説明

電池充電器

【課題】電池を充電する方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】リチウムベースの化学的性質を有する第1電池と、第1公称電圧とは異なる公称電圧を有する、リチウムベースの化学的性質を有する第2電池と、第1電池および第2電池を充電するように動作可能な電池充電器とを備える。また、リチウムベースの化学的性質を有する第1電池と、第1公称電圧範囲とは異なる第2公称電圧を有する、リチウムベースの化学的性質を有する第2電池と、第1電池および第2電池を充電するように動作可能な電池充電器とを備える電気的な組合せにおいて、電池を充電する方法が、電池充電器と第1電池を電気的に接続するステップ、第1電池を充電するステップ、電池充電器と第2電池を電気的に接続するステップ、および第2電池を充電するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電池を充電するための電池充電器に関し、さらに詳細には電動工具の電池を充電するための電池充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
コードレスの電動工具は、持ち運び可能なバッテリパック(batterypacks)によって電力の供給を受けるのが典型的である。これらのバッテリパックは、電池化学的性質(batterychemistry)および公称電圧(nominal voltage)が様々であり、数多くの工具および電気装置に電力を供給するために使用可能である。典型的には、電動工具用電池の電池化学的性質は、ニッケルカドミウム(「NiCd」)またはニッケル水素(「NiMH」)である。バッテリパックの公称電圧は、通常では約2.4Vから約24Vの範囲にわたる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの電池化学的性質(例えば、リチウム(「Li」)、リチウムイオン(「Li−ion」)、およびリチウムベースの他の化学的性質)には、放電が制御された厳密な充電方式および充電動作が必要である。不十分な充電方式および無制御な放電方式は、過剰な熱の蓄積、過剰な過充電状態、および/または過剰な過放電状態を招く場合がある。これらの状態および蓄積は、電池に不可逆的な損傷を引き起こす恐れがあり、かつ電池容量に重大な影響を与える恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電池を充電するためのシステムと方法を提供する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、本発明は、異なる電池化学的性質を有する様々なバッテリパックを完全に充電できる電池充電器を提供する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、本発明は、リチウムベースの電池、例えば、リチウムコバルト電池、リチウムマンガン電池、およびスピネル型の電池を完全に充電できる電池充電器を提供する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、本発明は、異なる公称電圧のまたは異なる公称電圧範囲内にある、リチウムベースの化学的性質のバッテリパックを充電できる電池充電器を提供する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、本発明は、異なる電池条件に基づいて実施される様々な充電モジュール(chargingmodules)を有する電池充電器を提供する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、本発明は、定電流パルス(pulsesof constant current)を印加することによって、リチウムベースの電池を充電するための方法およびシステムを提供する。いくつかの電池特性に応じて、電池充電器によってパルス間の時間およびパルスの長さを増加または減少することができる。
【0005】
本発明の独自の特徴および独自の利点は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面を検討すれば当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】電池を示す斜視図である。
【図2】図1に示した電池などの、電池を示す別の斜視図である。
【図3】図1に示した電池などの、電池充電器に電気的かつ物理的に接続されている電池を示す斜視図である。
【図4】図3に示した電池と電池充電器などの、電池充電器に電気接続されている電池を示す回路図である。
【図5a】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器の動作を示す流れ図である。
【図5b】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器の動作を示す流れ図である。
【図6】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第1モジュールを示す流れ図である。
【図7】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第2モジュールを示す流れ図である。
【図8】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第3モジュールを示す流れ図である。
【図9】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第4モジュールを示す流れ図である。
【図10】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第5モジュールを示す流れ図である。
【図11】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な第6モジュールを示す流れ図である。
【図12】図3に示した電池充電器などの、本発明の態様を具現する電池充電器に実施可能な充電アルゴリズムを示す流れ図である。
【図13】電池充電器に電気接続されている電池を示す回路図である。
【図14A】電池の他の構成を示す図である。
【図14B】電池の他の構成を示す図である。
【図15A】図1、2、および14A〜Bに示した電池の1つなどの、電動工具に電気的かつ物理的に接続された電池を示す斜視図である。
【図15B】図1、2、および14A〜Bに示した電池の1つなどの、電動工具に電気的かつ物理的に接続された電池を示す斜視図である。
【図16】電池に関する充電電流を示す模式図である。
【図17】電池を示す別の回路図である。
【図18】電池充電器に接続された逆変換装置を示す斜視図である。
【図19】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す平面図である。
【図20】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す側面図である。
【図21】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す上面図である。
【図22】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す別の側面図である。
【図23】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す背面図である。
【図24】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示す別の斜視図である。
【図25】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示すさらに別の斜視図である。
【図26】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示すさらに別の斜視図である。
【図27】図18の逆変換装置などの、電池充電器に接続されている逆変換装置を示すさらに別の斜視図である。
【図28】電池に関する充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図29】電池に関する別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図30】電池に関する別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図31】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図32】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図33】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図34】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図35】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図36】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図37】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図38】電池に関するさらに別の充電動作モジュールを示す流れ図である。
【図39】電池に関する充電電流を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その応用例において、以下の説明に記載されかつ以下の図面に例示されている構成要素の構成および配置の細部に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な方法で実施または実行可能である。同様に、本明細書に使用されている術語および用語は、説明目的であり、限定と見なすべきではないことを理解されたい。「含む」、「備える」、または「有する」、およびこれらの変形の使用は、以降に列挙されている要素およびその均等物ばかりでなく、追加的な要素も同様に包含しようとするものである。
【0008】
バッテリパックまたは電池20を図1および2に示す。この電池20は、例えば、電動工具25(図15A〜Bに示す)および/または電池充電器30(図3および4に示す)などの1個または複数の電気装置に電力を伝達しかつそれから電力を受け取るように構成されている。いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、例えば、鉛酸、ニッケルカドミウム(「NiCd」)、ニッケル水素(「NiMH」)、リチウム(「Li」)、リチウムイオン(「L−ion」)、リチウムベースの別の化学的性質、または別の充電可能な電池化学的性質など、いずれかの化学的性質を有することができる。いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、例えば、電動工具などの、高い電流放電率を有する電気装置に大きな放電電流を供給することができる。例示の構成では、電池20は、リチウム、リチウムイオン、またはリチウムベースの別の化学的性質を有し、約20A以上の平均放電電流を供給する。例えば、例示の構成では、電池20がリチウムコバルト(「Li−Co」)、リチウムマンガン(「Li−Mn」)スピネル、またはLi−Mnニッケルの化学的性質を有することができる。
