説明

電流測定装置

【課題】抵抗体を有して構成された電流測定部を備える電流測定装置において、高周波電流によるインダクタンスの影響を低減して電流測定精度を確実に向上させる。
【解決手段】第1抵抗部121を、絶縁層における第1電極111側に、絶縁層と直接接触するように配置し、第2抵抗部131を、絶縁層における第2電極141側に、絶縁層と直接接触するように配置し、第1抵抗部121を電流測定用電圧センサ102に電気的に接続するための第1信号ライン122と、第2抵抗部131を電流測定用電圧センサ102に電気的に接続するための第2信号ライン132とを、絶縁層を挟んで対称となるように配置し、第1信号ライン122を第1抵抗部121と同一平面上に配置し、第2信号ライン132は第2抵抗部131と同一平面上に配置し、電流測定用電圧センサ102を、第1抵抗部121と第2抵抗部131とをあわせた抵抗部の電位差を検出するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、電気エネルギを出力する複数のセルを積層配置して構成された燃料電池に適用されて、この燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置が開示されている。この特許文献1の電流測定装置は、隣り合うセルのうち一方のセルに電気的に接触する第1電極、他方のセルに電気的に接触する第2電極、および第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する抵抗体を有して構成された電流測定部を備えている。
【0003】
そして、抵抗体は、第1電極側に電気的に接続される第1抵抗部と、第2電極側に電気的に接続される第2抵抗部とを有しており、第1抵抗部と第2抵抗部を、第1抵抗部における電流流れ方向と第2抵抗部における電流流れ方向とが互いに並行、かつ、反対方向となるように対向配置している。
【0004】
これにより、特許文献1の電流測定装置では、抵抗体の電流経路を高周波電流が流れる場合、電流が作る磁界も反対方向となり、互いに打ち消し合うように作用する。このため、高周波電流による抵抗体のインダクタンスの影響を低減することができ、電流測定装置の測定精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−103071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のような抵抗体を有して構成された電流測定部を備える電流測定装置では、抵抗体を流れる電流が作る磁界は、抵抗体の周囲における透磁率によって、抵抗体における磁界の大きさが変動する虞がある。抵抗体の周囲の構成によって磁界の透磁率の変動が生ずると、電流測定装置の測定精度を向上効果が低くなってしまう。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、抵抗体を有して構成された電流測定部を備える電流測定装置において、高周波電流によるインダクタンスの影響を低減して電流測定精度を確実に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、隣り合うセル(10a)間に配置されて、隣り合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、隣り合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(141)、および第1電極(111)と第2電極(141)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有する1つ以上の電流測定部(101)と、抵抗体の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、抵抗体の2点間の抵抗値と電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差とを用いて、セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、抵抗体は、第1電極(111)側に電気的に接続される第1抵抗部(121)と、第2電極(141)側に電気的に接続される第2抵抗部(131)とを有し、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(131)は、抵抗体接続部(101a)を介して電気的に接続されるとともに、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(131)の間に絶縁層が設けられており、第1抵抗部(121)は、絶縁層における第1電極(111)側に、絶縁層と直接接触するように配置され、第2抵抗部(131)は、絶縁層における第2電極(141)側に、絶縁層と直接接触するように配置され、第1抵抗部(121)を電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第1信号ライン(122)と、第2抵抗部(131)を電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第2信号ライン(132)とが、絶縁層を挟んで対称となるように配置され、第1信号ライン(122)は第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、第2信号ライン(132)は第2抵抗部(131)と同一平面上に配置され、電位差検出手段(102)は、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(131)とをあわせた抵抗部の電位差を検出することを特徴としている。
【0009】
これによれば、第1信号ライン(122)と第2信号ライン(132)とが、絶縁層を挟んで対称となるように配置されているので、第1抵抗部(121)および第2抵抗部(131)の近傍の信号ライン(122、132)によって生ずる透磁率の変動を抑制できるため、各抵抗部(121、131)を流れる電流が作る磁界同士を効果的に打ち消すことができる。
