電池モジュール用電極構成体
【課題】電池モジュールの電極を、最小の部品点数をもって、適切に構成する。
【解決手段】通電部材1の外部接続部11は、金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部12であって、この立ち上がり部12の外面12bが電池モジュールM外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部12にはその内面12aから突き出す内側に雌ネジ14を備えた筒状部分13が形成されている。筒状部分13は金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分13に切削加工により雌ネジ14を形成させている。絶縁カバー2は、立ち上がり部12の内面12aと前記筒状部分13を覆う第一パーツ3と、この第一パーツ3との間で、前記通電部材1における前記筒状部分13の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツ3に係合組み合わされる第二パーツ4とを備えてなる。
【解決手段】通電部材1の外部接続部11は、金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部12であって、この立ち上がり部12の外面12bが電池モジュールM外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部12にはその内面12aから突き出す内側に雌ネジ14を備えた筒状部分13が形成されている。筒状部分13は金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分13に切削加工により雌ネジ14を形成させている。絶縁カバー2は、立ち上がり部12の内面12aと前記筒状部分13を覆う第一パーツ3と、この第一パーツ3との間で、前記通電部材1における前記筒状部分13の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツ3に係合組み合わされる第二パーツ4とを備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイブリッドカーや電気自動車などの蓄電システムを構成する電池モジュールの一部となって、この電池モジュールの電極を構成する電極構成体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドカーなどの蓄電システムは、複数の電池モジュールから構成されている。また、各電池モジュールは、扁平な板状をなす蓄電体セルを積み重ね状にケースに納めてなる。電池モジュールのケースには内部の蓄電体セルに電気的に接続された電極が設けられており、この電極を利用して電池モジュール外の端子への接続がなされる。かかる電池モジュールの電極は、前記ケースに二箇所以上設けられる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の電池モジュールの電極を、最小の部品点数をもって、適切に構成し得るようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、電池モジュール用電極構成体を、蓄電体セルをケースに納めてなる電池モジュールの電極を構成する電極構成体であって、
金属板よりなる通電部材と、合成樹脂よりなる絶縁カバーとから構成されており、
前記通電部材は、蓄電体セルに電気的に接続される内部接続部と、電池モジュール外の端子に電気的に接続される外部接続部とを備えており、
外部接続部は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部であって、この立ち上がり部の外面が電池モジュール外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部にはその内面から突き出す内側に雌ネジを備えた筒状部分が形成されており、
この筒状部分は前記金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分に切削加工により前記雌ネジを形成させており、
前記絶縁カバーは、少なくとも前記立ち上がり部の内面と前記筒状部分を覆う第一パーツと、
この第一パーツとの間で、前記通電部材における前記筒状部分の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツに係合組み合わされる第二パーツとを備えてなるものとした。
【0006】
前記第一パーツを、立ち上がり部の内面に当接される前面を有すると共に、この前面に形成された貫通孔に連通した前記筒状部分の収容部を備えてなるものとすることが、好適な態様の一つである。
【0007】
