説明

電池監視装置

【課題】制御手段側にて監視手段における暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断可能な電池監視装置を提供する。
【解決手段】監視回路21に暗電流モード時にカウントを停止するタイマ回路215を設け、マイコン22側から監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間のタイマ回路215のカウント値をマイコン22にて確認し、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値を上回っている場合に監視回路21の暗電流モードが正常に機能していないと診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを直列接続して構成される組電池の電池状態を監視する電池監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池監視装置は、主たる構成要素として、組電池を構成する各電池セルの電圧変動等の電池状態を監視する監視手段(監視回路)、および監視手段を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)を備えている。
【0003】
電池監視装置における監視手段は、監視対象である組電池から電力供給されることで作動するように構成されているため、監視手段で電力が消費されると、組電池の各電池セルの残存容量SOC(State of Charge)が低下することとなる。そして、監視手段が必要以上に作動すると、監視手段にて消費される電力が増加して、組電池の残存容量SOCの減少が促進されることから、組電池の電池セルが過放電状態となる虞がある。
【0004】
そこで、監視手段にて消費される電力の低減を図るために、所定の条件が成立した場合に組電池から監視手段への電力供給を制限する暗電流モード(スリープモード)を設けた電池監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の電池監視装置は、マイコンによって監視手段の監視結果(監視情報信号)が参照されてない場合に、監視手段が暗電流モードに移行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4114310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術には、暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断するような手段が全く設けられておらず、暗電流モードが正常に機能していない場合に、監視手段によって必要以上に組電池の電力が消費されてしまう可能性がある。さらに、監視手段の暗電流モードが正常に機能していない場合、組電池から監視手段以外の電気負荷(車両のインバータ等)への電力供給を充分に行うことができず、電気負荷を適切に駆動させることができなくなる虞がある。なお、暗電流モードが正常に機能していない例としては、監視手段に設けられたスイッチング素子等に異常が生じ、監視手段が暗電流モードに正常に移行しないといった異常状態や、外部ノイズ等の影響によって暗電流モード時に監視手段が誤起動する異常状態等が考えられる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、制御手段にて監視手段における暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断可能な電池監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セル(10)を直列接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池監視装置であって、組電池(1)からの電力供給によって駆動され、組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(21)と、監視手段(21)による電池状態の監視結果を取得すると共に、監視手段(21)の作動を制御する制御手段(22)と、監視手段(21)および制御手段(22)の間で信号を伝達する信号伝達手段(23)と、を備え、監視手段(21)は、信号伝達手段(23)を介して制御手段(22)側から伝達されるモード切替指示信号に応じて、組電池(1)からの電力供給が接続状態とされる通常モード、および組電池(1)からの電力供給が遮断状態とされる暗電流モードのいずれかに移行するように構成されると共に、通常モードへの移行に同期してカウントを開始する一方、暗電流モードへの移行に同期してカウントを停止するように構成されたタイマ手段(215)を有し、制御手段(22)は、信号伝達手段(23)を介して監視手段(21)に対して暗電流モードから通常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達した後に監視手段(21)からタイマ手段(215)のカウント値を取得し、取得したタイマ手段(215)のカウント値が異常診断基準値を上回っている場合に、監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能していないと診断することを特徴とする。
【0009】
