説明

電源回路、その電源回路を有するフラッシュメモリシステム、及び電源供給方法

【課題】フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する電源回路が有する電圧調整回路の出力側の充電手段の充電電圧を規定時間内に下げる。
【解決手段】フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する電源回路は、外部から供給される入力電圧によって充電される充電手段である入力充電手段と、入力電圧と入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を動作電圧に調整して出力する電圧調整手段と、動作電圧によって充電される充電手段である出力充電手段と、入力電圧と充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに出力充電手段に充電されている電荷を放電させる放電手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する電源回路、フラッシュメモリシステム及び電源供給方法に係り、特に、外部電源の遮断等による不具合解消に適した電源回路、フラッシュメモリシステム及び電源供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電源回路として、特許文献1に開示の電源回路が知られている。この電源回路は、外部から供給される入力電圧によって充電されるコンデンサ(以下、バックアップ用入力コンデンサ)と、入力電圧とバックアップ用コンデンサの充電電圧のいずれか高い方の電圧をフラッシュメモリとメモリコントローラの動作電圧に調整して出力する電圧調整回路とを有する。この電源回路は、入力電圧と充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、そのコンデンサに充電されている電荷を放電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4569541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電圧回路について、電圧調整回路の出力側にコンデンサが設けられるが、出力側のコンデンサの充電電圧を規定時間内に下げることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する電源回路が有する電圧調整回路の出力側の充電手段の充電電圧を規定時間内に下げることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点に従う電源回路は、フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに第1の動作電圧を供給する電源回路は、外部から供給される入力電圧によって充電される充電手段である第1の入力充電手段と、前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記第1の動作電圧に調整して出力する第1の電圧調整手段と、前記第1の動作電圧によって充電される充電手段である第1の出力充電手段と、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに前記第1の出力充電手段に充電されている電荷を放電させる放電手段とを備える。
【0007】
第2の観点では、第1の観点において、前記放電手段が、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が前記設定値より低くなったことを検出したときに所定の信号を出力する検出手段と、前記第1の出力充電手段に接続されており前記所定の信号を受けてターンオンするスイッチング素子とを有する。
【0008】
第3の観点では、第2の観点において、電源回路が、前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧であり前記第1の電圧調整手段に供給される電圧によって充電される充電手段である第2の入力充電手段を更に備える。前記第2の入力充電手段に充電されている電荷を、前記第1の電圧調整手段を介して前記スイッチング素子から放電する。
【0009】
第4の観点では、第1の観点において、前記第1の電圧調整手段が、前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を受ける入力手段と、前記入力手段が受けた電圧に基づく前記第1の動作電圧を出力し、前記第1の動作電圧よりも低い電圧側に接続される出力手段と、所定の信号を受ける信号検出手段と、前記信号検出手段が前記所定の信号を受けたときに前記入力手段と前記出力手段とを電気的に切断することにより前記第1の出力充電手段の充電電圧を前記低い電圧側へと供給させる放電機能とを有する。前記放電手段が、前記第1の電圧調整手段の前記放電機能と、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が前記設定値より低くなったことを検出したときに前記所定の信号を出力する信号出力手段とを有する。
【0010】
