説明

電池モジュール

【課題】素電池が収容される収容部と、ガスが排気される排気部とを区画する固定板に、素電池を安定して固定する。
【解決手段】電池モジュールは、排気口15aを有するケース15と、ケース15内に収容され、各々が電池ケース9及び電池ケース9の開口を封口する封口体を備えた複数の素電池10と、複数の素電池10を固定する固定板14とを備えている。固定板14により、ケース15内の空間は、素電池10からのガスが排気され且つケース15の排気口15aと連通する排気部16aと、複数の素電池10が収容される収容部16bとに区画されている。素電池10の封口体は、中空突起部8a1を有している。固定板14は、封口体の中空突起部8a1と対応する貫通孔14aを有している。封口体の中空突起部8a1は、固定板14の貫通孔14aを貫通して、固定板14に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池が異常な状態となって該電池からガスが噴射される場合においても、ガスを噴射した電池から受ける影響を低減する技術として、例えば、以下に示す電源装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。従来の電源装置について、図10を参照しながら説明する。図10は、従来の電源装置の構成を示す断面図である。
【0003】
図10に示すように、区画壁109により、ケース108内の空間が、複数の電池106が収納される電池室110と、電池106から噴射されるガスを排気する排気室111とに区画されている。
【0004】
区画壁109は、電池106から噴射されるガスを、排気室111に流入させる貫通孔109aを有している。封口板101の開口部101aは、区画壁109の貫通孔109aを介して、排気室111と連通している。
【0005】
弾性体102により弁体103が弁座104に押し付けられている。電池106の内圧が、設定圧力よりも高くなると、弁体103が弁座104から離れて、安全弁105が開弁される。
【0006】
シリコン等のシール剤又は接着剤により、キャップ107が、電池106の端部に気密に固定されている。シリコン等のシール剤又は接着剤により、キャップ107が、区画壁109に気密に固定されている。このようにして、電池106の端部が、区画壁109に固定されている。
【0007】
電池が異常な状態となって該電池からガスが噴射されて安全弁105が開弁されると、ガスは、封口板101の開口部101a及び区画壁109の貫通孔109aを順次通って、排気室111に流入し、排気室111からケース108外に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−27011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の電源装置では、以下に示す問題がある。
【0010】
従来では、電池106の端部を、次のようにして、区画壁109に固定する。図10に示すように、電池106の端部と区画壁109との間にキャップ107を介在させ、シール剤又は接着剤により、キャップ107を電池106の端部に気密に固定すると共に、シール剤又は接着剤により、キャップ107を区画壁109に気密に固定する。
【0011】
このため、電池106の端部を区画壁109に固定する固定力が弱いという問題がある。
【0012】
第1に例えば、振動又は劣化により、キャップと区画壁との間に塗布されたシール剤又は接着剤が剥がれて、キャップと区画壁との間に隙間が生じ、電池の端部が区画壁から外れる虞がある。この場合、安全弁が開弁されると、ガスは、封口板の開口部及び区画壁の貫通孔を順次通って、排気室に流入するだけでなく、封口板の開口部、及びキャップと区画壁との間に生じた隙間を順次通って、電池室に流入する。電池室に流入したガスにより、ガスを噴射した電池以外の電池が過熱される虞がある。
【0013】
第2に例えば、電池から噴射されたガスのガス圧により、キャップと区画壁との間に塗布されたシール剤又は接着剤が剥がれて、キャップと区画壁との間に隙間が生じ、電池の端部が区画壁から外れる虞がある。この場合、キャップと区画壁との間に隙間が生じた時点から、ガスは、封口板の開口部、及びキャップと区画壁との間に生じた隙間を順次通って、電池室に流入する。電池室に流入したガスにより、ガスを噴射した電池以外の電池が過熱される虞がある。
【0014】
前記に鑑み、本発明の目的は、素電池が収容される収容部と、ガスが排気される排気部とを区画する固定板に、素電池を安定して固定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するため、本発明に係る電池モジュールは、排気口を有するケースと、ケース内に収容され、各々が電池ケース及び電池ケースの開口を封口する封口体を備えた複数の素電池と、複数の素電池を固定する固定板とを備え、固定板により、ケース内の空間は、素電池からのガスが排気され且つケースの排気口と連通する排気部と、複数の素電池が収容される収容部とに区画され、素電池の封口体は、中空突起部を有し、固定板は、封口体の中空突起部と対応する貫通孔を有し、封口体の中空突起部は、固定板の貫通孔を貫通して、固定板に固定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電池モジュールによると、固定板の貫通孔と対応する中空突起部を有する封口体を備えた素電池を利用する。これにより、封口体の中空突起部を、固定板の貫通孔に貫通させて固定板に固定することができるので、素電池を、固定板に安定して固定することができる。
【0017】