【0009】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、例えば、約9.6Vから約50Vの範囲にわたる公称電圧など、どの公称電圧をも有し得る。1つの構成(図1〜3参照)では、例えば、電池20は約21Vの公称電圧を有する。別の構成(図14参照)では、電池20は約28Vの公称電圧を有する。他の構成では、電池20は、別の公称電圧範囲内にある別の公称電圧を有し得ることを理解されたい。
【0010】
電池20は、端子支持体40を設ける筐体35を含む。電池20は、端子支持体40によって支持され、かつ電動工具25および/または電池充電器30などの電気装置に接続可能な1個または複数の電池端子をさらに含む。いくつかの構成、例えば、図4に例示する構成などでは、電池20は、正の電池端子45、負の電池端子50、および検出電池端子55を含む。いくつかの構成では、電池20は図示の構成よりも多いまたは少ない端子を含む。
【0011】
電池20は1個または複数の電池セル60を有し、それぞれが化学的性質および公称電圧を有する。いくつかの構成では、電池20は、リチウムイオンの電池化学的性質、約18Vまたは21Vの公称電圧を有し、かつ5個の電池セルを含む。いくつかの構成では、それぞれの電池セル60がリチウムイオンの化学的性質を有し、かつそれぞれの電池セル60が、例えば、約3.6Vまたは約4.2Vなどの同じ公称電圧を有する。
【0012】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、1個または複数の端子に電気接続された識別回路(identificationcircuit)または素子を含む。いくつかの構成では、例えば、電池充電器30(図3および4に示す)などの電気装置は、1個または複数の電池特性を確認するために、この識別回路または素子を「読み取ったり」または識別回路または素子に基づいて入力を受け取ったりすることになる。いくつかの構成では、このような電池特性には、例えば、電池20の公称電圧、電池20の温度、および/または電池20の化学的性質が含まれ得る。
【0013】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、制御装置、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または1個もしくは複数の電池端子に電気接続されている制御器を含む。これらの制御器は、電池充電器30などの電気装置に接続し、この装置に、例えば、電池20の公称電圧、個々のセル電圧、電池20の温度、および/または電池20の化学的性質などの、1つまたは複数の電池特性または条件に関する情報を提供する。いくつかの構成、例えば、図4に例示する構成では、電池20は、マイクロプロセッサまたは制御器64を有する識別回路62を含む。
【0014】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池20は、温度検出素子またはサーミスタ(thermistor)を含む。このサーミスタは、1個または複数の電池セルの温度または電池20全体の温度を検出するために、電池20の内部に構成されかつ位置決めされている。いくつかの構成、例えば、図4に例示する構成では、電池20がサーミスタ66を含む。例示の構成では、サーミスタ66は識別回路62の中に含まれる。
【0015】
図3および4に示すように、電池20はまた、電池充電器30などの電気装置に接続するように構成されている。いくつかの構成では、電池充電器30は筐体70を含む。この筐体70は、電池20を接続する接続部75を設ける。この接続部75は、電池20を電池充電器30に電気接続するための1個または複数の電気装置端子を含む。電池充電器30の中に含まれる端子は、電池20の中に含まれている端子と対合し、電力および情報の授受を電池20と行うように構成されている。
【0016】
いくつかの構成、例えば、図4に例示する構成では、電池充電器30は、正の端子80、負の端子85、および検出端子90を含む。いくつかの構成では、電池充電器30の正の端子80は、正の電池端子45と対合するように構成されている。いくつかの構成では、電池充電器30の負の端子85と検出端子90は、負の電池端子50と検出電池端子55にそれぞれに対合するように構成されている。
【0017】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は充電回路95も含む。いくつかの構成では、この充電回路95は、制御装置、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または制御器100を含む。制御器100は、電池20と電池充電器30の間における電力の伝達を制御する。いくつかの構成では、制御器100は、電池20と電池充電器30の間における情報の伝達を制御する。いくつかの構成では、制御器100は、電池20から受け取った信号に基づいて、電池20の1つまたは複数の特性もしくは条件を識別しかつ/または確認する。制御器100は、電池20の識別特性に基づいて充電器30の動作を制御することもできる。
【0018】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、制御器100は、タイマ、バックアップタイマ、計数器を含み、かつ/または様々なタイミングおよび計数機能を実行することができる。タイマ、バックアップタイマ、および計数器は、様々な充電段階および/またはモジュールの間に使用されかつ制御器100によって制御される。タイマ、バックアップタイマ、および計数器については以下で論じる。
【0019】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は表示器または指示器110を含む。この指示器110は、使用者に電池充電器30の状態を知らせる。いくつかの構成では、指示器110は、動作時に開始および/または完了する、様々な充電段階、充電モード、または充電モジュールを使用者に知らせることができる。いくつかの構成では、指示器110は、第1の発光ダイオード(「LED」)115および第2のLED120を含む。例示の構成では、第1のLED115および第2のLED120は、異なる色のLEDである。例えば、第1のLED115が赤色LEDであり、第2のLED120が緑色LEDである。いくつかの構成では、制御器100は指示器110を作動しかつ制御する。いくつかの構成では、指示器110は、筐体70上に位置決めされるか、または指示器110が使用者に見えるように筐体70の中に含まれている。表示器は、充電率、残り時間等々を表示する指示器を含むこともできる。いくつかの構成では、表示器または指示器110は、電池20上に残量計(fuelgauge)を含むことができる。
【0020】
電池充電器30は、電源130から電力の入力を受け取るようになされている。いくつかの構成では、電源130は、交流約120V、60Hzの信号である。他の構成では、電源130は約240Vの交流信号である。他の構成では、電源130は、例えば、定電流の電源である。これらの構成では、電源130は、車両のジャック(例えば、車両のバッテリ)から受け取った直流信号などの直流12V信号を含むことができる。
【0021】
例示の構成では、電池充電器30は、交流電源から電力の入力を受け取る。直流電源で使用するためには、使用者は、図18〜27に示す逆変換装置(powerinverter)2140に電池充電器30を接続することができる。これらの構成では、逆変換装置2140は、直流信号(すなわち、車両の直流アウトレットからの直流12V信号)などの第1の信号から、交流信号(すなわち、交流120V信号)などの第2の信号に変換する。
【0022】
図18〜26に示すように、逆変換装置2140は筐体2145を含む。例示の構成では、筐体2145は、第1端部2146、第2端部2147、第1側面2148、および第2側面2149を含む。筐体2145は、底部表面2152および上部表面2154も含む。他の構成では、筐体2145は、図示かつ説明したものよりも多いまたは少ない表面、側面、および端部を含むことができる。
【0023】
1つの構成では、上部表面2154は、電池充電器30を配置するための領域となり得る。例示の構成では、上部表面2154は、電池充電器30と実質的に同じ幅と長さである。他の構成では、上部表面2154は、電池充電器30の幅と長さよりも大きい場合もまたは小さい場合もあり得る。他の構成では、上部表面2154は、電池充電器30を逆変換装置2140に固定するための固定機構(図示せず)を含むことができる。さらに他の構成では、筐体2145の別の部分が電池充電器30を逆変換装置2140に固定するための固定機構を含むことができる。
【0024】
逆変換装置2140は、第1電力信号(すなわち、直流電力信号)を受け取る入力端子2159も含む。いくつかの構成では、入力端子2159はコード2160および入力コネクタ2165を含む。例示の構成では、入力コネクタ2165は、車両の直流アウトレットから直流信号を受け取るための直流12V入力プラグを含む。
【0025】
逆変換装置2140は、第2電力信号(すなわち、交流電力信号)を送出するための変換出力端子2170も含む。例示では、変換出力端子2170は、3線式直ブレードアウトレット2170などの交流アウトレットを含む。図18に示すように、アウトレット2170はコード巻き2155上に位置決めされている。
【0026】
いくつかの構成では、逆変換装置2140はコード巻き2155を含むことができる。このコード巻き2155は、電池充電器30のコード2156を収納かつ固定することができる。例示の構成では、筐体2145の第2端部2147中の溝2158がコード巻き2155を形成する。
【0027】
いくつかの構成では、逆変換装置2140は第2出力端子2180を含むことができる。例示の構成では、第2出力端子2180は筐体2145の第1端部2146上に位置決めされ、第2(変換)電力信号を送出するように動作可能である。他の構成では、出力端子2180は第1電力信号(すなわち、直流信号)を送出することができる。他の構成では、逆変換装置2140は、第1電力信号または第2電力信号を送出する追加的な出力端子2180を含むことができる。さらに他の構成では、逆変換装置2140は、第2アウトレット2180の組合せ、すなわち、第1電力信号を送出する少なくとも1つのアウトレットと、第2電力信号を送出する別の少なくとも1つのアウトレットを含むことができる。
【0028】
いくつかの構成では、逆変換装置2140は、変換出力端子2170を介して電力の出力を制御するスイッチ2185を含むことができる。このスイッチ2185は、逆変換装置2140が変換出力端子2170を介して電力を分給するように動作可能なオン位置(逆変換装置2140が第1電力信号を受け取っているとき)と、逆変換装置2140が変換出力端子2170を介して電力を分給するように動作可能ではないオフ位置を含むことができる。スイッチ2185の位置は、例えば、図23〜26に示す第1のLED2188と第2のLED2189など、1つまたは複数のLEDによって使用者に知らせることができる。例示の構成では、第1のLED2188および第2のLED2189は、筐体2145の第1端部2146上に位置する。1つの構成では、第1のLED2188は赤色LEDであり、逆変換装置2140が変換出力端子2170を介して電力を供給するように動作可能ではないことを示し、第2のLED2189は緑色LEDであり、逆変換装置2140が変換出力端子2170を介して電力を供給するように動作可能であることを示す。他の構成では、スイッチ2185は第2出力端子2180の出力を制御することができる。さらに他の構成では、逆変換装置2140は、それぞれの出力端子またはアウトレット2170、2180のためのスイッチ2185を含む。
