説明

電波受信装置

【課題】通過周波数帯の異なる複数のフィルタ回路を並列に設けた可変フィルタを使用して受信チャンネルの切り換えを行う受信装置において、信号受信が可能となる受信チャンネルの探索を高速に行うことのできる電波受信装置を提供する。
【解決手段】電波を受信するアンテナ8と、RFアンプ11と、異なる周波数帯の信号を抽出する複数のフィルタ回路12a〜12xと、これら複数のフィルタ回路に対応して設けられた複数の検波回路16a〜16x、複数のAGC回路17a〜17xと、複数の検波出力を入力して解析するマイクロコンピュータ30とを備え、RF−AGC回路18により最大となるAGC信号を選択してRFアンプ11に供給して検波出力a〜xの信号レベルの制御を行い、マイクロコンピュータ30が各検波出力a〜xから時刻コードの受信が可能な受信チャンネルを探索する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、時刻コードの含まれる電波を受信する電波受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって、実装面積が小さく信号の通過帯域の狭い高精度のフィルタ回路を形成することが可能になっている。そこで、このようなフィルタ回路を通過周波数帯を異ならせて複数個並列に設け、受信信号を通過させるフィルタ回路を切り換えて使用する可変フィルタを利用することで、複数の受信チャンネルの信号を選択的に受信可能とした電波受信回路を構成することができる。
【0003】
また、本発明に関連する技術として、特許文献1には、スーパーへテロダイン方式の受信機においてMEMSフィルタをIF(中間周波数)フィルタとして用いた技術が開示されている。また、特許文献2には、通信機の受信部に、MEMSフィルタを複数個用いて特定の周波数成分の信号のみを通過させるバンドパスフィルタを適用した技術が開示されている。また、特許文献3には、ダイレクトコンバージョン方式の受信回路においてアンテナの後段に複数の高周波フィルタを並列に接続して特定周波数の信号を選択的に抽出させてミキサに送る技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−79981号公報
【特許文献2】特開2005−5847号公報
【特許文献3】特開平5−121947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線信号の受信チャンネルが分からないような場合に、受信チャンネルを切り換えながら複数の受信チャンネルの信号を受信して、信号受信が可能となる受信チャンネルを探索する処理を行うことがある。
【0005】
しかしながら、通過周波数帯の異なるフィルタ回路を複数並列に設けた可変フィルタを用いて受信チャンネルの切り換えを行うようにした受信装置では、なんら工夫がないと、受信チャンネルを高速に切り換えることが困難となり、受信チャンネルの探索処理に非常に長い時間を要するという課題があった。
【0006】
すなわち、受信回路では、復調した信号レベルを一定に保つために、自動ゲイン制御(AGC)によって受信信号の増幅を行うのが通常であるが、AGC回路には比較的大きな時定数特性があり、受信チャンネルを切り換えた場合に、自動ゲイン制御が安定するまでに数秒〜十数秒程度の時間を要する。そのため、可変フィルタを切り換えて受信チャンネルを変更した場合に、安定した検波信号が得られるまで一定時間待機する必要が生じ、全ての受信チャンネルの信号を探索するのに長い時間がかかる。
【0007】
この発明の目的は、通過周波数帯の異なる複数のフィルタ回路を並列に設けた可変フィルタを使用して受信チャンネルの切り換えを行う受信装置において、所定の信号が受信できる受信チャンネルを高速に探索できる電波受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
時刻コードの含まれる電波の受信を行う電波受信装置であって、
電波を受信するアンテナと、
このアンテナで受信した信号の増幅を行う第1アンプと、
この第1アンプの出力からそれぞれ異なる周波数帯の信号を抽出する複数のフィルタ回路と、
これら複数のフィルタ回路に対応して各フィルタ回路の出力から前記時刻コードの復調をそれぞれ行う複数の検波回路と、
これら複数の検波回路に対応して各検波回路の出力信号の平均的な信号レベルを表わすゲイン制御信号をそれぞれ生成する複数の自動ゲイン制御回路と、
これら複数の自動ゲイン制御回路から出力される複数のゲイン制御信号の中から信号レベルの最大を表わす1つのゲイン制御信号を選択する第1セレクタと、
前記複数の検波回路の出力をそれぞれ入力して時刻コードの解析が可能な演算処理手段と、
を備え、
前記第1セレクタにより選択された1つのゲイン制御信号が前記第1アンプに供給されて、前記複数の検波回路から出力される信号レベルが過大にならないように前記第1アンプの増幅率が制御されるとともに、
前記演算処理手段は、
前記複数の検波回路の各々の出力の中から時刻コードの解析が可能となる出力を選択して、該出力から前記時刻コードの解析を行うことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電波受信装置において、
前記アンテナの同調周波数を前記フィルタ回路の通過周波数に対応させて複数種に切換可能な同調周波数切換回路と、
前記同調周波数切換回路の切換え制御を行う切換制御回路と、
前記切換制御回路は、
前記同調周波数を前記時刻コードのデータ送信周波数より早い周波数で切り換えることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電波受信装置において、
