電流判定装置
【課題】遮断器が短絡により遮断動作をしたことを容易に把握可能にすることのできる電流判定装置を提供すること。
【解決手段】直流電源150から供給される直流電力を複数の通信装置160のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置10であって、直流給電システムが複数の通信装置に供給する直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサ120を備えるのに対して、コンデンサの出力を計測する電流計11と、電流計が計測するコンデンサの出力電流値が予め設定されている設定閾値を超えているときに短絡事故によるコンデンサ出力と判定する信号判定器12と、信号判定部による判定結果をLEDの消灯により報知する報知部13と、を備える。
【解決手段】直流電源150から供給される直流電力を複数の通信装置160のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置10であって、直流給電システムが複数の通信装置に供給する直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサ120を備えるのに対して、コンデンサの出力を計測する電流計11と、電流計が計測するコンデンサの出力電流値が予め設定されている設定閾値を超えているときに短絡事故によるコンデンサ出力と判定する信号判定器12と、信号判定部による判定結果をLEDの消灯により報知する報知部13と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流判定装置に関し、詳しくは、遮断器の所定条件以上での動作の有無を判定して報知可能にするものに関する。
【背景技術】
【0002】
交換機やルータ等の通信装置などのように、直流電源を接続して直流電力で稼働させるように設計される負荷装置を複数設置するときには、例えば、図12に示すように、直流電源150から供給される直流電力を複数の通信装置(負荷装置)160に分配する電流分配装置100を介在させる直流給電システムを構築する場合がある。
【0003】
この種の直流給電システムでは、通信装置160毎の前段に位置するように遮断器130を設置して過電流がその通信装置160に流れ込まないように保護したり、直流電源150と並列になるようにコンデンサ120を配置してその直流電源150が供給する直流電力の電源電圧を安定化させることが多用されている(例えば、特許文献1、2)。なお、この図12に示す直流給電システムでは、コンデンサ120や遮断器130を電流分配装置100に備えさせているが、そのコンデンサ120としては、特許文献1、2に記載のように、複数個設けてもよい。また、遮断器130としては、配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker)あるいはヒューズが採用されて、予め設定されている一定以上の電流が流れる過電流時に、自動的にその電流を遮断する機能を有しており、その遮断動作をしたことを知らせる機能を有するものもある。
【0004】
この直流給電システムが遮断対象とする過電流の発生要因としては、負荷の増加により遮断器130を流れる電流がその定格を超過したときに発生する過負荷だけでなく、事故などにより電路Wの抵抗がゼロまたは大幅に低下したときに発生する短絡の場合にも発生する。
【0005】
この直流給電システムに配線用遮断器を設置する場合、この配線用遮断器は、特に、大電流が流れる短絡事故が発生して遮断動作すると、接点が劣化して遮断性能が急激に低下する傾向にある。
【0006】
このことから、配線用遮断器の遮断定格規格として、日本工業規格のJIS8201−2−1(国際電気標準規格IEC60947−2)の定格限界遮断容量ICUでは、O−CO試験を1回行うことを責務としており、また、定格使用短絡遮断電流ICSでは、O−CO−CO試験を1回行うことを責務として規定している。ここで、O責務は、遮断器をON状態にして短絡電流を通じさせて遮断動作させることをいい、CO責務は、短絡回路を形成しておいて遮断器を投入することにより短絡電流を通じさせて遮断動作させることをいう。
【0007】
この配線用遮断器の規格では、これ以上の回数で短絡電流を遮断したときの遮断能力は保証されておらず、汎用されている配線用遮断器の性能評価もこの規格に準じていることが多い。要するに、配線用遮断器が供給電力の遮断動作を行った場合には、その遮断器が動作した原因を調査する必要があり、その動作原因が短絡事故の発生であったときには、その配線用遮断器を交換するメンテナンスなどの適切な措置を講じる必要がある。
【0008】
よって、遮断器130として、繰り返し利用することができる配線用遮断器を採用する場合には、過負荷により遮断動作したのか、短絡事故により遮断動作したのかを判定して対処することは、その遮断器130を設置した電路Wを含めて、電気配線における安全を確保する上では重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−99522号公報
【特許文献2】特開2007−312461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、配線用遮断器は、遮断動作したときには専門知識のない者が再投入する作業をして復旧させるものであるのにも拘わらず、その遮断動作は過負荷により行われたのか、短絡事故の発生により行われたのかを知った上でその再投入作業を行うことはできない。
【0011】
このため、短絡事故の発生により遮断動作した配線用遮断器をそのまま再投入して電力供給を再開すると、その短絡電流の遮断動作で接点が劣化することにより、遮断性能が低下している状態のまま継続使用することになる。
【0012】
このように短絡事故の発生による遮断動作を繰り返した配線用遮断器を使用することを回避するには、図13に示すように、配線用遮断器130が設定されている電路W毎に電流計測機器140を取り付けて遮断時の電流値を計測してその計測結果を保存するようにし、遮断動作後の再投入作業時にその計測結果を調査確認するようにすればよい。
【0013】
しかし、このようなシステムを構築するには、直流電源150から電流分配装置100が分岐(分配)させる電路Wの全てに電流計測機器140を配置させる必要がありコスト上問題がある。このことから、図14に示すように、電流分配装置100における分岐前の直流電源150側電路Wに電流計測機器140を配置すれば、そのコスト上の問題を解消しつつ供給電力に異常電流が発生していることも検出(計測)することができるように見える。
【0014】
ところで、図15に示すように、通信装置160側の短絡事故の発生箇所に向かう遮断器130への流入電流Iは、直流電源150からの供給電流I1とコンデンサ120からの供給電流I2の合成電流値となる。その短絡時には、直流電源150側よりもコンデンサ120側の方が通信装置160側の短絡箇所から電路長が短いためにインピーダンスが低く、また、電源装置は一般的に垂下特性を有するために負荷が急増すると電圧低下して出力電流が制限されることから、図16に示すように、その流入電流Iは、コンデンサ120からの放出電流I2が大部分となる。よって、図14に示すように、分岐前の直流電源150側電路Wに電流計測機器140を配置しても、短絡事故発生時に遮断器130に流入する電流値Iを計測することはできない。
【0015】
そこで、本発明は、遮断器が短絡により遮断動作をしたことを容易に把握可能にすることのできる電流判定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第1の態様は、直流電源装置から供給される直流電力を複数の負荷装置のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置であって、前記直流給電システムが前記複数の負荷装置に供給する前記直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサを備えるのに対して、前記コンデンサの出力を計測する計測部と、前記計測部が計測する前記コンデンサの出力を予め設定されている設定情報と比較して該コンデンサの出力要因を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を報知する報知部と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第2の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電流値を計測する電流計により構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第3の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電圧値を計測する電圧計により構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第4の態様は、上記第1から第3のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記判定部は、前記コンデンサから出力される出力値を予め設定されている設定出力値と比較することを特徴とするものである。
