説明

電波受信機器用のねじ、その製造方法及び電波受信機器

【課題】金属製のケース本体と金属製の蓋とを十分に絶縁でき、かつ、強固に締結固定できる電波受信機器用のねじ、ねじの製造方法および電波受信機器を提供する。
【解決手段】電波時計用のねじ7Aは、金属からそれぞれ形成された軸部7aおよび頭部7bを有するねじ本体7mと、頭部7bの少なくとも裏側に形成された絶縁性樹脂層7rとを備えている。裏蓋6とケース本体3とは、頭部7bの裏側と軸部軸部7aのうちの頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rを間に挟んだ状態で、ねじ部7sとねじ穴12とのねじ結合により締結される。裏蓋6とケース本体3とは、絶縁性樹脂層7rにより十分に絶縁される一方で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層7rが形成されていないねじ部7sとケース本体3のねじ穴12とのねじ結合により両者は強固に締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波受信機器用のねじ、その製造方法及び電波受信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、時刻合わせの手間が要らないという利点から、電波時計が普及している。電波時計は、時刻データ(即ち、タイムコード)を含む標準電波を受信するアンテナ(例えばバーアンテナ)を備え、アンテナで受信した標準電波に基づいて時刻の自動修正を行う。
【0003】
電波時計のアンテナはケースの内部に収容されるので、ケース本体および裏蓋を金属製にすると、アンテナの受信感度が低下するという問題がある。
【0004】
この原因として次の2つが挙げられる。1つ目は一般に金属は電気伝導性を有するので、金属で囲まれた空間内への電波の侵入は妨げられるという電磁波シールド作用により受信感度が低下する。また、2つ目はアンテナの近傍で電流が流れると、その電流によってアンテナの付近の電磁界が乱れ、ノイズを発生するので、結果的に受信感度が低下する。
【0005】
上記の2つの問題は、もちろん、裏蓋を非金属にすることによって回避できる。しかしながら、例えば電波腕時計では、美観や質感、重量感といった高級感から、ケース本体および裏蓋を金属製とすることが望まれている。また、電波腕時計の薄型化・小型化に対するニーズは高く、これらのニーズに応えるためにはアンテナを薄くする必要があり、受信感度の低下を抑制する必要がある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されているような、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間に、外部から送られてきた電波の受信の際に、金属製のケース本体内に配置されたアンテナに発生した磁束変化に伴う電流が、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間を流れるのを抑制するために、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間のねじを受容する部分に、絶縁性を有するスペーサ部材を設けた電波腕時計が知られている。また、特許文献2に記載されているような、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間に絶縁性のスペーサ部材を設け、さらに、金属製のケース本体と金属製の裏蓋とを締結するための導電性のねじの表面のほぼ全体に絶縁皮膜を設けた電波腕時計が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−112866号公報
【特許文献2】特開2008−82722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のような絶縁性を有するスペーサ部材を設けたのみの電波腕時計と特許文献2のような絶縁性のスペーサ部材のほかに、ねじの表面のほぼ全体に絶縁皮膜を設けた電波腕時計とを比較した場合、前者の電波腕時計よりも、後者の電波腕時計の方が、アンテナの受信感度の向上を図ることが可能となる。これは、後者においては、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間に絶縁性のスペーサ部材を設けたほかに、さらに、金属製のケース本体と金属製の裏蓋とを締結するための導電性のねじの表面のほぼ全体に絶縁皮膜を設けたことから、外部から送られてきた電波の受信の際に、金属製のケース本体内に配置されたアンテナに発生した磁束変化に伴う電流が、金属製のケース本体と金属製の裏蓋との間を流れるのをより一層に抑制できるからである。
【0009】
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献2に記載されている後者の電波腕時計のような構成を採用しても、アンテナの受信感度の低下を十分に抑制できないことがわかった。また、その原因が、導電性のねじの表面に形成された絶縁皮膜の絶縁性が十分でないことに起因していることがわかった。
【0010】
電波時計を例に、従来技術の問題を説明したが、上記の問題は電波時計に限られず、アンテナを内部に備える電波受信機器に共通の問題であり、アンテナを内包するケース本体および蓋(閉塞部材ともいう。)を金属製にすると生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電波受信機器に用いたときに、金属製のケース本体と金属製の蓋とを十分に絶縁することができるとともに、両者を強固に締結することができる電波受信機器用のねじ、その製造方法及び電波受信機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電波受信機器用のねじは、軸部および頭部を有する金属から形成されたねじ本体と、前記頭部の少なくとも裏側に形成された絶縁性樹脂層とを備える。前記絶縁性樹脂層は少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部には形成されていない。
【0013】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成されている。
【0014】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層の厚さは30μm以上、100μm以下である。
【0015】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層は熱硬化性樹脂で形成されている。前記絶縁性樹脂層は熱可塑性樹脂で形成されてもよい。
【0016】
ある実施形態において、前記熱硬化性樹脂はアクリルウレタン樹脂である。
【0017】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層は着色されている。
【0018】
ある実施形態において、前記ねじ本体の表面のうち、少なくとも前記軸部の表面に絶縁性薄膜が形成されている。
【0019】
ある実施形態において、前記絶縁性薄膜は、前記ねじ本体の表面全体を覆っている。
【0020】
ある実施形態において、前記絶縁性薄膜は、無機薄膜またはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜である。前記無機薄膜は、炭化チタン(TiC)薄膜、窒化チタン(TiN)薄膜、酸化チタン(TiOx)薄膜、窒化珪素(Si34)薄膜、または酸化アルミニウム(Al23)薄膜であることが好ましい。