前記第1セレクタの代わりに、前記複数の自動ゲイン制御回路から出力される複数のゲイン制御信号の中からセレクト信号により指定されるゲイン制御信号を出力して前記第1アンプに供給する第2セレクタを備え、
前記切換制御回路は、
前記同調周波数の切り換えと前記ゲイン制御信号の切り換えとを同期させて、且つ、前記第2セレクタで選択されるゲイン制御信号が、前記アンテナの同調周波数に対応した通過周波数を有する前記フィルタ回路を通過した信号に基づき生成されるゲイン制御信号となるように、前記セレクト信号の切り換えを行うことを特徴とする請求項2記載の電波受信装置。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の電波受信装置において、
前記複数のフィルタ回路に対応して各フィルタ回路の信号をそれぞれ増幅して前記複数の検波回路にそれぞれ出力する複数の第2アンプを備え、
前記複数の自動ゲイン制御回路により生成された複数のゲイン制御信号が、対応する前記検波回路に信号を出力している前記第2アンプにそれぞれ供給され、対応する前記検波回路の出力レベルが過大にならないように当該第2アンプの増幅率がそれぞれ制御されることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の電波受信装置において、
前記複数のフィルタ回路はMEMSフィルタからそれぞれ構成され、
該MEMSフィルタの前段にはインピーダンス調整用のバッファ回路が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の発明は、
時刻コードの含まれる電波の受信を行う電波受信装置であって、
電波を受信するアンテナと、
前記アンテナの同調周波数を複数種に切換可能とする同調周波数切換回路と、
前記アンテナで受信した信号の増幅を行う第1アンプと、
この第1アンプの出力から前記複数の同調周波数に対応して異なる周波数帯の信号をそれぞれ通過させる複数のフィルタ回路と、
前記複数のフィルタ回路の出力を増幅する第3アンプと、
前記複数のフィルタ回路の出力のうち1つを選択して前記第3アンプへ出力する第1選択スイッチと、
前記複数のフィルタ回路に対応して前記第3アンプを介した各フィルタ回路の出力から前記時刻コードの復調をそれぞれ行う複数の検波回路と、
前記第3アンプの出力を前記複数の検波回路の1つに選択的に出力する第2選択スイッチと、
出力信号の平均的な信号レベルを表わすゲイン制御信号を生成する自動ゲイン制御回路と、
前記複数の検波回路の出力信号のうち1つを選択して前記自動ゲイン制御回路へ供給する第3選択スイッチと、
前記複数の検波回路の出力をそれぞれ入力して時刻コードの解析を行う演算処理手段と、
前記同調周波数切換回路と前記第1〜第3選択スイッチの切換制御をそれぞれ行う切換制御回路と、
を備え、
前記切換制御回路は、
前記第3アンプに接続される前記フィルタ回路の通過周波数が前記アンテナの同調周波数と対応するように、且つ、前記第3アンプに接続される前記フィルタ回路および前記検波回路が対応したものとなるように、且つ、前記第3アンプに接続された前記検波回路の出力が前記自動ゲイン制御回路に供給されるように、前記同調周波数切換回路と前記第1〜第3選択スイッチとをそれぞれ同期させて、前記時刻コードのデータ送信周波数より早い周波数で切り換え、
前記演算処理手段は、
前記複数の検波回路の各々の出力から時刻コードの解析が可能となる出力を選択して、該出力から前記時刻コードの解析を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電波受信装置において、
前記複数のフィルタ回路はMEMSフィルタからそれぞれ構成され、
該MEMSフィルタの前段と後段にはインピーダンス調整用のバッファ回路がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項2,3,6の何れか1項に記載の電波受信装置において、
電波受信処理の制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、
時刻コードの含まれる電波の受信チャンネルを探索する同調モードの際に、前記切換制御回路により切換制御を実行させて時刻コードの信号受信が可能となる受信チャンネルを探索させ、
前記時刻コードの受信を行う時刻受信モードの際には、前記同調モードで探索された受信チャンネルの切換状態に固定して電波の受信を行わせることを特徴としている。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の電波受信装置において、
1つの受信チャンネルの回路のみをアクティブにし、他の受信チャンネルの回路を非アクティブに切り換えることが可能な切換スイッチを有し、
前記制御手段は、
前記時刻受信モードの際に、前記切換スイッチにより、使用しない受信チャンネルの回路を非アクティブに切り換えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に従うと、信号受信が可能な受信チャンネルを探索する際に、複数の受信チャンネルの受信信号を確認していくのに、自動ゲイン制御回路の動作開始から安定までの時間を逐一待機する必要がないので、所定の信号受信が可能となっている受信チャンネルを高速に見つけることが出来るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電波受信装置2の回路構成を示すブロック図、図2は、図1の受信回路部が搭載される電波時計の全体構成を示すブロック図である。
【0020】
