができる。その結果、回路構成の簡素化を図ることができる。
【符号の説明】
【0112】
40はマイコン、41は電源回路、42はバッテリーバックアップRAM、43はRTC回路、44は内部RAM、45aはメインクロック信号発生回路(OSC1)、45bはサブクロック信号発生回路(OSC1)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、内鍋を加熱する加熱手段と、マイコンよりなる炊飯制御手段と、該炊飯制御手段の所要部の動作電源を停電時においてバックアップする電源電池とを備えてなる電気炊飯器であって、上記電源電池の電圧を検出する電池電圧検出手段を設け、停電状態から復電状態への電源復帰時に上記電源電池の電圧を検出し、その検出電圧値に応じた適切な炊飯制御を実行できるようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
適切な炊飯制御が、時計機能を用いない現在時点からの減算タイマー方式で予約炊飯を行う予約炊飯制御であることを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
適切な炊飯制御が、予じめバックアップ電源を必要としない外部メモリ中に記憶させておいた炊飯メニューデータを用いて行う炊飯制御であることを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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