電気脱イオン化プロセスを用いる粒状材料からのイオンの除去およびそのためのデバイス
(a)アノード及び(b)カソード間に十分な時間直流を通す工程を含む、イオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法が開示される。ここで、アノード及びカソードは両方とも粒状材料の水性スラリーと電気的に接触しており、アノードはアニオン交換膜と電気的に接触しており、カソードはカチオン交換膜と電気的に接触しており、この方法により、粒状材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される。また、イオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのデバイスが開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国実用出願(U.S.Utility Application)第10/928,302号(2004年8月27日出願)の利益を請求し、本明細書中でこの出願内容全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の属する技術分野)
本発明は、電気脱イオン化プロセスを用いて粒状材料からイオンの除去することに関する。一つの局面では、粒状材料は、燃料電池に適用するための触媒である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
粒子(例えば触媒)の活性は、不純物にかなり影響を受けることがある。これは、特にプロトン交換膜(PEM)燃料電池で使用される電子触媒の場合に正しい。電解触媒(特に白金ベースの電解触媒)は、塩化物イオンを強く吸着する場合がある。その結果、これらの触媒は、活性部位を失い、活性が低下する場合がある。従って、陰イオン(例えば塩化物イオン)は、燃料電池触媒から非常に低レベルになるまで除去されなければならない。
【0004】
カチオンは、異なる機構によって燃料電池の触媒性能に影響を及ぼす。カチオンは、プロトン交換膜(例えば、例えばNafion(登録商標)膜)によってプロトンと交換する場合がある。カチオンは、触媒層のイオノマーのプロトンとも交換する。膜及びイオノマー中のプロトンが他のカチオンによって交換されるとき、燃料電池の抵抗が増加し、その性能が低くなる。
【0005】
従って、アニオン及び/又はカチオンは、燃料電池の触媒から非常に低レベルになるまで除去されなければならない。イオン含有量を減らす従来法としては、高温の連続的な水で洗浄するか、又はソックスレー抽出が挙げられる。しかしながら、大部分の触媒支持体は表面積が大きい材料であり、本質的に多くのイオン種を強く吸着するため、単に洗浄することによってイオンを非常に低レベルになるまで下げることは非常に難しい。従来の水による洗浄−ろ過プロセスも、非常に時間がかかり、大量の水を消費する。
【0006】
イオン汚染物質は、電解触媒だけではなく他の粒状材料に影響を及ぼす可能性がある。例えば、イオンはさまざまなシステムの腐食に関与する可能性があり、イオン汚染物質はマトリックス化学物質を妨害する可能性がある。イオン不純物によって影響を受ける可能性がある他のシステムの例としては、限定されないが、導線及びケーブルシステム、トップコート被膜層、インク及びコーティングシステム、及び他の電子的適用が挙げられる。
【0007】
電気脱イオン化(EDI)は、溶媒和されたイオン種を除去するための水精製に使われている。例えば、Farmerに対する特許文献1(1995年6月20日登録)を参照。
【0008】
Millerに対する特許文献2(2001年7月3日登録)は、強化コンクリートの完成品から塩化物イオンを除去するためのEDIプロセスを開示する。カソードは、コンクリート自体の内部に配置される。
【0009】
Vaccareに対する特許文献3(1987年10月14日公開)は、EDIプロセスによって電気的に補強された真空ろ過器によって、懸濁液の固体で作成されたろ過ケーキから選択されたイオンを除去するか又は交換するための方法を開示する。しかしながら、イオン濃度(特に塩化物イオン濃度)は、多くの応用例、例えば電解触媒精製で受容されるレベルまでは減らなかった。
【特許文献1】米国特許第5,425,858号明細書
【特許文献2】米国特許第6,254,752号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0241308号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、低レベルのアニオン及び/又はカチオンを有する粒状材料を製造するプロセス及びデバイスが、当該技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(概要)
1つの局面では、本発明は、(a)アノード及び(b)カソード間に十分な時間直流を通す工程を含む、イオンを含有する粒状炭素質材料を電気脱イオン化し、この粒状炭素質材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法に関する。ここで、アノード及びカソードは両方とも粒状炭素質材料の水性スラリーと電気的に接触しており、アノードはアニオン交換膜と電気的に接触しており、カソードはカチオン交換膜と電気的に接触しており、この方法により、炭素質材料から除去されるべき少なくとも1種のイオンの少なくともいくらかが除去される。
【0012】
さらに別の局面では、本発明は、(a)アノード及び(b)カソード間に十分な時間直流を通す工程を含む、イオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法に関する。ここで、アノード及びカソードは両方とも粒状材料の水性スラリーと電気的に接触しており、アノードはアニオン交換膜と電気的に接触しており、カソードはカチオン交換膜と電気的に接触しており、この方法により、粒状材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される。
【0013】
さらに他の局面では、本発明は、以下を含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのデバイスに関する:
電力源;及び以下を含むセル:
(a) 第1の内部空洞を定めている第1チャンバ;
(b) 第2の内部空洞を定めている第2チャンバ;
(c) 少なくとも一部分が第1の内部空洞内にあり、電力源に電気的に接続しているアノード;
(d) 少なくとも一部分が第2の内部空洞内にあり、電力源に電気的に接続しているカソード;
(e) 第1チャンバの底端部に隣接して配置され、ベース表面を有するアニオン交換膜;
(e) 第2チャンバの底端部に隣接して配置され、ベース表面を有するカチオン交換膜;及び
(f) アニオン交換膜及びカチオン交換膜のそれぞれのベース表面に隣接して配置されるアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層。ここで、それぞれのアニオン交換膜及びカチオン交換膜は、それぞれアノードと樹脂混合物層との間、カソードと樹脂混合物層との間に配置される。
【0014】
さらに別の局面では、本発明は、以下のものを含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材に関する:
アニオン交換膜;
カチオン交換膜;及び
上側表面及び反対側の下側表面を有する部材、
上側表面と下側表面との間を貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成している部材。
ここで、アニオン交換膜は部材の第1の開口部に取り付けられ、カチオン交換膜は部材の第2の開口部に取り付けられる。
【0015】
さらに別の局面では、本発明は、以下のものを含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材に関する:
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層;
フィルター膜;及び
上面と反対側の底端部を有する実質的に平らな部材、
上面と底端部との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定める部材。
ここで、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられ、フィルター膜は、部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる。
【0016】
付加的な効果は、一部分は以下の説明に記載されており、一部分はその記載から明らかであるか、又は以下に記載される各局面の実施によって学ぶことができる。後述する効果は、特に添付の特許請求の範囲で示される要素及び組み合わせによって理解され、達成される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は単に例示的であり、典型的なものであり、この説明により限定されるものではないと理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
本化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法を開示し記載する前に、後述する局面が特定の合成方法に限定されず、もちろん、このような特定の材料は変更してもよいことが理解される。また、本願明細書で用いられる用語は特定の局面を記載するためだけのものであり、意味を限定することを意図しないと理解される。
【0018】
開示される方法及び組成物のために用いられるか、これらと組み合わせて使用することができるか、これらの調整において使用することができるか、又はこれらの生成物である材料、化合物、組成物、及び構成要素が開示される。上述の材料及び他の材料が本明細書中に開示され、上述の材料又はプロセスの組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示され、それぞれの種々の個々の組み合わせ及び全体的な組み合わせ及び上述の材料又はプロセスの変形は明確に開示されていない場合でも、それぞれの変形は本明細書中で特に考察され、記載されることが理解される。例えば、触媒基質が開示され、述べられ、触媒基質で用いるために多くの金属触媒が述べられる場合、逆の意味であることが特に示されない限り、触媒基質のどの組み合わせ及び変形も特に考察される。基質A、B及びCの類が金属D、E及びFの類及び組み合わせの例(A−D)と同様に開示される場合、各々が個々に詳述されない場合であっても、各々は個々に、及び全体的に考慮される。このように、この例では、A、B、及びCの開示;D、E、及びFの開示;及び組み合わせの例A−Dの開示から、各々の組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fが特に考察され、開示されているとみなされなければならない。同様に、いかなるサブセット又はこれらの組み合わせも、特に考察され、開示される。このように、例えば、A、B、及びCの開示;D、E、及びFの開示;及び組み合わせの例A−Dの開示から、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループが特に考察され、開示されているとみなされなければならない。この概念は、限定されないが、開示された組成物を製造する方法及び使用する方法のステップ、開示された組成物を製造するためのデバイス、及び組成物自体を含む、あらゆる局面にあてはまる。このように、実行される可能性がある種々の追加ステップがある場合、これらの追加ステップを開示された方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせとともにそれぞれ実行可能であり、それぞれの組み合わせが特に考察され、開示されているとみなされなければならないことが理解される。
【0019】
本明細書中及び後述の特許請求の範囲で、以下の意味を有すると定められる多くの用語が参照される:
本明細書中及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に他の意味を表すことが示されていない限り、複数のものも含む。このように、例えば、「金属(a metal)」だと金属の混合物を含み、「粒子(a particle)」だと2つ以上の混合物を含む、などとなる。
【0020】
「任意の」、又は「任意に」は、その後に記載されている事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、その記載が、その事象又は状況が起こる場合及びその事象又は状況が起こらない場合の両方を含むことを意味する。例えば、「任意に加熱した」という句は、そのプロセスで加熱しても加熱しなくてもよく、その記載が加熱されない実施形態及び加熱される実施形態の両方を含むことを意味する。
【0021】
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして本明細書中で表現されてもよい。この種の範囲が表現されるときに、別の局面は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表されるとき、「約」を前に付けることによって、特定の値が別の局面を作ると理解される。各々の範囲の端点が他の端点に関して両方とも重要であり、他の端点とは独立しているとさらに理解される。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で、組成物又は物品中の特定の要素又は構成要素の重量部について、重量部で表される組成物又は物品中の要素又は構成要素と任意の他の要素又は構成要素との間の重量比を示す。このように、2重量部の構成要素X及び5重量部の構成要素Yを含有する化合物では、X及びYは2:5の重量比で存在し、さらなる成分が化合物中に含有されているか否かにかかわらず、X及びYはこの比率で存在する。
【0023】
成分の重量パーセントは、反対の意味で特に述べられていない限り、構成要素が含まれる処方物又は組成物の合計重量に基づく。
【0024】
「炭素質」は、実質的に炭素原子で構成される固体材料を指す。「炭素質材料」は、限定されないが、(i)単一に定めることができる構造を有する炭素質化合物、又は(ii)炭素質粒子の凝集物を含むことが意図される。ここで、この凝集物は、一体的な構造、繰り返し構造、及び/又は定めることができる構造又は凝集度を有する必要はない。
【0025】
「カーボンブラック」は、例えば、触媒支持体として利用される導電性のacinoformカーボンである。
【0026】
「電気的に接触する」は、本明細書で使用される場合、電流をシステムに流すための硬質導線又は非硬質導線のいずれかの配置を指す。例えば、アノードは典型的には電力源に硬質導線で接続され、電力源は典型的には硬質導線でカソードに接続される。しかし、アノード及びカソードは、典型的には粒状材料の水性スラリーに硬質導線で接続されない。粒状材料の水性スラリー中に存在するイオンは、システムのこの部分において、硬質導線を用いてではなく、システムを流れる電流の経路を作る。
【0027】
「電解質」は、イオン交換樹脂、スラリーの水部分、又は樹脂及び水部分を併せて指す。
【0028】
「電気脱イオン化」は、電圧がアノード及びカソードにかけられ、電位によって特定の基質からイオンが除去される電気化学的プロセスを指す。
【0029】
「金属」は、本明細書中で使用される場合、基質(例えば、炭素質基質又は非炭素質気質)に付着した金属を参照して、例えば、1つ以上の貴金属(precious metal)、貴金属(noble metal)、白金属の金属、白金、上述のいずれかの金属のアロイ又は酸化物、上述のいずれかの遷移金属又は酸化物を含む組成物であることができる。本明細書中で使用される場合、「金属」は、燃料電池又は他の触媒操作で生じる反応のための触媒として作用するものである。金属は、COを含有する汚染物質に耐性があってもよく、直接的なメタノール燃料電池において用いられてもよい。
【0030】
「粒状材料」は、別個の固体粒子の材料を意味する。
【0031】
本発明に従えば、電気脱イオン化プロセスは、他の方法よりも粒子の水性スラリーからイオンを除去することができることがわかった。1つの特定の局面において、イオンを含有する粒状物質は、炭素質粒状材料である。さらなる特定の局面において、EDIプロセスが、炭素により担持された触媒の粒状炭素質材料の精製のために用いられる。
【0032】
1つの局面では、この種のEDIプロセスは、精製効率を改良し、特に、所与の時間及び/又はエネルギー支出及び/又は材料支出でのイオン種の減少率を上げる。別の局面では、この種のEDIプロセスは、粒状材料のイオン種の絶対値を下げることができる。さらに別の局面では、本発明のEDIプロセスは、粒状材料を精製する際の操作温度を下げる。従来法では、典型的には、70〜80℃で連続的に水で洗浄するか、又は100℃でソックスレー抽出するのに対し、本発明のプロセスでは、典型的な温度は45℃である。本発明で低い温度を用いたことにより、材料(特に、金属が付着した触媒、例えば金属が付着した炭素により担持された触媒)の潜在的な焼結が最小になる。また、本発明のプロセスは、ろ過ケーキからイオンを除去するのと比較して、優れた結果をもたらす。理論に束縛されることは望まないが、汚染物質であるイオンは、ろ過ケーキよりもスラリーから効率的に移動すると考えられる。
【0033】
このプロセスは電解触媒からイオンを除去するために効果的であるが、他の種類の触媒及び触媒ではない固体からイオンを除去するためにも用いることもできる。このように、本発明は、電解触媒に限られず、あらゆる粒状材料にあてはまる。可溶性イオン不純物を含有するいかなる非イオン性固体も、本発明において使用することができる。粒状材料を含有する非炭素質のイオンの例としては、限定されないが、シリカ、アルミナ、ゼオライト、チタニア(二酸化チタン)、カーバイド、非炭素質触媒材料(例えばシリカ、アルミナ又はゼオライトに担持された貴金属)、及びイオン不純物を含有する有機固体(例えば、可溶性イオン不純物を含有するオレフィンポリマービーズ)が挙げられる。触媒ではない炭素質材料の例としては、限定されないが、カーボンブラック、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物が挙げられる。他の電解触媒ではない適用例としては、導線及びケーブルの適用例、トップコート被膜層、インク及びコーティングシステム、及び他の電子適用が挙げられる。
【0034】
炭素質触媒材料について、炭素質材料は、いかなる粒状の実質的に炭素質の材料であってもよい。例えば、カーボンブラック、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物を使用することができる。炭素質基質は、例えばスルホン基で置換することができる。この種のスルホン基で置換されたカーボンブラックはWO 2003/100889に示され、この出願内容は、その全体及びスルホン基で置換されたカーボンブラックに関する教示についてが本明細書中に参考として組み込まれる。
【0035】