【0010】
このとき、第1抵抗部(121)および第2抵抗部(131)が絶縁層と直接接触するように配置されるとともに、第1信号ライン(122)が第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、第2信号ライン(132)が第2抵抗部(131)と同一平面上に配置されているので、第1信号ライン(122)と第2信号ライン(132)との間隔を狭くすることができる。これにより、各抵抗部(121、131)を流れる電流が作る磁界同士をより効果的に打ち消すことができる。
【0011】
したがって、高周波電流による抵抗体のインダクタンスの影響を低減することができ、電流測定装置(100)の測定精度を確実に向上させることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、複数のセル(100)の積層方向両端に配置された一対のエンドプレートと、エンドプレートと当該エンドプレートに隣り合うセル(10a)との間に配置されて、エンドプレートに電気的に接触する第1電極(111)、エンドプレートに隣り合うセル(10a)に電気的に接触する第2電極(141)、および第1電極(111)と第2電極(141)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有する1つ以上の電流測定部(101)と、抵抗体の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、抵抗体の2点間の抵抗値と電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差とを用いて、セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、抵抗体は、第1電極(111)側に電気的に接続される第1抵抗部(121)と、第2電極(141)側に電気的に接続される第2抵抗部(131)とを有し、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(131)は、抵抗体接続部(101a)を介して電気的に接続されるとともに、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(131)の間に絶縁層が設けられており、第1抵抗部(121)は、絶縁層における第1電極(111)側に、絶縁層と直接接触するように配置され、第2抵抗部(131)は、絶縁層における第2電極(141)側に、絶縁層と直接接触するように配置され、第1抵抗部(121)を電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第1信号ライン(122)と、第2抵抗部(131)を電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第2信号ライン(132)とが、絶縁層を挟んで対称となるように配置され、第1信号ライン(122)は第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、第2信号ライン(132)は第2抵抗部(131)と同一平面上に配置され、電位差検出手段(102)は、第1抵抗部(121)と第2抵抗部(122)とをあわせた抵抗部の電位差を検出することを特徴としている。
【0013】
これによれば、第1信号ライン(122)と第2信号ライン(132)とが、絶縁層を挟んで対称となるように配置されているので、第1抵抗部(121)および第2抵抗部(131)の近傍の信号ライン(122、132)によって生ずる透磁率の変動を抑制できるため、各抵抗部(121、131)を流れる電流が作る磁界同士を効果的に打ち消すことができる。
【0014】
このとき、第1抵抗部(121)および第2抵抗部(131)が絶縁層と直接接触するように配置されるとともに、第1信号ライン(122)が第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、第2信号ライン(132)が第2抵抗部(131)と同一平面上に配置されているので、第1信号ライン(122)と第2信号ライン(132)との間隔を狭くすることができる。これにより、各抵抗部(121、131)を流れる電流が作る磁界同士をより効果的に打ち消すことができる。
【0015】
したがって、高周波電流による抵抗体のインダクタンスの影響を低減することができ、電流測定装置(100)の測定精度を確実に向上させることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電流測定装置において、第1電極(111)、第2電極(141)、第1抵抗部(121)および第2抵抗部(131)は、それぞれ異なるプリント基板に配置されており、第1電極(111)および第1抵抗部(121)は、第1電極(111)と第1抵抗部(121)とを電気的に接続する第1接続部(101b)により接続されており、第2電極(141)および第2抵抗部(131)は、第2電極(141)と第2抵抗部(131)とを電気的に接続する第2接続部(101c)により接続されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、電流測定部(101)における第1電極(111)と第2電極(141)との並び方向、すなわちセル(10a)の積層方向の寸法を小さくすることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電流測定装置において、第1信号ライン(122)は、少なくとも1箇所で第1抵抗部(121)と電気的に接続しており、第2信号ライン(132)は、少なくとも1箇所で第2抵抗部(131)と電気的に接続していてもよい。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の燃料電池システムの全体構成図である。
【図2】実施形態の燃料電池の斜視図である。