かかる構成によれば、第一に、電池モジュール外の端子に対し電気的に接続される電池モジュールの電極側、すなわち、通電部材の立ち上がり部側を、第一パーツと第二パーツとを組み合わせてなる絶縁カバーにより容易かつ適切に覆うことができる。第一パーツ及び第二パーツは単純な樹脂成形により構成することができることから、部品コストも必要最小限のものとすることができる。また、かかる電極構成体によれば、第二に、通電部材の立ち上がり部への電池モジュール外の端子の接続を、筒状部分へのボルト止めによりなすことができると共に、この筒状部分を通電部材にプレス加工により一体に備えさせていることから、別途のナットなどを必要とせず、この観点からも部品点数の最小限化が図られている。また、このようにしておけば、電池モジュール外の端子と接する立ち上がり部の外面の面積をできるだけ大きく確保させることができる。
【0008】
前記第二パーツを、第一パーツの少なくとも一部を間に納める一対の側壁を有するものとしておけば、かかる第一パーツと第二パーツの重なり代により効果的に絶縁距離を増加させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、電池モジュールの電極を、最小の部品点数をもって、適切に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は電池モジュールの斜視構成図である。
【図2】図2は電極構成体と蓄電体セルの電極と電池モジュール外の端子とを分離した状態で示した斜視構成図である。
【図3】図3は電極構成体の分離斜視図である。
【図4】図4は電極構成体の分離斜視図であり、図3と反対の向きから見て示している。
【図5】図5は電極構成体の正面図である。
【図6】図6は電極構成体の右側面図である。
【図7】図7は電極構成体の平面図である。
【図8】図8は電極構成体の底面図である。
【図9】図9は図5におけるA−A線断面図である。
【図10】図10は図7におけるD−D線断面図である。
【図11】図11は図5におけるB−B線断面図である。
【図12】図12は図5におけるC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図12に基づいて、この発明を実施するための形態について、説明する。この実施の形態にかかる電池モジュール用電極構成体Eは、ハイブリッドカーや電気自動車などの蓄電システム(蓄電ユニットなどとも称される。)を構成する電池モジュールM(蓄電モジュール、モジュールなどとも称される。)の一部となって、この電池モジュールMの電極Maを構成するものである。すなわち、かかる電極構成体Eは、電池モジュールM外の端子E’に対し電気的に接続される電池モジュールMの電極Maを構成するものである。電池モジュールMは、蓄電体セルMbとこれを納めるケースMdとを備えている。蓄電体セルMbは、扁平な板状を呈するように構成される。図示の例では、電池モジュールMは、複数枚の蓄電体セルMbを積層状に配した状態で、扁平な箱状をなすケースにMd納めて構成されている。各蓄電体セルMbはその電極Mc(通常タブなどと称される。)を相互に接続させて直列あるいは並列に接続される。
【0012】
電極構成体Eは、金属板よりなる通電部材1と、合成樹脂よりなる絶縁カバー2とから構成されている。かかる通電部材1は、典型的には銅ないしは銅合金から構成される。
【0013】
通電部材1は、蓄電体セルMbに電気的に接続される内部接続部10と、電池モジュールM外の端子E’に電気的に接続される外部接続部11とを備えている。図示の例では、前記ケースMdは略長方形の幅広の両面Me、Meと、この両面Me、Me間に亘る4つの厚さ側側面Mfを有している。この4つの厚さ側側面Mfのうち、ケースMdの幅方向に沿った一つの側面Mfに形成された開口を通じて、ケースMdの外方に通電部材1の外部接続部11が臨むようになっている。通電部材1の内部接続部10は、蓄電体セルMbの電極Mcに接続される。
【0014】
外部接続部11は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部12として構成されている。そして、この立ち上がり部12の外面12bが電池モジュールM外に露出されるようになっている。それと共に、この立ち上がり部12にはその内面12aから突き出す内側に雌ネジ14を備えた筒状部分13が形成されている。
【0015】
図示の例では、通電部材1は、細長い第一板部15と、この第一板部15の一端部からこの第一板部15に直交する向きに延び出す第二板部16と、第二板部16の端部に連続してこの第二板部16の上面16aに直交する向きに延び出す第三板部17とを備えている。この第三板部17が前記立ち上がり部12として機能するようになっている。第一板部15の上面15aよりも第二板部16の上面16aは上方に位置され、第一板部15と第二板部16との接合箇所には段部18が形成されている。
【0016】
前記筒状部分13は、第三板部17における第二板部16の上面16aに面する側の面、つまり、前記立ち上がり部12の内面からこの内面に直交する向きに突き出すように形成されている。この筒状部分13と第二板部16の上面16aとの間には間隔が形成されている。かかる筒状部分13は、筒両端を共に開放させている。第三板部17にはこの筒状部分13の内部に連通したボルトSの導入孔が形成されている。図示の例では、立ち上がり部12の内面12aからの筒状部分13の突きだし寸法は、この内面12aと前記段部18までの距離の約半分となっている。
【0017】
