説明

電気音響変換器および該電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器

【課題】小型軽量で、低周波広帯域の音波放射を可能とし、音響変換効率が高い電気音響変換器および該電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器を提供する。
【解決手段】電気音響変換器10は、媒質中に音波を放射する音響放射板12と、振動子18を備える屈曲振動板16と、音響放射板12および屈曲振動板16の外周部同士を結合する第1結合部14とを有する第1の電気音響変換ユニットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換器に関し、特に、水等の媒質中に音響放射する電気音響変換器および該電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
水等の媒質中に音波を放射する電気音響変換器は、例えば、ソーナー用送信器として、海洋資源探査、あるいは海流調査等に使用される。水中において低周波数の音波は、高周波数のそれと比較して伝搬損失が小さく、より遠方まで到達することができる。従って、この電気音響変換器に対しては、より低周波数の音波を放射する能力が要望されている。一方、通常、この電気音響変換器は船舶や航空機に搭載されるので、より小型で電力効率が高い電気音響変換器が望まれている。上記各要請に応えるべく、従来から様々な構造の電気音響変換器が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、円環状の圧電セラミックスを複数積層して構成したアクティブ柱状体をフロントマス及びリアマスで挟み、両者をボルトで締めたボルト締めランジュバン構造の電気音響変換器が提案されている。この電気音響変換器は縦振動モードにより音波を媒質中に放射する。縦振動は大きな電気機械結合係数が得られるので、この電気音響変換器は、フロントマスから強力な音波を放出することができる。
【0004】
一方、特許文献2には、圧電磁器等の振動子を嵌め込んだ金属ディスク(音響放射板)同士を張り合わせた電気音響変換器が提案されている。この電気音響変換器は、屈曲振動モードにより音波を媒質中に放射する。屈曲振動の共振周波数は、前述の縦振動のそれと比較して低い。すなわち、この電気音響変換器は、出力音波の周波数を低くすることができる。さらに、この電気音響変換器は、例えば、特許文献1の電気音響変換器に比べて、その音響放射面の装置体積に占める割合が大きい。すなわち、この電気音響変換器は、小型軽量化に適した構造である。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−176399号公報(従来の技術)
【特許文献2】特開平5−219588号公報(段落[0010][0011])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気音響変換器において出力可能な最も低い周波数は、振動板の最低共振周波数で決まる。そして、縦振動の場合、その共振周波数は、振動板(フロントマスやリアマス)の質量とばね(アクティブ柱状体)のスチフネスとによって決まる。従って、縦振動を利用した電気音響変換器において出力周波数を低くしようとする場合、フロントマスやリアマスを重くし、あるいは、アクティブ柱状体を長くしなければならない。すなわち、この電気音響変換器は、出力音波の低周波数化と小型軽量化とを両立することができない。
【0007】
一方、特許文献2に開示の電気音響変換器は、音響放射板に振動子を直接取り付け且つ音響放射板同士をその外周部において固定する構造を採用する。外周部を支点とする屈曲振動は、中心部での振幅は大きいものの外周部に至るに従い振幅が徐々に小さくなり、固定部近傍では殆ど振動しない。上記構造の場合、媒質排除に寄与するのは音響放射板の中央部及びその近傍のみであって、外周部は殆ど役に立っていない。すなわち、この電気音響変換器は、音響変換効率が低いという欠点を有する。
【0008】
さらに、この電気音響変換器は、上述したように、振動子を音響放射板に直接取り付ける構成を採用し、しかも、一般的に振動子は音響放射板に比べてかなり重い。すなわち、この電気音響変換器の場合、振動子を含む音響放射板の重量が増すため、その屈曲振動の共振は非常に鋭いものとなってしまう。このことは広帯域化が望まれる電気音響変換器においては改善すべき課題である。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、小型軽量で、低周波広帯域の音波放射を可能とし、音響変換効率が高い電気音響変換器および該電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の電気音響変換器は、媒質中に音波を放射する音響放射板と、振動子を備える屈曲振動板と、前記音響放射板および前記屈曲振動板の外周部同士を結合する第1結合部とを有する第1の電気音響変換ユニットを備える。
【0011】
この場合、前記第1の電気音響変換ユニットの前記屈曲振動板の中央部が第2結合部により支持部材に結合されている構成を採用することができ、あるいは、一対の前記第1の電気音響変換ユニット同士を対向配置し、各第1の電気音響変換ユニットの前記屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されている構成を採用することもできる。
