説明

電池

【課題】 サイクル特性を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層し巻回した巻回電極体20を電池缶11の内部に備える。負極22は、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料などを含有している。セパレータ23には電解液が含浸されている。電解液は、炭酸ジ(イソプロピル)あるいは炭酸(イソプロピル)メチルなどの分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極および負極と共に電解質を備え、特に電解反応物質としてリチウム(Li)などを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),デジタルスチルカメラ,携帯電話,携帯情報端末あるいはノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。中でも、負極に炭素材料を用い、正極にリチウムと遷移金属との複合材料を用い、電解液に炭酸エステルを用いたリチウムイオン二次電池は、従来の鉛電池およびニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため広く実用化されている。
【0003】
また最近では、携帯用電子機器の高性能化に伴い、更なる容量の向上が求められており、負極活物質として炭素材料に代えてスズ(Sn)あるいはケイ素(Si)などを用いることが検討されている。スズの理論容量は994mAh/g、ケイ素の理論容量は4199mAh/gと、黒鉛の理論容量の372mAh/gに比べて格段に大きく、容量の向上を期待できるからである。特に、スズあるいはケイ素の薄膜を集電体上に形成した負極は、リチウムの吸蔵および放出によっても、負極活物質が微粉化することなく、比較的大きな放電容量を保持できることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第WO01/031724号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リチウムを吸蔵したスズ合金あるいはケイ素合金は活性が高いので、電解質に、例えば、環状の炭酸エステルと、直鎖状の炭酸エステルとを用いると、特に直鎖状の炭酸エステルが分解されてしまい、しかもリチウムが不活性化されてしまうという問題があった。よって、充放電を繰り返すと充放電効率が低下してしまい、十分なサイクル特性を得ることができなかった。
【0005】
ところで、負極活物質として炭素材料を用いた場合でも、電池電圧を高くすることで放電容量が向上することが知られているが、この場合にも、電解液が分解されやすくなるので、充放電効率が低下してしまい、サイクル特性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む材料を含有し、電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むものである。
【0008】
本発明による第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極の容量は、軽金属の吸蔵および放出による容量成分と、軽金属の析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和で表され、電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むものである。
【0009】
本発明の第3の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極活物質としてリチウム金属を用い、電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むものである。
【0010】
本発明の第4の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上であり、電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池によれば、電解質に分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解質の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【0012】
特に、化1に示した化合物を含むようにすれば、高い効果が得られる。
【0013】
【化1】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0014】
また、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、溶媒の分解反応をより抑制することができ、サイクル特性をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、負極の容量が、電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるものであり、いわゆるリチウムイオン二次電池である。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0017】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0018】
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0019】
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されている。
【0020】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、あるいはこれらを含む固溶体(Li(Nix Coy Mnz )O2 ))(x,yおよびzの値は0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1である。)、またはマンガンスピネル(LiMn2 4 )あるいはその固溶体(Li(Mn2-q Niq )O4 )(qの値はq<2である。)などのリチウム複合酸化物、またはリン酸鉄リチウム(LiFePO4 )などのオリビン構造を有するリン酸化合物が好ましい。高いエネルギー密度を得ることができるからである。また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン,酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物、二硫化鉄,二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。正極材料は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
正極活物質層21Bは、また、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。例えば、図1に示したように正極21および負極22が巻回されている場合には、結着剤として柔軟性に富むスチレンブタジエン系ゴムあるいはフッ素系ゴムなどを用いることが好ましい。
【0022】
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。
【0023】
負極集電体22Aは、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層22Bを支える能力が小さくなるからである。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル,チタン(Ti),鉄あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
【0024】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を含んで構成されいている。
【0025】
なお、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
【0026】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を含有している。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0027】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0028】
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0029】
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン(Ti),ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0030】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0031】
この負極活物質層22Bは、気相法,液相法あるいは焼成法により形成されたものでも、塗布により形成されたものでもよい。焼成法というのは、粒子状の負極活物質を必要に応じて結着剤あるいは溶剤と混合して成形したのち、例えば、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。このうち気相法,液相法あるいは焼成法による場合には、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体22Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
【0032】
また、塗布による場合には、上述した負極材料に加えて、他の負極材料、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤および導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。焼成法による場合も同様である。他の負極材料としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料が挙げられる。このような炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、例えば上述した負極材料と共に用いるようにすればようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができ、更に導電剤としても機能するので好ましい。
【0033】
このような炭素材料としては、難黒鉛化炭素,易黒鉛化炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,活性炭およびカーボンブラックなどの炭素材料のいずれか1種または2種以上を用いることができる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子化合物を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
【0034】
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多硬質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0035】
セパレータ23には、例えば液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と、溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0036】
溶媒は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むことが好ましい。炭素と酸素との二重結合に対する立体障害が大きいので、この二重結合が求核攻撃を受け難くなり、分解し難くなると考えられるからである。分岐構造を有する鎖式炭酸エステルは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
分岐構造を有する鎖式炭酸エステルとしては、化2に示した化合物が好ましい。高い効果が得られるからである。
【0038】
【化2】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R1,R2は、同一であっても異なっていてもよい。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0039】
このような化合物について具体的に例を挙げれば、化3に示した炭酸ジ(イソプロピル),炭酸ジ(2−ブチル),炭酸ジ(イソブチル),炭酸エチル(イソプロピル),炭酸(1−プロピル)(イソプロピル),炭酸(1−ブチル)(イソプロピル), 化4に示した炭酸(イソプロピル)メチル,炭酸(2−ブチル)メチル,炭酸(2−ブチル)エチル,炭酸(2−ブチル)(1−プロピル),炭酸(2−ブチル)(イソプロピル),炭酸(1−ブチル)(2−ブチル),炭酸イソブチルメチル,炭酸エチルイソブチル,炭酸イソブチル(1−プロピル),炭酸イソブチル(イソプロピル),炭酸イソブチル(1−プロピル),炭酸イソブチル(イソプロピル),炭酸イソブチル(1−ブチル)あるいは炭酸イソブチル(2−ブチル)などがある。
【0040】
【化3】

