電波吸収体
【課題】所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を提供すること。
【解決手段】電波吸収体1は、第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層2とを備え、前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層2の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下である。
【解決手段】電波吸収体1は、第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層2とを備え、前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層2の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電波吸収体に関し、特に、λ/4型電波吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話、無線LANなどの無線通信の発達に伴い、通信情報の漏洩や電磁干渉を防止するため、オフィスビル等の壁材や間仕切りなどに電波吸収体が利用されている。電波吸収体は、磁性損失、誘電体損失、抵抗損失などの材料特性を利用して、電磁波エネルギーを熱に変換し、消費する。
【0003】
そのため、種々の構成の電波吸収体が知られているが、その一つにλ/4型電波吸収体がある。一般的なλ/4型電波吸収体は、誘電体層の片面全体に導体膜を、誘電体層の反対側の面全体に空気のインピーダンス377Ωに近い値のシート抵抗を有する抵抗膜を備えた構成を有する。このような構成により、誘電体層の厚さが波長の1/4に等しくなる周波数の電磁波は反射されずに全て吸収されるため、λ/4型電波吸収体と呼ばれる。
【0004】
ところで、日本の携帯電話は第2世代から第3世代への移行に伴い、使用周波数の確保が重要な課題となっている。第3世代では、主に800MHz帯(815〜850MHz)及び2GHz帯(1.92〜1.98GHz)が使用されているが、上記問題に対処するため、一部では、1.7GHz帯(1.75〜1.88GHz)も使用されている。さらに、第2世代で使用されている1.5GHz帯(1.43〜1.53GHz)の第3世代での使用も検討されている。こうした背景から、1つの電波吸収体で広帯域の電波を吸収し、マルチパスによる通信品質劣化を防止する必要性が生じてきた。
【0005】
上記λ/4型電波吸収体は、構成が簡易であるという長所を有する反面、吸収できる周波数帯域幅が狭いという短所を有する。例えば、無線LAN用2.45GHz帯向けのλ/4電波吸収体では、吸収量−15dBにおける吸収周波数帯域幅が1.92〜2.98GHzであり、2.45GHz帯(2.4〜2.5GHz)の他、第3世代携帯電話用の2GHz帯(1.92〜2.2GHz)及びWimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の2.5GHz帯(2.55〜2.63GHz)などしか包含することができない。これに対し、誘電体層の片面全体に形成された抵抗膜に代えて、当該片面上の抵抗膜をパターニングし、吸収周波数帯域を広げたλ/4型電波吸収体が開示されている(特許文献1〜3参照)。また、関連する先行技術文献として特許文献4を挙げることができる。
【特許文献1】特開2006−203147号公報
【特許文献2】特開2006−73924号公報
【特許文献3】特開2006−336416号公報
【特許文献4】米国特許第7256753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの特許文献においても、所望の吸収周波数帯域幅を実現するために必要な抵抗体のパターンサイズやシート抵抗値等のパラメータは開示されていない。そのため、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を得ることができなかった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1に係る電波吸収体は、第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層とを備えた電磁波吸収体であって、前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の態様2に係る電波吸収体は、上記発明の態様において、前記パターンは幾何学図形であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の態様3に係る電波吸収体は、上記発明の態様において、前記幾何学図形は十文字形状であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の態様4に係る電波吸収体は、誘電体層と、前記誘電体層の第1の面の略全面に形成された導体層と、前記誘電体層の第2の面に互いに離間して複数形成された抵抗体パターンからなり、前記第2の面の一部を被覆するパターン層とを備えたλ/4型電波吸収体であって、前記抵抗体パターンの形状、前記抵抗体パターンのシート抵抗、及び前記第2の面全体の面積に対する前記パターン層により被覆された領域の面積比に基づいて、吸収される周波数帯域幅を80%以上としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
実施の形態1
図1及び2を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るλ/4型電波吸収体の平面図である。図2は、図1におけるII−II切断線による断面図である。図1に示すように、実施の形態に係るλ/4型電波吸収体は、誘電体層1、抵抗体パターン層2、導体層3を備える。
【0015】
誘電体層1は、絶縁材料からなり、抵抗体パターン層2および導体層3を支持できるものであれば、特に制限されない。例えば、ガラス、プラスチック、ゴム、ウレタンなどの絶縁材料やこれらの複合材料を用いることができる。また、難燃性の材料を用いることが好ましい。さらに、硬質のものだけではなく軟質のものを用いることもできる。例えば、ガラス繊維からなるシートなどを用いてもよい。
【0016】
抵抗体パターン層2は、1〜400Ω/□程度のシート抵抗が得られる導電材料からなる。この程度のシート抵抗を得ることができる材料であれば、特に制限されない。ここで、シート抵抗は、材料固有の比抵抗ρと抵抗体パターン層2の厚さtを用いて、ρ/tで表される。すなわち、抵抗体パターン層2の厚さtと比抵抗ρとを制御することによって、所望のシート抵抗を得ることができる。例えば、厚さ100μm、比抵抗1×10−2Ωmの材料を用いた場合、シート抵抗は100Ω/□となる。現実的には、ある程度の厚さtが必要であるから、上記シート抵抗を得るには、比較的比抵抗の大きい導電材料を用いる必要がある。具体的には、抵抗体パターン層2として、酸化インジウム(In2O3)、酸化錫(SnO2)、これらの混合物である酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)などからなる透明導電膜やカーボン膜などを用いることができる。
【0017】
抵抗体パターン層2は、フォトリソグラフィ法、スクリーン印刷、マスクを用いたスパッタリングや真空蒸着などにより形成することができる。また、抵抗体パターン層2を誘電体層1に直接形成せずに、樹脂膜上にパターンを形成し、その樹脂膜を誘電体層1に貼り付けてもよい。
【0018】
抵抗体パターン層2は、複数の同一形状の抵抗体パターンから構成されている。本実施の形態では、各パターンは十字形状に形成されている。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点を対称の中心として点対称である。より詳細には、抵抗体パターン層2a、2b、2cに注目すると、横方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2bとはP1を対称の中心として点対称である。縦方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2cとはP2を対称の中心として点対称である。また、斜め方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2cとはP3を対称の中心として点対称である。このように対称性を有する抵抗体パターンの配置とすることで、吸収周波数帯域幅を制御しやすくなる。図1に示すように、各十字パターンは長さL、幅Wの2つの長方形が直角に交差した形状を有している。そして、この各十字パターンを構成するL×Wの長方形が、縦方向及び横方向の両方向において、長手方向に一直線上に3個ずつ等間隔Gで配列されている。すなわち、縦横3個ずつ合計9個の十字パターンが形成されている。当然のことながら、上記個数はこれに限定されるものではない。また、中央部において、正方形状の点線で囲まれた領域は単位セル4を意味し、この単位セル4が繰り返し配列されている。つまり、図1に示した電波吸収体は9個の単位セル4から構成されている。
【0019】
ここで、単位セル4の一辺の長さは(L+G)であるから、単位セル4の面積S1=(L+G)2である。一方、1つの十字パターンの面積S2={(L−W)/2×W}×4+W2となる。よって、抵抗体パターン層2の形成領域を含む誘電体層1全体の面積に対する抵抗体パターン層2形成領域の面積比S2/S1×100%を求めることができる。
【0020】
導体層3は、比抵抗10−8〜10−5Ωmの導電材料体からなり、誘電体層1の片面の略前面に形成されている。金属であれば、上記比抵抗を満たすため、特に制限されない。特に、金、銀、銅、アルミニウムなど比抵抗の小さい金属からなる薄膜を用いることが好ましい。導体層3は、めっき、スパッタリング、真空蒸着などにより形成することができる。
【0021】
次に、本発明に係る電波吸収体により吸収される周波数帯域幅について説明する。発明者らは、鋭意研究の結果、上述した「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」とを最適化することにより、所望の吸収周波数帯域幅を得ることができることを見出した。すなわち、所望の吸収周波数帯域幅が得られる「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」との範囲を実験により見出した。