【0012】
また、前記第2結合部を中空状に形成することもできる。
【0013】
また、各々に少なくとも1つの振動子を備えた一対の屈曲振動板が第3結合部により結合された第2の電気音響変換ユニットが、前記一対の第1の電気音響変換ユニットの間に配置され、前記第1および第2の電気音響変換ユニットの屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されている構成であってもよい。また、少なくとも1つの振動子を備えた屈曲振動板と板部材とが第3結合部により結合された第3の電気音響変換ユニットが、前記一対の第1の電気音響変換ユニットの間に配置され、前記第1および第3の電気音響変換ユニットの屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されている構成であってもよい。
【0014】
また、前記各屈曲振動板の外周部同士を封止することができ、あるいは前記屈曲振動板を高次の振動モードで振動させることもできる。
【0015】
前記音響放射板が振動子を備える構成を採用することができる。この場合、前記音響放射板の屈曲振動モードにおける共振周波数と前記屈曲振動板の共振周波数とを等しくすることができる。
【0016】
前記屈曲振動板の両面に前記振動子を設けることもでき、あるいは前記屈曲振動板のいずれか一方の面のみに前記振動子を設けることもできる。
【0017】
前記第1結合部を、前記音響放射板または前記屈曲振動板と一体形成することができ、また、前記第1結合部をヒンジ構造とすることもできる。
【0018】
前記第2結合部を、前記屈曲振動板と一体形成し、あるいはヒンジ構造とすることができる。
【0019】
本発明のソーナー用送信器は、上述した各電気音響変換器の内の少なくとも1つの電気音響変換器を搭載する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電気音響変換器は、屈曲振動板の屈曲変位を音響放射板の並進変位に変換することで媒質を排除する。この場合の媒質排除体積は、単に音響放射板が屈曲振動した場合の媒質排除体積よりも大きい。すなわち、この電気音響変換器は、音響変換効率をより一層高めることができる。
【0021】
また、本発明の電気音響変換器の場合、音響放射板を、振動子が貼り付けられていない単なる板部材とすることができる。すなわち、この電気音響変換器は、音響放射板を軽量なものとすることができるから、音響放射板の屈曲振動の共振を緩やかなものすることができ、結果として、広帯域の音波を放射することができる。
【0022】
さらに、本発明の電気音響変換器は、音波を媒質中に放射するのに、屈曲振動を利用する。屈曲振動の共振周波数は、縦振動のそれと比較して低い。すなわち、この電気音響変換器は、出力周波数を低くすることができる。しかも、屈曲振動を利用した電気音響変換器は、小型軽量化に適した構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照して以下詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態(基本構造)に係る電気音響変換器10の縦断面図の一例である。この電気音響変換器10は、水等の媒質中に音波を放射する円板状の音響放射板12を備える。音響放射板12の外周部にはリング状の第1結合部14を介して屈曲振動板16が結合される。屈曲振動板16には円板状の振動子18が接着剤等により貼り付けられている。振動子18は、印加された電圧に対応して径方向に拡がり変位する。電気音響変換器10の全体は、シールド部材20によってシールドされ、上記の各構成要素は、周囲の水等の媒質から絶縁されている。
【0025】
次に、この電気音響変換器10の動作について説明する。図2は、この電気音響変換器10における屈曲振動板16と音響放射板12の変位状態を説明する図である。振動子18が所定の電圧を受け径方向において拡がり変位し、この拡がり変位を拘束した屈曲振動板16は、図2において黒矢印で示すように、基準平面(屈曲振動板16が屈曲変位していない状態の平面)Pに対して反るような方向に屈曲する。ここで、屈曲振動板16の屈曲振幅をaとする。そして、前述したとおり、屈曲振動板16の外周部は第1結合部14を介して音響放射板12と結合されている。従って、音響放射板12は、図2において白抜き矢印で示すように、屈曲振動板16の屈曲変位により振幅aだけ並進し、これによって音波を水等の媒質中に放射する。この場合、この電気音響変換器50の媒質排除体積は、屈曲振動板16の振幅aと音響放射板12の面積の積となる。
【0026】
この場合の媒質排除体積は、単に音響放射板16が屈曲振動した場合の媒質排除体積よりも大きい。すなわち、この電気音響変換器10は、前記従来の電気音響変換器に比べて音響変換効率をより一層高めることができる。
【0027】
また、この電気音響変換器10においては、上記説明した構成上、音響放射板12を、振動子18が貼り付けられていない単なる板部材とすることができる。すなわち、この電気音響変換器10は、音響放射板12を軽量なものとすることができるから、音響放射板12の屈曲振動の共振を緩やかなものとすることができ、結果として、広帯域の音波を放射することができる。