炭素質触媒材料は、カーボンブラックであることができる。本発明でカーボンブラックを選択することは、重要ではない。いかなるカーボンブラックも、本発明で使用することができる。約200〜約1400m2/g、例えば約200m2/g、220m2/g、240m2/g、250m2/g、300m2/g、350m2/g、400m2/g、450m2/g、500m2/g、550m2/g、600m2/g、650m2/g、700m2/g、750m2/g、800m2/g、850m2/g、950m2/g、1000m2/g、1100m2/g、1200m2/g、1300m2/g、又は1400m2/gの表面積(窒素表面積、NSA、ASTM D6556)を有するカーボンブラックを使用することができる。1つの局面では、240m2/g(NSA、ASTM D6556)の表面積を有するカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックが金属分散に有効な表面積を有することが好ましい。カーボンブラックがガス拡散性に有効な構造を有することが好ましい。
【0036】
当業者は、カーボンブラック粒子が、粒子サイズ及び凝集物サイズ、凝集形態、黒鉛度、及び粒子の表面化学によって主に決定される物理的特性及び導電特性を有することを理解する。
【0037】
また、非常に結晶性の高い粒子又は非常に黒鉛度の高い粒子の導電性は、よりアモルファスな粒子の導電性よりも高い。通常、カーボンブラック粒子のいずれの形態が本発明の実施に適しているか、サイズ、構造、及び黒鉛度の特定の選択は、カーボンブラックに必要とされる物理的要求及び導電性の要求に依存する。
【0038】
当業者は、特定の適用について適切なカーボンブラックを容易に選択することができる。さまざまなカーボンブラックが市販されている(例えばColumbian Chemical Company, Atlanta, GA)。
【0039】
粒状炭素質触媒材料は、カーボンブラック以外の材料であることもできる。本発明で他の炭素質材料を選択することは、重要でない。いかなる実質的に炭素質の材料も、本発明で使用することができる。
例えば、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物を使用することができる。
【0040】
炭素質触媒材料が金属分散に効果的な表面積を有することが好ましい。炭素質材料がガス拡散性に効果的な構造を有することが好ましい。
【0041】
当業者は、特定の適用について適切なカーボンブラックを容易に選択することができる。さまざまな炭素質材料は、市販である。
【0042】
本発明において使用する炭素質触媒は、1つ以上の金属をさらに含む。金属は、上で定められる。特定の局面では、金属は、例えば、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロミウム又はそれらの混合物、又はそれらのアロイであることができる。1つの局面では、金属は、白金である。上に定義される通り、金属は、触媒として効果的な金属のアロイ又は酸化物であることができる。
【0043】
単位重量あたりの金属の表面積が可能な限り最大になるように金属の形状及び/又はサイズが与えられることが望ましい。この目的を達成しつつ金属粒子のサイズが可能な限り小さく保たれることが望ましい。一般的に、従来技術では、金属粒子の平均直径は、焼結するため、燃料電池中で使用される間、最終的に約2〜約6nmとなる。直径が約2nm未満だと、よりよい性能を提供することができる。
金属の量は、任意の量であってよい。金属の量は、効果的な触媒量であってよい。当業者は、望ましい性能のために有効な量を決定することができる。
【0044】
金属は、全炭素質組成物の約2%〜約80%、例えば、約3%、5%、7%、8%、10%、12%、13%、15%、17%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、37%、40%、42%、45%、47%、50%、52%、55%、57%、60%、62%、65%、67%、70%、72%、75%又は78%であることができる。金属は、組成物の約2%〜約60%、例えば、約5%、7%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%又は57%であることができる。金属は、組成物の約20%〜約40%、例えば、約22%、25%、30%、35%又は38%であることができる。金属は、組成物上に、例えば組成物の表面に均一に分布することができる。
【0045】
当業者は、特定の用途に組成物を使用するために金属を容易に選択することができる。さまざまな金属が市販されている。
【0046】
金属は、炭素質基質上及び/又は炭素質基質中に均一に分布するか又は分散することができる。
【0047】
1つの局面では、金属粒子はナノ結晶形態である。別の局面では、金属粒子は、炭素質基質上に分布し、狭い粒径分布を有する。
【0048】
1つの局面では、粒状炭素質材料は、貴金属を含有する炭素担持型触媒を含む。別の局面では、粒状炭素質材料は、白金を含有する炭素担持型触媒を含む。さらに別の局面では、粒状炭素質材料は、白金を含有するカーボンブラック担持型触媒を含む。1つの局面では、金属を含有する触媒の例は、例えば、WO 03/100889 Al、WO 03/100883 A2、及びWO 03/100884 A2に見出され、これらはその内容全体が参考として、及び特定の教示のために本明細書に組み込まれる。
【0049】
粒状材料は、水性スラリー状態である。さまざまな局面では、スラリーは、水性スラリーの全重量のうち、固体粒状材料を0.1重量%〜50重量%、0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜5重量%、1.5重量%〜1.9重量%、又は1.7重量%含む。水性スラリーは、粒状材料及び水以外に、他の構成要素、例えば、任意の界面活性剤、分散剤又は湿潤剤を含むことができる。
【0050】
アノード及びカソードは、アノード及びカソードのために典型的に使用されるいかなる適切な材料からも製造することができる。アノード及びカソードは、典型的には電気化学的に不活性で、典型的には白金又は金である。1つの局面では、アノード及びカソードは、白金メッシュ又はガーゼである。
【0051】
電力源は電流をアノードとカソードとの間に流すために与えられ、電力源は典型的にはDCである。この種の電力源によって作られる電圧は、粒状材料からイオンを除去するのに十分な任意の量であることができる。電圧が高くなるにつれて、典型的には、粒状材料からイオン汚染物質を除去するための時間は短くなる。しかし、高い電圧を用いるほど、水の部分酸化、粒状材料の焼結、及び過剰な熱発生のような有害な結果を生じる可能性がある。1つの局面では、樹脂混合物材料を利用していないプロセスで、電圧は120〜140Vであり、別の局面では128Vである。別の局面では、樹脂混合物材料を用いることによって、電圧は25〜45Vであり、別の局面では35Vである。電圧はさらに低くすることもできるが、操作時間が長くなる。
【0052】
イオン交換膜材料は、当業者に既知の任意のイオン交換膜であることができる。イオン交換膜材料は、典型的には平滑で水透過性の膜である。1つの局面では、イオン交換膜材料は、Excellion IX 1−100カチオン交換膜及びExcellion IX 1−200アニオン交換膜(両方ともElectopure, Inc., Lugana Hills, California, USAから入手可能)である。カチオン交換膜は、Nafion膜であることができる。
【0053】
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物は、本発明の任意の層である。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物を使用することにより、電流の流路を改良することによってシステムの抵抗を下げる。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、典型的には、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の均質な混合物である。混合物は供給元であらかじめ混合されているか、又はアニオン交換樹脂をカチオン樹脂とは別個に購入し、使用前に系中で混合することができる。典型的には、アニオン樹脂対カチオン樹脂の比率は約1:1であるが、この比率は変えることができる。
【0054】
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、当業者に既知の任意のイオン交換樹脂材料であることができる。典型的には、樹脂は、ビーズ形態であるか、又は切断されたイオン交換膜材料から製造することができる。特定の局面では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物は、Dowex MR−3 Mixed Bed Ion Exchange Resin(アニオン樹脂とカチオン樹脂の混合)である。別の局面では、混合した樹脂のアニオン部分はDowex Monosphere 550A Anion Exchange Resinであり、カチオン部分はDowex 50WX−8 Cation Exchange Resinである。各々のDowex製品は、Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USAから入手可能である。樹脂層は、電流の流路を提供するために連続していなければならない。
【0055】
別個の局面では、電流の経路を改良するために、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物にイオン交換膜片を混合することができる。この局面では、膜部分は、樹脂混合物の定義の一部とみなされる。例えば、少量のNafion(登録商標)膜(DuPont, Wilmington, Delaware, USA製造、Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USAから入手可能)片をアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物に添加することができる。加えて、上述のアニオン交換膜片又はカチオン交換膜片をアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物に混合することもできる。
【0056】
フィルター膜は、膜を通してイオンを移動させることができるが、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂層と粒状材料とが混合することは防ぐ、任意の多孔質の膜である。フィルター膜も、樹脂材料を一体的な層に保つ。さまざまな局面では、フィルター膜は、多孔質のポリマー膜(例えばナイロン又はポリプロピレンのポリマー膜)で作成することができる。フィルター膜の例としては、限定されないが、Whatman Paper/Cellulose Filter Papers、例えば、Whatman #2(Whatman, Inc., Clifton, New Jersey, USAから入手可能)、又はVersapor 3000 Membrane Filters(Pall Corporation, Ann Arbor, Michigan, USAから入手可能)が挙げられる。
【0057】
本発明の1局面において、少なくとも部分的には、セルが短絡するのを妨ぐために、アノードチャンバとカソードチャンバとの間に誘電性の仕切り又は壁が使われる。1つの局面では、この種の誘電性部材は、ガラス又はポリプロピレン材を含む。
【0058】
本発明のプロセスでは、イオンを含有する粒状材料から少なくとも1種類のイオンが除去される。除去されるイオンの種類は、アニオン、カチオン又はアニオンとカチオンの混合物であり得る。典型的に、アニオンが除去される場合、相当する電荷量のカチオンが除去され、カチオンが除去される場合、相当する電荷量のアニオンが除去される。除去されるイオンの「少なくともいくらか」は、本発明では1つ以上の種類のイオンのいくらか又は本質的にすべてであることを意図しており、粒状材料から効果的に除去される。これらのイオンは、典型的には、低レベルになるまで除去されるが、このプロセスが効果的であるために、システムから完全に除去される必要はない。つまり、粒状材料上に残るイオンの量を最小化すること、又は受容可能な低いレベルまでイオンの量を減らすことが目的であるが、すべてのイオンが除去される必要はない。残存するイオンの量が減るにつれて、典型的には、イオンの除去率は減る。
【0059】
1つの局面では、除去することができるイオンの例は、塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、クロミウムイオン、銅イオン、鉛イオン、ニッケルイオン、カルシウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、コバルトイオン及びナトリウムイオンである。燃料電池の触媒活性を妨げるため、塩化物イオンを除去することは特に重要である。燃料電池の触媒中の初期塩化物イオン濃度は、いくつかの白金含有触媒の製造に使用される材料として塩化白金酸を用いるために特に高くなる場合がある。
【0060】
さまざまな局面では、粒状材料上の初期塩化物イオン濃度は5,000ppmを超えるか、2,000ppmを超えるか、又は500ppmを超える。1つの局面では、粒状材料上の最終塩化物イオン濃度が100ppm未満であるように電流を十分な時間流し、別の局面では60ppm未満であるように、別の局面では40ppm未満であるように、別の局面では30ppm未満であるように、電流を十分な時間流す。
【0061】
アニオン汚染物質は粒状材料から除去され、アノードの方へ移動し、それに対応して、カチオン汚染物質は粒状材料から除去され、セルのカソードの方へ移動する。
【0062】
システムの温度は、典型的には、約30℃〜約60℃、約40℃〜約50℃、又は約45℃であるが、このプロセスの速度を上げるためにさらに高い温度を使用することもできる。しかし、さらに高い温度を使用すると、特に金属含有触媒を精製する場合に、焼結の問題が生じる場合がある。
【0063】
本発明のプロセスは、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスであることができる。連続プロセスでは、典型的には、粒子状水性スラリーは、中央のチャンバを通って連続的に供給される。アニオンはアニオン交換膜を通って、水性媒体を含有するチャンバに入り、その後アニオンはアノードに向かうさらなる経路で移動を続ける。それに対応して、カチオンは、中央のチャンバからカチオン交換膜を通って、典型的には水性媒体を含有するチャンバに入り、カソードへと移動する。アノードとアニオン交換膜との間、及びカソードとカチオン交換膜との間にある水性媒体を含有するチャンバは、プロセス内からアニオン及びカチオンを外に出すために連続的な様式で操作することができる。あるいは、これらのチャンバは、周期的に水又は他の溶媒をチャンバを通って流し、アノード及びカソードそれぞれに集合したアニオン及びカチオンを周期的に除去するために、半連続的な様式で操作することができる。
【0064】
本発明のEDIプロセスは、単独で使用することもでき、又は別の局面では、粒状材料は、温水を用いた洗浄、ソックスレー抽出のいずれかを用いて、又は洗浄及びソックスレー抽出の両方を用いて前処理することができる。
【0065】
本発明の電気脱イオン化デバイス10の典型的な概略図を図1に示す。電気脱イオン化デバイスは、電力源20及びセル30を備えている。セルは、第1の内部空洞34を定める第1チャンバ32と第2の内部空洞38を定める第2チャンバ36を備えている。セルは、アノード40及びカソード42をさらに備えており、アノード40及びカソード42は両方とも電力源20に電気的に接続している。アノード40の少なくとも一部分は第1チャンバの第1の内部空洞34内にあり、カソード42の少なくとも一部分は第2チャンバの第2の内部空洞38内にある。アノード40からカソード42までの経路長は、最適性能のために最短距離にすることができる。本発明の1局面において、セルの第1チャンバ及び第2チャンバは、第1チャンバの一部分と第2チャンバの一部分が共通の壁35(図示せず)を形成するように一体的に形成される。本発明のさらなる局面では、共通の壁の少なくとも一部分は、デバイスの短絡及び腐食を防ぐために誘電体部材37(図示せず)から作られる。この種の誘電体部材は、1局面では、ガラス又はポリプロピレンでできている。
【0066】
セル30は、アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52も備えている。アニオン交換膜は第1チャンバ32の底端部33に隣接して配置され、第1の内部空洞34につながっており、カチオン交換膜は第2チャンバ36の底端部33に隣接して配置され、第2の内部空洞38につながっている。アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52は両方ともベース面54を有する。
【0067】
さらに、セルはアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60を有することができ、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60はアニオン交換膜50及びカチオン交換膜52のそれぞれのベース面54に隣接して配置される。1つの局面では、アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52はそれぞれアノード40と樹脂混合物層60との間、カソード42と樹脂混合物層60との間に配置される。
【0068】
デバイス10のセル30は、フィルター膜70を含むことができる。1つの局面では、樹脂混合物層60は、アニオン交換膜50とフィルター膜70との間、及びカチオン交換膜52とフィルター膜70との間に配置される。
【0069】
このデバイスは、ハウジング80及び容器90を含むことができる。ハウジング80は、内部容積82を定めるとともに、ハウジングの内部容積までつながる少なくとも1つの開口部84をさらに定める。使用中、セル30の少なくとも一部分にハウジングの内部容積82が含まれるように配置される。容器90は、通常は粒状材料の水性スラリーを入れておくための形状となっている。ハウジング80の少なくとも一部分は、水性スラリーとの間をハウジングの少なくとも1つの開口部84を通って流体が行き来できるように、容器内に存在することができる。
【0070】
種々の局面では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、アニオン交換膜及び/又はカチオン交換膜のすぐ近くにあるか、隣接しているか、又は隣接して接触しているかのいずれかであることができる。種々の局面では、フィルター膜は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層のすぐ近くにあるか、隣接しているか、又は隣接して接触しているかのいずれかであることができる。
【0071】
使用中、容器90は充分な高さHまで粒状材料の水性スラリーで満たされ、ハウジングを含むセル30は、直流回路を完成するために電気的接触を得るため、容器内に部分的に沈んだ状態である。電力源20のスイッチが入れられ、少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを充分に除去するために充分な時間維持され、粒状材料から除去される。イオン除去終了後、電力源がオフにされ、ハウジング及びセルは容器からはずされる。次いで、精製された粒状材料は、容器内部から回収される。
【0072】
