説明

電気自動車

【課題】非接触充電の受電側と給電側との位置決めを容易かつ的確に行なうことができるように支援して、運転者の負担を軽減する。
【解決手段】電気自動車10は、路面を含む進行方向の実映像を撮影するリアカメラ34と、車室内に設けられ、少なくともリアカメラ34で撮影された実映像、及び受電位置を含む車両床下の路面方向の擬似映像を映写する表示装置38と、表示装置38の表示画面に表示された実映像上で路面上に配置された送信アンテナ18の位置が進行方向の車体端部に到達した時点において、給電位置画像を擬似映像に合成する擬似映像生成部と、擬似映像上で給電位置画像を進行方向に対応して追従させる追従部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に搭載されたバッテリを非接触式の充電システムにより充電する電気自動車において、車両に設けられた受電部と充電器に設けられた給電部との位置ずれを検知し、車両の停車位置が適正である場合に運転者に報知するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−182212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るシステムによれば、停車時の位置ずれによる充電不能状態を解消することが可能である。
しかしながら、実際に停車するまで停車位置が適切か否かを把握することができないために停車位置の修正を都度やり直す必要が生じる。
また、例えば車両や充電器のレイアウト変更などによって受電部と給電部との位置関係が変化するような場合には、システム変更などの煩雑な手間が必要になるという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、非接触充電の受電側と給電側との位置決めを容易かつ的確に行なうことができるように支援して、運転者の負担を軽減することが可能な電気自動車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る電気自動車は、走行用モータ(例えば、実施の形態でのモータ33)と、前記走行用モータへの供給電力を蓄電可能な蓄電装置(例えば、実施の形態でのバッテリ21)と、車両床下に配置された受電部(例えば、実施の形態での車両受信アンテナ22)とを備える非接触充電方式の電気自動車(例えば、実施の形態での電気自動車10)であって、路面を含む前記電気自動車の進行方向の実映像を撮影するカメラ装置(例えば、実施の形態でのリアカメラ34)と、車室内に設けられ、少なくとも前記カメラ装置で撮影された実映像、及び前記受電部の位置を含む前記車両床下の路面方向の擬似映像を映写するモニター部(例えば、実施の形態での表示装置38)と、前記モニター部に映写された前記実映像上で前記路面上に配置された給電部(例えば、実施の形態での送信アンテナ18)が前記進行方向の車体端部に到達した時点において、前記給電部の位置を前記擬似映像に合成する擬似映像生成手段(例えば、実施の形態での擬似映像生成部42)と、前記擬似映像上で前記給電部の位置を前記進行方向に対応して追従させる追従手段(例えば、実施の形態での追従部44)とを備え、前記追従手段は、前記実映像上で前記給電部の中心位置が前記車体端部と重なる位置において、前記車両床下の平面上で前記進行方向に対して垂直方向での前記受電部の位置との間の距離を演算し、該演算結果と、前記進行方向の移動量および前記垂直方向の移動量を示すパラメータとによって前記給電部の推定位置を導出する。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る電気自動車では、前記追従手段は、前記給電部の位置を前記実映像上で確定する給電位置確定手段(例えば、実施の形態での追従部44が兼ねる)を有し、前記給電位置確定手段は、前記電気自動車の運転者が前記実映像上に前記給電部を確認した際の前記運転者の手動設定により作動する。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る電気自動車では、前記給電位置確定手段は、前記モニター部に映写された前記実映像上で前記路面上に配置された前記給電部が前記進行方向の前記車体端部に到達した時点において作動可能となる。
【0009】
さらに、本発明の第4態様に係る電気自動車では、前記追従手段は、前記給電部の位置を前記実映像上で確定する給電位置確定手段(例えば、実施の形態での追従部44が兼ねる)を有し、前記給電位置確定手段は、前記実映像上に前記給電部が存在すると判定した場合の自動設定により作動する。
【0010】
さらに、本発明の第5態様に係る電気自動車では、前記パラメータは車速と加速度センサ(例えば、実施の形態での車両状態センサ35、加速度センサ)の検出結果である
【0011】
さらに、本発明の第6態様に係る電気自動車では、前記パラメータは車速と舵角センサ(例えば、実施の形態での車両状態センサ35、舵角センサ)の検出結果である
【0012】
さらに、本発明の第7態様に係る電気自動車では、前記パラメータは測位信号による位置情報である
【0013】
さらに、本発明の第8態様に係る電気自動車では、前記モニター部は、前記実映像と前記擬似映像とを異なる表示領域に同時に表示する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様に係る電気自動車によれば、カメラ装置の実映像により車内のモニター上に車両外部の給電部の位置を表示させるとともに、給電部の位置が撮影可能範囲外に移動するときには、擬似映像によりモニター上で給電部の位置を追従させる。
これにより、車両床下の受電部と路面上の給電部との位置決めを容易かつ的確に行なうことができるように支援して、運転者の運転負担を軽減することができる。
【0015】
また、例えば電気自動車や送電装置のレイアウト変更などによって受電部と給電部との位置関係が変化する場合であっても、実映像上で給電部の位置が消姿する都度、擬似映像上で給電部の位置を進行方向に対応して追従させることから、動作内容の変更の必要無しに適正に対応することができ、動作内容の変更に要する費用を削減し、各種レイアウト変更に伴う制約が生じることを防止することができる。