【図3】実施形態の電流測定部集合板の分解図である。
【図4】実施形態の電流測定部集合板における電流測定部近傍の断面図である。
【図5】実施形態の電流測定部の電流の流れを示す説明図である。
【図6】他の実施形態における第3プリント基板の要部を示す模式的な拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態の電流測定装置100を適用した燃料電池システムの全体構成図である。この燃料電池システムは、電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に適用されており、車両走行用電動モータ等の電気負荷に電力を供給するものである。
【0022】
まず、燃料電池システムは、図1に示すように、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。燃料電池10は、図示しない車両走行用電動モータ、二次電池、車両用各種補機類等の電気負荷に供給される電気エネルギを出力するもので、本実施形態では、固体高分子電解質型燃料電池を採用している。
【0023】
より具体的には、燃料電池10は、基本単位となる燃料電池セル10a(以下、単にセル10aと記載する。)が複数個、電気的に直列に接続されて構成されたものである。各セル10aでは、以下に示すように、水素と酸素とを電気化学反応させて、電気エネルギを出力する。
【0024】
(負極側)H→2H+2e
(正極側)2H+1/2O+2e→H
この燃料電池10は、図示しないDC−DCコンバータを介して二次電池に電気的に接続されている。DC−DCコンバータは、燃料電池10から二次電池あるいは二次電池から燃料電池10への電力の流れを制御するもので、電圧の大きさに関わらず双方向に電力のやり取りが可能となっている。
【0025】
さらに、燃料電池10から出力される電気エネルギは、燃料電池10の各セル10aから出力される電圧を検出するセルモニタ11、および、燃料電池10全体として出力される電流を検出する電流センサ12によって計測される。なお、セルモニタ11および電流センサ12の検出信号は、後述する制御装置50に入力されている。
【0026】
また、燃料電池10の空気極(正極)側には、酸化剤ガスである空気(酸素)を燃料電池10に供給するための空気供給配管20a、並びに、燃料電池10にて電気化学反応を終えた余剰空気および空気極で生成された生成水を燃料電池10から外気へ排出するための空気排出配管20bが接続されている。
【0027】
空気供給配管20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気排出配管20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0028】
さらに、空気供給配管20aおよび空気排出配管20bには、空気調圧弁23から流出した空気の有する湿度(水蒸気)を空気ポンプ21から圧送された空気へ移動させるための加湿器22が設けられている。この加湿器22は、複数本の中空糸にて構成されており、燃料電池10へ供給される空気を加湿する機能を果たす。
【0029】
燃料電池10の水素極(負極)側には、燃料ガスである水素を燃料電池10に供給するための水素供給配管30a、水素極側に溜まった生成水を微量な水素とともに燃料電池10から外気へ排出するための水素排出配管30bが接続されている。さらに、水素供給配管30aおよび水素排出配管30bは、水素循環配管30cを介して接続されている。
【0030】
水素供給配管30aの最上流部には、高圧水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給配管30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁32が設けられている。
【0031】
水素排出配管30bには、生成水を微量な水素とともに外気へ排出するために所定の時間間隔で開閉する電磁弁34が設けられている。なお、上述の電気化学反応では、水素極側において生成水は発生しないものの、水素極側には、酸素極側から各セル10aの電解質膜を透過した生成水が溜まるおそれがある。そこで、本実施形態では、水素排出配管30bおよび電磁弁34を設けている。
【0032】
水素循環配管30cは、水素供給配管30aの水素調圧弁32下流側と水素排出配管30bの電磁弁34上流側とを接続するように設けられている。これにより、燃料電池10から流出した未反応の水素を、燃料電池10に循環させて再供給している。また、水素循環配管30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が配置されている。
【0033】
ところで、燃料電池10は発電効率を確保するために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10には、燃料電池10を冷却するための冷却水回路40が接続されている。この冷却水回路40には、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させるウォータポンプ41、電動ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0034】
さらに、冷却水回路40には、冷却水を、ラジエータ43を迂回するように流すバイパス流路44が設けられている。冷却水回路40とバイパス流路44との合流点には、バイパス流路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。この流路切替弁45の弁開度が調整されることによって、冷却水回路40の冷却能力が調整される。
【0035】
また、冷却水回路40の燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。なお、この温度センサ46の検出信号も、制御装置50に入力される。
【0036】
