電池残量警報装置
【課題】 動作時の負荷レベルが比較的短い電池駆動機器であって、精度良く電池残量を検出し、残量報知が可能な電池残量警報装置を提供する。
【解決手段】 電池19からの電力供給を受けて所定動作を実施する電池残量警報装置1であって、当該所定動作の動作期間として、電池19の使用可能期間内に、当該電池19の出力電圧Vが電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間が設定されており、当該所定動作が開始されてからの経過時間が、当該動作期間の終了時または終了前に到来する所定の時間となるに伴い電池19の出力電圧Vを測定する電圧監視部14と、測定された出力電圧Vに基づいて、電池19の出力電圧の降下値ΔVが予め定められた警告基準値V1,V2を上回るか否かを判定する制御部11と、上回ると判定された場合に電池残量不足を警告する電池残量不足警告部18と、を備える。
【解決手段】 電池19からの電力供給を受けて所定動作を実施する電池残量警報装置1であって、当該所定動作の動作期間として、電池19の使用可能期間内に、当該電池19の出力電圧Vが電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間が設定されており、当該所定動作が開始されてからの経過時間が、当該動作期間の終了時または終了前に到来する所定の時間となるに伴い電池19の出力電圧Vを測定する電圧監視部14と、測定された出力電圧Vに基づいて、電池19の出力電圧の降下値ΔVが予め定められた警告基準値V1,V2を上回るか否かを判定する制御部11と、上回ると判定された場合に電池残量不足を警告する電池残量不足警告部18と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回の使用時の初期電圧が所定の公称電圧レベルの近傍まで復帰する放電特性を有した、コイン型リチウム電池等の電池を搭載した電池駆動機器をなす電池残量警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平05−109434号公報
【0003】
近年の車両には、スマートエントリーシステムやキーレスエントリーシステム等のように車両と携帯キーとの通信により、車両のドアロックの施開錠に係る処理を実施するものがある。このような携帯キーなどの携帯型機器においては、軽量・コンパクトで高出力が得られるコイン型リチウム電池(特許文献1参照)等の電池が搭載されることが多い。
【0004】
一方、こうした電池駆動機器においては、当該電池の残容量の報知機能、さらには残容量に基づいた電池交換時期の報知機能の付与が望まれている。残容量判定技術としては、電池残量の一つの指標として定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(定常電圧)をモニターし、この電圧が所定値を下回ったときに残容量不足、電池交換時期と判断する技術が一般的に知られている。図14は、コイン型リチウム電池の放電特性を示すグラフである。定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(ここでは引き電流10mA)は、終止電圧に至るまでの使用可能期間において、時間経過に伴い徐々に減じられ、終止電圧(最終電圧)を越えたあたりから、当該電池電圧が急激に減少する特性を有している。このため、当該電池電圧と、予め定められている終止電圧(あるいはそれよりもやや高い電圧閾値)との比較で、電池残量の不足状態を検出することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、こうした電池駆動機器には、動作中の電池からの引き電流が小さい、あるいは動作時間が短い等、動作時の負荷レベルの小さいものがあり、これらの場合、定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(定常電圧)を動作期間中に測定できないものがある。つまり、図15に示すように、電池の出力電圧は、電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至るから、この電圧降下期間中に動作が終了するような電池駆動機器の場合は、定常電圧に達することがないため従来の手法を採用できないのである。定常電圧を測定するために、動作期間が終了した後に動作に不要な通電を実施するようにしてもよいが、無駄に電池を消耗し、その寿命を縮めるため、有効な手法とはいえない。
【0006】
また、携帯型機器に好適なコイン型リチウムコイン電池等においては特に、図15に示すように、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有する。このため、負荷を与えた直後の初期電圧により電池の残容量を推定することもできない。
【0007】
本発明の課題は、動作時の負荷レベルが比較的短い電池駆動機器であって、精度良く電池残量を検出し、残量報知が可能な電池残量警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電池残量警報装置は、
所定の動作期間の間前記電池からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動手段であって、前記動作期間として、前記電池の使用可能期間内に、当該電池の出力電圧が駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間として設定されている電池駆動手段と、
前記所定動作が開始されてからの経過時間が、前記動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、前記電池の出力電圧を測定する測定手段と、
測定された前記出力電圧に基づいて、前記電池電圧計測時間の経過により前記初期電圧から降下した前記電池の出力電圧の降下値が、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段と、
前記電池の出力電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、電池残量不足を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記本発明は、電池残量が少なくなるほど、負荷電流が流れる所定動作の実行時と負荷電流が流れていない無負荷時との間で、極短期間に定められる所定期間内において電池電圧の変化が大きくなることに着目し、その変化量に基準を設けることで、電池残量不足を特定し、その警告報知を可能としたものである。これにより、電池駆動機器の動作期間中に、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況においても、電池残量不足を特定することができ、その警告報知を実施できる。なお、電池の使用可能期間とは、電池の出力電圧が当該電池に対し予め定められた終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある期間として定めるものとする。
【0010】
本発明の電池駆動手段は、前記動作期間として1秒以下の期間が定められているものとできる。動作期間として1秒以下となるような駆動レベルの小さい電池駆動機器は、機器の動作期間中に、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況が生じ易いため、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。
【0011】
本発明の電池はリチウム電池とすることができる。使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するリチウム電池は、初期電圧による電池残量の推定ができないから、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。また、本発明の電池はコイン型リチウム電池であってもよい。
【0012】
本発明の電池残量警報装置は、少なくとも前記電池及び前記電池駆動手段を備える携帯可能な携帯機器を有した構成とすることができる。携帯機器は全体が小型で、駆動レベルの小さいものが多いため、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況が生じ易く、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。なお、こうした携帯機器の電池としては、コイン型リチウム電池が好適である。
【0013】
本発明の警報手段は、前記携帯機器に設けられた発光部とすることができる。この場合、前記電池の降下電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、当該発光部が異なる発光状態に切り替わる形で、前記電池残量不足を警告するように構成できる。電池により駆動する携帯機器において、画面表示等の電池の消耗の激しい報知手段を用いることは望ましくない。例えば、発光部のような簡易な報知手段(例えばLEDのような発光部)により、残量不足警告を実施する(例えば発光する色の違いによって警告する)ことで、電池寿命の低下を抑制できる。
【0014】
本発明の携帯機器は、前記測定手段及び前記判定手段を備えるとともに、車両と無線通信可能な通信手段を備えるものとし、所定動作中において、前記判定手段による判定結果を前記通信手段により前記車両に送信するように構成できる。この場合、車両は、当該判定結果を受信する受信手段とともに前記警報手段を備えて構成され、当該警報手段は、前記電池とは異なる車載電源からの電力供給を受ける形で、前記電池残量不足を車室内において警告するものとすることができる。電池により駆動する携帯機器において、電池の消耗の激しい報知手段(警報手段)を用いることは望ましくない。上記構成によれば、報知手段(警報手段)が車両に設けられるので、携帯機器の電池消耗を意識することなく、電池残量不足の警告が可能となる。また、車両であれば、画面表示や音声出力も可能であるから、その警告方法をよりわかりやすい形で出力することも可能となる。
【0015】
本発明の電池駆動手段は、予め定められた電磁波を出力する電磁波出力手段とすることができる。電波や光等の電磁波等の出力は、極短期間のみ駆動する構成となる場合が多いので、本発明を採用するに好適である。
【0016】
本発明において、電池残量警報装置の本体が携帯機器である場合に、当該携帯機器は、前記電磁波出力手段を備える車両用の携帯キーとすることができ、当該電磁波出力手段は、車両のドアロックの開錠及び施錠、車両のドアロックの開錠及び施錠の禁止モードの解除、車両のドアの開閉、及びエンジン始動操作の禁止解除のいずれかに係る制御情報を送信する通信手段とすることができる。電池電力の供給を受けて駆動する際の駆動レベルは、負荷電流の大きさと、その通電時間(動作期間)とを基準に定められる。キーレスエントリーシステムやスマートキーシステムに見られる無線送信動作は、動作期間が1秒以下にて定められるような低駆動レベルの動作であるから、電池残量が減ってくると、その1秒以下の動作期間内において定常電圧を見ることができなくなる。従って、こうした車両用の携帯キーは、本発明を採用するに好適である。