【0021】
本発明の電波受信機器用のねじの製造方法は、上記のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法であって、前記ねじ本体のうち、少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部を保護した状態で、前記ねじ本体のうち、保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液をスプレーする工程(a)と、前記工程(a)の後で、前記ねじ本体を加熱する工程(b)とを包含する。前記絶縁性樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましいが、熱可塑性樹脂であってもよい。
【0022】
ある実施形態において、前記工程(a)において、前記頭部の表側をも保護した状態で、前記ねじ本体のうち、保護されていない表面部分に、前記絶縁性樹脂を含む溶液をスプレーする。
【0023】
ある実施形態において、前記製造方法は、前記工程(a)の前に、前記ねじ本体の少なくとも前記軸部の表面に絶縁性薄膜を形成する工程をさらに含む。
【0024】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂は熱硬化性樹脂であって、前記工程(b)は前記ねじ本体を100℃以上の第1の温度で加熱する工程を含む。前記熱硬化性樹脂は例えばアクリルウレタン樹脂である。前記第1の温度は140℃以上であることが好ましく、200℃以下であることが好ましい。前記第1の温度は例えば160℃である。
【0025】
ある実施形態において、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ねじ本体を前記第1の温度より低い第2の温度で加熱する工程(c)と、前記工程(c)の後に前記工程(a)とを行う。前記第2の温度は100℃以下であることが好ましく、例えば60℃である。
【0026】
前記絶縁性樹脂が熱硬化性樹脂の場合、前記加熱工程において、前記溶液に含まれる溶剤が除去されるとともに、前記熱硬化性樹脂が硬化される。前記第1の温度は、前記熱硬化性樹脂が十分に硬化されるように選ばれる。前記第2の温度は、前記溶剤を適度に除去されるように選ばれる。前記絶縁性樹脂が熱可塑性樹脂の場合、前記加熱工程は、溶剤を除去するために行われる。
【0027】
本発明の電波受信機器は、電波受信用のアンテナと、前記アンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と、前記ケース本体の前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材と、前記閉塞部材と前記ケース本体とを互いに締結し、両者を固定するねじとを備え、前記ねじは、軸部および頭部を有する金属から形成されたねじ本体と、前記頭部の少なくとも裏側に形成された絶縁性樹脂層とを備え、前記絶縁性樹脂層は少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部には形成されておらず、前記閉塞部材と前記ケース本体とは、前記絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記機器ケース本体に形成されたねじ穴とのねじ結合により締結されている。
【0028】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側のみに形成されており、前記閉塞部材と前記ケース本体とは、前記頭部の裏側のみに形成された前記絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記ねじ部と前記ねじ穴とのねじ結合により締結されている。
【0029】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成されており、前記閉塞部材と前記機器ケース本体とは、前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記ねじ部と前記ねじ穴とのねじ結合により締結されている。
【0030】
本発明の電波受信機器用のねじの製造方法は、上記のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法であって、前記ねじ本体のうち、少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部とを外部から保護した状態で、前記ねじ本体のうち、前記外部から保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液を噴霧し、当該表面部分に樹脂含有層を形成する工程(a)と、前記工程(a)により前記樹脂含有層が形成された前記ねじ本体を加熱して、前記絶縁性樹脂層を形成する工程(b)とを包含する。
【0031】
ある実施形態において、前記工程(a)において、前記頭部の表側をも保護した状態で、前記ねじ本体のうち、前記外部から保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液を噴霧し、当該表面部分に樹脂含有層を形成する。
【0032】
ある実施形態において、前記工程(a)による前記絶縁性樹脂を含む溶液の噴霧に先立って、前記ねじ本体の表面全体に絶縁性薄膜を形成する工程を含む。
【0033】
ある実施形態において、前記絶縁性樹脂は熱硬化性樹脂であって、前記工程(a)は、前記熱硬化性樹脂を含む溶液を噴霧し、前記工程(b)は、前記樹脂含有層として熱硬化性樹脂層が形成された前記ねじ本体を100℃以上の第1の温度で加熱して、前記絶縁性樹脂層を形成する熱硬化工程を含む。
【0034】
ある実施形態において、前記工程(a)は、複数の噴霧の工程を含み、前記工程(b)は、前記複数の噴霧の工程の間に、前記ねじ本体を前記第1の温度より低い第2の温度で加熱する仮乾燥工程を含む。
【0035】
本発明の他の電波受信機器用のねじは、電波受信用のアンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と当該ケース本体における前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材とを互いに締結し、両者を固定するためのねじ本体を備えている電波受信機器用のねじにおいて、前記ねじ本体は、ねじ部が形成された軸部および頭部を有する金属製のねじ本体と、前記頭部の全表面のうち、少なくとも、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層とを備えており、前記絶縁性樹脂層の電気絶縁作用により、前記閉塞部材と前記ねじ本体とを電気的に絶縁し、かつ、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記ケース本体に形成されたねじ穴とによるねじ結合により、前記金属製のケース本体と前記金属製の閉塞部材とを締結することを特徴とする。
【0036】