【0020】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第5の態様は、上記第1から第3のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記判定部は、前記コンデンサの出力波形を予め設定されている設定モデルと比較することを特徴とするものである。
【0021】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第6の態様は、上記第5の態様の特定事項に加え、前記設定モデルとして、定常時に前記コンデンサから出力される設定出力値と、前記コンデンサから出力される出力値が変化した後に定常時の前記設定出力値に戻るまでに掛かる設定時間と、が予め設定されており、前記判定部は、前記コンデンサの出力波形における出力値および定常時の前記設定出力値に戻るまでの所要時間を前記設定モデルの前記設定出力値および前記設定時間と比較することを特徴とするものである。
【0022】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第7の態様は、上記第1から第6のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記直流電源と前記コンデンサから直流電力を供給する電路を開閉して下流側の前記負荷装置を保護する遮断器を備える前記直流給電システムに設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
このように本発明の一態様によれば、直流給電システムのコンデンサの出力が計測されて設定情報と比較され、例えば、コンデンサの出力電流値や出力電圧値が設定出力値と、あるいは、コンデンサの出力波形が設定モデルと比較されることにより判定されたその出力要因の判定結果が報知される。したがって、例えば、直流給電システムが配電用遮断器を備える場合に、負荷装置の利用者が遮断動作した配電用遮断器を再投入しようとするときに、コンデンサの出力要因(判定結果)を確認することができ、短絡事故発生に起因するコンデンサの過電流出力で配電用遮断器が遮断動作したのか、過負荷に起因する過電流で配電用遮断器が遮断動作したのか把握した上で作業することができる。この結果、複雑なシステムを構築などすることなく、コンデンサの出力を計測して比較判定するだけで、遮断器が短絡により遮断動作をしたことを容易かつ安価に確認して、その遮断器を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電流判定装置の第1実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その全体構成を示すブロック図である。
【図2】その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの波形図であり、(a)はその電流波形図、(b)はその電圧波形図である。
【図3】本発明に係る電流判定装置の第2実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その全体構成を示すブロック図である。
【図4】その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電圧波形図である。
【図5】本発明に係る電流判定装置の第3実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電圧波形図である。
【図6】本発明に係る電流判定装置の第4実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電流波形図である。
【図7】その他の態様を説明する図であり、電流判定装置の上述実施形態を搭載する直流給電システムの他の態様を示すブロック図である。
【図8】その他の態様を説明する図であり、他の態様の直流給電システムへの電流判定装置の上述実施形態の適用例を示すブロック図である。
【図9】その他の態様を説明する図であり、図8と異なる他の態様の直流給電システムへの電流判定装置の上述実施形態の適用例を示すブロック図である。
【図10】上述実施形態の電流判定装置が判定対象とする短絡による過電流の波形の一例を示す図であり、(a)はその電流波形モデル図、(b)はその電圧波形モデル図である。
【図11】上述実施形態の電流判定装置が判定対象とする短絡による過電流の波形の図10と異なる一例を示す図であり、(a)はその電流波形モデル図、(b)はその電圧波形モデル図である。
【図12】その電流判定装置を搭載する対象の直流給電システムの一例を示すブロック図である。
【図13】その直流給電システムに電流判定装置を搭載する接続箇所の一例を示すブロック図である。
【図14】その直流給電システムに電流判定装置を搭載する接続箇所の図13と異なる一例を示すブロック図である。
【図15】その図14に示す位置に電流判定装置を搭載する場合の課題を説明する図であり、その直流給電システムで短絡事故が発生したときの電流の流れを説明するブロック図である。
【図16】その図15に示す直流給電システムで短絡事故が発生したときの各電路での電流値を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1および図2は本発明に係る電流判定装置の第1実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の図12で説明する直流給電システムに設置する場合を一例にして説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0026】
図1において、電流判定装置10は、交換機やルータ等の複数台の通信装置(負荷装置)160を稼働させる直流給電システムに設置されており、この電流判定装置10は、直流電源(電源装置)150が出力する直流電力を通信装置160毎に分配して供給する電流分配装置100に配置されている。なお、電流判定装置10は、電流分配装置100以外に設置してもよく、例えば、既存の電流分配装置100に外付けしてもよいことは言うまでもない。
【0027】
ここで、電流分配装置100は、通信装置160毎の前段の電路Wに配線用遮断器130が配置されている。配線用遮断器130は、予め設定されている一定以上の過電流を検知した瞬間に電路W間の導通を開放して後段の通信装置160への過電流の流入を遮断し保護する。この配線用遮断器130は、その遮断動作後には通信装置160の利用者など(非システム管理者)でも、不図示のレバーを操作するだけで電路W間を導通させて後段の通信装置160への電力供給を再開(再投入)することができる。
【0028】
また、電流分配装置100は、直流電源150と並列にコンデンサ120が接続されており、このコンデンサ120は、直流電源150が通信装置160に供給する直流電力の電源電圧を安定化させるようになっている。
【0029】
そして、電流判定装置10は、コンデンサ120の後段に設置されてそのコンデンサ120から出力される直流電力の電流値を計測する電流計(計測部)11と、この電流計11の出力電流値と予め設定されている電流閾値(設定出力値、設定情報)とを比較してコンデンサ120の直流電力の出力要因を判定する信号判定器12と、この信号判定器12による判定結果を遮断動作した配線用遮断器130の再投入操作をする利用者に報知する報知部13と、を備えて構成されている。
【0030】
電流計11は、計測する電流値を電気信号にして出力する汎用の電流計測器であり、信号判定器12は、電流計11が計測する出力電流値が予め設定されている電流閾値を超えたときに、配線用遮断器130の再投入操作をする利用者が目視する報知部13の表示を変化させるようになっている。
【0031】
具体的には、いずれかの通信装置160が同時に駆動電流の必要な機能を働かせるなど偶発的な過負荷が発生したときには、その前段の配線用遮断器130に過電流となる直流電力が電路W(遮断器130)に流れてその遮断器130が遮断動作する場合がある。この場合には、後述する短絡時のようにコンデンサ120から過電流が出力される訳ではなく、通信装置160の負荷に応じてコンデンサ120から出力されるにしても小さな電力に留まる。このため、電流計11が大きな電流値を計測することはなく、また、コンデンサ120の再充電に時間が掛かることもなく(電圧降下期間も短く)、さらに、遮断器130の接点の損傷が問題になることもない。
【0032】