【0017】
本発明において、上記した、車両に警報手段が設けられる構成の場合、電磁波出力手段をなす通信手段は、前記所定動作として前記制御情報を無線出力するものであり、当該制御情報と共に前記判定結果を示す電池残量情報を無線出力するように構成できる。この構成によれば、送信すべき制御情報に電池残量情報を付加する形で送信することで、電池残量情報を送信する処理を省略でき、処理を簡略化できる。
【0018】
ところで、本発明の判定手段は、前記降下値との比較対照となる前記警告基準値を複数段階有するようにでき、前記電池の前記降下値がいずれの前記警告基準値を上回るかを判定するように構成できる。この場合、警告手段は、前記電池残量不足を警告する警告レベルとして、前記警告基準値が大きいほど高い警告レベルが設定されており、前記判定手段による判定結果において、前記電池の前記降下値が上回った前記警告基準値のうち最大の警告基準値に対応する警告レベルにて、前記電池残量不足を警告するものとできる。これにより、電池残量に応じて適切な残量警告を実施できる。
【0019】
なお、この警告基準値は、前記判定手段により前記電池の降下値が当該警告基準値を上回ると判定された際に、前記測定手段により測定される当該電池の前記出力電圧が、当該電池に予め定められている終止電圧よりも高い状態となっているよう定めるものとする。
【0020】
前記判定手段は、前記降下値を、前記電池に予め定められている公称電圧と、前記測定手段により測定された前記出力電圧との差分とし、当該差分が前記警告基準値を上回るか否かを判定するものとできる。降下値を、初期電圧と測定電圧との差ではなく、公称電圧と測定電圧の差で定めることで、初期電圧をモニタする処理を省略できる。使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有する電池であれば、初期電圧に代わって公称電圧を用いても問題にならない。
【0021】
本発明において、上記判定手段を第一の判定手段とし、測定手段により測定された前記出力電圧が、予め定められた最終電圧を下回るか否かを判定する第二の判定手段を備えて構成し、当該最終電圧を、前記降下値が前記警告基準値と一致するときの前記電池の出力電圧よりも低く定めることができる。この場合、警告手段は、前記出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記第一の判定手段による判定結果に関らず、前記電池残量不足を警告するものとできる。この構成によると、最終電圧を終止電圧の近傍に定めることで、出力電圧自体が既に終止電圧に近いような場合、電池の初期電圧からの降下値を特定すること無く、直ちに電池残量不足を警告することができる。
【0022】
また、この場合、測定された出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記電池駆動手段に対し前記所定動作を強制停止させる強制停止手段を備えて構成できる。測定された出力電圧が終止電圧に近いような場合は、直ちに動作を停止することで、電池駆動機器を保全できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の電池残量警報装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の電池残量警報装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示す電池残量警報装置1(1A)は、予め定められた駆動タイミングが到来したと判定されるに伴い、所定の動作期間の間、電池19からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動機器10を備える。
【0025】
なお、電池19は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するものであり、本実施形態においては、軽量・コンパクトで高出力が得られるコイン型リチウム電池(公称電圧3.0V)とされている。
【0026】
ただし、この電池駆動機器10は、動作期間として、電池19の使用可能期間に、当該電池19の出力電圧Vが、駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれる期間が設定されている。なお、電池の使用可能期間とは、電池の出力電圧が当該電池に対し予め定められた終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある期間として定めるものとする。電池19の出力電圧Vは、電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る特性を有しており、電池駆動機器10は、電池残量が多い状況においては、図5に示すように、動作期間内に上記定常電圧を見ることができるが、電池残量が少ない状況においては、図6に示すように、動作期間内に上記定常電圧を見ることができないような所定動作を実行する機器、つまり、当該所定動作を実行するような駆動レベル(動作時の負荷電流及びその動作期間(負荷期間))が設定された機器とされている。なお、本発明の電池駆動機器10は、少なくとも、電池残量が最大の状況から、電池19の出力電圧Vが終止電圧に至る前の期間に、図6のような状況が現れるものであれば、他の機器でもよい。
【0027】
本実施形態の電池駆動機器10は、車両2に搭載されるキーレスエントリーシステムにおいてユーザーにより携帯される携帯キー(RKE送信機)であり、図4に示すようなキーレスエントリー動作を実施する。即ち、電池駆動機器10は、車両2のドアロックに対する開錠操作又は施錠操作を実施するための操作部15を有しており、当該操作部15への所定の開錠操作(又は施錠操作)に伴い制御部11が、開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを無線出力するための制御信号をRF送信部(RF(高周波)帯域の電磁波を送信)12に送信し、これを受けたRF送信部12が開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを有した送信信号を、所定のRF帯域の電波として無線出力する。具体的に言えば、操作部15への操作に伴い制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる。そして、この制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0028】
車両2では、電池駆動機器10から無線出力された上記送信信号をRF受信部(RF(高周波)帯域の電磁波を受信)22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施する。ここでは、照合ECU(照合手段)21は、受信した信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施する。認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、上記受信信号に含まれる開錠要求信号(又は施錠要求信号)に基づいて、ドアロックを開錠状態と施錠状態との間で切り替えるドアロック駆動部28を駆動して、ドアロックが開錠(又は施錠)される。
【0029】
ところで、本実施形態の電池駆動機器10は、所定動作が開始されてからの経過時間が、その動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、電池19の出力電圧Vを監視・測定する電圧監視部(電圧監視回路:測定手段)14と、電池残量不足を警告する電池残量不足警告部(警告手段)18とを備えて構成される。制御部11は、電圧監視部14により測定された出力電圧Vに基づいて、当該電池電圧計測時間の経過により初期電圧から降下した電池19の出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段として機能するとともに、電池19の出力電圧Vの降下値ΔVが警告基準値を上回ると判定された場合には、電池残量不足警告部18から電池残量不足を警告報知する。
【0030】
本実施形態の電池駆動機器10は、電池残量不足警告部18として発光部をなすLED駆動部を備えており、電池残量を異なる色のLEDの点灯により表示するようになっている。
【0031】
図2は、本実施形態の電池駆動機器10において、制御部11が実施する電池残量警報処理の一例を示すフローチャートである。以下、当該処理について説明する。なお、図2の電池残量警報処理は、操作部15への操作に伴い(制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる駆動タイミングが到来するに伴い)、実行されるものである。
【0032】
S1及びS2では、電池駆動機器10が所定動作の実行を開始するとともに、それに伴い制御部11のタイマー機能による時間計時が開始される。なお、所定動作とは、上記した、RF送信部12から開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを有した送信信号を、所定のRF帯域の電波として無線出力する無線送信動作であり、当該動作を開始するに際して、RF送信部12が電池19から当該無線送信用の駆動電力の供給を受ける。なお、当該無線送信動作の動作期間は1秒以下の期間であり、この際に電池19から出力される駆動電流は3〜4mAとして定められている。
【0033】
S3では、時間計時が開始されてから所定時間(電池電圧計測時間)が経過したか否かを判定し、経過した場合にはS4に進む。
【0034】
S4では、制御部11が、電圧監視部14が監視する電池19の出力電圧Vの電圧値を取得する。さらに、電池電圧計測時間の経過により初期電圧から降下した電池19の出力電圧の降下値ΔVを算出する。なお、降下値ΔVは、S1ないしS2のタイミングで、電圧監視部14が監視する電池19の出力電圧Vの電圧値を取得し、これと、S4で取得した出力電圧Vとの差により算出するようにしてもよいが、電池19は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するため、電池19に予め定められている公称電圧と、S4で取得した出力電圧Vとの差により算出するようにする。
【0035】
S5では、S4で取得した出力電圧Vの電圧値が、予め定められた最終電圧V0(ここでは例えば2.1V)を下回るか否かを判定する(第二の判定手段)。この最終電圧V0は、測定された出力電圧Vの降下値ΔVが後述する警告基準値のうちの最大のもの(ここでは第二電圧閾値V2)と一致するときの当該出力電圧Vよりも低く、かつ、電池19に予め定められている終止電圧(ここでは2.0V)よりも高く定められている。
【0036】