これによれば、監視手段(21)に暗電流モード時にカウントを停止するタイマ手段(215)を設け、制御手段(22)側から監視手段(21)に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間のタイマ手段(215)のカウント値を制御手段(22)にて確認することで、制御手段(22)において監視手段(21)の暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断することが可能となる。なお、特許請求の範囲に記載された「遮断状態」とは、組電池(1)から電力供給が完全に遮断された状態だけを意味するものでなく、部分的に遮断された状態を含む意味である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の電池監視装置において、監視手段(21)を、暗電流モード時におけるタイマ手段(215)のカウント値を保持する記憶部(216)を有し、制御手段(22)からのクリア指示信号に応じて、記憶部(216)に保持されたカウント値をクリアする構成としてもよい。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電池監視装置において、制御手段(22)は、監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、タイマ手段(215)のカウント値が異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値を上回っている場合には、監視手段(21)に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、監視手段(21)が定常的に正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする。
【0012】
これによれば、監視手段(21)が定常的に正常モードとなってしまう異常状態、すなわち、監視手段(21)が暗電流モードに移行しない異常状態となっていると診断することができる。従って、制御手段(22)にて監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能しているか否かを的確に診断することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の電池監視装置において、制御手段(22)は、監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、タイマ手段(215)のカウント値が異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値以下となっている場合に、監視手段(21)に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、監視手段(21)が一時的に正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする。
【0014】
これによれば、例えば、外部ノイズ等の影響で暗電流モード中に誤起動(正常モードへの移行)が生じたり、暗電流モードへの移行遅延が生じたりすることで監視手段(21)が一時的に正常モードとなる異常状態となっている診断することができる。従って、制御手段(22)にて監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能しているか否かを的確に診断することが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1に記載の電池監視装置において、監視手段(21)を、正常モードから暗電流モードに移行する際に、タイマ手段(215)のカウント値をクリアする構成としてもよい。
【0016】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の電池監視装置において、制御手段(22)は、監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、タイマ手段(215)のカウント値が異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値を上回っている際には、監視手段(21)に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、監視手段(21)が定常的に正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする。
【0017】
これによれば、監視手段(21)が定常的に正常モードとなってしまう異常状態、すなわち、監視手段(21)が暗電流モードに移行しない異常状態となっていることを診断することができる。従って、制御手段(22)にて監視手段(21)における暗電流モードが正常に機能しているか否かを的確に診断することが可能となる。
【0018】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電池監視装置において、制御手段(22)は、暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合、組電池(1)の残存容量の許容下限値を上昇させることを特徴とする。
【0019】
これによれば、監視手段(21)によって組電池(1)の電力が消費されたとしても、組電池(1)が過放電状態となってしまうことを抑制することが可能となる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池監視装置において、監視手段(21)は、制御手段(22)からの所定の指示信号に応じて、複数の電池セル(10)の電圧を均等化する均等化放電を実行するように構成されており、制御手段(22)は、暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合、監視手段(21)への均等化放電を指示する均等化指示信号の伝達を禁止することを特徴とする。
【0021】
これにより、組電池(1)の電力が必要以上に消費されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る電池監視装置を含む組電池制御システムの全体構成図である。
【図2】実施形態に係るマイコンが実行する異常診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施形態に係るマイコンが実行する異常対応処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される高圧バッテリである組電池1の制御システムに本発明の電池監視装置2を適用している。図1の全体構成図に示すように、本実施形態の組電池制御システムは、主たる構成として組電池1および電池監視装置2を備える。
【0025】