【0016】
さらに、進行方向に対して垂直方向での給電部の中心位置と受電部の位置との間の距離と、進行方向の移動量および垂直方向の移動量を示すパラメータとによって、給電部の推定位置を精度良く導出することができる。
【0017】
本発明の第2態様に係る電気自動車によれば、実映像上での給電部の位置の確定に運転者の意思を的確に反映させることができる。
【0018】
本発明の第3態様に係る電気自動車によれば、実映像上で給電部の位置を進行方向に対応して追従させる処理の実行を省略することによって、演算負荷を低減することができ、しかも、過剰に早いタイミングで追従が開始されることを防止することで擬似映像上での給電部の位置の追従精度を向上させることができる。
【0019】
本発明の第4態様に係る電気自動車によれば、実映像上での給電部の位置の確定を容易に行なうことができる。
【0020】
本発明の第8態様に係る電気自動車によれば、利便性を向上させることができ、運転者の運転負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気自動車および送電装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電気自動車の車両制御装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電気自動車の表示装置の表示画面での表示の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電気自動車の追従部により算出される前後移動距離dYおよび左右移動距離dXの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電気自動車の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の第1変形例に係る電気自動車の表示装置の表示画面での表示の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2変形例に係る電気自動車の表示装置の表示画面での表示の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の第2変形例に係る電気自動車の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の第3変形例に係る電気自動車の表示装置の表示画面での表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る電気自動車について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による電気自動車10は、例えば図1に示すように、車両外部の交流電源11に接続された送電装置12から出力される電力を非接触で受電し、この電力によって電気自動車10に搭載されたバッテリ21を充電可能である。
【0023】
なお、車両外部の送電装置12は、例えば、整流回路15と、DC/DCコンバータ16と、発振回路17と、送信アンテナ18とを備えて構成されている。
【0024】
整流回路15は、交流電源11から出力される交流電力を電気自動車10のバッテリ21を充電するための充電電力として、直流電力に変換する。
DC/DCコンバータ16は、整流回路15から出力される直流電力を直流変換する。
発振回路17は、DC/DCコンバータ16から出力される直流電力を、所定の非接触電力伝送方式に応じた周波数の交流電力に変換する。
なお、DC/DCコンバータ16は、省略されてもよい。
【0025】
送信アンテナ18は、例えば所定の駐車エリアの地面(路面)に埋設などにより設置され、電磁誘導型あるいは共鳴型あるいは電波受信型などの所定の非接触電力伝送方式により、発振回路17から出力される交流電力を電気自動車10の車両受信アンテナ22に伝送する。
【0026】
なお、例えば、電磁誘導型は、送信アンテナ18の送電コイル(図示略)と車両受信アンテナ22の受信コイル(図示略)との間に共通に鎖交する磁束を用いた電磁誘導により電力を伝送する。
つまり、送信アンテナ18の送電コイル(図示略)に1次電流が通電されると、電磁誘導により、送信アンテナ18に近接して設けられた車両受信アンテナ22の受信コイル(図示略)に2次電流が流れる。
【0027】
また、例えば、共鳴型は、送信アンテナ18の共振器(図示略)と車両受信アンテナ22の共振器(図示略)との間の磁場および電場の共鳴により電力を伝送する。
【0028】
つまり、送電装置12の送信アンテナ18には共振器(図示略)の1次コイル(図示略)が近接して配置され、電気自動車10の車両受信アンテナ22には共振器(図示略)の2次コイル(図示略)が近接して配置されている。
【0029】
そして、1次コイルに1次電流が通電されると、電磁誘導により送信アンテナ18の共振器に誘導電流が流れ、さらに、送信アンテナ18は、送信アンテナ18の共振器のインダクタンスおよび浮遊容量に応じた共鳴周波数で共鳴する。
これに伴い、送信アンテナ18に近接して設けられた車両受信アンテナ22の共振器は共鳴周波数で共鳴し、車両受信アンテナ22の共振器に2次電流が流れ、さらに、電磁誘導により車両受信アンテナ22に近接した2次コイルに2次電流が流れる。
【0030】
また、例えば、電波受信型は、送信アンテナ18によって電流から変換されたマイクロ波の電波が送信され、このマイクロ波の電波が車両受信アンテナ22により受信されて電流に変換されることにより電力を伝送する。
【0031】
この電気自動車10は、例えば、バッテリ21および車両受信アンテナ22および車両整流回路23および車両DC/DCコンバータ24から成る受電装置31と、モータ制御装置32と、モータ33と、リアカメラ34と、車両状態センサ35と、測位信号受信部36と、車両制御装置37と、表示装置38とを備えて構成されている。
【0032】