第5の観点では、第1乃至第4の観点のうちの少なくとも1つにおいて、電源回路が、前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記第1の動作電圧と異なる第2の動作電圧に調整して出力する第2の電圧調整手段と、前記第2の動作電圧によって充電される充電手段である第2の出力充電手段とを更に備える。前記放電手段が、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、前記第1及び前記第2の出力充電手段に充電されている電荷を放電させる。
【0011】
第6の観点に従うフラッシュメモリシステムは、第1乃至第5の観点のうちのいずれか1つの観点に従う電源回路と、前記電源回路から動作電圧を供給されるフラッシュメモリと、前記電源回路から動作電圧を供給され前記フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラとを備える。
【0012】
第7の観点に従う方法は、フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する方法であって、外部から供給される入力電圧と該入力電圧によって充電される入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記動作電圧に調整して出力するステップと、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、前記動作電圧によって充電される出力充電手段に充電されている電荷を放電させるステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部から供給される入力電圧とその入力電圧によって充電される第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を第1の動作電圧に調整して出力する第1の電圧調整手段と、その第1の動作電圧によって充電される第1の出力充電手段と、入力電圧と充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに第1の出力充電手段に充電されている電荷を放電させる放電手段とが備えられる。これにより、第1の電圧調整回路の第1の出力充電手段の充電電圧を規定時間内に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係るフラッシュメモリシステムの構成例を示す。
【図2】実施例1に係る電源回路10の構成例を示す。
【図3】図3Aは、放電機能が発揮される前の電圧調整回路の概念を示す。図3Bは、放電機能を発揮しているときの電圧調整回路の概念を示す。
【図4】実施例2に係る電源回路60の構成例を示す。
【図5】図5Aは、トランジスタがオフ状態である場合に出力側コンデンサに電荷が充電されることを示す。図5Bは、トランジスタがターンオンされた場合に出力側コンデンサの電荷が放電されることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係るフラッシュメモリシステムの構成例を示す。
【0017】
フラッシュメモリシステムは、所定のインターフェース装置、例えば、IDE(Integrated Drive Electronics)インターフェース23を介して、図示しないホストシステムに接続される。このフラッシュメモリシステムは、ブロック単位で記憶データの消去が行われるフラッシュメモリ21と、このフラッシュメモリ21に対するアクセスを制御するメモリコントローラ22と、これらのフラッシュメモリ21及びメモリコントローラ22に動作電圧を供給する電源回路10とを有している。
【0018】
メモリコントローラ22は、IDEインターフェース23を介してホストシステムからデータの書込み及び読出しの指示を受けたり、読出しの指示に従ってフラッシュメモリ21から読み出したデータをIDEインターフェース23を介してホストシステムに送信したりする。
【0019】
フラッシュメモリ21は、例えば、ブロックよりも小さい単位であるページ単位でデータが入出力されるフラッシュメモリ、典型的にはNAND型のフラッシュメモリである。しかし、フラッシュメモリ21は、NAND型のフラッシュメモリに限られない。
【0020】
電源回路10は、ホストシステム側の電源供給回路20から供給される電源電圧(Vin)を動作電圧に調整し、調整した動作電圧をフラッシュメモリ21及びメモリコントローラ22に供給する。本実施例では、動作電圧として、異なる複数の動作電圧が提供される。動作電圧として、例えば、第1の動作電圧と、第1の動作電圧よりも低い第2の動作電圧がある。第1の動作電圧は、例えば、3.3V(ボルト)であり、第2の動作電圧は、例えば、1.0Vである。また、電源回路10は、信号(CONT_RST)をフラッシュメモリコントローラ22に出力し、信号(FLASH_WP)をフラッシュメモリ21に出力している。これらの信号については後述する。
【0021】
図2は、実施例1に係る電源回路10の構成例を示す。なお、図2において、「VOUT1」は、メモリコントローラ22及びフラッシュメモリ21への出力を表しており、「VOUT2」が、メモリコントローラ22への出力を表しており、「HVCC2」が、電源供給回路20からの給電を表しており、「PU」は、プルアップを表している。
【0022】