【0041】
【化4】

【0042】
これらの分岐構造を有する鎖式炭酸エステルは、炭酸ジメチル,炭酸ジエチルあるいは炭酸エチルメチルなどの直鎖状の炭酸エステル、または酢酸メチル,酢酸エチル,プロピオン酸メチル,プロピオン酸エチル,イソ酪酸メチルあるいはピバリン酸メチルなどのカルボン酸エステルと混合して用いてもよい。
【0043】
分岐構造を有する鎖式炭酸エステルは、また、環状化合物と混合して用いることが好ましく、具体的には、炭酸エチレン,炭酸プロピレン、あるいは炭酸ブチレンなどの環状の炭酸エステル、またはこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、またはγ−ブチロラクトンあるいはγ−バレロラクトンなどのラクトン、またはN−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム、N−メチルオキサゾリジノンなどの環状のカルバメート、またはテトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物と混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導率が得られるからである。中でも、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体が好ましい。溶媒の分解反応を抑制する効果が高いからである。ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体について具体的に例を挙げれば、化5に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化6に示した4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化7に示した4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0044】
【化5】

【0045】
【化6】

【0046】
【化7】

【0047】
電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム,四フッ化ホウ酸リチウム,六フッ化ヒ酸リチウム,六フッ化アンチモン酸リチウム,過塩素酸リチウム,あるいは四塩化アルミニウム酸リチウムなどの無機塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム,リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)メチド,あるいはリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチドなどのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩が挙げられる。
【0048】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0049】
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質の粉末と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
【0050】
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
【0051】
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法,反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が利用可能である。塗布の場合には、正極21と同様にして形成することができる。
【0052】
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。続いて、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
【0053】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液に、上述したように分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解液の分解反応が抑制される。
【0054】
このように本実施の形態に係る電池によれば、電解液に、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解液の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【0055】
特に、化2に示した化合物を含むようにすれば、高い効果が得られる。
【0056】
また、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、溶媒の分解反応をより抑制することができ、サイクル特性をより向上させることができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る二次電池は、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの析出および溶解による容量成分により表される、いわゆるリチウム金属二次電池である。
【0058】
この二次電池は、負極活物質層22Bの構成が異なることを除き、他は第1の実施の形態に係る二次電池と同様の構成および効果を有している。したがって、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一の部分の説明は省略する。
【0059】
負極活物質層22Bは、負極活物質であるリチウム金属により形成されており、高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。この負極活物質層22Bは、組み立て時から既に有するように構成してもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成するようにしてもよい。また、この負極活物質層22Bを集電体としても利用し、負極集電体22Aを削除するようにしてもよい。
【0060】
この二次電池は、負極22を負極集電体22Aのみ、またはリチウム金属のみ、または負極集電体22Aにリチウム金属を貼り付けて負極活物質層22Bを形成したものとしたことを除き、他は第1の実施の形態に係る二次電池と同様にして製造することができる。
【0061】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出し、図2に示したように、負極活物質層22Bを形成する。放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液に、上述したように分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解液の分解反応が抑制される。
【0062】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る二次電池は、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるものである。
【0063】
この二次電池は、負極活物質層22Bの構成が異なることを除き、他は第1あるいは第2の二次電池と同様の構成および効果を有しており、同様にして製造することができる。よって、ここでは、図1および図2を参照し、同一の符号を用いて説明する。なお、同一部分についての詳細な説明は省略する。
【0064】
負極活物質層22Bは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極21の充電容量よりも小さくすることにより、充電の過程において、開回路電圧(すなわち電池電圧)が過充電電圧よりも低い時点で負極22にリチウム金属が析出し始めるようになっている。従って、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料とリチウム金属との両方が負極活物質として機能し、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料はリチウム金属が析出する際の基材となっている。リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、第1の実施の形態と同様のものが挙げられ、中でも、リチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料が好ましい。
【0065】