【0029】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、以下に説明するように、異なる電池化学的性質および異なる公称電圧を有する様々な充電式電池を充電することができる。例えば、典型的な1つの実施では、電池充電器30は、ニッケルカドミウムの電池化学的性質および約14.4Vの公称電圧を有する第1電池、リチウムイオンの電池化学的性質および約18Vの公称電圧を有する第2電池、ならびにリチウムイオンの電池化学的性質および約28Vの公称電圧を有する第3電池を充電することができる。別の典型的な実施では、電池充電器30は、約21Vの公称電圧を有する第1のリチウムイオン電池と、約28Vの公称電圧を有する第2のリチウムイオン電池を充電することができる。このような典型的な実施では、電池充電器30は、以下に論じるように、それぞれの電池20の公称電圧を識別し、それに応じて、いくつかの閾値をスケーリングしたり、または電池の公称電圧にしたがって電圧読取り値もしくは計測値(充電時に計測される)を変更したりすることができる。
【0030】
いくつかの構成では、電池充電器30は、電池20に含まれている識別素子を「読み取る」ことによって、または例えば、電池のマイクロプロセッサもしくは制御器からの信号を受け取ることによって、電池20の公称電圧を識別することができる。いくつかの構成では、電池充電器30は、充電器30が識別可能な様々な電池20に関する許容公称電圧の範囲を含むことができる。いくつかの構成では、許容公称電圧の範囲が約8Vから約50Vの幅を有し得る。他の構成では、許容公称電圧の範囲が約12Vから約28Vの幅を含み得る。他の構成では、電池充電器30は約12V以上の公称電圧を識別することが可能である。同様に他の構成では、電池充電器30が約30V以下の公称電圧を識別することが可能である。
【0031】
他の構成では、電池充電器30は、電池20の公称電圧を含む値域を識別することができる。電池充電器30は、例えば、第1電池20が約18Vの公称電圧を有することを識別するのではなく、第1電池20の公称電圧が、例えば、約18Vから約22V、または約16Vから約24Vまでの範囲内にあることを識別することができる。他の構成では、電池充電器30は、例えば、電池セルの数、電池化学的性質等々のような、他の電池特性を識別することも可能である。
【0032】
他の構成では、充電器30は、電池20の任意の公称電圧を識別することができる。これらの構成では、充電器30は、電池20の公称電圧にしたがっていくつかの閾値を調整またはスケーリングすることによって任意の公称電圧の電池20を充電することが可能である。これらの構成ではまた、それぞれの電池20が、公称電圧に関係なく、ほぼ同じ時間量の間に、ほぼ同じ振幅の充電電流を受け取ることができる(例えば、それぞれの電池20がほぼ完全に放電される場合)。電池充電器30は、充電されている電池20の公称電圧にしたがって、閾値の調整もしくはスケーリング(下で論じる)、または計測値の調整もしくはスケーリングが可能である。
【0033】
例えば、電池充電器30は、約21Vの公称電圧と5個の電池セルを有する第1の電池を識別可能である。充電全体を通して、電池充電器30は、1セル当たりの計測値を入手するために、この充電器30が標本抽出するすべての計測値(例えば、電池電圧)を変更する。すなわち、充電器30は、セルのおよその平均電圧を入手するために、すべての電池電圧の計測値を5(例えば、5個のセルの場合)で除する。したがって、電池充電器30に含まれるすべての閾値は、1セル当たりの計測値に相関し得る。また、電池充電器30は、約28Vの公称電圧および7個の電池セルを有する第2の電池を識別することが可能である。第1の電池での動作と同様に、電池充電器30は、1セル当たりの計測値を入手するために、すべての電圧計測値を変更する。この場合も、電池充電器30に含まれているすべての閾値が1セル当たりの計測値に相関し得る。この例では、電池充電器30は、同じ閾値を使用して第1および第2の電池に対する充電を監視しかつ終了することが可能であり、この電池充電器30は、公称電圧の範囲全体にわたって数多くの電池を充電できるようになる。
【0034】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、電池20を充電する充電方式または方法が電池20の温度を基本とする。1つの構成では、電池充電器30は、電池20の温度を周期的に検出または監視しながら、充電電流を電池20に供給する。電池20がマイクロプロセッサまたは制御器を備えていなければ、電池充電器30は、既定期間の後に、サーミスタ66の抵抗を周期的に計測する。電池20が、制御器64などのマイクロプロセッサまたは制御器を備えていれば、電池充電器30は、1)電池温度を周期的に計測するために、および/または電池温度が1つまたは複数の適正動作範囲の外にあるかどうかを周期的に計測するために、制御器64に問合わせを行うか、または2)以下に論じるように、制御器64から、電池温度が適正動作範囲内外にあることを示す信号を受け取るために待機する。
【0035】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、電池20を充電する充電方式または方法が電池20の現在の電圧を基本とする。いくつかの構成では、電池充電器30は、以下に論じるように、電流が電池20に供給されている、かつ/または電流が供給されていない既定期間の後に、電池電圧を周期的に検出または監視しながら、充電電流を電池20に供給する。いくつかの構成では、電池充電器30は、電池20を充電する充電方式または方法が電池20の温度と電圧の両方を基本とする。また、充電方式は個々のセル電圧に基づき得る。
【0036】
一旦、電池温度および/または電池電圧が既定の閾値を超えるか、または適正な動作範囲外にあれば、電池充電器30は充電電流を中断する。電池充電器30は、電池温度/電圧を周期的に検出または監視を続行するか、または電池温度/電圧が適正動作範囲内にあることを示す信号を制御器64から受け取るために待機する。電池温度/電圧が適正動作範囲内にあるとき、電池充電器30は、電池20に対する充電電流の供給を再開することができる。電池充電器30は、電池温度/電圧を監視し続け、かつ検出した電池温度/電圧に基づいて充電電流の中断と再開を続行する。いくつかの構成では、既定期間の後にまたは電池容量が既定の閾値に達するとき、電池充電器30は充電を終了する。他の構成では、電池20を電池充電器30から脱着するときに充電が終了する。
【0037】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、電池20などの、異なる化学的性質および/または公称電圧を有する様々な電池を充電するための動作方法を含む。このような充電動作200の一例を図5aおよび5bに例示する。いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、Li−Coの化学的性質、Li−Mnスピネルの化学的性質、Li−Mnニッケルの化学的性質等々のようなリチウムベースの電池を充電するための動作方法を含む。いくつかの構成およびいくつかの態様では、充電動作200は、異なる電池条件および/または電池特性に応答して、異なる機能を実行するための様々なモジュールを含む。
【0038】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、充電動作200の方法は、異常なおよび/または通常の電池条件に基づいて充電を中断するためのモジュールを含む。いくつかの構成では、充電動作200は、図6の流れ図205に例示する不良パックモジュール(defectivepack module)などの不良パックモジュール、および/または図7の流れ図210に例示する温度範囲外モジュール(temperatureout−of−range module)などの温度範囲外モジュールを含む。いくつかの構成では、電池充電器30は、異常な電池電圧、異常なセル電圧、および/または異常な電池容量に基づいて充電を終了するために、不良パックモジュール205に入る。いくつかの構成では、電池充電器30は、異常な電池温度ならびに/または1つもしくは複数の異常な電池セル温度に基づいて充電を終了するために、温度範囲外モジュール210に入る。いくつかの構成では、充電動作200は、以上および以下に論じる条件よりも多いかまたは少ない電池条件に基づいて充電を終了する、以上および以下に論じるモジュールよりも多いかまたは少ないモジュールを含む。充電動作と充電モジュールの他の構成を図28〜38に示す。
【0039】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、充電動作200は、様々な電池条件に基づいて電池20を充電するための様々なモードまたはモジュールを含む。いくつかの構成では、充電動作200は、図8の流れ図215に例示する細流充電モジュール(tricklecharge module)のような細流充電モジュール、図9の流れ図220に例示する段階充電モジュール(stepcharge module)のような段階充電モジュール、図10の流れ図225に例示する急速充電モジュール(fastcharge module)のような急速充電モジュール、および/または図11の流れ図230に例示する維持モジュールのような維持充電モジュール(maintenancecharge module)を含む。
【0040】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、それぞれの充電モジュール215〜230が、一定の電池温度範囲、一定の電池電圧範囲、および/または一定の電池容量範囲に基づいて、充電動作200時に、制御器100によって選択される。いくつかの構成では、それぞれのモジュール215〜230が、表1に示す電池特性に基づいて制御器100によって選択される。いくつかの構成では、「電池温度」または「電池の温度」という条件は、全体として計測した電池(すなわち、電池セル、電池構成要素等々)の温度、および/または個々にもしくは集合的に計測した電池セルの温度を包含することができる。いくつかの構成では、以下に論じるように、それぞれの充電モジュール215〜230は、例えば、完全充電電流(fullcharge current )のような同じ基本的な充電方式または充電アルゴリズム(charging algorithm)に基づき得る。
【0041】
【表1】

【0042】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、細流充電モジュール215の間に、電池20に印加される充電電流は、電池20に、第1期間の間、例えば、10秒間、完全充電電流(例えば、「I」)を印加し、次いで第2期間の間、例えば、50秒間、完全充電電流を一時停止することを含む。いくつかの構成では、完全充電電流は、ほぼ既定の振幅にある充電電流のパルスである。いくつかの構成では、電池充電器30は、電池電圧が第1の既定電圧閾値V1よりも低ければ、細流充電モジュール215にのみ入る。
【0043】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、急速充電モジュール225の間に、電池20に印加される充電電流は、第1期間、例えば、1秒間、電池20に完全充電電流を印加し、次いで第2期間、例えば、50ミリ秒の間、完全充電電流を一時停止することを含む。いくつかの構成では、制御器100は、バックアップタイマを第1の既定制限時間、例えば、約2時間などに設定する。これらの構成では、電池充電器30は、電池の損傷を回避するために、既定制限時間の間は急速充電モジュール225を実行しない。他の構成では、電池充電器30は、既定制限時間が切れると終了する(例えば、充電を中止する)。