受電装置31の車両受信アンテナ22は、例えば電気自動車10のフロアパネルの下方の床下などに配置され、電磁誘導型あるいは共鳴型あるいは電波受信型などの所定の非接触電力伝送方式により送電装置12の送信アンテナ18から伝送される電力を受電する。
【0033】
車両整流回路23は、車両受信アンテナ22から出力される交流電力をバッテリ21の許容電圧に応じた直流電力に変換する。
車両DC/DCコンバータ24は、車両整流回路23から出力される直流電力を直流変換する。
なお、車両DC/DCコンバータ24は、省略されてもよい。
【0034】
モータ制御装置32は、例えばトランジスタのスイッチング素子から構成されたインバータなどを備えて構成され、モータ33と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ21に接続されている。
【0035】
モータ33は、例えば3相のDCブラシレスモータなどであって、このモータ33の駆動および回生作動はモータ制御装置32から出力される制御指令に応じて制御される。
【0036】
リアカメラ34は、電気自動車10の後方の路面を含む所定の外界領域を撮影して、この撮影により得られる映像データを出力する。
【0037】
車両状態センサ35は、例えば、電気自動車10の速度(車速)を検出する車速センサと、車体に作用する加速度を検出する加速度センサと、車体の姿勢や進行方向を検知するジャイロセンサと、ヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検知するヨーレートセンサと、運転者により操作されるステアリングホイールの舵角(操舵角度)あるいはステアリングホイールの舵角に応じた実舵角(転舵角度)を検出する舵角センサとなどを備えて構成され、各種の車両状態(つまり、車速、加速度、姿勢、ヨーレート、操舵角度、転舵角度など)の検出結果の信号を車両制御装置37に出力する。
【0038】
測位信号受信部36は、例えば人工衛星を利用して電気自動車10の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信し、受信結果の信号を車両制御装置37に出力する。
【0039】
車両制御装置37は、例えば、実映像生成部41と、擬似映像生成部42と、表示制御部43と、追従部44とを備えて構成されている。
【0040】
実映像生成部41は、リアカメラ34から出力される映像データに基づき、リアカメラ34により撮影された電気自動車10の後方の路面を含む所定の外界領域の実際の映像である実映像を生成し、実映像を表示制御部43に出力する。
【0041】
擬似映像生成部42は、例えば、リアカメラ34の撮影可能領域内であっても電気自動車10の車体によって遮蔽されることで撮影不能となる路面およびリアカメラ34の撮影可能領域外であって電気自動車10の車体の下方(つまり、車両床下の路面方向)に存在する路面の領域を、電気自動車10の車体とともに擬似的に示す擬似映像を生成し、擬似映像を表示制御部43に出力する。
【0042】
さらに、擬似映像生成部42は、後述する追従部44から出力される給電位置の情報(後述する推定結果の信号)と、予め記憶している電気自動車10の受電位置の情報とに基づき、擬似映像上に給電位置を示す画像と受電位置を示す画像とを重畳可能である。
【0043】
また、擬似映像生成部42は、後述する追従部44から出力される推定結果の信号に、給電位置から受電位置までの方向および距離の情報が含まれている場合には、これらの情報を文字画像などによって擬似映像上に重畳可能である。
【0044】
なお、給電位置は、例えば地面(路面)に埋設されている送信アンテナ18の位置、つまり電気自動車10の車両受信アンテナ22に対して所定効率以上で送電可能な領域の位置であって、この位置は、例えば送信アンテナ18が埋設されている地面(路面)上に設けられた適宜の表示などによって視認可能かつリアカメラ34により撮影可能とされている。
【0045】
また、受電位置は、例えば電気自動車10のフロアパネルの下方の床下に配置されている車両受信アンテナ22の位置、つまり送電装置12の送信アンテナ18から送電される電力を所定効率以上で受電可能な領域の位置であって、擬似映像上で電気自動車10の車体とともに表示可能に予め擬似映像生成部42に記憶されている。
【0046】
表示制御部43は、後述する追従部44から出力される給電位置の情報に基づき、実映像生成部41から出力される実映像と擬似映像生成部42から出力される擬似映像とのうち何れか一方を選択して、車内に配置された表示装置38の表示画面に表示する。
【0047】
例えば、表示制御部43は、表示装置38の表示画面に表示されている実映像上で路面上の給電位置が電気自動車10の進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の車体端部に到達し、かつ、運転者の所定の手動設定により実映像上で給電位置が確定されたことを示す情報が追従部44から出力された場合に、表示装置38の表示画面での表示を、実映像から擬似映像へと切り換える。
【0048】
なお、運転者の所定の手動設定は、例えば表示装置38の表示画面を表示画面上に対する直接の接触を検知可能なタッチパネルとした場合の表示画面に対する手動による直接の入力操作に応じた設定動作や、例えば表示画面内を移動可能な指示画像を間接的に操作する入力装置(図示略)に対する手動による入力操作に応じた設定動作などである。
【0049】
追従部44は、例えばタッチパネルとされる表示画面を有する表示装置38や、例えば表示装置38の表示画面内を移動可能な指示画像を間接的に操作する入力装置(図示略)などに接続され、運転者の所定の手動設定を検出する。
そして、運転者の所定の手動設定により表示装置38の表示画面に表示されている実映像上で給電位置が運転者により確定されたことを検出した場合には、この情報の信号を表示制御部43に出力する。
【0050】
さらに、追従部44は、例えば、運転者の所定の手動設定により表示装置38の表示画面に表示されている実映像上で確定された給電位置を初期位置として、この初期位置と、車両状態センサ35から逐次出力される各種の検出結果の信号や、測位信号受信部36から逐次出力される受信結果の信号とに基づき、給電位置を逐次推定する。