本発明の方法では、粒状材料上のアニオン不純物は、水性スラリーからアノードの方へ移動する傾向がある。水性スラリー内のアニオンは、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、アニオン交換膜及びアノードと電気的に接触する。同様に、粒状材料上のカチオン不純物は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、カチオン交換膜及びカソードと電気的に接触することによってカソードに移動する傾向がある。
公知の標準的な温度制御技術(図示せず)を用いて、要求に応じて、粒状材料の水性スラリーの温度を制御することができる。加えて、1つの局面では、粒状材料の水性スラリーは、公知の標準的な技術(図示せず)を用いて粒状材料を均一に混合するために連続的及び/又は不連続的に撹拌することができる。ハウジング又はセルは、容器内で自由に浮くことができるか、又は容器に取り付けることができる。
【0073】
1つの特定の局面では、第1チャンバ32及び第2チャンバ36は、一端にAce Threads(#32GL)を有する28mmO.D.及び100mm長のAce Glass(Vineland、New Jersey)製ガラス管である。1つの特定の局面では、複数の管32及び複数の管36が用いられる。穴を有するAceプラスチックねじキャップは、管のねじ付き端部に取り付けられている。膜材料70は、管のねじ付き端部の上面とキャップとの間につけられている。キャップ及びねじ管は、任意である。あるいは、Ace糸(45GL)を用いて40mmO.D.で長さ100mmのねじ管のようなより大きな管を用いることができる。
【0074】
小さいガラス管が用いられる場合、管同士は約2cm離れており(管間の空間)、管の中心から中心までの距離は約4.5cmである。この距離は、使用するねじキャップの本体によって必要とされる距離である。より小さいキャップが利用される場合、又はキャップが利用されない場合、管は互いに隣接し接触して配置することができる。管間の距離(経路長)が長くなるにつれて、効率(電流の出力)は典型的には減少する。より大きな管を使用すると膜表面積が増加し、典型的には電流の出力が線形に増加する。
【0075】
ガラス管は、所望な数の管及び樹脂を保持し、フィルター膜を配置することができ、交換樹脂を付け加えるのに十分大きいプラスチックリング、ジャー又はバケットに浸される。全アセンブリが沈められるか、又はイオンを含有する材料のスラリーを含有するより大きな容器内に入れられる。
【0076】
図2〜14を参照すると、1つの局面では、電気脱イオン化デバイスのセル30は、セル本体100、上側フレーム部材120、下側フレーム部材140、及びスリーブ160を備えることができる。セル本体100は、頂端部102と、間隔をおかれた底端部104、及び外側周縁面106を有する。いうまでもないが、セル本体100はセルのそれぞれの第1チャンバ34及び第2チャンバ36を定める。1つの局面では、それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバは、セル本体の頂端部と底端部との間に実質的に伸びている。別の局面では、第1チャンバ34の一部分及び第2チャンバ36の一部分は、共通のセル壁108を形成する。共通のセル壁108の一部分によってセル本体の頂端部と底端部の一部分を形成することができる。代替実施形態では、共通のセル壁108の少なくとも一部分は、誘電性部材37から形成される。本発明の1つの局面では、第1の内部空洞34及び第2の内部空洞38は、実質的に同じ容積を有する。
【0077】
上側フレーム部材120は、上側表面122、反対側の下側表面124、及び上側フレーム周囲のエッジ面126を有する。1つの局面では、上側フレーム部材120は、上側フレーム部材の上側表面から下側表面までを貫通する第1の開口部128及び第2の開口部130を定める。定められた第1の開口部128、第2の開口部130は、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材132を形成する。上側フレーム部材120は、その中にあるセル本体100にあわせ、使用中に、上側フレーム部材の上側表面122の一部分がセル本体の底端部104の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である。本発明の別の局面では、アニオン交換膜50は上側フレーム部材の第1の開口部128に取り付けられ、カチオン交換膜52は上側フレーム部材の第2の開口部130に取り付けられる。
【0078】
使用中、第1の開口部128は第1チャンバの第1の内部空洞34の下にあり、実質的にはめこまれており、第2の開口部130は第2チャンバの第2の内部空洞38の下にあり、実質的にはめこまれており、共通の壁部材132は共通のセル本体の壁108の下にあり、実質的にはめこまれている。1つの局面では、共通の壁部材132は、上側フレーム部材の上側表面までほぼ横断して伸びるオス突出部134を定め、共通の壁部材138は、セル本体の底端部までほぼ横断して伸びるメスくぼみ部110を定める。この局面では、オス突出部134及びメスくぼみ部110は、相補的に鍵のように接続するような大きさ及び形状を有する。
【0079】
セルの下側フレーム部材140は、上面142、反対側の底面144、及び下側フレーム周囲のエッジ面146を有する。少なくとも1つの開口部148は、上面と底面との間を貫通し、下側フレーム部材中に定められる。下側フレーム部材140は、その中にあるセル本体100にあわせ、使用中に、下側フレーム部材の上面142の一部分が上側フレーム部材の下側表面124の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である。1つの局面では、少なくとも1つの開口部は複数の開口部である。1つの実施形態では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60は、下側フレーム部材の上面142の近くの少なくとも1つの開口部148の上側部分150内に取り付けることができる。この実施形態では、フィルター膜70は、下側フレーム部材の底面144の近くの少なくとも1つの開口部148の下側部分152内に取り付けることができる。この例では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60及びフィルター膜70は、層状構造を形成する。代替実施形態では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60は、下側フレーム部材の少なくとも1つの開口部148の少なくとも一部分の内部に取り付けることができる。
【0080】
セル30のスリーブ160は、開放遠位端162及び反対側の開放近位端164を有する。スリーブの近位端164は、内部に形成される内部で伸びているフランジ166を有する。スリーブ160は、スリーブの遠位端からフランジまで伸びる孔168を定める。1つの局面では、スリーブの孔168は、内側表面170を有し、内側表面170は、セル本体の外側周囲表面106の少なくとも一部分と上側フレーム部材120の周囲のエッジ面126及び下側フレーム部材140の周囲のエッジ面146の少なくとも一部分と相補的に適合するような大きさ及び形状である。1つの例では、使用中に、下側フレーム部材の底面144の少なくとも一部分は、フランジ166の少なくとも一部分の下にある。図13及び図14に部分的に示される代替実施形態では、スリーブの遠位端162はフランジを有し、このフランジはセルのスリーブを容器の縁によって支えることができるように遠位端まで実質的に横断して伸びる。
【0081】
使用中、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、スリーブ内部で互いに積み重なっている。1つの局面では、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、互いの部材から選択的に取り外し可能であり、スリーブから選択的に取り外し可能であるように配置される。1つの例では、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、お互いに固定するようにセルのスリー部内で摩擦力により組み合わさる。別の例では、セル本体の外側周囲表面の少なくとも一部分及びスリーブの内側表面の少なくとも一部分は、相補的にねじ切りされた表面を有する。上側フレーム部材及び/又は下側フレーム部材は任意の所望な幾何学的形状(例えば、ほぼ円形のリング形状、ほぼ正方形の形状、ほぼ矩形の形状など)を有してもよいことはいうまでもない。
【0082】
代替の例では、セル本体100はセル本体の頂端部から底端部まで伸びる少なくとも1つのセル本体孔109を定め、上側フレーム部材120は上側フレーム部材の上側表面から下側表面まで伸びる少なくとも1つの上側フレーム部材孔129を定め、下側フレーム部材140は下側フレーム部材の上面から底端部まで伸びる少なくとも1つの下側フレーム部材孔149を定め、スリーブのフランジ166は少なくとも1つのフランジ孔169を定める。使用中に、少なくとも1つのセル本体の孔、少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及びフランジ孔が、互いに実質的に同軸で配置される。この例では、従来の締着具180(例えばナット、ナットとボルト、ネジ、摩擦ばめロッドなど)は、実質的に同軸の少なくとも1つのセル本体の孔109、少なくとも1つの上側フレーム部材の孔129、少なくとも1つの下側フレーム部材の孔149、及びフランジ孔169内に相補的に適合するようなサイズ及び形状を有するように提供することができ、その結果、セル本体、上側フレーム部材、下側フレーム部材、及びスリーブが互いに取り外し可能に固定可能である。
【0083】
ガスケットは、ともに接続される場合に、セルの流体整合性を維持するのを助けるために用いることができる。例えば、第1のガスケットは、上側フレーム部材の上側表面の一部分とセル本体の底端部の一部分と間に配置することができる。同様に、第2のガスケットは、上側フレーム部材の下側表面の一部分と下側フレーム部材の上面の一部分との間に配置することができる。加えて、第3のガスケットは、下側フレーム部材の底端部の一部分とフランジの一部分との間に配置することができる。
【0084】
連続又は半連続のデバイスが図15に示される。セル400は、アノード410、カソード420及びアニオン交換膜430及びカチオン交換膜440から作られる中央のチャンバ470を備えている。アノード410とアニオン交換膜430との間にアニオン交換チャンバ450があり、カソード420とカチオン交換膜440との間にカチオン交換チャンバ460がある。アノード410は、硬質導線490及び491及び電力源480を介してカソード420に接続している。粒状材料の水性スラリーは、472で中央のチャンバに入り、471で中央のチャンバを出る。水又は他の溶媒は、アノードチャンバ450を通ってアニオンを除去し、452から451へと流れるか、又は451から452へと流れる。同様に、水又は他の溶媒は、カソードチャンバ460を通ってカチオンを除去し、462から461へと流れるか、又は461から462へと流れる。チャンバ450及び460を通る水又は他の溶媒の流れは、連続的な様式又は半連続的な様式であることができる。半連続的な様式では、水又は他の溶媒は、周期的な様式でそれぞれのチャンバを流れ、必要に応じてイオンを除去する。典型的には、アニオン交換樹脂材料及びカチオン交換樹脂材料は、連続デバイス400では使用されない。
【0085】
別の局面では、本発明のデバイス又はプロセスのいずれかにおいて、アノード及びカソードは、代替のパターン又はアレイに配列した複数のアノード及びカソードとして提供することができる。特定的には、1つの局面では、一列のアノードが一列のカソードに隣接して与えられ、これがさらに一列のアノードに隣接し、これがさらに一列のカソードなどに隣接して与えられる。この一列のアノード及びカソードの代替のパターンは、適切なだけ繰り返すことができる。このアレイによるアプローチは、アノードとカソードとの経路長を最小にする。この局面では、任意の数のアノード及びカソードを提供することができる。
【実施例】
【0086】
(実施例)
以下の実施例は、本明細書中に記載され請求される化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法がどのように作られ、どのように評価されるかについての完全な開示及び記載を当業者に与えるように記載され、単に例示を意図するものであり、本願発明者らが発明の範囲であると考えている範囲を限定することを意図するものではない。数(例えば、量、温度など)に関して確実な精度をもつように努力したが、いくらかのエラー及び偏差は考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近の圧力である。反応条件(例えば、構成要素の濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、及び記載のプロセスから得られる生成物の純度及び収率を最適化するために使用可能な他の反応範囲及び条件)の多くの変形及び組み合わせが存在する。この種のプロセス条件を最適化するには、合理的で通常の実験しか必要とされない。
【0087】
(実施例1(比較例))
CDX−975カーボンブラック上の40%白金触媒(Columbian Chemicals Company, Marietta, Georgia, USAにより製造、販売)2サンプルを、加圧ろ過ユニット及びVersapor 3000膜フィルター(Pall Corp.)を用いて洗浄した。1回あたり1Lの蒸留水を用いて、このサンプルを6回洗浄した。最初の3回の洗浄には周囲温度の蒸留水を使用した。後半3回の洗浄には約70℃の蒸留水を使用した。初期塩化物イオン濃度は約2,000〜5,000ppmであると考えられ、2つの炭素触媒サンプルの最終塩化物イオン濃度は128ppm及び202ppmであった。
【0088】
(実施例2(比較例))
Ketjen EC−600上の60%白金触媒(Ketjen Black International Company製造、Akzo Nobel Polymer Chemicals,Chicago,Illinois,USAから購入)3サンプルを、実施例1で先に述べたとおりに最初に洗浄した(温水洗浄)。次いで、このサンプルを、蒸留水を入れたソックスレー抽出装置の抽出用シンブルに入れた。ソックスレーを加熱し、8時間還流させた。初期塩化物イオン濃度は約2,000〜5,000ppmであると考えられ、3つの炭素触媒サンプルの最終塩化物イオン濃度は76ppm、95ppm、及び108ppmであった。
【0089】
(実施例3)
炭素担持型触媒からイオンを除去するための電気脱イオン化(EDI)デバイスを、図1に一般的に図示するように用いた。アノード電極及びカソード電極は、両方とも白金箔片で作成した。使用したアニオン交換膜はExcellion IX 1−200 Anion Exchange Membraneであり、使用したカソード交換膜はExcellion IX 1−100 Cation Exchange Membraneであり、これらは両方ともElectopure, Inc., Lugana Hills, California, USAから入手可能なExcellion交換膜であった。イオン交換膜の露出面積は約1cm2であった。アノードチャンバ及びカソードチャンバは、両方ともその高さの10cmの約2/3の高さまで水で満たされていた。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、特定的には、Dowex MR−3 Mixed Bed Ion Exchange Resin(Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USA)を使用し、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂は、約1:1の比率で使用した。Excellionカチオン交換膜及びアニオン交換膜の小片を約1〜2cm2片に切断し、アニオン交換樹脂混合物に混ぜた。イオン交換樹脂混合物をVersapor 3000フィルター膜にのせた。
【0090】
CDX−975カーボンブラック上の40%白金触媒のサンプル10gを、実施例1の手順に従って水で洗浄した。次いで、触媒サンプルをビーカーに入れ、水約600mLを攪拌しながら加え、スラリーを作った。スラリーの温度を約45℃に制御した。EDIデバイスをビーカーの上に置き、デバイスの約2/3が水面下に沈むようにした。電源をEDIデバイスに接続し、電源のプラス側をアノード電極に接続し、電源のマイナス側をカソードに接続した。約35VのDC電圧を約20時間かけた。その後、EDIデバイスを取り外し、触媒をろ過した。不純物の結果を以下の表1に示す。実施例3〜8のそれぞれで使用した特定の触媒についての初期塩化物イオン濃度は、測定しなかった。しかし、実施例3〜8について、温水洗浄前には約2,000〜約5,000ppmの範囲の塩化物イオン濃度であり、温水処理後でEDI処理前には約100〜約200ppmの範囲の塩化物イオン濃度であったと考えられる。
【0091】
【表1】
(実施例4)
実施例3と同じ方法及びデバイスを、Ketjen EC 300炭素上の55%白金触媒(KetjenBlack International Company製造、Akzo Nobel Polymer Chemicals, Chicago, Illinois, USAから購入)15gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いて繰り返した。約17時間17分後に、温度を約55℃に調整し、操作終了となる19時間8分後までこの温度に調整した。炭素触媒の最終塩化物イオンの不純物濃度は22ppmであった。
【0092】
(実施例5)
Ketjen EC 300炭素上の55%白金触媒9.7gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。水500mLを使用した。温度は約32〜63℃の範囲であった。印加電圧は、40VDCであった。全操作時間は12時間16分であった。触媒材料の最終塩化物イオン濃度は25ppmであった。
【0093】
(実施例6)
CDX−975炭素上の50%白金触媒のサンプル(量は不明)を実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。温度は約45℃に制御し、全操作時間は17時間15分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は37ppmであった。
【0094】
(実施例7)
Ketjen EC 300炭素上の50%白金触媒22gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄したもの(酸洗浄はなし)を用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。温度は最初から約45℃に設定しておき、約16時間12分後に約55℃に調整した。全操作時間は19時間5分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は36ppmであった。
【0095】
(実施例8)