【0028】
さらに、この電気音響変換器10は、音波を媒質中に放射するのに、屈曲振動を利用する。屈曲振動の共振周波数は、縦振動のそれと比較して低い。すなわち、この電気音響変換器10は、出力周波数を低くすることができる。しかも、屈曲振動を利用した電気音響変換器は、小型軽量化に適した構造である。
【0029】
尚、上記の音響放射板12および第1結合部14は、軽量で且つ剛性の高い材料、例えば、鉄やアルミニウム等の金属材料で形成される。屈曲振動板16は、アクティブに伸縮しない材料、例えば、アルミニウム等によって形成される。振動子18は、圧電セラミックス等の電歪材料や磁歪材料で形成される。
【0030】
また、上記において、音響放射板12および屈曲振動板16の外周部同士を第1結合部14で結合すると説明したが、ここでの「外周部」とは必ずしも端部のみを示すのではなく、端部よりも多少内側に奥まった部分も含むものとする。
【0031】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電気音響変換器50の縦断面図の一例である。電気音響変換器50の電気音響変換器10に対する差異は、第2結合部52により屈曲振動板16の中央部を支持部材54に結合する点にある。このようにすることにより、音響放射の方向を支持部材54に対して垂直な方向(図3において矢印Xで示す方向)に固定することができる。
【0032】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る電気音響変換器100の縦断面図の一例である。図2に示す電気音響変換器50との差異は、この電気音響変換器100が、2枚の音響放射板12、12を対向配置する構造を採用した点にある。すなわち、この電気音響変換器100は、各々に第1結合部14を介して音響放射板12を結合する一対の屈曲振動板16の中央部同士を第2結合部52により結合する。このように構成することにより、複数の方向に同時に音響放射することが可能となる。さらに、屈曲振動板16同士は第2結合部52を中心として対称構造となるので、その振動バランスは向上する。
【0033】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る電気音響変換器150の縦断面図の一例である。この電気音響変換器150の特徴は、第3の実施形態の電気音響変換器100において円柱状であった第2結合部52の内部を中空状、例えば、円環状に形成した第2結合部152とする点にある。これに対応して、各屈曲振動板154、154および各振動子156、156の形状を円環状とする。このようにして形成された空間内部にこの電気音響変換器150に関連する部品、例えば、振動子156を駆動するマッチングトランス、あるいは、本実施の形態の各電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器を構成する部品等を内蔵することができる。尚、上記の例では、屈曲振動板154および振動子156を第2結合部152に対応して円環状に形成する例を挙げたが、必ずしもこれに限定されず、屈曲振動板154および振動子156は円板状のままであってもよい。
【0034】
図6は、本発明の第5の実施形態に係る電気音響変換器200の縦断面図の一例である。この電気音響変換器200は、一対の屈曲振動板12、12の間に、第2結合部52、52を介して屈曲振動板ユニット202を結合する。屈曲振動板ユニット202は、各々に少なくとも1つの振動子18を備える一対の屈曲振動板16、16と、この一対の屈曲振動板16、16同士をその外周部において結合する第3結合部204とで構成される。このように振動子18を搭載する屈曲振動板16を積層する構成を採用することにより、音響放射板12をより大きく変位させることができる。
【0035】
尚、上記において、一対の屈曲振動板16、16同士をその外周部において第3結合部204により結合すると説明したが、ここでの「外周部」とは必ずしも屈曲振動板16の端部のみを示すのではなく、端部よりも多少内側に奥まった部分も含むものとする。
【0036】
さらに、図6に示す屈曲振動板ユニット202において、一対の屈曲振動板16、16同士は、第3結合部204を介してその外周部において結合されているが、これに限定されず、例えば、別の結合部でもってその中央部分を結合することができる。
【0037】
さらに、屈曲振動ユニット202を、少なくとも1つの振動子18を備える1枚の屈曲振動板16と1枚の板部材(例えば、振動子18を備えない屈曲振動板16)とで構成することができる。
【0038】
図7は、本発明の第6の実施形態に係る電気音響変換器250の縦断面図の一例である。この電気音響変換器250の特徴は、屈曲振動板16、16同士の外周部全域を密封部材252で密封することで、一対の屈曲振動板16、16で形成される空間に媒質が流入するのを防止し、この空間を空気室とする点にある。これにより屈曲振動板16の変位が媒質によって阻害されることがなく、従って、屈曲振動板16、16間の媒質の吸い込みによる媒質排除体積低下を回避することができる。この構成は、電気音響変換器250をシールド部材20によりシールドせずに水中で使用する場合に有効である。
【0039】