【0022】
ここで、吸収周波数帯域幅bwとは、吸収量−15dBにおける、最大吸収周波数fUと最小吸収周波数fLとの差であり、次式で表される。
bw=fU−fL
また、中心周波数fC=(fU+fL)/2との比を用いて吸収周波数帯域幅BW(%)表示される。すなわち、次式で表される。
BW(%)=bw/fC×100
=(fU−fL)/{(fU+fL)/2}×100
=2×(fU−fL)/(fU+fL)×100
【0023】
次に、実験条件について説明する。全ての実験は、FIT(Finite Integration Theory:有限積分法)を利用した電磁界シミュレーションソフトを用いて行った。図1に示した単位セル4を無限周期配列させ、時間領域ソルバにより計算した。周波数範囲は0〜20GHzとし、計算ポイント数は1001点とした。パターン化されていない全面抵抗膜を備える従来の2.45GHz帯向けλ/4電波吸収体における中心周波数fC0は、fC0=2.45GHzであり、これに対応する中心波長λC0は、λC0=122mmである。この中心波長λC0により規格化すると、本実験では、誘電体層1の厚さt=0.25λC0、パターン長さL=0.50λC0とした。また、その比誘電率εr=1とした。そして、抵抗体パターン層2の厚さは1mmとした。導体層3の厚さは1mmとし、その電気抵抗はゼロとした。当然のことながら、これら諸条件は、これらに限定されるものではない。また、中心周波数が2.45GHz近傍になるような条件とした。このような条件下、「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」とを変化させ、所望の吸収周波数帯域幅が得られる範囲を見出した。具体的には、パターン間隔G及びパターン幅Wを変化させ、「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」を変化させた。
【0024】
抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された従来のλ/4型電波吸収体では、吸収できる周波数帯域幅が狭かった。具体的には、無線LAN用2.45GHz帯向けλ/4電波吸収体では、吸収周波数帯域幅が43%(1.92〜2.98GHz)であり、2.45GHz帯(2.4〜2.5GHz)の他、第3世代携帯電話用の2GHz帯(1.92〜2.2GHz)及びWimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の2.5GHz帯(2.55〜2.63GHz)などしか包含することができなかった。ここで、吸収周波数帯域幅を60%(1.72〜3.19GHz)とすることができれば、1.7GHz帯を完全に包含することができる。さらに、吸収周波数帯域幅を80%(1.47〜3.43GHz)にすることができれば、1.5GHz帯をほぼ包含することができる。
【0025】
図3は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅43%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=0.0028R2+3.7387R+6.2943とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.8358R−11.734とRの一次関数で近似できる。すなわち、抵抗体のシート抵抗が50〜400Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が15〜97%の範囲である。
ここで、図中の6つのプロットにおける吸収周波数帯域幅などの値を下記の表1に示す。表1から明らかなように、上述した一次関数及び二次関数に挟まれた領域に位置するプロット(1)及び(2)の帯域幅は51%若しくは52%であり、周波数帯域幅43%を満たすことがわかる。一方、2つの関数で挟まれていない領域に位置するプロット(3)〜(6)の帯域幅は40%以下であり、周波数帯域幅43%を満たさないことがわかる。ここで、以下のパターンサイズは、2.45GHzの波長λco=122mmで計算した。
【表1】
【0026】
ここで、図3のプロット(1)における帯域幅が51%であることを具体的に説明する。図4(a)は、図3において◆(プロット(1))で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、上述したように、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.29λC0、パターン間隔G=0.49λC0すなわちパターン面積比=21%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、シミュレーションにより吸収周波数帯域幅51%を得た。そして、図4(a)において、破線が−15dBである電波周波数をグラフから読み取った。読み取った値のうち大きい値を最大吸収周波数fU=3.2とした。また、読み取った値のうち小さい値を最小吸収周波数fL=1.9とした。これを上述した帯域幅BWの式に代入すると、2×(3.2−1.9)/(3.2+1.9)×100=50.9となり、帯域幅51%を得た。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された電波吸収体である。
次に、図3のプロット(3)における帯域幅が0%であることを具体的に説明する。図4(b)は、図3において×(プロット(3))で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、上述したように、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.25λC0すなわちパターン面積比=40%であり、これとシート抵抗=200Ω/□から、シミュレーションにより吸収周波数帯域幅0%を得た。ここで、図4(b)において、破線が−15dBの場合がないので、最大及び最小吸収周波数は、いずれも0であり、吸収周波数帯域幅は0%である。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された電波吸収体である。
【0027】
図5は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅60%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.0021R2+4.8382R−19.595とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.8279R−12.522とRの一次関数で近似できる。また、抵抗体のシート抵抗が50〜230Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が20〜75%の範囲である。
【0028】
図6は、図5において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.49λC0すなわちパターン面積比=22%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、吸収周波数帯域幅65%を実現することができる。
【0029】
図7は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅70%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.1209R2+11.506R−138.11とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.9452R−18.948とRの一次関数で近似できる。すなわち、抵抗体のシート抵抗が50〜140Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が20〜45%の範囲である。
【0030】
図8は、図7において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.41λC0すなわちパターン面積比=29%であり、これとシート抵抗=80Ω/□から、吸収周波数帯域幅77%を実現することができる。
【0031】
図9は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅80%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.487R2+35.734R−551.55とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.6537R−11.157とRの一次関数で近似できる。また、抵抗体のシート抵抗が60〜110Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が25〜40%の範囲である。
【0032】
図10は、図9において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.33λC0すなわちパターン面積比=35%であり、これとシート抵抗=85Ω/□から、吸収周波数帯域幅87%を実現することができる。
【0033】
ここで以上に示した、吸収周波数帯域幅43%以上、吸収周波数帯域幅60%以上、吸収周波数帯域幅70%以上、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する、パターン間隔G、パターン幅W、面積比R及びシート抵抗の範囲を表2にまとめて示す。
【表2】
【0034】
実施の形態2
次に、他の実施の形態について説明する。図11に本発明の実施の形態2に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、1つの十字に対し45°回転したもう1つの十字が重なった米印形状である点が異なる。言い換えると、この実施の形態の抵抗体パターンの形状は、それぞれの中点(若しくは重心)が一致した4つの長方形によって構成されている。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。ここでは、当該米印形状を便宜的に「*」形状と記す。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0035】
