電波妨害システム
【課題】電波妨害装置においては自己の妨害送信状況の確認が実施できず、電波妨害による自己防御の度合いの把握が困難であった。
【解決手段】目標航空機11からのレーダ波14を受信した自機航空機12は、電波妨害信号15を送信すると共に、データリンク3を介して僚機航空機13に対して自機航空機12が送信した電波妨害信号15の受信を指示し、僚機航空機13は指示に基づき電波妨害信号15を受信しその電波諸元を検出して、データリンク3を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより電波妨害信号による妨害状況を判定し、その結果をデータリンク3を介して自機航空機12側に伝送することにより自機航空機側で電波妨害による自己防御の度合いの把握ができるようにした。
【解決手段】目標航空機11からのレーダ波14を受信した自機航空機12は、電波妨害信号15を送信すると共に、データリンク3を介して僚機航空機13に対して自機航空機12が送信した電波妨害信号15の受信を指示し、僚機航空機13は指示に基づき電波妨害信号15を受信しその電波諸元を検出して、データリンク3を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより電波妨害信号による妨害状況を判定し、その結果をデータリンク3を介して自機航空機12側に伝送することにより自機航空機側で電波妨害による自己防御の度合いの把握ができるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は航空機に搭載の電波妨害装置から妨害電波を送信して相手機のレーダ波に妨害を与えるようにした電波妨害システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機による電子戦システムでは、相手機のレーダ波による目標の探知から逃れるため、相手レーダ波を検知して相手機に向けて妨害電波を送信し、相手機のレーダ波による探知を撹乱させるようにする電波妨害装置を航空機に搭載している。
このように航空機に搭載した電波妨害装置で妨害電波を発生させる場合、自機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生する単独妨害と、自機と僚機間で連携して両方の電波妨害装置から妨害電波を発生する連携妨害と、自機と僚機間で連携して僚機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生して自機を支援する支援妨害とがある。
【0003】
自機と僚機間で連携して妨害波を送信する連携妨害装置として、妨害波の送信開始及び送信停止を検出して同期信号を作成するデータリンク処理器を搭載し、この同期信号を空中線を介して僚機の妨害機に送信することにより、妨害波の送信タイミングの同期をとるようにしたものがある。しかし同期をとるためだけに専用のデータリンク装置が必要なことから、僚機が送信する妨害波を受信する受信機を設け、送信する妨害波の送信タイミング、周波数等をリアルタイムで検出することにより僚機間で同期をとり、データリンク装置を省略した簡略な構成で連携妨害を行うようにした連携妨害装置が知られている。(特許文献1参照)
【0004】
また、自機と僚機間で連携して妨害波を送信する連携妨害の場合、自機が受信する電波としては、僚機によって送信されたレーダ波、僚機によって脅威となる相手機(脅威機)に送信された妨害波、自機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波、僚機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波など様々の電波がある。このような様々の電波から不要波を除去して目標対象の電波を的確に探知する必要があるが、自機が検出した受信信号の電波諸元、入力した自機に関する情報及び僚機に関する情報から不要波を除去することができるRF(無線周波数)マネジメント装置を備えた電子戦システムが知られている。
このRFマネジメント装置は、自機の位置やレーダ送信周波数、自機が探知した脅威機の位置に関する情報を僚機に送信する一方、僚機の位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機が探知している脅威機の位置に関する情報を受信するために、データリンク装置と接続され、このデータリンク装置を介して自機と僚機間で情報の交換が行なわれるようになっている。(特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】特開2001−194447号公報
【特許文献2】特開2006−189335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生する場合においては、妨害目標に対し、電波妨害送信を実施している状況そのものを空間的に把握することが困難であり、電波妨害による自己防御状況の把握が困難であって、電波妨害の妨害技術、手段によっては、電波妨害送信による自らの方位情報を電波妨害目標側に探知させてしまう状況で更に自己防御の効果が全く機能していない状況となる場合もあった。
【0007】
また特許文献のような連携妨害においては、データリンクによる情報の共有を実施しておらず、電波受信を時間的制限により、識別しようとしており、僚機から出力されている電波であるか、目標からの電波であるか、また僚機がどのような受信判定により、妨害電波及び妨害変調の電波送信としたかを把握することが不可能である。
また、データリンクは、多重化、高速ディジタル通信技術によるリアルタイム性が無い場合での電波情報の伝達では、連携するには情報量に乏しく、自機と僚機間による電波環境の複雑処理(目標電波か、僚機電波か等、区別できる情報の処理)が必要であり、処理能力的に不十分であった。
【0008】
支援妨害においても、脅威環境下に遭遇している電波情報を空間的な受信活動にのみ依存しており、受信できない場合、支援妨害を実施することができなかった。また支援妨害は、航空機の飛行空域及び電波情報による地上レーダ装置を活用した大電力妨害装置への転用等は実施できなかった。
【0009】
近年の電波運用環境に対し、個々の航空機用電波装置(電波受信装置、電波妨害装置)では、更なる正確さと高性能化による目標情報を得ることが、技術的能力向上の限界に至っている。
また、従来、通信負荷の制約により、電波各種諸元情報を共有することが非常に困難であったが、ディジタル・データリンク装置による多重化データ通信技術の普及により、通信装置のデータ伝送技術に電波情報を重畳することにより、容易にデータを共有することが可能になってきている。
【0010】
この発明は、電波装置とデータリンク装置(ディジタル・データ無線通信機)の各技術の連携により、電波受信及び電波妨害のデータ情報の共有による電波妨害の状況把握と、レーダ装置を有効活用した連携電波妨害または支援電波妨害が実施できる電波妨害システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報とレーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して自機航空機から僚機航空機に対して自機航空機が送信した電波妨害信号の受信を指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を受信してその電波諸元を検出し、データリンク装置を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより電波妨害信号による妨害状況を判定し、その判定結果をデータリンク装置を介して自機航空機側に伝送するようにしたものである。
【0012】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報とレーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して僚機航空機に対して僚機航空機も電波妨害を行うよう指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を送信して自機航空機と共に連携妨害を行うと共に、データリンク装置を介して送られた自機航空機の電波妨害信号情報と僚機航空機が送信した電波妨害信号情報との相関を確認して、連携電波妨害の実施情報をデータリンク装置を介して自機航空機側に伝送するようにしたものである。
【0013】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報をデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して僚機航空機に対して僚機航空機から電波妨害を行うよう指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を送信して自機航空機に対する支援妨害を行うと共に、その支援妨害の実施情報をデータリンク装置を介して自機航空機に伝送し、自機航空機は支援妨害実施情報を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報及び自らが送出した電波妨害情報をデータリンク装置により各々の航空機で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して電波妨害受信指示を受けた僚機航空機は、自機航空機が送信した電波妨害信号による電波妨害の実施状況を確認し、データリンク装置を介して自機航空機側に通知するので、自機航空機は自らが送出した電波妨害状況を把握することが可能となり、電子戦装置の信頼性を改善することができる。
またこの発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報及び自らが送出した電波妨害情報をデータリンク装置により各々の航空機又は地上電波装置で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して僚機航空機に対して連携妨害を実施する指示を行うことにより、目標電波を受信した航空機側にデータリンクによる電波妨害動作に強制力を持たせるようにしたから、電波妨害連携能力が向上して航空機の脅威電波攻撃の回避を実施することが可能となる。
またこの発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報をデータリンク装置により各々の航空機又は地上電波装置で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して僚機航空機又は地上電波装置に対して支援妨害を実施する指示を行うことにより、目標電波を受信した側にデータリンクによる支援電波妨害動作を持たせたから、目標電波を受信した自機航空機の指向から、支援妨害電波送信側の航空機又は地上電波装置に逸らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の基本形態.