S5にて、出力電圧Vが最終電圧V0を下回ると判定された場合には、S6にて現在実施中の動作を強制停止するとともに、S7にて電池残量不足の警告を実施する。なお、S6は省略することも可能である。S7でなされる電池残量不足の警告は、最も高い警告レベルにてなされる。ここでは電池残量不足警告部18のLEDを赤色の点滅点灯にて警告する。他方、S5にて、出力電圧Vが最終電圧V0を下回らないと判定された場合には、S9に進む。
【0037】
S9では、電池電圧計測時間の経過により電池19において初期電圧から降下した出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた第一の警告基準値V1(図中の第一電圧閾値:ここでは例えば0.5V)を上回るか否かを判定する。上回らないと判定された場合にはS10に進み、電池残量がまだ十分存在すると判定され、その旨の報知が実施される。本実施形態においてはLEDの緑色の点灯により報知される。他方、上回ると判定された場合にはS11に進む。
【0038】
S11では、電池電圧計測時間の経過により電池19において初期電圧から降下した出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた第二の警告基準値V2(図中の第二電圧閾値:ここでは例えば0.7V)を上回るか否かを判定する。上回らないと判定された場合にはS12に進み、電池残量不足が警告される。ここでは電池残量がわずかながら減った状態であり、まもなく交換時期を迎える状況にあるので、S10よりはやや高い警告レベルの警告が実施される。本実施形態においてはLEDの黄色の点灯により報知・警告される。他方、上回ると判定された場合にはS13に進み、電池残量不足が警告される。ここでは電池残量が大きく減った状態であり、交換時期といえるので、S12より高くてS7よりは低い警告レベルの警告が実施される。本実施形態においてはLEDの赤色の点灯により報知される。
【0039】
なお、本実施形態においては、S7,S13,S12の警告レベルとしては、この順で警告レベルが低くなるように定められている。
【0040】
S7,S10,S12,S13のいずれかが終了するとS8に進む。本実施形態におけるS8では、電池残量が十分の正常状態を含む計4段階の警告レベルの中から、どのレベルと判定されたかを特定し、その判定結果(報知結果)を電池19の残量情報(電池残量情報)としてRF送信部12から無線送信する。なお、本実施形態においては、電池駆動機器10が所定動作として通信処理を実施するので、無線送信される所定の送信情報に当該残量情報を加えた形で無線送信が実施されるようにする。ここでは、開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを含む制御信号を、残量情報を含む信号とする形で、RF送信部12からの無線送信を実施する。そして、残量情報の送信の後、本処理を終了する。
【0041】
図3は、本実施形態の車両2において、ECU21が実施する電池残量警報処理の一例を示すフローチャートである。以下、当該処理について説明する。
【0042】
S101では、RF受信部22を図2にて送信される残量情報の受信待機状態とする。S102にて、当該残量情報を受信したと判定されるとS103に進む。
【0043】
S103では、イグニッション電源がONとなったか否かを判定する。ONとなった場合にはS104に進み、車室内において電池残量を報知する電池残量不足警告部29の起動待ち状態となる。S105にて、電池残量不足警告部29が起動完了したと判定されるとS106に進む。
【0044】
S106では、受信した残量情報に基づいて、電池残量の報知に関する警告レベルを特定する。そして、S107では、報知すべき警告レベルであるか否かを判定し、報知すべき警告レベルと判定されればS108に進み、対応する警告レベルの報知を実施する。他方、報知すべき警告レベルと判定されなければ、本処理を終了する。ここでは、電池残量がまだ十分存在するときの警告レベル(図2の処理にてS10を経由)のみ報知すべき警告レベルで無いと判定され、その他は報知すべき警告レベルと判定されるものとする。なお、S107を省略して、全ての警告レベルにおいて、対応する警告レベルの報知を実施するようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施形態における電池残量不足警告部(警告手段)29は、車両2の表示装置と音声出力装置である。これは、カーナビゲーション装置に搭載される表示装置と音声出力装置としてもよいし、メーター表示装置やオーディオ装置の音声出力部を利用してもよい。各警告レベルに対応付けた形で、警告出力用の表示データ及び音声データが、ECU21の所定記憶部に記憶されており、S108では、S106で特定した警告レベルに対応する表示データ及び音声データを読み出し、これらに基づいて所定の表示装置及び音声出力装置から出力を実施する。警告出力の内容は、警告レベルに応じた電池残量の警告のみならず、当該警告レベルが電池交換を促すべきレベルと定められているならば、電池交換を促す内容も含めるものとする。
【0046】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、図2の処理は、図7のような処理とすることができる。図7の処理のS31〜S43は、図2の処理のS1〜S13と対応しているが、S32とS38のみ、S2とS8とは処理内容が異なる。図7の場合、S38において、直前に実施された警告レベルの判定結果(報知結果)を無線送信するのではなく制御部11の所定記憶部(残量情報記憶部)に記憶する。そして、記憶した残量情報の送信は、次回実施される処理のS32において所定動作として実施される無線送信処理にてなされる。電池残量は、前回の動作時の残量とその次の動作時の残量とで大きく変化するものではないから、報知するものが前回の残量結果であっても特に問題は無い。図7のような処理とすることで、残量情報の送信は、前もって判定された判定情報を送信する処理となるので、当該送信処理を実施する所定動作(通信処理)がよりスムーズな処理となる。
【0048】
また、上記実施形態の電池駆動機器10は、キーレスエントリーシステムの携帯キー(RKE送信機)であったが、車両2に搭載されるスマートキーシステムにおいてユーザーにより携帯される携帯キー(スマートキー:スマート携帯機)とすることができ、図10及び図11に示すようなスマートエントリー動作、及びスマートスタート動作を実施するものとできる。具体的には、図8に示す電池残量警報装置1(1B)のように構成する。
【0049】
図8において、車両2は、電池駆動機器10から無線出力された送信信号をRF受信部22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施し、ドアロックに対し開錠許可(又は施錠許可)を与えるスマートエントリー機能を実行する。ここでは、車外LF送信部(LF(長波)帯域の電磁波を送信)24から、車両外周辺の予め定められたキー探索エリア内にポーリング信号を、所定のLF帯域の電磁波として定期的に無線出力し、RF受信部22にて、当該ポーリング信号に対する応答信号を無線受信し、当該応答信号に基づいて該キー探索エリア内に存在する携帯キー(スマートキー)10の存在を特定する。携帯キー10が特定された場合には、車外LF送信部24から、当該携帯キー10に対しキー固有のIDコードの送信を要求するIDコード要求信号を無線送信して、RF受信部22にて、当該IDコード要求信号に対する応答信号を無線受信する。照合ECU21は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施し、認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、ドアロックに設定されている開錠禁止モードを開錠許可モード(又は施錠禁止モードから施錠許可モード)に切り替える。そして、当該開錠許可モード(又は施錠許可モード)が設定された状態に限り、所定のドアロック操作部25への所定の開錠操作(又は施錠操作)に基づいてドアロック駆動部28を開錠駆動(又は施錠駆動)し、ドアロックを開錠(又は施錠)する。
【0050】
このとき、図8の電池駆動機器10は、車両2から送信される無線信号を無線受信するLF受信部(LF(長波)帯域の電磁波を受信)13を有し、制御部11は、スマートエントリー機能に係る所定動作として、当該LF受信部13が車両2から送信されてくる所定の送信信号を無線受信するに伴い、対応する応答信号をRF送信部12から無線出力する動作を実施する。具体的に言えば、上記ポーリング信号をLF受信部13にて受信した場合には、制御部11は、これに対応する所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。また、IDコード要求信号をLF受信部13にて受信した場合には、制御部11は、これに対応する応答信号として、キー固有のIDコードを含む所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。本実施形態においては、車両2側から所定の起動信号としてポーリング信号を無線受信するに伴い制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる。そして、この制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0051】
また、図8において、車両2は、電池駆動機器10から無線出力された送信信号をRF受信部22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施し、所定のエンジン始動操作に対し始動許可を与えるスマートスタート機能を実行する。ここでは、車両ドアの開放に伴い車内LF送信部23から、車室内のキー探索エリア内に携帯キー(スマートキー)10に対しキー固有のIDコードの送信を要求するIDコード要求信号を無線送信して、RF受信部22にて、当該IDコード要求信号に対する応答信号を無線受信する。照合ECU21は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施し、認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、車載LAN3を介して通信可能に接続するエンジンECU31において、設定されているエンジン始動制御モードをエンジン始動禁止モードからエンジン始動許可モードに切り替える。そして、エンジンECU31は、当該エンジン始動許可が設定された状態に限り、所定のエンジン始動操作部(イグニッションスイッチ)32への所定のエンジン始動操作に基づいてエンジン始動(スターターリレーON)を実施する。
【0052】
このとき、図8の電池駆動機器10の制御部11は、スマートスタート機能に係る所定動作として、当該LF受信部13が車両2から送信されてくる所定の送信信号を無線受信するに伴い、対応する応答信号をRF送信部12から無線出力する動作を実施する。具体的に言えば、IDコード要求信号をLF受信部13にて受信した場合に、制御部11は、これに対応する応答信号として、キー固有のIDコードを含む所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。本実施形態においては、制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0053】
