説明

電気製品の解体前処理方法及び電気製品の清浄化装置

【課題】廃棄電気製品から塵埃等の除去を確実に行い得る電気製品の清浄化装置を提供する。
【解決手段】電気製品の清浄化装置は、(a)電気製品60Aを清浄化するために電気製品を収納する清浄化室20、(b)電気製品60Aに振動を与える振動装置30、(c)電気製品60Aに高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置40、及び、(d)電気製品60Aの清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置50を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品の解体前処理方法及び電気製品の清浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
資源の有効活用、地球環境保全を目的として、廃棄電気製品が解体され、構成部材、構成部品毎に分別再生処理(リサイクル)されている。特に、2001年4月より特定家庭用機器再商品化法が施行され、家庭用の家庭用エア・コンディショナー、テレビジョン受像機(ブラウン管式及び液晶・プラズマ式)、家庭用の電気冷蔵庫及び電気冷凍庫 、並びに、家庭用の電気洗濯機及び衣類乾燥機のリサイクルが義務付けられている。
【0003】
廃棄電気製品の解体時に発生する塵埃等を除去するために、種々の方法、装置が開発されている(例えば、特開平10−248042や特開2009−273974参照)。これらの特許公開公報に開示された技術にあっては、圧縮空気を廃棄電気製品に吹き付けることで、廃棄電気製品の塵埃等の除去を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−248042
【特許文献2】特開2009−273974
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、塵埃等の廃棄電気製品への付着状態に依存して、圧縮空気を廃棄電気製品に吹き付けるだけでは、廃棄電気製品の塵埃等の除去が困難である場合が多い。
【0006】
従って、本発明の目的は、廃棄電気製品から塵埃等の除去を確実に行い得る電気製品の解体前処理方法、及び、係る電気製品の解体前処理方法の実行に適した電気製品の清浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る電気製品の解体前処理方法(以下、『本発明の第1の態様に係る解体前処理方法』と呼ぶ)は、電気製品を解体する前に、電気製品に振動を与えながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化することを特徴とする。尚、『振動』には、衝撃及び打撃が包含される。以下においても同様である。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る電気製品の清浄化装置(以下、『本発明の第1の態様に係る清浄化装置』と呼ぶ)は、
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室、
(b)電気製品に振動を与える振動装置、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の本発明の第1の態様に係る解体前処理方法あるいは本発明の第1の態様に係る清浄化装置(以下、これらを総称して、単に、『本発明の第1の態様』と呼ぶ場合がある)にあっては、限定するものではないが、電気製品の上下方向に振動を与えながら、電気製品の少なくとも側面に高圧流体を吹き付ける形態とすることが好ましい。
【0010】
そして、上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様において、電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室外機であり、清浄化する電気製品の部分は室外機の内部である構成とすることができ、この場合、室外機の底面を上に向けた状態で電気製品を清浄化することが望ましい。あるいは又、電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室内機であり、清浄化する電気製品の部分は室内機の内部である構成とすることができる。あるいは又、電気製品は平面型表示装置(具体的には、液晶表示装置及びプラズマ表示装置)であり、清浄化する電気製品の部分は平面型表示装置の背面部の内部である構成とすることができる。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る電気製品の解体前処理方法(以下、『本発明の第2の態様に係る解体前処理方法』と呼ぶ)は、電気製品を解体する前に、電気製品を回転するブラシに接触させながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様に係る解体前処理方法において、ブラシは、首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能である形態とすることが好ましい。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る電気製品の清浄化装置(以下、『本発明の第2の態様に係る清浄化装置』と呼ぶ)は、
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室、
(b)首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能であるブラシ、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
上記の好ましい形態を含む本発明の第2の態様に係る解体前処理方法あるいは本発明の第2の態様に係る清浄化装置(以下、これらを総称して、単に、『本発明の第2の態様』と呼ぶ場合がある)において、電気製品は家庭用冷蔵庫であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用冷蔵庫のコンプレッサ取付部である構成とすることができる。あるいは又、電気製品は家庭用洗濯機であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用洗濯機のモータ取付部である構成とすることができる。