まずこの発明のそれぞれの実施形態に使用される電波妨害システムの構成図について図1に基づき説明する。
図1の構成図において、各航空機はそれぞれ電子戦装置1とデータリンク装置(ディジタル通信無線機)2を搭載している。データリンク装置2はデータリンク3を介して各航空機間でディジタル・データ伝送による情報の共有化を行うためのものである。電子戦装置1は、レーダ波を受信して電波諸元を分析して検出する電波受信装置4、電波諸元情報により電子戦処理および制御を行って電波妨害の指示を出す電子戦処理装置5、電波妨害の指示を受けて目標電波に対して電波妨害信号を送信する電波妨害装置6、およびこれらの処理状況を把握するため各種の情報を表示する表示装置7を備えている。更に電子戦処理装置5は、電子戦処理・制御部51と電波妨害送受信指示部52と妨害状況判定部53とI/F部54などを有している。なお電子戦処理装置5の各構成要素51〜53は、航空機が目標航空機からのレーダ波の探知を受けている自機になる場合とその周辺に位置する僚機になる場合とで、処理機能が異なる。
【0016】
図1では説明の都合上、上側の電子戦装置1とデータリンク装置2を搭載した航空機を自機航空機とし、下側の電子戦装置1とデータリンク装置2を搭載した航空機を僚機航空機として説明するが、目標航空機からのレーダ波の探知を受けている航空機によって、自機と僚機とはその都度入れ替わる。
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図2はこの発明の実施の形態1における電波妨害システムを電波妨害状況把握システムに適用した場合の概略図、図3は電波妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
図2に示す電波妨害状況把握システムの概略図において、図2(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図2(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、および僚機航空機13が受信する電波妨害信号15の受信信号16をそれぞれ示したものである。
ここで、自機航空機12と僚機航空機13は図1に示す電子戦装置1とデータリンク装置2(上側が自機航空機12に搭載され、下側が僚機航空機13に搭載されている)を有しているものである。
【0018】
図2において、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置からのレーダ波14を、自機航空機12が図1に示す電子戦装置1の内、電波受信装置4により受信し、電子戦処理装置5で電波妨害装置6に電波妨害を指示し、電波妨害装置6から電波妨害信号15を送信する。電波妨害装置6は、レーダ装置からのレーダ波14に対し、電波妨害信号15が電波妨害の効果を得られる変調を行って送信する。電波妨害信号15を送信する際にデータリンク装置2によるデータ伝送により、僚機航空機13に電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6の電波妨害信号情報15を通信して共有し、僚機航空機13で妨害の実施状況を把握し、その状況報告をデータリンク装置2で自機航空機12に通信して、妨害が正常に実施できていることを周知する。
【0019】
以下、電波妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図3に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図3のステップS21では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS22では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理して電波妨害を必要とする順位などの判定を行い、ステップS23で電波妨害送受信指示部52により電波妨害装置6に対して電波妨害の送信を指示する。この指示には周波数、妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を含む。ステップS24では、電波妨害装置6がレーダ波14に対し電波妨害の効果が得られる変調を行って目標航空機11に向けて電波妨害信号15を送信する。
【0020】
一方、ステップS23において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6が送信した電波妨害信号情報15を自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると共に、自機航空機12が送信した電波妨害信号の受信を指示する。同時に、各航空機の位置情報(平面座標情報)、時刻情報、飛行情報などもデータリンク装置2を介して伝送する。ステップS24で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0021】
ステップS25では、データリンク装置2で送られた指示に基づき、僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52は電波妨害装置6に対して自機航空機12が送信した電波妨害信号15の受信を指示する。ステップS26では、僚機航空機13の電波妨害装置6が妨害電波信号15を受信し、その受信信号16から受信諸元を抽出して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53に報告する。ステップS27では、僚機航空機13の妨害状況判定部53において、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害信号情報15(周波数、信号タイミングなど)と、自機航空機12から空間放射された電波妨害信号15を僚機航空機13の電波妨害装置6で受信した受信諸元とを照合し、データリンクによる電波妨害信号情報に基づく実送信電波妨害が合致するのかの相関を行い、またその他共有した各種データと自らが受信分析した情報との相関を行い、自機(僚機航空機13から見た場合は僚機)航空機12が送信した妨害電波が正常に実施されていることを識別し、自機航空機12が電波妨害実施中であることを判定する。そしてその結果のデータをデータリンク装置2に出力する。
【0022】
ステップS28では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ妨害状況の判定結果を送信し、ステップS29において自機航空機12のデータリンク装置2でその妨害状況の判定結果を受信する。ステップS30では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた妨害状況判定結果に伴った自機航空機12の電波妨害実施状況を表示装置7により表示し、パイロットはその表示を見て電波妨害状況の把握確認を行なう。
【0023】
もし、データリンク3による相互の電波情報データ共有が行われない場合は、自機航空機12による電波妨害信号15がどういう状況によって、僚機航空機13で受信できる状況であるかの把握ができず、目標航空機11と自機航空機12、またはこれら以外の電波送信母機の送信電波情報との差異を正確に掴むことができない状況であった。
しかしこの発明によれば、各航空機の位置情報(平面座標情報)、時刻情報、飛行情報と共に、電波受信装置が検出したレーダ波の電波諸元情報(周波数、信号タイミング、検出位相)及び自機が送信した電波妨害信号の情報をデータリンク3により僚機航空機に送り、各種データを共有して自らが受信分析した電波情報等と相関を取ることにより、各航空機間で相互に電波環境を把握することができ、自機航空機12の電波妨害実施状況を航空機パイロット等に表示することが可能となり、電子戦装置の信頼性を改善することができる。
【0024】
実施の形態2.
次にこの発明の実施の形態2における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図4はこの発明の実施の形態2における電波妨害システムを連携妨害システム適用した場合の概略図、図5は連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
この実施の形態2における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0025】
図4に示す連携妨害システムの概略図において、図4(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図4(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号18をそれぞれ示したものである。
ここで、自機航空機12と僚機航空機13は図1に示す電子戦装置1とデータリンク装置2をそれぞれ有しているものである。
【0026】
実施の形態2におけるこの発明は、自機航空機12で受信したレーダ信号14の電波情報に対し、自ら電波妨害信号15を出力し、データリンク3により、僚機航空機13に対し、異方向からの妨害電波送信による連携妨害を実施するために情報を送信し、僚機航空機13から電波妨害信号18を自機航空機12の妨害電波信号15と連携して出力し、目標航空機11を攪乱する実施例である。
【0027】
以下、連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図5に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図5のステップS41では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS42では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理して電波妨害を必要とする順位などの判定を行い、ステップS43で電波妨害送受信指示部52により電波妨害装置6に対して電波妨害の送信を指示する。
【0028】
ステップS44では、電波妨害装置6がレーダ波14に対し電波妨害の効果が得られる変調を行って電波妨害信号15を送信する。一方、ステップS43において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6が送信した電波妨害信号情報15を自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると同時に、僚機航空機13からも電波妨害を実施するよう指示する通信を行う。ステップS44で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0029】
ステップS45では、自機(航空機13から見た場合は僚機)航空機12からの電波妨害指示により僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して連携妨害を行うよう指示する。ステップS46では、僚機航空機13の電波妨害装置6は自機航空機12が送信している電波妨害信号15を受信すると共に、自機航空機12と連携して電波妨害信号18を送信する。ステップS47では、僚機航空機13の妨害状況判定部53において、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害信号情報15(周波数、信号タイミングなど)と、自機航空機12から空間放射された電波妨害信号15を僚機航空機13の電波妨害装置6で受信した受信諸元とを照合し、データリンクによる電波妨害信号情報に基づく実送信電波妨害が合致するのかの相関を行い、自機(僚機航空機13から見た場合は僚機)航空機12が送信した妨害電波が正常に実施されていることを識別し、自機航空機12が電波妨害実施中であることを判定する。また、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害指示(周波数、信号タイミングなど)により僚機航空機13側で連携して電波妨害を実施していることを確認し、上記判定結果のデータと共にデータリンク装置2へ出力する。
【0030】
ステップS48では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ連携妨害実施の情報を送信し、ステップS49において自機航空機12のデータリンク装置2でその連携妨害実施の情報を受信する。ステップS50では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた連携妨害実施状況を自機航空機12の表示装置7により表示し、パイロットはその表示を見て確認する。
【0031】
このように実施の形態2における連携妨害システムは、データリンク3を介して互いの情報を共有するだけでなく、目標電波を受信した自機航空機12から僚機航空機13に対しデータリンク3を介して連携妨害を行なう指示および制御を行うようにし、目標電波を受信した側にデータリンク3による電波妨害動作に強制力を持たせるようにしたもので、電波妨害連携能力が向上する。
【0032】
実施の形態3.