イオン交換樹脂層を使用しない以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。加えて、Ketjen EC−300炭素上の50%白金触媒10.9gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた。128VのDC電流をかけた。温度は記録していなかった。全操作時間は4時間20分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は23ppmであった。
【0096】
本明細書全体にわたって、さまざまな刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書中に記載される化合物、組成物、デバイス、物品、及び/又は方法をより完全に記載するために、その全体が本明細書で参考として援用される。
【0097】
さまざまな修正変更が、本願明細書に記載されている本発明になされる可能性がある。本願明細書に記載されている本発明の他の局面は、本願明細書に開示される本発明の仕様及び実行の考慮から明らかである。特定例及び実施例が例示のものであるとみなされることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
添付の図面は、本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部分を構成し、後述するいくつかの局面を例示するものである。同じ数は、全部の図で同じ要素を表す。
【図1】図1は、本発明のバッチデバイスの略図である。
【図2】図2は、本発明のバッチデバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、図2のバッチデバイスの上面図である。
【図4】図4は、図3のバッチデバイスを線4−4で切断した断面図である。
【図5】図5は、図2のバッチデバイスのセル本体の側面図である。
【図6】図6は、図5のセル本体の底端部図である。
【図7】図7は、図2のバッチデバイスの上側フレーム部材の側面図である。
【図8】図8は、図7の上側フレーム部材の上面図である。
【図9】図9は、図2のバッチデバイスの下側フレーム部材の側面図である。
【図10】図10は、図9の下側フレーム部材の上面図である。
【図11】図11は、図2のバッチデバイスのスリーブの上面図である。
【図12】図12は、図11のスリーブの側面図である。
【図13】図13は、本発明のバッチデバイスの第2の実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、上側フレーム部材及び下側フレーム部材が配置されている様子を示す、図13のバッチデバイスの部分的な断面図である。
【図15】図15は、本発明のプロセスの1つの局面で用いることができる連続デバイスである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国実用出願(U.S.Utility Application)第10/928,302号(2004年8月27日出願)の利益を請求し、本明細書中でこの出願内容全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の属する技術分野)
本発明は、電気脱イオン化プロセスを用いて粒状材料からイオンの除去することに関する。一つの局面では、粒状材料は、燃料電池に適用するための触媒である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
粒子(例えば触媒)の活性は、不純物にかなり影響を受けることがある。これは、特にプロトン交換膜(PEM)燃料電池で使用される電子触媒の場合に正しい。電解触媒(特に白金ベースの電解触媒)は、塩化物イオンを強く吸着する場合がある。その結果、これらの触媒は、活性部位を失い、活性が低下する場合がある。従って、陰イオン(例えば塩化物イオン)は、燃料電池触媒から非常に低レベルになるまで除去されなければならない。
【0004】
カチオンは、異なる機構によって燃料電池の触媒性能に影響を及ぼす。カチオンは、プロトン交換膜(例えば、例えばNafion(登録商標)膜)によってプロトンと交換する場合がある。カチオンは、触媒層のイオノマーのプロトンとも交換する。膜及びイオノマー中のプロトンが他のカチオンによって交換されるとき、燃料電池の抵抗が増加し、その性能が低くなる。
【0005】
従って、アニオン及び/又はカチオンは、燃料電池の触媒から非常に低レベルになるまで除去されなければならない。イオン含有量を減らす従来法としては、高温の連続的な水で洗浄するか、又はソックスレー抽出が挙げられる。しかしながら、大部分の触媒支持体は表面積が大きい材料であり、本質的に多くのイオン種を強く吸着するため、単に洗浄することによってイオンを非常に低レベルになるまで下げることは非常に難しい。従来の水による洗浄−ろ過プロセスも、非常に時間がかかり、大量の水を消費する。
【0006】
イオン汚染物質は、電解触媒だけではなく他の粒状材料に影響を及ぼす可能性がある。例えば、イオンはさまざまなシステムの腐食に関与する可能性があり、イオン汚染物質はマトリックス化学物質を妨害する可能性がある。イオン不純物によって影響を受ける可能性がある他のシステムの例としては、限定されないが、導線及びケーブルシステム、トップコート被膜層、インク及びコーティングシステム、及び他の電子的適用が挙げられる。
【0007】
電気脱イオン化(EDI)は、溶媒和されたイオン種を除去するための水精製に使われている。例えば、Farmerに対する特許文献1(1995年6月20日登録)を参照。
【0008】
Millerに対する特許文献2(2001年7月3日登録)は、強化コンクリートの完成品から塩化物イオンを除去するためのEDIプロセスを開示する。カソードは、コンクリート自体の内部に配置される。
【0009】
Vaccareに対する特許文献3(1987年10月14日公開)は、EDIプロセスによって電気的に補強された真空ろ過器によって、懸濁液の固体で作成されたろ過ケーキから選択されたイオンを除去するか又は交換するための方法を開示する。しかしながら、イオン濃度(特に塩化物イオン濃度)は、多くの応用例、例えば電解触媒精製で受容されるレベルまでは減らなかった。
【特許文献1】米国特許第5,425,858号明細書
【特許文献2】米国特許第6,254,752号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0241308号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、低レベルのアニオン及び/又はカチオンを有する粒状材料を製造するプロセス及びデバイスが、当該技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(概要)
1つの局面では、本発明は、(a)アノード及び(b)カソード間に十分な時間直流を通す工程を含む、イオンを含有する粒状炭素質材料を電気脱イオン化し、この粒状炭素質材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法に関する。ここで、アノード及びカソードは両方とも粒状炭素質材料の水性スラリーと電気的に接触しており、アノードはアニオン交換膜と電気的に接触しており、カソードはカチオン交換膜と電気的に接触しており、この方法により、炭素質材料から除去されるべき少なくとも1種のイオンの少なくともいくらかが除去される。
【0012】
さらに別の局面では、本発明は、(a)アノード及び(b)カソード間に十分な時間直流を通す工程を含む、イオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法に関する。ここで、アノード及びカソードは両方とも粒状材料の水性スラリーと電気的に接触しており、アノードはアニオン交換膜と電気的に接触しており、カソードはカチオン交換膜と電気的に接触しており、この方法により、粒状材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される。
【0013】
さらに他の局面では、本発明は、以下を含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのデバイスに関する:
電力源;及び以下を含むセル:
(a) 第1の内部空洞を定めている第1チャンバ;
(b) 第2の内部空洞を定めている第2チャンバ;
(c) 少なくとも一部分が第1の内部空洞内にあり、電力源に電気的に接続しているアノード;
(d) 少なくとも一部分が第2の内部空洞内にあり、電力源に電気的に接続しているカソード;
(e) 第1チャンバの底端部に隣接して配置され、ベース表面を有するアニオン交換膜;
(e) 第2チャンバの底端部に隣接して配置され、ベース表面を有するカチオン交換膜;及び
(f) アニオン交換膜及びカチオン交換膜のそれぞれのベース表面に隣接して配置されるアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層。ここで、それぞれのアニオン交換膜及びカチオン交換膜は、それぞれアノードと樹脂混合物層との間、カソードと樹脂混合物層との間に配置される。
【0014】
さらに別の局面では、本発明は、以下のものを含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材に関する:
アニオン交換膜;
カチオン交換膜;及び
上側表面及び反対側の下側表面を有する部材、
上側表面と下側表面との間を貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成している部材。
ここで、アニオン交換膜は部材の第1の開口部に取り付けられ、カチオン交換膜は部材の第2の開口部に取り付けられる。
【0015】
さらに別の局面では、本発明は、以下のものを含むイオンを含有する粒状材料を電気脱イオン化し、この粒状材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材に関する:
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層;
フィルター膜;及び
上面と反対側の底端部を有する実質的に平らな部材、
上面と底端部との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定める部材。
ここで、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられ、フィルター膜は、部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる。
【0016】
付加的な効果は、一部分は以下の説明に記載されており、一部分はその記載から明らかであるか、又は以下に記載される各局面の実施によって学ぶことができる。後述する効果は、特に添付の特許請求の範囲で示される要素及び組み合わせによって理解され、達成される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は単に例示的であり、典型的なものであり、この説明により限定されるものではないと理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
本化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法を開示し記載する前に、後述する局面が特定の合成方法に限定されず、もちろん、このような特定の材料は変更してもよいことが理解される。また、本願明細書で用いられる用語は特定の局面を記載するためだけのものであり、意味を限定することを意図しないと理解される。
【0018】
開示される方法及び組成物のために用いられるか、これらと組み合わせて使用することができるか、これらの調整において使用することができるか、又はこれらの生成物である材料、化合物、組成物、及び構成要素が開示される。上述の材料及び他の材料が本明細書中に開示され、上述の材料又はプロセスの組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示され、それぞれの種々の個々の組み合わせ及び全体的な組み合わせ及び上述の材料又はプロセスの変形は明確に開示されていない場合でも、それぞれの変形は本明細書中で特に考察され、記載されることが理解される。例えば、触媒基質が開示され、述べられ、触媒基質で用いるために多くの金属触媒が述べられる場合、逆の意味であることが特に示されない限り、触媒基質のどの組み合わせ及び変形も特に考察される。基質A、B及びCの類が金属D、E及びFの類及び組み合わせの例(A−D)と同様に開示される場合、各々が個々に詳述されない場合であっても、各々は個々に、及び全体的に考慮される。このように、この例では、A、B、及びCの開示;D、E、及びFの開示;及び組み合わせの例A−Dの開示から、各々の組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fが特に考察され、開示されているとみなされなければならない。同様に、いかなるサブセット又はこれらの組み合わせも、特に考察され、開示される。このように、例えば、A、B、及びCの開示;D、E、及びFの開示;及び組み合わせの例A−Dの開示から、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループが特に考察され、開示されているとみなされなければならない。この概念は、限定されないが、開示された組成物を製造する方法及び使用する方法のステップ、開示された組成物を製造するためのデバイス、及び組成物自体を含む、あらゆる局面にあてはまる。このように、実行される可能性がある種々の追加ステップがある場合、これらの追加ステップを開示された方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせとともにそれぞれ実行可能であり、それぞれの組み合わせが特に考察され、開示されているとみなされなければならないことが理解される。
【0019】
本明細書中及び後述の特許請求の範囲で、以下の意味を有すると定められる多くの用語が参照される:
本明細書中及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に他の意味を表すことが示されていない限り、複数のものも含む。このように、例えば、「金属(a metal)」だと金属の混合物を含み、「粒子(a particle)」だと2つ以上の混合物を含む、などとなる。
【0020】
「任意の」、又は「任意に」は、その後に記載されている事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、その記載が、その事象又は状況が起こる場合及びその事象又は状況が起こらない場合の両方を含むことを意味する。例えば、「任意に加熱した」という句は、そのプロセスで加熱しても加熱しなくてもよく、その記載が加熱されない実施形態及び加熱される実施形態の両方を含むことを意味する。
【0021】
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして本明細書中で表現されてもよい。この種の範囲が表現されるときに、別の局面は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表されるとき、「約」を前に付けることによって、特定の値が別の局面を作ると理解される。各々の範囲の端点が他の端点に関して両方とも重要であり、他の端点とは独立しているとさらに理解される。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で、組成物又は物品中の特定の要素又は構成要素の重量部について、重量部で表される組成物又は物品中の要素又は構成要素と任意の他の要素又は構成要素との間の重量比を示す。このように、2重量部の構成要素X及び5重量部の構成要素Yを含有する化合物では、X及びYは2:5の重量比で存在し、さらなる成分が化合物中に含有されているか否かにかかわらず、X及びYはこの比率で存在する。
【0023】
成分の重量パーセントは、反対の意味で特に述べられていない限り、構成要素が含まれる処方物又は組成物の合計重量に基づく。
【0024】
「炭素質」は、実質的に炭素原子で構成される固体材料を指す。「炭素質材料」は、限定されないが、(i)単一に定めることができる構造を有する炭素質化合物、又は(ii)炭素質粒子の凝集物を含むことが意図される。ここで、この凝集物は、一体的な構造、繰り返し構造、及び/又は定めることができる構造又は凝集度を有する必要はない。
【0025】
「カーボンブラック」は、例えば、触媒支持体として利用される導電性のacinoformカーボンである。
【0026】
「電気的に接触する」は、本明細書で使用される場合、電流をシステムに流すための硬質導線又は非硬質導線のいずれかの配置を指す。例えば、アノードは典型的には電力源に硬質導線で接続され、電力源は典型的には硬質導線でカソードに接続される。しかし、アノード及びカソードは、典型的には粒状材料の水性スラリーに硬質導線で接続されない。粒状材料の水性スラリー中に存在するイオンは、システムのこの部分において、硬質導線を用いてではなく、システムを流れる電流の経路を作る。
【0027】
「電解質」は、イオン交換樹脂、スラリーの水部分、又は樹脂及び水部分を併せて指す。
【0028】
「電気脱イオン化」は、電圧がアノード及びカソードにかけられ、電位によって特定の基質からイオンが除去される電気化学的プロセスを指す。
【0029】
「金属」は、本明細書中で使用される場合、基質(例えば、炭素質基質又は非炭素質気質)に付着した金属を参照して、例えば、1つ以上の貴金属(precious metal)、貴金属(noble metal)、白金属の金属、白金、上述のいずれかの金属のアロイ又は酸化物、上述のいずれかの遷移金属又は酸化物を含む組成物であることができる。本明細書中で使用される場合、「金属」は、燃料電池又は他の触媒操作で生じる反応のための触媒として作用するものである。金属は、COを含有する汚染物質に耐性があってもよく、直接的なメタノール燃料電池において用いられてもよい。
【0030】
「粒状材料」は、別個の固体粒子の材料を意味する。
【0031】
本発明に従えば、電気脱イオン化プロセスは、他の方法よりも粒子の水性スラリーからイオンを除去することができることがわかった。1つの特定の局面において、イオンを含有する粒状物質は、炭素質粒状材料である。さらなる特定の局面において、EDIプロセスが、炭素により担持された触媒の粒状炭素質材料の精製のために用いられる。
【0032】
1つの局面では、この種のEDIプロセスは、精製効率を改良し、特に、所与の時間及び/又はエネルギー支出及び/又は材料支出でのイオン種の減少率を上げる。別の局面では、この種のEDIプロセスは、粒状材料のイオン種の絶対値を下げることができる。さらに別の局面では、本発明のEDIプロセスは、粒状材料を精製する際の操作温度を下げる。従来法では、典型的には、70〜80℃で連続的に水で洗浄するか、又は100℃でソックスレー抽出するのに対し、本発明のプロセスでは、典型的な温度は45℃である。本発明で低い温度を用いたことにより、材料(特に、金属が付着した触媒、例えば金属が付着した炭素により担持された触媒)の潜在的な焼結が最小になる。また、本発明のプロセスは、ろ過ケーキからイオンを除去するのと比較して、優れた結果をもたらす。理論に束縛されることは望まないが、汚染物質であるイオンは、ろ過ケーキよりもスラリーから効率的に移動すると考えられる。