尚、上記において、屈曲振動板16、16同士の外周部全域を密封部材252により密封すると説明したが、ここでの「外周部」とは必ずしも屈曲振動板16の端部のみを示すのではなく、端部よりも多少内側に奥まった部分も含むものとする。
【0040】
図8は、本発明の第7の実施形態に係る電気音響変換器300の縦断面図の一例である。この電気音響変換器300の特徴は、屈曲振動板16だけではなく音響放射板12にも振動子18を取り付ける点にある。これにより音響放射板12は、屈曲振動板16の変位に基づいて並進変位し、且つ自身に取り付けた振動子18の変位に基づいて屈曲変位する。すなわち、音響放射板12の並進変位と屈曲変位とを重畳して大きな変位を得ることができるから、媒質排除体積をより大きなものとすることができる。この場合、音響放射板12の厚み、径、あるいは材質等を適宜変更することにより、音響放射板12の屈曲振動モードにおける共振周波数と、屈曲振動板16の共振周波数とを等しくさせることができる。これにより、音響放射板12の並進変位と屈曲変位を重畳させることも可能である。この場合、振動モードの共振周波数を若干ずらすことにより広帯域化も可能である。
【0041】
図9は、高次(例えば、2次以上)の振動モードを使用した場合の屈曲振動板の振動変位を説明する図である。屈曲振動板の厚さや径を適宜調整することにより、屈曲振動板を高次の屈曲振動モード、例えば、2次の屈曲振動モードで振動させることができる。2次の屈曲振動モードでは、屈曲振動板16の中心寄りと外寄りとでは変位の方向が逆となる。ここでそれぞれの変位を屈曲振動板16の面積にわたり積分した値が媒質排除体積となる。即ち、屈曲振動板16の中心寄りと外寄りとで排除体積の増減を帳消しにすることができる。これは、屈曲振動板16の内側が媒質からうける反力が大幅に低減されることを意味し、屈曲振動板16の駆動効率の低下を防ぐことができる。また、屈曲振動板16間の媒質は、屈曲振動板16、16間の中で排除体積の増減が帳消しになることから、音響放射板12における媒質排除になんら影響を与えることが無くなり、音響放射板12で媒質排除したものを吸い込んでしまうことを避けられ、電気音響変換効率の低下を防ぐことができる。
【0042】
尚、以上説明した第1結合部14および第2結合部52は、音響放射板12や屈曲振動板16と一体形成することができる。あるいは、第1結合部14や第2結合部52を、ヒンジ構造を有する結合部とすることもできる。ヒンジ構造を採用することにより、振動モードが「支持端モード」(すなわち、位置は拘束するが応力集中を緩和させるモード)となるため、屈曲振動板16や音響放射板12の共振周波数の上昇や屈曲変位の減少を低減することが可能である。
【0043】
また、屈曲振動板16は、いずれか一方の面のみに振動子18を設けるユニモルフ構造とすることもでき、あるいは両方の面に振動子18を設けるバイモルフ構造とすることもできる。
【0044】
また、接着剤等による貼付に代替して、例えば、振動子18を屈曲振動板16に形成された凹部に嵌め込むこともできる。
【0045】
また、例えば、積層圧電セラミックスや複合圧電セラミックス等、部分的に圧電材料で形成された集合構造の材料を使用することもできる。
【0046】
また、音響放射板12、第1結合部14および第2結合部52、152を防錆材料、例えば、合成樹脂、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)、あるいはステンレスやチタン等の金属で形成することができる。このようにすることにより、電気音響変換器10を、シールド部材20でシールドすることなく水等の媒質中で直接使用することができる。
【0047】
図10は、前述した電気音響変換器10を搭載するソーナー用送信器400の制御ブロック図である。ソーナー用送信器400は、制御部402と、送信部404と、トランス406と、電気音響変換器10とを備える。
【0048】
制御部402は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)からなる制御回路と、送信信号を記憶する記憶回路とを備え、送信部404に対して送信信号を出力する。送信部404は、制御部402から入力した送信信号を増幅してトランス406の一次巻線に一次電圧として印加する。トランス406の二次巻線に発生する二次電圧により電気音響変換器10の振動子18が駆動されて、媒質中、例えば水中に音波が放射される。
【0049】
このソーナー用送信器400は、船舶や航空機に搭載される。船舶や航空機は、部品搭載スペースやバッテリ電力が限られている。しかしながら、以上説明したとおり、電気音響変換器10は音響変換効率、すなわち電力効率に優れ、且つ小型であるため、それらの搭載スペースや消費電力を節約することができる。
【0050】
上記のソーナー用送信器400に搭載される電気音響変換器は、電気音響変換器10に限られず、前述した各種の電気音響変換器とすることができる。
【0051】
また、上記各種の電気音響変換器は、例えば、プール等で使用される水中スピーカ、あるいは、地層探査の音源としても幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図2】図1に示す電気音響変換器における屈曲振動板と音響放射板の変位状態を説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図8】本発明の第7実施形態に係る電気音響変換器の縦断面図の一例である。