【0051】
さらに、追従部44は、給電位置の推定結果に基づき、給電位置から受電位置までの方向および距離を算出する。
そして、給電位置の推定結果と、給電位置から受電位置までの方向および距離の推定結果との信号を出力する。
【0052】
例えば、追従部44は、実映像上で給電位置が電気自動車10の進行方向の車体端部と重なり運転者の所定の手動設定により実映像上で給電位置が確定されたときに、給電位置を初期位置として、車両床下の平面上で進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)に対して垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)での受電位置との間の距離(左右距離初期値)Aを演算する。
【0053】
そして、追従部44は、これ以後のタイミングにおいて、左右距離初期値Aの演算結果と、逐次得られる進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の移動量および垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)の移動量を示すパラメータとによって給電位置を推定し、推定結果を導出する。
【0054】
なお、進行方向の移動量および垂直方向の移動量を示すパラメータは、例えば車両状態センサ35の車速センサおよびジャイロセンサ(あるいは加速度センサ)から逐次出力される検出結果であってもよいし、例えば車両状態センサ35の車速センサおよび舵角センサから逐次出力される検出結果であってもよいし、例えば測位信号受信部36から逐次出力される受信結果であってもよい。
【0055】
本実施の形態による電気自動車10は上記構成を備えており、次に、この電気自動車10の動作について説明する。
【0056】
先ず、表示制御部43は、電気自動車(車両)10が後進する状態では、初期設定として、例えば図3(A)〜(B)に示すように、表示装置38の表示画面D上にリアカメラ34から出力される映像データに基づく実映像Rを表示する。
【0057】
これに伴い、例えば送信アンテナ18が埋設されている地面(路面)上に設けられた視認可能な適宜の表示などからなる給電位置Sに向かい電気自動車10が後進する状態で給電位置がリアカメラ34の撮影可能範囲内に存在する場合には、電気自動車10の移動に伴い実映像R上で給電位置Sが相対移動する。
【0058】
そして、例えば図3(C)に示すように、表示装置38の表示画面Dに表示されている実映像R上で路面上の給電位置Sが電気自動車10の進行方向の車体端部(つまり後端)10aに到達し、かつ、運転者の所定の手動設定(例えば、実映像R上の適宜の位置に対する運転者の指による直接の接触など)により実映像R上で給電位置Sが確定されると、表示制御部43は、給電位置Sの中心位置を示す給電位置画像SPを実映像R上に重畳表示する。
そして、追従部44は、この確定による給電位置Sの中心位置を、これ以後に実行される推定処理での給電位置Sの初期位置として設定する。
【0059】
そして、表示制御部43は、例えば図3(D)に示すように、表示装置38の表示画面Dでの表示を、実映像Rから擬似映像Pへと切り換える。
この切り換え時点において、擬似映像生成部42は、擬似映像Pを、例えば、リアカメラ34による直接の撮影が不能な路面の領域において、電気自動車10の車体を示す車両画像VEと、予め擬似映像生成部42に記憶されている電気自動車10の受電位置を示す受電位置画像UPと、運転者により実映像R上で確定された給電位置Sの中心位置を示す給電位置画像SPとを重畳して生成する。
【0060】
なお、リアカメラ34による直接の撮影が不能な路面の領域は、例えば、リアカメラ34の撮影可能領域内であっても電気自動車10の車体によって遮蔽されることで撮影不能となる路面およびリアカメラ34の撮影可能領域外であって電気自動車10の車体の下方に存在する路面の領域(つまり、車両床下の路面方向の領域)などである。
【0061】
また、この切り換え時点において、追従部44は、運転者により実映像R上で確定された給電位置Sの初期位置と、予め記憶している電気自動車10の受電位置とに基づき、車両床下の平面上で進行方向に対して垂直方向での給電位置Sの初期位置と受電位置の中心位置との間の距離(左右距離初期値)Aを演算する。
【0062】
さらに、追従部44は、例えば予め記憶している電気自動車10の後端から受電位置の中心位置までの進行方向での距離などを、前後距離初期値Bとして設定する。
そして、擬似映像生成部42は、追従部44により演算および設定された左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bに基づき、給電位置から受電位置までの方向および距離の情報を文字画像などによって示す情報画像IPを擬似映像P上に重畳する。
【0063】
そして、例えば図3(E)に示すように、表示装置38の表示画面Dに表示されている擬似映像P上で給電位置画像SPが受電位置画像UPに向かい相対移動するようにして電気自動車10が後進する状態では、追従部44は、給電位置Sの初期位置に応じた左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bと、逐次得られる進行方向の移動量および垂直方向の移動量を示すパラメータとによって給電位置Sの中心位置を推定し、推定結果を導出する。
【0064】
そして、追従部44は、車両床下の平面上で進行方向に対して垂直方向での給電位置Sの中心位置と受電位置の中心位置との間の距離(左右距離)Xと、車両床下の平面上で進行方向での給電位置Sの中心位置と受電位置の中心位置との間の距離(前後距離)Yとを演算する。
【0065】
例えば図4に示すように、追従部44は、給電位置Sの中心位置の移動ベクトルと進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)とのなす角θを、車両状態センサ35のジャイロセンサ(あるいは加速度センサ)または舵角センサから逐次出力される検出結果の信号に基づき算出する。
【0066】