さらに、封口体の中空突起部を、固定板の貫通孔に貫通させて固定板に固定することにより、封口体の中空突起部を、ケース内の排気部と直通させることができる。このため、素電池が、異常時に、高温高圧のガスを放出することがあっても、ガスを、封口体の中空突起部を通して、ケース内の排気部に排気した後、ケースの排気口を通して、ケース外に排気することができる。
【0018】
封口体の中空突起部が、ケース内の排気部と直通するため、ガスが排気される方向を規制し、ケース内の収容部に、ガスが混入することを抑制することができるので、ガスを放出した素電池以外の素電池に影響が及ぶことを抑制することができる。
【0019】
また、ガスを、ケース外に直接排気するのではなく、ケース内の排気部に排気した後、ケース外に排気することができるので、ケース外に排気されたガスの温度を、ガスが酸素と混合してもガスが燃焼に至らない程度の温度にまで低下させることができる。
【0020】
本発明に係る電池モジュールにおいて、封口体の中空突起部は、固定板の貫通孔を貫通して、固定板にかしめられていることが好ましい。
【0021】
このようにすると、封口体の中空突起部を、固定板の貫通孔に貫通させて固定板にかしめるだけで、封口体の中空突起部を、固定板に固定することができるため、素電池を、固定板に容易に固定することができる。
【0022】
加えて、封口体の中空突起部を固定板に固定する方法としてかしめ工法を用いることにより、熱エネルギーが不要なため、素電池が熱の影響を受けることを抑制することができる。これに対し、溶接工法を用いた場合、熱エネルギーが供給された部分が溶接されるため、素電池が熱の影響を受ける虞がある。
【0023】
さらに、かしめ工法を用いることにより、溶接工法を用いた場合に比べて、加工時間(封口体の中空突起部を固定板に固定するのに要する時間)が短いため、生産性が向上する。
【0024】
さらに、かしめ工法を用いることにより、溶接工法を用いた場合に比べて、設備投資が安価になる。
【0025】
本発明に係る電池モジュールにおいて、素電池の封口体は、中空突起部の周縁に設けられた肩部をさらに有していることが好ましい。
【0026】
このようにすると、中空突起部を固定板の貫通孔に貫通させる時に、肩部をストッパとして利用することができる。中空突起部を固定板にかしめる時に、肩部を座として利用することができる。肩部をストッパとして利用することにより、中空突起部が固定板に固定される位置を規制することができる。肩部を座として利用することにより、中空突起部を固定板にかしめる時に発生する応力を効率良く受け止めることができるため、肩部以外の部分(例えば、封口体と電池ケースとの間に介在するガスケット、電池ケース、封口体に接続される正極リード等)に負荷される応力を軽減することができる。
【0027】
本発明に係る電池モジュールにおいて、封口体の中空突起部は、正極端子として機能し、固定板は、正極バスバーであり、正極バスバーにより、複数の素電池の正極は、並列接続されていることが好ましい。
【0028】
このようにすると、封口体の中空突起部を、正極バスバーの貫通孔に貫通させて正極バスバーに固定することにより、正極端子として機能する封口体の中空突起部と正極バスバーとを接続することができる。このため、正極バスバーにより、複数の素電池を固定するだけでなく、複数の素電池の正極を並列接続することができる。
【0029】
本発明に係る電池モジュールにおいて、封口体の中空突起部は、正極端子として機能し、固定板は、回路基板であり、回路基板は、絶縁性の基板と、基板に設けられた配線とを有し、配線は、基板の貫通孔を貫通して基板に固定された封口体の中空突起部同士の間を接続し、回路基板により、複数の素電池の正極は、並列接続されていることが好ましい。
【0030】
このようにすると、封口体の中空突起部を、基板の貫通孔に貫通させて基板に固定すると共に、配線によって、基板に固定された中空突起部同士の間を接続することにより、正極端子として機能する封口体の中空突起部と回路基板とを接続することができる。このため、回路基板により、複数の素電池を固定するだけでなく、複数の素電池の正極を並列接続することができる。
【0031】
本発明に係る電池モジュールにおいて、電池ケースは、負極端子として機能し、電池ケースと正極バスバーとの間に介在する絶縁体をさらに備えていることが好ましい。
【0032】
本発明に係る電池モジュールにおいて、素電池からのガスは、封口体の中空突起部を通って、ケース内の排気部に排気された後、ケースの排気口を通って、ケース外に排気されることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る電池モジュールによると、素電池が収容される収容部と、ガスが排気される排気部とを区画する固定板に、素電池を安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、素電池の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、組電池の集合体の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、組電池の構成を示す分解斜視図である。
【図5】組電池に含まれる負極接続板、絶縁体及び正極バスバーの配置関係を示す平面図である。
【図6】(a) は、互いに隣接する素電池同士の接続状態を説明する為の図であり、(b) は、互いに隣接する組電池同士の接続状態を説明する為の図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの排気方法を示す断面図である。
【図8】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】応用例の電池モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図10】従来の電源装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールについて、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0036】