本発明のさらに他の電波受信機器用のねじは、電波受信用のアンテナと、前記アンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と、前記ケース本体における前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材と、前記閉塞部材と前記ケース本体とを互いに締結し、両者を固定するためのねじ本体を備えている電波受信機器用のねじとを備え、前記ねじ本体は、ねじ部が形成された軸部および頭部を有する金属製のねじ本体と、前記頭部の全表面のうち、少なくとも、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層とを備えており、前記絶縁性樹脂層の電気絶縁作用により、前記閉塞部材と前記ねじ本体とを電気的に絶縁し、かつ、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記ケース本体に形成されたねじ穴とによるねじ結合により、前記金属製のケース本体と前記金属製の閉塞部材とを締結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、アンテナを内包する金属製のケース本体と金属製の蓋とを十分に絶縁でき、かつ、それらを強固に締結固定できる電波受信機器のねじ、そのようなねじを効率的に製造できる製造方法、及び電波受信機器が提供される。
【0038】
本発明による実施形態のねじは、電波の受信の際にアンテナから発生した磁束線により、ケース本体からねじ部を介してねじ本体へ電流が流れても、絶縁性樹脂層の電気絶縁作用により、閉塞部材とねじ本体とを電気的に絶縁することができ、このために、金属製のケース本体と金属製の閉塞部材との間の電気的な接続を確実に防止することができるばかりでなく、軸部のうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部とケース本体に形成されたねじ穴とによるねじ結合により、金属製のケース本体と金属製の閉塞部材とを強固に締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)および(b)は、本発明による実施形態の電波時計用のねじの構造を示す平面図および側面図である。
【図2】図1(b)におけるII―II線断面図である。
【図3】本発明による実施形態の電波時計用のねじを用いた腕時計の部分断面図である。
【図4】図3の部分拡大断面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明による実施形態の電波時計用のねじの外観をそれぞれ示す光学像である。
【図6】(a)および(b)は、本発明による他の実施形態の電波時計用のねじの構造を示す平面図および断面図である。
【図7】図6(b)におけるVII―VII線断面図である。
【図8】(a)〜(e)は、本発明による実施形態の電波時計用のねじの製造工程の例を示す断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明による他の実施形態の電波時計用のねじの製造工程の例を示す断面図である。
【図10】本発明によるさらに他の実施形態の電波時計用のねじの構造を示す断面図である。
【図11】絶縁性樹脂層の形状の第1の変形例に係る電波時計用のねじを電波時計にねじ込んだ状態を示す部分断面図である。
【図12】絶縁性樹脂層の形状の第2の変形例に係る電波時計用のねじを電波時計にねじ込んだ状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して、本発明による実施形態の電波時計用のねじおよびその製造方法を説明する。なお、本発明は、例示する実施形態に限定されるものではない。
【0041】
図1および図2は、本発明による実施形態の電波時計用のねじの構造を示す。
【0042】
図1および図2に示す電波時計用のねじ7Aは、金属から形成された軸部7aおよび頭部7bを有するねじ本体7mと、頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部7b側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rとを備えている。
【0043】
頭部7bの外径L1は、軸部7aの外径L2よりも大きく、軸部7aの外側に突き出ており、この頭部7bをつば部ということもある。
【0044】
なお、頭部7bの裏側7b1とは、頭部7bのうち、軸部7a側にある部分をいい、その反対側を頭部7bの表側という。頭部7bの裏側7b1は、頭部7bの座面を少なくとも含み、且つ、頭部の頂面(十字穴等が設けられている面)を除く部分をいう。
【0045】
このように、本発明による実施形態の電波時計用のねじ7Aは、頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部7b側の一部とに亘り連続して形成された環状の絶縁性樹脂層7rとを備えている。環状の絶縁性樹脂層7rは、軸部7aの外周面に形成されたねじ部7sのうちの頭部7b側の一部にのみ形成されている。後に実験例を示して説明するように、ねじ部7sの全体を覆うように絶縁性樹脂層7rを形成すると、一旦、ねじ締めを行った後にねじ緩めると、絶縁性樹脂層7rの一部または全部が剥離し、絶縁性が低下する(これを「繰り返し耐性」ということにする。)。繰り返し耐性の観点から、ねじ部7sの内、絶縁性樹脂層7rで覆われる部分の長さL4は、ねじ部7sの全体の長さL3の30%以下の長さであることが好ましい。この長さL4と長さL3との比は、適宜な比率で形成される。
【0046】
絶縁性樹脂層7rの厚さL5は30μm以上で、かつ100μm以下であることが好ましい。絶縁性樹脂層7rの厚さL5が30μmよりも小さいと十分な絶縁性が得られないことがあり、100μmを超えるとねじの繰り返し耐性が低下することになる。なお、絶縁性樹脂層7rは、頭部7bの裏面7b1の座面にだけ形成しても十分な絶縁性を発揮する。
【0047】
絶縁性樹脂層7rは熱硬化性樹脂で形成されていることが好ましい。金属用の塗料として一般に市販されている熱硬化性樹脂(1液性、2液性のいずれでもよい)を用いることができる。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べ金属に対する接着性が優れる。特に、140℃以上の温度で硬化される樹脂は、機械特性に優れるとともに、耐熱性に優れる。後に実験例を示して説明するように、熱硬化性樹脂はアクリルウレタン樹脂であることが好ましい。また、絶縁性樹脂層7rは着色されていることが好ましい。絶縁性樹脂層7rが着色されていると、絶縁性樹脂層7rの有無を目視で容易に確認できる。
【0048】
図1および図2に示したねじ7Aは、絶縁性樹脂層7rの下に絶縁性薄膜7tが、表面の全領域に亘り形成されている。上述したように、特許文献2に記載されている従来の固定ねじも絶縁性薄膜を有しているが、十分な絶縁性を得ることが難しい。従って、絶縁性の観点からは、絶縁性薄膜7tを省略してもよい。但し、ねじ本体7mの表面の保護(例えば酸化防止)や、あるいはすべり性を改善するために、絶縁性薄膜7tを設けることが好ましい。
【0049】
この絶縁性薄膜7tは、例えば、無機薄膜またはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜である。無機薄膜としては、炭化チタン(TiC)薄膜、窒化チタン(TiN)薄膜、酸化チタン(TiOx)薄膜、窒化珪素(Si34)薄膜、または酸化アルミニウム(Al23)薄膜の中から選択された一つを用いることができる。これらは、公知の薄膜堆積技術(例えば、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタ法)を用いて形成され得る。DLC薄膜は、アセチレンなどの炭化水素ガスを用いてプラズマCVD法で形成することが量産性の観点から好ましい。絶縁性薄膜7tの厚さは、上記効果が得られる範囲で、スループットを考慮して適宜設定され得る。DLC薄膜は、すべり性を改善する効果が高い、および、量産性が高い(製造コストが安い)という利点を有している。
【0050】