本実施形態において、パターン長さL=0.49λC0、パターン幅W=0.025λC0、パターン間隔G=0.033λC0とするとパターン面積比R=16%となる。これとシート抵抗=27Ω/□から、吸収周波数帯域幅83%を実現することができる。図12は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0036】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表3に示す。表記方法は無線LANの周波数2.45GHzの波長λC0(=122mm)で規格化している。なお、このときのパターン長Lは0.50λC0である。
【表3】
【0037】
図19は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0445R2+0.4856R+12.74で近似でき、シート抵抗下限=0.0325R2+0.073R+9.5636で近似できる。
【0038】
図20は、図19において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.049λC0、パターン間隔G=0.0082λC0すなわちパターン面積比=34%であり、これとシート抵抗=75Ω/□から、吸収周波数帯域幅56%を実現することができる。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層の全面に形成された電波吸収体である。
【0039】
図21は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0106R2+1.8392R−0.8519で近似でき、シート抵抗下限=0.0272R2+0.258R+8.7723で近似できる。
【0040】
図22は、図21において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.049λC0、パターン間隔G=0.016λC0すなわちパターン面積比=33%であり、これとシート抵抗=68Ω/□から、吸収周波数帯域幅66%を実現することができる。
【0041】
図23は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0004R2+2.135R−5.6797で近似でき、シート抵抗下限=0.0118R2+0.9583R+3.4408で近似できる。
【0042】
図24は、図23において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.033λC0、パターン間隔G=0.033λC0すなわちパターン面積比=21%であり、これとシート抵抗=38Ω/□から、吸収周波数帯域幅77%を実現することができる。
【0043】
図25は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0009R2+1.8774R−4.9647で近似でき、シート抵抗下限=0.0152R2+0.6994R+7.1435で近似できる。
【0044】
図26は、図25において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.025λC0、パターン間隔G=0.016λC0すなわちパターン面積比=17%であり、これとシート抵抗=27Ω/□から、吸収周波数帯域幅84%を実現することができる。
【0045】
実施の形態3
次に、他の実施の形態について説明する。図13に本発明の実施の形態3に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅Wを有する「□」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0046】
本実施形態において、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.058λC0、パターン間隔G=0.16λC0とするとパターン面積比R=24%となる。これとシート抵抗=32Ω/□から吸収周波数帯域幅90%を実現することができる。図14は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0047】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン長L、パターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表4に示す。
【表4】
【0048】
図27は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0278R2+0.9446R+8.8869で近似でき、シート抵抗下限=0.0237R2+0.0499R+15.072で近似できる。
【0049】
図28は、図27において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.12λC0すなわちパターン面積比=31%であり、これとシート抵抗=60Ω/□から、吸収周波数帯域幅59%を実現することができる。
【0050】
図29は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0016R2+2.1794R−7.3834で近似でき、シート抵抗下限=0.0195R2+0.2286R+14.316で近似できる。
【0051】
図30は、図29において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.20λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=42Ω/□から、吸収周波数帯域幅%を実現することができる。
【0052】
図31は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0103R2+2.3975R−11.507で近似でき、シート抵抗下限=0.0076R2+0.7571R+8.4538で近似できる。
【0053】
図32は、図31において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.20λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=38Ω/□から、吸収周波数帯域幅78%を実現することができる。
【0054】
図33は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0103R2+2.2256R−11.703で近似でき、シート抵抗下限=0.0082R2+0.748R+7.8178で近似できる。
【0055】
図34は、図33において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.057λC0、パターン間隔G=0.16λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=32Ω/□から、吸収周波数帯域幅91%を実現することができる。
【0056】
実施の形態4
次に、他の実施の形態について説明する。図15に本発明の実施の形態4に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅を有する「○」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0057】
本実施形態において、パターン内径L1=0.16λC0、パターン外径L2=0.18λC0、パターン間隔G=0.033λC0とするとパターン面積比R=11%となる。これとシート抵抗=17Ω/□から吸収周波数帯域幅94%を実現することができる。図16は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0058】
実施の形態5
次に、他の実施の形態について説明する。図17に本発明の実施の形態5に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅Wを有する「田」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0059】
本実施形態において、パターン長さL=0.47λC0、パターン幅W=0.058λC0、パターン間隔G=0.33λC0とするとパターン面積比R=21%となる。これとシート抵抗=37Ω/□から吸収周波数帯域幅81%を実現することができる。図18は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0060】
上記のように、抵抗体パターン層2の形状、抵抗体のシート抵抗及び誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比に基づいて吸収される周波数帯域幅を80%以上とすることができる。
【0061】
実施の形態6
次に、他の実施の形態について説明する。図35に本発明の実施の形態6に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1と同様に、抵抗体パターン層2は十字形状である。一方、実施の形態1では、図1に示すように、1つの「十」字の抵抗体パターン層2の周囲の縦横斜め8方向すべてに隣接する「十」字の抵抗体パターン層2が配置されている。これに対し、実施の形態6では、図35に示すように、縦横方向には配置されておらず4つの斜め方向のみに隣接する「十」字の抵抗体パターン層2が配置されている。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点を対称の中心として点対称である。より詳細には、抵抗体パターン層2a、2b、2c、2dに注目すると、横方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2bとはP1を対称の中心として点対称である。縦方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2cとはP2を対称の中心として点対称である。また、斜め方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2dとはP3を対称の中心として点対称である。このように対称性を有する抵抗体パターンの配置とすることで、吸収周波数帯域幅を制御しやすくなる。