【0033】
このプロセスは電解触媒からイオンを除去するために効果的であるが、他の種類の触媒及び触媒ではない固体からイオンを除去するためにも用いることもできる。このように、本発明は、電解触媒に限られず、あらゆる粒状材料にあてはまる。可溶性イオン不純物を含有するいかなる非イオン性固体も、本発明において使用することができる。粒状材料を含有する非炭素質のイオンの例としては、限定されないが、シリカ、アルミナ、ゼオライト、チタニア(二酸化チタン)、カーバイド、非炭素質触媒材料(例えばシリカ、アルミナ又はゼオライトに担持された貴金属)、及びイオン不純物を含有する有機固体(例えば、可溶性イオン不純物を含有するオレフィンポリマービーズ)が挙げられる。触媒ではない炭素質材料の例としては、限定されないが、カーボンブラック、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物が挙げられる。他の電解触媒ではない適用例としては、導線及びケーブルの適用例、トップコート被膜層、インク及びコーティングシステム、及び他の電子適用が挙げられる。
【0034】
炭素質触媒材料について、炭素質材料は、いかなる粒状の実質的に炭素質の材料であってもよい。例えば、カーボンブラック、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物を使用することができる。炭素質基質は、例えばスルホン基で置換することができる。この種のスルホン基で置換されたカーボンブラックはWO 2003/100889に示され、この出願内容は、その全体及びスルホン基で置換されたカーボンブラックに関する教示についてが本明細書中に参考として組み込まれる。
【0035】
炭素質触媒材料は、カーボンブラックであることができる。本発明でカーボンブラックを選択することは、重要ではない。いかなるカーボンブラックも、本発明で使用することができる。約200〜約1400m2/g、例えば約200m2/g、220m2/g、240m2/g、250m2/g、300m2/g、350m2/g、400m2/g、450m2/g、500m2/g、550m2/g、600m2/g、650m2/g、700m2/g、750m2/g、800m2/g、850m2/g、950m2/g、1000m2/g、1100m2/g、1200m2/g、1300m2/g、又は1400m2/gの表面積(窒素表面積、NSA、ASTM D6556)を有するカーボンブラックを使用することができる。1つの局面では、240m2/g(NSA、ASTM D6556)の表面積を有するカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックが金属分散に有効な表面積を有することが好ましい。カーボンブラックがガス拡散性に有効な構造を有することが好ましい。
【0036】
当業者は、カーボンブラック粒子が、粒子サイズ及び凝集物サイズ、凝集形態、黒鉛度、及び粒子の表面化学によって主に決定される物理的特性及び導電特性を有することを理解する。
【0037】
また、非常に結晶性の高い粒子又は非常に黒鉛度の高い粒子の導電性は、よりアモルファスな粒子の導電性よりも高い。通常、カーボンブラック粒子のいずれの形態が本発明の実施に適しているか、サイズ、構造、及び黒鉛度の特定の選択は、カーボンブラックに必要とされる物理的要求及び導電性の要求に依存する。
【0038】
当業者は、特定の適用について適切なカーボンブラックを容易に選択することができる。さまざまなカーボンブラックが市販されている(例えばColumbian Chemical Company, Atlanta, GA)。
【0039】
粒状炭素質触媒材料は、カーボンブラック以外の材料であることもできる。本発明で他の炭素質材料を選択することは、重要でない。いかなる実質的に炭素質の材料も、本発明で使用することができる。
例えば、黒鉛、ナノカーボン、フラーレン、フラーレン材料、微粉化カーボン又はこれらの混合物を使用することができる。
【0040】
炭素質触媒材料が金属分散に効果的な表面積を有することが好ましい。炭素質材料がガス拡散性に効果的な構造を有することが好ましい。
【0041】
当業者は、特定の適用について適切なカーボンブラックを容易に選択することができる。さまざまな炭素質材料は、市販である。
【0042】
本発明において使用する炭素質触媒は、1つ以上の金属をさらに含む。金属は、上で定められる。特定の局面では、金属は、例えば、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、クロミウム又はそれらの混合物、又はそれらのアロイであることができる。1つの局面では、金属は、白金である。上に定義される通り、金属は、触媒として効果的な金属のアロイ又は酸化物であることができる。
【0043】
単位重量あたりの金属の表面積が可能な限り最大になるように金属の形状及び/又はサイズが与えられることが望ましい。この目的を達成しつつ金属粒子のサイズが可能な限り小さく保たれることが望ましい。一般的に、従来技術では、金属粒子の平均直径は、焼結するため、燃料電池中で使用される間、最終的に約2〜約6nmとなる。直径が約2nm未満だと、よりよい性能を提供することができる。
金属の量は、任意の量であってよい。金属の量は、効果的な触媒量であってよい。当業者は、望ましい性能のために有効な量を決定することができる。
【0044】
金属は、全炭素質組成物の約2%〜約80%、例えば、約3%、5%、7%、8%、10%、12%、13%、15%、17%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、37%、40%、42%、45%、47%、50%、52%、55%、57%、60%、62%、65%、67%、70%、72%、75%又は78%であることができる。金属は、組成物の約2%〜約60%、例えば、約5%、7%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%又は57%であることができる。金属は、組成物の約20%〜約40%、例えば、約22%、25%、30%、35%又は38%であることができる。金属は、組成物上に、例えば組成物の表面に均一に分布することができる。
【0045】
当業者は、特定の用途に組成物を使用するために金属を容易に選択することができる。さまざまな金属が市販されている。
【0046】
金属は、炭素質基質上及び/又は炭素質基質中に均一に分布するか又は分散することができる。
【0047】
1つの局面では、金属粒子はナノ結晶形態である。別の局面では、金属粒子は、炭素質基質上に分布し、狭い粒径分布を有する。
【0048】
1つの局面では、粒状炭素質材料は、貴金属を含有する炭素担持型触媒を含む。別の局面では、粒状炭素質材料は、白金を含有する炭素担持型触媒を含む。さらに別の局面では、粒状炭素質材料は、白金を含有するカーボンブラック担持型触媒を含む。1つの局面では、金属を含有する触媒の例は、例えば、WO 03/100889 Al、WO 03/100883 A2、及びWO 03/100884 A2に見出され、これらはその内容全体が参考として、及び特定の教示のために本明細書に組み込まれる。
【0049】
粒状材料は、水性スラリー状態である。さまざまな局面では、スラリーは、水性スラリーの全重量のうち、固体粒状材料を0.1重量%〜50重量%、0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜5重量%、1.5重量%〜1.9重量%、又は1.7重量%含む。水性スラリーは、粒状材料及び水以外に、他の構成要素、例えば、任意の界面活性剤、分散剤又は湿潤剤を含むことができる。
【0050】
アノード及びカソードは、アノード及びカソードのために典型的に使用されるいかなる適切な材料からも製造することができる。アノード及びカソードは、典型的には電気化学的に不活性で、典型的には白金又は金である。1つの局面では、アノード及びカソードは、白金メッシュ又はガーゼである。
【0051】
電力源は電流をアノードとカソードとの間に流すために与えられ、電力源は典型的にはDCである。この種の電力源によって作られる電圧は、粒状材料からイオンを除去するのに十分な任意の量であることができる。電圧が高くなるにつれて、典型的には、粒状材料からイオン汚染物質を除去するための時間は短くなる。しかし、高い電圧を用いるほど、水の部分酸化、粒状材料の焼結、及び過剰な熱発生のような有害な結果を生じる可能性がある。1つの局面では、樹脂混合物材料を利用していないプロセスで、電圧は120〜140Vであり、別の局面では128Vである。別の局面では、樹脂混合物材料を用いることによって、電圧は25〜45Vであり、別の局面では35Vである。電圧はさらに低くすることもできるが、操作時間が長くなる。
【0052】
イオン交換膜材料は、当業者に既知の任意のイオン交換膜であることができる。イオン交換膜材料は、典型的には平滑で水透過性の膜である。1つの局面では、イオン交換膜材料は、Excellion IX 1−100カチオン交換膜及びExcellion IX 1−200アニオン交換膜(両方ともElectopure, Inc., Lugana Hills, California, USAから入手可能)である。カチオン交換膜は、Nafion膜であることができる。
【0053】
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物は、本発明の任意の層である。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物を使用することにより、電流の流路を改良することによってシステムの抵抗を下げる。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、典型的には、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の均質な混合物である。混合物は供給元であらかじめ混合されているか、又はアニオン交換樹脂をカチオン樹脂とは別個に購入し、使用前に系中で混合することができる。典型的には、アニオン樹脂対カチオン樹脂の比率は約1:1であるが、この比率は変えることができる。
【0054】
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、当業者に既知の任意のイオン交換樹脂材料であることができる。典型的には、樹脂は、ビーズ形態であるか、又は切断されたイオン交換膜材料から製造することができる。特定の局面では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物は、Dowex MR−3 Mixed Bed Ion Exchange Resin(アニオン樹脂とカチオン樹脂の混合)である。別の局面では、混合した樹脂のアニオン部分はDowex Monosphere 550A Anion Exchange Resinであり、カチオン部分はDowex 50WX−8 Cation Exchange Resinである。各々のDowex製品は、Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USAから入手可能である。樹脂層は、電流の流路を提供するために連続していなければならない。
【0055】
別個の局面では、電流の経路を改良するために、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物にイオン交換膜片を混合することができる。この局面では、膜部分は、樹脂混合物の定義の一部とみなされる。例えば、少量のNafion(登録商標)膜(DuPont, Wilmington, Delaware, USA製造、Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USAから入手可能)片をアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物に添加することができる。加えて、上述のアニオン交換膜片又はカチオン交換膜片をアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物に混合することもできる。
【0056】
フィルター膜は、膜を通してイオンを移動させることができるが、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂層と粒状材料とが混合することは防ぐ、任意の多孔質の膜である。フィルター膜も、樹脂材料を一体的な層に保つ。さまざまな局面では、フィルター膜は、多孔質のポリマー膜(例えばナイロン又はポリプロピレンのポリマー膜)で作成することができる。フィルター膜の例としては、限定されないが、Whatman Paper/Cellulose Filter Papers、例えば、Whatman #2(Whatman, Inc., Clifton, New Jersey, USAから入手可能)、又はVersapor 3000 Membrane Filters(Pall Corporation, Ann Arbor, Michigan, USAから入手可能)が挙げられる。
【0057】
本発明の1局面において、少なくとも部分的には、セルが短絡するのを妨ぐために、アノードチャンバとカソードチャンバとの間に誘電性の仕切り又は壁が使われる。1つの局面では、この種の誘電性部材は、ガラス又はポリプロピレン材を含む。
【0058】
本発明のプロセスでは、イオンを含有する粒状材料から少なくとも1種類のイオンが除去される。除去されるイオンの種類は、アニオン、カチオン又はアニオンとカチオンの混合物であり得る。典型的に、アニオンが除去される場合、相当する電荷量のカチオンが除去され、カチオンが除去される場合、相当する電荷量のアニオンが除去される。除去されるイオンの「少なくともいくらか」は、本発明では1つ以上の種類のイオンのいくらか又は本質的にすべてであることを意図しており、粒状材料から効果的に除去される。これらのイオンは、典型的には、低レベルになるまで除去されるが、このプロセスが効果的であるために、システムから完全に除去される必要はない。つまり、粒状材料上に残るイオンの量を最小化すること、又は受容可能な低いレベルまでイオンの量を減らすことが目的であるが、すべてのイオンが除去される必要はない。残存するイオンの量が減るにつれて、典型的には、イオンの除去率は減る。
【0059】
1つの局面では、除去することができるイオンの例は、塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、クロミウムイオン、銅イオン、鉛イオン、ニッケルイオン、カルシウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、コバルトイオン及びナトリウムイオンである。燃料電池の触媒活性を妨げるため、塩化物イオンを除去することは特に重要である。燃料電池の触媒中の初期塩化物イオン濃度は、いくつかの白金含有触媒の製造に使用される材料として塩化白金酸を用いるために特に高くなる場合がある。
【0060】
さまざまな局面では、粒状材料上の初期塩化物イオン濃度は5,000ppmを超えるか、2,000ppmを超えるか、又は500ppmを超える。1つの局面では、粒状材料上の最終塩化物イオン濃度が100ppm未満であるように電流を十分な時間流し、別の局面では60ppm未満であるように、別の局面では40ppm未満であるように、別の局面では30ppm未満であるように、電流を十分な時間流す。
【0061】
アニオン汚染物質は粒状材料から除去され、アノードの方へ移動し、それに対応して、カチオン汚染物質は粒状材料から除去され、セルのカソードの方へ移動する。
【0062】
システムの温度は、典型的には、約30℃〜約60℃、約40℃〜約50℃、又は約45℃であるが、このプロセスの速度を上げるためにさらに高い温度を使用することもできる。しかし、さらに高い温度を使用すると、特に金属含有触媒を精製する場合に、焼結の問題が生じる場合がある。
【0063】
本発明のプロセスは、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスであることができる。連続プロセスでは、典型的には、粒子状水性スラリーは、中央のチャンバを通って連続的に供給される。アニオンはアニオン交換膜を通って、水性媒体を含有するチャンバに入り、その後アニオンはアノードに向かうさらなる経路で移動を続ける。それに対応して、カチオンは、中央のチャンバからカチオン交換膜を通って、典型的には水性媒体を含有するチャンバに入り、カソードへと移動する。アノードとアニオン交換膜との間、及びカソードとカチオン交換膜との間にある水性媒体を含有するチャンバは、プロセス内からアニオン及びカチオンを外に出すために連続的な様式で操作することができる。あるいは、これらのチャンバは、周期的に水又は他の溶媒をチャンバを通って流し、アノード及びカソードそれぞれに集合したアニオン及びカチオンを周期的に除去するために、半連続的な様式で操作することができる。
【0064】
本発明のEDIプロセスは、単独で使用することもでき、又は別の局面では、粒状材料は、温水を用いた洗浄、ソックスレー抽出のいずれかを用いて、又は洗浄及びソックスレー抽出の両方を用いて前処理することができる。
【0065】
本発明の電気脱イオン化デバイス10の典型的な概略図を図1に示す。電気脱イオン化デバイスは、電力源20及びセル30を備えている。セルは、第1の内部空洞34を定める第1チャンバ32と第2の内部空洞38を定める第2チャンバ36を備えている。セルは、アノード40及びカソード42をさらに備えており、アノード40及びカソード42は両方とも電力源20に電気的に接続している。アノード40の少なくとも一部分は第1チャンバの第1の内部空洞34内にあり、カソード42の少なくとも一部分は第2チャンバの第2の内部空洞38内にある。アノード40からカソード42までの経路長は、最適性能のために最短距離にすることができる。本発明の1局面において、セルの第1チャンバ及び第2チャンバは、第1チャンバの一部分と第2チャンバの一部分が共通の壁35(図示せず)を形成するように一体的に形成される。本発明のさらなる局面では、共通の壁の少なくとも一部分は、デバイスの短絡及び腐食を防ぐために誘電体部材37(図示せず)から作られる。この種の誘電体部材は、1局面では、ガラス又はポリプロピレンでできている。
【0066】
セル30は、アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52も備えている。アニオン交換膜は第1チャンバ32の底端部33に隣接して配置され、第1の内部空洞34につながっており、カチオン交換膜は第2チャンバ36の底端部33に隣接して配置され、第2の内部空洞38につながっている。アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52は両方ともベース面54を有する。
【0067】
さらに、セルはアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60を有することができ、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60はアニオン交換膜50及びカチオン交換膜52のそれぞれのベース面54に隣接して配置される。1つの局面では、アニオン交換膜50及びカチオン交換膜52はそれぞれアノード40と樹脂混合物層60との間、カソード42と樹脂混合物層60との間に配置される。
【0068】