そして、追従部44は、進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の移動量(前後移動距離)dY(=V×T)を、車両状態センサ35の車速センサから逐次出力される検出結果(車速V)の信号と、移動時間Tとにより算出する。
【0067】
そして、追従部44は、垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)の移動量(左右移動距離)dX(=dY×tanθ)を、前後移動距離dYと、角θとにより算出する。
そして、追従部44は、前後移動距離dYおよび左右移動距離dXと、前後距離Yおよび左右距離Xの前回値とに基づき、前後距離Yおよび左右距離Xの今回値を算出する。
【0068】
なお、追従部44は、測位信号受信部36から逐次出力される受信結果の前回値と今回値とを用いて前後距離Yおよび左右距離Xの今回値を算出してもよい。
【0069】
そして、擬似映像生成部42は、例えば図3(E)に示すように、追従部44により逐次推定される給電位置Sの中心位置に応じて擬似映像P上での給電位置画像SPの重畳位置を逐次変化させて給電位置画像SPを進行方向に対応して追従させるとともに、追従部44により逐次演算される左右距離Xおよび前後距離Yに応じて情報画像IPの内容を逐次更新する。
これに伴い、表示制御部43は、擬似映像生成部42により逐次生成される擬似映像Pを表示装置38の表示画面Dに表示する。
【0070】
以下に、電気自動車(車両)10が後進する状態で電気自動車10の受電位置を送電装置12の給電位置に移動させる際の電気自動車10の動作について説明する。
【0071】
先ず、例えば図5に示すステップS01においては、表示装置38の表示画面D上にリアカメラ34から出力される映像データに基づく実映像Rを表示する。
【0072】
次に、ステップS02においては、実映像R上で路面上の給電位置Sが電気自動車10の進行方向の車体端部(つまり後端)10aに到達し、かつ、運転者の所定の手動設定(例えば、実映像R上の適宜の位置に対する運転者の指による直接の接触など)により実映像R上で給電位置Sが確定されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02の判定を繰り返し実行する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
【0073】
次に、ステップS03においては、初回の処理実行時であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS06に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
【0074】
次に、ステップS04においては、運転者の所定の手動設定により確定された給電位置Sの中心位置を示す給電位置画像SPを実映像R上に重畳表示し、左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bを演算する。
そして、左右距離Xとして左右距離初期値Aを設定し、前後距離Yとして前後距離初期値Bを設定する。
【0075】
次に、ステップS05においては、表示装置38の表示画面Dでの表示を実映像Rから擬似映像Pへと切り換え、擬似映像Pにおいて車両画像VEと、受電位置画像UPと、給電位置画像SPと、情報画像IPとを重畳表示し、後述するステップS08に進む。
【0076】
また、ステップS06においては、給電位置Sの中心位置の移動ベクトルと進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)とのなす角θを、車両状態センサ35のジャイロセンサ(あるいは加速度センサ)または舵角センサから逐次出力される検出結果の信号に基づき算出する。
【0077】
そして、進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の移動量(前後移動距離)dY(=V×T)を、車両状態センサ35の車速センサから逐次出力される検出結果(車速V)の信号と、移動時間Tとにより算出する。
さらに、垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)の移動量(左右移動距離)dX(=dY×tanθ)を、前後移動距離dYと、角θとにより算出する。
【0078】
次に、ステップS07においては、前後移動距離dYおよび左右移動距離dXと、この時点で設定されている左右距離Xおよび前後距離Yとに基づき、この時点での給電位置Sの中心位置から受電位置の中心位置までの左右距離X(=X−dX)および前後距離Y(=Y−dY)を算出する。
そして、給電位置から受電位置までの方向および距離の情報を文字画像などによって示す情報画像IPを擬似映像P上に重畳する。
【0079】
そして、ステップS08においては、給電位置は受電位置に到達したか否かを判定する。
なお、この判定において、給電位置が受電位置に到達した場合とは、鉛直方向から見て給電位置の中心位置と受電位置の中心位置とが一致した場合に限らず、例えばそれぞれに所定の大きさを有する給電位置と受電位置とが鉛直方向から見て重なりを有する場合や、例えば給電位置の中心位置が鉛直方向から見て所定の大きさを有する受電位置に到達した場合などを含んでいてもよい。
【0080】
ステップS08の判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS03に戻る。
一方、ステップS08の判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
そして、ステップS09においては、位置合わせが完了したことを運転者に通知し、エンドに進む。
【0081】
上述したように、本実施の形態による電気自動車10によれば、リアカメラ34から出力される映像データに基づく実映像により車内の表示装置38の表示画面上に車両外部の給電位置を表示させるとともに、給電位置がリアカメラ34の撮影可能範囲外あるいは車体によって遮蔽された領域(例えば、車両床下の下方など)に移動するときには、擬似映像により表示画面上で給電位置を追従させる。