本実施形態の組電池1は、車両走行用の電動機(図示略)等の各種電気負荷に電力を供給するものである。具体的には、組電池1は、リチウムイオン電池等からなる電池セル10を複数直列に接続したもので、互いに隣接する所定数(本実施形態では8個)の電池セル毎にグループ化した複数の電池ブロックB1〜Bnの直列接続体として構成されている。なお、図1では、複数の電池ブロックB1〜Bnのうち、1つの電池ブロックBi(i=1〜n)を示しているが、実際には電池ブロックBが多数設けられている。
【0026】
このように構成される組電池1には、検出ラインを介して電池監視装置2が接続されている。この電池監視装置2は、組電池1を構成する各電池セル10の過放電状態、過充電状態等の電池状態を監視する過充放電検出機能、および各電池セル10の電圧を均等化する均等化放電機能を有する装置である。なお、過放電状態は、各電池セル10の電圧が信頼性の低下を招く過度な低電圧となる異常状態を意味し、過充電状態は、各電池セル10の電圧が信頼性の低下を招く過度な高電圧となる異常状態を意味する。
【0027】
具体的には、電池監視装置2は、主たる構成要素として、各電池ブロックBに対応して設けられ、電池ブロックB毎の電池状態を監視する複数の監視回路21、各監視回路21等の作動を制御するマイコン22、および各監視回路21とマイコン22との間を電気的に絶縁した状態で信号伝達を可能とする複数の絶縁信号伝達回路23を備えている。なお、本実施形態では、監視回路21が特許請求の範囲に記載の監視手段を構成し、マイコン22が特許請求の範囲に記載の制御手段を構成し、絶縁信号伝達回路23が特許請求の範囲に記載の信号伝達手段を構成する。
【0028】
各監視回路21は、監視対象である高電圧の電池ブロックBを電源とし、マイコン22は、図示しない低電圧の補助バッテリ(例えば12Vバッテリ)を電源としている。つまり、本実施形態の監視回路21は、高電圧で駆動する高圧系を構成するのに対して、制御手段であるマイコン22は低電圧で駆動する低圧系を構成する。
【0029】
監視回路21は、監視する電池ブロックBの各電池セル10の両極端子に検出ラインを介して接続され、各電池セル10の電圧を検出して、その結果をマイコン22側へ出力するように構成されている。なお、本実施形態の監視回路21は、電池ブロックB毎に設けられている。
【0030】
監視回路21は、監視する電池ブロックBの各電池セル10の電圧を検出する電圧検出部211、各電池セル10の電圧を均等化する均等化回路212、各種信号の入出力を行う入出力部213、電源部214、タイマ回路215、記憶部216等を有して構成されている。
【0031】
本実施形態の電圧検出部211は、監視する電池ブロックBの各電池セル10に接続された複数の選択スイッチを有し、任意の選択スイッチをオンオフ可能に構成されたマルチプレクサ(図示略)、マルチプレクサを介して取得したアナログ信号(電圧値)をデジタルデータに変換するAD変換器(図示略)等で構成されている。
【0032】
均等化回路212は、電圧検出部211の検出値を参照して、各電池セル10の電圧のバラツキを検出し、電池ブロックB内において他の電池セル10よりも高電圧となる電池セル10の正極側から流れる電流を負極側に流すことにより、各電池セル10のセル電圧のばらつきを調整(縮小)するための回路である。
【0033】
入出力部213は、絶縁信号伝達回路23を介してマイコン22側と各種信号の入出力を行うものである。この入出力部213は、後述するマイコン22側からのモード切替指示信号を入力するための第1端子部213a、およびマイコン22側からのモード切替指示信号以外の他の通信信号の入出力を行うための第2端子部213bを有する。なお、第1端子部213aは、チップセレクト端子(CS端子)で構成することができる。
【0034】
ここで、モード切替指示信号は、マイコン22が監視回路21に出力する指示信号であって、組電池1から監視回路21へ電力が供給される接続状態とする通常モード、および組電池1から監視回路21へ電力の供給が遮断される遮断状態とする暗電流モードのいずれかのモードに監視回路21を移行させるための指示信号である。
【0035】
続いて本実施形態の電源部214は、監視する電池ブロックBにおける最も高電圧となる電池セル10の正極端子と、最も低電圧となる電池セル10の負極端子とに接続されて、電池ブロックBの電圧を所望の電圧に変換して、監視回路21の各構成要素211〜213、215、216へ供給するものである。
【0036】
電源部214には、マイコン22側からのモード切替指示信号に応じて、監視回路21のモードを通常モードおよび暗電流モードのいずれかに切り替えるためのモード切替手段214aが設けられている。このモード切替手段214aとしては、例えば、監視回路21の各構成要素211〜213、215との接続をオンオフするスイッチング素子で構成することができる。なお、暗電流モード時には、監視回路21を構成する各構成要素への電力供給が遮断されるわけではなく、少なくとも記憶部216や、暗電流モードから正常モードへ移行する際に必要となる構成要素への電力供給は維持される。
【0037】
タイマ回路215は、監視回路21の通常モードへの移行に同期してカウントを開始する一方、暗電流モードへの移行に同期してカウントを停止するタイマ手段を構成する。なお、暗電流モード時には、タイマ回路215への電力供給が遮断され、タイマ回路215のカウントが停止することとなる。本実施形態のタイマ回路215は、マイコン22からのカウント値伝達指示信号に応じて、カウント値をマイコン22へ伝達するように構成されている。
【0038】
記憶部216は、タイマ回路215のカウント値を保持するメモリである。この記憶部216は、暗電流モード時においても、組電池1からの電力供給が維持されるように構成されている。このため、暗電流モード時には、タイマ回路215のカウント値が記憶部216に保持される。なお、記憶部216に保持されたカウント値は、マイコン22からのクリア指示信号に応じてクリアされる。
【0039】
マイコン22は、図示しないMPU、ROM、EEPROM、RAM等からなるマイクロコンピュータであって、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムに従って各種処理等を実行するものである。
【0040】
本実施形態のマイコン22は、各監視回路21へ各種指示信号を伝達すると共に、各監視回路21から出力される監視結果等の出力信号を取得し、取得した出力信号に応じて組電池1の電池状態を診断したり、監視回路21の異常を診断したりするように構成されている。