【0015】
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る解体前処理方法にあっては、電気製品を清浄化室内に収納した状態で電気製品を清浄化することが好ましい。そして、電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体は、高圧流体清浄装置によって清浄化することが望ましい。
【0016】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様にあっては、電気製品として、その他、家庭用の電気冷凍庫、家庭用の衣類乾燥機、電子レンジ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、ビデオテープレコーダ、DVDレコーダ、DVDプレーヤー、CDレコーダ、CDプレーヤー、オーディオ装置、各種家庭電気製品を例示することができる。
【0017】
電気製品に振動(衝撃、打撃を含む)を与える振動装置は、如何なる形式、構造、構成の装置とすることもでき、例えば、ピストンによる打撃機構を有する工具、具体的には、例えば、圧縮空気源(エアコンプレッサ)と、チェック弁と、振動を与えるために圧縮空気で駆動される振動付与部(バットとも呼ばれる)と、これらを連結する配管(ホース)から構成されたサンドランマーを例示することができる。あるいは又、ベビーハンマー、電気ハンマー、エア式バイブレータ、電気式バイブレータを例示することもできる。
【0018】
本発明の第2の態様において使用されるブラシは、首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能であるが、このような構成、構造のブラシを含むブラシ組立体として、例えば、ブラシが取り付けられたモータをボールジョイント(ボール継手)に取り付け、ボールジョイントを油圧シリンダーや空気圧シリンダー、モータを用いて移動させる構成、構造を例示することができる。ブラシは、1つ、又は、2つ以上の複数とすればよい。また、ブラシは、ナイロンブラシ等、周知のブラシとすればよい。
【0019】
電気製品を清浄化するために電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置として、高圧流体源と、ノズルと、これらを連結する配管(ホース)から構成された装置を挙げることができる。高圧流体として、空気、水蒸気(スチーム)、水(温水)等の液体を挙げることができるし、高圧流体源は、これらの高圧流体を適切に生成し得る装置(例えば、エアコンプレッサやボイラー、ポンプ等)とすればよい。ノズルは、1つ、又は、2つ以上の複数とすればよい。また、ノズルは、清浄化室内に移動自在に配置すればよく、あるいは又、清浄化室の側壁等に取り付ければよい。
【0020】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る解体前処理方法にあっては、電気製品に高圧流体を吹き付けることで電気製品を清浄化するが、電気製品への高圧流体の吹付け角度、高圧流体の吹付け量、高圧流体の吹付け圧力、高圧流体の吹付け時間等は、種々の試験を行い、適宜、決定すればよい。解体前処理すべき電気製品に応じて、電気製品への高圧流体の吹付け角度を変えたり、高圧流体の吹付け量、高圧流体の吹付け圧力、高圧流体の吹付け時間等を変えてもよく、これらの変更は制御装置において、適宜、行えばよい。
【0021】
高圧流体清浄装置は、使用する高圧流体に適したものを適宜選択すればよく、高圧流体として空気を使用する場合、電気製品に付着した塵埃等を空気中から除去するためのサイクロン集塵機や電気式集塵機等を例示することができる。また、高圧流体として水蒸気や水(温水)を使用する場合、電気製品に付着した塵埃等をこれらから除去するための廃水処理等を例示することができる。
【0022】
清浄化室は、電気製品を搬入し、収納し、搬出できる構造を有するものであれば、如何なる構造、形式、構成のものも用いることができる。清浄化室内における電気製品の収納に際しては、電気製品からの塵埃等が清浄化室の床や電気製品載置部の上に溜まらないように、床あるいは電気製品載置部を、簀の子状やメッシュ状の部材から構成したり、一種のローラコンベアから構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の態様に係る電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置にあっては、電気製品に振動を与えながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化する。また、本発明の第2の態様に係る電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置にあっては、電気製品を回転するブラシに接触させながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化する。従って、単に、電気製品に高圧流体を吹き付けることで電気製品を清浄化することに比べて、確実に塵埃等の除去を行うことができる。しかも、電気製品を解体する前に電気製品を清浄化するので、電気製品の解体作業場の環境を汚染することもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、実施例1の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図である。
【図2】図2は、実施例2の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図である。
【図3】図3は、実施例3の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図である。
【図4】図4の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例4の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図、並びに、ブラシ組立体の模式図である。
【図5】図5は、実施例5の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。
【実施例1】