電源回路10は、第1の入力充電手段の一例であるコンデンサ(Cap1)と、第1及び第2の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)と、検出手段の一例である第1乃至第3の電圧検出回路(DET1、DET2及びDET3)とを含む。電圧調整回路の数は、電源回路10が供給する動作電圧の種類と同じ数である。つまり、電源回路10が供給する動作電圧は2種類(3.3V及び1.0V)であるため、電圧調整回路の数は、2である。しかし、動作電圧の種類数に応じて、電圧調整回路の数は、2より少なくても多くても良い。また、電圧検出回路の数は、3より少なくても多くても良い。各電圧調整回路(PWR1、PWR2)について、少なくとも1つの入力側のコンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)と、少なくとも1つの出力側のコンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)とが備えられる。
【0023】
コンデンサ(Cap1)は、供給される電源電圧(Vin)からダイオードD2での電圧降下(Vd2)を差し引いた入力電圧(Vin−Vd2)によって充電される。電源電圧(Vin)の供給が遮断される或いは電源電圧(Vin)が急激に降下する等の場合、コンデンサ(Cap1)の充電電圧が各電圧調整回路(PWR1、PWR2)に供給される。コンデンサ(Cap1)の容量としては、メモリコントローラ22がフラッシュメモリ21に対して書き込み処理又は読み込み処理を行っている最中に電源電圧(Vin)が急激に降下しても、それらの処理を中断する制御(以下、処理中断制御)が終了するまで、またはフラッシュメモリ21の内部処理が完了するまで、メモリコントローラ22及びフラッシュメモリ21に所定の動作電圧を供給することができる容量に設定される。コンデンサ(Cap1)の容量は、例えば、電圧調整回路(PWR1、PWR2)の入力側のコンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)と、第1の出力充電手段の一例である出力側のコンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)の容量よりも高い。コンデンサ(Cap1)は、例えば、複数のコンデンサの集合である。
【0024】
第1の電圧検出回路(DET1)は、この回路(DET1)に入力された電圧が第1の設定値(例えば3.8V)未満になったか否かを判断し、その判断の結果が肯定的のときに、リセット信号を出力する回路である。具体的には、この回路(DET1)の入力端子(VDD端子)に、下記(A)及び(B)の電圧、
(A)電源電圧(Vin)からダイオードD1での電圧降下(Vd2)を差し引いた第1の電圧(Vin−Vd1)、
(B)コンデンサ(Cap1)の充電電圧からダイオードD3での電圧降下(Vd3)を差し引いた第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)、
のうちの高い方の電圧が入力される。この回路(DET1)は、VDD端子に入力された電圧が第1の設定値以上であれば、出力端子(OUT端子)から出力される信号(CONT_RST)のレベルをリセット解除レベル(例えばハイレベル)としている。この回路(DET1)は、VDD端子に入力された電圧が第1の設定値未満になったことを検出したときに、信号(CONT_RST)のレベルをリセットレベル(例えばローレベル)とする。信号(CONT_RST)は、メモリコントローラ22に入力される。メモリコントローラ22は、信号(CONT_RST)のレベルがリセットレベルになったことを検出した場合(つまりリセット信号が入力された場合)、メモリコントローラ22のリセットのためのリセット処理を実行する。リセット処理は、例えば、フラッシュメモリ21に対する書き込み処理又は読み込み処理を中断する制御(つまり前述の処理中断制御)を含んで良い。
【0025】
第2の電圧検出回路(DET2)は、この回路(DET2)に入力された電圧が第1の設定値よりも低い第2の設定値未満になったか否かを判断し、その判断の結果が肯定的のときに、停止信号を出力する回路である。具体的には、この回路(DET2)の入力端子(VDD端子)に、上記第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が入力される。この回路(DET2)は、VDD端子に入力された電圧が第2の設定値以上であれば、出力端子(OUT端子)から出力される信号(EN)のレベルを停止解除レベル(例えばハイレベル)としている。この回路(DET2)は、VDD端子に入力された電圧が第2の設定値未満になったことを検出したときに、信号(EN)のレベルを停止レベル(例えばローレベル)とする。第2の設定値は、例えば、フラッシュメモリ21に対する書き込み処理の動作が保証される電圧値、具体例として2.7Vである。信号(EN)は、第1の電圧調整回路(PWR1)のイネーブル端子(EN端子)に入力される。
【0026】
第3の電圧検出回路(DET3)は、この回路(DET3)に入力された電圧が第2の設定値未満になったか否かを判断し、その判断の結果が肯定的のときに、ライトプロテクト信号を出力する回路である。具体的には、この回路(DET3)の入力端子(VDD端子)に、第1の電圧調整回路(PWR1)の出力端子(OUT端子)が接続されており、このVDD端子に、下記(a)及び(b)の電圧、