【0041】
マイコン22側から各監視回路21へ出力する指示信号としては、例えば、各電池セル10の電池状態の監視を指示する監視指示信号、均等化放電を指示する均等化指示信号、監視回路21のモードを通常モードおよび暗電流モードのいずれかに切り替えるためのモード切替指示信号、タイマ回路215のカウント値の伝達を指示するカウント値伝達指示信号、タイマ回路215のカウント値のクリアを指示するクリア指示信号等がある。
【0042】
ここで、監視指示信号、均等化指示信号等は、例えば、車両のイグニッションスイッチ等のスタートスイッチ(図示略)がオンされている際にマイコン22側から監視回路21側へ伝達される。
【0043】
また、暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号は、車両のスタートスイッチがオフされた際にマイコン22側から監視回路21側へ伝達され、正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号は、所定の起動条件が成立した際にマイコン22側から監視回路21側へ伝達される。
【0044】
さらに、クリア指示信号は、暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号と共に、車両のスタートスイッチがオフされた際に、マイコン22から監視回路21へ伝達される。
【0045】
車両のスタートスイッチがオフされている場合、組電池1の各電池セル10が電圧変動する可能性が少ないことから、マイコン22では、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達する。これにより、監視回路21での電力消費量の低減を図ることが可能となる。
【0046】
絶縁信号伝達回路23は、監視回路21側(監視手段側)とマイコン22側(制御手段側)とを電気的に絶縁した状態で、マイコン22と監視回路21との間で信号伝達可能とする信号伝達手段を構成する。本実施形態の絶縁信号伝達回路23は、モード切替指示信号をマイコン22側から監視回路21側へ伝達するための第1信号伝達部23a、およびモード切替指示信号以外の他の通信信号(監視指示信号、均等化指示信号、カウント値伝達指示信号、クリア指示信号等)をマイコン22側から監視回路21へ伝達するための第2信号伝達部23bを有している。すなわち、本実施形態の絶縁信号伝達回路23では、第1信号伝達部23aと第2信号伝達部23bとが別個独立して構成されている。
【0047】
第1信号伝達部23aは、マイコン22側から監視回路21側への一方向に信号を伝達する光結合方式の絶縁素子で構成されている。この第1信号伝達部23aは、高速で信号伝達する必要性の低いモード切替指示信号を伝達することから、例えば、フォトカプラで構成することができる。なお、第1信号伝達部23aは、組電池1ではなく、マイコン22を駆動する補助バッテリからの電力供給により駆動される構成となっている。従って、第1信号伝達部23aは、監視回路21が通常モードおよび暗電流モードのいずれのモードであっても、マイコン22側から監視回路21側へ信号を伝達することが可能となっている。
【0048】
一方、第2信号伝達部23bは、マイコン22側から監視回路21側、および監視回路21側からマイコン22側の双方向に信号を伝達する一対の光結合方式の絶縁素子で構成されている。この第2信号伝達部23bは、第1信号伝達部23aに比べて、高速で信号伝達する必要性の高い通信信号を伝達する可能性があることから、各絶縁素子それぞれを、例えば、信号伝達を高速化するための高速ロジックICを有するフォトICカプラで構成することができる。
【0049】
なお、第2信号伝達部23bは、監視回路21側からマイコン22側へ信号伝達する絶縁素子(高速ロジックIC)が、組電池1からの電力供給により駆動される構成となっている。従って、第2信号伝達部23bは、監視回路21のモードが通常モードとなっている場合にだけ監視回路21側からマイコン22側へ信号を伝達することが可能となっている。換言すれば、第2信号伝達部23bは、監視回路21が暗電流モードとなっている場合に、監視回路21側からマイコン22側へ信号を伝達することができなくなっている。
【0050】
次に、本実施形態に係る電池監視装置2の作動について説明する。本実施形態の電池監視装置2は、組電池1の監視および均等化を行うと共に、監視回路21の異常診断を行い、さらに、異常診断の結果に応じて異常対応処理を行う。
【0051】
まず、電池監視装置2による組電池1の監視および均等化について説明する。電池監視装置2による組電池1の監視は、組電池1の各電池ブロックBから監視回路21に電力が供給されると共に、監視回路21の電源部214から絶縁信号伝達回路23へ電力供給可能な状況において、例えば、外部から指令等により実行される。
【0052】
マイコン22は、絶縁信号伝達回路23の第2信号伝達部23bを介して、各電池セル10の電池状態の監視を指示する監視指示信号を各監視回路21側に伝達する。マイコン22からの監視指示信号を受けた監視回路21では、電圧検出部211にて監視対象である電池ブロックBの電圧等の電池状態を検出する。その後、監視回路21は、電圧検出部211で検出した各電池セル10の電池状態等の出力信号を入出力部213の第2端子部213bから絶縁信号伝達回路23の第2信号伝達部23bを介してマイコン22側へ伝達し、マイコン22にて、各電池セル10の電池状態が診断される。
【0053】
そして、マイコン22によって、各電池セル10の電圧に所定値以上の差が生じていると診断された場合には、絶縁信号伝達回路23の第2信号伝達部23bを介して、均等化放電を指示する均等化指示信号を監視回路21へ伝達する。マイコン22からの均等化指示信号を受けた監視回路21では、均等化回路212にて監視対象である電池ブロックBの各電池セル10の均等化を行う。
【0054】
次に、電池監視装置2による監視回路21の暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断する異常診断について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るマイコン22が実行する異常診断処理の流れを示すフローチャートである。なお、図2に示す制御ルーチンは、車両のスタートスイッチがオフされた際に実行される。