なお、過充電電圧というのは、電池が過充電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つである「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(SBA G1101)に記載され定義される「完全充電」された電池の開回路電圧よりも高い電圧を指す。また換言すれば、各電池の公称容量を求める際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法を用いて充電した後の開回路電圧よりも高い電圧を指す。
【0066】
これにより、この二次電池では、高いエネルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性および急速充電特性を向上させることができるようになっている。この二次電池は、負極22にリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を用いるという点では従来のリチウムイオン二次電池と同様であり、また、負極22にリチウム金属を析出させるという点では従来のリチウム金属二次電池と同様である。
【0067】
これらの特性をより効果的に得るためには、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電圧時において負極22に析出するリチウム金属の最大析出容量は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量能力の0.05倍以上3.0倍以下であることが好ましい。リチウム金属の析出量が多過ぎると従来のリチウム二次電池と同様の問題が生じてしまい、少な過ぎると充放電容量を十分に大きくすることができないからである。また、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の放電容量能力は、150mAh/g以上であることが好ましい。リチウムの吸蔵および放出する能力が大きいほどリチウム金属の析出量は相対的に少なくなるからである。なお、負極材料の充電容量能力は、例えば、リチウム金属を対極として、この負極材料を負極活物質とした負極について0Vまで定電流・定電圧法で充電した時の電気量から求められる。負極材料の放電容量能力は、例えば、これに引き続き、定電流法で10時間以上かけて2.5Vまで放電した時の電気量から求められる。
【0068】
この二次電池では、充電を行うと、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して、まず、負極22に含まれるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵される。更に充電を続けると、開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態において、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の表面にリチウム金属が析出し始める。そののち、充電を終了するまで負極22にはリチウム金属が析出し続ける。次いで、放電を行うと、まず、負極22に析出したリチウム金属がイオンとなって溶出し、電解液を介して、正極21に吸蔵される。更に放電を続けると、負極22中のリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵されたリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液に、上述したように分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解液の分解反応が抑制される。
【0069】
(第4の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0070】
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0071】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0072】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0073】
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0074】
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
【0075】
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1および第2の実施の形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物あるいはアクリレート系高分子化合物、またはポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ化ビニリデンの重合体が挙げられ、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。特に、酸化還元安定性の観点からは、フッ化ビニリデンの重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
【0076】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0077】
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
【0078】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
【0079】
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3に示した二次電池を組み立てる。
【0080】
この二次電池の作用および効果は、第1ないし第3の実施の形態に係る二次電池と同様である。
【0081】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る二次電池は、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)を4.25V以上とできるようにしたことを除き、他は第1ないし第4の実施の形態に係る二次電池と同様の構成を有しており、同様にして製造することができる。
【0082】
この二次電池では、完全充電時における開回路電圧が4.20Vの電池よりも、同じ正極活物質であっても、単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。
【0083】
負極活物質としては、リチウム金属、あるいはリチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料が好ましい。これらは充放電電位が低いので電池のエネルギー密度を容易に向上させることができるからである。
【0084】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵あるいは析出する。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出あるい溶解し、電解液を介して正極21に吸蔵される。ここでは、充電時の電池電圧が4.25V以上となっているので、電解液が分解されやすくなっているが、上述したように分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにしたので、電解液の分解反応が抑制される。
【0085】
この二次電池の効果は、第1ないし第4の実施の形態に係る二次電池と同様である。
【実施例】
【0086】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0087】
(実施例1−1〜1−5)
リチウムイオン二次電池を作成した。その際、図5に示したコイン型の二次電池を作製した。この二次電池は、正極51と、負極52とを電解液を含浸させたセパレータ53を介して積層し、外装缶54と外装カップ55との間に挟み、ガスケット56を介してかしめたものである。まず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、N−メチル−2−ピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。次いで、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体51Aに均一に塗布し乾燥させて厚みが70μmの正極活物質層51Bを形成した。そののち、正極活物質層51Bが形成された正極集電体51Aを直径16mmの円形に打ち抜き、正極51を作製した。
【0088】
また、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aの上にスパッタ法により厚み5μmのケイ素よりなる負極活物質層52Bを形成した。そののち、負極活物質層52Bが形成された負極集電体52Aを直径16mmの円形に打ち抜き、負極52を作製した。なお、負極52の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように、正極51と負極52との面積密度比を設計した。