第1実施形態の電波受信装置2は、日本や各国で送信されている時刻コードを含んだ標準電波の受信を行うものであり、この標準電波により時刻の修正を自動的に行う電波時計1に搭載されるものである。
【0021】
この実施の形態の電波受信装置2は、図2に示すように、コア材にコイルを巻回してなる標準電波用のアンテナ8と、時刻コードの受信処理を行う受信回路部10と、受信した時刻コードの解析を行うマイクロコンピュータ30とから構成される。
【0022】
受信回路部10は、図1に示すように、アンテナ8から入力した信号を増幅するRFアンプ11と、複数並列に形成されたフィルタ回路12a,12b〜12xと、フィルタ回路12a,12b〜12xの前段に設けられたインピーダンス調整用のバッファ回路(電圧バッファ)13a,13b〜13xと、フィルタ回路12a,12b〜12xを通過した信号をそれぞれ増幅する中間アンプ15a,15b〜15xと、中間アンプ15a,15b〜15xの出力から時刻コードの復調をそれぞれ行う検波回路16a,16b〜16xと、検波回路16a,16b〜16xの信号からその平均的な信号レベルを表わすAGC(自動ゲイン制御)信号を生成するAGC回路17a,17b〜17xと、複数のAGC信号の中から1個を選択的にRFアンプ11に出力してRFアンプ11の利得を制御するRF−AGC回路18と、電源31から各々のバッファ回路13a,13b〜13xへの電源電圧の供給と停止とを切り換え可能な選択スイッチ20等を備えている。
【0023】
この受信回路部10は、例えば1個の半導体チップに集積して構成することが出来るものである。また、受信回路部10のうちRFアンプ11を除いた残りの部分を1個の半導体チップ上に集積するようにしても良い。また、フィルタ回路12a,12b〜12xが、その他の回路とともに1個の半導体チップ上に集積できない場合には、フィルタ回路12a,12b〜12xから配線を引き出して前後の回路と接続する構成とする。この場合、必要に応じてフィルタ回路12a,12b〜12xの前後にバッファ回路を設けて信号の劣化を防ぐように構成すると良い。
【0024】
フィルタ回路12a,12b〜12xは、例えば、MEMS技術(LSIの微細加工技術を応用して3次元の可動部位を形成する技術)によって、基板上に、特定周波数で共振する複数の共振子と、これら共振子に沿って電気信号を通過させる信号線とを形成してなるMEMSフィルタである。このようなMEMSフィルタは、実装面積が小さく信号の通過帯域の狭い高精度なバンドパス特性を有するものである。
【0025】
複数のフィルタ回路12a,12b〜12xは、上記共振子のサイズや組み合わせをそれぞれ異ならせて形成することで、それぞれバンドパス周波数が異なるものとなっている。バンドパス周波数は、例えば、日本の標準電波の周波数である40kHzや60kHz、各国の標準電波の周波数である75kHz、77.5kHz、長波帯などに形成されている。また、微調整用に僅かに通過周波数帯を異ならせたフィルタ回路を含ませるようにしても良い。
【0026】
これら複数のフィルタ回路12a,12b〜12xは、RFアンプ11の後段に設けられ、RFアンプ11で増幅された信号がバッファ回路13a,13b〜13xを介して入力されるようになっている。また、各フィルタ回路12a,12b〜12xの後段には、抵抗等の素子R1a,R1b〜R1x,R2a,R2b〜R2xが接続されてインピーダンス調整がなされている。
【0027】
検波回路16a,16b〜16xは、振幅変調された時刻コードを復調処理する回路である。
【0028】
AGC回路17a,17b〜17xは、検波回路16a,16b〜16xの出力をそれぞれ入力して、これらの平均的な信号レベルを表わすAGC信号を生成して出力するものである。すなわち、AGC回路17a,17b〜17xは、検波回路16a,16b〜16xの出力を一定時間積分してAGC信号を生成する必要があることから、検波回路16a,16b〜16xの出力がない状態から、検波回路16a,16b〜16xの信号が入力されて自動ゲイン制御が安定するまでに、数秒から十数秒の時間を要するものである。
【0029】
アンプ15a,15b〜15xは、入力されるAGC信号がほぼ一定レベルに維持されるように、AGC信号のレベルが低いときに増幅率を上げ、AGC信号のレベルが高いときに増幅率を低下させるように動作するものである。なお、各中間アンプ15a,15b〜15xの最大利得は、標準電波が通常に受信できる状態で信号レベルを十分に高くすることのできる値に設定されており、微小なノイズしか受信できない状況では、信号レベルがさほど高くならない段階で利得が最大値に達するような特性にされている。
【0030】
RF−AGC回路18は、各AGC信号のうち受信信号の信号レベルが最大を表わしているAGC信号、すなわち、利得をもっとも低下させるAGC信号を選択して出力する回路である。このような回路は、例えば、複数のAGC信号の中から任意の1個のAGC信号を出力するセレクタ回路と、各AGC信号の大小を検出する複数のコンパレータと、これら複数のコンパレータの各出力に基づき信号レベルが最大となるAGC信号が選択されるようにセレクタ回路の選択信号を生成するエンコーダ等から構成することが出来る。
【0031】
選択スイッチ20は、マイクロコンピュータ30の制御に基づき、フィルタ回路12a,12b〜12xの前段の各バッファ回路13a,13b〜13xにそれぞれ電源電圧を供給したり遮断したりすることを可能とするものである。すなわち、この電源電圧の供給と遮断により、各受信チャンネルの回路(フィルタ回路、中間アンプ、検波回路)の動作をアクティブにしたり非アクティブにしたりすることが可能になっている。
【0032】