かかる通電部材1における筒状部分13は前記金属板に対するプレス加工により形成されている。また、前記雌ネジ14はこの筒状部分13に切削加工により形成されている。典型的には、先ず、一枚の金属板に絞り加工により筒状部分13を形成させた後、この筒状部分13の内側にねじ立てをなす。この後、この一枚の金属板から第一板部15と第二板部16と第三板部17とを同面上に位置させた略L字状板を切り出す。最後に、この略L字状板に前記段部18を形成させると共に、前記第三板部17となる箇所を折り曲げ立ち上げる。これにより、前記通電部材1が得られる。
【0018】
前記絶縁カバー2は、前記立ち上がり部12の内面12aに当接される前面30を有すると共に、この前面30に形成された貫通孔31に連通した前記筒状部分13の収容部32を備えた第一パーツ3と、
この第一パーツ3との間で、前記通電部材1における前記筒状部分13の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツ3に係合組み合わされる第二パーツ4とを備えてなる。
【0019】
図示の例では、第一パーツ3は、略正方形の正面板部34を備えている。この正面板部34の前面33によって第一パーツ3の前面30が形成されている。この正面板部34に円形の前記貫通孔31が形成されている。収容部32は筒両端を共に開放させると共に、筒一端を正面板部34の背面34aに一体に連接させ且つ筒内空間を貫通孔31に連通させた筒状をなすように構成されている。収容部32の筒他端には内鍔32aが形成されている。
【0020】
図示の例では、第一パーツ3は、収容部32の筒他端との間に間隔を開けて配される背面板部35と、この背面板部35と正面板部34との間に亘る左右両側部36、36と、底部37とを備え、収容部32はこれらに囲繞された空間内にある。
【0021】
正面板部34と背面板部35との間の距離は、通電部材1の立ち上がり部12と段部18との間の距離よりもやや小さくなっている。また、第一パーツ3はその底部37側において、左右両側部36、36の外面間の間隔を狭めており、左右両側部36、36にはそれぞれ底部37側に向いた段部36aが形成され、この段差下に第二パーツ4の後述する側壁を納めてこの第二パーツ4と第一パーツ3とが組み合わされるようになっている。また、図示の例では、第一パーツ3の正面板部34の上縁と前記段差上の左右側縁はリブ状縁取り部34bにより縁取られている。
【0022】
図示の例では、第二パーツ4は、板状基部40と、左右側板部41、41とを備えている。左右側板部41、41の内面間の距離は、第一パーツ3の左右側部36、36の外面間の間隔および通電部材1の第二板部16の幅と略等しくなっている。また、かかる板状基部40および左右側板部41、41の前後寸法は、第一パーツ3の正面板部34と背面板部35との距離に略等しくなっている。また、左右側板部41、41の板状基部40からの突きだし寸法は、第一パーツ3の前記段部36aと底部37との間の距離に通電部材1の板厚を加えた寸法に略等しくなっている。すなわち、図示の例では、かかる第二パーツ4の左右側板部41、41によって、第二パーツ4は第一パーツ3の底部37側を間に納める一対の側壁を備えている。
【0023】
第二パーツ4の左右側板部41、41の前縁にはそれぞれ、第一パーツ3との組み合わせ時に前記リブ状縁取り部34bに連なる縁取り部41aが形成されている。また、第二パーツ4の左右側板部41、41の上縁部であってその内面にはそれぞれ、前後方向中程の位置に、第一パーツ3の被掛合部36bに対する係合部41bが形成されている。一方、第一パーツ3の左右両側部36、36であって前記段部36aによる段差下にはそれぞれ、かかる被掛合部36bが形成されている。図示の例では、かかる掛合部41bを突起として、かかる被掛合部36bをこの突起を納める凹みとして構成している。そして、第二パーツ4の左右側板部41、41間の距離をこの第二パーツ4を弾性変形させて押し広げながらこの左右側板部41、41間に第一パーツ3の底部37を納め入れた後の、この左右側板部41、41の上縁部が前記段部36aに突き当たった位置でのこの左右側板部41、41の撓み戻しにより、前記突起が凹みに入り込んで、第一パーツ3と第二パーツ4とが係合・組み合わされるようになっている。
【0024】
具体的には、通電部材1の立ち上がり部12の内面12a側から第一パーツ3の前面30がこの内面12aに当接される位置まで、この第一パーツ3の収容部32に前記貫通孔31を通じて通電部材1の筒状部分13を挿入する。この後、かかる通電部材1のかかる筒状部分13の直下に位置される箇所(すなわち、前記第二板部16)を間において第一パーツ3に第二パーツ4を係合・組み合わせる。この組み合わせ状態において、第一パーツ3の左右側部36、36の上部側の外面と第二パーツ4の左右側板部41、41の外面とは同面上に位置されるようになっている。通電部材1の立ち上がり部12は前記リブ状縁取り部34b及び縁取り部41aによってその厚さ側の端面を覆われる。なお、図示の例では、この組み合わせ状態において、通電部材1の第二板部16に形成された小孔16bに入り込む突所40aが第二パーツ4の板状基部40に形成されている。
【0025】