<素電池>
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、素電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、素電池の構成を示す断面図である。
【0037】
図1に示すように、正極1及び負極2がセパレータ(多孔質絶縁層)3を介して捲回された電極群4が、非水電解液と共に、電池ケース9内に収容されている。電池ケース9の開口は、ガスケット7を介して、封口体8によって封口されている。正極1に取り付けられた正極リード1Lは、正極端子として機能する封口体8に接続され、負極2に取り付けられた負極リード2Lは、負極端子として機能する電池ケース9に接続されている。電極群4の上端には上部絶縁板5が配置され、電極群4の下端には下部絶縁板6が配置されている。
【0038】
封口体8は、封口板8aと、電池ケース9の内圧が設定圧力を超えると破断する弁体8bと、金属板8cと、金属フィルタ8dとを有している。封口板8aは、例えば、Fe(鉄)からなる。弁体8bは、例えば、Al(アルミニウム)からなる。金属板8cは、例えば、Alからなる。金属フィルタ8dは、例えば、Alからなる。
【0039】
封口板8aは、図1に示すように、中空円筒部8a1と、中空円筒部8a1の開口下端の周縁に設けられた肩部8a2とを有している。ここで、中空円筒部8a1の「開口下端」とは、電池ケース9の底面側に位置する開口端をいう。
【0040】
封口板8aの中空円筒部8a1は、例えば、バーリング加工により形成される。
【0041】
<電池モジュール>
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの構成について、図2、図3、図4、及び図5、図6(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの構成を示す断面図である。図2において、簡略的に図示する為に、素電池における、電池ケース及び封口板のみを図示し、その他の構成要素(例えば電極群等)の図示を省略する。図3は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、組電池の集合体の構成を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおける、組電池の構成を示す分解斜視図である。図5は、組電池に含まれる負極接続板、絶縁体及び正極バスバーの配置関係を示す平面図である。図6(a) は、互いに隣接する素電池同士の接続状態を説明する為の図である。図6(b) は、互いに隣接する組電池同士の接続状態を説明する為の図である。図6(a) は、図3に示すVIa-VIa線における拡大断面図である。図6(b) は、図3に示すVIb-VIb線における拡大断面図である。
【0042】
本実施形態に係る電池モジュールは、図2に示すように、排気口15aを有するケース15と、ケース15内に収容された複数の素電池10と、複数の素電池10の負極を並列接続する負極接続板12と、絶縁体13と、複数の素電池10を固定し且つ複数の素電池10の正極を並列接続する正極バスバー14と、複数の素電池10の負極の接続抵抗を低くし且つ複数の素電池10を固定する負極バスバー11とを備えている。
【0043】
図2に示すように、正極バスバー14により、ケース15内の空間は、排気部16aと、収容部16bとに区画されている。排気部16aには、素電池10からのガスが排気される。収容部16bには、複数の素電池10が収容されている。排気部16aは、ケース15の排気口15aと連通している。
【0044】
封口板8aの中空円筒部8a1は、図2に示すように、負極接続板12の貫通孔12b、絶縁体13の貫通孔13a及び正極バスバー14の貫通孔14aを貫通して、正極バスバー14にかしめられている。これにより、封口板8aの中空円筒部8a1は、ケース15内の排気部16aと直通している。
【0045】
図2において、詳細な図示を省略したが、図1に示すように、電池ケース9の開口は、ガスケット7を介して、封口体8によって封口されているため、電池ケース9内の電極群4が収容される部分と、ケース15内の排気部16aとは、互いに遮断されている。後述の図7に示すように、素電池から高温高圧のガスが放出され、ガスが、弁体8bを突き破った時に、電池ケース9内の電極群4が収容される部分と、ケース15内の排気部16aとが連通する。
【0046】
図2に示すように、正極バスバー14の貫通孔14aの周縁部と、封口板8aの中空円筒部8a1におけるかしめられた部分とは、互いに密着している。図2に示すように、正極バスバー14の端面と、ケース15の内側面とは、互いに密着している。
【0047】
図3に示すように、第2の方向に配列された複数の組電池(例えば2コの組電池)を有する組電池の集合体18が、ケース(図2:15参照)内に収容されて、電池モジュールが構成されている。組電池(図4:17参照)は、第1の方向に配列された複数の素電池(例えば2コの素電池)10と、負極バスバー11と、負極接続板12と、絶縁体13と、正極バスバー14とを有している。
【0048】
ケースについて、以下に説明する。
【0049】
ケース15は、図2に示すように、上面が開口された容器部15Aと、開口された容器部15Aの上面を閉口する蓋部15Bとを有している。容器部15Aは、例えば、樹脂からなる。蓋部15Bは、熱変形し難い材料又は熱伝導性の高い材料からなり、例えば、Al(アルミニウム)又はFe(鉄)からなる。容器部15Aは、ケース15内の排気部16aと連通する排気口15aを有している。