そして、マイクロコンピュータ30の制御により、電源電圧が全てのバッファ回路13a,13b〜13xに供給されるように選択スイッチ20が設定されることで、受信信号が全てのフィルタ回路12a,12b〜12x、中間アンプ15a,15b〜15x、検波回路16a,16b〜16xを通過して、全ての検波回路16a,16b〜16xから出力される復調信号がマイクロコンピュータ30に入力されるようになっている。
【0033】
また、マイクロコンピュータ30の制御により、電源電圧が1個のバッファ回路13xのみに供給され、他のバッファ回路13a〜13wへの電源電圧の供給が遮断されると、受信信号は一つの連なるバッファ回路13x、フィルタ回路12x、中間アンプ15x、検波回路16xのみに通過して、この検波回路16xにより出力された1個の復調信号のみがマイクロコンピュータ30に入力されるようになっている。
【0034】
マイクロコンピュータ30には、各検波回路16a,16b〜16xから入力される信号をデジタル信号に変換するADコンバータや、制御プログラムを実行して時刻コードの解析を行うCPU(中央演算処理装置)を備え、各検波回路16a,16b〜16xから入力される復調信号から時刻コードの解析を行うことが可能にされている。
【0035】
また、図2に示すように、この実施の形態の電波時計1には、上述の無線受信装置の構成に加えて、現在時刻の計時を行う計時回路部33と、この計時回路部33に所定周期の発信信号を供給する発振回路部32と、マイクロコンピュータ30内のCPUにより実行される制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)37と、CPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)38と、ユーザからの操作入力を受ける複数の操作ボタン等を有する入力部35と、時刻表示等を行う表示部36等が設けられている。
【0036】
次に、上記の電波受信装置2の動作について説明する。
【0037】
図4は、マイクロコンピュータ30のCPUにより実行される時刻受信処理のフローチャート、図5は、図4のステップS3の同調モード処理のフローチャートである。また、 図3には、同調モードの際に受信回路部10で受信した複数周波数帯の信号の一例を示す波形図を示す。
【0038】
例えば、予め設定されていた時刻になるか、或いは、ユーザからの操作入力があって、標準電波の受信要求が出されると、図4の時刻受信処理がマイクロコンピュータ30のCPUによって開始される。
【0039】
この時刻受信処理が開始されると、先ず、前回の同調モードの切換状態をRAM38等から読み出して、その切換状態で受信回路部10を起動する(ステップS1)。すなわち、前回の同調モードで時刻コードの解析ができた受信チャンネルの周波数で信号受信がなされるように、選択スイッチ20の設定状態を制御して、この受信チャンネルのバッファ回路13nのみに電源電圧を供給する。
【0040】
これにより、前回の同調モードで時刻コードの解析が可能であった受信チャンネルに対応するフィルタ回路12n、中間アンプ15n、検波回路16nのみに、受信信号が通過して、その復調信号がマイクロコンピュータ30に入力される。また、検波回路16nの出力に基づきAGC回路17nによりAGC信号が生成されて、対応する中間アンプ15nとRFアンプ11とに供給され、利得制御が行われる。なお、この状態では、受信チャンネル以外の検波回路には信号入力がなされないので、RF−AGC回路18で選択されるAGC信号は、受信信号が入力されている検波回路16nに対応したAGC信号となる。
【0041】
そして、上記のような電波受信処理がなされたら、次に、検波回路16nからの復調信号に基づき時刻コードが受信されているか解析処理により確認する(ステップS2)。そして、例えば電波状態が前回の同調モードのときと変更されてなく、時刻コードの受信が確認できたら、そのまま時刻コードを受信を行う(ステップS5)。一方、例えば、九州地方から東北地方へ移動して標準電波の周波数が変更されているなど、電波状態が前回の同調モードのときと変更されていて、時刻コードの受信が確認できない場合には、時刻コードの受信が可能な受信チャンネルを探索する同調モード処理(ステップS3)に移行する。
【0042】
そして、同調モード処理でエラーなく同調処理が完了すれば、ステップS4のエラー判別処理でステップS5に移行して、同調後の受信チャンネルで時刻コードの受信処理を実行する。また、同調モード処理で同調が完了せずにエラーとなった場合には、今回の時刻コードの受信を断念してこの時刻受信処理を終了する。
【0043】
また、ステップS5で時刻コードの受信処理が完了したら、受信回路部10の駆動を停止し(ステップS6)、計時回路部33の時刻情報を時刻コードに基づき修正して(ステップS7)、この時刻受信処理を終了する。
【0044】
上記ステップS3の同調モード処理は次のように実行される。
【0045】
時刻コードの受信が確認できずに同調モード処理(図4のステップS3)に移行すると、図5に示すように、先ず、選択スイッチ20の設定を変更して、全てのバッファ回路13a,13b〜13xに電源電圧を供給する(ステップS11)。
【0046】
これにより、全ての受信チャンネルのフィルタ回路12a,12b〜12x、中間アンプ15a,15b〜15x、検波回路16a,16b〜16xに受信信号が入力され、各復調信号がマイクロコンピュータ30に入力されることとなる。また、このとき、全てのAGC信号の中から最も受信信号の信号レベルが高くなる受信チャンネルに対応するAGC信号がRFアンプ11に供給されることとなる。
【0047】