(a)第1の電圧調整回路(PWR1)の出力端子(OUT端子)から出力された第1の動作電圧(例えば3.3V)、
(b)第1の動作電圧によって充電された出力側コンデンサ(Vout_Cap1)の充電電圧、
のうちの高い方の電圧が入力される。この回路(DET3)は、VDD端子に入力された電圧が第2の設定値以上であれば、出力端子(OUT端子)から出力される信号(FLASH_WP)のレベルをライトプロテクト解除レベル(例えばハイレベル)としている。この回路(DET3)は、VDD端子に入力された電圧が第2の設定値未満になったことを検出したときに、信号(FLASH_WP)のレベルをライトプロテクトレベル(例えばローレベル)とする。信号(FLASH_WP)は、フラッシュメモリ21に入力される。フラッシュメモリ21は、信号(FLASH_WP)のレベルがライトプロテクトレベルになったことを検出した場合(つまりライトプロテクト信号が入力された場合)、以後、ライトプロテクト解除が検出されるまで、フラッシュメモリ21に対する書き込み処理を実行しないようにする。
【0027】
第1及び第2の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)のうちの少なくとも1つが放電機能を有する。本実施例では、いずれの電圧調整回路(PWR1及びPWR2)も放電機能を有している。
【0028】
第1の電圧調整回路(PWR1)を例に取る。第1の電圧調整回路(PWR1)は、主に下記の2つの機能、
(1)上記第1の電圧(Vin−Vd1)及び上記第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧を第1の動作電圧(例えば3.3V)に調整して出力する機能、
(2)停止信号(ローレベルの信号(EN))がEN端子に入力されたときに、第1の動作電圧(例えば3.3V)に調整して出力する機能を停止させるとともに、第1の動作電圧によって充電された出力側コンデンサ(Vout_Cap1)の電荷を放電する放電機能、
を有する。
【0029】
具体的には、第1の電圧調整回路(PWR1)の入力端子(IN端子)に、上記第1及び第2の電圧のうちの高い方の電圧が入力されるようになっており、且つ、そのIN端子に、その高い方の電圧によって充電される入力側コンデンサ(Vin_Cap1)が接続されている。第1の電圧調整回路(PWR1)のOUT端子に、第1の動作電圧によって充電される出力側コンデンサ(Vout_Cap1)が接続されている。第1の電圧調整回路(PWR1)の所定の端子(GND端子)に、第1の動作電圧よりも低い電圧側(典型的にはGND)が接続される。
【0030】
第1の電圧調整回路(PWR1)から出力された第1の動作電圧は、フラッシュメモリ21及びメモリコントローラ22に供給され、且つ、第3の電圧検出回路(DET3)のVDD端子に入力される。第1の電圧調整回路(PWR1)は、IN端子に入力された電圧の値が第1の動作電圧値(例えば3.3V)以下のときは、その入力された電圧の値とほぼ等しい値の電圧を第1の動作電圧として出力し、入力された電圧の値が第1の動作電圧値より高いときは、第1の動作電圧値の電圧を第1の動作電圧として出力する。
【0031】
第1の電圧調整回路(PWR1)のEN端子に停止解除信号(ハイレベルのEN信号)が入力されていれば、この回路(PWR1)は、図3Aに示すように、IN端子とOUT端子が接続されているような状態である(例えば、IN端子とOUT端子との間にあるスイッチング素子が、その素子に停止解除信号が入力されている間はオン状態である)。故に、IN端子に入力された電圧に基づく第1の動作電圧が、OUT端子から出力されるようになっている。しかし、第1の電圧調整回路(PWR1)のEN端子に停止信号(ローレベルのEN信号)が入力されれば、この回路(PWR1)は、図3Bに示すように、IN端子とOUT端子の接続が切断された状態となる(例えば、IN端子とOUT端子との間にあるスイッチング素子が、その素子に停止信号が入力されたときにターンオフする)。故に、出力側コンデンサ(Vout_Cap1)に充電されている電荷が、この回路(PWR1)のGND端子を通じて抜けるようになっている。
【0032】
第2の電圧調整回路(PWR2)の実質的な機能は、第1の電圧調整回路(PWR1)と同じである。
【0033】
すなわち、第2の電圧調整回路(PWR2)は、主に下記の2つの機能、
(1)上記第1の電圧(Vin−Vd1)及び上記第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧を、第1の動作電圧よりも低い第2の動作電圧(例えば1.0V)に調整して出力する機能、
(2)停止信号(ローレベルの信号(EN))がEN端子に入力されたときに、第2の動作電圧(例えば1.0V)に調整して出力する機能を停止させるとともに、第2の動作電圧によって充電された出力側コンデンサ(Vout_Cap2)の電荷を放電する放電機能、
を有する。
【0034】