デバイス10のセル30は、フィルター膜70を含むことができる。1つの局面では、樹脂混合物層60は、アニオン交換膜50とフィルター膜70との間、及びカチオン交換膜52とフィルター膜70との間に配置される。
【0069】
このデバイスは、ハウジング80及び容器90を含むことができる。ハウジング80は、内部容積82を定めるとともに、ハウジングの内部容積までつながる少なくとも1つの開口部84をさらに定める。使用中、セル30の少なくとも一部分にハウジングの内部容積82が含まれるように配置される。容器90は、通常は粒状材料の水性スラリーを入れておくための形状となっている。ハウジング80の少なくとも一部分は、水性スラリーとの間をハウジングの少なくとも1つの開口部84を通って流体が行き来できるように、容器内に存在することができる。
【0070】
種々の局面では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層は、アニオン交換膜及び/又はカチオン交換膜のすぐ近くにあるか、隣接しているか、又は隣接して接触しているかのいずれかであることができる。種々の局面では、フィルター膜は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層のすぐ近くにあるか、隣接しているか、又は隣接して接触しているかのいずれかであることができる。
【0071】
使用中、容器90は充分な高さHまで粒状材料の水性スラリーで満たされ、ハウジングを含むセル30は、直流回路を完成するために電気的接触を得るため、容器内に部分的に沈んだ状態である。電力源20のスイッチが入れられ、少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを充分に除去するために充分な時間維持され、粒状材料から除去される。イオン除去終了後、電力源がオフにされ、ハウジング及びセルは容器からはずされる。次いで、精製された粒状材料は、容器内部から回収される。
【0072】
本発明の方法では、粒状材料上のアニオン不純物は、水性スラリーからアノードの方へ移動する傾向がある。水性スラリー内のアニオンは、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、アニオン交換膜及びアノードと電気的に接触する。同様に、粒状材料上のカチオン不純物は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、カチオン交換膜及びカソードと電気的に接触することによってカソードに移動する傾向がある。
公知の標準的な温度制御技術(図示せず)を用いて、要求に応じて、粒状材料の水性スラリーの温度を制御することができる。加えて、1つの局面では、粒状材料の水性スラリーは、公知の標準的な技術(図示せず)を用いて粒状材料を均一に混合するために連続的及び/又は不連続的に撹拌することができる。ハウジング又はセルは、容器内で自由に浮くことができるか、又は容器に取り付けることができる。
【0073】
1つの特定の局面では、第1チャンバ32及び第2チャンバ36は、一端にAce Threads(#32GL)を有する28mmO.D.及び100mm長のAce Glass(Vineland、New Jersey)製ガラス管である。1つの特定の局面では、複数の管32及び複数の管36が用いられる。穴を有するAceプラスチックねじキャップは、管のねじ付き端部に取り付けられている。膜材料70は、管のねじ付き端部の上面とキャップとの間につけられている。キャップ及びねじ管は、任意である。あるいは、Ace糸(45GL)を用いて40mmO.D.で長さ100mmのねじ管のようなより大きな管を用いることができる。
【0074】
小さいガラス管が用いられる場合、管同士は約2cm離れており(管間の空間)、管の中心から中心までの距離は約4.5cmである。この距離は、使用するねじキャップの本体によって必要とされる距離である。より小さいキャップが利用される場合、又はキャップが利用されない場合、管は互いに隣接し接触して配置することができる。管間の距離(経路長)が長くなるにつれて、効率(電流の出力)は典型的には減少する。より大きな管を使用すると膜表面積が増加し、典型的には電流の出力が線形に増加する。
【0075】
ガラス管は、所望な数の管及び樹脂を保持し、フィルター膜を配置することができ、交換樹脂を付け加えるのに十分大きいプラスチックリング、ジャー又はバケットに浸される。全アセンブリが沈められるか、又はイオンを含有する材料のスラリーを含有するより大きな容器内に入れられる。
【0076】
図2〜14を参照すると、1つの局面では、電気脱イオン化デバイスのセル30は、セル本体100、上側フレーム部材120、下側フレーム部材140、及びスリーブ160を備えることができる。セル本体100は、頂端部102と、間隔をおかれた底端部104、及び外側周縁面106を有する。いうまでもないが、セル本体100はセルのそれぞれの第1チャンバ34及び第2チャンバ36を定める。1つの局面では、それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバは、セル本体の頂端部と底端部との間に実質的に伸びている。別の局面では、第1チャンバ34の一部分及び第2チャンバ36の一部分は、共通のセル壁108を形成する。共通のセル壁108の一部分によってセル本体の頂端部と底端部の一部分を形成することができる。代替実施形態では、共通のセル壁108の少なくとも一部分は、誘電性部材37から形成される。本発明の1つの局面では、第1の内部空洞34及び第2の内部空洞38は、実質的に同じ容積を有する。
【0077】
上側フレーム部材120は、上側表面122、反対側の下側表面124、及び上側フレーム周囲のエッジ面126を有する。1つの局面では、上側フレーム部材120は、上側フレーム部材の上側表面から下側表面までを貫通する第1の開口部128及び第2の開口部130を定める。定められた第1の開口部128、第2の開口部130は、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材132を形成する。上側フレーム部材120は、その中にあるセル本体100にあわせ、使用中に、上側フレーム部材の上側表面122の一部分がセル本体の底端部104の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である。本発明の別の局面では、アニオン交換膜50は上側フレーム部材の第1の開口部128に取り付けられ、カチオン交換膜52は上側フレーム部材の第2の開口部130に取り付けられる。
【0078】
使用中、第1の開口部128は第1チャンバの第1の内部空洞34の下にあり、実質的にはめこまれており、第2の開口部130は第2チャンバの第2の内部空洞38の下にあり、実質的にはめこまれており、共通の壁部材132は共通のセル本体の壁108の下にあり、実質的にはめこまれている。1つの局面では、共通の壁部材132は、上側フレーム部材の上側表面までほぼ横断して伸びるオス突出部134を定め、共通の壁部材138は、セル本体の底端部までほぼ横断して伸びるメスくぼみ部110を定める。この局面では、オス突出部134及びメスくぼみ部110は、相補的に鍵のように接続するような大きさ及び形状を有する。
【0079】
セルの下側フレーム部材140は、上面142、反対側の底面144、及び下側フレーム周囲のエッジ面146を有する。少なくとも1つの開口部148は、上面と底面との間を貫通し、下側フレーム部材中に定められる。下側フレーム部材140は、その中にあるセル本体100にあわせ、使用中に、下側フレーム部材の上面142の一部分が上側フレーム部材の下側表面124の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である。1つの局面では、少なくとも1つの開口部は複数の開口部である。1つの実施形態では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60は、下側フレーム部材の上面142の近くの少なくとも1つの開口部148の上側部分150内に取り付けることができる。この実施形態では、フィルター膜70は、下側フレーム部材の底面144の近くの少なくとも1つの開口部148の下側部分152内に取り付けることができる。この例では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60及びフィルター膜70は、層状構造を形成する。代替実施形態では、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層60は、下側フレーム部材の少なくとも1つの開口部148の少なくとも一部分の内部に取り付けることができる。
【0080】
セル30のスリーブ160は、開放遠位端162及び反対側の開放近位端164を有する。スリーブの近位端164は、内部に形成される内部で伸びているフランジ166を有する。スリーブ160は、スリーブの遠位端からフランジまで伸びる孔168を定める。1つの局面では、スリーブの孔168は、内側表面170を有し、内側表面170は、セル本体の外側周囲表面106の少なくとも一部分と上側フレーム部材120の周囲のエッジ面126及び下側フレーム部材140の周囲のエッジ面146の少なくとも一部分と相補的に適合するような大きさ及び形状である。1つの例では、使用中に、下側フレーム部材の底面144の少なくとも一部分は、フランジ166の少なくとも一部分の下にある。図13及び図14に部分的に示される代替実施形態では、スリーブの遠位端162はフランジを有し、このフランジはセルのスリーブを容器の縁によって支えることができるように遠位端まで実質的に横断して伸びる。
【0081】
使用中、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、スリーブ内部で互いに積み重なっている。1つの局面では、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、互いの部材から選択的に取り外し可能であり、スリーブから選択的に取り外し可能であるように配置される。1つの例では、セル本体及び上側フレーム部材及び下側フレーム部材は、お互いに固定するようにセルのスリー部内で摩擦力により組み合わさる。別の例では、セル本体の外側周囲表面の少なくとも一部分及びスリーブの内側表面の少なくとも一部分は、相補的にねじ切りされた表面を有する。上側フレーム部材及び/又は下側フレーム部材は任意の所望な幾何学的形状(例えば、ほぼ円形のリング形状、ほぼ正方形の形状、ほぼ矩形の形状など)を有してもよいことはいうまでもない。
【0082】
代替の例では、セル本体100はセル本体の頂端部から底端部まで伸びる少なくとも1つのセル本体孔109を定め、上側フレーム部材120は上側フレーム部材の上側表面から下側表面まで伸びる少なくとも1つの上側フレーム部材孔129を定め、下側フレーム部材140は下側フレーム部材の上面から底端部まで伸びる少なくとも1つの下側フレーム部材孔149を定め、スリーブのフランジ166は少なくとも1つのフランジ孔169を定める。使用中に、少なくとも1つのセル本体の孔、少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及びフランジ孔が、互いに実質的に同軸で配置される。この例では、従来の締着具180(例えばナット、ナットとボルト、ネジ、摩擦ばめロッドなど)は、実質的に同軸の少なくとも1つのセル本体の孔109、少なくとも1つの上側フレーム部材の孔129、少なくとも1つの下側フレーム部材の孔149、及びフランジ孔169内に相補的に適合するようなサイズ及び形状を有するように提供することができ、その結果、セル本体、上側フレーム部材、下側フレーム部材、及びスリーブが互いに取り外し可能に固定可能である。
【0083】
ガスケットは、ともに接続される場合に、セルの流体整合性を維持するのを助けるために用いることができる。例えば、第1のガスケットは、上側フレーム部材の上側表面の一部分とセル本体の底端部の一部分と間に配置することができる。同様に、第2のガスケットは、上側フレーム部材の下側表面の一部分と下側フレーム部材の上面の一部分との間に配置することができる。加えて、第3のガスケットは、下側フレーム部材の底端部の一部分とフランジの一部分との間に配置することができる。
【0084】
連続又は半連続のデバイスが図15に示される。セル400は、アノード410、カソード420及びアニオン交換膜430及びカチオン交換膜440から作られる中央のチャンバ470を備えている。アノード410とアニオン交換膜430との間にアニオン交換チャンバ450があり、カソード420とカチオン交換膜440との間にカチオン交換チャンバ460がある。アノード410は、硬質導線490及び491及び電力源480を介してカソード420に接続している。粒状材料の水性スラリーは、472で中央のチャンバに入り、471で中央のチャンバを出る。水又は他の溶媒は、アノードチャンバ450を通ってアニオンを除去し、452から451へと流れるか、又は451から452へと流れる。同様に、水又は他の溶媒は、カソードチャンバ460を通ってカチオンを除去し、462から461へと流れるか、又は461から462へと流れる。チャンバ450及び460を通る水又は他の溶媒の流れは、連続的な様式又は半連続的な様式であることができる。半連続的な様式では、水又は他の溶媒は、周期的な様式でそれぞれのチャンバを流れ、必要に応じてイオンを除去する。典型的には、アニオン交換樹脂材料及びカチオン交換樹脂材料は、連続デバイス400では使用されない。
【0085】
別の局面では、本発明のデバイス又はプロセスのいずれかにおいて、アノード及びカソードは、代替のパターン又はアレイに配列した複数のアノード及びカソードとして提供することができる。特定的には、1つの局面では、一列のアノードが一列のカソードに隣接して与えられ、これがさらに一列のアノードに隣接し、これがさらに一列のカソードなどに隣接して与えられる。この一列のアノード及びカソードの代替のパターンは、適切なだけ繰り返すことができる。このアレイによるアプローチは、アノードとカソードとの経路長を最小にする。この局面では、任意の数のアノード及びカソードを提供することができる。
【実施例】
【0086】
(実施例)
以下の実施例は、本明細書中に記載され請求される化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法がどのように作られ、どのように評価されるかについての完全な開示及び記載を当業者に与えるように記載され、単に例示を意図するものであり、本願発明者らが発明の範囲であると考えている範囲を限定することを意図するものではない。数(例えば、量、温度など)に関して確実な精度をもつように努力したが、いくらかのエラー及び偏差は考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近の圧力である。反応条件(例えば、構成要素の濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、及び記載のプロセスから得られる生成物の純度及び収率を最適化するために使用可能な他の反応範囲及び条件)の多くの変形及び組み合わせが存在する。この種のプロセス条件を最適化するには、合理的で通常の実験しか必要とされない。
【0087】
(実施例1(比較例))
CDX−975カーボンブラック上の40%白金触媒(Columbian Chemicals Company, Marietta, Georgia, USAにより製造、販売)2サンプルを、加圧ろ過ユニット及びVersapor 3000膜フィルター(Pall Corp.)を用いて洗浄した。1回あたり1Lの蒸留水を用いて、このサンプルを6回洗浄した。最初の3回の洗浄には周囲温度の蒸留水を使用した。後半3回の洗浄には約70℃の蒸留水を使用した。初期塩化物イオン濃度は約2,000〜5,000ppmであると考えられ、2つの炭素触媒サンプルの最終塩化物イオン濃度は128ppm及び202ppmであった。
【0088】
(実施例2(比較例))
Ketjen EC−600上の60%白金触媒(Ketjen Black International Company製造、Akzo Nobel Polymer Chemicals,Chicago,Illinois,USAから購入)3サンプルを、実施例1で先に述べたとおりに最初に洗浄した(温水洗浄)。次いで、このサンプルを、蒸留水を入れたソックスレー抽出装置の抽出用シンブルに入れた。ソックスレーを加熱し、8時間還流させた。初期塩化物イオン濃度は約2,000〜5,000ppmであると考えられ、3つの炭素触媒サンプルの最終塩化物イオン濃度は76ppm、95ppm、及び108ppmであった。
【0089】
(実施例3)
炭素担持型触媒からイオンを除去するための電気脱イオン化(EDI)デバイスを、図1に一般的に図示するように用いた。アノード電極及びカソード電極は、両方とも白金箔片で作成した。使用したアニオン交換膜はExcellion IX 1−200 Anion Exchange Membraneであり、使用したカソード交換膜はExcellion IX 1−100 Cation Exchange Membraneであり、これらは両方ともElectopure, Inc., Lugana Hills, California, USAから入手可能なExcellion交換膜であった。イオン交換膜の露出面積は約1cm2であった。アノードチャンバ及びカソードチャンバは、両方ともその高さの10cmの約2/3の高さまで水で満たされていた。アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層、特定的には、Dowex MR−3 Mixed Bed Ion Exchange Resin(Sigma−Aldrich, Milwaukee, Wisconsin, USA)を使用し、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂は、約1:1の比率で使用した。Excellionカチオン交換膜及びアニオン交換膜の小片を約1〜2cm2片に切断し、アニオン交換樹脂混合物に混ぜた。イオン交換樹脂混合物をVersapor 3000フィルター膜にのせた。
【0090】
CDX−975カーボンブラック上の40%白金触媒のサンプル10gを、実施例1の手順に従って水で洗浄した。次いで、触媒サンプルをビーカーに入れ、水約600mLを攪拌しながら加え、スラリーを作った。スラリーの温度を約45℃に制御した。EDIデバイスをビーカーの上に置き、デバイスの約2/3が水面下に沈むようにした。電源をEDIデバイスに接続し、電源のプラス側をアノード電極に接続し、電源のマイナス側をカソードに接続した。約35VのDC電圧を約20時間かけた。その後、EDIデバイスを取り外し、触媒をろ過した。不純物の結果を以下の表1に示す。実施例3〜8のそれぞれで使用した特定の触媒についての初期塩化物イオン濃度は、測定しなかった。しかし、実施例3〜8について、温水洗浄前には約2,000〜約5,000ppmの範囲の塩化物イオン濃度であり、温水処理後でEDI処理前には約100〜約200ppmの範囲の塩化物イオン濃度であったと考えられる。
【0091】
【表1】
(実施例4)
実施例3と同じ方法及びデバイスを、Ketjen EC 300炭素上の55%白金触媒(KetjenBlack International Company製造、Akzo Nobel Polymer Chemicals, Chicago, Illinois, USAから購入)15gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いて繰り返した。約17時間17分後に、温度を約55℃に調整し、操作終了となる19時間8分後までこの温度に調整した。炭素触媒の最終塩化物イオンの不純物濃度は22ppmであった。