こうしたスマートキーシステムに係る所定動作を実施する電池駆動機器10において、制御部11が実施する電池残量警報処理は、例えば図9のような処理とできる。なお、図9の電池残量警報処理は、LF受信部13における所定の送信信号の無線受信に伴い、実行されるものである。
【0054】
図9の処理のS51〜S63は、図2の処理のS1〜S13と対応しているが、S52とS58のみ、S2とS8とは処理内容が異なる。図9の場合、S52の処理は、スマートエントリ・スマートスタート機能に係る所定動作が実施されるものとされている。具体的には、無線受信したポーリング信号に対する応答信号の無線送信、及び無線受信したID要求信号に対する応答信号(IDコードを含む)の無線送信のいずれか又は双方とすることができる。S58の処理は、残量情報の送信処理であるが、ここでは無線送信される上記応答信号に残量情報を付加した形での送信となる。
【0055】
図12の処理のS71〜S83は、図9の処理のS51〜S63と対応しているが、S72とS78のみ、S52とS58とは処理内容が異なる。さらに、図13の処理と併せて実施される。図12の場合、S72の処理は、スマートエントリー機能のうちドアロックの開錠に係る所定動作の実施開始とされている。具体的には、無線受信したポーリング信号に対する応答信号の無線送信、及び無線受信したID要求信号に対する応答信号(IDコードを含む)の無線送信のいずれか又は双方とすることができる。また、S78の処理は、図7のS38と同様に、直前に実施された警告レベルの判定結果(報知結果)を無線送信するのではなく制御部11の所定記憶部(残量情報記憶部)に記憶する処理である。そして、ここで記憶した残量情報の送信は、図13のS84の、スマートスタート機能に係る所定動作として実施される無線送信処理にてなされる。つまり、ドアロックの開錠に係る動作が実施された後、運転者が車に乗り込み、その上で、エンジン始動に係る動作が実施されるから、ドアロックの開錠に係る所定動作が実施される際に、S38にて警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、その後に実施されるエンジン始動に係る所定動作である無線送信処理にて、残量情報を送信することで、処理がスムーズとなる。
【0056】
なお、スマートエントリー機能及びスマートスタート機能においては、複数回の無線通信がなされるので、先に実施される無線通信動作において、警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、後に実施される無線通信動作において、その判定結果(残量情報)を無線送信するようにすることで、同様の効果が得られる。例えば、ポーリング信号の無線受信した際の応答信号の送信動作において、警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、続いてIDコード要求信号を受信した際の応答信号の送信動作において、その判定結果(残量情報)を無線送信するようにすることもできる。
【0057】
上記実施形態においては、車両2と電池駆動機器10との間でなされるドアロックの施錠・解除に係る無線通信、あるいはエンジン始動に係る無線通信が所定動作とされているが、他の処理とすることもできる。例えば、電池駆動機器10にドア開閉操作用の操作部が設けられ、当該操作部への操作に伴い無線送信されるドア開閉要求信号により車両のドアが電動開閉するものであれば、当該無線送信動作を、所定動作とすることもできる。
【0058】
また、電池駆動機器10も、車両に係るものに限らず、電池からの電力供給を受けて駆動し、かつ動作期間として、電池が終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある時期のいずれかに、当該電池の出力電圧が通電の開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれる期間が設定されている機器であれば、他のものでもよい。また、電池もリチウム電池に限らず、電池の出力電圧が電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る特性と、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する特性を有するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第一実施形態をなす電池残量警報装置を概略的に示すブロック図。
【図2】携帯機器にて電池残量警報処理の第一例を示すフローチャート。
【図3】車両側にて電池残量警報処理の第一例を示すフローチャート。
【図4】キーレスエントリーシステムの処理の流れを説明する図。
【図5】電池残量が比較的多いときの電池の出力電圧変化を示すグラフ。
【図6】電池残量が比較的少ないときの電池の出力電圧変化を示すグラフ。
【図7】携帯機器にて電池残量警報処理の第二例を示すフローチャート。
【図8】本発明の第二実施形態をなす電池残量警報装置を概略的に示すブロック図。
【図9】携帯機器にて電池残量警報処理の第三例を示すフローチャート。
【図10】スマートエントリーシステムの処理の流れを説明する図。
【図11】スマートスタートシステムの処理の流れを説明する図。
【図12】携帯機器にて電池残量警報処理の第四例を示すフローチャート。
【図13】図12に続く図。
【図14】電池の放電特性を示すグラフ。
【図15】電池電圧の回復を説明するグラフ。
【符号の説明】
【0060】
1 電池残量警報装置
2 車両
10 電池駆動機器(携帯機器)
11 制御部
12 RF送信部(電磁波出力手段:通信手段)
13 LF受信部(通信手段)
14 電圧監視部(測定手段)
15 操作部
18 電池残量不足警告部(警告手段)
19 電池
21 照合ECU
22 RF受信部(通信手段)
23 車内LF送信部(通信手段)
24 車外LF送信部(通信手段)
25 ドアロック操作部
28 ドアロック駆動部
29 電池残量不足警告部(警告手段)
31 エンジンECU
32 エンジン始動操作部(イグニッションスイッチ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回の使用時の初期電圧が所定の公称電圧レベルの近傍まで復帰する放電特性を有した、コイン型リチウム電池等の電池を搭載した電池駆動機器をなす電池残量警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平05−109434号公報
【0003】
近年の車両には、スマートエントリーシステムやキーレスエントリーシステム等のように車両と携帯キーとの通信により、車両のドアロックの施開錠に係る処理を実施するものがある。このような携帯キーなどの携帯型機器においては、軽量・コンパクトで高出力が得られるコイン型リチウム電池(特許文献1参照)等の電池が搭載されることが多い。
【0004】
一方、こうした電池駆動機器においては、当該電池の残容量の報知機能、さらには残容量に基づいた電池交換時期の報知機能の付与が望まれている。残容量判定技術としては、電池残量の一つの指標として定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(定常電圧)をモニターし、この電圧が所定値を下回ったときに残容量不足、電池交換時期と判断する技術が一般的に知られている。図14は、コイン型リチウム電池の放電特性を示すグラフである。定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(ここでは引き電流10mA)は、終止電圧に至るまでの使用可能期間において、時間経過に伴い徐々に減じられ、終止電圧(最終電圧)を越えたあたりから、当該電池電圧が急激に減少する特性を有している。このため、当該電池電圧と、予め定められている終止電圧(あるいはそれよりもやや高い電圧閾値)との比較で、電池残量の不足状態を検出することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、こうした電池駆動機器には、動作中の電池からの引き電流が小さい、あるいは動作時間が短い等、動作時の負荷レベルの小さいものがあり、これらの場合、定常的に負荷電流を流し出している時の電池電圧(定常電圧)を動作期間中に測定できないものがある。つまり、図15に示すように、電池の出力電圧は、電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至るから、この電圧降下期間中に動作が終了するような電池駆動機器の場合は、定常電圧に達することがないため従来の手法を採用できないのである。定常電圧を測定するために、動作期間が終了した後に動作に不要な通電を実施するようにしてもよいが、無駄に電池を消耗し、その寿命を縮めるため、有効な手法とはいえない。
【0006】
また、携帯型機器に好適なコイン型リチウムコイン電池等においては特に、図15に示すように、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有する。このため、負荷を与えた直後の初期電圧により電池の残容量を推定することもできない。
【0007】
本発明の課題は、動作時の負荷レベルが比較的短い電池駆動機器であって、精度良く電池残量を検出し、残量報知が可能な電池残量警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電池残量警報装置は、
所定の動作期間の間前記電池からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動手段であって、前記動作期間として、前記電池の使用可能期間内に、当該電池の出力電圧が駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間として設定されている電池駆動手段と、
前記所定動作が開始されてからの経過時間が、前記動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、前記電池の出力電圧を測定する測定手段と、
測定された前記出力電圧に基づいて、前記電池電圧計測時間の経過により前記初期電圧から降下した前記電池の出力電圧の降下値が、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段と、