【0050】
負極バスバー、負極接続板、絶縁体及び正極バスバーについて、以下に説明する。
【0051】
負極バスバー11は、例えばニッケル(Ni)からなり、負極バスバー11の厚さは、例えば0.2mmである。
【0052】
負極接続板12は、図4に示すように、平板部12aと、封口板8aの中空円筒部8a1と対応する貫通孔12bと、電池ケース9に溶接される溶接部12cと、他の組電池の正極バスバー(図示せず)と溶接される溶接部12dと、段差部12eとを有している。例えば、図3に示すように、手前側に図示された組電池に含まれる負極接続板12の溶接部12dは、該組電池と隣接する他の組電池(奥側に図示された組電池)に含まれる正極バスバー14と溶接されている。負極接続板12の貫通孔12bの径は、図2に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1の外径よりも大きい。負極接続板12は、例えばNiからなり、負極接続板12の平板部12aの厚さは、例えば0.2mmである。
【0053】
絶縁体13は、図4に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1と対応する貫通孔13aを有している。絶縁体13は、例えばPP(ポリプロピレン)からなり、絶縁体13の厚さは、例えば1mmである。
【0054】
正極バスバー14は、図4に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1と対応する貫通孔14aを有している。正極バスバー14の一端部は、他の組電池の負極接続板(図示せず)と溶接される溶接部である。例えば、図3に示すように、奥側に図示された組電池に含まれる正極バスバー14の一端部は、該組電池と隣接する他の組電池(手前側に図示された組電池)に含まれる負極接続板12の溶接部12dと溶接されている。正極バスバー14は、例えば銅(Cu)からなり、正極バスバー14の厚さは、例えば1mmである。
【0055】
組電池について、以下に説明する。
【0056】
図2に示すように、電池ケース9の底面には、負極バスバー11が溶接されている。負極バスバー11により、複数の素電池10が固定されている。
【0057】
電池ケース9の開口端側の側面には、負極接続板12の溶接部(図3:12c参照)が溶接され、図2に示すように、負極接続板12の平板部12aが、電池ケース9の開口端に当接されている。
【0058】
図2に示すように、負極接続板12の貫通孔12bと、絶縁体13の貫通孔13aとが対応した状態で、両面テープ(図示せず)により、負極接続板12の平板部12aと、絶縁体13とが貼り合わされている。
【0059】
図2に示すように、絶縁体13の貫通孔13aと、正極バスバー14の貫通孔14aとが対応した状態で、両面テープ(図示せず)により、絶縁体13と、正極バスバー14とが貼り合わされている。
【0060】
平面的に見た場合、図5に示すように、負極接続板12の貫通孔12bの中心を通る線、絶縁体13の貫通孔13aの中心を通る線、及び正極バスバー14の貫通孔14aの中心を通る線が合致するように、負極接続板12、絶縁体13及び正極バスバー14は配置されている。
【0061】
平面的に見た場合、図5に示すように、一方の側に、負極接続板12の溶接部12d(組電池の一方の側に隣接する他の組電池の正極バスバーと溶接される溶接部)が位置している。一方、他方の側に、正極バスバー14の溶接部(組電池の他方の側に隣接する他の組電池の負極接続板と溶接される溶接部)が位置している。
【0062】
封口板8aの中空円筒部8a1は、図2に示すように、負極接続板12の貫通孔12b、絶縁体13の貫通孔13a及び正極バスバー14の貫通孔14aを貫通して、正極バスバー14にかしめられている。正極バスバー14により、複数の素電池10が固定されている。
【0063】
肩部8a2と、中空円筒部8a1におけるかしめられた部分との間には、図2に示すように、正極バスバー14が介在している。肩部8a2は、中空円筒部8a1を貫通孔12b,13a,14aに貫通させる時のストッパとして利用される。肩部8a2は、中空円筒部8a1を正極バスバー14にかしめる時の座として利用される。
【0064】
電池ケース9は、図3に示すように、側面における負極接続板12の溶接部12cが溶接された部分以外の部分が露出されている。
【0065】
互いに隣接する素電池同士の接続状態について、以下に説明する。
【0066】
なお、図6(a) は、図3に示すVIa-VIa線における断面図であり、図6(a) において、左側に図示された素電池、右側に図示された素電池、負極接続板、絶縁体及び正極バスバーは、全て、1コの組電池に含まれている。
【0067】
負極接続板12の溶接部(図6(b):12c参照)が、負極端子として機能する電池ケース9の開口端側の側面に溶接され、図6(a) に示すように、負極接続板12の平板部12aが、電池ケース9の開口端に当接されている。負極接続板12により、複数の素電池の負極は、並列接続されている。
【0068】
図6(a) に示すように、正極バスバー14には、正極端子として機能する封口板8aの中空円筒部8a1がかしめられている。正極バスバー14により、複数の素電池の正極は、並列接続されている。
【0069】
図6(a) に示すように、負極接続板12の平板部12aと正極バスバー14との間に介在する絶縁体13により、複数の素電池の負極を並列接続する負極接続板12と、複数の素電池の正極を並列接続する正極バスバー14との間が絶縁されている。
【0070】
このように、負極接続板12により、複数の素電池の負極が並列接続されていると共に、正極バスバー14により、複数の素電池の正極が並列接続されている。
【0071】