本発明による実施形態の電波時計用のねじ7Aは、図3に示す腕時計1のねじとして好適に用いることができる。図3は、本発明による実施形態の腕時計1の部分断面図である。
【0051】
腕時計1は、図3に示すように、上下に開口されて内部に時計モジュール2を収容する金属製のケース本体3と、このケース本体3の上部中央にパッキン4aを介して装着されている時計ガラス4と、ケース本体3の下部に防水パッキン5を介して取り付けられている金属製の裏蓋6と、この裏蓋6とケース本体3とを締結し両者を互いに固定するためのねじ7Aと、ケース本体3と裏蓋6との間に介在された環状のスペーサ部材8とを備えている。
【0052】
時計モジュール2は、時刻表示部やLSIなどの時計機能に必要な各種の電子部品を備えているほか、標準時刻電波を受信するアンテナ9を備え、このアンテナ9で受信した標準時刻電波に基づいて時刻を自動修正するように構成されている。アンテナ9は、例えばバーアンテナであり、比透磁率が高く、導電率が小さい磁性部材で形成された棒状のコア9aと、このコア9aの周囲に銅などの導線を巻き付けたコイル9bとを備える。
【0053】
ケース本体3は、ステンレスやチタンなどの強度の高い金属で形成されており、このケース本体3の上部外周面には、装飾用のベゼル10が取り付けられている。また、このケース本体3の内部における時計ガラス4の下側には、見切り部材11がケース本体3の内周面に沿って配置されている。さらに、このケース本体3の外周側下面には、ねじ7のねじ部7sが螺入するねじ穴12が設けられている。
【0054】
裏蓋6は、ケース本体3と同様、ステンレスやチタンなどの強度の高い金属でほぼ板状に形成されている。この裏蓋6の外周側には、ねじ7が挿入されるねじ挿入孔13がケース本体3のねじ穴12に対応して設けられている。
【0055】
また、スペーサ部材8は、その中心にねじ7が挿入する孔8aを有する円板であり、合成樹脂やセラミックなどの絶縁性材料によって形成されている。スペーサ部材8は、ケース本体3の下面と裏蓋6の上面との間に配置され、ケース本体3と裏蓋6との接触による導通を防ぐように構成されている。
【0056】
また、アンテナ9の近傍に位置する箇所のケース本体3と裏蓋6の各内面には、磁性シート15がそれぞれ設けられている。この磁性シート15は、アンテナ9で発生した磁界によって金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6とにそれぞれ渦電流が生じるのを抑制するためのものである。
【0057】
このような腕時計1によれば、アンテナ9を収容したケース本体3と裏蓋6との間に絶縁性材料からなるスペーサ部材8が介在されているので、ケース本体3および裏蓋6が金属で形成されていても、スペーサ部材8によってケース本体3と裏蓋6との接触による導通を防ぐことができる。
【0058】
また、ねじ7として、本発明による実施形態のねじ7Aを用いると、ねじ7を介した金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6との電気的な導通を抑制することができる。後に実験例を挙げて説明するように、本発明による実施形態のねじを用いると、ケース本体3と裏蓋6との間の抵抗値(テスターによる簡易測定による)は10MΩ以上が得られ、繰り返し耐性や、信頼性も十分である。
【0059】
一方、図3に示すように、この実施の形態に係る腕時計1にあっては、電波受信用のアンテナ9と、このアンテナ9が内部に配置された金属製の機器ケース本体であるケース本体3と、この金属製のケース本体3の開口部を閉塞する金属製の閉塞部材である裏蓋6と、この金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを互いに締結し、両者を固定するための金属製のねじ7Aとを備えている。ねじ7Aは、軸部7aおよび頭部7bを有する金属から形成されたねじ本体7mと、頭部7bの裏側7b1のみ、または頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部7b側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rとを備えている。そして、図4に拡大して示すように、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とは、絶縁性樹脂層7rを間に挟んだ状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層7rが形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により締結されている。
【0060】
このような構成を備えている腕時計1によれば、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とは、絶縁性樹脂層7rを間に挟んだ状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により締結されている。すなわち、金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6との間に絶縁性のスペーサ部材8を設けたほかに、さらに、金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6とを締結するための導電性のねじ7Aの頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部7b側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rを形成している。
【0061】
このために、外部から送られてきた電波の受信の際に、金属製のケース本体3内に配置されたアンテナ9に発生した磁束変化に伴う電流が、金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6との間を流れるのをより一層抑制し、アンテナ9の受信感度の向上を図ることが可能となり、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを、絶縁性樹脂層7rによる電気絶縁性樹脂層7rにより十分に絶縁することができる。
【0062】
そればかりでなく、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により、ねじ7Aの繰り返し耐性の低下もなく、金属製のケース本体3と金属製の裏蓋6とを強固に締結することができる。
【0063】
次に、図8に従って、本発明の実施形態の電波時計用のねじ7Aの製造方法について説明する。
【0064】
本発明による実施形態の電波時計用のねじ7Aの製造方法は、図8(a)に示すように、まず、ねじ本体7mを有するねじ7を用意する工程、次に、図8(b)に示すように、絶縁性薄膜7tをねじ本体7mの表面の全領域に亘り形成する工程、図8(c)に示すように、一対の第1および第2の板80、81で、ねじ本体7mの頭部7bの表側および頭部7bとは反対側のねじ部7sの一部をそれぞれ隠し、保護する工程を含む。さらに、このようにねじ本体7mの所定の部分を保護した状態で、図8(d)に示すように、スプレー装置Sを用いて、スプレー塗装法により、ねじ本体7mの頭部の裏側および軸部のうちの頭部側の一部に亘る部分のみに絶縁性樹脂(例えば未硬化の熱硬化性樹脂)を含む溶液をスプレーすることによって絶縁性樹脂を含む溶液からなる樹脂含有層7rsを形成する工程を含み、図8(e)に示すように、樹脂含有層7rsが形成されたねじ本体7mを加熱する工程を経て、絶縁性樹脂層7rを有する電波時計用のねじ7Aが得られる。
【0065】