前記電池の出力電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、電池残量不足を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記本発明は、電池残量が少なくなるほど、負荷電流が流れる所定動作の実行時と負荷電流が流れていない無負荷時との間で、極短期間に定められる所定期間内において電池電圧の変化が大きくなることに着目し、その変化量に基準を設けることで、電池残量不足を特定し、その警告報知を可能としたものである。これにより、電池駆動機器の動作期間中に、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況においても、電池残量不足を特定することができ、その警告報知を実施できる。なお、電池の使用可能期間とは、電池の出力電圧が当該電池に対し予め定められた終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある期間として定めるものとする。
【0010】
本発明の電池駆動手段は、前記動作期間として1秒以下の期間が定められているものとできる。動作期間として1秒以下となるような駆動レベルの小さい電池駆動機器は、機器の動作期間中に、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況が生じ易いため、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。
【0011】
本発明の電池はリチウム電池とすることができる。使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するリチウム電池は、初期電圧による電池残量の推定ができないから、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。また、本発明の電池はコイン型リチウム電池であってもよい。
【0012】
本発明の電池残量警報装置は、少なくとも前記電池及び前記電池駆動手段を備える携帯可能な携帯機器を有した構成とすることができる。携帯機器は全体が小型で、駆動レベルの小さいものが多いため、電池の出力電圧が初期電圧から定常電圧に到達しない状況が生じ易く、本発明のような電池残量不足の特定方法を採用することが効果的である。なお、こうした携帯機器の電池としては、コイン型リチウム電池が好適である。
【0013】
本発明の警報手段は、前記携帯機器に設けられた発光部とすることができる。この場合、前記電池の降下電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、当該発光部が異なる発光状態に切り替わる形で、前記電池残量不足を警告するように構成できる。電池により駆動する携帯機器において、画面表示等の電池の消耗の激しい報知手段を用いることは望ましくない。例えば、発光部のような簡易な報知手段(例えばLEDのような発光部)により、残量不足警告を実施する(例えば発光する色の違いによって警告する)ことで、電池寿命の低下を抑制できる。
【0014】
本発明の携帯機器は、前記測定手段及び前記判定手段を備えるとともに、車両と無線通信可能な通信手段を備えるものとし、所定動作中において、前記判定手段による判定結果を前記通信手段により前記車両に送信するように構成できる。この場合、車両は、当該判定結果を受信する受信手段とともに前記警報手段を備えて構成され、当該警報手段は、前記電池とは異なる車載電源からの電力供給を受ける形で、前記電池残量不足を車室内において警告するものとすることができる。電池により駆動する携帯機器において、電池の消耗の激しい報知手段(警報手段)を用いることは望ましくない。上記構成によれば、報知手段(警報手段)が車両に設けられるので、携帯機器の電池消耗を意識することなく、電池残量不足の警告が可能となる。また、車両であれば、画面表示や音声出力も可能であるから、その警告方法をよりわかりやすい形で出力することも可能となる。
【0015】
本発明の電池駆動手段は、予め定められた電磁波を出力する電磁波出力手段とすることができる。電波や光等の電磁波等の出力は、極短期間のみ駆動する構成となる場合が多いので、本発明を採用するに好適である。
【0016】
本発明において、電池残量警報装置の本体が携帯機器である場合に、当該携帯機器は、前記電磁波出力手段を備える車両用の携帯キーとすることができ、当該電磁波出力手段は、車両のドアロックの開錠及び施錠、車両のドアロックの開錠及び施錠の禁止モードの解除、車両のドアの開閉、及びエンジン始動操作の禁止解除のいずれかに係る制御情報を送信する通信手段とすることができる。電池電力の供給を受けて駆動する際の駆動レベルは、負荷電流の大きさと、その通電時間(動作期間)とを基準に定められる。キーレスエントリーシステムやスマートキーシステムに見られる無線送信動作は、動作期間が1秒以下にて定められるような低駆動レベルの動作であるから、電池残量が減ってくると、その1秒以下の動作期間内において定常電圧を見ることができなくなる。従って、こうした車両用の携帯キーは、本発明を採用するに好適である。
【0017】
本発明において、上記した、車両に警報手段が設けられる構成の場合、電磁波出力手段をなす通信手段は、前記所定動作として前記制御情報を無線出力するものであり、当該制御情報と共に前記判定結果を示す電池残量情報を無線出力するように構成できる。この構成によれば、送信すべき制御情報に電池残量情報を付加する形で送信することで、電池残量情報を送信する処理を省略でき、処理を簡略化できる。
【0018】
ところで、本発明の判定手段は、前記降下値との比較対照となる前記警告基準値を複数段階有するようにでき、前記電池の前記降下値がいずれの前記警告基準値を上回るかを判定するように構成できる。この場合、警告手段は、前記電池残量不足を警告する警告レベルとして、前記警告基準値が大きいほど高い警告レベルが設定されており、前記判定手段による判定結果において、前記電池の前記降下値が上回った前記警告基準値のうち最大の警告基準値に対応する警告レベルにて、前記電池残量不足を警告するものとできる。これにより、電池残量に応じて適切な残量警告を実施できる。
【0019】
なお、この警告基準値は、前記判定手段により前記電池の降下値が当該警告基準値を上回ると判定された際に、前記測定手段により測定される当該電池の前記出力電圧が、当該電池に予め定められている終止電圧よりも高い状態となっているよう定めるものとする。
【0020】
前記判定手段は、前記降下値を、前記電池に予め定められている公称電圧と、前記測定手段により測定された前記出力電圧との差分とし、当該差分が前記警告基準値を上回るか否かを判定するものとできる。降下値を、初期電圧と測定電圧との差ではなく、公称電圧と測定電圧の差で定めることで、初期電圧をモニタする処理を省略できる。使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有する電池であれば、初期電圧に代わって公称電圧を用いても問題にならない。
【0021】
本発明において、上記判定手段を第一の判定手段とし、測定手段により測定された前記出力電圧が、予め定められた最終電圧を下回るか否かを判定する第二の判定手段を備えて構成し、当該最終電圧を、前記降下値が前記警告基準値と一致するときの前記電池の出力電圧よりも低く定めることができる。この場合、警告手段は、前記出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記第一の判定手段による判定結果に関らず、前記電池残量不足を警告するものとできる。この構成によると、最終電圧を終止電圧の近傍に定めることで、出力電圧自体が既に終止電圧に近いような場合、電池の初期電圧からの降下値を特定すること無く、直ちに電池残量不足を警告することができる。
【0022】
また、この場合、測定された出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記電池駆動手段に対し前記所定動作を強制停止させる強制停止手段を備えて構成できる。測定された出力電圧が終止電圧に近いような場合は、直ちに動作を停止することで、電池駆動機器を保全できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の電池残量警報装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の電池残量警報装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示す電池残量警報装置1(1A)は、予め定められた駆動タイミングが到来したと判定されるに伴い、所定の動作期間の間、電池19からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動機器10を備える。
【0025】
なお、電池19は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するものであり、本実施形態においては、軽量・コンパクトで高出力が得られるコイン型リチウム電池(公称電圧3.0V)とされている。
【0026】
ただし、この電池駆動機器10は、動作期間として、電池19の使用可能期間に、当該電池19の出力電圧Vが、駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれる期間が設定されている。なお、電池の使用可能期間とは、電池の出力電圧が当該電池に対し予め定められた終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある期間として定めるものとする。電池19の出力電圧Vは、電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る特性を有しており、電池駆動機器10は、電池残量が多い状況においては、図5に示すように、動作期間内に上記定常電圧を見ることができるが、電池残量が少ない状況においては、図6に示すように、動作期間内に上記定常電圧を見ることができないような所定動作を実行する機器、つまり、当該所定動作を実行するような駆動レベル(動作時の負荷電流及びその動作期間(負荷期間))が設定された機器とされている。なお、本発明の電池駆動機器10は、少なくとも、電池残量が最大の状況から、電池19の出力電圧Vが終止電圧に至る前の期間に、図6のような状況が現れるものであれば、他の機器でもよい。
【0027】
本実施形態の電池駆動機器10は、車両2に搭載されるキーレスエントリーシステムにおいてユーザーにより携帯される携帯キー(RKE送信機)であり、図4に示すようなキーレスエントリー動作を実施する。即ち、電池駆動機器10は、車両2のドアロックに対する開錠操作又は施錠操作を実施するための操作部15を有しており、当該操作部15への所定の開錠操作(又は施錠操作)に伴い制御部11が、開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを無線出力するための制御信号をRF送信部(RF(高周波)帯域の電磁波を送信)12に送信し、これを受けたRF送信部12が開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを有した送信信号を、所定のRF帯域の電波として無線出力する。具体的に言えば、操作部15への操作に伴い制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる。そして、この制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0028】