この実施の形態にかかる電極構成体Eによれば、第一に、電池モジュールM外の端子E’に対し電気的に接続される電池モジュールMの電極Ma側、すなわち、通電部材1の立ち上がり部12側を、第一パーツ3と第二パーツ4とを組み合わせてなる絶縁カバー2により容易かつ適切に覆うことができる。第一パーツ3及び第二パーツ4は単純な樹脂成形により構成することができることから、部品コストも必要最小限のものとすることができる。また、かかる電極構成体Eによれば、第二に、通電部材1の立ち上がり部12への電池モジュールM外の端子E’の接続を、この端子E’に設けた穴E’aを通じて筒状部分13にネジつけられるボルトSによりなすことができると共に、この筒状部分13を通電部材1にプレス加工により一体に備えさせていることから、別途のナットなどを必要とせず、この観点からも部品点数の最小限化が図られている。また、このようにしておけば、電池モジュールM外の端子E’と接する立ち上がり部12の外面12bの面積をできるだけ大きく確保させることができる。また、かかる電極構成体Eによれば、第三に、立ち上がり部12の内面12a及び筒状部分13を覆う第一パーツ3は第二パーツ4の一対の側壁間(前記左右の側板部41、41間)に納められることから、この第一パーツ3と第二パーツ4の重なり代により効果的に絶縁距離を増加させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 通電部材
11 外部接続部
12 立ち上がり部
12a 内面
12b 外面
13 筒状部分
14 雌ネジ
2 絶縁カバー
3 第一パーツ
4 第二パーツ
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイブリッドカーや電気自動車などの蓄電システムを構成する電池モジュールの一部となって、この電池モジュールの電極を構成する電極構成体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドカーなどの蓄電システムは、複数の電池モジュールから構成されている。また、各電池モジュールは、扁平な板状をなす蓄電体セルを積み重ね状にケースに納めてなる。電池モジュールのケースには内部の蓄電体セルに電気的に接続された電極が設けられており、この電極を利用して電池モジュール外の端子への接続がなされる。かかる電池モジュールの電極は、前記ケースに二箇所以上設けられる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の電池モジュールの電極を、最小の部品点数をもって、適切に構成し得るようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、電池モジュール用電極構成体を、蓄電体セルをケースに納めてなる電池モジュールの電極を構成する電極構成体であって、
金属板よりなる通電部材と、合成樹脂よりなる絶縁カバーとから構成されており、
前記通電部材は、蓄電体セルに電気的に接続される内部接続部と、電池モジュール外の端子に電気的に接続される外部接続部とを備えており、
外部接続部は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部であって、この立ち上がり部の外面が電池モジュール外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部にはその内面から突き出す内側に雌ネジを備えた筒状部分が形成されており、
この筒状部分は前記金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分に切削加工により前記雌ネジを形成させており、
前記絶縁カバーは、少なくとも前記立ち上がり部の内面と前記筒状部分を覆う第一パーツと、
この第一パーツとの間で、前記通電部材における前記筒状部分の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツに係合組み合わされる第二パーツとを備えてなるものとした。
【0006】
前記第一パーツを、立ち上がり部の内面に当接される前面を有すると共に、この前面に形成された貫通孔に連通した前記筒状部分の収容部を備えてなるものとすることが、好適な態様の一つである。
【0007】
かかる構成によれば、第一に、電池モジュール外の端子に対し電気的に接続される電池モジュールの電極側、すなわち、通電部材の立ち上がり部側を、第一パーツと第二パーツとを組み合わせてなる絶縁カバーにより容易かつ適切に覆うことができる。第一パーツ及び第二パーツは単純な樹脂成形により構成することができることから、部品コストも必要最小限のものとすることができる。また、かかる電極構成体によれば、第二に、通電部材の立ち上がり部への電池モジュール外の端子の接続を、筒状部分へのボルト止めによりなすことができると共に、この筒状部分を通電部材にプレス加工により一体に備えさせていることから、別途のナットなどを必要とせず、この観点からも部品点数の最小限化が図られている。また、このようにしておけば、電池モジュール外の端子と接する立ち上がり部の外面の面積をできるだけ大きく確保させることができる。
【0008】