【0044】
いくつかの構成では、電池充電器30は、電池電圧が、第1の電圧閾値V1から第2の既定電圧閾値V2までの範囲に含まれ、かつ電池温度が第2の電池温度閾値T2から第3の電池温度閾値T3までの範囲内にあれば、急速充電モジュール225にのみ入る。いくつかの構成では、第2電圧閾値V2は第1電圧閾値V1よりも高く、第3温度閾値T3は第2温度閾値T2よりも高い。
【0045】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、段階充電モジュール220の間に、電池20に印加される充電電流は、電池20に急速充電モジュール225の充電電流を印加することを含むが、1分間の充電(「オン」)、1分間の充電一時停止(「オフ」)の動作周期を有する。いくつかの構成では、制御器100は、例えば、約4時間などの第2の既定制限時間に、バックアップタイマを設定する。これらの構成では、電池充電器30は、電池の損傷を回避するために、既定制限時間の間は段階充電モジュール220を実行しない。
【0046】
いくつかの構成では、電池充電器30は、電池電圧が第1の電圧閾値V1から第2の電圧閾値V2までの範囲に含まれ、かつ電池温度が第1の温度閾値T1から第2の温度閾値T2までの範囲内にあれば、段階充電モジュール220のみに入る。いくつかの構成では、第2の電圧閾値V2は第1の電圧閾値V1よりも高く、第2の温度閾値T2は第1の温度閾値T1よりも高い。
【0047】
いくつかの構成およびいくつか態様では、維持モジュール230の間に、電池20に印加される充電電流は、電池電圧が一定の既定閾値に降下するときのみに、電池20に完全充電電流を印加することを含む。いくつかの構成では、この閾値は約4.05V/セル(1セル当たり+/−1%)である。いくつかの構成では、電池充電器30は、電池電圧が第2の電圧閾値V2から第3の電圧閾値V3までの範囲内に含まれ、かつ電池温度が第1の温度閾値T1から第3の温度閾値T3までの範囲内にあれば、維持モジュール230のみに入る。
【0048】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、制御器100は、様々な電池条件に基づいて様々な充電モジュール220〜230を実行する。いくつかの構成では、それぞれの充電モジュール220〜230が同じ充電アルゴリズム(例えば、完全充電電流を印加するためのアルゴリズム)を含む。しかし、それぞれの充電モジュール220〜230は、異なる方式で充電アルゴリズムを実行し、反復し、または組み込む。充電アルゴリズムの一例は、以下に論じるように、図12の流れ図250に例示する充電電流アルゴリズムである。
【0049】
図5aおよび5bに例示するように、充電動作200は、ステップ305で電池20のような電池を電池充電器30に挿入するかまたは電気的に接続するときに始まる。ステップ310で、制御器100は、電力の安定入力、例えば、電源130が電池充電器30に印加されているかまたは接続されているかどうかを確認する。図5aに示すように、電池20が電池充電器30に電気的に接続された後に電力を印加しても同じ動作が依然として該当する(すなわち、ステップ305はステップ310に進む)。
【0050】
制御器100が、電力の安定入力が印加されていないことを確認すれば、制御器100は、指示器110を起動せず、ステップ315で電池20の充電を行わない。いくつかの構成では、電池充電器30は、ステップ315で、わずかな放電電流を消費する。いくつかの構成では、このような放電電流は約0.1mAよりも小さい。
【0051】
制御器100が、ステップ310で、電池充電器30に電力の安定入力が印加されていることを確認すれば、動作200はステップ320に進む。ステップ320では、制御器100は、電池端子45、50、および55と電池充電器端子80、85、および90の間の接続がすべて安定しているかどうかを確認する。ステップ320で、接続が安定していなければ、制御器100はステップ315に戻る。
【0052】
ステップ320で、接続が安定していれば、制御器100は、ステップ325で、電池20の検出端子55によって電池20の化学的性質を識別する。いくつかの構成では、電池20からの抵抗型検出リード線は、制御器100によって検出されるとき、電池20がニッケルカドミウムまたはニッケル水素の化学的性質を有することを示す。いくつかの構成では、制御器100は抵抗型検出リード線の抵抗を計測して電池20の化学的性質を確認する。例えば、いくつかの構成では、検出リード線の抵抗が第1の範囲にあれば、電池20の化学的性質はニッケルカドミウムである。検出リード線の抵抗が第2の範囲にあれば、電池20の化学的性質はニッケル水素である。
【0053】
いくつかの構成では、ニッケルカドミウム電池およびニッケル水素電池は、リチウムベースの化学的性質を有する電池に関して実行される充電アルゴリズムとは異なる単一の充電アルゴリズムを使用して電池充電器30によって充電される。いくつかの構成では、このようなニッケルカドミウムおよびニッケル水素電池に関する単一充電アルゴリズムは、例えば、ニッケルカドミウム/ニッケル水素電池に関する既存の充電アルゴリズムである。いくつかの構成では、電池充電器30は、ニッケルカドミウム電池およびニッケル水素電池を充電するための単一充電アルゴリズムを使用するが、ニッケル水素電池に対する充電を終了するために使用する終了方式とは異なる方式によって、ニッケルカドミウム電池に関する充電過程を終了する。いくつかの構成では、電池充電器30は、電池電圧の負の変化(例えば、−ΔV)が制御器100によって検出されるとき、ニッケルカドミウム電池に対する充電を終了する。いくつかの構成では、電池充電器30は、時間経過に伴う電池温度の変化(例えば、ΔT/dt)が既定の終了閾値に達するかまたは超えるとき、ニッケル水素電池に対する充電を終了する。
【0054】
いくつかの構成では、ニッケルカドミウムおよび/またはニッケル水素電池は、定電流アルゴリズムを使用して充電される。例えば、電池充電器30は、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等々のような異なる化学的性質を有する異なる電池を充電するために同じ充電回路を含むことができる。典型的な1つの構成では、充電器30は、この充電回路を使用し、パルス充電ではなく定電流アルゴリズムを用いて、リチウムイオン電池と同じ完全充電電流をニッケルカドミウムおよびニッケル水素電池に印加することができる。別の典型的な構成では、電池充電器30は、電池の化学的性質にしたがって、充電回路によって完全充電電流をスケーリングすることができる。
【0055】
他の構成では、制御器100は電池20の厳密な化学的性質を確認しない。その代わりに、制御器100は、ニッケルカドミウム電池とニッケル水素電池の両方を効果的に充電できる充電モジュールを実行する。
【0056】
他の構成では、検出リード線の抵抗は、電池20がリチウムベースの化学的性質を有することを示し得る。例えば、検出リード線の抵抗が第3の範囲内にあれば、電池20の化学的性質はリチウムをベースとするものである。
【0057】
いくつかの構成では、検出端子55および90によって確立された電池充電器30と電池20の間の直列通信リンクが、電池20がリチウムベースの化学的性質を有することを示す。直列通信リンクがステップ320で確立されれば、電池20中の制御器64のようなマイクロプロセッサまたは制御器が、電池20に関する情報を電池充電器30中の制御器100に送る。このように電池20と電池充電器30の間で伝達される情報には、電池の化学的性質、公称電池電圧、電池容量、電池温度、個々のセル電圧、充電周期の数、放電周期の数、保護回路または回路網の状態(例えば、動作中、動作不能、動作可能等々)が含まれ得る。
【0058】
ステップ330では、制御器100は、電池20の化学的性質がリチウムをベースとするものかどうかを確認する。ステップ330で、制御器100が、電池20がニッケルカドミウムまたはニッケル水素の化学的性質を有することを確認すれば、動作200は、ステップ335のニッケルカドミウム/ニッケル水素の充電アルゴリズムに進む。
【0059】
制御器100が、ステップ330で、電池20がリチウムベースの化学的性質を有することを確認すれば、動作200はステップ340に進む。ステップ340で、制御器100は、例えば、スイッチのような、電池20の中に含まれている任意の電池保護回路を再設定し、通信リンクを介して電池20の公称電圧を確認する。ステップ345で、制御器100は、充電器のアナログ/デジタル変換器(「A/D」)を公称電圧に基づいて適切な水準に設定する。
【0060】
ステップ350で、制御器100は電池20の現在の電圧を計測する。一旦、計測が行われると、制御器100は、ステップ355で、電池20の電圧が4.3V/セルよりも大きいかどうかを確認する。ステップ355で、電池電圧が4.3V/セルよりも大きければ、動作200は、ステップ360の不良パックモジュール205に進む。この不良パックモジュール205については以下で論じる。
【0061】
ステップ355で、電池電圧が4.3V/セル以下であれば、制御器100は、ステップ365で電池温度を計測し、さらにステップ370で、電池温度が−10℃よりも低いか、それとも65℃よりも高いかを確認する。ステップ370で、電池温度が−10℃よりも低いかまたは65℃よりも高ければ、動作200は、ステップ375の温度範囲外モジュール210に進む。この温度範囲外モジュール210については以下で論じる。
【0062】
ステップ370で、電池温度が−10℃以上であるか、または65℃以下であれば、制御器100は、ステップ380(図5bに示す)で、電池温度が−10℃と0℃の間にあるかどうかを確認する。ステップ380で、電池温度が−10℃と0℃の間にあれば、動作200はステップ385に進む。ステップ385で、制御器100は、電池電圧が3.5V/セル未満であるかどうかを確認する。電池電圧が3.5V/セル未満であれば、動作200は、ステップ390の細流充電モジュール215に進む。この細流充電モジュール215については以下で論じる。
【0063】
電池電圧が、ステップ385で3.5V/セル以上であれば、制御器100は、ステップ395で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルの電圧範囲内に含まれているかどうかを確認する。ステップ395で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルまでの電圧範囲に含まれていなければ、動作200はステップ400の維持モジュール230に進む。この維持モジュール230については以下で論じる。
【0064】
ステップ395で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルまでの電圧範囲内に含まれていれば、制御器100は、ステップ405で、充電計数器のような計数器を消去する。一旦、ステップ405で充電計数器が消去されると、制御器200は、ステップ410の段階充電モジュール220に進む。この段階充電モジュール220および充電計数器については以下に論じる。
【0065】
ステップ380を再び参照すると、電池温度が−10℃と0℃の範囲内に含まれていなければ、制御器100は、ステップ415で、電池電圧が3.5V/セル未満であるかどうかを確認する。ステップ415で、電池電圧が3.5V/セル未満であれば、動作200はステップ420の細流充電モジュール215に進む。
【0066】
