説明

電気的なボンディング接続構造

本発明は、第1電気コンタクト面と第2コンタクト面との間の電気的なボンディング接続構造であって、少なくとも1つの第1ボンディング接続部によって前記コンタクト面の少なくとも1つの上にボンディングされている少なくとも1つの第1電気導体を備えたボンディング接続構造に関する。ここでは、前記第1電気導体(8)の上に、少なくとも1つの第2ボンディング接続部(10,13)によってボンディングされている少なくとも1つの別の第2電気導体(9)が設けられており、前記2つのボンディング接続部(10)は互いにずらされて位置している。本発明はさらに、第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面の間に存在する電気的なボンディング接続構造を形成するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面との間の電気的なボンディング接続構造に関する。
【0002】
先行技術
ますます多くの電子回路が高電流が発生する出力領域に使用されてきている。とりわけ自動車分野においては高電流用途がますます拡大している。現在、電子回路と該電子回路のための接続箇所との間、例えばネイキッド・チップと該チップを収容する基板との間における高電流伝達のために、多かれ少なかれ正方形の横断面を有するアルミニウムテープが超音波ボンディング技術において使用されている。充分に大きい電流容量を達成するために複数の個々のテープを互いに部分的にボンディングする必要があり、これによりこのような用途に関するレイアウトおよび構造自由度が非常に制限され、構造スペースの課題が生じる。さらに、所期の回路を実現することも部分的に不可能となる。なぜなら電流容量が相応に大きい接続は、現在のところ従来技術において使用可能な手段を用いては成功していないからである。
【0003】
本発明の課題は、2つの電気コンタクト面の間の電気的なボンディング接続構造であって、簡単な製造において比較的小さい構造スペースで大きい電流容量を保証するボンディング接続構造を提供することである。
【0004】
発明の概要
このために、第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面との間の電気的なボンディング接続構造であって、少なくとも1つの第1ボンディング接続部によって前記電気コンタクト面の少なくとも1つの上にボンディングされている少なくとも1つの第1電気導体を備える形式のボンディング接続構造が提案される。少なくとも1つの別の第2電気導体が、少なくとも1つの第2ボンディング接続部によって前記第1電気導体の上にボンディングされており、この際これら2つのボンディング接続部は互いにずらされて位置している。第1電気コンタクト面はこの場合例えば電子チップの領域に形成されており、その一方で第2電気コンタクト面は例えば基板側の銅面に形成されている。2つの電気コンタクト面は互いに電気的に絶縁されており、ボンディング接続構造を介して橋絡されている。このために第1電気導体は、ボンディング接続部によって電気コンタクト面の少なくとも1つにボンディングされる(他方のコンタクト面には、この第1電気導体を例えば別の方法によって固定して導電接続することも可能である)。従来技術から公知の接続方法に比べて新しいのは、少なくとも1つの別の第2電気導体が、第2ボンディング接続部によって第1電気導体の上にボンディングされていることである。この場合にこれら2つのボンディング接続部は互いにずらされて位置している。このことは、第1電気導体を各電気コンタクト面の上に固定しかつ電気的に接続しているボンディング接続部が、第2電気導体を第1導体にボンディングしている第2ボンディング接続部に直接的には隣接していないということを意味しており、第2ボンディング接続部の被着の際に第1ボンディング接続部が離脱する危険を冒さないようにしている。
【0005】
本発明の1つの実施形態においては、少なくとも1つの電気導体がボンディングテープとして構成されている。ボンディングテープは従来技術にて公知であるが、ここでは有利には、従来技術にて通常使用されるような正方形の横断面を有するボンディングテープが使用されるのではなく、実質的に長方形の横断面を有するボンディングテープが使用される。このことはボンディング工程の経過中に製造技術的な利点をもたらす。なぜなら、垂直延在方向においてボンディングツールとコンタクト面との間の横断面がより小さければ、ボンディング接続をより簡単かつ高信頼性に形成できるからである。
【0006】
有利な実施形態においては、ボンディング接続部の少なくとも1つは、扁平または線形のボンディング接続部である。したがって電気導体とコンタクト面との間のボンディング接続部は、扁平または線形に形成される。
【0007】
特に有利にはボンディング接続部は、ボンディングテープにおいて、テープの長手延在方向を横断して延在するコンタクトストリップとして存在しており、これらのコンタクトストリップは、テープ長手延在方向において互いにずらされて位置している。つまり例えば、ボンディングテープとして形成されている第1電気導体には、第1ボンディング接続部、すなわちボンディングパッドが形成されており、この第1ボンディングパッドに対してテープ長手延在方向に僅かに間隔を置いて、別の第2のボンディングパッドが形成されている。有利には同様にボンディングテープとして形成されている第2電気導体は、第1ボンディングテープの上に、別のボンディング接続部によってボンディングされている。この別のボンディング接続部、すなわち第3ボンディングパッドは、第1ボンディングテープに形成された第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の領域に位置しているので、第3ボンディングパッドの取り付けの際には、第1ボンディングテープの第1ボンディングパッドも第2ボンディングパッドもコンタクト面から離脱することはない。