【0062】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表5に示す。
【表5】
【0063】
図36は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0248R2+5.7881R−28.76で近似でき、シート抵抗下限=2.544R−2.7847で近似できる。
【0064】
図37は、図36において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.29λC0、パターン間隔G=0.66λC0すなわちパターン面積比=31%であり、これとシート抵抗=110Ω/□から、吸収周波数帯域幅57%を実現することができる。
【0065】
図38は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0589R2+7.8585R−76.813で近似でき、シート抵抗下限=2.6958R−8.6で近似できる。
【0066】
図39は、図38において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.82λC0すなわちパターン面積比=25%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、吸収周波数帯域幅63%を実現することができる。
【0067】
図40は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.1145R2+11.716R−154.74で近似でき、シート抵抗下限=3.0536R−23.306で近似できる。
【0068】
図41は、図40において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.37λC0、パターン間隔G=0.74λC0すなわちパターン面積比=30%であり、これとシート抵抗=80Ω/□から、吸収周波数帯域幅76%を実現することができる。
【0069】
図42は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.6051R2+46.316R−779.39で近似でき、シート抵抗下限=2.4403R−4.289で近似できる。
【0070】
図43は、図42において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.66λC0すなわちパターン面積比=36%であり、これとシート抵抗=90Ω/□から、吸収周波数帯域幅86%を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る電波吸収体の平面図である。
【図2】図1のII−II切断線による断面図である。
【図3】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図4】図3において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図5】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図6】図5において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図7】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図8】図7において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図9】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図10】図9において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図11】実施の形態2に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図12】実施の形態2に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図13】実施の形態3に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図14】実施の形態3に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図15】実施の形態4に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図16】実施の形態4に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図17】実施の形態5に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図18】実施の形態5に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図19】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図20】図19において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図21】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図22】図21において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図23】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図24】図23において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図25】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図26】図25において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図27】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図28】図27において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図29】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図30】図29において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図31】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図32】図31において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図33】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図34】図33において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図35】実施の形態6に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図36】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図37】図36において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図38】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図39】図38において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図40】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図41】図40において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図42】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図43】図42において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 誘電体層
2 抵抗体パターン層
3 導体層
4 単位セル
【技術分野】
【0001】
本発明は電波吸収体に関し、特に、λ/4型電波吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話、無線LANなどの無線通信の発達に伴い、通信情報の漏洩や電磁干渉を防止するため、オフィスビル等の壁材や間仕切りなどに電波吸収体が利用されている。電波吸収体は、磁性損失、誘電体損失、抵抗損失などの材料特性を利用して、電磁波エネルギーを熱に変換し、消費する。
【0003】
そのため、種々の構成の電波吸収体が知られているが、その一つにλ/4型電波吸収体がある。一般的なλ/4型電波吸収体は、誘電体層の片面全体に導体膜を、誘電体層の反対側の面全体に空気のインピーダンス377Ωに近い値のシート抵抗を有する抵抗膜を備えた構成を有する。このような構成により、誘電体層の厚さが波長の1/4に等しくなる周波数の電磁波は反射されずに全て吸収されるため、λ/4型電波吸収体と呼ばれる。
【0004】
ところで、日本の携帯電話は第2世代から第3世代への移行に伴い、使用周波数の確保が重要な課題となっている。第3世代では、主に800MHz帯(815〜850MHz)及び2GHz帯(1.92〜1.98GHz)が使用されているが、上記問題に対処するため、一部では、1.7GHz帯(1.75〜1.88GHz)も使用されている。さらに、第2世代で使用されている1.5GHz帯(1.43〜1.53GHz)の第3世代での使用も検討されている。こうした背景から、1つの電波吸収体で広帯域の電波を吸収し、マルチパスによる通信品質劣化を防止する必要性が生じてきた。
【0005】