また、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生したときには、その短絡によりインピーダンスが低くなってコンデンサ120から大電流が瞬間的に出力される場合がある。この場合には、コンデンサ120の容量にもよるが、コンデンサ120から大電流が瞬間的に出力されることになり、電流計11が大きな電流値を計測することになり、また、コンデンサ120の再充電に時間が掛かり(電圧降下期間も長く)、さらに、配線用遮断器130の接点の損傷が問題になる可能性もある。
【0033】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、通信装置160の過負荷による過電流が配線用遮断器130に流れて遮断動作する場合に電流計11が計測する程度の出力電流値では反応することない。そして、この信号判定器12は、図2(a)に示すように、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生してコンデンサ120から出力される短絡電流値で配線用遮断器130が遮断動作する程度の出力電流値を確実に短絡事故発生と判定する設定閾値i1が予め設定されている。
【0034】
ところで、この配線用遮断器130に流れる過電流は、図示するように、短絡事故発生の瞬間にコンデンサ120からの急激な電流出力があって、配線用遮断器130による遮断点(遮断動作するタイミング)には設定閾値i1を確実に超えており、その遮断動作後には、コンデンサ120の再充電がなされる。このときのコンデンサ120の電極間電圧は、図2(b)に示すように、短絡事故発生の瞬間の大電流出力による電圧降下が発生するとともに、配線用遮断器130による遮断動作後の再充電時にも電圧降下が発生するが、その再充電の程度に伴って徐々に回復する。
【0035】
また、この信号判定器12は、定常時には報知部13に微小直流電流を供給するようになっており、電流計11の出力電流値が電流閾値i1を超えたときにその報知部13への電流供給を遮断する。報知部13は、その信号判定器12からの電力供給により点灯する、例えば、LED(発光ダイオード)により構成されている。なお、報知部13は、定常時には消灯して、短絡による過電流発生時に点灯するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0036】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160の過負荷に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作しても、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値は小さいことから、信号判定器12が供給する電力により報知部13が点灯表示を継続する。また、この電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作した場合には、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値が設定閾値i1を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0037】
したがって、配線用遮断器130の再投入操作をしようとする通信装置160の利用者は、報知部13の点灯表示が消えていることに気が付いて、その配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを容易に把握することができる。
【0038】
このように本実施形態においては、直流給電システムのコンデンサ120の出力電流値を計測して設定閾値i1を超えたか否かを比較判定して、超えた場合にのみ、通信装置160の利用者が再投入しようとする配電用遮断器130が短絡事故の発生により遮断動作したことを報知部13の消灯により報知することができる。したがって、複雑なシステムを構築などすることなく、コンデンサ120の出力を計測して比較判定するだけで、配線用遮断器130が短絡により遮断動作をしたことを容易かつ安価に確認することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0039】
本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、電流計11、信号判定器12および報知部13は、別体に構成する必要はないことは言うまでもなく、また、電流計11が信号判定器12も兼ねるようにしてもよい。例えば、アナログ式の指針により電流値を表示して、閾値を目盛により設定するとともに、その指針が閾値を超えたときに接触する接点などにより報知部13への電力供給を切り替えるようにすることもできる。また、報知部13もLEDの点灯表示に限らず、音声出力により報知するようにしてもよく、また、液晶に文字表示させるなどしてもよい。この他の態様は、後述する実施形態においても同様である。
【0040】
次に、図3および図4は本発明に係る電流判定装置の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第1実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0041】
図3において、電流判定装置10は、電流計11に代えて、汎用の電圧計(計測部)21が配置されており、この電圧計21は、コンデンサ120の電極間の電圧値を計測して電気信号として信号判定器12に出力する。本実施形態の信号判定器12は、上述実施形態と略同様に、電圧計21の出力電圧値と予め設定されている電圧閾値(設定出力値、設定情報)とを比較してコンデンサ120の直流電力の出力要因を判定し、報知部13がこの信号判定器12による判定結果を利用者に報知するようになっている。
【0042】
そして、信号判定器12は、通信装置160の過負荷による過電流が配線用遮断器130に流れて遮断動作する場合に電圧計21が計測するコンデンサ120の電圧降下程度の出力電圧値では反応することはない。そして、この信号判定器12は、図4に示すように、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生してコンデンサ120から大電流が出力されることによる電圧降下程度の出力電圧値で確実に短絡事故発生と判定する設定閾値v1が予め設定されている。この配線用遮断器130による遮断点の前後(短絡事故発生の瞬間とコンデンサ120の充電開始時)には、図示するように、コンデンサ120に大電流が出入りすることによる電圧降下が発生して、電圧計21の計測するコンデンサ120の電極間の電圧は、設定閾値v1を下回っている。
【0043】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160の過負荷に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作しても、電圧計21が計測するコンデンサ120の出力電圧値の電圧降下は小さいことから、信号判定器12が供給する電力により報知部13が点灯表示を継続する。また、この電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作した場合には、電圧計21が計測するコンデンサ120の電極間の出力電圧値が設定閾値v1を下回ったことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0044】
したがって、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者は、報知部13の点灯表示が消えていることに気が付いて、その配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを容易に把握することができる。
【0045】
このように本実施形態においては、直流給電システムのコンデンサ120の出力電圧値を計測して設定閾値v1を下回ったか否かを比較判定して、下回った場合にのみ、通信装置160の利用者が再投入しようとする配電用遮断器130が短絡事故の発生により遮断動作したことを報知することができる。したがって、上述実施形態と同様に、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を容易かつ安価に確認することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0046】
次に、図5は本発明に係る電流判定装置の第3実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第2実施形態と略同様に構成されているので、図3を流用して、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0047】
図3において、電流判定装置10は、電圧計21と、信号判定器12と、報知部13と、を備えて構成されている。
【0048】