制御装置50は、入力信号に基づいて、燃料電池システムを構成する各種電気式アクチュエータの作動を制御するもので、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。
【0037】
具体的には、制御装置50の入力側には、上述のセルモニタ11、電流センサ12および温度センサ46の検出信号等の他に、後述する電流測定装置100の電流検出回路51から出力される電流信号が入力される。一方、出力側には、上述の空気ポンプ21、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、電磁弁34、ウォータポンプ41、流路切替弁45等の各種電気式アクチュエータが接続されている。
【0038】
次に、本実施形態の電流測定装置100の詳細について説明する。電流測定装置100は、複数の電流測定部101が板状部材として一体的に構成された電流測定部集合板100a、各電流測定部101の所定部位間の電位差を検出する電流測定用電圧センサ102、および、セル10aの板面のうち各電流測定部101配置箇所に対応する部位の電流を検出して制御装置50へ出力する電流検出回路51を備えている。
【0039】
まず、図2、3により、電流測定部集合板100aについて説明する。なお、図2は、燃料電池10の外観斜視図であり、図3は、電流測定部集合板100aの分解図である。図2に示すように、電流測定部集合板100aは複数枚設けられており、それぞれ隣り合うセル10a間に配置されている。
【0040】
さらに、図3に示すように、本実施形態の電流測定部集合板100aは、配線パターンが形成(プリント)された第1プリント基板110、第2プリント基板140、第3プリント基板120、および第4プリント基板130の4枚のプリント基板を有している。そして、これらのプリント基板110〜140は、それぞれ薄膜状の絶縁性接着剤を介在させた状態で、ホットプレスによって一体化された積層基板として構成されている。
【0041】
なお、第1〜第4プリント基板110〜140としては、一般的なガラスエポキシ基板を採用できる。また、積層基板として構成された電流測定部集合板100aのうち、対向する2辺(図3では、左右両辺)の近傍には、それぞれ積層基板の表裏を貫通する貫通穴が3つ形成されている。これらの貫通穴は、セル10aを積層した際に、空気、水素および冷却水を流通させるためのマニホールドとして機能する。
【0042】
さらに、両側のマニホールドの間には、複数の電流測定部101が、直交する二方向にマトリックス状(格子状)に配置されている。より具体的には、本実施形態の電流測定部101は、図3に示すように、紙面上下方向に6個、紙面左右方向に7個のマトリックス状に配置されている。
【0043】
つまり、本実施形態では、電流測定部101が、同一の隣り合うセル10a間に複数配置されている。これにより、複数個の電流測定部101が電流測定部集合板100aの板面の全体に渡って配置されることになるので、本実施形態の電流測定装置100では、セル10aの面内における電流密度分布を測定することができる。
【0044】
電流測定部101は、隣り合うセル10aのうち一方のセル10aに電気的に接触する第1電極111、隣り合うセル10aのうち他方のセル10aに電気的に接触する第2電極141、および、第1電極111と第2電極141とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有して構成されている。
【0045】
従って、第1電極111および第2電極141は一対の電極として構成されて、板状の電流測定部集合板100aの両板面に配置されることになる。具体的には、第1電極111は、第1プリント基板110における一方のセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に配置され、第2電極141は、第2プリント基板140における他方のセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に配置されている。
【0046】
また、抵抗体は、第1電極111に電気的に接続される板状の第1抵抗部121、および第2電極141に電気的に接続される板状の第2抵抗部131を有している。そして、第1抵抗部121と第2抵抗部131が薄膜状の絶縁性接着剤124で絶縁された状態で積層基板の積層方向に対向配置されている。
【0047】
換言すれば、本実施形態の抵抗体は、絶縁性接着剤124の第1電極側に配置された第1抵抗部121と第2電極側に配置された第2抵抗部131とが、互いに並行に対向配置されている。ここで、第1抵抗部121と第2抵抗部131との対向配置は、第1抵抗部121の電流流れ方向に直交する位置に隣接する第2抵抗部131が配置されるとともに、第2抵抗部131の電流流れ方向に直交する位置に隣接する第1抵抗部121が配置される関係を意味している。
【0048】
また、第1抵抗部121および第2抵抗部131は、絶縁性接着剤124と直接接触している。より詳細には、第1抵抗部121は、絶縁性接着剤124の一面に直接接触しており、第2抵抗部131は、絶縁性接着剤124における第1抵抗部121が接触している面と反対側の面に直接接触している。
【0049】
具体的には、第1抵抗部121は、第3プリント基板120のうち第1プリント基板110に対向する側の面と反対側(図3の紙面奥側)の面に配置されている。第3プリント基板120のうち第1抵抗部121が形成されている面には、第1信号ライン122が設けられている。このため、第1抵抗部121および第1信号ライン122は、同一平面上(同一板面上)に配置されている。なお、第1信号ライン122は、第1抵抗部121を、後述する電流測定用電圧センサ102に電気的に接続するための配線である。
【0050】
さらに、本実施形態の第3プリント基板120の1辺には、第1信号ライン122が接続された信号取り出し用のコネクタ123が設けられている。なお、図3では、第1信号ライン122を一点鎖線で示している。また、図3では図示の都合上、第1信号ライン122の一部の図示を省略している。
【0051】