【0026】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置に関する。実施例1の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図を図1に示す。実施例1の電気製品の清浄化装置10Aは、
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室20、
(b)電気製品に振動を与える振動装置30、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置40、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置50、
を備えている。
【0027】
具体的には、電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室外機60Aであり、清浄化する電気製品の部分は室外機60Aの内部である。そして、室外機60Aの底面60aを上に向けた状態で電気製品(室外機60A)を清浄化する。また、電気製品の上下方向に振動を与えながら、電気製品の少なくとも側面に高圧流体を吹き付ける。より具体的には、例えば、室外機60Aのハウジングの側面に設けられた放熱用のスリット部に高圧流体を吹き付ける。
【0028】
清浄化室20は、電気製品を搬入し、収納し、搬出できる、扉を有する箱状の形状を有し、電気製品を載置するための一種のローラコンベア22が配置されている。
【0029】
電気製品に振動を与える振動装置30は、圧縮空気源(エアコンプレッサ)31と、チェック弁32と、振動を与えるために圧縮空気で駆動される振動付与部(バット)33と、これらを連結する配管(ホース)34から構成されたサンドランマーから成る。振動付与部33は上下に移動可能である。電気製品の底面と接触した振動付与部33に圧縮空気によって振動を与えることで、電気製品を上下方向に振動させることができる。
【0030】
電気製品を清浄化するために電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置40は、高圧流体源41とノズル42とこれらを連結する配管(ホース)43から構成されている。高圧流体として空気を用いる。また、高圧流体源は、エアコンプレッサから成る。複数のノズル42が清浄化室20の側壁21に取り付けられている。
【0031】
高圧流体清浄装置50は、電気製品に付着した塵埃等(例えば砂や埃、綿埃等)を空気中から除去するためのサイクロン集塵機51、ブロアー(図示せず)、及び、清浄化室20とサイクロン集塵機51とを結ぶ配管52から構成されている。
【0032】
実施例1の電気製品の解体前処理方法にあっては、電気製品を解体する前に、先ず、ローラコンベア22に、室外機60Aの底面60aを上に向けた状態で電気製品(室外機60A)を載置し、清浄化室20に搬入して、清浄化室20内に収納する。尚、例えば、角パイプ等から構成されたパレットに電気製品を載せ、ローラコンベア22にパレットを載置してもよい。そして、振動付与部33を下降させて、振動付与部33を室外機60Aの底面60aに接触させる。次いで、清浄化室20を、一種、密閉状態とした後、振動付与部33を上下に振動させることで電気製品に振動を与えながら、電気製品にノズル42から高圧流体(圧縮空気)を吹き付けることで、電気製品から塵埃等を除去し(吹き飛ばし)て清浄化する。塵埃等を含む空気はサイクロン集塵機51に送られ、サイクロン集塵機51にて塵埃等は空気から除去される。
【0033】
電気製品の清浄化が完了したならば、振動付与部33の動作、ノズル42からの高圧流体(圧縮空気)の吹付けを中止し、振動付与部33を上方に移動して電気製品との接触を解き、清浄化室20から搬出する。その後、電気製品の解体処理を行えばよい。
【0034】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例3の電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置にあっては、廃棄電気製品に振動を与えながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化する。従って、単に、電気製品に高圧流体を吹き付けることで電気製品を清浄化することに比べて、確実に塵埃等の除去を行うことができる。しかも、電気製品を解体する前に電気製品を清浄化するので、電気製品の解体作業場の環境を汚染することもない。
【実施例2】
【0035】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図を図2に示す。実施例2にあっては、電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室内機60Bであり、清浄化する電気製品の部分は室内機60Bの内部である。実施例2にあっては、室内機60Bの空気吹出し口(図示せず)に向けて、ノズル42から高圧流体(圧縮空気)を吹き付ければよい。これらの点を除き、実施例2の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法は、実施例1の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0036】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図を図3に示す。実施例3にあっては、電気製品は平面型表示装置60C(具体的には、液晶表示装置及びプラズマ表示装置)であり、清浄化する電気製品の部分は平面型表示装置60Cの背面部60cの内部である。平面型表示装置60Cの裏面(背面)パネルを付けた状態で解体前処理方法を行う。即ち、実施例3にあっては、平面型表示装置60Cの画像表示面を下側とし、裏面(背面)パネルを上側とし、平面型表示装置60Cの裏面(背面)パネルに設けられた放熱用のスリット部(図示せず)に向けて、ノズル42から高圧流体(圧縮空気)を吹き付ければよい。これらの点を除き、実施例3の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法は、実施例1の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。尚、平面型表示装置の裏面(背面)パネルを外した状態で解体前処理方法を行ってもよい。