ここで、図5に示すように、電圧計21の計測する出力電圧値が確実に短絡事故発生と判定する設定閾値(設定出力値)v1を下回っている期間(戻るまでの所要時間)は、通信装置160の過負荷による過電流の場合よりも長期になる。
【0049】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、コンデンサ120の電極間の電圧降下による電圧低下期間t1が予め設定されている設定期間(設定モデル時間)よりも長い場合に、定常時に供給する微小直流電力を遮断して報知部13を消灯させるようになっている。この信号判定器12は、電圧計21の出力電圧値が電圧閾値v1を下回ったときにONするタイマを備えて、そのON期間が設定期間t1を超えたときに、上述実施形態と同様に、報知部13への供給電力を停止するとともにそのタイマをOFFし、また、電圧計21の出力電圧値が復帰したときにもOFFしてリセットするようにしておけばよい。
【0050】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作して、電圧計21が計測するコンデンサ120の電極間の出力電圧値が設定閾値v1を下回る時間t1が設定期間を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0051】
したがって、コンデンサ120電極間の電圧が何らかの理由で瞬間的に低下しただけで短絡事故の発生と判定してしまうことを回避することができ、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者に、配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを信頼性高く報知することができる。
【0052】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を信頼性高く比較判定して報知することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0053】
次に、図6は本発明に係る電流判定装置の第4実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第1、第3実施形態と略同様に構成されているので、図1を流用して、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0054】
図1において、電流判定装置10は、電流計11と、信号判定器12と、報知部13と、を備えて構成されている。
【0055】
ここで、図6に示すように、電流計11の計測するコンデンサ120の出力電流値が確実に短絡事故発生と判定する設定閾値(設定出力値)i1を超えた後に、定常状態と言える設定閾値i2の振れ幅以内に戻るまでの所要期間(時間)t2も、同様に、通信装置160の過負荷による過電流の場合よりも長期になる。
【0056】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、その電流安定化期間t2が予め設定されている設定期間(設定モデル時間)よりも長い場合に、定常時に供給する微小直流電力を遮断して報知部13を消灯させるようになっている。
【0057】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作して、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値が設定閾値i1を超えてから設定閾値i2以内に戻るまでの電流安定化期間t2が設定期間を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0058】
したがって、コンデンサ120から短絡により大電流が出力されたことを確実かつ信頼性高く把握して、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者に、配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを信頼性高く報知することができる。
【0059】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を信頼性高く比較判定して報知することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0060】
ここで、上述実施形態は、図7に示すように、故障時用の蓄電池170を備える場合にも直流電源150自体としては同様に機能することから好適に適用することができる。この場合に、直流電源150が故障して蓄電池170からの電力供給のみになったときでも、その供給電力は徐々に低下して行くだけであり、配線用遮断器130は遮断動作することはないことから問題はない。
【0061】
また、上述実施形態では、一つのコンデンサ120を搭載する電流分配装置100に設置する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、図8や図9に示すように、複数個のコンデンサ120を搭載するユニット180を電流分配装置100に外付けする場合にも好適に採用することができる。この場合には、図中には点線で示すように、電流計11あるいは電圧計21のいずれか一方を不図示の信号判定器12と報知部13と共に接続して電流判定装置10を設置すればよい。
【0062】
特に、図9に示すように、コンデンサ120が個別に電路Wに接続されて、それぞれの電路W1〜W3間のインピーダンスに差異がある場合には、短絡時の電流の流れに大きく影響する。このため、コンデンサ120毎に電流判定装置10を設置して短絡による過電流の発生の有無を判定確認する必要がある。その一方で、それぞれの電路W1〜W3間のインピーダンスに差異がない場合には、コンデンサ120は同様の挙動で動作するので、1つのコンデンサ120に電流判定装置10を設置して短絡による過電流の発生の有無を判定確認すればよい。
【0063】
同様に、電流判定装置10の信号判定器12が判定するコンデンサ120の出力電流値や電極間の出力電圧値は、システム全体の構成に応じた短絡時の電流の流れにより大きな影響を受ける。このために、システムのインピーダンスによっては、図10に示す電圧・電流特性のように瞬間的にコンデンサ120の蓄積電力を放出するだけでなく、図11に示すように、一定期間に亘ってコンデンサ120からある程度の電流値・電圧値の出力電力を維持しつつ放出する場合もある。このことから、コンデンサ120を接続するシステム側の回路インピーダンスを予め測定してシミュレーションを行うなどして、短絡事故発生時にのみ確実に比較判定することができる設定閾値を決める必要がある。
【0064】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10 電流判定装置
11 電流計
12 信号判定器
13 報知部
21 電圧計
100 電流分配装置
120 コンデンサ
130 配線用遮断器
150 直流電源
160 通信装置
i1、v1 設定閾値
t1 電圧低下期間
t2 電流安定化期間
W 電路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流判定装置に関し、詳しくは、遮断器の所定条件以上での動作の有無を判定して報知可能にするものに関する。
【背景技術】
【0002】
交換機やルータ等の通信装置などのように、直流電源を接続して直流電力で稼働させるように設計される負荷装置を複数設置するときには、例えば、図12に示すように、直流電源150から供給される直流電力を複数の通信装置(負荷装置)160に分配する電流分配装置100を介在させる直流給電システムを構築する場合がある。
【0003】
この種の直流給電システムでは、通信装置160毎の前段に位置するように遮断器130を設置して過電流がその通信装置160に流れ込まないように保護したり、直流電源150と並列になるようにコンデンサ120を配置してその直流電源150が供給する直流電力の電源電圧を安定化させることが多用されている(例えば、特許文献1、2)。なお、この図12に示す直流給電システムでは、コンデンサ120や遮断器130を電流分配装置100に備えさせているが、そのコンデンサ120としては、特許文献1、2に記載のように、複数個設けてもよい。また、遮断器130としては、配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker)あるいはヒューズが採用されて、予め設定されている一定以上の電流が流れる過電流時に、自動的にその電流を遮断する機能を有しており、その遮断動作をしたことを知らせる機能を有するものもある。
【0004】
この直流給電システムが遮断対象とする過電流の発生要因としては、負荷の増加により遮断器130を流れる電流がその定格を超過したときに発生する過負荷だけでなく、事故などにより電路Wの抵抗がゼロまたは大幅に低下したときに発生する短絡の場合にも発生する。