【図9】高次(2次)の振動モードを使用した場合の屈曲振動板の振動変位を説明する図である。
【図10】図1に示す電気音響変換器を搭載するソーナー用送信器の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
10、50、100、150、200、250、300 電気音響変換器
12 音響放射板
14 第1結合部
16、154 屈曲振動板
18、156 振動子
20 シールド部材
52、152 第2結合部
54 支持部材
202 屈曲振動板ユニット
204 第3結合部
252 密封部材
400 ソーナー用送信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒質中に音波を放射する音響放射板と、
振動子を備える屈曲振動板と、
前記音響放射板および前記屈曲振動板の外周部同士を結合する第1結合部と
を有する第1の電気音響変換ユニットを備えることを特徴とする電気音響変換器。
【請求項2】
前記第1の電気音響変換ユニットの前記屈曲振動板の中央部が第2結合部により支持部材に結合されていることを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
【請求項3】
一対の前記第1の電気音響変換ユニット同士を対向配置し、各第1の電気音響変換ユニットの前記屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されていることを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記第2結合部を中空状に形成することを特徴とする請求項3記載の電気音響変換器。
【請求項5】
各々に少なくとも1つの振動子を備えた一対の屈曲振動板が第3結合部により結合された第2の電気音響変換ユニットが、前記一対の第1の電気音響変換ユニットの間に配置され、前記第1および第2の電気音響変換ユニットの屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されていることを特徴とする請求項3または4記載の電気音響変換器。
【請求項6】
少なくとも1つの振動子を備えた屈曲振動板と板部材とが第3結合部により結合された第3の電気音響変換ユニットが、前記一対の第1の電気音響変換ユニットの間に配置され、前記第1および第3の電気音響変換ユニットの屈曲振動板の中央部同士が第2結合部により結合されていることを特徴とする請求項3または4記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記各屈曲振動板の外周部同士を封止することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
前記屈曲振動板を高次の振動モードで振動させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記音響放射板が振動子を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記音響放射板の屈曲振動モードにおける共振周波数と前記屈曲振動板の共振周波数とが等しいことを特徴とする請求項9記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記屈曲振動板の両面に前記振動子を設けることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項12】
前記屈曲振動板のいずれか一方の面のみに前記振動子を設けることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項13】
前記第1結合部を、前記音響放射板と一体形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項14】
前記第1結合部を、前記屈曲振動板と一体形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項15】
前記第1結合部を、ヒンジ構造とすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項16】
前記第2結合部を、前記屈曲振動板と一体形成することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項17】
前記第2結合部を、ヒンジ構造とすることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項18】
請求項1〜17記載の電気音響変換器の内の少なくとも1つの電気音響変換器を搭載することを特徴とするソーナー用送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−60777(P2008−60777A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233419(P2006−233419)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】