そして、このような回路動作によって、図3に示すように、マイクロコンピュータ30に入力される全ての復調信号a,b〜xは、強い標準電波が受信されている受信チャンネルの復調信号bについては、信号レベルが一定の時刻コードの表された信号となるが、その他の受信チャンネルの復調信号a、…xについては、信号レベルの小さなノイズが現われた信号となる。
【0048】
このような受信処理を行わせたら、次いで、マイクロコンピュータ30内のCPUは、これらの復調信号a〜xから、時刻コードと確認できる信号の有無を解析処理により判別し(ステップS12)、確認ができなければこの解析処理を所定時間が経過するまで繰り返す(ステップS13)。そして、時刻コードの受信が確認されたら、ステップS14に移行して、時刻コードの受信ができた受信チャンネル以外のバッファ回路13a,13b〜13xに対して、選択スイッチ20を制御して電源電圧の供給を停止させる(ステップS14)。そして、この切り換え状態をRAM38等に保存して(ステップS16)、この同調モード処理を終了する。
【0049】
一方、所定時間が経過しても時刻コードの受信が確認できなければ、エラー設定等を行って(ステップS15)、この同調モード処理を終了する。
【0050】
以上のように、この実施の形態の電波受信装置2によれば、複数の受信チャンネルで標準電波の受信を行うことができるとともに、何れの受信チャンネルで標準電波が受信できるか探索する場合に、標準電波が受信される受信チャンネルの探索を高速に行うことが出来る。例えば、受信チャンネルを切り換えて1チャンネルごとに受信信号を検証していたのでは、その切り換え時にAGCが安定するまでに数秒〜十数秒の時間を要するため、全ての受信チャンネルに切り換えて受信信号を検証するのに長い時間を要するが、上記実施形態の構成によれば、複数の受信チャンネルにそれぞれAGC回路17a,17b〜17xや検波回路16a,16b〜16xが設けられ、それぞれが同時に駆動した状態で、各受信チャンネルの信号を検証することが出来るので、上記のような長い時間を必要とせずに、速やかに時刻コードの受信できる受信チャンネルを探索することが出来る。
【0051】
なお、図1の電波受信装置2の回路構成において、フィルタ回路12a,12b〜12xの後段にインピーダンス調整用のバッファ回路13Ba,13Bb〜13Bxを設けたり、このバッファ回路13Ba,13Bb〜13Bxの代わりに中間アンプ15a,15b〜15xを省略するように構成することも出来る。
【0052】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態の電波受信装置2Bの回路構成を示すブロック図である。
【0053】
第2実施形態の電波受信装置2Bは、アンテナ8の同調周波数を変更する同調周波数切換回路22を加えたものであり、その他の構成は、第1実施形態のものとほぼ同様である。また、バッファ回路13a,13b〜13xに電源電圧を供給したり遮断したりする選択スイッチ20についても、図示は省略しているが、第1実施形態と同様に備わっているものである。
【0054】
同調周波数切換回路22は、例えば、アンテナ8のコイルの両端に並列接続可能にされた複数の容量素子と、この容量素子の接続をオン・オフする半導体スイッチなどから構成されるものである。同調周波数切換回路22によって切り換えられるアンテナ8の同調周波数は、複数のフィルタ回路12a,12b〜12xの各通過周波数帯と対応する関係(すなわち同一の周波数帯となるように)に設計されている。
【0055】
また、マイクロコンピュータ30は、同調モードの際に、時刻コードの1個のデータパルスの送信周波数(例えば1Hz)よりも十分に早い周波数で、同調周波数切換回路22の切り換えを行うようになっている。例えば、10msごとに同調周波数切換回路22の切り換えを行うようになっている。
【0056】
また、この第2実施形態の電波受信装置2Bの回路構成において、RF−AGC回路18の機能は、信号レベルが最大を表わすAGC信号を選択的にRFアンプ11に供給する機能から、マイクロコンピュータ30からのAGC切換制御信号によってRFアンプ11に供給されるAGC信号を選択的に切り換える機能に変更しても良い。
【0057】
このようにRF−AGC回路18の機能を変更した場合、マイクロコンピュータ30は、同調周波数切換回路22の切り換えと同期させて、RF−AGC回路18の選択の切り換えを行うこととなる。また、RFアンプ11に供給されるAGC信号は、同調周波数切換回路22により選択された同調周波数と対応した通過周波数を有するフィルタ回路12a,12b,12cを通過した受信信号により生成されたAGC信号となるように、RF−AGC回路18の選択が切り換えられるようにされる。
【0058】
図7は、同調モード時におけるRFアンプの出力Rxを時系列で説明する波形図、図8は、同調モード時における各フィルタ回路に入力される信号Rxを各周波数帯で分離して示した波形図、図9は、同調モード時における各フィルタ回路を通過した信号fa〜fcを示した波形図である。
【0059】
上記のような構成によれば、同調モードの際に、アンテナ8の同調周波数が短いサイクルで切り換えられ、例えば、受信チャンネルが3個の場合には、RFアンプ11の出力信号Rxは、図7に示すような信号となる。すなわち、ノイズのみ受信される第1受信チャンネルの周波数帯の信号Rxaと、時刻コードが含まれる第2受信チャンネルの周波数帯の信号Rxbと、ノイズのみ受信される第3受信チャンネルの周波数帯の信号Rxcとが、10msごとに切り換わるような信号となる。ノイズのみの信号は信号レベルが低く、時刻コードが含まれる信号は信号レベルが高くなる。
【0060】