ステップ415で、電池電圧が3.5V/セル以上であれば、制御器100は、ステップ425で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルの電圧範囲内に含まれているかどうかを確認する。ステップ425で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルの電圧範囲内に含まれていなければ、動作200はステップ430の維持モジュール230に進む。
【0067】
ステップ425で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルまでの電圧範囲内に含まれていれば、制御器100は、ステップ435で充電計数器のような計数器を消去する。ステップ435で、一旦、充電計数器が消去されると、動作200はステップ440の急速充電モジュール225に進む。この急速充電モジュール225については以下で論じる。
【0068】
図6は、不良パックモジュール205の動作を例示する流れ図である。モジュール205の動作は、主充電動作200がステップ460の不良パックモジュール205に入るときに始まる。制御器100は、ステップ465で充電電流を中断し、かつステップ470で、第1の発光ダイオード(LED)のような指示器110を作動する。例示の構成では、制御器100は第1のLEDが約4Hzの速度で点滅するように制御する。一旦、指示器110がステップ470において作動されると、モジュール205はステップ475で終了し、かつ動作200も終了する。
【0069】
図7は、温度範囲外モジュール210の動作を例示する流れ図である。モジュール210の動作は、主充電動作200がステップ490の温度範囲外モジュール210に入るときに始まる。制御器100は、ステップ495で充電電流を中断し、かつステップ500で、第1のLEDのような指示器110を作動する。例示の構成では、制御器100は、第1のLEDが約1Hzの速さで点滅するように制御し、現在、電池充電器30が温度範囲外モジュール210にあることを使用者に知らせる。ステップ500で、一旦、指示器110が作動されると、動作200はモジュール210から退出し、かつ動作200を中断するステップに進む。
【0070】
図8は、細流充電モジュール215を例示する流れ図である。細流充電モジュール215の動作は、主充電動作200がステップ520の細流充電モジュール215に入るときに始まる。制御器100は、ステップ525で第1のLED115のような指示器110を作動し、現在、電池充電器30が電池20を充電中であることを使用者に知らせる。例示の構成では、制御器100は、第1のLED115を常にオン状態に表示されるように作動する。
【0071】
一旦、指示器110がステップ525で作動されると、制御器100は、ステップ530で、細流充電計数カウンタのような計数器を初期化する。例示の構成では、細流充電計数カウンタが20の計数制限値を有する。
【0072】
ステップ540では、制御器100は、10回の1秒(「1−s」)完全電流パルスを電池20に印加し、次いで、50秒間(「50−s」)、充電を一時停止する。いくつかの構成では、1−sパルス間に50ミリ秒の時間間隔が存在する。
【0073】
ステップ545で、制御器100は、電池電圧が4.6V/セルを超えるかどうか確認するために、充電電流が電池20に印加されるときに(例えば、電流オン時間(currenton−times))電池電圧を計測する。ステップ545の電流オン時間の間に、電池電圧が4.6V/セルを超えれば、モジュール215は、ステップ550の不良パックモジュール205に進み、ステップ552で終了することになる。電池電圧が、ステップ545の電流オン時間の間に4.6V/セルを超えなければ、制御器100は、ステップ555で、充電電流が電池20に印加されないとき(例えば、電流オフ時間(currentoff−times))に電池温度および電池電圧を計測する。
【0074】
ステップ560で、制御器100は、電池温度が−10℃よりも低いかまたは65℃を超えているかどうかを確認する。ステップ560で、電池温度が−10℃よりも低いかまたは65℃よりも高ければ、モジュール215はステップ565の温度範囲外モジュール210に進み、ステップ570で終了することになる。ステップ560で、電池温度が−10℃以上であるかまたは65℃以下であれば、制御器100は、ステップ575で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルまでの範囲内に含まれているかどうかを確認する。
【0075】
ステップ575で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルの範囲に含まれていれば、制御器100は、ステップ580で、電池温度が−10℃から0℃までの範囲内に含まれているかどうかを確認する。ステップ580で、電池温度が−10℃から0℃までの範囲に含まれていれば、モジュール215は、ステップ585で、段階充電モジュール220に進む。ステップ580で、電池温度が−10℃から0℃までの範囲に含まれていなければ、モジュール215は、ステップ590の急速充電モジュール225に進む。
【0076】
ステップ575で、電池電圧が3.5V/セルから4.1V/セルまでの範囲内に含まれていなければ、制御器100は、ステップ595で細流充電計数カウンタを増分する。ステップ600では、制御器100は、細流充電計数カウンタが、例えば、20などの計数器の制限値に等しいかどうかを確認する。ステップ600で、計数器が計数制限値に等しくなければ、モジュール215はステップ540に進む。ステップ600で、計数器が計数制限値に等しければ、モジュール215は、ステップ605の不良パックモジュール205に進み、かつステップ610で終了することになる。
【0077】
図9は、段階充電モジュール220を例示する流れ図である。モジュール220の動作は、主充電動作200がステップ630の段階充電モジュール220に入るときに始まる。制御器100は、ステップ635で第1のLED115のような指示器110を作動し、現在、電池充電器30が電池20を充電中であることを使用者に知らせる。例示の構成では、制御器100は、第1のLED115を常にオン状態に表示されているように作動する。
【0078】
ステップ640で、制御器100は第1タイマまたは充電オンタイマ(charge−ontimer)を始動する。例示の構成では、充電オンタイマは1分から秒読みを行う。ステップ645で、モジュール220は充電電流アルゴリズム250に進む。一旦、充電電流アルゴリズム250が実行されると、制御器100は、ステップ650で、充電計数が、例えば、7,200などの計数制限値に等しいかどうかを確認する。ステップ650で、充電計数が計数制限値に等しければ、モジュール220は、ステップ655の不良パックモジュール205に進み、かつモジュール220はステップ660で終了する。
【0079】
ステップ650で、充電計数が計数制限値に等しくなければ、制御器100は、ステップ665で、電流パルス間の待機時間(下で論じる)が、例えば、2秒などの第1待機時間閾値以上であるかどうかを確認する。ステップ665で、待機時間が第1待機時間閾値以上であれば、制御器100は、ステップ670で表示器110を作動し、例えば、第1のLED115を切り、かつ第2のLED120を約1Hzの速さで点滅するように作動する。ステップ665で、待機時間が第1待機時間閾値未満であれば、モジュール220はステップ690に進む(下で論じる)。
【0080】
一旦、ステップ670で表示器110が作動されると、制御器100は、ステップ675で、電流パルス間の待機時間が、例えば、15秒のような第2待機時間閾値以上であるかどうかを確認する。ステップ675で、待機時間が第2待機時間閾値以上であれば、制御器100はステップ680で表示器110を変更し、例えば、第2のLED120が常にオン状態に表示されているように第2のLED120を作動する。次いで、モジュール220はステップ685の維持モジュール230に進む。
【0081】
ステップ675で、待機時間が第2待機時間閾値未満であれば、制御器100は、ステップ690で、電池温度が0℃よりも高いかどうかを確認する。ステップ690で、電池温度が0℃よりも高ければ、モジュール220はステップ695の急速充電モジュール225に進む。ステップ690で、電池温度が0℃以下であれば、制御器100は、ステップ700で充電オンタイマが切れたかどうかを確認する。
【0082】
ステップ700で、充電オンタイマが切れていなかったら、モジュール220はステップ645の充電電流アルゴリズム250に進む。ステップ700で、充電オンタイマが切れていたら、制御器100は、ステップ705で、第2タイマまたは充電オフタイマ(charge−offtimer)を作動し、充電を一時停止する。ステップ710で、制御器100は、充電オフタイマが切れたかどうかを確認する。ステップ710で、充電オフタイマが切れていなかったら、制御器100は、ステップ715で既定時間量の間待機し、次いでステップ710に進む。ステップ710で、充電オフタイマが切れていたら、モジュール220はステップ640に戻って充電オンタイマを再始動する。
【0083】
図10は、急速充電モジュール225を例示する流れ図である。モジュール225の動作は、主充電動作200がステップ730の急速充電モジュール225に入るときに始まる。制御器100は、ステップ735で第1のLED115のような指示器110を作動し、現在、電池充電器30が電池20を充電中であることを使用者に知らせる。例示の構成では、制御器100は、第1のLED115を作動し、それが常にオン状態に表示されているようにする。
【0084】
ステップ740で、モジュール225は充電電流アルゴリズム250に進む。一旦、充電電流アルゴリズム250が実行されると、制御器100は、ステップ745で、充電計数が計数制限値(例えば、7,200)に等しいかどうかを確認する。ステップ745で、充電計数が計数制限値に等しければ、モジュール225はステップ750の不良パックモジュール205に進み、かつモジュール225はステップ755で終了する。
【0085】
ステップ745で、充電計数が計数制限値に等しくなければ、制御器100は、ステップ760で、電流パルス間の待機時間が第1待機時間閾値(例えば、2秒)以上であるかどうかを確認する。ステップ760で、待機時間が第1待機時間閾値以上であれば、制御器100はステップ765で表示器110を作動し、例えば、第1のLED115を切り、かつ第2のLED120を約1Hzの速さで点滅するように作動する。ステップ760で、待機時間が第1待機時間閾値未満であれば、モジュール225はステップ785に進む(下で論じる)。
【0086】
一旦、ステップ765で表示器110が作動されると、制御器100は、ステップ770で、電流パルス間の待機時間が第2待機時間閾値(例えば、15秒)以上であるかどうかを確認する。ステップ770で、待機時間が第2待機時間閾値以上であれば、制御器100は、ステップ775で表示器110を変更し、例えば、第2のLED120を作動し、この第2のLED120が常にオン状態に表示されているようにする。モジュール225は、次いでステップ780の維持モジュール230に進む。
【0087】
ステップ770で、待機時間が第2待機時間閾値未満であれば、制御器100は、ステップ785で、電池温度が−20℃から0℃までの範囲内に含まれているかどうかを確認する。ステップ785で、電池温度がこの範囲内に含まれていれば、モジュール225はステップ790の段階充電モジュール220に進む。ステップ785で、電池温度がこの範囲内に含まれていなければ、モジュール225はステップ740の充電電流アルゴリズム250に戻る。
【0088】