車両2では、電池駆動機器10から無線出力された上記送信信号をRF受信部(RF(高周波)帯域の電磁波を受信)22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施する。ここでは、照合ECU(照合手段)21は、受信した信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施する。認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、上記受信信号に含まれる開錠要求信号(又は施錠要求信号)に基づいて、ドアロックを開錠状態と施錠状態との間で切り替えるドアロック駆動部28を駆動して、ドアロックが開錠(又は施錠)される。
【0029】
ところで、本実施形態の電池駆動機器10は、所定動作が開始されてからの経過時間が、その動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、電池19の出力電圧Vを監視・測定する電圧監視部(電圧監視回路:測定手段)14と、電池残量不足を警告する電池残量不足警告部(警告手段)18とを備えて構成される。制御部11は、電圧監視部14により測定された出力電圧Vに基づいて、当該電池電圧計測時間の経過により初期電圧から降下した電池19の出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段として機能するとともに、電池19の出力電圧Vの降下値ΔVが警告基準値を上回ると判定された場合には、電池残量不足警告部18から電池残量不足を警告報知する。
【0030】
本実施形態の電池駆動機器10は、電池残量不足警告部18として発光部をなすLED駆動部を備えており、電池残量を異なる色のLEDの点灯により表示するようになっている。
【0031】
図2は、本実施形態の電池駆動機器10において、制御部11が実施する電池残量警報処理の一例を示すフローチャートである。以下、当該処理について説明する。なお、図2の電池残量警報処理は、操作部15への操作に伴い(制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる駆動タイミングが到来するに伴い)、実行されるものである。
【0032】
S1及びS2では、電池駆動機器10が所定動作の実行を開始するとともに、それに伴い制御部11のタイマー機能による時間計時が開始される。なお、所定動作とは、上記した、RF送信部12から開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを有した送信信号を、所定のRF帯域の電波として無線出力する無線送信動作であり、当該動作を開始するに際して、RF送信部12が電池19から当該無線送信用の駆動電力の供給を受ける。なお、当該無線送信動作の動作期間は1秒以下の期間であり、この際に電池19から出力される駆動電流は3〜4mAとして定められている。
【0033】
S3では、時間計時が開始されてから所定時間(電池電圧計測時間)が経過したか否かを判定し、経過した場合にはS4に進む。
【0034】
S4では、制御部11が、電圧監視部14が監視する電池19の出力電圧Vの電圧値を取得する。さらに、電池電圧計測時間の経過により初期電圧から降下した電池19の出力電圧の降下値ΔVを算出する。なお、降下値ΔVは、S1ないしS2のタイミングで、電圧監視部14が監視する電池19の出力電圧Vの電圧値を取得し、これと、S4で取得した出力電圧Vとの差により算出するようにしてもよいが、電池19は、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると、次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する出力特性を有するため、電池19に予め定められている公称電圧と、S4で取得した出力電圧Vとの差により算出するようにする。
【0035】
S5では、S4で取得した出力電圧Vの電圧値が、予め定められた最終電圧V0(ここでは例えば2.1V)を下回るか否かを判定する(第二の判定手段)。この最終電圧V0は、測定された出力電圧Vの降下値ΔVが後述する警告基準値のうちの最大のもの(ここでは第二電圧閾値V2)と一致するときの当該出力電圧Vよりも低く、かつ、電池19に予め定められている終止電圧(ここでは2.0V)よりも高く定められている。
【0036】
S5にて、出力電圧Vが最終電圧V0を下回ると判定された場合には、S6にて現在実施中の動作を強制停止するとともに、S7にて電池残量不足の警告を実施する。なお、S6は省略することも可能である。S7でなされる電池残量不足の警告は、最も高い警告レベルにてなされる。ここでは電池残量不足警告部18のLEDを赤色の点滅点灯にて警告する。他方、S5にて、出力電圧Vが最終電圧V0を下回らないと判定された場合には、S9に進む。
【0037】
S9では、電池電圧計測時間の経過により電池19において初期電圧から降下した出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた第一の警告基準値V1(図中の第一電圧閾値:ここでは例えば0.5V)を上回るか否かを判定する。上回らないと判定された場合にはS10に進み、電池残量がまだ十分存在すると判定され、その旨の報知が実施される。本実施形態においてはLEDの緑色の点灯により報知される。他方、上回ると判定された場合にはS11に進む。
【0038】
S11では、電池電圧計測時間の経過により電池19において初期電圧から降下した出力電圧Vの降下値ΔVが、予め定められた第二の警告基準値V2(図中の第二電圧閾値:ここでは例えば0.7V)を上回るか否かを判定する。上回らないと判定された場合にはS12に進み、電池残量不足が警告される。ここでは電池残量がわずかながら減った状態であり、まもなく交換時期を迎える状況にあるので、S10よりはやや高い警告レベルの警告が実施される。本実施形態においてはLEDの黄色の点灯により報知・警告される。他方、上回ると判定された場合にはS13に進み、電池残量不足が警告される。ここでは電池残量が大きく減った状態であり、交換時期といえるので、S12より高くてS7よりは低い警告レベルの警告が実施される。本実施形態においてはLEDの赤色の点灯により報知される。
【0039】
なお、本実施形態においては、S7,S13,S12の警告レベルとしては、この順で警告レベルが低くなるように定められている。
【0040】
S7,S10,S12,S13のいずれかが終了するとS8に進む。本実施形態におけるS8では、電池残量が十分の正常状態を含む計4段階の警告レベルの中から、どのレベルと判定されたかを特定し、その判定結果(報知結果)を電池19の残量情報(電池残量情報)としてRF送信部12から無線送信する。なお、本実施形態においては、電池駆動機器10が所定動作として通信処理を実施するので、無線送信される所定の送信情報に当該残量情報を加えた形で無線送信が実施されるようにする。ここでは、開錠要求信号(又は施錠要求信号)とキー固有のIDコードとを含む制御信号を、残量情報を含む信号とする形で、RF送信部12からの無線送信を実施する。そして、残量情報の送信の後、本処理を終了する。
【0041】
図3は、本実施形態の車両2において、ECU21が実施する電池残量警報処理の一例を示すフローチャートである。以下、当該処理について説明する。
【0042】
S101では、RF受信部22を図2にて送信される残量情報の受信待機状態とする。S102にて、当該残量情報を受信したと判定されるとS103に進む。
【0043】
S103では、イグニッション電源がONとなったか否かを判定する。ONとなった場合にはS104に進み、車室内において電池残量を報知する電池残量不足警告部29の起動待ち状態となる。S105にて、電池残量不足警告部29が起動完了したと判定されるとS106に進む。
【0044】
S106では、受信した残量情報に基づいて、電池残量の報知に関する警告レベルを特定する。そして、S107では、報知すべき警告レベルであるか否かを判定し、報知すべき警告レベルと判定されればS108に進み、対応する警告レベルの報知を実施する。他方、報知すべき警告レベルと判定されなければ、本処理を終了する。ここでは、電池残量がまだ十分存在するときの警告レベル(図2の処理にてS10を経由)のみ報知すべき警告レベルで無いと判定され、その他は報知すべき警告レベルと判定されるものとする。なお、S107を省略して、全ての警告レベルにおいて、対応する警告レベルの報知を実施するようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施形態における電池残量不足警告部(警告手段)29は、車両2の表示装置と音声出力装置である。これは、カーナビゲーション装置に搭載される表示装置と音声出力装置としてもよいし、メーター表示装置やオーディオ装置の音声出力部を利用してもよい。各警告レベルに対応付けた形で、警告出力用の表示データ及び音声データが、ECU21の所定記憶部に記憶されており、S108では、S106で特定した警告レベルに対応する表示データ及び音声データを読み出し、これらに基づいて所定の表示装置及び音声出力装置から出力を実施する。警告出力の内容は、警告レベルに応じた電池残量の警告のみならず、当該警告レベルが電池交換を促すべきレベルと定められているならば、電池交換を促す内容も含めるものとする。
【0046】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、図2の処理は、図7のような処理とすることができる。図7の処理のS31〜S43は、図2の処理のS1〜S13と対応しているが、S32とS38のみ、S2とS8とは処理内容が異なる。図7の場合、S38において、直前に実施された警告レベルの判定結果(報知結果)を無線送信するのではなく制御部11の所定記憶部(残量情報記憶部)に記憶する。そして、記憶した残量情報の送信は、次回実施される処理のS32において所定動作として実施される無線送信処理にてなされる。電池残量は、前回の動作時の残量とその次の動作時の残量とで大きく変化するものではないから、報知するものが前回の残量結果であっても特に問題は無い。図7のような処理とすることで、残量情報の送信は、前もって判定された判定情報を送信する処理となるので、当該送信処理を実施する所定動作(通信処理)がよりスムーズな処理となる。
【0048】
また、上記実施形態の電池駆動機器10は、キーレスエントリーシステムの携帯キー(RKE送信機)であったが、車両2に搭載されるスマートキーシステムにおいてユーザーにより携帯される携帯キー(スマートキー:スマート携帯機)とすることができ、図10及び図11に示すようなスマートエントリー動作、及びスマートスタート動作を実施するものとできる。具体的には、図8に示す電池残量警報装置1(1B)のように構成する。
【0049】