そして、このような信号Rxが3つのフィルタ回路12a,12b,12cに入力される。ここで、この出力信号Rxを各フィルタ回路12a,12b,12cを通過する周波数帯の信号にそれぞれ分離して示すと、図8の各信号Rxa,Rxb,Rxcのようになる。そして、このようなRFアンプ11の出力信号Rxが各フィルタ回路12a,12b,12cを通過すると、図9に示すように、エンベロープがなまった形の信号fa〜fcとなる。そして、この信号を中間アンプ15a,15b,15cで増幅して、検波回路16a,16b,16cで振幅復調することで、図3で示したような各受信チャンネルにおける復調信号が得られる。
【0061】
図10には、本発明の第2実施形態における同調モード処理のフローチャートを示す。
【0062】
この実施形態の同調モード処理は、第1実施形態の同調モード処理(図5)とほぼ同様の処理であり、相違点としては、ステップS11で全てのバッファ回路13a,13b,13cを駆動した後に、アンテナ8の同調周波数(並びに、RF−AGC回路18におけるAGC信号の選択)の切換制御を開始させる処理(ステップS20)を挿入するのと、時刻コードの受信を確認した後に、上記の切換制御を停止させる処理(ステップS21)を挿入した点だけである。
【0063】
すなわち、同調モードの際に、ステップS20の切換制御を開始させることで、アンテナ8の同調周波数やRF−AGC回路18のAGC信号の選択切換が、例えば10msごとに行われる。そして、それにより上述したように、図7の出力信号Rxが複数のフィルタ回路12a,12b,12cに入力され、それぞれの受信周波数の信号のみが通過されて、中間アンプ15a,15b,15cを介して検波回路16a,16b,16cへ送られる。その結果、第1実施形態で示したのと同様の復調信号が各検波回路16a,16b,16cからマイクロコンピュータ30に送られて、マイクロコンピュータ30で何れの受信チャンネルで時刻コードの受信がなされているか確認することが出来る。そして、時刻コードの受信がなされた受信チャンネルの確認ができたら、ステップS21で、アンテナ8の同調周波数とRF−AGC回路18のAGC信号の選択切換を停止させ、第1実施形態の同調モード処理と同様の後処理を行って同調モードから抜ける。
【0064】
この実施形態の電波受信装置2Bによれば、アンテナ8の受信帯域が狭いような場合でも、複数の受信チャンネルに応じてアンテナ8の同調周波数を切り換えながら信号受信を行って、全ての受信チャンネルの中から、時刻コードの受信が可能な受信チャンネルを探索することができるという効果が奏される。
【0065】
また、アンテナ8の同調周波数を切り換えることで、各フィルタ回路12a,12b,12cを通過する信号のレベルが同調周波数の切換周期で大きく変動するが、フィルタ回路12a,12b,12cや検波回路16a,16b,16cを経た信号には、その影響が排除されるので、各AGC回路17a,17b,17cには、常に検波回路16a,16b,16cからの復調信号が入力され、AGCは常に安定した状態となる。それゆえ、受信チャンネルを切り換える際に、AGC信号が安定するのを待機する必要がなく、複数の受信チャンネルから時刻コードの受信できる受信チャンネルを高速に探索することができるという効果が奏される。
【0066】
[第3実施形態]
図11は、本発明の第3実施形態の電波受信装置2Cを示すブロック図である。
【0067】
第3実施形態の電波受信装置2Cは、中間アンプ26とAGC回路27を1個のみ設け、これを選択スイッチ23〜25により各受信チャンネルの信号に切り換えて使用するようにしたもので、その他の構成は、第2実施形態の電波受信装置2Bとほぼ同様の構成である。同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。また、電源電圧を供給したり遮断したりする選択スイッチ20についても、図11では省略しているが、第1実施形態と同様に備わっているものである。
【0068】
第3実施形態では、複数の受信チャンネルに対応するフィルタ回路12a,12b,12c、および検波回路16a,16b,16cの間に、選択スイッチ23,24をそれぞれ介して1個の中間アンプ26が設けられている。また、選択スイッチ23を介在させるためフィルタ回路12a,12b,12cの後段にはバッファ回路14a,14b,14cを挿んでいる。
【0069】
さらに、検波回路16a,16b,16cからの複数の出力は、その何れか1つが選択スイッチ25を介して1個のAGC回路27に出力されるようになっている。そして、このAGC回路27により、選択スイッチ25から入力される信号の平均的な信号レベルを表わすAGC信号が生成され、このAGC信号が、中間アンプ26と、RFアンプ11に供給されて、信号レベルを一定に保つようなゲイン制御がなされるようになっている。なお、上記のAGC信号は、RF−AGC回路28により、特性を変化させてRFアンプ11に出力するようにしても良い。
【0070】
選択スイッチ23〜25は、例えば、MOSトランジスタなどの半導体スイッチを複数形成して構成されるものである。
【0071】
第3実施形態において、同調周波数切換回路22と選択スイッチ23〜25とは、マイクロコンピュータ30により、時刻コードの1個のデータパルスの送信周波数(例えば1Hz)よりも十分に早い周波数(例えば100Hz)で、それぞれ同期して切り換えられるようになっている。この切換制御は、同調モードの際に行われる。
【0072】
また、各選択スイッチ23〜25の切換内容は、同調周波数切換回路22により切り換えられたアンテナ8の同調周波数と、中間アンプ26に接続されるフィルタ回路(12a〜12cの何れか)のバンドパス周波数とが対応するように、且つ、中間アンプ26と接続される検波回路(16a〜16cの何れか)が中間アンプ26と接続されたフィルタ回路と対応するものとなるように、且つ、この中間アンプ26と接続された検波回路(16a〜16cの何れか)からの出力がAGC回路27に出力されるように、それぞれ切り換えられるものである。