一方、第2抵抗部131は、第4プリント基板130のうち第2プリント基板140に対向する側の面と反対側(図3の紙面手前側)の面に配置されている。第4プリント基板130のうち第2抵抗部131が形成されている面には、第2信号ライン132が設けられている。このため、第2抵抗部131および第2信号ライン132は、同一平面上(同一板面上)に配置されている。なお、第2信号ライン132は、第2抵抗部131を、後述する電流測定用電圧センサ102に電気的に接続するための配線である。
【0052】
さらに、本実施形態の第4プリント基板130の1辺には、第2信号ライン132が接続された信号取り出し用のコネクタ133が設けられている。なお、図3では図示の都合上、第2信号ライン132の一部の図示を省略している。
【0053】
第1信号ライン122および第2信号ライン132は、絶縁性接着剤124を境に対称となるように設けられている。すなわち、第1信号ライン122および第2信号ライン132は、第1〜第4プリント基板110〜140の積層方向から見たときに、第1信号ライン122と第2信号ライン132とが互いに重なり合うように(重合するように)設けられている。
【0054】
本実施形態では、第1信号ライン122は、1箇所で第1抵抗部121と電気的に接続されており、第2信号ライン132は、1箇所で第2抵抗部131と電気的に接続されている。具体的には、第1信号ライン121は、後述する第1ブラインドビアホール101bの配置方向の中央部において第1抵抗部121と電気的に接続されている。また、第2信号ライン132は、後述する第2ブラインドビアホール101cの配置方向の中央部において第2抵抗部131と接続されている。
【0055】
また、これらの第1電極111、第2電極141、第1、第2抵抗部121、131および第1、第2信号ライン122、132は、金属箔(具体的には銅箔)にて、第1〜第4プリント基板110〜140に配線パターンとして形成されている。このため、本実施形態では、第1信号ライン122および第2信号ライン132は、第1抵抗部121と第2抵抗部131との間の絶縁性接着剤124を境に、互いの配線パターンが対称となるように設けられている。
【0056】
次に、図4、5により、第1〜第4プリント基板110〜140の具体的積層態様、並びに、電流測定部101を構成する第1電極111、第2電極141、第1、第2抵抗部121、131および各信号ライン122、132の電気的接続態様を説明する。なお、図4は、電流測定部集合板100aにおける電流測定部101近傍の断面図であり、図5は、電流測定部101における電流の流れを示す説明図である。
【0057】
図4に示すように、第1プリント基板110と第3プリント基板120の間、第3プリント基板120と第4プリント基板130の間、および第4プリント基板130と第2プリント基板140の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤112、124、134が配置されている。
【0058】
また、第1〜第4プリント基板110〜140には、複数の丸孔形状のスルーホール101aが設けられている。また、第1、第3プリント基板110、130には、第1ブラインドビアホール101bが設けられ、第4、第2プリント基板130、140には、第2ブラインドビアホール101cが設けられている。
【0059】
このスルーホール101a、第1、第2ブラインドビアホール101b、101cの内周面には、第1、第2電極111、141等と同様の金属箔から構成される導電体が形成されている。
【0060】
そして、第1ブラインドビアホール101bを介して、第1電極111および第1抵抗部121が接続されている。また、スルーホール101aを介して、第1抵抗部121、第2抵抗部131が接続され、第2ブラインドビアホール101cを介して、第2抵抗部131および第2電極141が接続されている。
【0061】
したがって、第1、第2ブラインドビアホール101b、101cは、それぞれ本実施形態の第1、第2接続部を構成し、スルーホール101aは、本実施形態の抵抗体接続部を構成している。なお、スルーホール101a、第1、第2ブラインドビアホール101b、101cは、それぞれ第1、第2抵抗部121、131を流れる電流の流れ方向に対して垂直な方向に並ぶように配置されている。
【0062】
また、第1電極111は第1抵抗部121の一端側に接続され、第2抵抗部131は、第1抵抗部121の他端側に接続されている。また、第2電極141は第2抵抗部131における第1抵抗部121が接続されていない一端側に接続されている。
【0063】
ここで、第1、第2ブラインドビアホール101b、101cは、第1抵抗部121と第2抵抗部131と間を接着する薄膜状の絶縁性接着剤124を介在させることで、第1、第2ブラインドビアホール101b、101cとを電気的に接続しないようにしている。ここで、本実施形態では、薄膜状の絶縁性接着剤124が絶縁層に相当している。なお、絶縁層は、第1、第2抵抗部121、131等を絶縁することができれば他の方法を採用してもよい。
【0064】
また、第1電極111および第2電極141には、第1電極111および第2電極141とスルーホール101aの両端側とが電気的に接続しないように、それぞれ逃がし部113、142が設けられている。
【0065】
そのため、第1抵抗部121と第2抵抗部131からなる抵抗体では、図5に示すように、第1抵抗部121の一端側から他端側へ電流が流れ、スルーホール101aを介して第2抵抗部131の一端側から他端側へ電流が流れることになる。
【0066】
つまり、第1電極111側に配置された第1抵抗部121を流れる電流の流れ方向と第2電極側141側に配置された第2抵抗部131を流れる電流の流れ方向とが、互いに並行、かつ反対方向となるようになっている。換言すれば、第1抵抗部121、第2抵抗部131、およびスルーホール101aを含む電流測定部101の横断面から見た場合、第1抵抗部121、第2抵抗部131、およびスルーホール101aにおける電流の流れがU字状に曲折するようになっている。
【0067】