互いに隣接する組電池同士の接続状態について、以下に説明する。
【0072】
なお、図6(b) は、図3に示すVIb-VIb線における断面図であり、図6(b) において、左側に図示された素電池、負極接続板、絶縁体及び正極バスバーを含む組電池と、右側に図示された素電池、負極接続板、絶縁体及び正極バスバーを含む組電池とは、互いに隣接している。
【0073】
図6(b) に示すように、左側に図示された正極バスバー14と、右側に図示された負極接続板12とが互いに接続している。詳細には、左側に図示された素電池の中空円筒部8a1にかしめられた正極バスバー14と、負極接続板12の溶接部12dとが互いに溶接されている。該負極接続板12は、平板部12aが、右側に図示された素電池の電池ケース9の開口端に当接され、溶接部12cが、該電池ケース9の開口端側の側面に溶接されている。
【0074】
このように、左側に図示された素電池等を含む組電池の正極と、該組電池と隣接する他の組電池(右側に図示された素電池等を含む組電池)の負極とが互いに接続し、複数の組電池は直列接続されている。
【0075】
<ガスの排気方法>
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールにおいて、素電池から高温高圧のガスが放出された場合のガスの排気方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの排気方法を示す断面図である。図7において、簡略的に図示する為に、素電池における、電池ケース、封口板及び弁体のみを図示し、その他の構成要素(例えば電極群等)の図示を省略する。
【0076】
素電池から高温高圧のガスが放出され、電池ケース9の内圧が設定圧力を超えた場合、図7に示すように、ガスは、弁体8bを突き破って、封口板8aの中空円筒部8a1を通って、ケース15内の排気部16aに排気される。その後、ケース15の排気口15aを通って、ケース15外に排気される。
【0077】
ケース15の蓋部15Bは、高温高圧のガスと接触する虞がある。このため、第1に例えば、蓋部15Bは、熱変形し難い材料からなることが好ましい。このようにすると、素電池から高温高圧のガスが放出されることがあっても、蓋部15Bが変形することを抑制することができる。第2に例えば、蓋部15Bは、熱伝導性の高い材料からなることが好ましい。このようにすると、素電池から高温高圧のガスが放出されることがあっても、ガスの熱を、蓋部15Bに効率良く伝導させて、ガスの温度を低下させることができる。
【0078】
<電池モジュールの製造方法>
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの製造方法について、図1、図2、図3及び図8(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図8(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの製造方法を工程順に示す断面図である。図8(a) 〜(b) において、簡略的に図示する為に、素電池における、電池ケース及び封口板のみを図示し、その他の構成要素(例えば電極群等)の図示を省略する。
【0079】
図1に示すように、中空円筒部8a1と、肩部8a2とを有する封口体8を備えた素電池を準備する。
【0080】
下記のようにして、組電池を準備する。
【0081】
図2に示すように、両面テープ(図示せず)により、貫通孔12bと貫通孔13aとが対応した状態で、負極接続板12の平板部12aと絶縁体13とを貼り合わせる。それと共に、両面テープ(図示せず)により、貫通孔13aと貫通孔14aとが対応した状態で、絶縁体13と正極バスバー14とを貼り合わせる。
【0082】
次に、図8(a) に示すように、負極接続板12の貫通孔12b、絶縁体13の貫通孔13a及び正極バスバー14の貫通孔14aに、封口板8aの中空円筒部8a1を貫通させて、中空円筒部8a1における開口上端側の部分を、正極バスバー14から突出させる。このとき、封口板8aの肩部8a2は、ストッパの役割を果たす。肩部8a2により、貫通孔12b,13a,14aに貫通させる中空円筒部8a1の位置を規制することができる。
【0083】
次に、図8(b) に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1における正極バスバー14から突出した部分を、正極バスバー14にかしめる。このとき、封口板8aの肩部8a2は、座の役割を果たす。肩部8a2により、正極バスバー14に中空円筒部8a1をかしめる時に発生する応力を効率良く受け止めることができるため、肩部8a2以外の部分(例えば、封口体と電池ケース9との間に介在するガスケット、電池ケース9、封口体における弁体、金属板及び金属フィルタ、並びに封口体に接続される正極リード等)に負荷される応力を軽減することができる。また、このとき、中空円筒部8a1におけるかしめられた部分を、正極バスバー14の貫通孔14aの周縁部に密着させることができる。
【0084】
次に、図3に示すように、電池ケース9の底面に、負極バスバー11を溶接する。それと共に、電池ケース9の開口端側の側面に、負極接続板12の溶接部12cを溶接する。
【0085】
上記のようにして、組電池を準備する。
【0086】
次に、図3に示すように、奥側に図示された組電池に含まれる正極バスバー14と、該組電池と隣接する他の組電池(手前側に図示された組電池)に含まれる負極接続板12とを互いに接続し、組電池の集合体18を準備する。
【0087】
次に、図2に示すように、組電池の集合体を、排気口15aを有するケース15に収容する。
【0088】
以上のようにして、本発明の一実施形態に係る電池モジュールを製造することができる。
【0089】