【0089】
次いで、正極51と負極52とを厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ53を介して積層したのち、セパレータ53に電解液0.1gを注液して、これらをステンレスよりなる外装カップ55と外装缶54との中に入れ、それらをかしめることにより、図5に示した二次電池を得た。電解液には、環状化合物と、鎖式炭酸エステルと、電解質塩として六フッ化リン酸リチウムとを、環状化合物:鎖式炭酸エステル:六フッ化リン酸リチウム=42:42:16の質量比で混合したものを用いた。その際、環状化合物は、実施例1−1では炭酸エチレンとし、実施例1−2では4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、実施例1−3〜1−5では4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとした。また、鎖式化合物は、実施例1−1〜1−3では分岐構造を有する炭酸ジ(イソプロピル)とし、実施例1−4では分岐構造を有する炭酸(イソプロピル)メチルとし、実施例1−5では分岐構造を有する炭酸ジ(イソプロピル)と直鎖状の炭酸ジエチルとを1:1の質量比で混合した溶媒とした。なお、炭酸ジ(イソプロピル)および炭酸(イソプロピル)メチルは、化2に示した化合物である。
【0090】
実施例1−1〜1−5に対する比較例1−1〜1−3として、環状化合物を炭酸エチレン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式炭酸エステルを炭酸ジエチルのみとしたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にしてコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
得られた実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−3の二次電池について、1.77mAで4.2Vを上限として12時間充電し、その後10分間休止して1.77mAで2.5Vに達するまで放電するという充放電を繰り返し、50サイクル目の放電容量維持率を求めた。50サイクル目の放電容量維持率は、(50サイクル目の放電容量/初回放電容量)×100として計算した。得られた結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
表1から分かるように、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルである炭酸ジ(イソプロピル)を用いた実施例1−1〜1−3によれば、直鎖状の炭酸エステルである炭酸ジエチルのみを用いた比較例1−1〜1−3よりも、それぞれ放電容量維持率が向上した。また、他の分岐構造を有する鎖式炭酸エステルである炭酸(イソプロピル)メチルを用いた実施例1−4、あるいは炭酸ジ(イソプロピル)と炭酸ジエチルとを用いた実施例1−5によれば、実施例1−3と同様に、比較例1−3よりも放電容量維持率が向上した。更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を用いた実施例1−2,1−3の方が、これを用いていない実施例1−1よりも放電容量維持率が高かった。
【0094】
すなわち、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを用いるようにすれば、負極52に、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素を含む材料を用いた場合に、サイクル特性を向上させることができ、更に、環状化合物として、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0095】
(実施例2−1〜2−5,3−1〜3−5)
実施例2−1〜2−5として、負極活物質にスズを用い、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aの上に真空蒸着法により厚み5μmのスズよりなる負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にしてコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0096】
実施例3−1〜3−5として、負極活物質にスズ−コバルト合金を用い、このスズ−コバルト合金94質量部と、導電剤として黒鉛3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布し乾燥させることにより厚み70μmの負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0097】
これらの実施例に対する比較例2−1〜2−3,3−1〜3−3として、環状化合物を炭酸エチレン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式化合物を炭酸ジエチルとしたことを除き、すなわち、比較例1−1〜1−3と同様の電解液を用いたことを除き、他は実施例2−1〜2−5,3−1〜3−5と同様にしてコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0098】
得られた実施例2−1〜2−5,3−1〜3−5および比較例2−1〜2−3,3−1〜3−3の二次電池についても、実施例1−1〜1−5と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。それらの結果を表2,3に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
表2,3から分かるように、実施例1−1〜1−5と同様に、実施例2−1〜2−5,3−1〜3−5によれば、比較例2−1〜2−3,3−1〜3−3よりもそれぞれ高い放電容量維持率が得られた。また、環状化合物としてハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を用いた実施例2−2,2−3,3−2,3−3によれば、これを用いていない実施例2−1,3−1よりも放電容量維持率をより向上させることができた。すなわち、負極52に、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として半金属元素を含む材料を用いた場合にも、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、更に、環状化合物として、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0102】
(実施例4−1〜4−5)
負極52の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分とリチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表される二次電池を作製した。その際、負極活物質に黒鉛を用い、この黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とをを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布し乾燥させることにより厚み42μmの負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして、コイン型の二次電池を作製した。なお、負極52の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分とリチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるように、正極51と負極52との面積密度比を設計した。
【0103】
実施例4−1〜4−5に対する比較例4−1〜4−3として、環状化合物を炭酸エチレン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式炭酸エステルを炭酸ジエチルとしたことを除き、すなわち、比較例1−1〜1−3と同様の電解液を用いたことを除き、他は実施例4−1〜4−5と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
【0104】
得られた実施例4−1〜4−5および比較例4−1〜4−3の二次電池についても、実施例1−1〜1−5と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。それらの結果を表4に示す。
【0105】
【表4】