前記第二パーツを、第一パーツの少なくとも一部を間に納める一対の側壁を有するものとしておけば、かかる第一パーツと第二パーツの重なり代により効果的に絶縁距離を増加させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、電池モジュールの電極を、最小の部品点数をもって、適切に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は電池モジュールの斜視構成図である。
【図2】図2は電極構成体と蓄電体セルの電極と電池モジュール外の端子とを分離した状態で示した斜視構成図である。
【図3】図3は電極構成体の分離斜視図である。
【図4】図4は電極構成体の分離斜視図であり、図3と反対の向きから見て示している。
【図5】図5は電極構成体の正面図である。
【図6】図6は電極構成体の右側面図である。
【図7】図7は電極構成体の平面図である。
【図8】図8は電極構成体の底面図である。
【図9】図9は図5におけるA−A線断面図である。
【図10】図10は図7におけるD−D線断面図である。
【図11】図11は図5におけるB−B線断面図である。
【図12】図12は図5におけるC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図12に基づいて、この発明を実施するための形態について、説明する。この実施の形態にかかる電池モジュール用電極構成体Eは、ハイブリッドカーや電気自動車などの蓄電システム(蓄電ユニットなどとも称される。)を構成する電池モジュールM(蓄電モジュール、モジュールなどとも称される。)の一部となって、この電池モジュールMの電極Maを構成するものである。すなわち、かかる電極構成体Eは、電池モジュールM外の端子E’に対し電気的に接続される電池モジュールMの電極Maを構成するものである。電池モジュールMは、蓄電体セルMbとこれを納めるケースMdとを備えている。蓄電体セルMbは、扁平な板状を呈するように構成される。図示の例では、電池モジュールMは、複数枚の蓄電体セルMbを積層状に配した状態で、扁平な箱状をなすケースにMd納めて構成されている。各蓄電体セルMbはその電極Mc(通常タブなどと称される。)を相互に接続させて直列あるいは並列に接続される。
【0012】
電極構成体Eは、金属板よりなる通電部材1と、合成樹脂よりなる絶縁カバー2とから構成されている。かかる通電部材1は、典型的には銅ないしは銅合金から構成される。
【0013】
通電部材1は、蓄電体セルMbに電気的に接続される内部接続部10と、電池モジュールM外の端子E’に電気的に接続される外部接続部11とを備えている。図示の例では、前記ケースMdは略長方形の幅広の両面Me、Meと、この両面Me、Me間に亘る4つの厚さ側側面Mfを有している。この4つの厚さ側側面Mfのうち、ケースMdの幅方向に沿った一つの側面Mfに形成された開口を通じて、ケースMdの外方に通電部材1の外部接続部11が臨むようになっている。通電部材1の内部接続部10は、蓄電体セルMbの電極Mcに接続される。
【0014】
外部接続部11は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部12として構成されている。そして、この立ち上がり部12の外面12bが電池モジュールM外に露出されるようになっている。それと共に、この立ち上がり部12にはその内面12aから突き出す内側に雌ネジ14を備えた筒状部分13が形成されている。
【0015】
図示の例では、通電部材1は、細長い第一板部15と、この第一板部15の一端部からこの第一板部15に直交する向きに延び出す第二板部16と、第二板部16の端部に連続してこの第二板部16の上面16aに直交する向きに延び出す第三板部17とを備えている。この第三板部17が前記立ち上がり部12として機能するようになっている。第一板部15の上面15aよりも第二板部16の上面16aは上方に位置され、第一板部15と第二板部16との接合箇所には段部18が形成されている。
【0016】
前記筒状部分13は、第三板部17における第二板部16の上面16aに面する側の面、つまり、前記立ち上がり部12の内面からこの内面に直交する向きに突き出すように形成されている。この筒状部分13と第二板部16の上面16aとの間には間隔が形成されている。かかる筒状部分13は、筒両端を共に開放させている。第三板部17にはこの筒状部分13の内部に連通したボルトSの導入孔が形成されている。図示の例では、立ち上がり部12の内面12aからの筒状部分13の突きだし寸法は、この内面12aと前記段部18までの距離の約半分となっている。
【0017】
かかる通電部材1における筒状部分13は前記金属板に対するプレス加工により形成されている。また、前記雌ネジ14はこの筒状部分13に切削加工により形成されている。典型的には、先ず、一枚の金属板に絞り加工により筒状部分13を形成させた後、この筒状部分13の内側にねじ立てをなす。この後、この一枚の金属板から第一板部15と第二板部16と第三板部17とを同面上に位置させた略L字状板を切り出す。最後に、この略L字状板に前記段部18を形成させると共に、前記第三板部17となる箇所を折り曲げ立ち上げる。これにより、前記通電部材1が得られる。