次にこの発明の実施の形態3における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図6はこの発明の実施の形態3における電波妨害システムを妨害状況把握と連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
図6において、図6(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図6(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、僚機航空機13が受信する電波妨害信号15の受信信号16、および僚機航空機13が送信する特有の電波妨害信号19をそれぞれ示したものである。
なおこの実施の形態3における構成図は図1と、電波妨害システムにおける各装置の処理フロー図は図3及び図5とほぼ同じにつき、その詳細な説明は省略する。
【0033】
この実施の形態3における電波妨害システムは、実施の形態2に示す連携妨害システムに実施の形態1に示す僚機側での妨害状況把握システムを機能させたものである。僚機航空機13は電波妨害装置6で受信した自機航空機12からの妨害電波情報とデータリンク3を介して送られた電波妨害情報との相関を取り、それに基づいて僚機航空機13側で妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を変えて空間の多種妨害電波環境を作り出す特有の電波妨害信号19を生成して、妨害送信するものである。また電波妨害信号15の受信信号16の分析情報とデータリンク3を介して共有している情報とで相関を行い、意図する電波を受信できているか識別もしている。
このような特有の電波妨害信号19を僚機航空機13から送信することにより、目標航空機側からの標定を撹乱することが期待できる。
【0034】
実施の形態4.
次にこの発明の実施の形態4における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図7はこの発明の実施の形態4における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図、図8は支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
この実施の形態4における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0035】
図7に示す支援妨害システムの概略図において、図7(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図7(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号21をそれぞれ示したものである。
【0036】
図7に示す実施の形態4の発明は、自機航空機12で目標航空機11のレーダ信号14を受信し、自機航空機12で自ら電波妨害を実施した場合、存在方位が特定されてしまうので、異方位から電波妨害を行い、支援的に電波妨害を実施する支援妨害システムの例である。即ち、自機航空機12で目標航空機11のレーダ信号14を受信し、自機航空機12では妨害送信による妨害効果に伴い生じる方位追尾能力を減殺させるために、データリンク3で僚機航空機13に電波情報を通信して、僚機航空機13から電波妨害信号21を送信する。このようにすることにより、目標電波を受信した自機航空機12の指向から、支援妨害電波送信側の僚機航空機13に逸らすことができる。
【0037】
以下、支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図8に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図8のステップS61では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS62では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理、制御の判定を行う。ステップS63において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14及び自機航空機12の位置情報、時刻情報、飛行情報などを自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると同時に、僚機航空機13から電波妨害を実施するよう指示する通信を行う。ステップS64で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0038】
ステップS65では、僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して電波妨害信号21を送信して支援妨害を行うよう指示する。ステップS66では、電波妨害指示により僚機航空機13の電波妨害装置6から電波妨害信号21を送信する。ステップS67では、データリンク装置2により自機航空機12側から送信されてきた電波妨害情報(周波数、信号タイミングなど)に基づいて僚機航空機13側の電波妨害装置6による電波妨害信号が送信され、電波妨害が実施されているかを電子戦処理装置5が確認し、自機航空機12側に応答するためにデータリンク装置2に出力する。
ステップS68では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ支援妨害実施の状況(電波妨害装置6の支援妨害電波信号情報21など)を通信し、ステップS69において自機航空機12のデータリンク装置2でその支援妨害実施の状況を受信する。ステップS70では、僚機航空機13からの支援妨害実施状況を自機航空機12の表示装置7に表示し、パイロットはその表示を見て支援妨害の状況を確認する。
【0039】
このように実施の形態4の発明は、支援妨害において妨害電波が有効に空間放射されているかどうかを自機航空機12で確認する手段が今までなかったものが、自機航空機12で支援妨害を表示により確認できることにより、妨害電波が空間放射されて支援妨害により自らの追尾を回避される状況になっていることが確認できる。
【0040】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5は図示していないが、実施の形態4において、僚機航空機13を地上レーダ装置または地上妨害装置として、自機航空機12の後方から更に大電力の妨害送信を実施する実施例としたものである。航空機による電波妨害は、通常、広い覆域に送信するため、妨害目標に対し、電力を集中させることができないが、地上から妨害目標に送信ビームを集中させることにより、大きな支援妨害信号とすることができ、妨害の効果が期待できる。また地上から電波妨害する場合、遠距離となるが、目標航空機11の電波受信情報は自機航空機12からデータリンク3を介して入手するため目標信号の受信能力を必要とせず、目標航空機11に対し電波妨害のみを集中して行うことができる。
【0041】
実施の形態6.
次にこの発明の実施の形態6における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図9はこの発明の実施の形態6における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態6における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。またこの実施の形態6における支援妨害システムにおける各装置の処理フロー図は図8に記載されているので、それを援用して説明する。
【0042】
図9に示す支援妨害システムの概略図において、図9(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図9(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する支援電波妨害信号21、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号21を自機航空機12が受信する受信信号22をそれぞれ示したものである。
この実施の形態6の発明は、実施の形態4及び5において、妨害支援を受けている自機航空機12で僚機航空機13あるいは地上電波妨害装置が送信している支援妨害電波信号21を受信信号22として受信し、実施の形態1と同様に自機航空機12側で妨害状況を把握する例である。
【0043】
以下、支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図8に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図8のステップS61からステップS70までは実施の形態4と同じにつき、その説明を省略する。ステップS71では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた支援妨害実施状況により自機航空機12の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して僚機航空機13が送信している妨害電波を受信するよう指示する。ステップS72では、電波妨害装置6が僚機航空機13が送信している支援妨害電波を受信する。ステップS73では、データリンク3を介して送られた支援妨害実施状況と自機航空機12の電波妨害装置6が受信した支援妨害電波情報とを妨害状況判定部53で照合判定する。ステップS74では、僚機航空機13からの支援妨害実施状況及び照合判定した結果を自機航空機12の表示装置7に表示すると共に、自機航空機12の妨害状況判定部53で判定した支援妨害状況確認結果を僚機航空機13へ応答する。即ち、僚機航空機13側が、自機航空機12から指示された電波妨害を正常に実施していることを判定した結果のデータを確認できるように、自機航空機12から僚機航空機13に通知するためにデータリンク装置2に出力する。
【0044】
ステップS75では、データリンク装置2により、自機航空機12から僚機航空機13へ支援妨害状況確認結果を通信し、ステップS76において僚機航空機13のデータリンク装置2でその支援妨害状況確認結果を受信する。ステップS77では、僚機航空機13の支援妨害実施による自機(航空機13から見たら僚機)航空機12が受信して支援妨害実施状況を確認した結果を表示装置7に表示し、パイロットはその表示を見て支援妨害状況確認結果を確認する。
【0045】
このように実施の形態6の発明は、支援妨害において妨害電波が有効に空間放射されているかどうかを自機航空機12で確認する手段が今までなかったものが、自機航空機12で支援妨害を受信できることにより、妨害電波が空間放射されて支援妨害により自らの追尾を回避される状況になっていることが確認できる。また、僚機航空機13が送信した支援電波妨害情報と自機航空機12で受信した妨害電波信号との照合確認で支援妨害の効果が更に確実に確認できる。また、支援妨害により目標電波が継続的に自らに指向している場合、支援妨害している妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を僚機航空機13に通知して変えさせることにより、妨害による効果の改善が期待できる。
【0046】
実施の形態7.