【0055】
図2に示すように、まず、監視回路21に対して、絶縁信号伝達回路23を介して、暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号、およびクリア指示信号を伝達する(S10)。なお、記憶部216に記憶されたタイマ回路215のカウント値を確実にクリアするために、クリア指示信号を伝達した後、モード切替指示信号を伝達するようにしてもよい。
【0056】
ステップS10の処理後、予め定められた一定期間待機する(S11)。なお、ステップS11における一定期間は、監視回路21が正常モードから暗電流モードへの移行に要する期間に設定されている。
【0057】
ステップS11にて一定期間待機した後、監視回路21の起動条件が成立したか否かを判定する(S12)。なお、起動条件としては、ステップS11の処理後、所定時間(例えば1時間)経過した際に成立する条件や、外部から電池監視の指令があった際に成立する条件とすることができる。
【0058】
ステップS12の判定処理にて、起動条件が成立していないと判定された場合(S12:NO)には、ステップ11に戻って待機状態を維持する。一方、ステップS12の判定処理にて、起動条件が成立したと判定された場合(S12:YES)には、監視回路21に対して正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達する(S13)。
【0059】
その後、監視回路21に対してタイマ回路215のカウント値の伝達を指示するカウント値伝達指示信号を伝達し(S14)、監視回路21の記憶部216からタイマ回路215のカウント値を取得する。
【0060】
ここで、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していれば、タイマ回路215のカウントが停止しているため、監視回路21の記憶部216から取得したタイマ回路215のカウント値が略ゼロとなる。
【0061】
これに反して、監視回路21の記憶部216から取得したタイマ回路215のカウント値が略ゼロとならない場合、タイマ回路215のカウントが行われており、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない異常状態と考えられる。
【0062】
このため、本実施形態では、ステップS14で取得したタイマ回路215のカウント値を異常診断基準値αと比較して、カウント値が異常診断基準値αを上回っているか否かを判定する(S15)。なお、異常診断基準値αは、マイコン22が監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達してから実際に監視回路21が暗電流モードへの移行を完了するまでに要する時間(ディレイ時間)を加味した値に設定されている。
【0063】
ステップS15の判定処理の結果、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値αを上回っていると判定された場合(S15:YES)には、さらに、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値αよりも大きい値に設定された設定閾値β以下であるか否かを判定する(S16)。
【0064】
なお、設定閾値βは、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達した後、タイマ回路215が一時的に駆動していたのか、定常的に駆動したのかを区別するための閾値(時間)である。設定閾値βとしては、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達してから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達するまでの時間よりも短い時間(例えば、ステップS11の待機時間)に設定されている。
【0065】
ステップS16の判定処理の結果、タイマ回路215のカウント値が設定閾値βを上回っていると判定された場合(S16:NO)には、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達してから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達するまでの間、タイマ回路215のカウントが継続して行われている可能性が高いことから、監視回路21が定常的に正常モードとなる異常状態と診断し(S17)、異常診断処理を終了する。なお、このような異常状態となる要因としては、電源部214のモード切替手段214aの固着故障等が考えられる。
【0066】
一方、ステップS16の判定処理の結果、タイマ回路215のカウント値が設定閾値以下と判定された場合(S16:YES)には、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達してから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達するまでの間、タイマ回路215のカウントが一時的に行われた可能性が高いことから、監視回路21が一時的に正常モードとなる異常状態と診断し(S18)、異常診断処理を終了する。なお、このような異常状態となる要因としては、外部ノイズ等の影響による監視回路21の誤起動や、監視回路21が暗電流モードへ移行する際の移行遅延等が考えられる。
【0067】
ここで、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値αを上回っていると判定された場合(S15:YES)には、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない異常状態であることから、ステップS17、S18にて、暗電流モードが正常に機能しているか否かを示すモード異常フラグをオン、すなわち、モード異常フラグを「1」に設定し、モード異常フラグの状態をマイコン22のEEPROM等の記憶手段に記憶する。
【0068】