【0073】
このような構成においても、同調モードの際に、複数の受信チャンネルの信号を短い周期で切り換ながら受信して、各検波回路16a,16b,16cから各受信チャンネルにおける受信信号の復調信号を得ることが可能となる。そして、それにより、何れの受信チャンネルで時刻コードが正常に受信できるか探索可能となるという効果が奏される。
【0074】
また、フィルタ回路12a,12b,12cから検波回路16a,16b,16cに信号を送る経路が選択スイッチ23,24により切り換えられることで、各フィルタ回路12a,12b,12cや各検波回路16a,16b,16cを通過する信号が断続的なものとされるが、検波回路16a,16b,16cでは、振幅復調の処理によりこの短い信号の入力断は復調信号にさほど影響を与えず、また、AGC回路27には常に複数の検波回路16a,16b,16cの出力が切り換えられながら入力されることとなる。従って、AGC回路27は常にAGC動作を行った状態にされるので、AGC動作が停止して復帰から安定するまで長い時間を要するといった事態にならず、それゆえ、複数の受信チャンネルから時刻コードの受信できる受信チャンネルを高速に探索できるという効果が同様に奏される。
【0075】
なお、本発明は、上記第1〜第3の実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、フィルタ回路12a,12b〜12xとしてMEMSフィルタを例示したが、受信チャンネルが少なければ水晶フィルタなどを用いることも出来る。また、上記実施の形態では、時刻コードの解析処理、同調周波数の切換制御、選択スイッチ23〜25の切換制御を、1つのマイクロコンピュータ30で行っているが、上記切換制御は別の制御回路に行わせるようにしても良い。また、時刻コードの通常の受信処理において、使用しない受信チャンネルの回路を非アクティブとするのに、バッファ回路13a,13b〜13xの電源電圧を供給したり遮断したり切り換える手段を用いているが、信号線を接続・切断する手段としたり、使用しない受信チャンネルの中間アンプ15a,15b〜15xや検波回路16a,16b,16cへの電源電圧の供給を遮断するような手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態の受信回路部とその周辺の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1の受信回路部が搭載される電波時計の全体構成を示すブロック図である。
【図3】同調モードの際に受信回路部10で受信した複数周波数帯の信号の一例を示す波形図である。
【図4】マイクロコンピュータにより実行される時刻受信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS3の同調モード処理のサブルーチン処理の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の受信回路部とその周辺の回路構成を示すブロック図である。
【図7】同調モード時における図6のRFアンプの出力Rxを時系列で説明する波形図である。
【図8】同調モード時における各フィルタ回路に入力される信号Rxを各周波数帯で分離して示した波形図である。
【図9】同調モード時における各フィルタ回路を通過した信号fa〜fcを示した波形図である。
【図10】本発明の第2実施形態における同調モード処理の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態の受信回路部とその周辺の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
1 電波時計
2,2B,2C 電波受信装置
8 アンテナ
10 受信回路部
11 RFアンプ
12a,12b〜12x フィルタ回路
13a,13b〜13x バッファ回路
14a,14b〜14x バッファ回路
15a,15b〜15x 中間アンプ
16a,16b〜16x 検波回路
17a,17b〜17x AGC回路
18 RF−AGC回路
21 電源用の選択スイッチ
22 同調周波数切換回路
23〜25 選択スイッチ
26 中間アンプ
27 AGC回路
28 RF−AGC回路
30 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻コードの含まれる電波の受信を行う電波受信装置であって、
電波を受信するアンテナと、
このアンテナで受信した信号の増幅を行う第1アンプと、
この第1アンプの出力からそれぞれ異なる周波数帯の信号を抽出する複数のフィルタ回路と、
これら複数のフィルタ回路に対応して各フィルタ回路の出力から前記時刻コードの復調をそれぞれ行う複数の検波回路と、
これら複数の検波回路に対応して各検波回路の出力信号の平均的な信号レベルを表わすゲイン制御信号をそれぞれ生成する複数の自動ゲイン制御回路と、
これら複数の自動ゲイン制御回路から出力される複数のゲイン制御信号の中から信号レベルの最大を表わす1つのゲイン制御信号を選択する第1セレクタと、
前記複数の検波回路の出力をそれぞれ入力して時刻コードの解析が可能な演算処理手段と、
を備え、
前記第1セレクタにより選択された1つのゲイン制御信号が前記第1アンプに供給されて、前記複数の検波回路から出力される信号レベルが過大にならないように前記第1アンプの増幅率が制御されるとともに、