ここで、本実施形態の電流測定部集合板100aは、第1抵抗部121と第2抵抗部131との間を境に、第1電極111側の構成と第2電極141側の構成が互いに対称となるように設けられている。具体的には、上述したように、第1信号ライン122および第2信号ライン132は、第1抵抗部121と第2抵抗部131との間の絶縁性接着剤124を境に、互いの配線パターンが対称となるように設けられている。
【0068】
そして、図4、5に示すように、第1ブラインドビアホール101bは、第1信号ライン122および外部配線を介して、電流測定用電圧センサ102に接続されている。同様に、第2ブラインドビアホール101cは、第2信号ライン132および外部配線を介して、電流測定用電圧センサ102に接続されている。電流測定用電圧センサ102は、第1ブラインドビアホール101bと第2ブラインドビアホール101cとの2点間の電位差を検出して、検出信号を電流検出回路51に出力する電位差検出手段である。
【0069】
電流検出回路51は、電流測定用電圧センサ102の検出電位差、および第1ブラインドビアホール101bおよび第2ブラインドビアホール101c間の第1、第2抵抗部121、131の電気抵抗値を用いて、演算処理を行うことで、セル10aの面内における各電流測定部101に対応する部位に流れる電流を算出する電流値検出手段である。
【0070】
次に、電流測定装置100による電流測定方法について説明する。燃料電池10に水素および空気が供給されることで、燃料電池10での発電が開始される。電流測定装置100の各電流測定部101では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極111の板面に電流が流れる。
【0071】
そして、第1電極111→第1ブラインドビアホール101b→第1抵抗部121→スルーホール101a→第2抵抗部131→第2ブラインドビアホール101c→第2電極141の順に電流が流れ、第2電極141の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。
【0072】
このとき、電流測定用電圧センサ102によって、第1ブラインドビアホール101bと第2ブラインドビアホール101cとの2点間の電位差を測定する。前述の如く、本実施形態では、予め定めた電気抵抗値を有する第1、第2抵抗部121、131を用いているので、第1、第2ブラインドビアホール101b、101c間の第1、第2抵抗部121、131の電気抵抗値も既知の値となる。
【0073】
そこで、電流検出回路51では、電流測定用電圧センサ102による検出電位差を、予め既知情報として記憶しており、第1、第2抵抗部121、131の電気抵抗値で除する演算処理を行うことで、第1、第2抵抗部121、131に流れた電流値を算出する。そして、電流検出回路51では、上記演算処理によって得られた電流値を、制御装置50へ出力する。
【0074】
さらに、制御装置50では、セル10aの面内における電流分布を検出し、検出された電流分布に基づいて燃料電池10の発電状態を推定し、空気供給量および供給圧、水素供給圧、冷却水循環量の制御等を行う。これにより、燃料電池システムの効率および信頼性を向上させている。
【0075】
具体的には、上述の燃料電池10の発電状態は、各セル10aの交流インピーダンスの変化に基づいて推定することができる。ここで、本実施形態における交流インピーダンスの測定方法について簡単に説明すると、まず、二次電池、DC−DCコンバータ等を用いて所定電流の交流を燃料電池10に印加する。燃料電池10に交流を印加している際に、セルモニタ11と電流検出回路51から入力された電流分布を測定する。そして、セルモニタ11で測定した電圧値の変化と電流検出回路51から入力された電流分布の変化に基づいて、演算により各セル100の交流インピーダンスを測定することができる。
【0076】
このような方法により、燃料電池10の交流インピーダンスを測定する場合、従来の電流測定部101では、抵抗体を交流電流が通過する際に磁界が発生して、抵抗体の電流経路に生ずる磁束の逆起電力(自己誘導起電力)によりインダクタンスが発生する。そして、交流電流が高周波になるとインダクタンスの影響が無視できなくなる。
【0077】
上述のように、本実施形態の電流測定部集合板100aの電流測定部101における第1抵抗部121と第2抵抗部131は、各抵抗部を流れる電流の流れ方向が第1抵抗部121と第2抵抗部131とで反対方向となるように対向して配置されている。そのため、第1抵抗部121および第2抵抗部131を流れる電流が作る磁界も反対方向となり、第1抵抗部121と第2抵抗部131に発生する磁界が互いに打ち消し合うように作用する。
【0078】
このように、本実施形態の電流測定部101を備える電流測定装置100では、燃料電池10に高周波電流を印加した場合であっても、抵抗体のインダクタンスの影響を低減することができ、電流測定装置100の測定精度を向上させることができる。
【0079】
ここで、各抵抗部121、131を流れる電流が作る磁界は、各抵抗部121、131の周囲における透磁率によって、各抵抗部121、131における磁界の大きさが変動してしまう。そのため、本実施形態のように、第1信号ライン122と第2信号ライン132とを絶縁性接着剤124を挟んで対称となるように配置することで、第1抵抗部121および第2抵抗部131の近傍の信号ライン122、132によって生ずる透磁率の変動を抑制できるため、各抵抗部121、131を流れる電流が作る磁界同士を効果的に打ち消すことができる。
【0080】
このとき、第1抵抗部121および第2抵抗部131を絶縁層と直接接触するように配置するとともに、第1信号ライン122を第1抵抗部121と同一平面上に配置し、第2信号ライン132を第2抵抗部131と同一平面上に配置していので、第1信号ライン122と第2信号ライン132との間隔を狭くすることができる。これにより、各抵抗部121、131を流れる電流が作る磁界同士をより効果的に打ち消すことができる。
【0081】
したがって、高周波電流による抵抗体のインダクタンスの影響を低減することができ、電流測定装置100の測定精度を確実に向上させることができる。