【0005】
この直流給電システムに配線用遮断器を設置する場合、この配線用遮断器は、特に、大電流が流れる短絡事故が発生して遮断動作すると、接点が劣化して遮断性能が急激に低下する傾向にある。
【0006】
このことから、配線用遮断器の遮断定格規格として、日本工業規格のJIS8201−2−1(国際電気標準規格IEC60947−2)の定格限界遮断容量ICUでは、O−CO試験を1回行うことを責務としており、また、定格使用短絡遮断電流ICSでは、O−CO−CO試験を1回行うことを責務として規定している。ここで、O責務は、遮断器をON状態にして短絡電流を通じさせて遮断動作させることをいい、CO責務は、短絡回路を形成しておいて遮断器を投入することにより短絡電流を通じさせて遮断動作させることをいう。
【0007】
この配線用遮断器の規格では、これ以上の回数で短絡電流を遮断したときの遮断能力は保証されておらず、汎用されている配線用遮断器の性能評価もこの規格に準じていることが多い。要するに、配線用遮断器が供給電力の遮断動作を行った場合には、その遮断器が動作した原因を調査する必要があり、その動作原因が短絡事故の発生であったときには、その配線用遮断器を交換するメンテナンスなどの適切な措置を講じる必要がある。
【0008】
よって、遮断器130として、繰り返し利用することができる配線用遮断器を採用する場合には、過負荷により遮断動作したのか、短絡事故により遮断動作したのかを判定して対処することは、その遮断器130を設置した電路Wを含めて、電気配線における安全を確保する上では重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−99522号公報
【特許文献2】特開2007−312461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、配線用遮断器は、遮断動作したときには専門知識のない者が再投入する作業をして復旧させるものであるのにも拘わらず、その遮断動作は過負荷により行われたのか、短絡事故の発生により行われたのかを知った上でその再投入作業を行うことはできない。
【0011】
このため、短絡事故の発生により遮断動作した配線用遮断器をそのまま再投入して電力供給を再開すると、その短絡電流の遮断動作で接点が劣化することにより、遮断性能が低下している状態のまま継続使用することになる。
【0012】
このように短絡事故の発生による遮断動作を繰り返した配線用遮断器を使用することを回避するには、図13に示すように、配線用遮断器130が設定されている電路W毎に電流計測機器140を取り付けて遮断時の電流値を計測してその計測結果を保存するようにし、遮断動作後の再投入作業時にその計測結果を調査確認するようにすればよい。
【0013】
しかし、このようなシステムを構築するには、直流電源150から電流分配装置100が分岐(分配)させる電路Wの全てに電流計測機器140を配置させる必要がありコスト上問題がある。このことから、図14に示すように、電流分配装置100における分岐前の直流電源150側電路Wに電流計測機器140を配置すれば、そのコスト上の問題を解消しつつ供給電力に異常電流が発生していることも検出(計測)することができるように見える。
【0014】
ところで、図15に示すように、通信装置160側の短絡事故の発生箇所に向かう遮断器130への流入電流Iは、直流電源150からの供給電流I1とコンデンサ120からの供給電流I2の合成電流値となる。その短絡時には、直流電源150側よりもコンデンサ120側の方が通信装置160側の短絡箇所から電路長が短いためにインピーダンスが低く、また、電源装置は一般的に垂下特性を有するために負荷が急増すると電圧低下して出力電流が制限されることから、図16に示すように、その流入電流Iは、コンデンサ120からの放出電流I2が大部分となる。よって、図14に示すように、分岐前の直流電源150側電路Wに電流計測機器140を配置しても、短絡事故発生時に遮断器130に流入する電流値Iを計測することはできない。
【0015】
そこで、本発明は、遮断器が短絡により遮断動作をしたことを容易に把握可能にすることのできる電流判定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第1の態様は、直流電源装置から供給される直流電力を複数の負荷装置のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置であって、前記直流給電システムが前記複数の負荷装置に供給する前記直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサを備えるのに対して、前記コンデンサの出力を計測する計測部と、前記計測部が計測する前記コンデンサの出力を予め設定されている設定情報と比較して該コンデンサの出力要因を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を報知する報知部と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第2の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電流値を計測する電流計により構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第3の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電圧値を計測する電圧計により構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第4の態様は、上記第1から第3のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記判定部は、前記コンデンサから出力される出力値を予め設定されている設定出力値と比較することを特徴とするものである。
【0020】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第5の態様は、上記第1から第3のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記判定部は、前記コンデンサの出力波形を予め設定されている設定モデルと比較することを特徴とするものである。
【0021】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第6の態様は、上記第5の態様の特定事項に加え、前記設定モデルとして、定常時に前記コンデンサから出力される設定出力値と、前記コンデンサから出力される出力値が変化した後に定常時の前記設定出力値に戻るまでに掛かる設定時間と、が予め設定されており、前記判定部は、前記コンデンサの出力波形における出力値および定常時の前記設定出力値に戻るまでの所要時間を前記設定モデルの前記設定出力値および前記設定時間と比較することを特徴とするものである。
【0022】
上記課題を解決する電流判定装置の発明の第7の態様は、上記第1から第6のいずれか一つの態様の特定事項に加え、前記直流電源と前記コンデンサから直流電力を供給する電路を開閉して下流側の前記負荷装置を保護する遮断器を備える前記直流給電システムに設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
このように本発明の一態様によれば、直流給電システムのコンデンサの出力が計測されて設定情報と比較され、例えば、コンデンサの出力電流値や出力電圧値が設定出力値と、あるいは、コンデンサの出力波形が設定モデルと比較されることにより判定されたその出力要因の判定結果が報知される。したがって、例えば、直流給電システムが配電用遮断器を備える場合に、負荷装置の利用者が遮断動作した配電用遮断器を再投入しようとするときに、コンデンサの出力要因(判定結果)を確認することができ、短絡事故発生に起因するコンデンサの過電流出力で配電用遮断器が遮断動作したのか、過負荷に起因する過電流で配電用遮断器が遮断動作したのか把握した上で作業することができる。この結果、複雑なシステムを構築などすることなく、コンデンサの出力を計測して比較判定するだけで、遮断器が短絡により遮断動作をしたことを容易かつ安価に確認して、その遮断器を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電流判定装置の第1実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その全体構成を示すブロック図である。
【図2】その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの波形図であり、(a)はその電流波形図、(b)はその電圧波形図である。
【図3】本発明に係る電流判定装置の第2実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その全体構成を示すブロック図である。