前記演算処理手段は、
前記複数の検波回路の各々の出力の中から時刻コードの解析が可能となる出力を選択して、該出力から前記時刻コードの解析を行うことを特徴とする電波受信装置。
【請求項2】
前記アンテナの同調周波数を前記フィルタ回路の通過周波数に対応させて複数種に切換可能な同調周波数切換回路と、
前記同調周波数切換回路の切換え制御を行う切換制御回路と、
前記切換制御回路は、
前記同調周波数を前記時刻コードのデータ送信周波数より早い周波数で切り換えることを特徴とする請求項1記載の電波受信装置。
【請求項3】
前記第1セレクタの代わりに、前記複数の自動ゲイン制御回路から出力される複数のゲイン制御信号の中からセレクト信号により指定されるゲイン制御信号を出力して前記第1アンプに供給する第2セレクタを備え、
前記切換制御回路は、
前記同調周波数の切り換えと前記ゲイン制御信号の切り換えとを同期させて、且つ、前記第2セレクタで選択されるゲイン制御信号が、前記アンテナの同調周波数に対応した通過周波数を有する前記フィルタ回路を通過した信号に基づき生成されるゲイン制御信号となるように、前記セレクト信号の切り換えを行うことを特徴とする請求項2記載の電波受信装置。
【請求項4】
前記複数のフィルタ回路に対応して各フィルタ回路の信号をそれぞれ増幅して前記複数の検波回路にそれぞれ出力する複数の第2アンプを備え、
前記複数の自動ゲイン制御回路により生成された複数のゲイン制御信号が、対応する前記検波回路に信号を出力している前記第2アンプにそれぞれ供給され、対応する前記検波回路の出力レベルが過大にならないように当該第2アンプの増幅率がそれぞれ制御されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電波受信装置。
【請求項5】
前記複数のフィルタ回路はMEMSフィルタからそれぞれ構成され、
該MEMSフィルタの前段にはインピーダンス調整用のバッファ回路が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電波受信装置。
【請求項6】
時刻コードの含まれる電波の受信を行う電波受信装置であって、
電波を受信するアンテナと、
前記アンテナの同調周波数を複数種に切換可能とする同調周波数切換回路と、
前記アンテナで受信した信号の増幅を行う第1アンプと、
この第1アンプの出力から前記複数の同調周波数に対応して異なる周波数帯の信号をそれぞれ通過させる複数のフィルタ回路と、
前記複数のフィルタ回路の出力を増幅する第3アンプと、
前記複数のフィルタ回路の出力のうち1つを選択して前記第3アンプへ出力する第1選択スイッチと、
前記複数のフィルタ回路に対応して前記第3アンプを介した各フィルタ回路の出力から前記時刻コードの復調をそれぞれ行う複数の検波回路と、
前記第3アンプの出力を前記複数の検波回路の1つに選択的に出力する第2選択スイッチと、
出力信号の平均的な信号レベルを表わすゲイン制御信号を生成する自動ゲイン制御回路と、
前記複数の検波回路の出力信号のうち1つを選択して前記自動ゲイン制御回路へ供給する第3選択スイッチと、
前記複数の検波回路の出力をそれぞれ入力して時刻コードの解析を行う演算処理手段と、
前記同調周波数切換回路と前記第1〜第3選択スイッチの切換制御をそれぞれ行う切換制御回路と、
を備え、
前記切換制御回路は、
前記第3アンプに接続される前記フィルタ回路の通過周波数が前記アンテナの同調周波数と対応するように、且つ、前記第3アンプに接続される前記フィルタ回路および前記検波回路が対応したものとなるように、且つ、前記第3アンプに接続された前記検波回路の出力が前記自動ゲイン制御回路に供給されるように、前記同調周波数切換回路と前記第1〜第3選択スイッチとをそれぞれ同期させて、前記時刻コードのデータ送信周波数より早い周波数で切り換え、
前記演算処理手段は、
前記複数の検波回路の各々の出力から時刻コードの解析が可能となる出力を選択して、該出力から前記時刻コードの解析を行うことを特徴とする電波受信装置。
【請求項7】
前記複数のフィルタ回路はMEMSフィルタからそれぞれ構成され、
該MEMSフィルタの前段と後段にはインピーダンス調整用のバッファ回路がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6記載の電波受信装置。
【請求項8】
電波受信処理の制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、
時刻コードの含まれる電波の受信チャンネルを探索する同調モードの際に、前記切換制御回路により切換制御を実行させて時刻コードの信号受信が可能となる受信チャンネルを探索させ、
前記時刻コードの受信を行う時刻受信モードの際には、前記同調モードで探索された受信チャンネルの切換状態に固定して電波の受信を行わせることを特徴とする請求項2,3,6の何れか1項に記載の電波受信装置。
【請求項9】
1つの受信チャンネルの回路のみをアクティブにし、他の受信チャンネルの回路を非アクティブに切り換えることが可能な切換スイッチを有し、
前記制御手段は、
前記時刻受信モードの際に、前記切換スイッチにより、使用しない受信チャンネルの回路を非アクティブに切り換えることを特徴とする請求項8に記載の電波受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−27439(P2009−27439A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188317(P2007−188317)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】