本実施形態によると、図4に示すように、正極バスバー14の貫通孔14aと対応する中空円筒部8a1を有する封口板8aを備えた素電池10を利用する。これにより、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14の貫通孔14aに貫通させて正極バスバー14にかしめることができるので、素電池10を、正極バスバー14に安定して固定することができる。
【0090】
さらに、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14の貫通孔14aに貫通させて正極バスバー14にかしめることにより、図2に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1を、ケース15内の排気部16aと直通させる(言い換えれば、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14の貫通孔14aを介さずに、ケース15内の排気部16aと連通させる)ことができる。このため、素電池が、異常時に、高温高圧のガスを放出することがあっても、図7に示すように、弁体8bを突き破ったガスを、封口板8aの中空円筒部8a1を通して、ケース15内の排気部16aに排気した後、ケース15の排気口15aを通して、ケース15外に排気することができる。
【0091】
封口板8aの中空円筒部8a1が、ケース15内の排気部16aと直通するため、ガスが排気される方向を規制し(図7:矢印参照)、ケース15内の収容部16bに、ガスが混入することを抑制することができるので、ガスを放出した素電池以外の素電池に影響が及ぶことを抑制することができる。
【0092】
また、ガスを、ケース15外に直接排気するのではなく、ケース15内の排気部16aに排気した後、ケース15外に排気することができるので、ケース15外に排気されたガスの温度を、ガスが酸素と混合してもガスが燃焼に至らない程度の温度にまで低下させることができる。
【0093】
加えて、図2に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14の貫通孔14aに貫通させて正極バスバー14にかしめるだけで、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14に固定することができるため、素電池10を、正極バスバー14に容易に固定することができる。加えて、封口板8aの中空円筒部8a1を正極バスバー14に固定する方法としてかしめ工法を用いることにより、熱エネルギーが不要なため、素電池10が熱の影響を受けることを抑制することができる。これに対し、溶接工法(例えば抵抗溶接工法又はレーザー溶接工法)を用いた場合、熱エネルギーが供給された部分が溶接されるため、素電池が熱の影響を受ける虞がある。さらに、かしめ工法を用いることにより、溶接工法を用いた場合に比べて、加工時間(封口板8aの中空円筒部8a1を正極バスバー14に固定するのに要する時間)が短いため、生産性が向上する。さらに、かしめ工法を用いることにより、溶接工法を用いた場合に比べて、設備投資が安価になる。
【0094】
さらに、中空円筒部8a1の開口下端の周縁に肩部8a2を設けることにより、図8(a) に示すように、中空円筒部8a1を正極バスバー14の貫通孔14aに貫通させる時に、肩部8a2をストッパとして利用することができる。図8(b) に示すように、中空円筒部8a1を正極バスバー14にかしめる時に、肩部8a2を座として利用することができる。肩部8a2をストッパとして利用することにより、中空円筒部8a1が正極バスバー14にかしめられる位置を規制することができる。肩部8a2を座として利用することにより、中空円筒部8a1を正極バスバー14にかしめる時に発生する応力を効率良く受け止めることができるため、肩部8a2以外の部分(例えば、封口体と電池ケース9との間に介在するガスケット、電池ケース9、封口体における弁体、金属板及び金属フィルタ、並びに封口体に接続される正極リード等)に負荷される応力を軽減することができる。
【0095】
さらに、例えば、後述の図9に示すように、組電池に含まれる複数の素電池(例えば20コ(10コ以上)の素電池)を、直列接続ではなく、並列接続させる。これにより、例えば、組電池に含まれる複数の素電池のうち、1コの素電池が電池としての機能を消失することがあっても、電池としての機能が消失した素電池以外の素電池の正極が正極バスバーにより並列接続されていると共に、素電池の負極が負極接続板により並列接続されているため、組電池の電気的特性が大きく変化しないので、組電池に及される影響を小さくすることができる。言い換えれば、組電池に含まれる素電池の個数が例えば2コの場合、2コのうち1コの素電池が電池としての機能を消失すると、組電池の容量が大幅に少なくなって、組電池の電気的特性が大きく変化する。これに対し、例えば10コ以上の場合、10コのうち1コの素電池が電池としての機能を消失しても、組電池の容量は少なくなるものの、大幅に少なくなることがなく、組電池の電気的特性が大きく変化することはない。
【0096】
さらに、図3に示すように、電池ケース9の側面における、負極接続板12の溶接部12cが溶接された部分以外の部分を露出し、電池ケース9の側面を効果的に露出させることができる。このため、例えば、後述の図9に示すように、ケース内に、流路(図9:19参照)をさらに収容した場合、流路に流れる冷却水(又は温水)により、電池ケースの側面を効果的に冷却する(又は温める)ことができる。
【0097】
なお、本実施形態では、複数の素電池を固定する固定板として、図2に示すように、例えばCuからなる正極バスバー(複数の素電池10を固定するだけでなく、複数の素電池10の正極を並列接続する正極バスバー)14を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