【実施例4】
【0037】
実施例4は、本発明の第2の態様に係る電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置に関する。実施例4の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図を図4の(A)に示す、ブラシ組立体の模式図を図4の(B)に示す。実施例4の電気製品の清浄化装置10Bは、
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室20、
(b)首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能であるブラシ71、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置40、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置50、
を備えている。
【0038】
具体的には、電気製品は家庭用冷蔵庫60Dであり、清浄化する電気製品の部分は家庭用冷蔵庫60Dのコンプレッサ取付部60dである。家庭用冷蔵庫60Dを、通常と同じように置かれた状態とし、コンプレッサ取付部60dが下方の側方に露出した状態で、コンプレッサ(圧縮機)やその他の部品、配管、配線、コンプレッサ取付部内壁面等に対する解体前処理方法を行う。尚、コンプレッサの図示は省略している。
【0039】
清浄化室20、高圧流体吹付け装置40、高圧流体清浄装置50の構成、構造は、実施例1において説明した清浄化室20、高圧流体吹付け装置40、高圧流体清浄装置50の構成、構造と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。尚、複数のノズル42は、実施例1と異なり、次に述べるように、台座75に取り付けられている。
【0040】
実施例4において使用されるブラシ71を備えたブラシ組立体70は、ブラシ71が取り付けられたモータ72を、台座75に取り付けられたボールジョイント(ボール継手)73及びスプリング74に取り付け、ボールジョイント73を取り付けた台座75を空気圧シリンダー76を用いて移動させる構成、構造を有する。実施例4にあっては、3つのブラシ組立体70を電気製品の清浄化装置10Bに組み込んだ。尚、3つのブラシが水平方向に並置された構造を有するが、これに限定するものではない。図面においては、ブラシ71がコンプレッサ取付部60dと十分に接していないように図示しているが、実際には、ブラシ71はコンプレッサ取付部60dと十分に、且つ、確実に接している。
【0041】
実施例4の電気製品の解体前処理方法にあっては、電気製品を解体する前に、先ず、ローラコンベア22に電気製品(家庭用冷蔵庫60D)を載置し、清浄化室20に搬入して、清浄化室20内に収納する。そして、清浄化室20を、一種、密閉状態とした後、モータ72の作動によってブラシ71を回転させながら、空気圧シリンダー76を作動させて、ブラシ71を電気製品に向かう方向に移動させ、更に、ブラシ71をコンプレッサ取付部60dの内部に挿入する。そして、この状態で、電気製品(より具体的には、コンプレッサ取付部60d)にノズル42から高圧流体(圧縮空気)を吹き付けることで、電気製品から塵埃等を除去し(吹き飛ばし)て清浄化する。塵埃等を含む空気はサイクロン集塵機51に送られ、サイクロン集塵機51にて塵埃等は空気から除去される。ブラシ71は、ボールジョイント73に取り付けられているので、首振り自在であり、コンプレッサ取付部60dの内部と自在に接触し得る。
【0042】
電気製品の清浄化が完了したならば、空気圧シリンダー76を作動させて、ブラシ71を電気製品から離れる方向に移動させ、コンプレッサ取付部60dから抜き出し、モータ72の作動の動作、ノズル42からの高圧流体(圧縮空気)の吹付けを中止する。そして、清浄化室20から搬出し、電気製品の解体処理を行えばよい。
【0043】
実施例4あるいは後述する実施例5の電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置にあっては、廃棄電気製品を回転するブラシに接触させながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化する。従って、単に、電気製品に高圧流体を吹き付けることで電気製品を清浄化することに比べて、確実に塵埃等の除去を行うことができる。しかも、電気製品を解体する前に電気製品を清浄化するので、電気製品の解体作業場の環境を汚染することもない。特に、ブラシを用いることで、電気製品に頑強に付着していた塵埃等を確実に除去することができる。
【実施例5】
【0044】
実施例5は実施例4の変形である。実施例5の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法の概念図を図5に示す。実施例5にあっては、電気製品は家庭用洗濯機60Eであり、清浄化する電気製品の部分は家庭用洗濯機60Eのモータ取付部60eである。尚、モータや洗濯槽の図示は省略した。具体的には、家庭用洗濯機60Eを横倒しとし、モータ取付部60eが側方に露出した状態で、モータや洗濯槽、その他の部品、配線、モータ取付部内壁面等に対する解体前処理方法を行う。この点を除き、実施例5の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法は、実施例4の電気製品の清浄化装置及び解体前処理方法と同様とすればよいので、詳細な説明は省略する。尚、ブラシ71の数を、実施例5にあっては、例えば、上下2段、1段2つの合計、4つとしたが、これに限定するものではない。
【0045】
以上、本発明の電気製品の解体前処理方法及び清浄化装置を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。清浄化装置の構成要素、構成部品、清浄化装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