上記λ/4型電波吸収体は、構成が簡易であるという長所を有する反面、吸収できる周波数帯域幅が狭いという短所を有する。例えば、無線LAN用2.45GHz帯向けのλ/4電波吸収体では、吸収量−15dBにおける吸収周波数帯域幅が1.92〜2.98GHzであり、2.45GHz帯(2.4〜2.5GHz)の他、第3世代携帯電話用の2GHz帯(1.92〜2.2GHz)及びWimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の2.5GHz帯(2.55〜2.63GHz)などしか包含することができない。これに対し、誘電体層の片面全体に形成された抵抗膜に代えて、当該片面上の抵抗膜をパターニングし、吸収周波数帯域を広げたλ/4型電波吸収体が開示されている(特許文献1〜3参照)。また、関連する先行技術文献として特許文献4を挙げることができる。
【特許文献1】特開2006−203147号公報
【特許文献2】特開2006−73924号公報
【特許文献3】特開2006−336416号公報
【特許文献4】米国特許第7256753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの特許文献においても、所望の吸収周波数帯域幅を実現するために必要な抵抗体のパターンサイズやシート抵抗値等のパラメータは開示されていない。そのため、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を得ることができなかった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1に係る電波吸収体は、第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層とを備えた電磁波吸収体であって、前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の態様2に係る電波吸収体は、上記発明の態様において、前記パターンは幾何学図形であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の態様3に係る電波吸収体は、上記発明の態様において、前記幾何学図形は十文字形状であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の態様4に係る電波吸収体は、誘電体層と、前記誘電体層の第1の面の略全面に形成された導体層と、前記誘電体層の第2の面に互いに離間して複数形成された抵抗体パターンからなり、前記第2の面の一部を被覆するパターン層とを備えたλ/4型電波吸収体であって、前記抵抗体パターンの形状、前記抵抗体パターンのシート抵抗、及び前記第2の面全体の面積に対する前記パターン層により被覆された領域の面積比に基づいて、吸収される周波数帯域幅を80%以上としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の吸収周波数帯域幅を有するλ/4型電波吸収体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
実施の形態1
図1及び2を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るλ/4型電波吸収体の平面図である。図2は、図1におけるII−II切断線による断面図である。図1に示すように、実施の形態に係るλ/4型電波吸収体は、誘電体層1、抵抗体パターン層2、導体層3を備える。
【0015】
誘電体層1は、絶縁材料からなり、抵抗体パターン層2および導体層3を支持できるものであれば、特に制限されない。例えば、ガラス、プラスチック、ゴム、ウレタンなどの絶縁材料やこれらの複合材料を用いることができる。また、難燃性の材料を用いることが好ましい。さらに、硬質のものだけではなく軟質のものを用いることもできる。例えば、ガラス繊維からなるシートなどを用いてもよい。
【0016】
抵抗体パターン層2は、1〜400Ω/□程度のシート抵抗が得られる導電材料からなる。この程度のシート抵抗を得ることができる材料であれば、特に制限されない。ここで、シート抵抗は、材料固有の比抵抗ρと抵抗体パターン層2の厚さtを用いて、ρ/tで表される。すなわち、抵抗体パターン層2の厚さtと比抵抗ρとを制御することによって、所望のシート抵抗を得ることができる。例えば、厚さ100μm、比抵抗1×10−2Ωmの材料を用いた場合、シート抵抗は100Ω/□となる。現実的には、ある程度の厚さtが必要であるから、上記シート抵抗を得るには、比較的比抵抗の大きい導電材料を用いる必要がある。具体的には、抵抗体パターン層2として、酸化インジウム(In2O3)、酸化錫(SnO2)、これらの混合物である酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)などからなる透明導電膜やカーボン膜などを用いることができる。
【0017】
抵抗体パターン層2は、フォトリソグラフィ法、スクリーン印刷、マスクを用いたスパッタリングや真空蒸着などにより形成することができる。また、抵抗体パターン層2を誘電体層1に直接形成せずに、樹脂膜上にパターンを形成し、その樹脂膜を誘電体層1に貼り付けてもよい。
【0018】
抵抗体パターン層2は、複数の同一形状の抵抗体パターンから構成されている。本実施の形態では、各パターンは十字形状に形成されている。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点を対称の中心として点対称である。より詳細には、抵抗体パターン層2a、2b、2cに注目すると、横方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2bとはP1を対称の中心として点対称である。縦方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2cとはP2を対称の中心として点対称である。また、斜め方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2cとはP3を対称の中心として点対称である。このように対称性を有する抵抗体パターンの配置とすることで、吸収周波数帯域幅を制御しやすくなる。図1に示すように、各十字パターンは長さL、幅Wの2つの長方形が直角に交差した形状を有している。そして、この各十字パターンを構成するL×Wの長方形が、縦方向及び横方向の両方向において、長手方向に一直線上に3個ずつ等間隔Gで配列されている。すなわち、縦横3個ずつ合計9個の十字パターンが形成されている。当然のことながら、上記個数はこれに限定されるものではない。また、中央部において、正方形状の点線で囲まれた領域は単位セル4を意味し、この単位セル4が繰り返し配列されている。つまり、図1に示した電波吸収体は9個の単位セル4から構成されている。
【0019】
ここで、単位セル4の一辺の長さは(L+G)であるから、単位セル4の面積S1=(L+G)2である。一方、1つの十字パターンの面積S2={(L−W)/2×W}×4+W2となる。よって、抵抗体パターン層2の形成領域を含む誘電体層1全体の面積に対する抵抗体パターン層2形成領域の面積比S2/S1×100%を求めることができる。
【0020】
導体層3は、比抵抗10−8〜10−5Ωmの導電材料体からなり、誘電体層1の片面の略前面に形成されている。金属であれば、上記比抵抗を満たすため、特に制限されない。特に、金、銀、銅、アルミニウムなど比抵抗の小さい金属からなる薄膜を用いることが好ましい。導体層3は、めっき、スパッタリング、真空蒸着などにより形成することができる。
【0021】
次に、本発明に係る電波吸収体により吸収される周波数帯域幅について説明する。発明者らは、鋭意研究の結果、上述した「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」とを最適化することにより、所望の吸収周波数帯域幅を得ることができることを見出した。すなわち、所望の吸収周波数帯域幅が得られる「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」との範囲を実験により見出した。
【0022】
ここで、吸収周波数帯域幅bwとは、吸収量−15dBにおける、最大吸収周波数fUと最小吸収周波数fLとの差であり、次式で表される。
bw=fU−fL
また、中心周波数fC=(fU+fL)/2との比を用いて吸収周波数帯域幅BW(%)表示される。すなわち、次式で表される。
BW(%)=bw/fC×100
=(fU−fL)/{(fU+fL)/2}×100
=2×(fU−fL)/(fU+fL)×100
【0023】
次に、実験条件について説明する。全ての実験は、FIT(Finite Integration Theory:有限積分法)を利用した電磁界シミュレーションソフトを用いて行った。図1に示した単位セル4を無限周期配列させ、時間領域ソルバにより計算した。周波数範囲は0〜20GHzとし、計算ポイント数は1001点とした。パターン化されていない全面抵抗膜を備える従来の2.45GHz帯向けλ/4電波吸収体における中心周波数fC0は、fC0=2.45GHzであり、これに対応する中心波長λC0は、λC0=122mmである。この中心波長λC0により規格化すると、本実験では、誘電体層1の厚さt=0.25λC0、パターン長さL=0.50λC0とした。また、その比誘電率εr=1とした。そして、抵抗体パターン層2の厚さは1mmとした。導体層3の厚さは1mmとし、その電気抵抗はゼロとした。当然のことながら、これら諸条件は、これらに限定されるものではない。また、中心周波数が2.45GHz近傍になるような条件とした。このような条件下、「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」と「抵抗体パターン層2のシート抵抗」とを変化させ、所望の吸収周波数帯域幅が得られる範囲を見出した。具体的には、パターン間隔G及びパターン幅Wを変化させ、「誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比」を変化させた。
【0024】
抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された従来のλ/4型電波吸収体では、吸収できる周波数帯域幅が狭かった。具体的には、無線LAN用2.45GHz帯向けλ/4電波吸収体では、吸収周波数帯域幅が43%(1.92〜2.98GHz)であり、2.45GHz帯(2.4〜2.5GHz)の他、第3世代携帯電話用の2GHz帯(1.92〜2.2GHz)及びWimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の2.5GHz帯(2.55〜2.63GHz)などしか包含することができなかった。ここで、吸収周波数帯域幅を60%(1.72〜3.19GHz)とすることができれば、1.7GHz帯を完全に包含することができる。さらに、吸収周波数帯域幅を80%(1.47〜3.43GHz)にすることができれば、1.5GHz帯をほぼ包含することができる。