【0008】
有利には、ボンディング接続部は、超音波ボンディング接続部として、および/または、熱ボンディング接続部として形成されている。したがって有利には、本発明によるボンディング接続構造を形成するために、従来技術から公知である各製造工場に既存の装置およびツールを使用することができるので、ここではさほどの投資をすることなく本発明のボンディング接続構造の利点を利用することが可能となる。方法技術はソフトウェアによって変換され、この際所与の2つの点は、従来技術のように、ボンディング接続構造の形成に必要なさらなる点だけ計算によって補われる。
【0009】
さらにとりわけ上述したような、第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面との間に存在する電気的なボンディング接続構造を形成するための方法について記載する。この際、少なくとも1つの第1電気導体は、2つのコンタクト面の少なくとも1つの上に、少なくとも1つの第1ボンディング接続部によってボンディングされている。さらなるステップが設けられており、このステップにおいては、少なくとも1つの別の第2の電気導体が、前記第1電気導体の上に、少なくとも1つの第2ボンディング接続部によって以下のようにボンディングされる、すなわち前記2つのボンディング接続部が互いにずれているようにボンディングされる。
【0010】
有利にはこの方法は、以下のステップが実行されるように構成されている:
・第1電気導体を、第1ボンディング接続部が第1電気コンタクト面の上に形成されるようにしてボンディングする。
・第2ボンディング接続部を、同一の電気導体の上に設ける。この際第2ボンディング接続部は、前記第1ボンディング接続部に対してずらされて位置している。
・別の第2電気導体を、前記第1電気導体の上に、別の第3ボンディング接続部によってボンディングする。この際第3ボンディング接続部は、前記第1電気導体に形成されている第1ボンディング接続部および第2ボンディング接続部に対してずらされて位置している。
【0011】
各従属請求項および従属請求項の組み合わせから、別の有利な実施形態が考えられる。
【0012】
有利には複数あるボンディング接続部は、電気導体の長手延在方向にて互いにずらされて、すなわちいわば順次連続的に形成されている。これによって、既に存在するボンディング接続部が、後続するボンディング接続部のボンディングの際に再び離脱してしまうということが確実に回避される。
【0013】
ボンディング接続部は特に有利には、第3ボンディング接続部が、長手延在方向において第1のボンディング接続部と第2のボンディング接続部の間に配置されるよう形成される。したがって第1ボンディング接続部と第2ボンディング接続部は、第1ボンディングパッドおよび第2ボンディングパッドとして互いに間隔を置いて第1導体に位置しており、この際第1ボンディング接続部と第2ボンディング接続部は、第1導体を第1コンタクト面に電気的に接続し、かつ固定している。第1電気導体の上には、第3ボンディング接続部によって第2電気導体がボンディングされ、この際第3ボンディング接続部は、長手延在方向において第1ボンディング接続部と第2ボンディング接続部との間に位置している。このようにして、製造プロセスの信頼性が高く、かつ非常に良好な電流容量を達成することができる。
【0014】
本発明を以下実施例に基づき詳細に説明する。しかし本発明はこの実施例に制限されるものではない。既に説明したように、さらなる第3ボンディング接続部は、第1電気導体に形成されている第1ボンディング接続部および第2ボンディング接続部に対してずらされている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、2つの電気導体を備えたボンディング接続構造を示す図である。
【0016】
図面は、第1電気コンタクト面2と第2電気コンタクト面3の間のボンディング接続構造1を示す。第1電気コンタクト面2は、この場合例えば半導体構成素子4に属しており、一方で第2電気コンタクト面3は、回路コンタクトのための銅面5である。これらの電気コンタクト面2,3の間には、ボンディング接続構造1を形成するための複数の電気導体6、すなわちボンディングテープ7が配置されている。ボンディングテープ7は、電気コンタクト面2,3の上にとりわけ超音波ボンディングまたは熱ボンディングによってボンディングされている。複数の電気導体6のうちまず1つの電気導体が、つまり第1電気導体8が載置される。これに対して第2の電気導体9は、電気コンタクト面2,3の上にボンディングされるのではなく第1電気導体8の上にボンディングされる。第1電気導体8は、それぞれボンディングパッド11を形成している2つのボンディング接続部10、すなわち第1ボンディング接続部12および第2ボンディング接続部13によって、第1電気コンタクト面2の上に被着される。この際これらのボンディング接続部は、第1電気導体8の長手延在方向Iにおいてずらされて位置している。すなわち互いに長手延在方向にずらされて位置している。これに続いて第2電気導体9が第1電気導体8の上にボンディングされる。つまり、第3ボンディング接続部14によって中間接続領域15にボンディングされる。したがって第1ボンディング接続部12および第2ボンディング接続部13は、第1電気導体8の長手延在方向Iにて互いに間隔を置いて位置しており、これによってこれらのボンディング接続部の間に中間接続領域15が形成されることとなり、この中間接続領域15の上に、第2電気導体9の第3ボンディング接続部14が被着されるのである。ボンディング接続部10の被着は、この図では非常に概略的にしか図示していないボンディングツール16によって実施される。第2電気コンタクト面3についても相応の方法が実施される。