次にこの発明の実施の形態7における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図10はこの発明の実施の形態7における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態7における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0047】
図10に示す支援妨害システムの概略図において、図10(a)は目標航空機11と自機航空機12と2機の僚機航空機13、24との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13及び僚機航空機13と僚機航空機24とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図10(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する電波妨害信号21、自機航空機12及び僚機航空機24が受信する僚機航空機13からの電波妨害信号21の受信信号22、僚機航空機24が送信する電波妨害信号23をそれぞれ示したものである。
【0048】
この実施の形態7の発明は、実施の形態4〜6のいずれかにおいて、更に妨害による方位攪乱を実施するために、僚機航空機24により電波妨害信号23を送信する例であり、目標航空機11のサイド・ローブへの妨害注入となるため、大電力の妨害能力を有する電波妨害装置となる。この場合の支援妨害システムにおける各装置の処理フローは僚機が2機となるだけで図8に示すものとほぼ同じである。
このように自機航空機12は、僚機航空機13の電波妨害信号21を受けて、目標航空機11から狙われている状況が支援妨害の実施状況を把握することで、電波妨害の効果を認識できる。一方僚機航空機24は、僚機航空機13の電波妨害信号21を受けて、連携妨害することも可能であり、異なる方位で受信した電波妨害信号及びデータリンク3による共有情報を分析しながら、更に目標航空機11を攪乱する目的で、空間方位の妨害電波の密度が期待でき、妨害電波発生能力が向上する。
【0049】
実施の形態8.
次にこの発明の実施の形態8における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図11はこの発明の実施の形態8における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態8における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0050】
図11に示す支援妨害システムの概略図において、図11(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13と地上支援部門25との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13及び自機航空機12と地上支援部門25とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図11(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する電波妨害信号21、自機航空機12が受信する僚機航空機13からの電波妨害信号21の受信信号22、僚機航空機13が送信する見直し後の電波妨害信号27をそれぞれ示したものである。
【0051】
この実施の形態7の発明は、実施の形態6に地上支援部門25を更に追加したものである。地上支援部門25は妨害テーブルおよび識別テーブル26を保有している。妨害テーブルとは、事前にある程度判明している目標電波情報に対し、電波妨害を実施するために妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を効果が期待できる範囲に絞り込んだ事前設定リストである。また識別テーブルとは、事前にある程度判明している目標電波情報のリストである。
【0052】
飛行前に航空機12、13の電子戦装置1のメモリにダウンロードする方法で確保している事前に設定した情報リストに、航空機12、13検出した目標電波情報が無い場合、そのデータのリストを上空で変更するためにデータリンク3を通じて地上支援部門25から航空機12、13に妨害テーブルおよび識別テーブル26に格納されている情報からアップロードするようにしたものである。
このようにすることにより、航空機12の電子戦装置1にメモリされている電波妨害変調データを飛行中に見直し、電波妨害信号21では効果がなかった電波妨害を新たな電波妨害信号27に変更して送信することで、電波妨害効果を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の基本形態における電波妨害システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電波妨害システムを妨害状況把握システムに適用した場合の概略図である。
【図3】この発明の実施の形態1の妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2における電波妨害システムを連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図5】この発明の実施の形態2の連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態3における電波妨害システムを連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図7】この発明の実施の形態4における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図8】この発明の実施の形態4及び6の支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である
【図9】この発明の実施の形態6における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図10】この発明の実施の形態7における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図11】この発明の実施の形態8における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【符号の説明】
【0054】
1:電子戦装置、 2:データリンク装置、
3:データリンク、 4:電波受信装置、
5:電子戦処理装置、 6:電波妨害装置、
7:表示装置
11:目標航空機、 12:自機航空機、
13:僚機航空機、 14:目標航空機レーダ信号、
15:電波妨害信号、 16:電波妨害信号受信信号、
18:連携電波妨害信号、 19:連携電波妨害信号、
21:支援妨害信号、 22:支援妨害信号受信信号、
23:支援妨害信号中継妨害信号、 24:僚機航空機
25:地上支援部門、 26:妨害テーブル及び目標識別テーブル
27:設定変更妨害信号、
51:電子戦処理制御部 52:電波妨害送受信指示部
53:妨害状況判定部 54:I/F部
【技術分野】
【0001】
この発明は航空機に搭載の電波妨害装置から妨害電波を送信して相手機のレーダ波に妨害を与えるようにした電波妨害システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機による電子戦システムでは、相手機のレーダ波による目標の探知から逃れるため、相手レーダ波を検知して相手機に向けて妨害電波を送信し、相手機のレーダ波による探知を撹乱させるようにする電波妨害装置を航空機に搭載している。
このように航空機に搭載した電波妨害装置で妨害電波を発生させる場合、自機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生する単独妨害と、自機と僚機間で連携して両方の電波妨害装置から妨害電波を発生する連携妨害と、自機と僚機間で連携して僚機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生して自機を支援する支援妨害とがある。
【0003】
自機と僚機間で連携して妨害波を送信する連携妨害装置として、妨害波の送信開始及び送信停止を検出して同期信号を作成するデータリンク処理器を搭載し、この同期信号を空中線を介して僚機の妨害機に送信することにより、妨害波の送信タイミングの同期をとるようにしたものがある。しかし同期をとるためだけに専用のデータリンク装置が必要なことから、僚機が送信する妨害波を受信する受信機を設け、送信する妨害波の送信タイミング、周波数等をリアルタイムで検出することにより僚機間で同期をとり、データリンク装置を省略した簡略な構成で連携妨害を行うようにした連携妨害装置が知られている。(特許文献1参照)
【0004】
また、自機と僚機間で連携して妨害波を送信する連携妨害の場合、自機が受信する電波としては、僚機によって送信されたレーダ波、僚機によって脅威となる相手機(脅威機)に送信された妨害波、自機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波、僚機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波など様々の電波がある。このような様々の電波から不要波を除去して目標対象の電波を的確に探知する必要があるが、自機が検出した受信信号の電波諸元、入力した自機に関する情報及び僚機に関する情報から不要波を除去することができるRF(無線周波数)マネジメント装置を備えた電子戦システムが知られている。
このRFマネジメント装置は、自機の位置やレーダ送信周波数、自機が探知した脅威機の位置に関する情報を僚機に送信する一方、僚機の位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機が探知している脅威機の位置に関する情報を受信するために、データリンク装置と接続され、このデータリンク装置を介して自機と僚機間で情報の交換が行なわれるようになっている。(特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】特開2001−194447号公報
【特許文献2】特開2006−189335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自機の電波妨害装置からのみ妨害電波を発生する場合においては、妨害目標に対し、電波妨害送信を実施している状況そのものを空間的に把握することが困難であり、電波妨害による自己防御状況の把握が困難であって、電波妨害の妨害技術、手段によっては、電波妨害送信による自らの方位情報を電波妨害目標側に探知させてしまう状況で更に自己防御の効果が全く機能していない状況となる場合もあった。
【0007】
また特許文献のような連携妨害においては、データリンクによる情報の共有を実施しておらず、電波受信を時間的制限により、識別しようとしており、僚機から出力されている電波であるか、目標からの電波であるか、また僚機がどのような受信判定により、妨害電波及び妨害変調の電波送信としたかを把握することが不可能である。
また、データリンクは、多重化、高速ディジタル通信技術によるリアルタイム性が無い場合での電波情報の伝達では、連携するには情報量に乏しく、自機と僚機間による電波環境の複雑処理(目標電波か、僚機電波か等、区別できる情報の処理)が必要であり、処理能力的に不十分であった。
【0008】
支援妨害においても、脅威環境下に遭遇している電波情報を空間的な受信活動にのみ依存しており、受信できない場合、支援妨害を実施することができなかった。また支援妨害は、航空機の飛行空域及び電波情報による地上レーダ装置を活用した大電力妨害装置への転用等は実施できなかった。
【0009】
近年の電波運用環境に対し、個々の航空機用電波装置(電波受信装置、電波妨害装置)では、更なる正確さと高性能化による目標情報を得ることが、技術的能力向上の限界に至っている。
また、従来、通信負荷の制約により、電波各種諸元情報を共有することが非常に困難であったが、ディジタル・データリンク装置による多重化データ通信技術の普及により、通信装置のデータ伝送技術に電波情報を重畳することにより、容易にデータを共有することが可能になってきている。