これにより、車両床下の受電位置と路面上の給電位置との位置決めを容易かつ的確に行なうことができるように支援して、運転者の運転負担を軽減することができる。
【0082】
また、例えばレイアウト変更などによって受電位置と給電位置との位置関係が変化する場合であっても、実映像上で給電位置が消姿する都度、擬似映像上で給電位置を進行方向に対応して追従させることから、動作内容の変更の必要無しに適正に対応することができ、動作内容の変更に要する費用を削減し、各種レイアウト変更に伴う制約が生じることを防止することができる。
【0083】
さらに、電気自動車10の運転者が実映像上に給電位置を確認した際の運転者の所定の手動設定により実映像上での給電位置を確定することから、給電位置の確定に運転者の意思を的確に反映させることができる。
【0084】
また、給電位置Sの初期位置に応じた左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bと、逐次得られる進行方向の移動量および垂直方向の移動量を示すパラメータとによって、給電位置Sの中心位置を精度良く導出することができる。
【0085】
なお、上述した実施の形態において、表示制御部43は、表示装置38の表示画面Dでの表示を、実映像Rから擬似映像Pへと切り換えるとしたが、これに限定されず、例えば図6(A)〜(D)に示す第1変形例に係る表示画面Dのように、表示装置38の表示画面Dの表示領域を、例えば上下方向などにおいて2つの表示領域E1,E2などに分割し、各実映像Rおよび擬似映像Pを各表示領域E1,E2において同時に表示してもよい。
また、左右方向に並べた2つの表示領域E1,E2に実映像Rと擬似映像Pとを並べて表示してもよい。
【0086】
この第1変形例によれば、電気自動車10の移動に応じて、実映像R上での給電位置Sの移動と、擬似映像P上での進行方向に対応した給電位置画像SPの追従とを、表示画面D上で連続的に表示することができ、利便性を向上させることができ、運転者の運転負担を軽減することができる。
【0087】
なお、上述した実施の形態において、追従部44は、表示装置38の表示画面に表示された実映像上で路面上に配置された給電位置が電気自動車10の進行方向の車体端部に到達した時点以後において、運転者の所定の手動設定による給電位置の確定を許可し、この時点よりも前においては運転者の所定の手動設定による給電位置の確定を禁止してもよい。
【0088】
この場合には、実映像上で給電位置画像SPを進行方向に対応して追従させる処理の実行を省略することによって、演算負荷を低減することができる。
しかも、過剰に早いタイミングで追従が開始されることを防止することで擬似映像上での進行方向に対応した給電位置画像SPの追従精度を向上させることができる。
【0089】
なお、上述した実施の形態において、追従部44は、表示装置38の表示画面に表示された実映像上で路面上に配置された給電位置を、例えば運転者の所定の手動設定あるいは自動的な実映像上での認識処理などに応じて実映像上に給電位置が存在すると判定した場合の自動設定によって確定してもよい。
そして、これ以降において、実映像生成部41は、実映像上で給電位置画像SPを給電位置に対応して追従させて重畳してもよい。
【0090】
この第2変形例によれば、先ず、表示制御部43は、電気自動車(車両)10が後進する状態では、初期設定として、例えば図7(A)〜(B)に示すように、表示装置38の表示画面D上にリアカメラ34から出力される映像データに基づく実映像Rを表示する。
【0091】
そして、追従部44は、表示装置38の表示画面に表示された実映像上で路面上に配置された給電位置を、例えば運転者の所定の手動設定あるいは自動的な実映像上での認識処理などに応じて実映像上に給電位置が存在すると判定した場合の自動設定によって確定する。
これに伴い、表示制御部43は、図7(B)に示すように、給電位置Sの中心位置を示す給電位置画像SPを実映像R上に重畳表示する。
【0092】
これにより、例えば図7(B),(C)に示すように、例えば送信アンテナ18が埋設されている地面(路面)上に設けられた視認可能な適宜の表示などからなる給電位置Sに向かい電気自動車10が後進する状態で給電位置がリアカメラ34の撮影可能範囲内に存在する場合には、電気自動車10の移動に伴い実映像R上で給電位置画像SPが給電位置Sの移動に対応して追従するように相対移動する。
【0093】
そして、例えば図7(C)に示すように、表示装置38の表示画面Dに表示されている実映像R上で給電位置画像SPが電気自動車10の進行方向の車体端部(つまり後端)10aに到達すると、追従部44は、この時点での給電位置Sの中心位置を、これ以後に実行される推定処理での給電位置Sの初期位置として設定する。
【0094】
そして、表示制御部43は、例えば図7(D)に示すように、表示装置38の表示画面Dでの表示を、実映像Rから擬似映像Pへと切り換える。
この切り換え時点において、擬似映像生成部42は、擬似映像Pを、例えば、リアカメラ34による直接の撮影が不能な路面の領域において、電気自動車10の車体を示す車両画像VEと、予め擬似映像生成部42に記憶されている電気自動車10の受電位置を示す受電位置画像UPと、運転者により実映像R上で確定された給電位置Sの中心位置を示す給電位置画像SPとを重畳して生成する。
【0095】
なお、リアカメラ34による直接の撮影が不能な路面の領域は、例えば、リアカメラ34の撮影可能領域内であっても電気自動車10の車体によって遮蔽されることで撮影不能となる路面およびリアカメラ34の撮影可能領域外であって電気自動車10の車体の下方に存在する路面の領域(つまり、車両床下の路面方向の領域)などである。
【0096】
また、この切り換え時点において、追従部44は、実映像R上で自動的に設定した給電位置Sの初期位置と、予め記憶している電気自動車10の受電位置とに基づき、車両床下の平面上で進行方向に対して垂直方向での給電位置Sの初期位置と受電位置の中心位置との間の距離(左右距離初期値)Aを演算する。
【0097】