【図4】その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電圧波形図である。
【図5】本発明に係る電流判定装置の第3実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電圧波形図である。
【図6】本発明に係る電流判定装置の第4実施形態を搭載する直流給電システムの一例を示す図であり、その電流判定装置の機能を説明する、短絡事故で発生した過電流により遮断器が遮断動作したときの電流波形図である。
【図7】その他の態様を説明する図であり、電流判定装置の上述実施形態を搭載する直流給電システムの他の態様を示すブロック図である。
【図8】その他の態様を説明する図であり、他の態様の直流給電システムへの電流判定装置の上述実施形態の適用例を示すブロック図である。
【図9】その他の態様を説明する図であり、図8と異なる他の態様の直流給電システムへの電流判定装置の上述実施形態の適用例を示すブロック図である。
【図10】上述実施形態の電流判定装置が判定対象とする短絡による過電流の波形の一例を示す図であり、(a)はその電流波形モデル図、(b)はその電圧波形モデル図である。
【図11】上述実施形態の電流判定装置が判定対象とする短絡による過電流の波形の図10と異なる一例を示す図であり、(a)はその電流波形モデル図、(b)はその電圧波形モデル図である。
【図12】その電流判定装置を搭載する対象の直流給電システムの一例を示すブロック図である。
【図13】その直流給電システムに電流判定装置を搭載する接続箇所の一例を示すブロック図である。
【図14】その直流給電システムに電流判定装置を搭載する接続箇所の図13と異なる一例を示すブロック図である。
【図15】その図14に示す位置に電流判定装置を搭載する場合の課題を説明する図であり、その直流給電システムで短絡事故が発生したときの電流の流れを説明するブロック図である。
【図16】その図15に示す直流給電システムで短絡事故が発生したときの各電路での電流値を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1および図2は本発明に係る電流判定装置の第1実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の図12で説明する直流給電システムに設置する場合を一例にして説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0026】
図1において、電流判定装置10は、交換機やルータ等の複数台の通信装置(負荷装置)160を稼働させる直流給電システムに設置されており、この電流判定装置10は、直流電源(電源装置)150が出力する直流電力を通信装置160毎に分配して供給する電流分配装置100に配置されている。なお、電流判定装置10は、電流分配装置100以外に設置してもよく、例えば、既存の電流分配装置100に外付けしてもよいことは言うまでもない。
【0027】
ここで、電流分配装置100は、通信装置160毎の前段の電路Wに配線用遮断器130が配置されている。配線用遮断器130は、予め設定されている一定以上の過電流を検知した瞬間に電路W間の導通を開放して後段の通信装置160への過電流の流入を遮断し保護する。この配線用遮断器130は、その遮断動作後には通信装置160の利用者など(非システム管理者)でも、不図示のレバーを操作するだけで電路W間を導通させて後段の通信装置160への電力供給を再開(再投入)することができる。
【0028】
また、電流分配装置100は、直流電源150と並列にコンデンサ120が接続されており、このコンデンサ120は、直流電源150が通信装置160に供給する直流電力の電源電圧を安定化させるようになっている。
【0029】
そして、電流判定装置10は、コンデンサ120の後段に設置されてそのコンデンサ120から出力される直流電力の電流値を計測する電流計(計測部)11と、この電流計11の出力電流値と予め設定されている電流閾値(設定出力値、設定情報)とを比較してコンデンサ120の直流電力の出力要因を判定する信号判定器12と、この信号判定器12による判定結果を遮断動作した配線用遮断器130の再投入操作をする利用者に報知する報知部13と、を備えて構成されている。
【0030】
電流計11は、計測する電流値を電気信号にして出力する汎用の電流計測器であり、信号判定器12は、電流計11が計測する出力電流値が予め設定されている電流閾値を超えたときに、配線用遮断器130の再投入操作をする利用者が目視する報知部13の表示を変化させるようになっている。
【0031】
具体的には、いずれかの通信装置160が同時に駆動電流の必要な機能を働かせるなど偶発的な過負荷が発生したときには、その前段の配線用遮断器130に過電流となる直流電力が電路W(遮断器130)に流れてその遮断器130が遮断動作する場合がある。この場合には、後述する短絡時のようにコンデンサ120から過電流が出力される訳ではなく、通信装置160の負荷に応じてコンデンサ120から出力されるにしても小さな電力に留まる。このため、電流計11が大きな電流値を計測することはなく、また、コンデンサ120の再充電に時間が掛かることもなく(電圧降下期間も短く)、さらに、遮断器130の接点の損傷が問題になることもない。
【0032】
また、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生したときには、その短絡によりインピーダンスが低くなってコンデンサ120から大電流が瞬間的に出力される場合がある。この場合には、コンデンサ120の容量にもよるが、コンデンサ120から大電流が瞬間的に出力されることになり、電流計11が大きな電流値を計測することになり、また、コンデンサ120の再充電に時間が掛かり(電圧降下期間も長く)、さらに、配線用遮断器130の接点の損傷が問題になる可能性もある。
【0033】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、通信装置160の過負荷による過電流が配線用遮断器130に流れて遮断動作する場合に電流計11が計測する程度の出力電流値では反応することない。そして、この信号判定器12は、図2(a)に示すように、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生してコンデンサ120から出力される短絡電流値で配線用遮断器130が遮断動作する程度の出力電流値を確実に短絡事故発生と判定する設定閾値i1が予め設定されている。
【0034】
ところで、この配線用遮断器130に流れる過電流は、図示するように、短絡事故発生の瞬間にコンデンサ120からの急激な電流出力があって、配線用遮断器130による遮断点(遮断動作するタイミング)には設定閾値i1を確実に超えており、その遮断動作後には、コンデンサ120の再充電がなされる。このときのコンデンサ120の電極間電圧は、図2(b)に示すように、短絡事故発生の瞬間の大電流出力による電圧降下が発生するとともに、配線用遮断器130による遮断動作後の再充電時にも電圧降下が発生するが、その再充電の程度に伴って徐々に回復する。
【0035】
また、この信号判定器12は、定常時には報知部13に微小直流電流を供給するようになっており、電流計11の出力電流値が電流閾値i1を超えたときにその報知部13への電流供給を遮断する。報知部13は、その信号判定器12からの電力供給により点灯する、例えば、LED(発光ダイオード)により構成されている。なお、報知部13は、定常時には消灯して、短絡による過電流発生時に点灯するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0036】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160の過負荷に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作しても、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値は小さいことから、信号判定器12が供給する電力により報知部13が点灯表示を継続する。また、この電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作した場合には、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値が設定閾値i1を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0037】
したがって、配線用遮断器130の再投入操作をしようとする通信装置160の利用者は、報知部13の点灯表示が消えていることに気が付いて、その配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを容易に把握することができる。
【0038】