【0106】
また、これらとは別に、同様に作製した実施例4−1〜4−5および比較例4−1〜4−3の二次電池を2個ずつ用意し、解体してリチウム金属が析出しているか否かを調べたところ、完全充電時には、負極52の表面にリチウム金属が析出していることが確認された。また、完全放電時には負極52の表面からリチウム金属が消失していた。すなわち、負極52の容量は、リチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されることが確認された。
【0107】
表4から分かるように、実施例1−1〜1−5と同様に、実施例4−1〜4−5によれば、比較例4−1〜4−3よりも高い放電容量維持率が得られた。また、環状化合物としてハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を用いた実施例4−2,4−3によれば、これを用いていない実施例4−1よりも放電容量維持率をより向上させることができた。すなわち、負極52の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分とリチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表される電池に用いた場合にも、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、更に、環状化合物として、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0108】
(実施例5−1〜5−5)
リチウム金属二次電池を作成した。その際、負極活物質にリチウム金属を用い、圧延した銅箔よりなる負極集電体52Aに、厚み20μmのリチウム金属を貼り付けて負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして、コイン型のリチウム金属二次電池を作製した。
【0109】
実施例5−1〜5−5に対する比較例5−1〜5−3として、環状化合物を炭酸エチレン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式炭酸エステルを炭酸ジエチルとしたことを除き、すなわち、比較例1−1〜1−3と同様の電解液を用いたことを除き、他は実施例5−1〜5−5と同様にしてコイン型のリチウム金属二次電池を作製した。
【0110】
得られた実施例5−1〜5−5および比較例5−1〜5−3の二次電池について、実施例1−1〜1−5と同様の条件で充放電を繰り返し、初回放電容量が半減するまでの充放電回数(電池寿命)を調べた。それらの結果を表5に示す。
【0111】
【表5】