第1に例えば、固定板として、回路基板(複数の素電池を固定するだけでなく、複数の素電池の正極を並列接続する回路基板)を用いてもよい。回路基板は、絶縁性の基板と、基板に設けられた配線とを有している。基板は、封口体の中空円筒部と対応する貫通孔を有している。封口体の中空円筒部は、基板の貫通孔を貫通して、基板に固定されている。配線は、基板に固定された封口体の中空円筒部同士の間を接続している。
【0099】
第2に例えば、Cu等の導電性材料以外の材料(例えば樹脂)からなる固定板を用いてもよい。但し、この場合、複数の素電池の正極を並列接続する部品を、新たに設ける必要がある。
【0100】
なお、本実施形態では、固定板に固定される中空突起部として、例えば平面形状が円状の中空突起部(中空円筒部)を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面形状が、楕円形状、三角形状、四角形状又は多角形状の中空突起部を用いてもよい。
【0101】
なお、本実施形態では、図1に示すように、封口板8aが、中空円筒部8a1と、肩部8a2とを有している場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、封口板が、中空円筒部のみを有していてもよい。
【0102】
なお、本実施形態では、図2に示すように、封口板8aの中空円筒部8a1を、正極バスバー14の貫通孔14aに貫通させて、正極バスバー14にかしめる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
第1に例えば、封口板の中空円筒部を、正極バスバーの貫通孔に貫通させて、正極バスバーの貫通孔の周縁部と、該周縁部と接触する中空円筒部とを溶接してもよい。
【0104】
第2に例えば、封口板の中空円筒部を、正極バスバーの貫通孔に圧入し、圧入により、中空円筒部を正極バスバーに固定してもよい。
【0105】
第3に例えば、正極バスバーによる素電池の固定をより強固にする為に、封口板の中空円筒部を、正極バスバーの貫通孔に貫通させて、正極バスバーにかしめた後、中空円筒部におけるかしめられた部分と、該部分と接触する正極バスバーとを溶接してもよい。
【0106】
なお、本実施形態では、複数の素電池10の負極の接続抵抗を低くし且つ正極バスバー14による複数の素電池10の固定をより強固にする為に、例えばNiからなる負極バスバー11を備えた電池モジュールの場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0107】
第1に例えば、Ni等の導電性材料以外の材料(例えば樹脂)からなるバスバーを備えた電池モジュールでもよい。第2に例えば、負極バスバーを備えていない電池モジュールでもよい。
【0108】
なお、本実施形態では、図3に示すように、負極接続板12(詳細には、負極接続板12の溶接部12c)が、電池ケース9の開口端側の側面に溶接されている場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0109】
例えば、負極接続板が、負極バスバーに溶接されていてもよい。この場合、負極接続板は、電池ケースの底面から側面を亘って開口端まで延びる延伸部を有している。
【0110】
なお、本実施形態では、円筒型の素電池を備えた電池モジュールの場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、角型の素電池を備えた電池モジュールでもよい。
【0111】
なお、本実施形態では、図1に示すように、正極1と負極2との間にセパレータ3を介して捲回された電極群4を備えた素電池の場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、正極と負極との間にセパレータを介して積層された電極群を備えた素電池でもよい。
【0112】
以下に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの応用例について、説明する。以下の応用例は、単なる一例に過ぎない。
【0113】
−応用例−
以下に、応用例の電池モジュールの構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、応用例の電池モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【0114】
応用例の電池モジュールは、図9に示すように、ケースと、ケース内に収容される組電池の集合体18と、ケース内に収容される流路19とを備えている。
【0115】
流路19は、例えば、樹脂からなる。流路19には、図9に示すように、組電池の集合体18に含まれる複数の組電池の各々と対応する保持部が設けられている。保持部に、組電池が収容されて、保持部により、組電池が保持されている。
【0116】
素電池を冷却する冷却水が、流路19の入口19aから流入されて、流路19を流れた冷却水が、流路19の出口19bから流出されている。流路19に流れる冷却水により、保持部に収容された組電池に含まれる複数の素電池の各々が冷却される。これにより、例えば、過熱された素電池を冷却することができる。
【0117】
組電池の集合体18は、第2の方向に配列された複数の組電池(例えば7コの組電池)を有している。組電池の集合体18に含まれる複数の組電池は、直列接続されている。
【0118】
組電池の集合体18に含まれる複数の組電池のうち、一方の側に配置された組電池には、負極端子18aが取り付けられている。一方、他方の側に配置された組電池には、正極端子18bが取り付けられている。
【0119】