具体的には、第2の電圧調整回路(PWR2)の入力端子(IN端子)に、上記第1及び第2の電圧のうちの高い方の電圧が入力されるようになっており、且つ、そのIN端子に、その高い方の電圧によって充電される入力側コンデンサ(Vin_Cap2)が接続されている。第2の電圧調整回路(PWR2)のOUT端子に、第2の動作電圧によって充電される出力側コンデンサ(Vout_Cap2)が接続されている。第2の電圧調整回路(PWR1)の所定の端子(GND端子)に、第2の動作電圧よりも低い電圧側(典型的にはGND)が接続される。
【0035】
第2の電圧調整回路(PWR2)から出力された第2の動作電圧は、メモリコントローラ22(特にそのコントローラ22内のマイクロコンピュータ)に供給される。第2の電圧調整回路(PWR2)は、IN端子に入力された電圧の値が第2の動作電圧値(例えば1.0V)以下のときは、入力された電圧の値とほぼ等しい値の電圧を第2の動作電圧として出力し、入力された電圧の値が第2の動作電圧値より高いときは、第2の動作電圧値の電圧を第2の動作電圧として出力する。
【0036】
第2の電圧調整回路(PWR2)も、EN端子に停止解除信号(ハイレベルのEN信号)が入力されていれば、IN端子に入力された電圧に基づく第2の動作電圧をOUT端子から出力するが、EN端子に停止信号(ローレベルのEN信号)が入力されれば、出力側コンデンサ(Vout_Cap2)に充電されている電荷をこの回路(PWR2)のGND端子を通じて抜くようになっている。
【0037】
この電源回路10によれば、第2の電圧検出回路(DET2)と第1及び第2の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)が有する放電機能とを含んだ放電回路が実現されている。
【0038】
以下、この電源回路10で行われる動作の流れを説明する。
【0039】
第1の電圧検出回路(DET1)は、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧(この回路(DET1)のVDD端子に入力された電圧)が第1の設定値(例えば3.8V)より低いことを検出すると、メモリコントローラ22にリセット信号を送信する(CONT_RST信号をローレベルにする)。これにより、メモリコントローラ22がフラッシュメモリ21に対する書き込み処理を停止する。
【0040】
その後、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が、さらに第2の設定値未満にまで下がったとする。第2の電圧検出回路(DET2)は、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧(この回路(DET2)のVDD端子に入力された電圧)が第2の設定値(例えば2.7V)より低いことを検出したときに、この回路(DET2)のOUT端子から停止信号を送信する(信号(EN)をローレベルにする)。停止信号は、両方の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)のEN端子に実質的に同時に入力される。電圧調整回路(PWR1及びPWR2)は、EN端子に停止信号が入力されたときに出力を停止し、この回路(PWR1及びPWR2)の出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)を放電する。これにより、両方の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)の出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)の放電が実質的に同時に開始される。
【0041】
実施例1に係る電源回路10によれば、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値より低くなったときに、電圧調整回路(PWR1及びPWR2)の出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)の放電が行われる。これにより、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値より低くなってから規定時間内に出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)の充電電圧を所定電圧値以下に下げることができる。
【0042】
また、実施例1によれば、第1の動作電圧の出力側コンデンサ(Vout_Cap1)と第2の動作電圧の出力側コンデンサ(Vout_Cap2)の放電が実質的に同時に開始される。これにより、動作電圧の差が広がることによるラッチアップの可能性を低減することができる。
【0043】
なお、実施例1によれば、コンデンサ(Cap1)の電荷及び入力側コンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)の電荷は、出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)よりも時間をかけて抜かれる。具体的には、コンデンサ(Cap1)の電荷は、抵抗R1によって放電される。入力側コンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)の電荷は、抵抗R4によって放電される。
【0044】