【0010】
この発明は、電波装置とデータリンク装置(ディジタル・データ無線通信機)の各技術の連携により、電波受信及び電波妨害のデータ情報の共有による電波妨害の状況把握と、レーダ装置を有効活用した連携電波妨害または支援電波妨害が実施できる電波妨害システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報とレーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して自機航空機から僚機航空機に対して自機航空機が送信した電波妨害信号の受信を指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を受信してその電波諸元を検出し、データリンク装置を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより電波妨害信号による妨害状況を判定し、その判定結果をデータリンク装置を介して自機航空機側に伝送するようにしたものである。
【0012】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報とレーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して僚機航空機に対して僚機航空機も電波妨害を行うよう指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を送信して自機航空機と共に連携妨害を行うと共に、データリンク装置を介して送られた自機航空機の電波妨害信号情報と僚機航空機が送信した電波妨害信号情報との相関を確認して、連携電波妨害の実施情報をデータリンク装置を介して自機航空機側に伝送するようにしたものである。
【0013】
この発明の電波妨害システムは、目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、レーダ波の電波受信情報をデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、データリンク装置を介して僚機航空機に対して僚機航空機から電波妨害を行うよう指示し、僚機航空機は指示に基づき電波妨害信号を送信して自機航空機に対する支援妨害を行うと共に、その支援妨害の実施情報をデータリンク装置を介して自機航空機に伝送し、自機航空機は支援妨害実施情報を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報及び自らが送出した電波妨害情報をデータリンク装置により各々の航空機で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して電波妨害受信指示を受けた僚機航空機は、自機航空機が送信した電波妨害信号による電波妨害の実施状況を確認し、データリンク装置を介して自機航空機側に通知するので、自機航空機は自らが送出した電波妨害状況を把握することが可能となり、電子戦装置の信頼性を改善することができる。
またこの発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報及び自らが送出した電波妨害情報をデータリンク装置により各々の航空機又は地上電波装置で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して僚機航空機に対して連携妨害を実施する指示を行うことにより、目標電波を受信した航空機側にデータリンクによる電波妨害動作に強制力を持たせるようにしたから、電波妨害連携能力が向上して航空機の脅威電波攻撃の回避を実施することが可能となる。
またこの発明は、目標からのレーダ波を受信した電波受信情報をデータリンク装置により各々の航空機又は地上電波装置で共有するだけでなく、レーダ波を受信した航空機からデータリンク装置を介して僚機航空機又は地上電波装置に対して支援妨害を実施する指示を行うことにより、目標電波を受信した側にデータリンクによる支援電波妨害動作を持たせたから、目標電波を受信した自機航空機の指向から、支援妨害電波送信側の航空機又は地上電波装置に逸らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の基本形態.
まずこの発明のそれぞれの実施形態に使用される電波妨害システムの構成図について図1に基づき説明する。
図1の構成図において、各航空機はそれぞれ電子戦装置1とデータリンク装置(ディジタル通信無線機)2を搭載している。データリンク装置2はデータリンク3を介して各航空機間でディジタル・データ伝送による情報の共有化を行うためのものである。電子戦装置1は、レーダ波を受信して電波諸元を分析して検出する電波受信装置4、電波諸元情報により電子戦処理および制御を行って電波妨害の指示を出す電子戦処理装置5、電波妨害の指示を受けて目標電波に対して電波妨害信号を送信する電波妨害装置6、およびこれらの処理状況を把握するため各種の情報を表示する表示装置7を備えている。更に電子戦処理装置5は、電子戦処理・制御部51と電波妨害送受信指示部52と妨害状況判定部53とI/F部54などを有している。なお電子戦処理装置5の各構成要素51〜53は、航空機が目標航空機からのレーダ波の探知を受けている自機になる場合とその周辺に位置する僚機になる場合とで、処理機能が異なる。
【0016】
図1では説明の都合上、上側の電子戦装置1とデータリンク装置2を搭載した航空機を自機航空機とし、下側の電子戦装置1とデータリンク装置2を搭載した航空機を僚機航空機として説明するが、目標航空機からのレーダ波の探知を受けている航空機によって、自機と僚機とはその都度入れ替わる。
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図2はこの発明の実施の形態1における電波妨害システムを電波妨害状況把握システムに適用した場合の概略図、図3は電波妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
図2に示す電波妨害状況把握システムの概略図において、図2(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図2(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、および僚機航空機13が受信する電波妨害信号15の受信信号16をそれぞれ示したものである。
ここで、自機航空機12と僚機航空機13は図1に示す電子戦装置1とデータリンク装置2(上側が自機航空機12に搭載され、下側が僚機航空機13に搭載されている)を有しているものである。
【0018】
図2において、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置からのレーダ波14を、自機航空機12が図1に示す電子戦装置1の内、電波受信装置4により受信し、電子戦処理装置5で電波妨害装置6に電波妨害を指示し、電波妨害装置6から電波妨害信号15を送信する。電波妨害装置6は、レーダ装置からのレーダ波14に対し、電波妨害信号15が電波妨害の効果を得られる変調を行って送信する。電波妨害信号15を送信する際にデータリンク装置2によるデータ伝送により、僚機航空機13に電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6の電波妨害信号情報15を通信して共有し、僚機航空機13で妨害の実施状況を把握し、その状況報告をデータリンク装置2で自機航空機12に通信して、妨害が正常に実施できていることを周知する。
【0019】
以下、電波妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図3に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図3のステップS21では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS22では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理して電波妨害を必要とする順位などの判定を行い、ステップS23で電波妨害送受信指示部52により電波妨害装置6に対して電波妨害の送信を指示する。この指示には周波数、妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を含む。ステップS24では、電波妨害装置6がレーダ波14に対し電波妨害の効果が得られる変調を行って目標航空機11に向けて電波妨害信号15を送信する。
【0020】
一方、ステップS23において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6が送信した電波妨害信号情報15を自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると共に、自機航空機12が送信した電波妨害信号の受信を指示する。同時に、各航空機の位置情報(平面座標情報)、時刻情報、飛行情報などもデータリンク装置2を介して伝送する。ステップS24で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0021】
ステップS25では、データリンク装置2で送られた指示に基づき、僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52は電波妨害装置6に対して自機航空機12が送信した電波妨害信号15の受信を指示する。ステップS26では、僚機航空機13の電波妨害装置6が妨害電波信号15を受信し、その受信信号16から受信諸元を抽出して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53に報告する。ステップS27では、僚機航空機13の妨害状況判定部53において、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害信号情報15(周波数、信号タイミングなど)と、自機航空機12から空間放射された電波妨害信号15を僚機航空機13の電波妨害装置6で受信した受信諸元とを照合し、データリンクによる電波妨害信号情報に基づく実送信電波妨害が合致するのかの相関を行い、またその他共有した各種データと自らが受信分析した情報との相関を行い、自機(僚機航空機13から見た場合は僚機)航空機12が送信した妨害電波が正常に実施されていることを識別し、自機航空機12が電波妨害実施中であることを判定する。そしてその結果のデータをデータリンク装置2に出力する。
【0022】
ステップS28では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ妨害状況の判定結果を送信し、ステップS29において自機航空機12のデータリンク装置2でその妨害状況の判定結果を受信する。ステップS30では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた妨害状況判定結果に伴った自機航空機12の電波妨害実施状況を表示装置7により表示し、パイロットはその表示を見て電波妨害状況の把握確認を行なう。
【0023】
もし、データリンク3による相互の電波情報データ共有が行われない場合は、自機航空機12による電波妨害信号15がどういう状況によって、僚機航空機13で受信できる状況であるかの把握ができず、目標航空機11と自機航空機12、またはこれら以外の電波送信母機の送信電波情報との差異を正確に掴むことができない状況であった。
しかしこの発明によれば、各航空機の位置情報(平面座標情報)、時刻情報、飛行情報と共に、電波受信装置が検出したレーダ波の電波諸元情報(周波数、信号タイミング、検出位相)及び自機が送信した電波妨害信号の情報をデータリンク3により僚機航空機に送り、各種データを共有して自らが受信分析した電波情報等と相関を取ることにより、各航空機間で相互に電波環境を把握することができ、自機航空機12の電波妨害実施状況を航空機パイロット等に表示することが可能となり、電子戦装置の信頼性を改善することができる。
【0024】
実施の形態2.