【0092】
(実施例5)
Ketjen EC 300炭素上の55%白金触媒9.7gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。水500mLを使用した。温度は約32〜63℃の範囲であった。印加電圧は、40VDCであった。全操作時間は12時間16分であった。触媒材料の最終塩化物イオン濃度は25ppmであった。
【0093】
(実施例6)
CDX−975炭素上の50%白金触媒のサンプル(量は不明)を実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、0.1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。温度は約45℃に制御し、全操作時間は17時間15分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は37ppmであった。
【0094】
(実施例7)
Ketjen EC 300炭素上の50%白金触媒22gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄したもの(酸洗浄はなし)を用いた以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。温度は最初から約45℃に設定しておき、約16時間12分後に約55℃に調整した。全操作時間は19時間5分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は36ppmであった。
【0095】
(実施例8)
イオン交換樹脂層を使用しない以外は、実施例3と同じプロセス及びデバイスを使用した。加えて、Ketjen EC−300炭素上の50%白金触媒10.9gを実施例1に従ってあらかじめ水で洗浄し、1MのH2SO4でさらに洗浄したものを用いた。128VのDC電流をかけた。温度は記録していなかった。全操作時間は4時間20分であった。炭素触媒の最終塩化物イオン濃度は23ppmであった。
【0096】
本明細書全体にわたって、さまざまな刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書中に記載される化合物、組成物、デバイス、物品、及び/又は方法をより完全に記載するために、その全体が本明細書で参考として援用される。
【0097】
さまざまな修正変更が、本願明細書に記載されている本発明になされる可能性がある。本願明細書に記載されている本発明の他の局面は、本願明細書に開示される本発明の仕様及び実行の考慮から明らかである。特定例及び実施例が例示のものであるとみなされることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
添付の図面は、本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部分を構成し、後述するいくつかの局面を例示するものである。同じ数は、全部の図で同じ要素を表す。
【図1】図1は、本発明のバッチデバイスの略図である。
【図2】図2は、本発明のバッチデバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、図2のバッチデバイスの上面図である。
【図4】図4は、図3のバッチデバイスを線4−4で切断した断面図である。
【図5】図5は、図2のバッチデバイスのセル本体の側面図である。
【図6】図6は、図5のセル本体の底端部図である。
【図7】図7は、図2のバッチデバイスの上側フレーム部材の側面図である。
【図8】図8は、図7の上側フレーム部材の上面図である。
【図9】図9は、図2のバッチデバイスの下側フレーム部材の側面図である。
【図10】図10は、図9の下側フレーム部材の上面図である。
【図11】図11は、図2のバッチデバイスのスリーブの上面図である。
【図12】図12は、図11のスリーブの側面図である。
【図13】図13は、本発明のバッチデバイスの第2の実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、上側フレーム部材及び下側フレーム部材が配置されている様子を示す、図13のバッチデバイスの部分的な断面図である。
【図15】図15は、本発明のプロセスの1つの局面で用いることができる連続デバイスである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを含有する粒状炭素質材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒状炭素質材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法であって、
当該方法が、(a)アノードと(b)カソードとの間に十分な時間直流を流す工程を含み、
ここで、前記アノード及び前記カソードが両方とも前記粒状炭素質材料の水性スラリーと電気的に接触しており、
前記アノードがアニオン交換膜と電気的に接触しており、前記カソードがカチオン交換膜と電気的に接触しており、
この方法により、前記炭素質材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される、方法。
【請求項2】
前記アノード及び前記カソードが両方ともアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層と電気的に接触しており、前記アニオン交換膜が前記アノードと前記樹脂混合物層との間に配置され、前記カソード交換膜が前記カソードと前記樹脂混合物層との間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルター膜をさらに含み、前記樹脂混合物層が(i)前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜と(ii)前記フィルター膜との間に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型触媒を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型貴金属含有触媒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型白金含有触媒を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒状炭素質材料がカーボンブラック担持型白金含有触媒を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アノード及びカソードが白金を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がバッチプロセスである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が連続プロセスである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種類のイオンが塩化物イオンを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記粒状炭素質材料の初期塩化物イオン濃度が500ppmより高く、前記電流が、前記粒状炭素質材料の最終塩化物イオン濃度が100ppm未満になるのに十分な時間流される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記最終塩化物イオン濃度が40ppm未満である、請求項12に記載の方法
【請求項14】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法であって、当該方法が、(a)アノードと(b)カソードとの間に十分な時間直流を流す工程を含み、
ここで、前記アノード及び前記カソードが両方とも前記粒子材料の水性スラリーと電気的に接触しており、
前記アノードがアニオン交換膜と電気的に接触しており、前記カソードがカチオン交換膜と電気的に接触しており、
この方法により、前記粒子材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される、方法。
【請求項15】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのデバイスであって、
電源;及び
以下を含むセル:
(a)第1の内部空洞を定める第1チャンバ;
(b)第2の内部空洞を定める第2チャンバ;
(c)少なくとも一部分が前記第1の内部空洞内にあり、前記電源と電気的に接続したアノード;
(d)少なくとも一部分が前記第2の内部空洞内にあり、前記電源と電気的に接続したカソード
(e)前記第1チャンバの底端に隣接して配置される、ベース面を有するアニオン交換膜;
(f)前記第2チャンバの底端に隣接して配置される、ベース面を有するカチオン交換膜;及び
(g)前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜のそれぞれのベース面に隣接して配置されるアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層を含み、
ここで、前記アニオン交換膜は前記アノードと前記樹脂混合物層との間に配置され、前記カチオン交換膜は前記カソードと前記樹脂混合物層との間に配置される、デバイス。
【請求項16】
前記セルがフィルター膜をさらに含み、前記樹脂混合物層が、アニオン交換膜と前記フィルター膜との間、及びカチオン交換膜と前記フィルター膜との間に配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
内部容積を定め、ハウジングの内部容積とつながる少なくとも1つの開口部を定めるハウジングをさらに含み、前記セルの少なくとも一部分が、前記ハウジングの内部容積内に配置される、請求項15〜16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記粒子材料の水性スラリーを保持するための容器をさらに含み、前記ハウジングが前記容器内にあり、前記ハウジングの少なくとも1つの開口部を介して水性スラリーと前記ハウジング内部とを液体が通る、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記樹脂混合物が、イオン交換膜片をさらに含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバが、第1チャンバの一部分及び第2チャンバの一部分が共通の壁を形成するように一体化して形成される、請求項15〜19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記共通の壁の少なくとも一部分が誘電性部材から作られる、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記セルが、頂端部、空間をあけられた底端部、及び外側周囲表面を有するセル本体をさらに含み、
セル本体が、セルのそれぞれの第1チャンバ及び第2チャンバを定め、
前記それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバが前記セル本体の頂端部と底端部との間を実質的に延びる、請求項15〜21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
第1チャンバの一部分及び第2チャンバの一部分が共通のセル本体の壁を形成し、前記共通のセル本体の壁の一部分が前記セル本体の頂端部及び底端部の一部分を作る、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記共通のセル本体の壁の少なくとも一部分が誘電性部材から作られる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞が実質的に同じ容積を有する、請求項15〜24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記セルが上側フレーム部材をさらに備えており、前記上側フレーム部材が、上側表面、反対側の下側表面、及び上側フレーム周囲のエッジ面を有しており、前記上側フレーム部材は、上側表面から下側表面までを貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成し、前記上側フレーム部材は、セル本体にあわせ、使用中に、上側フレーム部材の上側表面の少なくとも一部分がセル本体の底端部の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である、請求項23〜24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
使用中、前記第1の開口部は前記第1の内部空洞の下にあり、実質的にはめこまれており、前記第2の開口部は前記第2の内部空洞の下にあり、実質的にはめこまれており、前記共通の壁部材は前記共通のセル本体の壁の下にあり、実質的にはめこまれている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記上側フレーム部材の上側表面の一部分と前記セル本体の底端部の一部分との間に配置される第1のガスケットをさらに含む、請求項26〜27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記アニオン交換膜が、前記上側フレーム部材の第1開口部に取り付けられ、前記カチオン交換膜が、前記上側フレーム部材の第2の開口部に取り付けられる、請求項26〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記共通の壁部材が、上側フレーム部材の上側表面までほぼ横断して伸びるオス突出部を定め、前記共通の壁部材が、前記セル本体の底端部までほぼ横断して伸びるメスくぼみ部を定め、前記オス突出部及び前記メスくぼみ部が、相補的に鍵のように接続するような大きさ及び形状を有する、請求項26〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記セルが下側フレーム部材をさらに備えており、前記下側フレーム部材が、上面、反対側の底面、及び下側フレーム周囲のエッジ面を有しており、前記下側フレーム部材は、前記上面と前記底面との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定め、前記下側フレーム部材は、前記上側フレーム部材の下にあり、使用中に、前記下側フレーム部材の前記上面の少なくとも一部分が前記上側フレーム部材の下側表面の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である、請求項26〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部である、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層が、前記下側フレーム部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられる、請求項31〜32のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記フィルター部材が、前記下側フレーム部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる、請求項31〜33のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記上側フレーム部材の下側表面の一部分と前記下側フレーム部材の上面の一部分との間に配置される第2のガスケットをさらに含む、請求項31〜34のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記セルがスリーブをさらに備えており、前記スリーブが、開放遠位端及び反対側の開放近位端を有し、前記近位端は内部で伸びているフランジを有し、前記スリーブが、前記スリーブの遠位端から前記フランジまで伸びる孔を定める、請求項31〜35のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項37】
使用中に、前記下側フレーム部材の底面の少なくとも一部分は、前記フランジの少なくとも一部分の上にあり、前記スリーブの孔は内側表面を有し、前記内側表面は、前記セル本体の外側周囲表面と前記上側フレーム部材の周囲のエッジ面及び前記下側フレーム部材の周囲のエッジ面と相補的に適合するような大きさ及び形状である、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記下側フレーム部材の底面の一部分と前記フランジの一部分との間に配置される第3のガスケットをさらに備える、請求項36〜37のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記セル本体が、前記セル本体の頂端部から底端部まで貫通する少なくとも1つのセル本体の孔を定め、ここで、前記上側フレーム部材が、前記上側フレーム部材の上側表面から下側表面まで貫通する少なくとも1つの上側フレーム部材の孔を定め、前記下側フレーム部材が、前記下側フレーム部材の上面から底面まで貫通する少なくとも1つの下側フレーム部材の孔を定め、前記スリーブのフランジが、少なくとも1つのフランジ孔を定め、使用中に、前記少なくとも1つのセル本体の孔、前記少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、前記少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及びフランジ孔が、互いに実質的に同軸で配置され、実質的に同軸の少なくとも1つの前記セル本体の孔、前記少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、前記少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及び前記フランジ孔内に相補的に適合するようなサイズ及び形状を有する締着具をさらに備え、その結果、前記セル本体、前記上側フレーム部材、前記下側フレーム部材、及び前記スリーブが互いに取り外し可能に固定可能である、請求項36〜38のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記締着具がボルト及び相補型ナットである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記締着具がネジである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項42】
前記締着具が摩擦ばめロッドである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項43】
少なくとも2つのアノードと少なくとも2つのカソードが提供される、請求項15〜42のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項44】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材であって、