【0018】
前記絶縁カバー2は、前記立ち上がり部12の内面12aに当接される前面30を有すると共に、この前面30に形成された貫通孔31に連通した前記筒状部分13の収容部32を備えた第一パーツ3と、
この第一パーツ3との間で、前記通電部材1における前記筒状部分13の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツ3に係合組み合わされる第二パーツ4とを備えてなる。
【0019】
図示の例では、第一パーツ3は、略正方形の正面板部34を備えている。この正面板部34の前面33によって第一パーツ3の前面30が形成されている。この正面板部34に円形の前記貫通孔31が形成されている。収容部32は筒両端を共に開放させると共に、筒一端を正面板部34の背面34aに一体に連接させ且つ筒内空間を貫通孔31に連通させた筒状をなすように構成されている。収容部32の筒他端には内鍔32aが形成されている。
【0020】
図示の例では、第一パーツ3は、収容部32の筒他端との間に間隔を開けて配される背面板部35と、この背面板部35と正面板部34との間に亘る左右両側部36、36と、底部37とを備え、収容部32はこれらに囲繞された空間内にある。
【0021】
正面板部34と背面板部35との間の距離は、通電部材1の立ち上がり部12と段部18との間の距離よりもやや小さくなっている。また、第一パーツ3はその底部37側において、左右両側部36、36の外面間の間隔を狭めており、左右両側部36、36にはそれぞれ底部37側に向いた段部36aが形成され、この段差下に第二パーツ4の後述する側壁を納めてこの第二パーツ4と第一パーツ3とが組み合わされるようになっている。また、図示の例では、第一パーツ3の正面板部34の上縁と前記段差上の左右側縁はリブ状縁取り部34bにより縁取られている。
【0022】
図示の例では、第二パーツ4は、板状基部40と、左右側板部41、41とを備えている。左右側板部41、41の内面間の距離は、第一パーツ3の左右側部36、36の外面間の間隔および通電部材1の第二板部16の幅と略等しくなっている。また、かかる板状基部40および左右側板部41、41の前後寸法は、第一パーツ3の正面板部34と背面板部35との距離に略等しくなっている。また、左右側板部41、41の板状基部40からの突きだし寸法は、第一パーツ3の前記段部36aと底部37との間の距離に通電部材1の板厚を加えた寸法に略等しくなっている。すなわち、図示の例では、かかる第二パーツ4の左右側板部41、41によって、第二パーツ4は第一パーツ3の底部37側を間に納める一対の側壁を備えている。
【0023】
第二パーツ4の左右側板部41、41の前縁にはそれぞれ、第一パーツ3との組み合わせ時に前記リブ状縁取り部34bに連なる縁取り部41aが形成されている。また、第二パーツ4の左右側板部41、41の上縁部であってその内面にはそれぞれ、前後方向中程の位置に、第一パーツ3の被掛合部36bに対する係合部41bが形成されている。一方、第一パーツ3の左右両側部36、36であって前記段部36aによる段差下にはそれぞれ、かかる被掛合部36bが形成されている。図示の例では、かかる掛合部41bを突起として、かかる被掛合部36bをこの突起を納める凹みとして構成している。そして、第二パーツ4の左右側板部41、41間の距離をこの第二パーツ4を弾性変形させて押し広げながらこの左右側板部41、41間に第一パーツ3の底部37を納め入れた後の、この左右側板部41、41の上縁部が前記段部36aに突き当たった位置でのこの左右側板部41、41の撓み戻しにより、前記突起が凹みに入り込んで、第一パーツ3と第二パーツ4とが係合・組み合わされるようになっている。
【0024】
具体的には、通電部材1の立ち上がり部12の内面12a側から第一パーツ3の前面30がこの内面12aに当接される位置まで、この第一パーツ3の収容部32に前記貫通孔31を通じて通電部材1の筒状部分13を挿入する。この後、かかる通電部材1のかかる筒状部分13の直下に位置される箇所(すなわち、前記第二板部16)を間において第一パーツ3に第二パーツ4を係合・組み合わせる。この組み合わせ状態において、第一パーツ3の左右側部36、36の上部側の外面と第二パーツ4の左右側板部41、41の外面とは同面上に位置されるようになっている。通電部材1の立ち上がり部12は前記リブ状縁取り部34b及び縁取り部41aによってその厚さ側の端面を覆われる。なお、図示の例では、この組み合わせ状態において、通電部材1の第二板部16に形成された小孔16bに入り込む突所40aが第二パーツ4の板状基部40に形成されている。
【0025】