次にこの発明の実施の形態2における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図4はこの発明の実施の形態2における電波妨害システムを連携妨害システム適用した場合の概略図、図5は連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
この実施の形態2における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0025】
図4に示す連携妨害システムの概略図において、図4(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図4(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号18をそれぞれ示したものである。
ここで、自機航空機12と僚機航空機13は図1に示す電子戦装置1とデータリンク装置2をそれぞれ有しているものである。
【0026】
実施の形態2におけるこの発明は、自機航空機12で受信したレーダ信号14の電波情報に対し、自ら電波妨害信号15を出力し、データリンク3により、僚機航空機13に対し、異方向からの妨害電波送信による連携妨害を実施するために情報を送信し、僚機航空機13から電波妨害信号18を自機航空機12の妨害電波信号15と連携して出力し、目標航空機11を攪乱する実施例である。
【0027】
以下、連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図5に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図5のステップS41では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS42では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理して電波妨害を必要とする順位などの判定を行い、ステップS43で電波妨害送受信指示部52により電波妨害装置6に対して電波妨害の送信を指示する。
【0028】
ステップS44では、電波妨害装置6がレーダ波14に対し電波妨害の効果が得られる変調を行って電波妨害信号15を送信する。一方、ステップS43において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14と電波妨害装置6が送信した電波妨害信号情報15を自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると同時に、僚機航空機13からも電波妨害を実施するよう指示する通信を行う。ステップS44で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0029】
ステップS45では、自機(航空機13から見た場合は僚機)航空機12からの電波妨害指示により僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して連携妨害を行うよう指示する。ステップS46では、僚機航空機13の電波妨害装置6は自機航空機12が送信している電波妨害信号15を受信すると共に、自機航空機12と連携して電波妨害信号18を送信する。ステップS47では、僚機航空機13の妨害状況判定部53において、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害信号情報15(周波数、信号タイミングなど)と、自機航空機12から空間放射された電波妨害信号15を僚機航空機13の電波妨害装置6で受信した受信諸元とを照合し、データリンクによる電波妨害信号情報に基づく実送信電波妨害が合致するのかの相関を行い、自機(僚機航空機13から見た場合は僚機)航空機12が送信した妨害電波が正常に実施されていることを識別し、自機航空機12が電波妨害実施中であることを判定する。また、自機航空機12からデータリンク3を介して受信した電波妨害指示(周波数、信号タイミングなど)により僚機航空機13側で連携して電波妨害を実施していることを確認し、上記判定結果のデータと共にデータリンク装置2へ出力する。
【0030】
ステップS48では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ連携妨害実施の情報を送信し、ステップS49において自機航空機12のデータリンク装置2でその連携妨害実施の情報を受信する。ステップS50では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた連携妨害実施状況を自機航空機12の表示装置7により表示し、パイロットはその表示を見て確認する。
【0031】
このように実施の形態2における連携妨害システムは、データリンク3を介して互いの情報を共有するだけでなく、目標電波を受信した自機航空機12から僚機航空機13に対しデータリンク3を介して連携妨害を行なう指示および制御を行うようにし、目標電波を受信した側にデータリンク3による電波妨害動作に強制力を持たせるようにしたもので、電波妨害連携能力が向上する。
【0032】
実施の形態3.
次にこの発明の実施の形態3における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図6はこの発明の実施の形態3における電波妨害システムを妨害状況把握と連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
図6において、図6(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図6(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、自機航空機12が送信する電波妨害信号15、僚機航空機13が受信する電波妨害信号15の受信信号16、および僚機航空機13が送信する特有の電波妨害信号19をそれぞれ示したものである。
なおこの実施の形態3における構成図は図1と、電波妨害システムにおける各装置の処理フロー図は図3及び図5とほぼ同じにつき、その詳細な説明は省略する。
【0033】
この実施の形態3における電波妨害システムは、実施の形態2に示す連携妨害システムに実施の形態1に示す僚機側での妨害状況把握システムを機能させたものである。僚機航空機13は電波妨害装置6で受信した自機航空機12からの妨害電波情報とデータリンク3を介して送られた電波妨害情報との相関を取り、それに基づいて僚機航空機13側で妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を変えて空間の多種妨害電波環境を作り出す特有の電波妨害信号19を生成して、妨害送信するものである。また電波妨害信号15の受信信号16の分析情報とデータリンク3を介して共有している情報とで相関を行い、意図する電波を受信できているか識別もしている。
このような特有の電波妨害信号19を僚機航空機13から送信することにより、目標航空機側からの標定を撹乱することが期待できる。
【0034】
実施の形態4.
次にこの発明の実施の形態4における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図7はこの発明の実施の形態4における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図、図8は支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
この実施の形態4における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0035】
図7に示す支援妨害システムの概略図において、図7(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図7(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号21をそれぞれ示したものである。
【0036】
図7に示す実施の形態4の発明は、自機航空機12で目標航空機11のレーダ信号14を受信し、自機航空機12で自ら電波妨害を実施した場合、存在方位が特定されてしまうので、異方位から電波妨害を行い、支援的に電波妨害を実施する支援妨害システムの例である。即ち、自機航空機12で目標航空機11のレーダ信号14を受信し、自機航空機12では妨害送信による妨害効果に伴い生じる方位追尾能力を減殺させるために、データリンク3で僚機航空機13に電波情報を通信して、僚機航空機13から電波妨害信号21を送信する。このようにすることにより、目標電波を受信した自機航空機12の指向から、支援妨害電波送信側の僚機航空機13に逸らすことができる。
【0037】
以下、支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図8に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図8のステップS61では、脅威機となる目標航空機11のレーダ装置(目標電波源)からレーダ波14の電波が照射され、自機航空機12の電波受信装置4がその目標電波の受信を行い、目標電波の電波諸元(周波数、パルス幅、パルス周期など)の分析を行う。ステップS62では、自機航空機12の電子戦処理・制御部51が電波受信装置4からの電波諸元情報により電子戦処理、制御の判定を行う。ステップS63において、I/F部54を介してデータリンク装置2により、電子戦処理装置5で処理したレーダ装置のレーダ波情報14及び自機航空機12の位置情報、時刻情報、飛行情報などを自機航空機12から僚機航空機13へ通信して伝送すると同時に、僚機航空機13から電波妨害を実施するよう指示する通信を行う。ステップS64で僚機航空機13はその情報をデータリンク装置2で受信し、I/F部54を介して電子戦処理装置5の妨害状況判定部53および電波妨害送受信指示部52に取り込む。
【0038】
ステップS65では、僚機航空機13の電子戦処理装置5内の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して電波妨害信号21を送信して支援妨害を行うよう指示する。ステップS66では、電波妨害指示により僚機航空機13の電波妨害装置6から電波妨害信号21を送信する。ステップS67では、データリンク装置2により自機航空機12側から送信されてきた電波妨害情報(周波数、信号タイミングなど)に基づいて僚機航空機13側の電波妨害装置6による電波妨害信号が送信され、電波妨害が実施されているかを電子戦処理装置5が確認し、自機航空機12側に応答するためにデータリンク装置2に出力する。
ステップS68では、I/F部54を介してデータリンク装置2により、僚機航空機13から自機航空機12へ支援妨害実施の状況(電波妨害装置6の支援妨害電波信号情報21など)を通信し、ステップS69において自機航空機12のデータリンク装置2でその支援妨害実施の状況を受信する。ステップS70では、僚機航空機13からの支援妨害実施状況を自機航空機12の表示装置7に表示し、パイロットはその表示を見て支援妨害の状況を確認する。
【0039】
このように実施の形態4の発明は、支援妨害において妨害電波が有効に空間放射されているかどうかを自機航空機12で確認する手段が今までなかったものが、自機航空機12で支援妨害を表示により確認できることにより、妨害電波が空間放射されて支援妨害により自らの追尾を回避される状況になっていることが確認できる。
【0040】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5は図示していないが、実施の形態4において、僚機航空機13を地上レーダ装置または地上妨害装置として、自機航空機12の後方から更に大電力の妨害送信を実施する実施例としたものである。航空機による電波妨害は、通常、広い覆域に送信するため、妨害目標に対し、電力を集中させることができないが、地上から妨害目標に送信ビームを集中させることにより、大きな支援妨害信号とすることができ、妨害の効果が期待できる。また地上から電波妨害する場合、遠距離となるが、目標航空機11の電波受信情報は自機航空機12からデータリンク3を介して入手するため目標信号の受信能力を必要とせず、目標航空機11に対し電波妨害のみを集中して行うことができる。
【0041】
実施の形態6.