絶縁性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、加熱工程によって、溶剤が除去され、乾燥されると共に、熱硬化反応が進行し、絶縁性樹脂層7rが形成される。加熱工程は、多段階で行っても良い。絶縁性樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、加熱工程によって溶媒が除去され、絶縁性樹脂層7rが得られる。なお、熱硬化性樹脂は、熱によって硬化する成分を含む樹脂をいい、熱可塑性樹脂成分を含む混合樹脂もある。
【0066】
なお、絶縁性樹脂層7rは、頭部7bの裏面7b1の座面にだけ形成してもよいが、作業性、材料の歩留まり、さらには確実に絶縁性を得るという観点からは、絶縁性樹脂層7rはある程度の幅を有するように形成することが好ましく、頭部の裏側から軸部の一部に亘る部分に形成することが好ましい。
【0067】
ここでは、絶縁性樹脂層7rの形成に先立って、絶縁性薄膜7tをねじ本体7mの表面の全体に亘って形成する例を説明したが、本発明による実施形態のねじは、これに限られない。例えば、少なくとも、ねじ部7sの、絶縁性樹脂層7rが形成されていない表面部分に絶縁性薄膜7tを形成しておけば、すべり性を改善することができる。ねじ本体7mの表面を保護する観点からは、ねじ本体7mの表面の全体に亘って絶縁性薄膜7tを形成することが好ましい。
【0068】
また、上述したように、絶縁性薄膜7tを形成する工程は省略してもよく、この絶縁性薄膜7tを形成するための工程を省略した電波時計用のねじの製造方法については、図9を参照して後述する。
【0069】
なお、図8(c)に示す工程では、第1および第2の各板80、81を、ねじ部7sの内、絶縁性樹脂層7rで覆われる部分の長さL4と同じ長さの間隔L4離してそれぞれ配置することが必要である。
【0070】
本発明の電波時計用のねじを、ディッピング法を用いて形成することもできるが、スプレー塗装法を用いて絶縁性樹脂層7rを形成すると、頭部7bの裏側7b1のみ、または頭部7bの裏側7b1および軸部7aの頭部7b側の一部に連続して、効率良く絶縁性樹脂層7rを形成することができる。
【0071】
また、スプレー塗装法は、ディッピング法に比べ厚さの制御が容易で、厚さが30μm以上、100μm以下の絶縁性樹脂層7rを選択的に形成し易いという利点がある。
【0072】
なお、絶縁性樹脂をスプレーする前に、必要に応じて、ねじ本体7mの脱脂(例えばアルカリ処理)および/またはプライマー処理を行ってもよい。プライマーとしては例えばエポキシ樹脂、またはポリウレタン樹脂などを用いることができる。
【0073】
絶縁性樹脂層7rを形成する材料としては、熱硬化性樹脂が好ましく、絶縁性樹脂層7rの硬化するために100℃以上の第1の温度で加熱する工程(熱硬化工程)を含むことが好ましい。実験例で示すように、熱硬化性樹脂は例えばアクリルウレタン樹脂であり、第1の温度は140℃以上であることが好ましく、200℃以下であることが好ましく、第1の温度は例えば160℃である。加熱時間は適宜設定すればよい。また、多段階に加熱してもよい。140℃以上の温度で硬化される樹脂は、機械特性に優れるとともに、耐熱性に優れる。なお、200℃以上の加熱を必要とする樹脂を用いるとスループットが低下するので好ましくない。室温で硬化可能な樹脂を用いることもできるが、ポットライフが短いなど、作業性が低下することがある。
【0074】
スプレー塗装法を採用すると、厚さ30μm以上の樹脂層を1回のスプレー工程で均一に形成することが難しい。その場合には、スプレー工程を2回以上とし、且つ、スプレー工程の間に、硬化のための第1の温度より低い第2の温度で加熱する工程(仮乾燥工程)を含むことが好ましい。第2の温度は100℃未満であることが好ましく、例えば60℃である。第2の温度が100℃以上になると、熱硬化性樹脂の硬化が進み、その後に形成された樹脂層との密着性が低下することがある。最後のスプレー工程が終わった後は、仮乾燥工程を経ることなく、熱硬化工程を行っても良いし、仮乾燥工程を行ってから熱硬化工程を行っても良い。
【0075】
以下に、実験例を示して、本発明による実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実験例では、図8(a)〜(e)を参照して説明した製造方法でねじを製造した。
【0076】
図1および図2に示した形状を有するねじ本体7mを用意した。頭部7bの外径L1は2.5mm、頭部7bの厚さL6は0.6mm、軸部7aまたはねじ部7sの外径L2が1.6mm、長さL3が4.4mmの腕時計用のねじを用いた。
【0077】
上記のねじ本体7mの表面全体に、イオンプレーティング法で炭化チタン(TiC)薄膜7tを形成した。炭化チタン薄膜7tの厚さは約1μmとした。ねじ本体7mの表面は複雑な形状を有しているので、炭化チタン薄膜7tの厚さにばらつきがあるが、ばらつきの範囲は約0.5μm〜約1.5μmであった。
【0078】
その後、種々の樹脂材料(ポリパラキシレン、エポキシシリコーン、エポキシアクリル、変性ポリエステル、アクリルシリコーン、ウレタンポリイミド、フッ素系ポリオールとポリイミドの混合物、アクリルウレタン)を用いて、厚さ10μmから70μmの絶縁性樹脂層7rを形成した。ねじ本体7mの全体を覆ったものと、ねじ本体7mの頭部7bの裏側7b1および軸部7aの頭部7b側の一部(軸部7bの約30%)だけを選択的に覆ったものとを作製した。なお、ここで例示した樹脂の内、ポリパラキシレンは熱可塑性樹脂であり、他は熱硬化性樹脂である。
【0079】
絶縁性樹脂層7rの形成方法として、蒸着法(ポリパラキシレン)、ディッピング法およびスプレー塗装法を検討したところ、厚さの制御が容易で、厚さが30μm以上、100μm以下の樹脂層を選択的に形成し易いことから、スプレー塗装法を採用した。なお、厚さが30μm未満の場合、絶縁性が十分でないものが得られたので、絶縁性樹脂層7rの厚さは30μm以上とした。
【0080】
一対の板80、81を用意し、一方の板80に形成した孔80aにねじ軸部7aを挿入し、他方の板81で頭部7bを保護した状態で、一対の板80、81の間に、両側から樹脂材料(絶縁性樹脂を含む溶液)をスプレー塗装法により、スプレー装置Sを用いて、スプレーした。1回のスプレー工程で、最終的に約30μmの厚さの絶縁性樹脂層7rが得られた。厚さが30μmを超える絶縁性樹脂層7rを形成する際には、スプレー工程を2回以上とし、且つ、スプレー工程の間に、仮乾燥工程を行った。例えばアクリルウレタンの場合、1回目のスプレー塗装した後、60℃で10分間仮乾燥し、その後2回目のスプレー塗装を行い、160°で60分間加熱することによって硬化した。フッ素系ポリオールとポリイミドの混合物については、最後の硬化のための加熱工程を230℃で30分間加熱した。
【0081】
炭化チタン薄膜7tだけを有するサンプルねじ、絶縁性樹脂層を全体に形成したサンプルねじおよび絶縁性樹脂層7rを部分的に形成したサンプルねじ(図1および図2のねじ7A)について、絶縁性、繰り返し耐性を評価した。それぞれ、腕時計ケース本体と裏蓋とを各サンプルねじで締め付けて評価した。締め付けは、トルクメータで1.5kgf・cmに設定した電動ドライバーを用いた。絶縁性は、テスタを用いて評価した。10MΩ以上を良品と判定した。なお、絶縁性の評価で良判定となったものの受信感度は、酸化チタン薄膜だけを有するサンプルねじを用いたもの(ほぼ0Ω)に比べて、0.5〜1.3dBの受信感度の向上が確認された。また、繰り返し耐性は、締め付け−緩めを繰り返し、絶縁性樹脂層の剥離の有無、粉の発生の有無を目視で調べるとともに、絶縁性を評価した。繰り返し耐性は、5回の繰り返しに耐えれば量産に適用できると考えられるため、10回まで評価した。