【0025】
図3は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅43%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=0.0028R2+3.7387R+6.2943とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.8358R−11.734とRの一次関数で近似できる。すなわち、抵抗体のシート抵抗が50〜400Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が15〜97%の範囲である。
ここで、図中の6つのプロットにおける吸収周波数帯域幅などの値を下記の表1に示す。表1から明らかなように、上述した一次関数及び二次関数に挟まれた領域に位置するプロット(1)及び(2)の帯域幅は51%若しくは52%であり、周波数帯域幅43%を満たすことがわかる。一方、2つの関数で挟まれていない領域に位置するプロット(3)〜(6)の帯域幅は40%以下であり、周波数帯域幅43%を満たさないことがわかる。ここで、以下のパターンサイズは、2.45GHzの波長λco=122mmで計算した。
【表1】
【0026】
ここで、図3のプロット(1)における帯域幅が51%であることを具体的に説明する。図4(a)は、図3において◆(プロット(1))で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、上述したように、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.29λC0、パターン間隔G=0.49λC0すなわちパターン面積比=21%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、シミュレーションにより吸収周波数帯域幅51%を得た。そして、図4(a)において、破線が−15dBである電波周波数をグラフから読み取った。読み取った値のうち大きい値を最大吸収周波数fU=3.2とした。また、読み取った値のうち小さい値を最小吸収周波数fL=1.9とした。これを上述した帯域幅BWの式に代入すると、2×(3.2−1.9)/(3.2+1.9)×100=50.9となり、帯域幅51%を得た。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された電波吸収体である。
次に、図3のプロット(3)における帯域幅が0%であることを具体的に説明する。図4(b)は、図3において×(プロット(3))で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、上述したように、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.25λC0すなわちパターン面積比=40%であり、これとシート抵抗=200Ω/□から、シミュレーションにより吸収周波数帯域幅0%を得た。ここで、図4(b)において、破線が−15dBの場合がないので、最大及び最小吸収周波数は、いずれも0であり、吸収周波数帯域幅は0%である。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層1の全面に形成された電波吸収体である。
【0027】
図5は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅60%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.0021R2+4.8382R−19.595とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.8279R−12.522とRの一次関数で近似できる。また、抵抗体のシート抵抗が50〜230Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が20〜75%の範囲である。
【0028】
図6は、図5において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.49λC0すなわちパターン面積比=22%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、吸収周波数帯域幅65%を実現することができる。
【0029】
図7は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、図中、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅70%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.1209R2+11.506R−138.11とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.9452R−18.948とRの一次関数で近似できる。すなわち、抵抗体のシート抵抗が50〜140Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が20〜45%の範囲である。
【0030】
図8は、図7において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.41λC0すなわちパターン面積比=29%であり、これとシート抵抗=80Ω/□から、吸収周波数帯域幅77%を実現することができる。
【0031】
図9は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。横軸がパターン面積比%、縦軸がシート抵抗Ω/□を示す。そして、実線がシート抵抗の上限を、破線がシート抵抗の下限を示す。すなわち両者に挟まれた領域において吸収周波数帯域幅80%以上を満足する。具他的には、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比をR[%]とすると、シート抵抗上限=−0.487R2+35.734R−551.55とRの二次関数で近似できる。一方、シート抵抗下限=2.6537R−11.157とRの一次関数で近似できる。また、抵抗体のシート抵抗が60〜110Ω/□の範囲であり、誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比が25〜40%の範囲である。
【0032】
図10は、図9において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。図中、破線が当該測定点の特性を、実線が比較例の特性を示している。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.33λC0すなわちパターン面積比=35%であり、これとシート抵抗=85Ω/□から、吸収周波数帯域幅87%を実現することができる。
【0033】
ここで以上に示した、吸収周波数帯域幅43%以上、吸収周波数帯域幅60%以上、吸収周波数帯域幅70%以上、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する、パターン間隔G、パターン幅W、面積比R及びシート抵抗の範囲を表2にまとめて示す。
【表2】
【0034】
実施の形態2
次に、他の実施の形態について説明する。図11に本発明の実施の形態2に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、1つの十字に対し45°回転したもう1つの十字が重なった米印形状である点が異なる。言い換えると、この実施の形態の抵抗体パターンの形状は、それぞれの中点(若しくは重心)が一致した4つの長方形によって構成されている。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。ここでは、当該米印形状を便宜的に「*」形状と記す。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0035】
本実施形態において、パターン長さL=0.49λC0、パターン幅W=0.025λC0、パターン間隔G=0.033λC0とするとパターン面積比R=16%となる。これとシート抵抗=27Ω/□から、吸収周波数帯域幅83%を実現することができる。図12は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0036】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表3に示す。表記方法は無線LANの周波数2.45GHzの波長λC0(=122mm)で規格化している。なお、このときのパターン長Lは0.50λC0である。
【表3】
【0037】
図19は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0445R2+0.4856R+12.74で近似でき、シート抵抗下限=0.0325R2+0.073R+9.5636で近似できる。
【0038】
図20は、図19において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.049λC0、パターン間隔G=0.0082λC0すなわちパターン面積比=34%であり、これとシート抵抗=75Ω/□から、吸収周波数帯域幅56%を実現することができる。なお、比較例は、空気のインピーダンスに等しいシート抵抗377Ω/□を有する抵抗体膜が誘電体層の全面に形成された電波吸収体である。
【0039】
図21は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0106R2+1.8392R−0.8519で近似でき、シート抵抗下限=0.0272R2+0.258R+8.7723で近似できる。
【0040】
図22は、図21において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.049λC0、パターン間隔G=0.016λC0すなわちパターン面積比=33%であり、これとシート抵抗=68Ω/□から、吸収周波数帯域幅66%を実現することができる。
【0041】