さらに、追従部44は、例えば予め記憶している電気自動車10の後端から受電位置の中心位置までの進行方向での距離などを、前後距離初期値Bとして設定する。
そして、擬似映像生成部42は、追従部44により演算および設定された左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bに基づき、給電位置から受電位置までの方向および距離の情報を文字画像などによって示す情報画像IPを擬似映像P上に重畳する。
【0098】
そして、例えば図7(E)に示すように、表示装置38の表示画面Dに表示されている擬似映像P上で給電位置画像SPが受電位置画像UPに向かい相対移動するようにして電気自動車10が後進する状態では、追従部44は、給電位置Sの初期位置に応じた左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bと、逐次得られる進行方向の移動量および垂直方向の移動量を示すパラメータとによって給電位置Sの中心位置を推定し、推定結果を導出する。
【0099】
そして、追従部44は、車両床下の平面上で進行方向に対して垂直方向での給電位置Sの中心位置と受電位置の中心位置との間の距離(左右距離)Xと、車両床下の平面上で進行方向での給電位置Sの中心位置と受電位置の中心位置との間の距離(前後距離)Yとを演算する。
【0100】
そして、追従部44は、給電位置Sの中心位置の移動ベクトルと進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)とのなす角θを、車両状態センサ35のジャイロセンサ(あるいは加速度センサ)または舵角センサから逐次出力される検出結果の信号に基づき算出する。
【0101】
そして、追従部44は、進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の移動量(前後移動距離)dY(=V×T)を、車両状態センサ35の車速センサから逐次出力される検出結果(車速V)の信号と、移動時間Tとにより算出する。
【0102】
そして、追従部44は、垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)の移動量(左右移動距離)dX(=dY×tanθ)を、前後移動距離dYと、角θとにより算出する。
そして、追従部44は、前後移動距離dYおよび左右移動距離dXと、前後距離Yおよび左右距離Xの前回値とに基づき、前後距離Yおよび左右距離Xの今回値を算出する。
【0103】
なお、追従部44は、測位信号受信部36から逐次出力される受信結果の前回値と今回値とを用いて前後距離Yおよび左右距離Xの今回値を算出してもよい。
【0104】
そして、擬似映像生成部42は、追従部44により逐次推定される給電位置Sの中心位置に応じて擬似映像P上での給電位置画像SPの重畳位置を逐次変化させて給電位置画像SPを進行方向に対応して追従させるとともに、追従部44により逐次演算される左右距離Xおよび前後距離Yに応じて情報画像IPの内容を逐次更新する。
これに伴い、表示制御部43は、擬似映像生成部42により逐次生成される擬似映像Pを表示装置38の表示画面Dに表示する。
【0105】
以下に、この第2変形例において、電気自動車(車両)10が後進する状態で電気自動車10の受電位置を送電装置12の給電位置に移動させる際の電気自動車10の動作について説明する。
【0106】
先ず、例えば図8に示すステップS21においては、表示装置38の表示画面D上にリアカメラ34から出力される映像データに基づく実映像Rを表示する。
【0107】
次に、ステップS22においては、例えば運転者の所定の手動設定あるいは自動的な実映像上での認識処理などに応じて実映像上に給電位置が存在すると判定した場合の自動設定によって、実映像上で路面上に配置された給電位置が確定されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS22の判定を繰り返し実行する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、給電位置画像SPを実映像R上に重畳表示し、ステップS23に進む。
【0108】
次に、ステップS23においては、実映像R上で給電位置Sが消姿したか否か、例えば実映像R上で給電位置画像SPが電気自動車10の進行方向の車体端部(つまり後端)10aに到達したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS23の判定を繰り返し実行する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進む。
【0109】
次に、ステップS24においては、初回の処理実行時であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS27に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS25に進む。
【0110】
次に、ステップS25においては、左右距離初期値Aおよび前後距離初期値Bを演算する。
そして、左右距離Xとして左右距離初期値Aを設定し、前後距離Yとして前後距離初期値Bを設定する。
【0111】
次に、ステップS26においては、表示装置38の表示画面Dでの表示を実映像Rから擬似映像Pへと切り換え、擬似映像Pにおいて車両画像VEと、受電位置画像UPと、給電位置画像SPと、情報画像IPとを重畳表示し、後述するステップS29に進む。
【0112】
また、ステップS27においては、給電位置Sの中心位置の移動ベクトルと進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)とのなす角θを、車両状態センサ35のジャイロセンサ(あるいは加速度センサ)または舵角センサから逐次出力される検出結果の信号に基づき算出する。
【0113】
そして、進行方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の前後方向後方)の移動量(前後移動距離)dY(=V×T)を、車両状態センサ35の車速センサから逐次出力される検出結果(車速V)の信号と、移動時間Tとにより算出する。