【0082】
上記の全ての樹脂材料について、全面に絶縁性樹脂層を形成したサンプルねじは、何れも10回の繰り返し試験中に、絶縁性樹脂層の剥離が見られた。但し、アクリルウレタンを用いて全面に絶縁性樹脂層を形成したサンプルねじについては、最初の締め付けでねじが破断した。
【0083】
一方、絶縁性樹脂層7rを部分的に形成したサンプルねじは、いずれも全面に絶縁性樹脂層を形成したものより、繰り返し耐性は改善された。但し、10回以上の繰り返し耐性を有するものは、フッ素系ポリオールとポリイミドの混合物(厚さ50μm)、およびアクリルウレタンだけであった。また、アクリルウレタンは、高温放置(175℃、24時間)後、および常温で水に168時間浸漬後も10回以上の繰り返し耐性を有したことから、絶縁性樹脂層用の材料として最適であると判断した。このアクリルウレタンをFT−IR(島津製作所製 FTIR−8300、反射型ビームコンデンサ(RBC−8000)、KBrペレット法)で分析したところ、サドラライブラリHP(HUMMEL Polymer)#2220とほぼ一致するスペクトルが得られた。
【0084】
図5(a)に、上記のアクリルウレタン樹脂層(透明)を備えるねじの頭部の裏側の光学像を示し、図5(b)に黒色のアクリルウレタン樹脂層を備えるねじの光学像を示す。なお、黒色のアクリルウレタン樹脂層を備えるねじも、上記のアクリウレタン樹脂層を備えるねじと同様の優れた結果が得られた。図5(a)および(b)から分かるように、いずれも、頭部の裏側および軸部の頭部側の一部にのみ選択的に樹脂層が均一に形成されている。
【0085】
ここでは、アクリルウレタンを最適な熱硬化性樹脂として説明したが、図1および図2を参照して説明した構造を有するねじを用いれば、他の樹脂を用いても、従来よりも絶縁性を高めることができる。
【0086】
次に、図6および図7は本発明による他の実施形態の電波時計用のねじの構造を示す断面図である。
【0087】
図6および図7に示す電波時計用のねじ7Bは、図1および図2に示したねじ7Aと同様に、金属から形成された軸部7aおよび頭部7bを有するねじ本体7mと、頭部7bの裏側7b1および軸部7aの頭部7b側の一部にのみに形成された絶縁性樹脂層7rとを備えている。
【0088】
図1および図2に示したねじ7Aは、軸部7aの全体に雄ねじ(ねじ部7s)が形成されているのに対し、図6および図7に示したねじ7Bは、軸部7aの頭部7b側の一部(首部と呼ばれることがある)には、ねじ部が形成されていない非ねじ部7t1が形成されている。図6および図7のねじ7Bの絶縁性樹脂層7rは、頭部7bの裏側7b1および軸部7aの首部にのみに形成されている例を示しているが、これに限られない。
【0089】
このような実施の形態に係るねじ7Bを用いた場合も、図1および図2に示すねじ7Aの場合と同様に、軸部7aおよび頭部7bを有する金属から形成されたねじ本体7と、頭部7bの裏側のみ、または頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rとを備えており、そして、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とは、絶縁性樹脂層7rを間に挟んだ状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により締結することができる。このために、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを、絶縁性樹脂層7rにより十分に絶縁することができるばかりでなく、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により両者を強固に締結することができる。
【0090】
次に、図9に従って、本発明による他の実施形態の電波時計用のねじ7Cの製造方法について説明する。
【0091】
本発明の電波時計用のねじ7Cの製造方法は、図9(a)に示すにように、まず、ねじ本体7mを有するねじ7を用意する工程(図8(a)に示す工程と同様)、次に、図8(b)に示すような、絶縁性薄膜7tをねじ本体7mの表面の全領域に亘り形成する工程を省略して、図9(b)に示すように、一対の第1および第2の板80、81で、ねじ本体7mの頭部7bの表側および頭部7bとは反対側のねじ部7sの一部をそれぞれ隠し、保護する工程を経る。
【0092】
このようにねじ本体7mの所定の部分を保護した状態で、図9(c)に示すように、スプレー装置Sを用いて、スプレー塗装法により、ねじ本体7mの頭部の裏側および軸部のうちの頭部側の一部に亘る部分のみに絶縁性樹脂を含む溶液をスプレーすることによって絶縁性樹脂を含む溶液からなる樹脂含有層7rsを形成する工程を含み、図9(d)に示すように、樹脂含有層7rsが形成されたねじ本体7mを加熱する工程を経て、絶縁性樹脂層7rを有する電波時計用のねじ7Cが得られる。
【0093】
このような工程を経て電波時計用のねじ7Cを製造すれば、絶縁性薄膜を介することなく、ねじ本体7mの頭部の裏側および軸部のうちの頭部側の一部のみに、絶縁性樹脂層7rを直接に形成することができ、このため、絶縁性薄膜を省略した、安価な電波時計用のねじを迅速に製造することができる。
【0094】
図10に示す電波時計用のねじ7Dは、図6および図7に示したねじ7Bと同様に、金属から形成された軸部7aおよび頭部7bを有するねじ本体7mと、頭部7bの裏側7b1および軸部7aの頭部7b側の一部にのみに形成された絶縁性樹脂層7rとを備えている。
【0095】
図6および図7に示したねじ7Bは、軸部7aの全体に雄ねじ(ねじ部7s)が形成されているのに対し、図10に示したねじ7Dは、軸部7aの頭部7b側の一部である首部にはねじ部が形成されていない非ねじ部7t1が形成されている。
【0096】
このような実施の形態に係るねじ7Dを用いた場合も、図6および図7に示したねじ7Bの場合と同様に、軸部7aおよび頭部7bを有する金属から形成されたねじ本体7と、頭部7bの裏側のみ、または頭部7bの裏側7b1と軸部7aのうちの頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層7rとを備えており、そして、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とは、絶縁性樹脂層7rを間に挟んだ状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により締結することができる。このために、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを、絶縁性樹脂層7rにより十分に絶縁することができるばかりでなく、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とのねじ結合により両者を強固に締結することができる。
【0097】
なお、この実施の形態の場合、ねじ7Aから7Dともに、絶縁性樹脂層7rは、軸部7aの一部にも形成されているが、頭部7bの裏側(少なくとも座面)のみに形成しても良い。
【0098】
また、図2、図7、図8および図9に示すこの実施の形態の場合、絶縁性樹脂層7rは、頭部7bの座面(ねじを締め付けた際に荷重を受ける面)部分のほかに、頭部7bの側面の一部と軸部7aの側面の一部とに亘って形成されている。従って、絶縁性樹脂層7rの一端7r1は、頭部7bの外径が最も大きい部分の位置よりも軸部7a側にある部分にまで延長して形成され、他方、絶縁性樹脂層7rの他端7r2は、軸部7aのうち、頭部7bの座面からねじ先側にすこし下がった部分にまで延長して形成されている。
【0099】