【0082】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0083】
(1)上述の実施形態では、複数の電流測定部101が板状部材として一体的に構成された電流測定部集合板100aを、隣り合うセル10a間に配置した例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0084】
例えば、燃料電池10の複数のセル100の積層方向両端に一対のエンドプレートを配置するとともに、このエンドプレートと当該エンドプレートに隣り合うセル10aとの間に、電流測定部集合板100aを配置してもよい。この場合、電流測定部101を、エンドプレートに電気的に接触する第1電極111、当該エンドプレートに隣り合うセル10aに電気的に接触する第2電極141、および第1電極111と第2電極141とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有するように構成すればよい。
【0085】
(2)上述の実施形態では、第1信号ライン122を1箇所で第1抵抗部121と電気的に接続するとともに、第2信号ライン132を1箇所で第2抵抗部131と電気的に接続した例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0086】
例えば、図6(a)に示すように、第1信号ライン122を、第1ブラインドビアホール101bの配置方向の中央部および両端部において第1抵抗部121と電気的に接続してもよい。また、図6(b)に示すように、第1信号ライン122を、全ての第1ブラインドビアホール101bと対応するように第1抵抗部121と電気的に接続してもよい。
【0087】
同様に、第2信号ライン132を、第2ブラインドビアホール101cの配置方向の中央部および両端部において第2抵抗部131と電気的に接続してもよい。また、第2信号ライン132を、全ての第2ブラインドビアホール101cと対応するように第2抵抗部131と電気的に接続してもよい。
【0088】
これによれば、電流測定用電圧センサ102において、複数箇所の電位差の平均値を検出して、その検出信号を電流検出回路51に出力することができるので、電流検出回路51により算出される電流値のバラツキを小さくすることができる。したがって、電流測定装置100の測定精度をより確実に向上させることができる。
【0089】
(3)上述の実施形態では、スルーホール101a、第1、第2ブラインドビアホール101b、101c等を複数の丸孔形状とする例を説明したが、例えば、それぞれ1つの長孔形状としてもよい。
【0090】
(4)上述の実施形態では、第1電極111、第2電極141、第1、第2抵抗部121、131および第1、第2電流測定用配線122、132等を銅箔で形成した例を説明したが、例えば、第1、第2抵抗部121、131のみを、第1、第2電極111、141よりも抵抗値の大きい材料(例えば、ニッケル箔)で形成してもよい。
【0091】
(5)上述の第1実施形態では、図2において、図示の明確化のため3枚の電流測定部集合板100aを記載しているが、電流測定部集合板100aの数はこれに限定されない。電流測定部集合板100aの数を増加させることで、セル10aの面内における電流分布をより精度良く検出できる。例えば、2枚のセル10aに対して1枚の電流測定部集合板100aを配置することが望ましい。
【0092】
(6)上述の実施形態では、図5に示すように、第1、第2抵抗部121、131を流れる電流が、第1抵抗部121の板面を下方向に向かって流れ、第2抵抗部131の板面の上方向に向かって流れるように記載しているが、抵抗体を流れる電流の流れ方向はこれに限定されるものでない。例えば、第1、第2抵抗部121、131を流れる電流が、第1抵抗部121の板面を上方向に向かって流れ、第2抵抗部131の板面の下方向に向かって流れるように構成してもよい。
【0093】
さらに、各抵抗部121、131を流れる電流が、各抵抗部121、131の板面の左右方向に向かって流れるように構成しても良いし、抵抗体の板面を斜め方向(抵抗体の枠辺に非並行となる方向)に流れるように構成しても良い。なお、いずれの構成においても、第1抵抗部121を流れる電流と第2抵抗部131を流れる電流との電流流れ方向が互いに反対方向となるように構成することが必要である。
【符号の説明】
【0094】
10 燃料電池
10a セル
51 電流検出回路(電流検出手段)
101 電流測定部
101a スルーホール(抵抗体接続部)
101b 第1ブラインドビアホール(第1接続部)
101c 第2ブラインドビアホール(第2接続部)
102 電流測定用電圧センサ(電位差検出手段)
111 第1電極
121 第1抵抗部
122 第1信号ライン
131 第2抵抗部
132 第2信号ライン
141 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)に適用され、前記燃料電池(10)の内部を流れる電流を測定する電流測定装置であって、
隣り合う前記セル(10a)間に配置されて、前記隣り合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、前記隣り合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(141)、および前記第1電極(111)と前記第2電極(141)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有する1つ以上の電流測定部(101)と、
前記抵抗体の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、
前記抵抗体の2点間の抵抗値と前記電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差とを用いて、前記セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