10A,10B・・・清浄化装置、20・・・清浄化室、21・・・側壁、22・・・ローラコンベア、30・・・振動装置、31・・・圧縮空気源(エアコンプレッサ)、32・・・チェック弁、33・・・振動付与部(バット)33、34・・・配管(ホース)、40・・・高圧流体吹付け装置、41・・・高圧流体源、42・・・ノズル、43・・・配管(ホース)、50・・・高圧流体清浄装置、51・・・サイクロン集塵機、52・・・配管、60A,60B,60C,60D,60E・・・電気製品、60c・・・背面部、60d・・・コンプレッサ取付部、60e・・・モータ取付部、70・・・ブラシ組立体、71・・・ブラシ、72・・・モータ、73・・・ボールジョイント(ボール継手)、74・・・スプリング、75・・・台座、76・・・空気圧シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気製品を解体する前に、電気製品に振動を与えながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化することを特徴とする電気製品の解体前処理方法。
【請求項2】
電気製品の上下方向に振動を与えながら、電気製品の少なくとも側面に高圧流体を吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項3】
電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室外機であり、清浄化する電気製品の部分は室外機の内部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項4】
室外機の底面を上に向けた状態で電気製品を清浄化することを特徴とする請求項3に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項5】
電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室内機であり、清浄化する電気製品の部分は室内機の内部であることを特徴とする請求項1に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項6】
電気製品は平面型表示装置であり、清浄化する電気製品の部分は平面型表示装置の背面部の内部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項7】
電気製品を清浄化室内に収納した状態で電気製品を清浄化することを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項8】
電気製品を解体する前に、電気製品を回転するブラシに接触させながら、電気製品に高圧流体を吹き付けることで、電気製品を清浄化することを特徴とする電気製品の解体前処理方法。
【請求項9】
ブラシは、首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能であることを特徴とする請求項8に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項10】
電気製品は家庭用冷蔵庫であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用冷蔵庫のコンプレッサ取付部であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項11】
電気製品は家庭用洗濯機であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用洗濯機のモータ取付部であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項12】
電気製品を清浄化室内に収納した状態で電気製品を清浄化することを特徴とする請求項8乃至請求項11に記載の電気製品の解体前処理方法。
【請求項13】
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室、
(b)電気製品に振動を与える振動装置、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置、
を備えていることを特徴とする電気製品の清浄化装置。
【請求項14】
電気製品の上下方向に振動を与えながら、電気製品の少なくとも側面に高圧流体を吹き付けることを特徴とする請求項13に記載の電気製品の清浄化装置。
【請求項15】
電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室外機であり、清浄化する電気製品の部分は室外機の内部であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の電気製品の清浄化装置。
【請求項16】
電気製品は家庭用エア・コンディショナーの室内機であり、清浄化する電気製品の部分は室内機の内部であることを特徴とする請求項13に記載の電気製品の清浄化装置。
【請求項17】
電気製品は平面型表示装置であり、清浄化する電気製品の部分は平面型表示装置の背面部の内部であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の電気製品の清浄化装置。
【請求項18】
(a)電気製品を清浄化するために電気製品を収納する清浄化室、
(b)首振り自在であり、且つ、電気製品に向かう方向及び電気製品から離れる方向に移動可能であるブラシ、
(c)電気製品に高圧流体を吹き付ける高圧流体吹付け装置、及び、
(d)電気製品の清浄化のために用いられた高圧流体を清浄化するための高圧流体清浄装置、
を備えていることを特徴とする電気製品の清浄化装置。
【請求項19】
電気製品は家庭用冷蔵庫であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用冷蔵庫のコンプレッサ取付部であることを特徴とする請求項18に記載の電気製品の清浄化装置。
【請求項20】
電気製品は家庭用洗濯機であり、清浄化する電気製品の部分は家庭用洗濯機のモータ取付部であることを特徴とする請求項18に記載の電気製品の清浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−183330(P2011−183330A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52659(P2010−52659)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(501282659)グリーンサイクル株式会社 (5)
【Fターム(参考)】