次にこの発明の実施の形態6における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図9はこの発明の実施の形態6における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態6における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。またこの実施の形態6における支援妨害システムにおける各装置の処理フロー図は図8に記載されているので、それを援用して説明する。
【0042】
図9に示す支援妨害システムの概略図において、図9(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図9(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する支援電波妨害信号21、および僚機航空機13が送信する電波妨害信号21を自機航空機12が受信する受信信号22をそれぞれ示したものである。
この実施の形態6の発明は、実施の形態4及び5において、妨害支援を受けている自機航空機12で僚機航空機13あるいは地上電波妨害装置が送信している支援妨害電波信号21を受信信号22として受信し、実施の形態1と同様に自機航空機12側で妨害状況を把握する例である。
【0043】
以下、支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図8に基づき、その動作を図1の構成図と共に詳細に説明する。
図8のステップS61からステップS70までは実施の形態4と同じにつき、その説明を省略する。ステップS71では、僚機航空機13からデータリンク3を通じて送られた支援妨害実施状況により自機航空機12の電波妨害送受信指示部52が電波妨害装置6に対して僚機航空機13が送信している妨害電波を受信するよう指示する。ステップS72では、電波妨害装置6が僚機航空機13が送信している支援妨害電波を受信する。ステップS73では、データリンク3を介して送られた支援妨害実施状況と自機航空機12の電波妨害装置6が受信した支援妨害電波情報とを妨害状況判定部53で照合判定する。ステップS74では、僚機航空機13からの支援妨害実施状況及び照合判定した結果を自機航空機12の表示装置7に表示すると共に、自機航空機12の妨害状況判定部53で判定した支援妨害状況確認結果を僚機航空機13へ応答する。即ち、僚機航空機13側が、自機航空機12から指示された電波妨害を正常に実施していることを判定した結果のデータを確認できるように、自機航空機12から僚機航空機13に通知するためにデータリンク装置2に出力する。
【0044】
ステップS75では、データリンク装置2により、自機航空機12から僚機航空機13へ支援妨害状況確認結果を通信し、ステップS76において僚機航空機13のデータリンク装置2でその支援妨害状況確認結果を受信する。ステップS77では、僚機航空機13の支援妨害実施による自機(航空機13から見たら僚機)航空機12が受信して支援妨害実施状況を確認した結果を表示装置7に表示し、パイロットはその表示を見て支援妨害状況確認結果を確認する。
【0045】
このように実施の形態6の発明は、支援妨害において妨害電波が有効に空間放射されているかどうかを自機航空機12で確認する手段が今までなかったものが、自機航空機12で支援妨害を受信できることにより、妨害電波が空間放射されて支援妨害により自らの追尾を回避される状況になっていることが確認できる。また、僚機航空機13が送信した支援電波妨害情報と自機航空機12で受信した妨害電波信号との照合確認で支援妨害の効果が更に確実に確認できる。また、支援妨害により目標電波が継続的に自らに指向している場合、支援妨害している妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を僚機航空機13に通知して変えさせることにより、妨害による効果の改善が期待できる。
【0046】
実施の形態7.
次にこの発明の実施の形態7における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図10はこの発明の実施の形態7における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態7における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0047】
図10に示す支援妨害システムの概略図において、図10(a)は目標航空機11と自機航空機12と2機の僚機航空機13、24との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13及び僚機航空機13と僚機航空機24とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図10(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する電波妨害信号21、自機航空機12及び僚機航空機24が受信する僚機航空機13からの電波妨害信号21の受信信号22、僚機航空機24が送信する電波妨害信号23をそれぞれ示したものである。
【0048】
この実施の形態7の発明は、実施の形態4〜6のいずれかにおいて、更に妨害による方位攪乱を実施するために、僚機航空機24により電波妨害信号23を送信する例であり、目標航空機11のサイド・ローブへの妨害注入となるため、大電力の妨害能力を有する電波妨害装置となる。この場合の支援妨害システムにおける各装置の処理フローは僚機が2機となるだけで図8に示すものとほぼ同じである。
このように自機航空機12は、僚機航空機13の電波妨害信号21を受けて、目標航空機11から狙われている状況が支援妨害の実施状況を把握することで、電波妨害の効果を認識できる。一方僚機航空機24は、僚機航空機13の電波妨害信号21を受けて、連携妨害することも可能であり、異なる方位で受信した電波妨害信号及びデータリンク3による共有情報を分析しながら、更に目標航空機11を攪乱する目的で、空間方位の妨害電波の密度が期待でき、妨害電波発生能力が向上する。
【0049】
実施の形態8.