図11は、維持モジュール230を例示する流れ図である。モジュール230の動作は、主充電動作200がステップ800の維持モジュール230に入るときに始まる。ステップ805で、制御器100は、電池電圧が3.5V/セルから4.05V/セルまでの範囲内に含まれているかどうかを確認する。ステップ805で、電池電圧がこの範囲内に含まれていなければ、制御器100は、電池電圧が範囲内に含まれるまでステップ805に留まり続ける。一旦、ステップ805で電池電圧がこの範囲内に含まれると、制御器100は、ステップ810の維持タイマ(maintenancetimer)を始動する。いくつかの構成では、維持タイマが30分から秒読みを行う。
【0089】
ステップ815で、制御器100は、電池温度が−20℃よりも低いかまたは65℃を超えるかを確認する。ステップ815で、電池温度が−20℃よりも低いかまたは65℃を超えれば、モジュール230はステップ820の温度範囲外モジュール210に進み、かつモジュールはステップ825で終了する。ステップ815で、電池温度が−20℃以上かまたは65℃以下であれば、モジュール230は、ステップ830の充電電流アルゴリズム250に進む。
【0090】
一旦、ステップ830で充電電流アルゴリズム250が実行されると、ステップ835で、制御器100は、維持タイマが切れたかどうかを確認する。維持タイマが切れていたら、モジュール230はステップ840の不良パックモジュール205に進み、かつモジュール230はステップ845で終了する。ステップ835で、維持タイマが切れていなかったら、制御器100は、ステップ850で、電流パルス間の待機時間が、例えば、15秒などの第1既定維持待機期間以上であるかどうかを確認する。
【0091】
ステップ850で、待機時間が第1既定維持待機期間よりも長ければ、モジュール230はステップ805に進む。ステップ850で、待機時間が第1既定維持待機期間未満であれば、モジュール230はステップ830の充電電流アルゴリズム250に進む。いくつかの構成では、電池充電器30は、バッテリパック(電池)20を電池充電器30から脱着するまで維持モジュール230に留まる。
【0092】
図12は、基本的な充電方式または充電電流アルゴリズム250を例示する流れ図である。モジュール250の動作は、その他のモジュール220〜230または主充電動作200がステップ870で充電電流アルゴリズム250に入るときに始まる。ステップ875で、制御器100は約1秒間、完全電流パルスを印加する。ステップ880で、制御器100は、電流を電池20に印加しているときに、電池電圧が4.6V/セルよりも大きいかどうかを確認する。
【0093】
ステップ880で、電池電圧が4.6V/セルよりも大きければ、アルゴリズム250はステップ885の不良パックモジュール205に進み、かつアルゴリズム250はステップ890で終了することになる。ステップ880で、電池電圧が4.6V/セル以下であれば、制御器100は、ステップ895で、充電電流を中断し、充電電流計数器のような計数器を増分し、かつ計数値を格納する。
【0094】
ステップ900では、制御器100は、電池温度が−20℃よりも低いかまたは65℃を超えるかを確認する。ステップ900で、電池温度が−20℃よりも低いかまたは65℃を超えれば、アルゴリズム250はステップ905の温度範囲外モジュール210に進み、かつアルゴリズム250はステップ910で終了する。ステップ900で、電池温度が−20℃以上かまたは65℃以下であれば、ステップ915で、制御器100は、充電電流を電池20に印加していないときに電池電圧を計測する。
【0095】
ステップ920で、制御器100は、電池電圧が4.2V/セル未満であるかどうかを確認する。ステップ920で、電池電圧が4.2V/セル未満であれば、アルゴリズム250はステップ875に進む。ステップ920で、電池電圧が4.2V/セル以上であれば、ステップ925で、制御器100は、電池電圧が約4.2V/セルに等しくなるまで待機する。ステップ925では、制御器100はその待機時間も格納する。アルゴリズム250はステップ930で終了する。
【0096】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、電池20などの異なる化学的性質および/または公称電圧を有する様々な電池を充電するために、別の動作方法を含むことができる。このような充電動作の一例が図28〜38に例示してある。いくつかの構成およびいくつかの態様では、電池充電器30は、Li−Co化学的性質、Li−Mnスピネル化学的性質、Li−Mnニッケル化学的性質等々を有する電池のような、リチウムベースの電池を充電するための動作方法を含む。いくつかの構成および態様では、充電動作200は、異なる電池条件および/または電池特性に応答して異なる機能を実行するための様々なモジュールを含む。
【0097】
いくつかの構成および態様では、充電動作の方法は、異常なおよび/または通常の電池条件に基づいて充電を中断するためのモジュールを含む。いくつかの構成では、充電動作は、不良パックモジュールおよび/または図36の流れ図2235に例示する温度範囲外モジュールのような温度範囲外モジュールを含む。いくつかの構成では、電池充電器30は、異常な電池電圧、異常なセル電圧、および/または異常な電池容量に基づいて充電を終了するために、不良パックモジュールに入る。いくつかの構成では、電池充電器30は、異常な電池温度および/または1つもしくは複数の異常な電池セル温度に基づいて充電を終了するために、温度範囲外モジュール2235に入る。いくつかの構成では、充電動作は、以上および以下で論じる条件よりも多いかまたは少ない条件に基づいて充電を終了する、以上および以下に論じるモジュールよりも多いかまたは少ないモジュールを含む。
【0098】
いくつかの構成および態様では、充電動作は、動作における様々な条件または段階に基づいて電池20を充電するための様々なモードまたはモジュールを含む。いくつかの構成では、充電動作には、図34の流れ図2225に例示する細流(制限)充電モジュール(trickle(limited) charge module)のような細流充電モジュール、図33の流れ図2220に例示する細流(段階)モジュール(trickle (step) module)、図32の流れ図2215に例示する急速充電モジュールのような急速充電モジュール、および/または図35の流れ図2230に例示する維持モジュールのような維持充電モジュールばかりでなく、図31の流れ図2210に例示するフラットパック起動モジュール(flatpack wake−up module)、図29、30の流れ図2205および図28の流れ図2200にそれぞれ例示する充電モジュールならびにパック挿入モジュール(packinsert module)2200(充電を開始する)などの他のモジュールも含まれる。充電動作には、他のモジュールが様々な方法で実行する、図37および38の流れ図2240に例示するアルゴリズムのような充電電流アルゴリズムも含まれる。
【0099】
充電動作の一部に関する一例を図28〜30に関して列挙する。例えば、充電動作は、図28に示すように、パック挿入モジュール2200から始まる。この動作は、電池充電器に電力が供給されることから始まり(ステップ2305)、電池充電器30は入力電圧V入力が適正な動作パラメータ範囲内(例えば、80V<V入力<140V)であるかどうかを確認する(ステップ2310)。入力電圧V入力がこの動作パラメータ範囲内になければ、電池充電器30は充電を阻止する(ステップ2315)。電池充電器30は、使用者に適正な入力電圧V入力が供給されているかどうかも知らせる(ステップ2315)。
【0100】
電池充電器30が適正な入力電圧V入力を受け取っていれば、バッテリパック20は充電器に接続され(ステップ2325)、かつ充電器30は適正な接続(例えば、端子間の接続)が行われたかどうかを確認する(ステップ2330)。適切な接続が行われていなかったら、充電器30は、いずれのLEDも点灯させず(ステップ2335)、充電動作が終了する(ステップ2340)。接続が行われていれば、充電器30は、制御器100に対する電圧によって電池20の存在を検出し(ステップ2345)、制御器100は電池20の電圧Vパックを計測する(ステップ2350)。
【0101】
充電器30は、電池電圧Vパックが5Vよりも低いかどうかを確認する(ステップ2355)。電池電圧Vパックが5Vよりも低ければ、充電動作はフラットパック起動モジュール2210に進む(ステップ2360)。電池電圧Vパックが5V以上であれば、充電器30は電池20との接続を確立しようとして(ステップ2365)、接続が確立されているかどうかを確認する(ステップ2370)。接続が確立されていなければ、充電器30はいずれの表示器も点灯させず(ステップ2375)、かつ充電動作を終了する(ステップ2380)。接続が確立されれば、充電動作は充電モジュール2205に進む(ステップ2385)。
【0102】
充電モジュール2205を図29および30に例示する。充電モジュール2205は、充電器30がパック公称電圧を識別しかつ適切な計測パラメータを設定することから開始し(ステップ2405)、次いで電池20のセル電圧の問合わせを行って(ステップ2410)、いずれかのセル電圧が上限閾値(例えば、4.35V)よりも大きいかどうか確認する(2415)。いずれかのセルが上限閾値よりも大きければ、充電器30はいずれのLEDも作動させず(ステップ2420)、かつ充電動作を終了する(ステップ2425)。いずれのセルも上限閾値を超えていなければ、充電器30は、充電器30の端子間の電池電圧を計測し(ステップ2430)、次いで電池20によって計測された電池電圧Vパックの問合わせを行い(ステップ2435)、計測値が一致するかどうかを確認する(ステップ2440)。計測値が一致しなければ、充電器30はいずれのLEDも作動させず(ステップ2445)、かつ充電動作が終了する(ステップ2450)。
【0103】
計測値が一致すれば、充電器30は、電池20に電池温度に関する問合わせを行い(ステップ2455)、電池温度が動作範囲内にあるかどうかを確認する(ステップ2460)。電池電圧が望ましい動作範囲内になければ、動作は温度範囲外モジュール2235に進み(ステップ2465)、充電器30は、一旦、充電動作が温度範囲外モジュール2235から退出すると、再び電池20に電池温度情報の問合わせを行うことができる(2455)。
【0104】
電池温度が望ましい動作範囲内にあれば、充電器30は、電池電圧Vパックが維持閾値(例えば、1セル当たり4.1V)よりも大きいかどうかを確認し(ステップ2470)、電池電圧Vパックが維持閾値よりも大きければ、充電動作は維持モジュール2230に進む(ステップ2475)。そうでなければ、充電器30は、電池電圧Vパックが細流閾値(例えば、1セル当たり3.5V)よりも小さいかどうか確認し(ステップ2480)、電池電圧Vパックが細流閾値よりも低ければ、充電動作は細流(制限)モジュール2225に進む(ステップ2485)。電池電圧が細流閾値以上であれば、充電器30は、電池温度が細流範囲内にあるかどうかを確認する(ステップ2490)。この温度が細流範囲内にあれば、動作は細流(段階)モジュール2220に進み(ステップ2495)、温度が細流範囲内になければ、急速充電モジュール2215に進む(ステップ2505)。充電動作は、図31〜38に例示するその他のモジュールで示すように続行可能である。
【0105】
図28〜38に例示する充電動作時に、電池充電器30は、パルス充電方法を使用して電池20に電力を供給する。1つの構成では、電池充電器30は、毎回同じパルス幅を有するが、パルス間の時間が異なるパルスを電池20に供給する。これを「完全充電電流」または「完全充電パルス(fullcharge pulse)」と呼ぶ。図16および39に示す構成などの他の構成では、電池充電器30によって印加された完全充電電流または完全充電パルスは、電池20中の個々のセル電圧にしたがってスケーリング可能である。このような実施を図4,16、および39に関して説明する。