また、ステップS15の判定処理の結果、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値α以下と判定された場合(S15:NO)には、暗電流モードが正常に機能している正常状態と診断し(S19)、異常診断処理を終了する。なお、ステップS19では、モード異常フラグをオフ、すなわち、モード異常フラグを「0」に設定し、モード異常フラグの状態をマイコン22のEEPROM等の記憶手段に記憶する。
【0069】
ここで、マイコン22が実行する処理のうち、ステップS13の処理が、絶縁信号伝達回路23を介して監視回路21に対して暗電流モードから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達する正常モード移行指示手段を構成する。また、ステップS14の処理が、監視回路21に対してモード切替指示信号を伝達した後にカウント値伝達信号を伝達するカウント値取得手段を構成する。さらに、ステップS15〜S18の処理が、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値を上回っている場合に、監視回路21における暗電流モードが正常に機能していないと診断する暗電流モード異常診断手段を構成する。
【0070】
続いて、上述の異常診断処理を行った後、次に車両のスタートスイッチがオンされた際にマイコン22が実行する異常対応処理について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係るマイコン22が実行する異常対応処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3に示す制御ルーチンは、図2に示す異常診断処理を行った後、次に車両のスタートスイッチがオンされた際に実行される。
【0071】
図3に示すように、まず、モード異常フラグがオンであるか否かを判定する(S100)。この結果、モード異常フラグがオフと判定された場合(S100:NO)には、異常対応処理を終了する。
【0072】
一方、モード異常フラグがオンと判定された場合(S100:YES)には、暗電流モードが正常に機能していない異常状態であることを確定する(S200)。そして、異常状態による各種弊害を抑制するための制限処理を実行し(S300)、異常対応処理を終了する。
【0073】
ここで、本実施形態の制限処理(S300)では、組電池1の残存容量(SOC)を制限する許容下限値を、モード異常フラグがオフとなっている際によりも上昇させる処理を行う。例えば、モード異常フラグがオフとなっている際の組電池1の残存容量(SOC)の許容下限値が20%程度に設定されている場合、制限処理にて許容下限値を60%〜80%に上昇させる。
【0074】
これによれば、監視回路21によって組電池1の電力が消費されたとしても、組電池1が過放電状態となってしまうことを抑制することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の制御処理(S300)では、監視回路21への均等化放電を指示する均等化指示信号の伝達を禁止する処理を行う。これにより、組電池1の電力が必要以上に消費されてしまうことを抑制することが可能となる。この結果、組電池1が過放電状態となってしまうことを抑制することが可能となる。
【0076】
なお、マイコン22が実行する処理のうち、ステップS300の処理が、組電池1の残存容量(SOC)の許容下限値の上昇や、監視回路21への均等化放電を指示する均等化指示信号の伝達の禁止を行う暗電流モード異常対応手段を構成する。
【0077】
以上説明した本実施形態の電池監視装置2によれば、監視回路21に暗電流モード時にカウントを停止するタイマ回路215を設け、マイコン22側から監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間のタイマ回路215のカウント値をマイコン22にて確認する構成としているので、マイコン22において監視回路21の暗電流モードが正常に機能しているか否かを診断することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、マイコン22において監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない場合のタイマ回路215のカウント値に基づいて、監視回路21が定常的に正常モードとなってしまう異常状態と、一時的に正常モードとなってしまう異常状態とを区別可能な構成としている。このため、マイコン22において、監視回路21における暗電流モードが正常に機能しているか否かを的確に診断することができる。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0080】
(1)上述の実施形態で説明したように、監視回路21の異常診断処理において、監視回路21が定常的に正常モードとなってしまう異常状態と、一時的に正常モードとなってしまう異常状態とを区別して診断することが好ましいが、これに限定されない。例えば、異常診断処理において、定常的に正常モードとなってしまう異常状態と、一時的に正常モードとなってしまう異常状態とを区別することなく、単に、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない異常状態と診断するようにしてもよい。この場合、図2のステップS15で、タイマ回路215のカウント値が異常診断基準値αを上回っていると判定された場合(S15:YES)に、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない異常状態と診断して、異常診断処理を終了すればよい。
【0081】
また、監視回路21の異常診断処理において、監視回路21が定常的に正常モードとなってしまう異常状態、および一時的に正常モードとなってしまう異常状態のいずれかを診断するようにしてもよい。
【0082】
さらに、監視回路21の異常診断処理において、監視回路21が定常的に正常モードとなる異常状態を診断する際の設定閾値と、一時的に正常モードとなる異常状態を診断する際の設定閾値とを異なる値に設定するようにしてもよい。例えば、監視回路21が定常的に正常モードとなる異常状態を診断する際の設定閾値を第1閾値としたとき、一時的に正常モードとなる異常状態を診断する際の設定閾値を第1閾値よりも小さい第2閾値に設定することができる。この場合、タイマ回路215のカウント値が第1閾値を上回っている場合に、監視回路21が定常的に正常モードとなる異常状態と診断し、タイマ回路215のカウント値が第2閾値以下となる場合に、監視回路21が一時的に正常モードとなる異常状態と診断し、さらに、タイマ回路215のカウント値が第1閾値以下、かつ、第2閾値を上回っている場合に、監視回路21の暗電流モードが機能していない異常状態と診断するようにすればよい。