このようにすれば、従来技術から公知のボンディングツール16を用いて、電流容量が大きくかつ低コストのボンディング接続構造1を形成することができる。この際、従来技術から知られた構造スペースおよびプロセスの課題は、横断面の大きい電気導体を使用することによって(とりわけ正方形の横断面によって)回避することができる。有利には、複数あるボンディング接続部10、すなわち第1ボンディング接続部12および第2ボンディング接続部13を互いにずらして間隔を置いて配置することによって、ボンディングツール16のアクセスのため、またとりわけ連続的に送り出される電気導体6の材料の分離/分断のため(ここでは詳細に図示されていない)にも充分な空間を得ることが可能となる。これによって、第2電気導体9を被着する際に第1電気導体8に第3のボンディング接続部14を形成する際に、損傷が生じないよう保証することができる。これによって、比較的早い速度での完全に自動化された大量生産が可能となる。とりわけ、電気導体6の材料を連続的に送り出し、ボンディング接続10を実施し、各電気導体6の材料を切断するような組込型ボンディングツール16によってボンディング接続構造1を形成する場合には、本発明の構造は非常に意義深い。なぜなら第3ボンディング接続部14の形成後に、電気導体6、すなわち第2電気導体9を切断する際には、既に実施されたボンディング接続10、とりわけ第1ボンディング接続部12および第2ボンディング接続部13の機械的な損傷は回避され、同様に熱または超音波の不所望の影響も回避されるか、少なくとも最小化されるからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面との間の電気的なボンディング接続構造であって、
少なくとも1つの第1ボンディング接続部によって前記2つの電気コンタクト面の少なくとも1つの上にボンディングされている少なくとも1つの第1電気導体を備える、
形式のボンディング接続構造において、
該ボンディング接続構造は、少なくとも1つの別の第2電気導体(9)を有しており、
該第2電気導体(9)は、前記第1電気導体(8)の上に少なくとも1つの第2ボンディング接続部(10,13)によってボンディングされており、
前記2つのボンディング接続部(10)は互いにずらされて位置している、
ことを特徴とするボンディング接続構造。
【請求項2】
前記電気導体(6)の少なくとも1つは、ボンディングテープ(7)として形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボンディング接続構造。
【請求項3】
ボンディング接続部(10)の少なくとも1つは、扁平または線形のボンディング接続部(10)である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のボンディング接続構造。
【請求項4】
ボンディング接続部は、ボンディングテープ(7)において、テープ長手延在方向に対して横断して延在するコンタクトストリップとして構成されており、該コンタクトストリップは、テープ長手延在方向にみて互いにずらされて位置している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のボンディング接続構造。
【請求項5】
前記ボンディング接続部(10)は、超音波ボンディング接続部および/または熱ボンディング接続部として構成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のボンディング接続構造。
【請求項6】
とりわけ請求項1から5のいずれか一項記載の、第1電気コンタクト面と第2電気コンタクト面との間に存在する電気的なボンディング接続構造を形成するための方法であって、
少なくとも1つの電気導体が、前記2つの電気コンタクト面の少なくとも1つの上に、少なくとも1つの第1ボンディング接続部によってボンディングされる、
形式の方法において、
少なくとも1つの別の第2電気導体が前記第1電気導体の上に、少なくとも1つの第2ボンディング接続部によって、前記2つのボンディング接続部が互いにずれているようにボンディングされる、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
・第1電気導体を、第1電気コンタクト面の第1ボンディング接続を形成することによってボンディングし、
・ボンディング接続部を、同一の電気導体の上に被着させ、
なおこの第2ボンディング接続部は、前記第1ボンディング接続部に対してずらされて位置しており、
・別の第2電気導体を、前記第1電気導体の上に別のボンディング接続部によってボンディングする、
なお、該別のボンディング接続部は、前記第1電気導体に形成されている前記第1ボンディング接続部および第2ボンディング接続部に対してずらされて位置している、
ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数のボンディング接続部は、電気導体の長手延在方向にてずらされて形成される、
こと特徴とする請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記第3ボンディング接続部は、長手延在方向において第1ボンディング接続部と第2ボンディング接続部の間に形成される、
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520276(P2011−520276A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507857(P2011−507857)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053987
【国際公開番号】WO2009/135737
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】