【0106】
図4に示すように、電池充電器30中の制御器100は、電池20の中のマイクロコントローラ64から情報を受け取り、かつそこに情報を伝達することができる。いくつかの構成では、マイクロコントローラ64は、充電時に、それぞれの電池セル60の電圧または現在の充電状態を含む様々な電池特性を、自動的にまたは電池充電器30からの命令に応答して監視することができる。マイクロコントローラ64は、充電電流の期間Tオン(すなわち、「電流オン」の期間(“currenton” time periods))の間にいくつかの電池特性、およびプロセスまたは平均計測値を監視することができる。いくつかの構成では、電流オン期間が約1秒(「1−s」)であり得る。充電電流がない期間Tオフ(すなわち、「電流オフ」の期間(“currentoff” time periods))の間に、いくつかの電池特性(例えば、セル電圧またはセルの充電状態)に関する情報を電池20から充電器30に伝達することができる。いくつかの構成では、電流オフ期間Tオフが約50ミリ秒である。電池充電器30は、電池20から送られた情報を処理し、それにしたがって電流オン期間Tオンを変更することができる。例えば、1個または複数の電池セル60が残りの電池セル60よりも高い現在の充電状態を有すれば、電池充電器30は、これらの1個または複数のより高い電池セルの過充電を回避するために、以降の電流オン期間Tオンを短くすることができる。
【0107】
いくつかの構成では、電池充電器30は、それぞれの個別セル電圧を平均セル電圧に比較することが可能であり、個別セル電圧と平均セル電圧の間の差が、既定閾値(例えば、不均衡閾値(imbalancethreshold))以上であれば、充電器30は、そのセルがより高い充電状態のセルであると識別することができる。電池充電器30は、電流オン期間Tオンを変更することができる。他の構成では、電池充電器30は、電流オン期間の間に、電池20から受け取った情報に基づいて、特定の電池セル(より高い電圧セルであると識別された電池セル)に関する充電状態を評価することができる。これらの構成では、セルに関する現在の充電状態の評価が閾値を超えると、電池充電器30は電流オン期間Tオンの継続時間を変更することができる。
【0108】
例えば、図16および39に示すように、電池充電器30は、次の電流オン時間Tオン1の間に計測したセル電圧計測値を平均するように電池20に命令することができる。このような命令は第1電流オフ期間Tオフ1の間に送ることができる。したがって、第1電流オン時間Tオン1の間に、マイクロコントローラ64は、セル電圧および他の電池パラメータを計測しかつ平均する。次の電流オフ時間Tオフ2の間に、電池20は、平均した計測値を電池充電器30に送ることができる。いくつかの構成では、電池20は、8つの平均計測値、例えば、パック充電状態の平均計測値および7個の電池セル60のそれぞれに関する個別セルの平均充電状態などを送ることができる。例えば、電池20は次の情報を送ることができる。すなわち、セル114%、セル2 14%、セル3 15%、セル4 14%、セル5 16%、セル614%、セル7 14%、およびパック(例えば、セル1〜7)電圧29.96V。このような例では、電池充電器30は、セル5をより高い電池セルであると識別する。充電器30は、電池のマイクロコントローラ64と電池充電器30の両方によって計測された電池電圧も記録する。このような例では、電池充電器30は、電池電圧を約30.07Vと計測する。電池充電器30は、電池電圧計測値の差(例えば、110mV)を算出し、かつ端子とリード線の両端の電圧降下を約110mVと確認する。
【0109】
後続の電流オン期間Tオン2の間に、電池充電器30はセル5の電圧を「評価」する。例えば、電池充電器30は、電池20の電圧の計測値を標本抽出し、かつ次式にしたがって、それぞれの電池電圧測定値に対してセル5に関する充電状態を評価する。
(V電池/充電−V端子)*Vセル
上式で、V電池/充電は充電器30による計測値としての電池20の電圧であり、V端子は端子両端の電圧降下(例えば、110mV)であり、さらにVセルは電池電圧のパーセントで評価されているセルの電圧である。セル5の電圧の評価値が閾値(「低減閾値(reductionthreshold)」)を超えれば、電池充電器30は、後続の電流オン期間Tオン3を変更することができる。この例では、電池充電器30は、セル5の電圧の評価値(または算定値)が低減閾値(約800ミリ秒である)に達する時点を記憶している。図39に示すように、充電器30は、セル5を高い電池セルとして識別しかつ算定し、さらに後続の電流オン期間Tオン3を、充電器30が記憶している継続時間(例えば、800ミリ秒)とほぼ等しいように変更する。したがって、電流オン期間Tオン3の長さT2は、先行する電流オン期間Tオン1およびTオン2の長さT1よりも短い。
【0110】
いくつかの構成では、充電器30は後続の電流オン期間(例えば、Tオン4〜5)を、ほぼ先行する電流オン期間Tオン3の長さT2(例えば、800ミリ秒)に引き続き設定する。依然としてセル5(または別のセル)が高いセルであると識別されれば、充電器30は、後続の電流オン期間(例えば、Tオン6)の長さを、長さT2(例えば、約800ミリ秒)から、例えば、セル5の電圧が引き続き低減閾値(例えば、600ミリ秒)に達する場合は、T3(例えば、約600ミリ秒)に変更可能である。
【0111】
他の構成では、充電器30は、電池セルが十分な電流を受け取っていないことを確認すれば、充電器30は、後続の電流オン期間(例えば、Tオン5)をほぼT1の長さに戻すこともできる(したがって、オン時間の低減の後にオン時間を増加する)。例えば、電池充電器30は、セル5の電圧が、高いかまたは不均衡なセルであることに関係なく、オン期間の終わりに低減閾値を極端に下回っていると充電器が確認すれば、電流オン期間を増加することができる。これらの構成では、電池充電器30は、セルが過充電気味に受け取る充電量を最適化するように電池セル電圧を考慮して、引き続き電流パルスの長さ(例えば、オン期間)を変更することができる。いくつかの構成では、電池充電器30は、この電流オン時間を増やして初期電流オン期間、例えば、期間Tオン1よりも長くすることはできない。
【0112】
電池20’の別の回路図を図13に模式的に例示する。電池20’は電池20と同様であり、共通の要素は、「’」付きの同じ参照符号によって識別されている。
【0113】
いくつかの構成では、回路62’は、電気的素子、例えば、識別抵抗器950を含み、この識別抵抗器950は集合抵抗を有することができる。他の構成では、電気的素子が、コンデンサ、コイル、トランジスタ、半導体素子、電気回路、または別の素子(抵抗を有するかまたは電気信号が送信可能な、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル論理素子等々のような)であり得る。例示の構成では、識別抵抗器950の抵抗値は、公称電圧および電池セル60’の化学的性質などの、電池20’の特性に基づいて選択可能である。検出端子55’は識別抵抗器950に電気的に接続可能である。
【0114】
図13に模式的に示す電池20’は、電池充電器960(同じく模式的に示す)などの電気装置に電気的に接続可能である。電池充電器960は、正の端子964、負の端子968、および検出端子972を含むことができる。電池充電器960のそれぞれの端子964、968、972は、電池20’の対応する端子45’、50’、55’に(それぞれ)電気的に接続可能である。電池充電器960は、電気素子、例えば、第1抵抗器976、第2抵抗器980、ソリッドステート電子デバイスまたは半導体984、比較器988、およびプロセッサ、マイクロコントローラ、または制御器(図示せず)を有する回路も含むことができる。いくつかの構成では、半導体984は、飽和または「オン」状態(“ON”state)で動作可能でありかつ遮断周波数(cut−off)または「オフ」状態(“OFF”state)で動作可能であるトランジスタを含むことができる。いくつかの構成では、比較器988は、専用の電圧監視装置、マイクロプロセッサ、または処理ユニットであり得る。他の構成では、比較器988は制御器(図示せず)の中に含まれ得る。
【0115】
いくつかの構成では、制御器(図示せず)は、電池20’中の電気的素子(識別抵抗器950のような)の抵抗値を識別するようにプログラム可能である。制御器も、電池20’の1つまたは複数の特性、例えば、電池20’の電池化学的性質および公称電圧などを確認するようにプログラム可能である。前述のように、識別抵抗器950の抵抗値は、1つまたは複数の一定の電池特性に関連する専用値に対応可能である。例えば、識別抵抗器950の抵抗値は、電池20’の化学的性質および公称電圧に対応する抵抗値の範囲内に含まれ得る。
【0116】
いくつかの構成では、制御器は、識別抵抗器950の複数の抵抗値範囲を認識するようにプログラム可能である。これらの構成では、それぞれの範囲が1つの電池化学的性質、例えば、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等々に対応する。いくつかの構成では、制御器は追加的な抵抗値範囲を認識することが可能であり、それぞれが別の電池化学的性質または別の電池特性に対応する。
【0117】
いくつかの構成では、制御器は、複数の電圧範囲を認識するようにプログラム可能である。これらの電圧範囲の中に含まれる電圧は、制御器が測定電圧に基づいて抵抗器950の値を確認できるように、識別抵抗器950の抵抗値に依存または対応可能である。
【0118】
いくつかの構成では、識別抵抗器950の抵抗値は、電池20’のそれぞれの可能な公称電圧に対して固有であるようにさらに選択可能である。例えば、抵抗値の1つの範囲では、第1の専用抵抗値が21Vの公称電圧に対応可能であり、第2の専用抵抗値が16.8Vの公称電圧に対応可能であり、さらに第3の専用抵抗値が12.6Vの公称電圧に対応可能である。いくつかの構成では、より多くのまたはより少ない専用抵抗値が存在可能であり、それぞれがその抵抗値範囲に関連する、電池20’の別の可能な公称電圧に対応する。
【0119】
典型的な1つの実施では、電池20’は電池充電器960に電気的に接続する。第1の電池特性を識別するために、半導体984が追加的回路(図示せず)の制御下で「オン」状態に切り換わる。半導体984が「オン」状態にあるとき、識別抵抗器950および抵抗器976、980が分圧器回路網(voltagedivider network)を作る。この回路網は第1基準点992で電圧VAを確立する。抵抗器980の抵抗値が抵抗器976の抵抗値よりもかなり低ければ、電圧VAは識別抵抗器950および抵抗器980の抵抗値に依存する。このような実施では、電圧VAは、識別抵抗器950の抵抗値によって確認される範囲内にある。制御器(図示せず)は、第1基準点992で電圧VAを計測し、このVAに基づいて識別抵抗器950の抵抗値を確認する。いくつかの構成では、制御器は電圧VAを複数の電圧範囲と比較して電池特性を確認する。
【0120】
いくつかの構成では、識別すべき第1電池特性が電池化学的性質を含む。例えば、150キロオームを下回る抵抗値はいずれも、電池20’がニッケルカドミウムまたはニッケル水素の化学的性質を有することを示し、約150キロオーム以上の抵抗値はいずれも、電池20’がリチウムまたはリチウムイオンの化学的性質を有することを示し得る。一旦、制御器が電池20’の化学的性質を確認しかつ識別すると、適切な充電アルゴリズムまたは方法を選択することができる。他の構成では、以上の例におけるよりも、それぞれが別の電池化学的性質に対応するさらに多くの抵抗値範囲が存在する。