このように本実施形態においては、直流給電システムのコンデンサ120の出力電流値を計測して設定閾値i1を超えたか否かを比較判定して、超えた場合にのみ、通信装置160の利用者が再投入しようとする配電用遮断器130が短絡事故の発生により遮断動作したことを報知部13の消灯により報知することができる。したがって、複雑なシステムを構築などすることなく、コンデンサ120の出力を計測して比較判定するだけで、配線用遮断器130が短絡により遮断動作をしたことを容易かつ安価に確認することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0039】
本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、電流計11、信号判定器12および報知部13は、別体に構成する必要はないことは言うまでもなく、また、電流計11が信号判定器12も兼ねるようにしてもよい。例えば、アナログ式の指針により電流値を表示して、閾値を目盛により設定するとともに、その指針が閾値を超えたときに接触する接点などにより報知部13への電力供給を切り替えるようにすることもできる。また、報知部13もLEDの点灯表示に限らず、音声出力により報知するようにしてもよく、また、液晶に文字表示させるなどしてもよい。この他の態様は、後述する実施形態においても同様である。
【0040】
次に、図3および図4は本発明に係る電流判定装置の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第1実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0041】
図3において、電流判定装置10は、電流計11に代えて、汎用の電圧計(計測部)21が配置されており、この電圧計21は、コンデンサ120の電極間の電圧値を計測して電気信号として信号判定器12に出力する。本実施形態の信号判定器12は、上述実施形態と略同様に、電圧計21の出力電圧値と予め設定されている電圧閾値(設定出力値、設定情報)とを比較してコンデンサ120の直流電力の出力要因を判定し、報知部13がこの信号判定器12による判定結果を利用者に報知するようになっている。
【0042】
そして、信号判定器12は、通信装置160の過負荷による過電流が配線用遮断器130に流れて遮断動作する場合に電圧計21が計測するコンデンサ120の電圧降下程度の出力電圧値では反応することはない。そして、この信号判定器12は、図4に示すように、いずれかの通信装置160側で短絡事故が発生してコンデンサ120から大電流が出力されることによる電圧降下程度の出力電圧値で確実に短絡事故発生と判定する設定閾値v1が予め設定されている。この配線用遮断器130による遮断点の前後(短絡事故発生の瞬間とコンデンサ120の充電開始時)には、図示するように、コンデンサ120に大電流が出入りすることによる電圧降下が発生して、電圧計21の計測するコンデンサ120の電極間の電圧は、設定閾値v1を下回っている。
【0043】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160の過負荷に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作しても、電圧計21が計測するコンデンサ120の出力電圧値の電圧降下は小さいことから、信号判定器12が供給する電力により報知部13が点灯表示を継続する。また、この電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作した場合には、電圧計21が計測するコンデンサ120の電極間の出力電圧値が設定閾値v1を下回ったことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0044】
したがって、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者は、報知部13の点灯表示が消えていることに気が付いて、その配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを容易に把握することができる。
【0045】
このように本実施形態においては、直流給電システムのコンデンサ120の出力電圧値を計測して設定閾値v1を下回ったか否かを比較判定して、下回った場合にのみ、通信装置160の利用者が再投入しようとする配電用遮断器130が短絡事故の発生により遮断動作したことを報知することができる。したがって、上述実施形態と同様に、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を容易かつ安価に確認することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0046】
次に、図5は本発明に係る電流判定装置の第3実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第2実施形態と略同様に構成されているので、図3を流用して、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0047】
図3において、電流判定装置10は、電圧計21と、信号判定器12と、報知部13と、を備えて構成されている。
【0048】
ここで、図5に示すように、電圧計21の計測する出力電圧値が確実に短絡事故発生と判定する設定閾値(設定出力値)v1を下回っている期間(戻るまでの所要時間)は、通信装置160の過負荷による過電流の場合よりも長期になる。
【0049】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、コンデンサ120の電極間の電圧降下による電圧低下期間t1が予め設定されている設定期間(設定モデル時間)よりも長い場合に、定常時に供給する微小直流電力を遮断して報知部13を消灯させるようになっている。この信号判定器12は、電圧計21の出力電圧値が電圧閾値v1を下回ったときにONするタイマを備えて、そのON期間が設定期間t1を超えたときに、上述実施形態と同様に、報知部13への供給電力を停止するとともにそのタイマをOFFし、また、電圧計21の出力電圧値が復帰したときにもOFFしてリセットするようにしておけばよい。
【0050】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作して、電圧計21が計測するコンデンサ120の電極間の出力電圧値が設定閾値v1を下回る時間t1が設定期間を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0051】
したがって、コンデンサ120電極間の電圧が何らかの理由で瞬間的に低下しただけで短絡事故の発生と判定してしまうことを回避することができ、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者に、配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを信頼性高く報知することができる。
【0052】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を信頼性高く比較判定して報知することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0053】
次に、図6は本発明に係る電流判定装置の第4実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述の第1、第3実施形態と略同様に構成されているので、図1を流用して、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0054】
図1において、電流判定装置10は、電流計11と、信号判定器12と、報知部13と、を備えて構成されている。
【0055】
ここで、図6に示すように、電流計11の計測するコンデンサ120の出力電流値が確実に短絡事故発生と判定する設定閾値(設定出力値)i1を超えた後に、定常状態と言える設定閾値i2の振れ幅以内に戻るまでの所要期間(時間)t2も、同様に、通信装置160の過負荷による過電流の場合よりも長期になる。
【0056】
このことから、本実施形態の信号判定器12は、その電流安定化期間t2が予め設定されている設定期間(設定モデル時間)よりも長い場合に、定常時に供給する微小直流電力を遮断して報知部13を消灯させるようになっている。
【0057】
これにより、電流判定装置10は、通信装置160側の短絡事故に起因する過電流により配線用遮断器130が遮断動作して、電流計11が計測するコンデンサ120の出力電流値が設定閾値i1を超えてから設定閾値i2以内に戻るまでの電流安定化期間t2が設定期間を超えたことを信号判定器12が検知(比較判定)して報知部13への供給電力を停止し消灯表示に切り替える。
【0058】