また、実施例1によれば、電圧調整回路(PWR1及びPWR2)のIN端子とOUT端子の接続が電気的に切断されるので、コンデンサ(Cap1)の電荷及び入力側コンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)の電荷が残っていても、電圧調整回路後段の各デバイスに電圧がだらだらとかからないようにすることができる。
【0045】
また、実施例1によれば、第1の電圧調整回路(PWR1)から出力される第1の動作電圧(3.3v)が第2の設定値より低くなったとき、ライトプロテクト信号がフラッシュメモリ21に出力されるようになっている。すなわち、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値より低くなったとき、停止信号が第2の電圧検出回路(DET2)から第1の電圧調整回路(PWR1)のEN信号に入力され、そうすると、第1の電圧調整回路(PWR1)から第1の動作電圧が出力されない。このため、第3の電圧検出回路(DET3)のVDD端子に入力される電圧は第2の設定値より低くなるので、第3の電圧検出回路(DET3)がライトプロテクト信号を出力し、フラッシュメモリ21をライトプロテクトする。
【0046】
また、電圧検出回路(DET1)は、ダイオードD1の後段に配置されるが、必ずしもダイオードD1の後段でなくても良い。
【0047】
また、放電したい電圧の順番や長さは、検知電圧や電圧検出回路に備えた時定数の大きさなどにより制御されて良い。
【実施例2】
【0048】
以下、本発明の実施例2を説明する。その際、実施例1との相違点を主に説明し、実施例1との共通点については説明を省略或いは簡略する。
【0049】
図4は、実施例2に係る電源回路60の構成例を示す。
【0050】
電源回路60では、電圧調整回路(PWR1及びPWR2)は放電機能を有していない(EN端子を有していない)。そして、電源回路60は、電圧調整回路毎にトランジスタを有する。具体的には、電源回路60は、第1及び第2に電圧調整回路(PWR1及びPWR2)にそれぞれ対応した第1及び第2のトランジスタ(Q1、Q2)を有する。トランジスタ(Q1)及び(Q2)のうちの少なくとも1つは、MOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)のような別種のスイッチング素子でも良い。
【0051】
トランジスタ(Q1)は、pnp型のトランジスタである。トランジスタ(Q1)のエミッタ端子に、出力側コンデンサ(Vout_Cap1)が接続されている。トランジスタ(Q1)のコレクタ端子は、抵抗(LOAD_R1)を介してグランドに接続されており、トランジスタ(Q1)のベース端子は、抵抗(R5)を介して第2の電圧検出回路(DET2)のOUT端子が接続されている。
【0052】
トランジスタ(Q2)も、pnp型のトランジスタである。トランジスタ(Q2)のエミッタ端子に、出力側コンデンサ(Vout_Cap2)が接続されている。トランジスタ(Q2)のコレクタ端子は、抵抗(LOAD_R2)を介してグランドに接続されており、トランジスタ(Q2)のベース端子は、抵抗(R5)を介して第2の電圧検出回路(DET2)のOUT端子が接続されている。
【0053】
実施例2では、第2の電圧検出回路(DET2)とトランジスタ(Q1)及び(Q2)とで放電回路が実現されている。
【0054】
第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値以上である場合、図5Aに示すように、トランジスタ(Q1)及び(Q2)がオフ状態である。このため、第1及び第2の動作電圧が第1及び第2の電圧調整回路(PWR1及びPWR2)から出力され、コンデンサ(Cap1、Vout_Cap1、Vout_Cap2、Vin_Cap1、Vin_Cap2)に充電される。
【0055】
第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値未満にまで下がったことを第2の電圧検出回路(DET2)が検出したときに、第2の電圧検出回路(DET2)のOUT端子から、停止信号が出力される。具体的には、例えば、トランジスタ(Q1)及び(Q2)のベース端子に入力される信号のレベルがハイからローに変わる。これにより、図5Bに示すように、トランジスタ(Q1)及び(Q2)が実質的に同時にターンオンする。この結果、出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)の放電と、コンデンサ(Cap1)及び入力側コンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)の放電の両方が実質的に同時に開始される。具体的には、出力側コンデンサ(Vout_Cap1)の電荷がトランジスタ(Q1)を通ってグランドへと流れ、且つ、コンデンサ(Cap1)及び入力側コンデンサ(Vin_Cap1)の電荷は電圧調整回路1、トランジスタ(Q1)を通ってグランドへと流れる。同様に、出力側コンデンサ(Vout_Cap2)の電荷がトランジスタ(Q2)を通ってグランドへと流れ、且つ、コンデンサ(Cap1)及び入力側コンデンサ(Vin_Cap2)の電荷は電圧調整回路2、トランジスタ(Q2)を通ってグランドへと流れる。
【0056】