【0083】
(2)上述の実施形態では、マイコン22から監視回路21に対して、暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達する際に、クリア指示信号を伝達して、記憶部216に保持されたカウント値をクリアする例について説明したが、これに限定されない。
【0084】
例えば、マイコン22から監視回路21に対して、暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達する際に、カウント値伝達指示信号を伝達し、監視回路21が暗電流モードへ移行する際のタイマ回路215のカウント値をマイコン22が取得するようにしてもよい。これによっても、監視回路21の異常診断処理において、マイコン22が、監視回路21に対して暗電流モードへの移行を指示した際のタイマ回路215のカウント値と正常モードへの移行を指示した際のタイマ回路215のカウント値との差分を、異常診断基準値と比較することで、監視回路21の暗電流モードが正常に機能していない異常状態を診断することができる。
【0085】
(3)上述の実施形態では、監視回路21に、暗電流モード時におけるタイマ回路215のカウント値を保持する記憶部216を設け、マイコン22からのクリア指示信号に応じて、記憶部216に保持されたカウント値をクリアする例について説明したが、これに限定されない。
【0086】
例えば、監視回路21の記憶部216を廃し、正常モードから暗電流モードに移行する際に、タイマ回路215のカウント値がクリアされる構成としてもよい。これによれば、監視回路21における電力消費量の低減を図ることができる。なお、このような構成とした場合、正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達された際に、監視回路21が暗電流モードに移行していれば、タイマ215のカウント値が略ゼロとなってしまう。このため、監視回路21の異常診断処理において、一時的に暗電流モードが機能していない異常状態を診断することが難しくなるが、定常的に暗電流モードが機能していない異常状態を診断することは可能となる。
【0087】
(4)上述の実施形態では、絶縁信号伝達回路23の各信号伝達部23a、23bを光結合方式の絶縁素子で構成する例を説明したが、これに限定されない。絶縁信号伝達回路23の各信号伝達部23a、23bとしては、例えば、磁気結合方式の絶縁素子(トランスカップリング)や容量結合方式の絶縁素子(コンデンサカップリング)を採用してもよい。
【0088】
(5)上述の実施形態では、絶縁信号伝達回路23として、マイコン22側から監視回路21側へモード切替指示信号を伝達するための専用の第1信号伝達部23aを設ける例について説明したが、これに限定されない。例えば、モード切替指示信号の伝達によって、監視回路21における電源部214のモード切替手段214aの作動を制御することが可能な構成であれば、絶縁信号伝達回路23の第1信号伝達部23aを廃し、第2信号伝達部23bにてモード切替指示信号を伝達するようにしてもよい。
【0089】
なお、上述の実施形態で説明したように第2信号伝達部23bを高速に信号伝達可能な絶縁素子で構成することが好ましいが、信号伝達の高速化の必要性が少ない場合等には、第2信号伝達部23bを低速で信号伝達可能な絶縁素子で構成してもよい。
【0090】
(6)上述の実施形態で説明したように、監視回路21にて暗電流モードが正常に機能していない異常状態となった場合に、次回スタートスイッチをオンした際に異常対応処理を実行することが好ましいが、例えば、暗電流モードが正常に機能しないことによる弊害が小さい場合には異常対応処理を実行しないようにしてもよい。
【0091】
(7)上述の実施形態では、異常対応処理として、組電池1の残存容量(SOC)の許容下限値を上昇させる処理、および監視回路21における均等化処理を禁止する処理を行う例を説明したが、一方の処理だけを実行するようにしてもよい。また、異常対応処理として、ユーザまたは保守員に異常を報知する処理を実行するようにしてもよい。
【0092】
(8)上述の実施形態で説明したように、監視回路21に均等化回路212を設けることが好ましいが、各電池セル10の電圧のバラツキが問題とならない場合には、均等化回路212を省略してもよい。なお、この場合には、異常対応処理として均等化処理を禁止する処理以外の処理を実行すればよい。
【0093】
(8)上述の実施形態では、車両のスタートスイッチがオフされている際に監視回路21の異常診断処理(図2に示す制御ルーチン)を実行する例について説明したが、監視回路21の異常診断処理の実行タイミングは、これに限定されない。例えば、車両のスタートスイッチがオンされている際に、他の制御装置からの指示等を契機(トリガ)として、監視回路21の異常診断処理を実行するようにしてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、異常診断処理後、次に車両のスタートスイッチがオンされた際に、異常対応処理(図3に示す制御ルーチン)を実行する例について説明したが、異常対応処理の実行タイミングは、これに限定されない。例えば、異常診断処理にて監視回路21にて暗電流モードが正常に機能していない異常状態と診断された場合には、直ちに異常対応処理を実行したり、診断後所定時間経過した際に異常対応処理を実行したりするようにしてもよい。
【0095】
(9)上述の実施形態では、上述の各実施形態では、電池監視装置2を車載高圧バッテリに適用する例を説明したが、車載高圧バッテリに限らず、他のバッテリに用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 組電池
10 電池セル
2 電池監視装置
21 監視回路(監視手段)
215 タイマ回路(タイマ手段)
216 記憶部
22 マイコン(制御手段)