【0112】
表5から分かるように、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルである炭酸ジ(イソプロピル)を用いた実施例5−1〜5−3によれば、直鎖状の炭酸エステルである炭酸ジエチルのみを用いた比較例5−1〜5−3よりも、それぞれ電池寿命が向上した。また、他の分岐構造を有する鎖式炭酸エステルである炭酸(イソプロピル)メチルを用いた実施例5−4、あるいは炭酸ジ(イソプロピル)と直鎖状の炭酸エステルである炭酸ジエチルとを用いた実施例5−5によれば、実施例5−3と同様に、比較例5−3よりも電池寿命が向上した。更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を用いた実施例5−2,5−3の方が、これを用いていない実施例5−1よりも電池寿命が高かった。
【0113】
すなわち、リチウム金属二次電池の場合にも、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、更に、環状化合物として、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0114】
(実施例6−1〜6−5)
リチウムイオン二次電池を作製した。負極活物質に黒鉛を用い、この黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とをを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布し乾燥させることにより厚み70μmの負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0115】
実施例6−1〜6−5に対する比較例6−1〜6−3として、環状化合物を炭酸エチレン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式炭酸エステルを炭酸ジエチルとしたことを除き、すなわち、比較例1−1〜1−3と同様の電解液を用いたことを除き、他は実施例6−1〜6−5と同様にしてコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0116】
得られた実施例6−1〜6−5および比較例6−1〜6−3の二次電池についても、実施例1−1〜1−5と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。それらの結果を表6に示す。なお、充電は4.5Vを上限として行った。
【0117】
【表6】

【0118】
表6から分かるように、実施例1−1〜1−5と同様に、実施例6−1〜6−5によれば、比較例6−1〜6−3よりも高い放電容量維持率が得られた。また、環状化合物としてハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を用いた実施例6−2,6−3によれば、これを用いていない実施例6−1よりも放電容量維持率をより向上させることができた。すなわち、充電時の電池電圧を高くした場合にも、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、更に、環状化合物として、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
【0119】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、コイン型の二次電池,および巻回構造の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、角型,シート型あるいはカード型、または正極および負極を複数積層した積層構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。また、本発明は、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【0120】
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、負極活物質には、上記実施の形態で説明したような負極材料を同様にして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図4】図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
【図5】実施例で作製した二次電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
【0122】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構,15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17,56…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33,51…正極、21A,33A,51A…正極集電体、21B,33B,51B…正極活物質層、22,34,52…負極、22A,34A,52A…負極集電体、22B,34B,52B…負極活物質層、23,35,53…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、54…外装缶、55…外装カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む材料を含有し、
前記電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電解質は、化1に示した化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【化1】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記電解質は、化2に示した炭酸ジ(イソプロピル)および化3に示した炭酸(イソプロピル)メチルのうちの少なくとも 1種を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【化2】

【化3】

【請求項4】
前記電解質は、更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項5】
前記負極は、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を含有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項6】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極の容量は、軽金属の吸蔵および放出による容量成分と、軽金属の析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和で表され、
前記電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項7】
前記電解質は、化4に示した化合物を含むことを特徴とする請求項6記載の電池。
【化4】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項8】
前記電解質は、化5に示した炭酸ジ(イソプロピル)および化6に示した炭酸(イソプロピル)メチルのうちの少なくとも 1種を含むことを特徴とする請求項6記載の電池。
【化5】

【化6】

【請求項9】
前記電解質は、更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項10】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
負極活物質としてリチウム金属を用い、
前記電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項11】
前記電解質は、化7に示した化合物を含むことを特徴とする請求項10記載の電池。
【化7】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項12】
前記電解質は、化8に示した炭酸ジ(イソプロピル)および化9に示した炭酸(イソプロピル)メチルのうちの少なくとも 1種を含むことを特徴とする請求項10記載の電池。
【化8】

【化9】

【請求項13】
前記電解質は、更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項10記載の電池。
【請求項14】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上であり、
前記電解質は、分岐構造を有する鎖式炭酸エステルを含む
ことを特徴とする電池。
【請求項15】
前記電解質は、化10に示した化合物を含むことを特徴とする請求項14記載の電池。
【化10】

(式中、R1,R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3,R4は、水素基、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項16】
前記電解質は、化11に示した炭酸ジ(イソプロピル)および化12に示した炭酸(イソプロピル)メチルのうちの少なくとも 1種を含むことを特徴とする請求項14記載の電池。
【化11】

【化12】

【請求項17】
前記電解質は、更に、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項14記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−172851(P2006−172851A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362524(P2004−362524)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】