図8において、車両2は、電池駆動機器10から無線出力された送信信号をRF受信部22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施し、ドアロックに対し開錠許可(又は施錠許可)を与えるスマートエントリー機能を実行する。ここでは、車外LF送信部(LF(長波)帯域の電磁波を送信)24から、車両外周辺の予め定められたキー探索エリア内にポーリング信号を、所定のLF帯域の電磁波として定期的に無線出力し、RF受信部22にて、当該ポーリング信号に対する応答信号を無線受信し、当該応答信号に基づいて該キー探索エリア内に存在する携帯キー(スマートキー)10の存在を特定する。携帯キー10が特定された場合には、車外LF送信部24から、当該携帯キー10に対しキー固有のIDコードの送信を要求するIDコード要求信号を無線送信して、RF受信部22にて、当該IDコード要求信号に対する応答信号を無線受信する。照合ECU21は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施し、認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、ドアロックに設定されている開錠禁止モードを開錠許可モード(又は施錠禁止モードから施錠許可モード)に切り替える。そして、当該開錠許可モード(又は施錠許可モード)が設定された状態に限り、所定のドアロック操作部25への所定の開錠操作(又は施錠操作)に基づいてドアロック駆動部28を開錠駆動(又は施錠駆動)し、ドアロックを開錠(又は施錠)する。
【0050】
このとき、図8の電池駆動機器10は、車両2から送信される無線信号を無線受信するLF受信部(LF(長波)帯域の電磁波を受信)13を有し、制御部11は、スマートエントリー機能に係る所定動作として、当該LF受信部13が車両2から送信されてくる所定の送信信号を無線受信するに伴い、対応する応答信号をRF送信部12から無線出力する動作を実施する。具体的に言えば、上記ポーリング信号をLF受信部13にて受信した場合には、制御部11は、これに対応する所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。また、IDコード要求信号をLF受信部13にて受信した場合には、制御部11は、これに対応する応答信号として、キー固有のIDコードを含む所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。本実施形態においては、車両2側から所定の起動信号としてポーリング信号を無線受信するに伴い制御部11がウェークアップして、スリープモードから通常モードに切り替わる。そして、この制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0051】
また、図8において、車両2は、電池駆動機器10から無線出力された送信信号をRF受信部22にて受信し、当該信号に基づいて照合ECU(キー認証手段)21が電池駆動機器10に対する認証処理を実施し、所定のエンジン始動操作に対し始動許可を与えるスマートスタート機能を実行する。ここでは、車両ドアの開放に伴い車内LF送信部23から、車室内のキー探索エリア内に携帯キー(スマートキー)10に対しキー固有のIDコードの送信を要求するIDコード要求信号を無線送信して、RF受信部22にて、当該IDコード要求信号に対する応答信号を無線受信する。照合ECU21は、RF受信部22が受信した応答信号に含まれるIDコードと、車両2側の所定記憶部26に記憶されているマスターコードとを照合する照合処理を実施し、認証結果(照合結果)が認証OK(照合一致)と判定された場合には、車載LAN3を介して通信可能に接続するエンジンECU31において、設定されているエンジン始動制御モードをエンジン始動禁止モードからエンジン始動許可モードに切り替える。そして、エンジンECU31は、当該エンジン始動許可が設定された状態に限り、所定のエンジン始動操作部(イグニッションスイッチ)32への所定のエンジン始動操作に基づいてエンジン始動(スターターリレーON)を実施する。
【0052】
このとき、図8の電池駆動機器10の制御部11は、スマートスタート機能に係る所定動作として、当該LF受信部13が車両2から送信されてくる所定の送信信号を無線受信するに伴い、対応する応答信号をRF送信部12から無線出力する動作を実施する。具体的に言えば、IDコード要求信号をLF受信部13にて受信した場合に、制御部11は、これに対応する応答信号として、キー固有のIDコードを含む所定の応答信号を無線送信するための制御信号をRF送信部12に送信し、当該無線送信を所定動作としてRF送信部12に実施させる。本実施形態においては、制御部11から上記送信信号を無線送信するための制御信号を受信したRF送信部12が、電池19から駆動電力の供給を受け、当該応答信号を所定のRF帯域の電波として無線出力する。無線送信実施後には、電池19からRF送信部12への駆動電力の供給が停止する。
【0053】
こうしたスマートキーシステムに係る所定動作を実施する電池駆動機器10において、制御部11が実施する電池残量警報処理は、例えば図9のような処理とできる。なお、図9の電池残量警報処理は、LF受信部13における所定の送信信号の無線受信に伴い、実行されるものである。
【0054】
図9の処理のS51〜S63は、図2の処理のS1〜S13と対応しているが、S52とS58のみ、S2とS8とは処理内容が異なる。図9の場合、S52の処理は、スマートエントリ・スマートスタート機能に係る所定動作が実施されるものとされている。具体的には、無線受信したポーリング信号に対する応答信号の無線送信、及び無線受信したID要求信号に対する応答信号(IDコードを含む)の無線送信のいずれか又は双方とすることができる。S58の処理は、残量情報の送信処理であるが、ここでは無線送信される上記応答信号に残量情報を付加した形での送信となる。
【0055】
図12の処理のS71〜S83は、図9の処理のS51〜S63と対応しているが、S72とS78のみ、S52とS58とは処理内容が異なる。さらに、図13の処理と併せて実施される。図12の場合、S72の処理は、スマートエントリー機能のうちドアロックの開錠に係る所定動作の実施開始とされている。具体的には、無線受信したポーリング信号に対する応答信号の無線送信、及び無線受信したID要求信号に対する応答信号(IDコードを含む)の無線送信のいずれか又は双方とすることができる。また、S78の処理は、図7のS38と同様に、直前に実施された警告レベルの判定結果(報知結果)を無線送信するのではなく制御部11の所定記憶部(残量情報記憶部)に記憶する処理である。そして、ここで記憶した残量情報の送信は、図13のS84の、スマートスタート機能に係る所定動作として実施される無線送信処理にてなされる。つまり、ドアロックの開錠に係る動作が実施された後、運転者が車に乗り込み、その上で、エンジン始動に係る動作が実施されるから、ドアロックの開錠に係る所定動作が実施される際に、S38にて警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、その後に実施されるエンジン始動に係る所定動作である無線送信処理にて、残量情報を送信することで、処理がスムーズとなる。
【0056】
なお、スマートエントリー機能及びスマートスタート機能においては、複数回の無線通信がなされるので、先に実施される無線通信動作において、警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、後に実施される無線通信動作において、その判定結果(残量情報)を無線送信するようにすることで、同様の効果が得られる。例えば、ポーリング信号の無線受信した際の応答信号の送信動作において、警告レベルの判定結果(報知結果)を記憶し、続いてIDコード要求信号を受信した際の応答信号の送信動作において、その判定結果(残量情報)を無線送信するようにすることもできる。
【0057】
上記実施形態においては、車両2と電池駆動機器10との間でなされるドアロックの施錠・解除に係る無線通信、あるいはエンジン始動に係る無線通信が所定動作とされているが、他の処理とすることもできる。例えば、電池駆動機器10にドア開閉操作用の操作部が設けられ、当該操作部への操作に伴い無線送信されるドア開閉要求信号により車両のドアが電動開閉するものであれば、当該無線送信動作を、所定動作とすることもできる。
【0058】
また、電池駆動機器10も、車両に係るものに限らず、電池からの電力供給を受けて駆動し、かつ動作期間として、電池が終止電圧の出力に至るよりも前の使用可能状態にある時期のいずれかに、当該電池の出力電圧が通電の開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれる期間が設定されている機器であれば、他のものでもよい。また、電池もリチウム電池に限らず、電池の出力電圧が電力供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る特性と、使用後に所定期間の無負荷状態を経ると次回使用時の初期電圧が予め定められている公称電圧レベルの近傍まで復帰する特性を有するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第一実施形態をなす電池残量警報装置を概略的に示すブロック図。
【図2】携帯機器にて電池残量警報処理の第一例を示すフローチャート。
【図3】車両側にて電池残量警報処理の第一例を示すフローチャート。
【図4】キーレスエントリーシステムの処理の流れを説明する図。
【図5】電池残量が比較的多いときの電池の出力電圧変化を示すグラフ。
【図6】電池残量が比較的少ないときの電池の出力電圧変化を示すグラフ。
【図7】携帯機器にて電池残量警報処理の第二例を示すフローチャート。
【図8】本発明の第二実施形態をなす電池残量警報装置を概略的に示すブロック図。
【図9】携帯機器にて電池残量警報処理の第三例を示すフローチャート。
【図10】スマートエントリーシステムの処理の流れを説明する図。
【図11】スマートスタートシステムの処理の流れを説明する図。
【図12】携帯機器にて電池残量警報処理の第四例を示すフローチャート。
【図13】図12に続く図。
【図14】電池の放電特性を示すグラフ。
【図15】電池電圧の回復を説明するグラフ。
【符号の説明】
【0060】
1 電池残量警報装置
2 車両
10 電池駆動機器(携帯機器)
11 制御部
12 RF送信部(電磁波出力手段:通信手段)
13 LF受信部(通信手段)
14 電圧監視部(測定手段)
15 操作部
18 電池残量不足警告部(警告手段)
19 電池
21 照合ECU
22 RF受信部(通信手段)
23 車内LF送信部(通信手段)
24 車外LF送信部(通信手段)
25 ドアロック操作部
28 ドアロック駆動部
29 電池残量不足警告部(警告手段)
31 エンジンECU
32 エンジン始動操作部(イグニッションスイッチ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動作期間の間電池からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動手段であって、前記動作期間として、前記電池の使用可能期間内に、当該電池の出力電圧が駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間として設定されている電池駆動手段と、