23 絶縁信号伝達回路(信号伝達手段)
B 電池ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(10)を直列接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池監視装置であって、
前記組電池(1)からの電力供給によって駆動され、前記組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(21)と、
前記監視手段(21)による前記電池状態の監視結果を取得すると共に、前記監視手段(21)の作動を制御する制御手段(22)と、
前記監視手段(21)および前記制御手段(22)の間で信号を伝達する信号伝達手段(23)と、を備え、
前記監視手段(21)は、前記信号伝達手段(23)を介して前記制御手段(22)側から伝達されるモード切替指示信号に応じて、前記組電池(1)からの電力供給が接続状態とされる通常モード、および前記組電池(1)からの電力供給が遮断状態とされる暗電流モードのいずれかに移行するように構成されると共に、前記通常モードへの移行に同期してカウントを開始する一方、前記暗電流モードへの移行に同期してカウントを停止するように構成されたタイマ手段(215)を有し、
前記制御手段(22)は、前記信号伝達手段(23)を介して前記監視手段(21)に対して前記暗電流モードから前記通常モードへの移行を指示するモード切替指示信号を伝達した後に前記監視手段(21)から前記タイマ手段(215)のカウント値を取得し、取得した前記タイマ手段(215)のカウント値が異常診断基準値を上回っている場合に、前記監視手段(21)における前記暗電流モードが正常に機能していないと診断することを特徴とする電池監視装置。
【請求項2】
前記監視手段(21)は、前記暗電流モード時における前記タイマ手段(215)のカウント値を保持する記憶部(216)を有し、前記制御手段(22)からのクリア指示信号に応じて、前記記憶部(216)に保持されたカウント値をクリアするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
前記制御手段(22)は、前記監視手段(21)における前記暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、前記タイマ手段(215)のカウント値が前記異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値を上回っている場合には、前記監視手段(21)に対して前記暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから前記正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、前記監視手段(21)が定常的に前記正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする請求項2に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記制御手段(22)は、前記監視手段(21)における前記暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、前記タイマ手段(215)のカウント値が前記異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値以下となっている場合に、前記監視手段(21)に対して前記暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから前記正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、前記監視手段(21)が一時的に前記正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする請求項2または3に記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記監視手段(21)は、前記正常モードから前記暗電流モードに移行する際に、前記タイマ手段(215)のカウント値をクリアするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項6】
前記制御手段(22)は、前記監視手段(21)における前記暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合において、前記タイマ手段(215)のカウント値が前記異常診断基準値よりも大きい値に設定された設定閾値を上回っている場合は、前記監視手段(21)に対して前記暗電流モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されてから前記正常モードへの移行を指示するモード切替指示信号が伝達されるまでの間、前記監視手段(21)が定常的に前記正常モードとなる異常状態と診断することを特徴とする請求項5に記載の電池監視装置。
【請求項7】
前記制御手段(22)は、前記暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合、前記組電池(1)の残存容量の許容下限値を上昇させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電池監視装置。
【請求項8】
前記監視手段(21)は、前記制御手段(22)からの所定の指示信号に応じて、前記複数の電池セル(10)の電圧を均等化する均等化放電を実行するように構成されており、
前記制御手段(22)は、前記暗電流モードが正常に機能していないと診断した場合、前記監視手段(21)への前記均等化放電を指示する均等化指示信号の伝達を禁止することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−92397(P2013−92397A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233082(P2011−233082)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】