【0121】
この典型的な実施に引き続き言及すると、第2電池特性を識別するために、半導体984は追加的回路の制御下で「オフ」状態に切り換わる。半導体984が「オフ」状態に切り換わるとき、識別抵抗器950および抵抗器976は分圧器回路網を作る。第1基準点992での電圧VAは、今度は識別抵抗器950と抵抗器976の抵抗値によって確認される。識別抵抗器950の抵抗値は、第2基準点1012での電圧V電池が電池20’の公称電圧に実質的に等しいとき、第1基準点992での電圧VAが第3基準点996での電圧V基準に実質的に等しいように選択される。第1基準点992での電圧VAが、第3基準点996での固定電圧V基準を超えれば、比較器988の出力V出力が状態(state)を変更する。いくつかの構成では、充電を終了するか、または維持ルーチン、均等化ルーチン(equalizationroutine)、放電機能、追加的な充電方式等々の追加的な機能を開始するための表示器としての役割を果たすように出力V出力を使用することができる。いくつかの構成では、電圧V基準は固定基準電圧であり得る。
【0122】
いくつかの構成では、識別すべき第2電池特性が電池20’の公称電圧を含むことができる。例えば、識別抵抗器950に関する抵抗値を計算するための一般的な計算式は次式であり得る。
【0123】
【数1】

【0124】
上式で、R100は識別抵抗器950の抵抗値であり、R135は抵抗器976の抵抗値であり、V電池は電池20’の公称電圧であり、さらにV基準は、例えば、約2.5Vなどの固定電圧である。例えば、リチウムイオンの化学的性質に関する抵抗値の範囲内では(上述)、識別抵抗器950に関する約150キロオームの抵抗値は、約21Vの公称電圧に対応し、約194キロオームの抵抗値は、約16.8Vの公称電圧に対応し、さらに約274.7キロオームの抵抗値は、約12.6Vの公称電圧に対応し得る。他の構成では、より多くのまたはより少ない専用抵抗値が、追加的なまたは異なるバッテリパックの公称電圧値に対応可能である。
【0125】
例示の構成では、識別抵抗器950と第3基準点996の両方が電流検出抵抗器1000の「高い」側に位置することができる。このような様態で識別抵抗器950および第3基準点996を位置決めすると、充電電流が存在するとき、VAとV基準の間の相対的な電圧変動をいずれも低減することができる。識別抵抗器950および第3基準点996が接地1004を基準にし、かつ充電電流が電池20’に印加されていれば、電圧変動は電圧VAに現れ得る。
【0126】
いくつかの構成では、電池充電器960は、充電器制御機能も含むことができる。先に論じたように、電圧VAが実質的に電圧V基準に等しいとき(電圧V電池は電池20’の公称電圧に等しいことを示す)、比較器988の出力V出力は状態を変更する。いくつかの構成では、比較器988の出力V出力が状態を変更するとき、充電電流はもはや電池20’に供給されない。一旦、充電電流が中断されると、電池電圧V電池は減少し始める。電圧V電池が低閾値に達するとき、比較器988の出力V出力は再び状態を変更する。いくつかの構成では、電圧V電池の低閾値はヒステリシス抵抗器1008の抵抗値によって決定される。一旦、比較器988の出力V出力が再び状態を変更すると、充電電流が再び確立される。いくつかの構成では、このようなサイクルは、制御器によって決定された既定量の時間の間に反復されるか、または比較器988によって実行された一定量の状態変化(statechanges)の間に反復される。いくつかの構成では、このようなサイクルは、電池20’が電池充電器960から脱着されるまで反復される。
【0127】
いくつかの構成およびいくつかの態様では、図17に示す電池20のような電池は、電池セル60が電池充電器30と接続を確立するだけの電圧を十分に有し得ないほど放電状態になり得る。図17に示すように、電池20は、1個または複数の電池セル60、正の端子1105、負の端子1110、および1個または複数の検出端子1120a、1120bを含むことができる(図17に示すように、第2検出端子または駆動端子120bは、電池20の中に含まれていてもまたは含まれていなくてもよい)。電池20は、マイクロコントローラ1140を含む回路1130も具備し得る。
【0128】
図17に示すように、回路1130は、この回路1130(例えば、マイクロプロセッサ1140)が所定の閾値を上回るかまたは下回る条件(すなわち、「異常電池条件」)を確認または検出するとき、放電電流を遮断する半導体スイッチ1180を含むことができる。いくつかの構成では、スイッチ1180は、電池20に流出入する電流が遮断される遮断状態(interruptioncondition)と、電池20に流出入する電流が許容される許容状態(allowancecondition)を含む。いくつかの構成では、異常電池条件には、例えば、高いまたは低い電池セル温度、高いまたは低い電池充電状態、高いまたは低い電池セル充電状態、大きいまたは小さい放電電流、大きいまたは小さい充電電流等々が含まれ得る。例示の構成では、スイッチ1180は、電力FET(電界効果形トランジスタ)または酸化金属半導体FET(「MOSFET」)を含む。他の構成では、回路1130は2個のスイッチ1180を含み得る。これらの構成では、スイッチ1180は並列配置されている。並列スイッチ1180は、大きな平均放電電流を供給するバッテリパック(例えば、丸鋸、ドライバドリル等々に電力を供給する電池20)の中に含まれ得る。
【0129】
いくつかの構成では、一旦、スイッチ1180が非導通になると、スイッチ1180は、たとえ異常条件がもはや検出されなくても再設定することはできない。いくつかの構成では、回路1130(例えば、マイクロプロセッサ1140)は、電気装置、例えば、電池充電器30が、マイクロプロセッサ1140に再設定するように命令する場合のみに、スイッチ1180を再設定することができる。前述のように、電池20は、マイクロプロセッサ1140に電力を供給して電池充電器30と通信するための電圧を電池セル60が十分に有し得ないほどに放電され得る。
【0130】
いくつかの構成では、電池20が充電器30と接続が確立できなければ、電池充電器30は、スイッチ1180のボディダイオード(bodydiode)1210を介して小さい充電電流を供給して電池セル60を徐々に充電することができる。一旦、セル60がマイクロプロセッサ1140に電力を供給するのに十分な充電を受けると、マイクロプロセッサ1140はスイッチ1180の状態を変更することができる。すなわち、スイッチ1180が非導通状態にあるときでも、電池20を充電することができる。図17に示すように、スイッチ1180は、いくつかの構成では、MOSFETおよび他のトランジスタと一体であるボディダイオード1210を含むことができる。他の構成では、ダイオード1210をスイッチ1180と並列に電気接続することができる。
【0131】
いくつかの構成では、電池20が充電器30と接続が確立できなければ、電池充電器30は、検出リード線、例えば、検出リード線120aまたは専用駆動端子120bを介して、小さい平均電流を供給することができる。この電流はコンデンサ1150を充電することが可能であり、そして次に、このコンデンサは、マイクロプロセッサ1140に動作可能にするのに十分な電圧を供給することができる。
【0132】
以上に説明しかつ図に例示した構成は、例示としてのみ提示されており、本発明の着想および原理に対する限定を意図するものではない。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素ならびにそれらの構成および配置の変更が可能であることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0133】
20 電池
30 電池充電器
45 正の電池端子
50 負の電池端子
55 検出電池端子
60 電池セル
62 識別回路
64 制御器
66 サーミスタ
80 正の端子
85 負の端子
90 検出端子
95 充電回路
100 制御器
110 指示器
115 第1の発光ダイオード
120 第2の発光ダイオード
130 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池充電器であって、
リチウムベースの化学的性質と公称電圧を有する電池パックに電気的に接続する、少なくとも1つの端子であって、前記電池パックは、複数のリチウムベースの電池セルを含み、前記複数の電池セルの各々のセルは個々の充電状態を有する、少なくとも1つの端子と、
制御器とを備え、
前記制御器は、前記複数の電池セルの少なくとも1つの電池セルの個々の充電状態と2つ又はそれ以上の電圧範囲との比較、及び、電池パックに関連付けられた温度と2つ又はそれ以上の温度範囲との比較に基づいて、複数の異なる操作モードの中から選択を行い、
前記複数の異なる操作モードの少なくとも1つの操作モードは、前記制御器が、パルス化された充電電流が前記少なくとも1つの端子を介して前記電池パックに供給されることを可能にするものであり、パルス化された充電電流のデュティーサイクルは、前記複数の電池セルの少なくとも1つの電池セルの個々の充電状態に基づいて変更され、
前記電池充電器は、前記電池パックから、前記電池パックに関連付けられた温度、及び前記複数の電池セルの少なくとも1つの電池セルの個々の充電状態を受け取るように構成される、
ことを特徴とする電池充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の電池充電器において、前記電池パックの公称電圧は、約9.6Vから約30Vの範囲に含まれていることを特徴とする電池充電器。
【請求項3】
請求項1に記載の電池充電器において、前記複数の操作モードは、急速充電モードを含むことを特徴とする電池充電器。
【請求項4】
請求項1に記載の電池充電器において、前記複数の操作モードは、細流充電モードを含むことを特徴とする電池充電器。
【請求項5】
請求項1に記載の電池充電器において、前記電池充電器は、さらに、充電電流が、ニッケルカドミウムの化学的性質及びニッケル水素の化学的性質の一方を有する第2の電池パックに供給されることを可能にするように構成されていることを特徴とする電池充電器。
【請求項6】
請求項1に記載の電池充電器において、前記制御器は、前記電池パックのリチウムベースの化学的性質を識別するように動作可能であることを特徴とする電池充電器。
【請求項7】
請求項1に記載の電池充電器において、前記電池パックは手持ち型の電動工具に実施可能であることを特徴とする電池充電器。
【請求項8】
請求項7に記載の電池充電器において、前記手持ち型の電動工具電池パックは、丸鋸及びドライバドリルの一方であることを特徴とする電池充電器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate


【公開番号】特開2012−10593(P2012−10593A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214012(P2011−214012)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2007−315202(P2007−315202)の分割
【原出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(591040214)ミルウォーキー・エレクトリック・トゥール・コーポレーション (4)
【氏名又は名称原語表記】MILWAUKEE ELECTRIC TOOL CORPORATION
【Fターム(参考)】