さらに、垂直方向(つまり、電気自動車10の後進時における電気自動車10の左右方向)の移動量(左右移動距離)dX(=dY×tanθ)を、前後移動距離dYと、角θとにより算出する。
【0114】
次に、ステップS28においては、前後移動距離dYおよび左右移動距離dXと、この時点で設定されている左右距離Xおよび前後距離Yとに基づき、この時点での給電位置Sの中心位置から受電位置の中心位置までの左右距離X(=X−dX)および前後距離Y(=Y−dY)を算出する。
そして、給電位置から受電位置までの方向および距離の情報を文字画像などによって示す情報画像IPを擬似映像P上に重畳する。
【0115】
そして、ステップS29においては、給電位置は受電位置に到達したか否かを判定する。
なお、この判定において、給電位置が受電位置に到達した場合とは、鉛直方向から見て給電位置の中心位置と受電位置の中心位置とが一致した場合に限らず、例えばそれぞれに所定の大きさを有する給電位置と受電位置とが鉛直方向から見て重なりを有する場合や、例えば給電位置の中心位置が鉛直方向から見て所定の大きさを有する受電位置に到達した場合などを含んでいてもよい。
【0116】
ステップS29の判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS24に戻る。
一方、ステップS29の判定結果が「YES」の場合には、ステップS30に進む。
そして、ステップS30においては、位置合わせが完了したことを運転者に通知し、エンドに進む。
【0117】
なお、上述した第2変形例において、表示制御部43は、表示装置38の表示画面Dでの表示を、実映像Rから擬似映像Pへと切り換えるとしたが、これに限定されず、例えば図9(A)〜(D)に示す第3変形例に係る表示画面Dのように、表示装置38の表示画面Dの表示領域を、例えば上下方向などにおいて2つの表示領域E1,E2などに分割し、各実映像Rおよび擬似映像Pを各表示領域E1,E2において同時に表示してもよい。
【0118】
なお、上述した実施の形態および第1〜第3変形例において、電気自動車10は、フロントカメラを備え、給電位置に向かい前進する状態では、リアカメラ34の代わりにフロントカメラを用いてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10 電気自動車
11 交流電源
12 送電装置
18 送信アンテナ(給電部)
21 バッテリ(蓄電装置)
22 車両受信アンテナ(受電部)
33 モータ(走行用モータ)
34 リアカメラ(カメラ装置)
38 表示装置(モニター部)
42 擬似映像生成部(擬似映像生成手段)
44 追従部(追従手段、給電位置確定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用モータと、
前記走行用モータへの供給電力を蓄電可能な蓄電装置と、
車両床下に配置された受電部とを備える非接触充電方式の電気自動車であって、
路面を含む前記電気自動車の進行方向の実映像を撮影するカメラ装置と、
車室内に設けられ、少なくとも前記カメラ装置で撮影された実映像、及び前記受電部の位置を含む前記車両床下の路面方向の擬似映像を映写するモニター部と、
前記モニター部に映写された前記実映像上で前記路面上に配置された給電部が前記進行方向の車体端部に到達した時点において、前記給電部の位置を前記擬似映像に合成する擬似映像生成手段と、
前記擬似映像上で前記給電部の位置を前記進行方向に対応して追従させる追従手段とを備え、
前記追従手段は、前記実映像上で前記給電部の中心位置が前記車体端部と重なる位置において、前記車両床下の平面上で前記進行方向に対して垂直方向での前記受電部の位置との間の距離を演算し、該演算結果と、前記進行方向の移動量および前記垂直方向の移動量を示すパラメータとによって前記給電部の推定位置を導出することを特徴とする電気自動車。
【請求項2】
前記追従手段は、前記給電部の位置を前記実映像上で確定する給電位置確定手段を有し、
前記給電位置確定手段は、前記電気自動車の運転者が前記実映像上に前記給電部を確認した際の前記運転者の手動設定により作動することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
【請求項3】
前記給電位置確定手段は、前記モニター部に映写された前記実映像上で前記路面上に配置された前記給電部が前記進行方向の前記車体端部に到達した時点において作動可能となることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車。
【請求項4】
前記追従手段は、前記給電部の位置を前記実映像上で確定する給電位置確定手段を有し、
前記給電位置確定手段は、前記実映像上に前記給電部が存在すると判定した場合の自動設定により作動することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
【請求項5】
前記パラメータは車速と加速度センサの検出結果であることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
【請求項6】
前記パラメータは車速と舵角センサの検出結果であることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
【請求項7】
前記パラメータは測位信号による位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記モニター部は、前記実映像と前記擬似映像とを異なる表示領域に同時に表示することを特徴とする請求項1乃至7に記載の電気自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175764(P2012−175764A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33529(P2011−33529)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】