この実施の形態にかかる電極構成体Eによれば、第一に、電池モジュールM外の端子E’に対し電気的に接続される電池モジュールMの電極Ma側、すなわち、通電部材1の立ち上がり部12側を、第一パーツ3と第二パーツ4とを組み合わせてなる絶縁カバー2により容易かつ適切に覆うことができる。第一パーツ3及び第二パーツ4は単純な樹脂成形により構成することができることから、部品コストも必要最小限のものとすることができる。また、かかる電極構成体Eによれば、第二に、通電部材1の立ち上がり部12への電池モジュールM外の端子E’の接続を、この端子E’に設けた穴E’aを通じて筒状部分13にネジつけられるボルトSによりなすことができると共に、この筒状部分13を通電部材1にプレス加工により一体に備えさせていることから、別途のナットなどを必要とせず、この観点からも部品点数の最小限化が図られている。また、このようにしておけば、電池モジュールM外の端子E’と接する立ち上がり部12の外面12bの面積をできるだけ大きく確保させることができる。また、かかる電極構成体Eによれば、第三に、立ち上がり部12の内面12a及び筒状部分13を覆う第一パーツ3は第二パーツ4の一対の側壁間(前記左右の側板部41、41間)に納められることから、この第一パーツ3と第二パーツ4の重なり代により効果的に絶縁距離を増加させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 通電部材
11 外部接続部
12 立ち上がり部
12a 内面
12b 外面
13 筒状部分
14 雌ネジ
2 絶縁カバー
3 第一パーツ
4 第二パーツ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電体セルをケースに納めてなる電池モジュールの電極を構成する電極構成体であって、
金属板よりなる通電部材と、合成樹脂よりなる絶縁カバーとから構成されており、
前記通電部材は、蓄電体セルに電気的に接続される内部接続部と、電池モジュール外の端子に電気的に接続される外部接続部とを備えており、
外部接続部は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部であって、この立ち上がり部の外面が電池モジュール外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部にはその内面から突き出す内側に雌ネジを備えた筒状部分が形成されており、
この筒状部分は前記金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分に切削加工により前記雌ネジを形成させており、
前記絶縁カバーは、少なくとも前記立ち上がり部の内面と前記筒状部分を覆う第一パーツと、
この第一パーツとの間で、前記通電部材における前記筒状部分の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツに係合組み合わされる第二パーツとを備えてなることを特徴とする電池モジュール用電極構成体。
【請求項2】
第一パーツは、立ち上がり部の内面に当接される前面を有すると共に、この前面に形成された貫通孔に連通した前記筒状部分の収容部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール用電極構成体。
【請求項3】
第二パーツは、第一パーツの少なくとも一部を間に納める一対の側壁を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池モジュール用電極構成体。
【請求項1】
蓄電体セルをケースに納めてなる電池モジュールの電極を構成する電極構成体であって、
金属板よりなる通電部材と、合成樹脂よりなる絶縁カバーとから構成されており、
前記通電部材は、蓄電体セルに電気的に接続される内部接続部と、電池モジュール外の端子に電気的に接続される外部接続部とを備えており、
外部接続部は、前記金属板の端部を折り曲げて形成された立ち上がり部であって、この立ち上がり部の外面が電池モジュール外に露出されるようになっていると共に、この立ち上がり部にはその内面から突き出す内側に雌ネジを備えた筒状部分が形成されており、
この筒状部分は前記金属板に対するプレス加工により形成され、この筒状部分に切削加工により前記雌ネジを形成させており、
前記絶縁カバーは、少なくとも前記立ち上がり部の内面と前記筒状部分を覆う第一パーツと、
この第一パーツとの間で、前記通電部材における前記筒状部分の直下に位置される箇所を挟むようにして、この第一パーツに係合組み合わされる第二パーツとを備えてなることを特徴とする電池モジュール用電極構成体。
【請求項2】
第一パーツは、立ち上がり部の内面に当接される前面を有すると共に、この前面に形成された貫通孔に連通した前記筒状部分の収容部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール用電極構成体。
【請求項3】
第二パーツは、第一パーツの少なくとも一部を間に納める一対の側壁を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池モジュール用電極構成体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−171138(P2011−171138A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34523(P2010−34523)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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