図9において、詳細な図示を省略するが、組電池は、第1の方向に配列された複数の素電池(例えば20コの素電池)と、複数の素電池の負極を並列接続する負極接続板と、絶縁体と、複数の素電池を固定し且つ複数の素電池の正極を並列接続する正極バスバーと、複数の素電池の負極の接続抵抗を低くし且つ複数の素電池を固定する負極バスバーとを有している。
【0120】
図9において、詳細な図示を省略するが、素電池の中空円筒部は、負極接続板の貫通孔、絶縁体の貫通孔及び正極バスバーの貫通孔を貫通して、正極バスバーにかしめられている。
【0121】
ケースは、上面が開口された容器部15Aと、開口された容器部15Aの上面を閉口する蓋部15Bとを有している。容器部15Aは、側面が開口された側面開口部15A1と、開口された側面開口部15A1の側面を閉口する側面部15A2とを有している。
【0122】
容器部15Aの側面部15A2は、図9に示すように、排気口15aと、流路19の入口19aをケース外に取り出す為の取り出し孔15bと、流路19の出口19bをケース外に取り出す為の取り出し孔15cと、組電池の集合体18の負極端子18aと接続する電極端子15dと、組電池の集合体18の正極端子18bと接続する電極端子15eとを有している。
【0123】
応用例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
なお、応用例では、流路に、冷却水を流す場合を具体例に挙げて説明したが、流路に、冷却水の代わりに、温水を流してもよい。流路に流れる温水により、保持部に収容された組電池に含まれる複数の素電池の各々が温められる。これにより、例えば、低温環境下に曝された素電池を温めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、素電池が収容される収容部と、ガスが排気される排気部とを区画する固定板に、素電池を安定して固定することができるため、電池モジュールに有用である。
【符号の説明】
【0126】
1 正極
1L 正極リード
2 負極
2L 負極リード
3 セパレータ(多孔質絶縁層)
4 電極群
5 上部絶縁板
6 下部絶縁板
7 ガスケット
8 封口体
8a 封口板
8a1 中空円筒部
8a2 肩部
8b 弁体
8c 金属板
8d 金属フィルタ
9 電池ケース
10 素電池
11 負極バスバー
12 負極接続板
12a 平板部
12b 貫通孔
12c 溶接部
12d 溶接部
12e 段差部
13 絶縁体
13a 貫通孔
14 正極バスバー
14a 貫通孔
15 ケース
15A 容器部
15A1 側面開口部
15A2 側面部
15B 蓋部
15a 排気口
15b,15c 取り出し孔
15d,15e 電極端子
16a 排気部
16b 収容部
17 組電池
18 組電池の集合体
18a 負極端子
18b 正極端子
19 流路
19a 入口
19b 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を有するケースと、
前記ケース内に収容され、各々が電池ケース及び前記電池ケースの開口を封口する封口体を備えた複数の素電池と、
前記複数の素電池を固定する固定板とを備え、
前記固定板により、前記ケース内の空間は、前記素電池からのガスが排気され且つ前記ケースの前記排気口と連通する排気部と、前記複数の素電池が収容される収容部とに区画され、
前記素電池の前記封口体は、中空突起部を有し、
前記固定板は、前記封口体の前記中空突起部と対応する貫通孔を有し、
前記封口体の前記中空突起部は、前記固定板の前記貫通孔を貫通して、前記固定板に固定されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記封口体の前記中空突起部は、前記固定板の前記貫通孔を貫通して、前記固定板にかしめられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記素電池の前記封口体は、前記中空突起部の周縁に設けられた肩部をさらに有していることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記封口体の前記中空突起部は、正極端子として機能し、
前記固定板は、正極バスバーであり、
前記正極バスバーにより、前記複数の素電池の正極は、並列接続されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記封口体の前記中空突起部は、正極端子として機能し、
前記固定板は、回路基板であり、
前記回路基板は、絶縁性の基板と、前記基板に設けられた配線とを有し、
前記配線は、前記基板の貫通孔を貫通して前記基板に固定された前記封口体の前記中空突起部同士の間を接続し、
前記回路基板により、前記複数の素電池の正極は、並列接続されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
請求項4に記載の電池モジュールにおいて、
前記電池ケースは、負極端子として機能し、
前記電池ケースと前記正極バスバーとの間に介在する絶縁体をさらに備えていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記素電池からのガスは、前記封口体の前記中空突起部を通って、前記ケース内の前記排気部に排気された後、前記ケースの前記排気口を通って、前記ケース外に排気されることを特徴とする電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−65962(P2011−65962A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217850(P2009−217850)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】