図23は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0004R2+2.135R−5.6797で近似でき、シート抵抗下限=0.0118R2+0.9583R+3.4408で近似できる。
【0042】
図24は、図23において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.033λC0、パターン間隔G=0.033λC0すなわちパターン面積比=21%であり、これとシート抵抗=38Ω/□から、吸収周波数帯域幅77%を実現することができる。
【0043】
図25は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0009R2+1.8774R−4.9647で近似でき、シート抵抗下限=0.0152R2+0.6994R+7.1435で近似できる。
【0044】
図26は、図25において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.025λC0、パターン間隔G=0.016λC0すなわちパターン面積比=17%であり、これとシート抵抗=27Ω/□から、吸収周波数帯域幅84%を実現することができる。
【0045】
実施の形態3
次に、他の実施の形態について説明する。図13に本発明の実施の形態3に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅Wを有する「□」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0046】
本実施形態において、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.058λC0、パターン間隔G=0.16λC0とするとパターン面積比R=24%となる。これとシート抵抗=32Ω/□から吸収周波数帯域幅90%を実現することができる。図14は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0047】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン長L、パターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表4に示す。
【表4】
【0048】
図27は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=0.0278R2+0.9446R+8.8869で近似でき、シート抵抗下限=0.0237R2+0.0499R+15.072で近似できる。
【0049】
図28は、図27において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.12λC0すなわちパターン面積比=31%であり、これとシート抵抗=60Ω/□から、吸収周波数帯域幅59%を実現することができる。
【0050】
図29は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0016R2+2.1794R−7.3834で近似でき、シート抵抗下限=0.0195R2+0.2286R+14.316で近似できる。
【0051】
図30は、図29において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.20λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=42Ω/□から、吸収周波数帯域幅%を実現することができる。
【0052】
図31は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0103R2+2.3975R−11.507で近似でき、シート抵抗下限=0.0076R2+0.7571R+8.4538で近似できる。
【0053】
図32は、図31において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.066λC0、パターン間隔G=0.20λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=38Ω/□から、吸収周波数帯域幅78%を実現することができる。
【0054】
図33は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0103R2+2.2256R−11.703で近似でき、シート抵抗下限=0.0082R2+0.748R+7.8178で近似できる。
【0055】
図34は、図33において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.43λC0、パターン幅W=0.057λC0、パターン間隔G=0.16λC0すなわちパターン面積比=24%であり、これとシート抵抗=32Ω/□から、吸収周波数帯域幅91%を実現することができる。
【0056】
実施の形態4
次に、他の実施の形態について説明する。図15に本発明の実施の形態4に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅を有する「○」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0057】
本実施形態において、パターン内径L1=0.16λC0、パターン外径L2=0.18λC0、パターン間隔G=0.033λC0とするとパターン面積比R=11%となる。これとシート抵抗=17Ω/□から吸収周波数帯域幅94%を実現することができる。図16は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0058】
実施の形態5
次に、他の実施の形態について説明する。図17に本発明の実施の形態5に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1では、抵抗体パターン層2が十字形状であるのに対し、実施の形態2では、一定の幅Wを有する「田」形状である点が異なる。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点P1を対称の中心として点対称である。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。
【0059】
本実施形態において、パターン長さL=0.47λC0、パターン幅W=0.058λC0、パターン間隔G=0.33λC0とするとパターン面積比R=21%となる。これとシート抵抗=37Ω/□から吸収周波数帯域幅81%を実現することができる。図18は、この条件における吸収特性を示すグラフであり、横軸が電波周波数GHz、縦軸が吸収量dBを示す。
【0060】
上記のように、抵抗体パターン層2の形状、抵抗体のシート抵抗及び誘電体層1に対する抵抗体パターン層2の面積比に基づいて吸収される周波数帯域幅を80%以上とすることができる。
【0061】
実施の形態6
次に、他の実施の形態について説明する。図35に本発明の実施の形態6に係るλ/4型電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す。実施の形態1と同様に、抵抗体パターン層2は十字形状である。一方、実施の形態1では、図1に示すように、1つの「十」字の抵抗体パターン層2の周囲の縦横斜め8方向すべてに隣接する「十」字の抵抗体パターン層2が配置されている。これに対し、実施の形態6では、図35に示すように、縦横方向には配置されておらず4つの斜め方向のみに隣接する「十」字の抵抗体パターン層2が配置されている。それ以外の構成及び条件は、実施の形態1と同様である。ここで、この隣接する抵抗体パターン層2同士は所定の点を対称の中心として点対称である。より詳細には、抵抗体パターン層2a、2b、2c、2dに注目すると、横方向に隣接する抵抗体パターン層2aと2bとはP1を対称の中心として点対称である。縦方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2cとはP2を対称の中心として点対称である。また、斜め方向に隣接する抵抗体パターン層2bと2dとはP3を対称の中心として点対称である。このように対称性を有する抵抗体パターンの配置とすることで、吸収周波数帯域幅を制御しやすくなる。
【0062】
帯域幅BWが43%、60%、70%、80%以上となるパターン間隔G、パターン幅W、面積比R、シート抵抗を表5に示す。
【表5】
【0063】
図36は、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0248R2+5.7881R−28.76で近似でき、シート抵抗下限=2.544R−2.7847で近似できる。
【0064】
図37は、図36において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.29λC0、パターン間隔G=0.66λC0すなわちパターン面積比=31%であり、これとシート抵抗=110Ω/□から、吸収周波数帯域幅57%を実現することができる。
【0065】
図38は、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.0589R2+7.8585R−76.813で近似でき、シート抵抗下限=2.6958R−8.6で近似できる。
【0066】
図39は、図38において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.33λC0、パターン間隔G=0.82λC0すなわちパターン面積比=25%であり、これとシート抵抗=70Ω/□から、吸収周波数帯域幅63%を実現することができる。
【0067】
図40は、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.1145R2+11.716R−154.74で近似でき、シート抵抗下限=3.0536R−23.306で近似できる。
【0068】
図41は、図40において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.37λC0、パターン間隔G=0.74λC0すなわちパターン面積比=30%であり、これとシート抵抗=80Ω/□から、吸収周波数帯域幅76%を実現することができる。
【0069】