しかしながら、絶縁性樹脂層7rの形成範囲は、このような実施の形態の形成範囲に限られない。
【0100】
例えば、図11に、絶縁性樹脂層7rの形状の第1の変形例を示す。
【0101】
この第1の変形例に係るねじ7Aの場合、絶縁性樹脂層7rの一端7r1は、頭部7bの側面のうちのねじ頂面の近傍位置まで延長して形成されており、他方、絶縁性樹脂層7rの他端7r2は、ねじ7Aを金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12にねじ込んだ際に、ねじ穴12の直径よりも大径な寸法の大径穴12a内の奥の位置まで延長して形成されている。
【0102】
この第1の変形例に係るねじ7Aによれば、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを重ねた状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とをねじ結合により両者を締結すると、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とは、両者の間に絶縁性樹脂層が介在しないので、ねじ結合により両者を強固に締結することができる。そればかりでなく、絶縁性樹脂層7rの一端7r1が、頭部7bの側面のうちのねじ頂面の近傍位置まで延長して形成されており、他方、絶縁性樹脂層7rの他端7r2が、金属製のケース本体3に形成された大径穴12a内の奥の位置まで延長して形成されているので、この絶縁性樹脂層7rの存在により、ねじ本体7mの表面と金属製の裏蓋6に形成されたねじ挿入孔13および大径穴12aとが直接に接触することを確実に防止し、両者の電気的な導通を回避することができる。
【0103】
図12は、絶縁性樹脂層7rの形状の第2の変形例を示す。
【0104】
この第2の変形例に係るねじ7Aの場合、絶縁性樹脂層7rの一端7r1は、頭部7bの座面位置まで延長して形成されており、他方、絶縁性樹脂層7rの他端7r2は、ねじ7Aを金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12内にねじ込んだ際に、裏蓋6に形成されたねじ挿入孔13の上面位置まで延長して形成されている。
【0105】
この第2の変形例に係るねじ7Aによれば、金属製の裏蓋6と金属製のケース本体3とを重ねた状態で、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とをねじ結合により両者を締結すると、軸部7aのうちの絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部7sと金属製のケース本体3に形成されたねじ穴12とは、両者の間に絶縁性樹脂層が介在されていないことから、ねじ結合により両者を強固に締結することができる。そればかりでなく、絶縁性樹脂層7rの一端7r1が、頭部7bの座面位置まで延長して形成されており、他方、絶縁性樹脂層7rの他端7r2が、裏蓋6に形成されたねじ挿入孔13の上面位置まで延長して形成されているので、図12のねじ7Aの場合と同様に、この絶縁性樹脂層7rの存在により、ねじ本体7mの表面と金属製の裏蓋6に形成されたねじ挿入孔13とが直接に接触する事態を確実に防止し、両者の電気的な導通を回避することができる。
【0106】
上記の実施形態で例示したように、ねじの頂面には絶縁性樹脂層を設けなくとも良い。ねじの頂部のねじ穴が絶縁性樹脂で埋まると、ねじ締めの作業性が低下することがあり、また、裏蓋6から当該絶縁性樹脂層が露出し、裏蓋6周囲の美的外観を損なうおそれがあるためであるが、ねじの頂面に着色材料が混入された絶縁性樹脂層を積極的に設けて、当該ねじの頂面にアクセントを付加して裏蓋6周囲の美的外観の向上を図るようにしても良い。
【0107】
また、絶縁性樹脂層は、少なくとも軸部の頭部とは反対側の一部には形成されていないことが好ましい。これは、絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部とケース本体に形成されたねじ穴とのねじ結合を安定にするためである。
【0108】
また、この実施の形態は、電波時計用のねじ、および、このねじを組み込んだ電波時計について説明しているが、これに限定されず、たとえば、携帯電話、GPS受信機器のような各種の電波受信機器用のねじ、このねじを組み込んだ電波受信機器にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、電波受信機器用のねじ、その製造方法、及び電波受信機器に用いられる。
【符号の説明】
【0110】
1 腕時計ケース
2 時計モジュール
3 ケース本体
6 裏蓋
7、7A〜7D ねじ
7a 軸部
7b 頭部
7m 本体
7r 絶縁性樹脂層
7r1、7r2 絶縁性樹脂層の一端、他端
7t 絶縁性薄膜
8 スペーサ部材
9 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部および頭部を有する金属から形成されたねじ本体と、
前記頭部の少なくとも裏側に形成された絶縁性樹脂層と
を備える、電波受信機器用のねじ。
【請求項2】
前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成されている、請求項1に記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項3】
前記絶縁性樹脂層の厚さは30μm以上、100μm以下である、請求項1または2に記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項4】
前記絶縁性樹脂層は熱硬化性樹脂で形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂はアクリルウレタン樹脂である、請求項4に記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項6】
前記絶縁性樹脂層は着色されている、請求項1から5のいずれかに記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項7】
前記ねじ本体の表面のうち、少なくとも前記軸部の表面に絶縁性薄膜が形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項8】
前記絶縁性薄膜は、前記ねじ本体の表面全体を覆っている、請求項7に記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項9】
前記絶縁性薄膜は、無機薄膜またはDLC薄膜である、請求項7または8に記載の電波受信機器用のねじ。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法であって、
前記ねじ本体のうち、少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部を保護した状態で、前記ねじ本体のうち、保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液をスプレーする工程(a)と、
前記工程(a)の後で、前記ねじ本体を加熱する工程(b)と
を包含する、電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項11】
前記工程(a)において、前記頭部の表側をも保護した状態で、前記ねじ本体のうち、保護されていない表面部分に、前記絶縁性樹脂を含む溶液をスプレーする、請求項10に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項12】