前記所定動作が開始されてからの経過時間が、前記動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、前記電池の出力電圧を測定する測定手段と、
測定された前記出力電圧に基づいて、前記電池電圧計測時間の経過により前記初期電圧から降下した前記電池の出力電圧の降下値が、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段と、
前記電池の出力電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、電池残量不足を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする電池残量警報装置。
【請求項2】
前記電池駆動手段は、前記動作期間として1秒以下の期間が定められている請求項1記載の電池残量警報装置。
【請求項3】
前記電池はリチウム電池である請求項1又は請求項2に記載の電池残量警報装置。
【請求項4】
前記電池はコイン型リチウム電池である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項5】
前記電池残量警報装置は、少なくとも前記電池及び前記電池駆動手段を備える携帯可能な携帯機器を有している請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項6】
前記警報手段は、前記携帯機器に設けられた発光部とされており、前記電池の降下電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、異なる発光状態に切り替わる形で、前記電池残量不足を警告するものである請求項5記載の電池残量警報装置。
【請求項7】
前記携帯機器は、前記測定手段及び前記判定手段を備えるとともに、車両と無線通信可能な通信手段を備えて構成され、前記所定動作中において、前記判定手段による判定結果を前記通信手段により前記車両に送信し、
前記車両は、当該判定結果を受信する受信手段とともに前記警報手段を備えて構成され、当該警報手段は、前記電池とは異なる車載電源からの電力供給を受ける形で、前記電池残量不足を車室内において警告するものとされている請求項5又は請求項6に記載の電池残量警報装置。
【請求項8】
前記電池駆動手段は、予め定められた電磁波を出力する電磁波出力手段である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項9】
請求項5記載の要件を備え、
前記携帯機器は、前記電磁波出力手段を備える車両用の携帯キーであり、当該電磁波出力手段は、車両のドアロックの開錠及び施錠、車両のドアロックの開錠及び施錠の禁止モードの解除、車両のドアの開閉、及びエンジン始動操作の禁止解除のいずれかに係る制御情報を送信する通信手段である請求項8記載の電池残量警報装置。
【請求項10】
請求項7記載の要件を備え、
前記通信手段は、前記所定動作として、前記制御情報を無線出力するものであり、当該制御情報と共に前記判定結果を示す電池残量情報を無線出力するものである請求項8又は請求項9に記載の電池残量警報装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記降下値との比較対照となる前記警告基準値を複数段階有しており、前記電池の前記降下値がいずれの前記警告基準値を上回るかを判定するものであり、
前記警告手段は、前記電池残量不足を警告する警告レベルとして、前記警告基準値が大きいほど高い警告レベルが設定されており、前記判定手段による判定結果において、前記電池の前記降下値が上回った前記警告基準値のうち最大の警告基準値に対応する警告レベルにて、前記電池残量不足を警告するものである請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記降下値を、前記電池に予め定められている公称電圧と、前記測定手段により測定された前記出力電圧との差分とし、当該差分が前記警告基準値を上回るか否かを判定するものである請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項13】
前記判定手段を第一の判定手段とし、前記測定手段により測定された前記出力電圧が、予め定められた最終電圧を下回るか否かを判定する第二の判定手段を備えるとともに、当該最終電圧は、前記降下値が前記警告基準値と一致するときの前記電池の出力電圧よりも低く定められており、
前記警告手段は、前記出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記第一の判定手段による判定結果に関らず、前記電池残量不足を警告するものである請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項14】
前記測定手段により測定された出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記電池駆動手段に対し前記所定動作を強制停止させる強制停止手段を備える請求項13記載の電池残量警報装置。
【請求項1】
所定の動作期間の間電池からの駆動電力の供給を受けて所定動作を実行し、当該動作期間の終了に伴い当該駆動電力の供給が停止される電池駆動手段であって、前記動作期間として、前記電池の使用可能期間内に、当該電池の出力電圧が駆動電力の供給開始直後の初期電圧から電圧降下を経て定常電圧に至る前に当該動作期間の終了を迎える使用時期が含まれている期間として設定されている電池駆動手段と、
前記所定動作が開始されてからの経過時間が、前記動作期間の終了時または終了前に到来する予め定められた電池電圧計測時間となるに伴い、前記電池の出力電圧を測定する測定手段と、
測定された前記出力電圧に基づいて、前記電池電圧計測時間の経過により前記初期電圧から降下した前記電池の出力電圧の降下値が、予め定められた警告基準値を上回るか否かを判定する判定手段と、
前記電池の出力電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、電池残量不足を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする電池残量警報装置。
【請求項2】
前記電池駆動手段は、前記動作期間として1秒以下の期間が定められている請求項1記載の電池残量警報装置。
【請求項3】
前記電池はリチウム電池である請求項1又は請求項2に記載の電池残量警報装置。
【請求項4】
前記電池はコイン型リチウム電池である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項5】
前記電池残量警報装置は、少なくとも前記電池及び前記電池駆動手段を備える携帯可能な携帯機器を有している請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項6】
前記警報手段は、前記携帯機器に設けられた発光部とされており、前記電池の降下電圧の降下値が前記警告基準値を上回ると判定された場合に、異なる発光状態に切り替わる形で、前記電池残量不足を警告するものである請求項5記載の電池残量警報装置。
【請求項7】
前記携帯機器は、前記測定手段及び前記判定手段を備えるとともに、車両と無線通信可能な通信手段を備えて構成され、前記所定動作中において、前記判定手段による判定結果を前記通信手段により前記車両に送信し、
前記車両は、当該判定結果を受信する受信手段とともに前記警報手段を備えて構成され、当該警報手段は、前記電池とは異なる車載電源からの電力供給を受ける形で、前記電池残量不足を車室内において警告するものとされている請求項5又は請求項6に記載の電池残量警報装置。
【請求項8】
前記電池駆動手段は、予め定められた電磁波を出力する電磁波出力手段である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項9】
請求項5記載の要件を備え、
前記携帯機器は、前記電磁波出力手段を備える車両用の携帯キーであり、当該電磁波出力手段は、車両のドアロックの開錠及び施錠、車両のドアロックの開錠及び施錠の禁止モードの解除、車両のドアの開閉、及びエンジン始動操作の禁止解除のいずれかに係る制御情報を送信する通信手段である請求項8記載の電池残量警報装置。
【請求項10】
請求項7記載の要件を備え、
前記通信手段は、前記所定動作として、前記制御情報を無線出力するものであり、当該制御情報と共に前記判定結果を示す電池残量情報を無線出力するものである請求項8又は請求項9に記載の電池残量警報装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記降下値との比較対照となる前記警告基準値を複数段階有しており、前記電池の前記降下値がいずれの前記警告基準値を上回るかを判定するものであり、
前記警告手段は、前記電池残量不足を警告する警告レベルとして、前記警告基準値が大きいほど高い警告レベルが設定されており、前記判定手段による判定結果において、前記電池の前記降下値が上回った前記警告基準値のうち最大の警告基準値に対応する警告レベルにて、前記電池残量不足を警告するものである請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記降下値を、前記電池に予め定められている公称電圧と、前記測定手段により測定された前記出力電圧との差分とし、当該差分が前記警告基準値を上回るか否かを判定するものである請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項13】
前記判定手段を第一の判定手段とし、前記測定手段により測定された前記出力電圧が、予め定められた最終電圧を下回るか否かを判定する第二の判定手段を備えるとともに、当該最終電圧は、前記降下値が前記警告基準値と一致するときの前記電池の出力電圧よりも低く定められており、
前記警告手段は、前記出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記第一の判定手段による判定結果に関らず、前記電池残量不足を警告するものである請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電池残量警報装置。
【請求項14】
前記測定手段により測定された出力電圧が前記最終電圧を下回ると判定された場合に、前記電池駆動手段に対し前記所定動作を強制停止させる強制停止手段を備える請求項13記載の電池残量警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−88197(P2010−88197A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253805(P2008−253805)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]