次にこの発明の実施の形態8における電波妨害システムについて図に基づき説明する。図11はこの発明の実施の形態8における電波妨害システムを妨害状況把握と支援妨害システムに適用した場合の概略図である。この実施の形態8における電波妨害システムの構成図は図1と同じにつき、図1を援用して説明する。
【0050】
図11に示す支援妨害システムの概略図において、図11(a)は目標航空機11と自機航空機12と僚機航空機13と地上支援部門25との関係を示し、自機航空機12と僚機航空機13及び自機航空機12と地上支援部門25とはデータリンク3を介して情報の伝送が互いに行われている。図11(b)は目標航空機11が送信するレーダ波14、僚機航空機13が送信する電波妨害信号21、自機航空機12が受信する僚機航空機13からの電波妨害信号21の受信信号22、僚機航空機13が送信する見直し後の電波妨害信号27をそれぞれ示したものである。
【0051】
この実施の形態7の発明は、実施の形態6に地上支援部門25を更に追加したものである。地上支援部門25は妨害テーブルおよび識別テーブル26を保有している。妨害テーブルとは、事前にある程度判明している目標電波情報に対し、電波妨害を実施するために妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を効果が期待できる範囲に絞り込んだ事前設定リストである。また識別テーブルとは、事前にある程度判明している目標電波情報のリストである。
【0052】
飛行前に航空機12、13の電子戦装置1のメモリにダウンロードする方法で確保している事前に設定した情報リストに、航空機12、13検出した目標電波情報が無い場合、そのデータのリストを上空で変更するためにデータリンク3を通じて地上支援部門25から航空機12、13に妨害テーブルおよび識別テーブル26に格納されている情報からアップロードするようにしたものである。
このようにすることにより、航空機12の電子戦装置1にメモリされている電波妨害変調データを飛行中に見直し、電波妨害信号21では効果がなかった電波妨害を新たな電波妨害信号27に変更して送信することで、電波妨害効果を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の基本形態における電波妨害システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電波妨害システムを妨害状況把握システムに適用した場合の概略図である。
【図3】この発明の実施の形態1の妨害状況把握システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2における電波妨害システムを連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図5】この発明の実施の形態2の連携妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態3における電波妨害システムを連携妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図7】この発明の実施の形態4における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図8】この発明の実施の形態4及び6の支援妨害システムにおける各装置の処理フローを示す図である
【図9】この発明の実施の形態6における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図10】この発明の実施の形態7における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【図11】この発明の実施の形態8における電波妨害システムを支援妨害システムに適用した場合の概略図である。
【符号の説明】
【0054】
1:電子戦装置、 2:データリンク装置、
3:データリンク、 4:電波受信装置、
5:電子戦処理装置、 6:電波妨害装置、
7:表示装置
11:目標航空機、 12:自機航空機、
13:僚機航空機、 14:目標航空機レーダ信号、
15:電波妨害信号、 16:電波妨害信号受信信号、
18:連携電波妨害信号、 19:連携電波妨害信号、
21:支援妨害信号、 22:支援妨害信号受信信号、
23:支援妨害信号中継妨害信号、 24:僚機航空機
25:地上支援部門、 26:妨害テーブル及び目標識別テーブル
27:設定変更妨害信号、
51:電子戦処理制御部 52:電波妨害送受信指示部
53:妨害状況判定部 54:I/F部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報と前記レーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記自機航空機から前記僚機航空機に対して自機航空機が送信した電波妨害信号の受信を指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき前記電波妨害信号を受信してその電波諸元を検出し、前記データリンク装置を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより前記電波妨害信号による妨害状況を判定し、その判定結果を前記データリンク装置を介して前記自機航空機側に伝送するようにした電波妨害システム。
【請求項2】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報と前記レーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記僚機航空機に対して僚機航空機も電波妨害を行うよう指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき電波妨害信号を送信して前記自機航空機と共に連携妨害を行うと共に、前記データリンク装置を介して送られた自機航空機の電波妨害信号情報と前記僚機航空機が送信した電波妨害信号情報との相関を確認して、連携電波妨害の実施情報を前記データリンク装置を介して前記自機航空機側に伝送するようにした電波妨害システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機は自機航空機からの電波妨害信号を自ら受信した情報とデータリンク装置を介して送られた自機航空機からの電波妨害信号情報との相関を取り、それに基づいて僚機航空機は妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を変えた特有の電波妨害信号を送信するようにした電波妨害システム。
【請求項4】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報をデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記僚機航空機に対して僚機航空機から電波妨害を行うよう指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき電波妨害信号を送信して前記自機航空機に対する支援妨害を行うと共に、その支援妨害の実施情報を前記データリンク装置を介して前記自機航空機に伝送し、前記自機航空機は支援妨害実施情報を表示するようにした電波妨害システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電波妨害システムにおいて、データリンク装置を介して支援妨害実施情報を受信した自機航空機は、支援妨害実施状況に基づいて僚機航空機が送信している電波妨害信号を受信し、この受信した電波妨害信号情報と前記データリンク装置を介して伝送された僚機航空機の電波妨害信号情報とを照合判定して前記支援電波妨害実施状況を表示するようにした電波妨害システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機に変えて地上妨害装置とした電波妨害システム。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機を少なくとも2機とし、それぞれの僚機航空機から支援電波妨害信号を送信するようにした電波妨害システム。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、自機航空機及び僚機航空機とデータリンク装置で接続された地上支援部門にあらかじめ目標航空機に対する電波情報および電波妨害情報を蓄積した妨害テーブルを設け、前記データリンク装置を介して前記自機航空機または僚機航空機に搭載した電子戦処理装置のデータを更新するようにした電波妨害システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の電波妨害システムにおいて、自機航空機及び僚機航空機は、目標からのレーダ波を受信してその電波諸元を検出する電波受信装置と、この電波受信装置からの電波諸元により電子戦処理を行って電波妨害の指示を出す共に電波妨害信号により妨害状況を判定する電子戦処理装置と、この電子戦処理装置からの指示により電波妨害信号を送信すると共に他が送信した電波妨害信号を受信する電波妨害装置とを有していることを特徴とする電波妨害システム。
【請求項1】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報と前記レーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記自機航空機から前記僚機航空機に対して自機航空機が送信した電波妨害信号の受信を指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき前記電波妨害信号を受信してその電波諸元を検出し、前記データリンク装置を介して送られた電波妨害信号情報との相関を取ることにより前記電波妨害信号による妨害状況を判定し、その判定結果を前記データリンク装置を介して前記自機航空機側に伝送するようにした電波妨害システム。
【請求項2】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報と前記レーダ波に対抗するために送信した電波妨害信号の情報とをデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記僚機航空機に対して僚機航空機も電波妨害を行うよう指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき電波妨害信号を送信して前記自機航空機と共に連携妨害を行うと共に、前記データリンク装置を介して送られた自機航空機の電波妨害信号情報と前記僚機航空機が送信した電波妨害信号情報との相関を確認して、連携電波妨害の実施情報を前記データリンク装置を介して前記自機航空機側に伝送するようにした電波妨害システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機は自機航空機からの電波妨害信号を自ら受信した情報とデータリンク装置を介して送られた自機航空機からの電波妨害信号情報との相関を取り、それに基づいて僚機航空機は妨害幅、妨害タイミング、ノイズ系制御や欺瞞系制御を変えた特有の電波妨害信号を送信するようにした電波妨害システム。
【請求項4】
目標航空機から送信されるレーダ波を受信した自機航空機は、前記レーダ波の電波受信情報をデータリンク装置を介して僚機航空機に伝送することにより前記自機航空機と僚機航空機間でデータ共有すると共に、前記データリンク装置を介して前記僚機航空機に対して僚機航空機から電波妨害を行うよう指示し、前記僚機航空機は前記指示に基づき電波妨害信号を送信して前記自機航空機に対する支援妨害を行うと共に、その支援妨害の実施情報を前記データリンク装置を介して前記自機航空機に伝送し、前記自機航空機は支援妨害実施情報を表示するようにした電波妨害システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電波妨害システムにおいて、データリンク装置を介して支援妨害実施情報を受信した自機航空機は、支援妨害実施状況に基づいて僚機航空機が送信している電波妨害信号を受信し、この受信した電波妨害信号情報と前記データリンク装置を介して伝送された僚機航空機の電波妨害信号情報とを照合判定して前記支援電波妨害実施状況を表示するようにした電波妨害システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機に変えて地上妨害装置とした電波妨害システム。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、僚機航空機を少なくとも2機とし、それぞれの僚機航空機から支援電波妨害信号を送信するようにした電波妨害システム。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の電波妨害システムにおいて、自機航空機及び僚機航空機とデータリンク装置で接続された地上支援部門にあらかじめ目標航空機に対する電波情報および電波妨害情報を蓄積した妨害テーブルを設け、前記データリンク装置を介して前記自機航空機または僚機航空機に搭載した電子戦処理装置のデータを更新するようにした電波妨害システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の電波妨害システムにおいて、自機航空機及び僚機航空機は、目標からのレーダ波を受信してその電波諸元を検出する電波受信装置と、この電波受信装置からの電波諸元により電子戦処理を行って電波妨害の指示を出す共に電波妨害信号により妨害状況を判定する電子戦処理装置と、この電子戦処理装置からの指示により電波妨害信号を送信すると共に他が送信した電波妨害信号を受信する電波妨害装置とを有していることを特徴とする電波妨害システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−180636(P2008−180636A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15092(P2007−15092)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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