前記抵抗体は、前記第1電極(111)側に電気的に接続される第1抵抗部(121)と、前記第2電極(141)側に電気的に接続される第2抵抗部(131)とを有し、
前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(131)は、抵抗体接続部(101a)を介して電気的に接続されるとともに、前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(131)の間に絶縁層が設けられており、
前記第1抵抗部(121)は、前記絶縁層における前記第1電極(111)側に、前記絶縁層と直接接触するように配置され、
前記第2抵抗部(131)は、前記絶縁層における前記第2電極(141)側に、前記絶縁層と直接接触するように配置され、
前記第1抵抗部(121)を前記電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第1信号ライン(122)と、前記第2抵抗部(131)を前記電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第2信号ライン(132)とが、前記絶縁層を挟んで対称となるように配置され、
前記第1信号ライン(122)は前記第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、
前記第2信号ライン(132)は前記第2抵抗部(131)と同一平面上に配置され、
前記電位差検出手段(102)は、前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(131)とをあわせた抵抗部の電位差を検出することを特徴とする電流測定装置。
【請求項2】
酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)に適用され、前記燃料電池(10)の内部を流れる電流を測定する電流測定装置であって、
前記複数のセル(100)の積層方向両端に配置された一対のエンドプレートと、
前記エンドプレートと前記エンドプレートに隣り合う前記セル(10a)との間に配置されて、前記エンドプレートに電気的に接触する第1電極(111)、前記エンドプレートに隣り合う前記セル(10a)に電気的に接触する第2電極(141)、および前記第1電極(111)と前記第2電極(141)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体を有する1つ以上の電流測定部(101)と、
前記抵抗体の2点間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、
前記抵抗体の2点間の抵抗値と前記電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差とを用いて、前記セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
前記抵抗体は、前記第1電極(111)側に電気的に接続される第1抵抗部(121)と、前記第2電極(141)側に電気的に接続される第2抵抗部(131)とを有し、
前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(131)は、抵抗体接続部(101a)を介して電気的に接続されるとともに、前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(131)の間に絶縁層が設けられており、
前記第1抵抗部(121)は、前記絶縁層における前記第1電極(111)側に、前記絶縁層と直接接触するように配置され、
前記第2抵抗部(131)は、前記絶縁層における前記第2電極(141)側に、前記絶縁層と直接接触するように配置され、
前記第1抵抗部(121)を前記電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第1信号ライン(122)と、前記第2抵抗部(131)を前記電位差検出手段(102)に電気的に接続するための第2信号ライン(132)とが、前記絶縁層を挟んで対称となるように配置され、
前記第1信号ライン(122)は前記第1抵抗部(121)と同一平面上に配置され、
前記第2信号ライン(132)は前記第2抵抗部(131)と同一平面上に配置され、
前記電位差検出手段(102)は、前記第1抵抗部(121)と前記第2抵抗部(122)とをあわせた抵抗部の電位差を検出することを特徴とする電流測定装置。
【請求項3】
前記第1電極(111)、前記第2電極(141)、前記第1抵抗部(121)および前記第2抵抗部(131)は、それぞれ異なるプリント基板に配置されており、
前記第1電極(111)および前記第1抵抗部(121)は、前記第1電極(111)と前記第1抵抗部(121)とを電気的に接続する第1接続部(101b)により接続されており、
前記第2電極(141)および前記第2抵抗部(131)は、前記第2電極(141)と前記第2抵抗部(131)とを電気的に接続する第2接続部(101c)により接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電流測定装置。
【請求項4】
前記第1信号ライン(122)は、少なくとも1箇所で前記第1抵抗部(121)と電気的に接続しており、
前記第2信号ライン(132)は、少なくとも1箇所で前記第2抵抗部(131)と電気的に接続していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電流測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113884(P2012−113884A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260402(P2010−260402)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】