図42は、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。シート抵抗上限=−0.6051R2+46.316R−779.39で近似でき、シート抵抗下限=2.4403R−4.289で近似できる。
【0070】
図43は、図42において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。当該測定点の条件は、パターン長さL=0.50λC0、パターン幅W=0.41λC0、パターン間隔G=0.66λC0すなわちパターン面積比=36%であり、これとシート抵抗=90Ω/□から、吸収周波数帯域幅86%を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る電波吸収体の平面図である。
【図2】図1のII−II切断線による断面図である。
【図3】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図4】図3において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図5】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図6】図5において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図7】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図8】図7において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図9】実施の形態1に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図10】図9において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図11】実施の形態2に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図12】実施の形態2に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図13】実施の形態3に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図14】実施の形態3に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図15】実施の形態4に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図16】実施の形態4に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図17】実施の形態5に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図18】実施の形態5に係る電波吸収体の吸収特性を示すグラフである。
【図19】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図20】図19において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図21】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図22】図21において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図23】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図24】図23において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図25】実施の形態2に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図26】図25において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図27】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図28】図27において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図29】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図30】図29において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図31】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図32】図31において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図33】実施の形態3に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図34】図33において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図35】実施の形態6に係る電波吸収体の抵抗体パターン層2を示す平面図である。
【図36】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅43%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図37】図36において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図38】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅60%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図39】図38において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図40】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅70%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図41】図40において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【図42】実施の形態6に係る電波吸収体において、吸収周波数帯域幅80%以上を満足する範囲を示すグラフである。
【図43】図42において◆で示した測定点の吸収特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 誘電体層
2 抵抗体パターン層
3 導体層
4 単位セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、
前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、
前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層とを備えた電磁波吸収体であって、
前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下であることを特徴とする電磁波吸収体。
【請求項2】
前記パターンは幾何学図形であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
【請求項3】
前記幾何学図形は十文字形状であることを特徴とする請求項2に記載の電磁波吸収体。
【請求項4】
誘電体層と、
前記誘電体層の第1の面の略全面に形成された導体層と、
前記誘電体層の第2の面に互いに離間して複数形成された抵抗体パターンからなり、前記第2の面の一部を被覆するパターン層とを備えたλ/4型電波吸収体であって、
前記抵抗体パターンの形状、前記抵抗体パターンのシート抵抗、及び前記第2の面全体の面積に対する前記パターン層により被覆された領域の面積比に基づいて、吸収される周波数帯域幅を80%以上とした電波吸収体。
【請求項1】
第1面及び前記第1面に対向する第2面を有する誘電体層と、
前記誘電体層の前記第1面に形成される導体層と、
前記誘電体層の前記第2面に形成された複数のパターンからなり、シート抵抗値を有する抵抗パターン層とを備えた電磁波吸収体であって、
前記誘電体層の面積に対する前記抵抗パターン層の面積の比をRとすると、前記シート抵抗値は、2.8358R−11.734以上0.0028R2+3.7387R+6.2943以下であることを特徴とする電磁波吸収体。
【請求項2】
前記パターンは幾何学図形であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
【請求項3】
前記幾何学図形は十文字形状であることを特徴とする請求項2に記載の電磁波吸収体。
【請求項4】
誘電体層と、
前記誘電体層の第1の面の略全面に形成された導体層と、
前記誘電体層の第2の面に互いに離間して複数形成された抵抗体パターンからなり、前記第2の面の一部を被覆するパターン層とを備えたλ/4型電波吸収体であって、
前記抵抗体パターンの形状、前記抵抗体パターンのシート抵抗、及び前記第2の面全体の面積に対する前記パターン層により被覆された領域の面積比に基づいて、吸収される周波数帯域幅を80%以上とした電波吸収体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
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【図16】
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【図32】
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【図42】
【図43】
【公開番号】特開2009−71278(P2009−71278A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189978(P2008−189978)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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