実施例2によれば、第1の電圧(Vin−Vd1)及び第2の電圧(Cap1電圧−Vd3)のうちの高い方の電圧が第2の設定値より低くなったときに、出力側コンデンサ(Vout_Cap1、Vout_Cap2)だけでなく、コンデンサ(Cap1)及び入力側コンデンサ(Vin_Cap1、Vin_Cap2)の電荷も積極的に放電することができる。
【0057】
また、放電の時間を調整する場合は、LOAD_R1、LOAD_R2の抵抗値を所望の値に設計することで、制御が可能となる。
【0058】
以上、本発明の幾つかの実施例を説明したが、これらは、本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。すなわち、本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10,60…電源回路、21…フラッシュメモリ、22…メモリコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに第1の動作電圧を供給する電源回路であって、
外部から供給される入力電圧によって充電される充電手段である第1の入力充電手段と、
前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記第1の動作電圧に調整して出力する第1の電圧調整手段と、
前記第1の動作電圧によって充電される充電手段である第1の出力充電手段と、
前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、前記第1の出力充電手段に充電されている電荷を放電させる放電手段と
を備える電源回路。
【請求項2】
請求項1記載の電源回路であって、
前記放電手段が、
前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が前記設定値より低くなったことを検出したときに所定の信号を出力する検出手段と、
前記第1の出力充電手段に接続されており前記所定の信号を受けてターンオンするスイッチング素子と
を有する、
電源回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電源回路であって、
前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧であり前記第1の電圧調整手段に供給される電圧によって充電される充電手段である第2の入力充電手段を更に備え、
前記第2の入力充電手段に充電されている電荷を、前記第1の電圧調整手段を介して前記スイッチング素子から放電する、
電源回路。
【請求項4】
請求項1記載の電源回路であって、
前記第1の電圧調整手段が、
前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を受ける入力手段と、
前記入力手段が受けた電圧に基づく前記第1の動作電圧を出力し、前記第1の動作電圧よりも低い電圧側に接続される出力手段と、
所定の信号を受ける信号検出手段と、
前記信号検出手段が前記所定の信号を受けたときに前記入力手段と前記出力手段とを電気的に切断することにより前記第1の出力充電手段の充電電圧を前記低い電圧側へと供給させる放電機能と
を有し、
前記放電手段が、
前記第1の電圧調整手段の前記放電機能と、
前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が前記設定値より低くなったことを検出したときに前記所定の信号を出力する信号出力手段と
を有する、
電源回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の電源回路であって、
前記入力電圧と前記第1の入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記第1の動作電圧と異なる第2の動作電圧に調整して出力する第2の電圧調整手段と、
前記第2の動作電圧によって充電される充電手段である第2の出力充電手段と
を更に備え、
前記放電手段が、前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、前記第1及び前記第2の出力充電手段に充電されている電荷を放電させる、
電源回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の電源回路と、
前記電源回路から動作電圧を供給されるフラッシュメモリと、
前記電源回路から動作電圧を供給され前記フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラと
を備えるフラッシュメモリシステム。
【請求項7】
フラッシュメモリと該フラッシュメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラに動作電圧を供給する方法であって、
外部から供給される入力電圧と該入力電圧によって充電される入力充電手段の充電電圧のいずれか高い方の電圧を前記動作電圧に調整して出力するステップと、
前記入力電圧と前記充電電圧のいずれか高い方の電圧が設定値より低くなったときに、前記動作電圧によって充電される出力充電手段に充電されている電荷を放電させるステップと
を有する電源供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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