したがって、コンデンサ120から短絡により大電流が出力されたことを確実かつ信頼性高く把握して、通信装置160の配線用遮断器130の再投入操作をしようとする利用者に、配線用遮断器130の遮断要因が短絡事故であることを信頼性高く報知することができる。
【0059】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、配線用遮断器130の短絡による遮断動作の有無を信頼性高く比較判定して報知することができ、その配線用遮断器130を交換するなど適切なメンテナンスを実行することができる。
【0060】
ここで、上述実施形態は、図7に示すように、故障時用の蓄電池170を備える場合にも直流電源150自体としては同様に機能することから好適に適用することができる。この場合に、直流電源150が故障して蓄電池170からの電力供給のみになったときでも、その供給電力は徐々に低下して行くだけであり、配線用遮断器130は遮断動作することはないことから問題はない。
【0061】
また、上述実施形態では、一つのコンデンサ120を搭載する電流分配装置100に設置する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、図8や図9に示すように、複数個のコンデンサ120を搭載するユニット180を電流分配装置100に外付けする場合にも好適に採用することができる。この場合には、図中には点線で示すように、電流計11あるいは電圧計21のいずれか一方を不図示の信号判定器12と報知部13と共に接続して電流判定装置10を設置すればよい。
【0062】
特に、図9に示すように、コンデンサ120が個別に電路Wに接続されて、それぞれの電路W1〜W3間のインピーダンスに差異がある場合には、短絡時の電流の流れに大きく影響する。このため、コンデンサ120毎に電流判定装置10を設置して短絡による過電流の発生の有無を判定確認する必要がある。その一方で、それぞれの電路W1〜W3間のインピーダンスに差異がない場合には、コンデンサ120は同様の挙動で動作するので、1つのコンデンサ120に電流判定装置10を設置して短絡による過電流の発生の有無を判定確認すればよい。
【0063】
同様に、電流判定装置10の信号判定器12が判定するコンデンサ120の出力電流値や電極間の出力電圧値は、システム全体の構成に応じた短絡時の電流の流れにより大きな影響を受ける。このために、システムのインピーダンスによっては、図10に示す電圧・電流特性のように瞬間的にコンデンサ120の蓄積電力を放出するだけでなく、図11に示すように、一定期間に亘ってコンデンサ120からある程度の電流値・電圧値の出力電力を維持しつつ放出する場合もある。このことから、コンデンサ120を接続するシステム側の回路インピーダンスを予め測定してシミュレーションを行うなどして、短絡事故発生時にのみ確実に比較判定することができる設定閾値を決める必要がある。
【0064】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10 電流判定装置
11 電流計
12 信号判定器
13 報知部
21 電圧計
100 電流分配装置
120 コンデンサ
130 配線用遮断器
150 直流電源
160 通信装置
i1、v1 設定閾値
t1 電圧低下期間
t2 電流安定化期間
W 電路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源装置から供給される直流電力を複数の負荷装置のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置であって、
前記直流給電システムが前記複数の負荷装置に供給する前記直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサを備えるのに対して、
前記コンデンサの出力を計測する計測部と、前記計測部が計測する前記コンデンサの出力を予め設定されている設定情報と比較して該コンデンサの出力要因を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を報知する報知部と、を備えることを特徴とする電流判定装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電流値を計測する電流計により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流判定装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電圧値を計測する電圧計により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記コンデンサから出力される出力値を予め設定されている設定出力値と比較することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記コンデンサの出力波形を予め設定されている設定モデルと比較することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【請求項6】
前記設定モデルとして、定常時に前記コンデンサから出力される設定出力値と、前記コンデンサから出力される出力値が変化した後に定常時の前記設定出力値に戻るまでに掛かる設定時間と、が予め設定されており、
前記判定部は、前記コンデンサの出力波形における出力値および定常時の前記設定出力値に戻るまでの所要時間を前記設定モデルの前記設定出力値および前記設定時間と比較することを特徴とする請求項5に記載の電流判定装置。
【請求項7】
前記直流電源と前記コンデンサから直流電力を供給する電路を開閉して下流側の前記負荷装置を保護する遮断器を備える前記直流給電システムに設置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【請求項1】
直流電源装置から供給される直流電力を複数の負荷装置のそれぞれに分配する直流給電システムに設置される電流判定装置であって、
前記直流給電システムが前記複数の負荷装置に供給する前記直流電力の電源電圧を安定化させるコンデンサを備えるのに対して、
前記コンデンサの出力を計測する計測部と、前記計測部が計測する前記コンデンサの出力を予め設定されている設定情報と比較して該コンデンサの出力要因を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を報知する報知部と、を備えることを特徴とする電流判定装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電流値を計測する電流計により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流判定装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記コンデンサから出力される直流電力の電圧値を計測する電圧計により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電流判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記コンデンサから出力される出力値を予め設定されている設定出力値と比較することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記コンデンサの出力波形を予め設定されている設定モデルと比較することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【請求項6】
前記設定モデルとして、定常時に前記コンデンサから出力される設定出力値と、前記コンデンサから出力される出力値が変化した後に定常時の前記設定出力値に戻るまでに掛かる設定時間と、が予め設定されており、
前記判定部は、前記コンデンサの出力波形における出力値および定常時の前記設定出力値に戻るまでの所要時間を前記設定モデルの前記設定出力値および前記設定時間と比較することを特徴とする請求項5に記載の電流判定装置。
【請求項7】
前記直流電源と前記コンデンサから直流電力を供給する電路を開閉して下流側の前記負荷装置を保護する遮断器を備える前記直流給電システムに設置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電流判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−231623(P2012−231623A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99088(P2011−99088)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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