アニオン交換膜;
カチオン交換膜;及び
上側表面及び反対側の下側表面を有する部材、
上側表面と下側表面との間を貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成している部材を含み、
ここで前記アニオン交換膜が前記部材の第1開口部に取り付けられ、前記カチオン交換膜が、前記部材の第2の開口部に取り付けられる、フレーム部材。
【請求項45】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が実質的に同じ面積を有する、請求項44に記載のフレーム部材。
【請求項46】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材であって、
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層;
フィルター膜;及び
上面と反対側の底端部を有する実質的に平らな部材、
前記上面と前記底端部との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定める部材を含み、
ここで、前記アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層が、前記部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられ、前記フィルター膜が、前記部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる、フレーム部材。
【請求項47】
前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部である、請求項46に記載のフレーム部材。
【請求項1】
イオンを含有する粒状炭素質材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒状炭素質材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法であって、
当該方法が、(a)アノードと(b)カソードとの間に十分な時間直流を流す工程を含み、
ここで、前記アノード及び前記カソードが両方とも前記粒状炭素質材料の水性スラリーと電気的に接触しており、
前記アノードがアニオン交換膜と電気的に接触しており、前記カソードがカチオン交換膜と電気的に接触しており、
この方法により、前記炭素質材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される、方法。
【請求項2】
前記アノード及び前記カソードが両方ともアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層と電気的に接触しており、前記アニオン交換膜が前記アノードと前記樹脂混合物層との間に配置され、前記カソード交換膜が前記カソードと前記樹脂混合物層との間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルター膜をさらに含み、前記樹脂混合物層が(i)前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜と(ii)前記フィルター膜との間に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型触媒を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型貴金属含有触媒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒状炭素質材料が炭素担持型白金含有触媒を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒状炭素質材料がカーボンブラック担持型白金含有触媒を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アノード及びカソードが白金を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がバッチプロセスである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が連続プロセスである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種類のイオンが塩化物イオンを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記粒状炭素質材料の初期塩化物イオン濃度が500ppmより高く、前記電流が、前記粒状炭素質材料の最終塩化物イオン濃度が100ppm未満になるのに十分な時間流される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記最終塩化物イオン濃度が40ppm未満である、請求項12に記載の方法
【請求項14】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去する方法であって、当該方法が、(a)アノードと(b)カソードとの間に十分な時間直流を流す工程を含み、
ここで、前記アノード及び前記カソードが両方とも前記粒子材料の水性スラリーと電気的に接触しており、
前記アノードがアニオン交換膜と電気的に接触しており、前記カソードがカチオン交換膜と電気的に接触しており、
この方法により、前記粒子材料から除去されるべき少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかが除去される、方法。
【請求項15】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのデバイスであって、
電源;及び
以下を含むセル:
(a)第1の内部空洞を定める第1チャンバ;
(b)第2の内部空洞を定める第2チャンバ;
(c)少なくとも一部分が前記第1の内部空洞内にあり、前記電源と電気的に接続したアノード;
(d)少なくとも一部分が前記第2の内部空洞内にあり、前記電源と電気的に接続したカソード
(e)前記第1チャンバの底端に隣接して配置される、ベース面を有するアニオン交換膜;
(f)前記第2チャンバの底端に隣接して配置される、ベース面を有するカチオン交換膜;及び
(g)前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜のそれぞれのベース面に隣接して配置されるアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層を含み、
ここで、前記アニオン交換膜は前記アノードと前記樹脂混合物層との間に配置され、前記カチオン交換膜は前記カソードと前記樹脂混合物層との間に配置される、デバイス。
【請求項16】
前記セルがフィルター膜をさらに含み、前記樹脂混合物層が、アニオン交換膜と前記フィルター膜との間、及びカチオン交換膜と前記フィルター膜との間に配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
内部容積を定め、ハウジングの内部容積とつながる少なくとも1つの開口部を定めるハウジングをさらに含み、前記セルの少なくとも一部分が、前記ハウジングの内部容積内に配置される、請求項15〜16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記粒子材料の水性スラリーを保持するための容器をさらに含み、前記ハウジングが前記容器内にあり、前記ハウジングの少なくとも1つの開口部を介して水性スラリーと前記ハウジング内部とを液体が通る、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記樹脂混合物が、イオン交換膜片をさらに含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバが、第1チャンバの一部分及び第2チャンバの一部分が共通の壁を形成するように一体化して形成される、請求項15〜19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記共通の壁の少なくとも一部分が誘電性部材から作られる、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記セルが、頂端部、空間をあけられた底端部、及び外側周囲表面を有するセル本体をさらに含み、
セル本体が、セルのそれぞれの第1チャンバ及び第2チャンバを定め、
前記それぞれの第1チャンバ及び第2チャンバが前記セル本体の頂端部と底端部との間を実質的に延びる、請求項15〜21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
第1チャンバの一部分及び第2チャンバの一部分が共通のセル本体の壁を形成し、前記共通のセル本体の壁の一部分が前記セル本体の頂端部及び底端部の一部分を作る、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記共通のセル本体の壁の少なくとも一部分が誘電性部材から作られる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1の内部空洞及び前記第2の内部空洞が実質的に同じ容積を有する、請求項15〜24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記セルが上側フレーム部材をさらに備えており、前記上側フレーム部材が、上側表面、反対側の下側表面、及び上側フレーム周囲のエッジ面を有しており、前記上側フレーム部材は、上側表面から下側表面までを貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成し、前記上側フレーム部材は、セル本体にあわせ、使用中に、上側フレーム部材の上側表面の少なくとも一部分がセル本体の底端部の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である、請求項23〜24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
使用中、前記第1の開口部は前記第1の内部空洞の下にあり、実質的にはめこまれており、前記第2の開口部は前記第2の内部空洞の下にあり、実質的にはめこまれており、前記共通の壁部材は前記共通のセル本体の壁の下にあり、実質的にはめこまれている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記上側フレーム部材の上側表面の一部分と前記セル本体の底端部の一部分との間に配置される第1のガスケットをさらに含む、請求項26〜27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記アニオン交換膜が、前記上側フレーム部材の第1開口部に取り付けられ、前記カチオン交換膜が、前記上側フレーム部材の第2の開口部に取り付けられる、請求項26〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記共通の壁部材が、上側フレーム部材の上側表面までほぼ横断して伸びるオス突出部を定め、前記共通の壁部材が、前記セル本体の底端部までほぼ横断して伸びるメスくぼみ部を定め、前記オス突出部及び前記メスくぼみ部が、相補的に鍵のように接続するような大きさ及び形状を有する、請求項26〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記セルが下側フレーム部材をさらに備えており、前記下側フレーム部材が、上面、反対側の底面、及び下側フレーム周囲のエッジ面を有しており、前記下側フレーム部材は、前記上面と前記底面との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定め、前記下側フレーム部材は、前記上側フレーム部材の下にあり、使用中に、前記下側フレーム部材の前記上面の少なくとも一部分が前記上側フレーム部材の下側表面の少なくとも一部分の下にあるような大きさ及び形状である、請求項26〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部である、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層が、前記下側フレーム部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられる、請求項31〜32のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記フィルター部材が、前記下側フレーム部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる、請求項31〜33のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記上側フレーム部材の下側表面の一部分と前記下側フレーム部材の上面の一部分との間に配置される第2のガスケットをさらに含む、請求項31〜34のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記セルがスリーブをさらに備えており、前記スリーブが、開放遠位端及び反対側の開放近位端を有し、前記近位端は内部で伸びているフランジを有し、前記スリーブが、前記スリーブの遠位端から前記フランジまで伸びる孔を定める、請求項31〜35のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項37】
使用中に、前記下側フレーム部材の底面の少なくとも一部分は、前記フランジの少なくとも一部分の上にあり、前記スリーブの孔は内側表面を有し、前記内側表面は、前記セル本体の外側周囲表面と前記上側フレーム部材の周囲のエッジ面及び前記下側フレーム部材の周囲のエッジ面と相補的に適合するような大きさ及び形状である、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記下側フレーム部材の底面の一部分と前記フランジの一部分との間に配置される第3のガスケットをさらに備える、請求項36〜37のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記セル本体が、前記セル本体の頂端部から底端部まで貫通する少なくとも1つのセル本体の孔を定め、ここで、前記上側フレーム部材が、前記上側フレーム部材の上側表面から下側表面まで貫通する少なくとも1つの上側フレーム部材の孔を定め、前記下側フレーム部材が、前記下側フレーム部材の上面から底面まで貫通する少なくとも1つの下側フレーム部材の孔を定め、前記スリーブのフランジが、少なくとも1つのフランジ孔を定め、使用中に、前記少なくとも1つのセル本体の孔、前記少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、前記少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及びフランジ孔が、互いに実質的に同軸で配置され、実質的に同軸の少なくとも1つの前記セル本体の孔、前記少なくとも1つの上側フレーム部材の孔、前記少なくとも1つの下側フレーム部材の孔、及び前記フランジ孔内に相補的に適合するようなサイズ及び形状を有する締着具をさらに備え、その結果、前記セル本体、前記上側フレーム部材、前記下側フレーム部材、及び前記スリーブが互いに取り外し可能に固定可能である、請求項36〜38のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記締着具がボルト及び相補型ナットである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記締着具がネジである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項42】
前記締着具が摩擦ばめロッドである、請求項39に記載のデバイス。
【請求項43】
少なくとも2つのアノードと少なくとも2つのカソードが提供される、請求項15〜42のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項44】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材であって、
アニオン交換膜;
カチオン交換膜;及び
上側表面及び反対側の下側表面を有する部材、
上側表面と下側表面との間を貫通する第1の開口部及び第2の開口部を定め、第1の開口部の一部分と第2の開口部の一部分との間に伸びる共通の壁部材を形成している部材を含み、
ここで前記アニオン交換膜が前記部材の第1開口部に取り付けられ、前記カチオン交換膜が、前記部材の第2の開口部に取り付けられる、フレーム部材。
【請求項45】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が実質的に同じ面積を有する、請求項44に記載のフレーム部材。
【請求項46】
イオンを含有する粒子材料を電気脱イオン化し、イオンを含有する粒子材料から少なくとも1種類のイオンの少なくともいくらかを除去するためのセルのフレーム部材であって、
アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層;
フィルター膜;及び
上面と反対側の底端部を有する実質的に平らな部材、
前記上面と前記底端部との間を貫通する少なくとも1つの開口部を定める部材を含み、
ここで、前記アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合物層が、前記部材の上面のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の上側部分に取り付けられ、前記フィルター膜が、前記部材の底端部のすぐ近くの少なくとも1つの開口部の下側部分に取り付けられる、フレーム部材。
【請求項47】
前記少なくとも1つの開口部が複数の開口部である、請求項46に記載のフレーム部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−511534(P2008−511534A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529946(P2007−529946)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/029028
【国際公開番号】WO2006/026144
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(502427460)コロンビアン ケミカルズ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/029028
【国際公開番号】WO2006/026144
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(502427460)コロンビアン ケミカルズ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】
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