前記工程(a)の前に、前記ねじ本体の少なくとも前記軸部の表面に絶縁性薄膜を形成する工程をさらに含む、請求項10または11に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項13】
前記絶縁性樹脂は熱硬化性樹脂であって、前記工程(b)は、前記ねじ本体を100℃以上の第1の温度で加熱する工程を含む、請求項10から12のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項14】
前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記ねじ本体を前記第1の温度より低い第2の温度で加熱する工程(c)と、前記工程(c)の後にさらに前記工程(a)とを行う、請求項13に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項15】
電波受信用のアンテナと、
前記アンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と、
前記ケース本体の前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材と、
前記閉塞部材と前記ケース本体とを互いに締結し、両者を固定するねじとを備え、
前記ねじは、軸部および頭部を有する金属から形成されたねじ本体と、
前記頭部の少なくとも裏側に形成された絶縁性樹脂層とを備え、
前記絶縁性樹脂層は少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部には形成されておらず、前記閉塞部材と前記ケース本体とは、前記絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記機器ケース本体に形成されたねじ穴とのねじ結合により締結されている、電波受信機器。
【請求項16】
前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側のみに形成されており、前記閉塞部材と前記ケース本体とは、前記頭部の裏側のみに形成された前記絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記ねじ部と前記ねじ穴とのねじ結合により締結されている、請求項15に記載の電波受信機器。
【請求項17】
前記絶縁性樹脂層は、前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成されており、前記閉塞部材と前記機器ケース本体とは、前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層を間に挟んだ状態で、前記ねじ部と前記ねじ穴とのねじ結合により締結されている、請求項15に記載の電波受信機器。
【請求項18】
請求項1から9のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法であって、
前記ねじ本体のうち、少なくとも前記軸部の前記頭部とは反対側の一部とを外部から保護した状態で、前記ねじ本体のうち、前記外部から保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液を噴霧し、当該表面部分に樹脂含有層を形成する工程(a)と、
前記工程(a)により前記樹脂含有層が形成された前記ねじ本体を加熱して、前記絶縁性樹脂層を形成する工程(b)とを包含する、電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項19】
前記工程(a)において、前記頭部の表側をも保護した状態で、前記ねじ本体のうち、前記外部から保護されていない表面部分に、絶縁性樹脂を含む溶液を噴霧し、当該表面部分に樹脂含有層を形成する、請求項18に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項20】
前記工程(a)による前記絶縁性樹脂を含む溶液の噴霧に先立って、前記ねじ本体の表面全体に絶縁性薄膜を形成する工程を含む、請求項18または19に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項21】
前記絶縁性樹脂は熱硬化性樹脂であって、前記工程(a)は、前記熱硬化性樹脂を含む溶液を噴霧し、前記工程(b)は、前記樹脂含有層として熱硬化性樹脂層が形成された前記ねじ本体を100℃以上の第1の温度で加熱して、前記絶縁性樹脂層を形成する熱硬化工程を含む、請求項18から20のいずれかに記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項22】
前記工程(a)は、複数の噴霧の工程を含み、前記工程(b)は、前記複数の噴霧の工程の間に、前記ねじ本体を前記第1の温度より低い第2の温度で加熱する仮乾燥工程を含む、請求項21に記載の電波受信機器用のねじの製造方法。
【請求項23】
電波受信用のアンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と当該ケース本体における前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材とを互いに締結し、両者を固定するためのねじ本体を備えている電波受信機器用のねじにおいて、
前記ねじ本体は、
ねじ部が形成された軸部および頭部を有する金属製のねじ本体と、
前記頭部の全表面のうち、少なくとも、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層とを備えており、
前記絶縁性樹脂層の電気絶縁作用により、前記閉塞部材と前記ねじ本体とを電気的に絶縁し、かつ、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記ケース本体に形成されたねじ穴とによるねじ結合により、前記金属製のケース本体と前記金属製の閉塞部材とを締結することを特徴とする電波受信機器用のねじ。
【請求項24】
電波受信用のアンテナと、
前記アンテナが内部に配置された、開口部を有する金属製のケース本体と、
前記ケース本体における前記開口部を閉塞する金属製の閉塞部材と、
前記閉塞部材と前記ケース本体とを互いに締結し、両者を固定するためのねじ本体を備えている電波受信機器用のねじとを備え、
前記ねじ本体は、
ねじ部が形成された軸部および頭部を有する金属製のねじ本体と、
前記頭部の全表面のうち、少なくとも、前記頭部の裏側のみ、または前記頭部の裏側と前記軸部のうちの前記頭部側の一部とに亘り連続して形成された絶縁性樹脂層とを備えており、
前記絶縁性樹脂層の電気絶縁作用により、前記閉塞部材と前記ねじ本体とを電気的に絶縁し、かつ、前記軸部のうちの前記絶縁性樹脂層が形成されていないねじ部と前記ケース本体に形成されたねじ穴とによるねじ結合により、前記金属製のケース本体と前記金属製の閉塞部材とを締結していることを特徴とする電波受信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−133030(P2011−133030A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292911(P2009−292911)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(304051908)株式会社NEOMAXマテリアル (50)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】