説明

電源回路および電子装置

【課題】本発明の目的は、電源部を大きくすることなく、例えば、モータ等の駆動装置を確実に駆動させることができる電源回路および電子装置を提供する。
【解決手段】本発明の電源回路46は、モータ等の駆動装置に電力を供給する手段であり、電源部40と、DC/DCコンバータ42と、調整回路44とで構成されている。DC/DCコンバータ42は、帰還電圧VFBに基づいて出力電圧Vが所定値となるように制御し、電源部40から入力される電圧(入力電圧V)を昇圧して、モータへ出力し、そのモータを駆動させる昇圧型のDC/DCコンバータである。調整回路44は、DC/DCコンバータの帰還電圧VFBを調整することにより、DC/DCコンバータ42を、DC/DCコンバータとして機能する「作動状態」と、DC/DCコンバータとして機能しない「非作動状態」とに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DC/DCコンバータを有する電源回路および電子装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ等の電子装置に搭載されているモータへ電力を供給する電源回路が知られている。
【0003】このような電源回路は、DC/DCコンバータを備えており、このDC/DCコンバータにより電源部(例えば、乾電池やバッテリー)からの入力電圧を昇圧してモータへ出力する。これにより、モータが始動され、駆動する。
【0004】この電源回路では、入力電圧を昇圧する分、電源部から電流を供給する必要があり、例えば、乾電池やバッテリーのような電源部では、供給できる電流が定格で定められている。
【0005】しかしながら、モータの始動の際は、モータでは大電流を必要とすることがある。これにより、モータを確実に始動させるためには、電源部から供給できる電流を大きくしなければならない。
【0006】このため、電源部が、例えば、乾電池の場合は、乾電池の本数を多くしたり、また、バッテリーの場合は、バッテリーの容量を大きくしなければならない。
【0007】これにより、電源回路およびこの電源回路を搭載する電子装置が大型化し、重量が重くなるという問題がある。
【0008】また、電源回路およびこの電源回路を搭載する電子装置の価格が高価になるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電源部を大きくすることなく、例えば、モータ等の駆動装置を確実に駆動させることができる電源回路およびその電源回路を有する電子装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0011】(1) 帰還電圧に基づいて出力電圧が所定値となるように制御するDC/DCコンバータを有する電源回路であって、前記DC/DCコンバータの帰還電圧を調整する調整回路を備えていることを特徴とする電源回路。
【0012】(2) 前記調整回路は、前記DC/DCコンバータの帰還電圧を調整することにより、該DC/DCコンバータを、DC/DCコンバータとして機能する作動状態と、DC/DCコンバータとして機能しない非作動状態とに切り換えるよう構成されている上記(1)に記載の電源回路。
【0013】(3) 当該電源回路は、モータへ電力を供給するものである上記(1)または(2)に記載の電源回路。
【0014】(4) 当該電源回路は、モータへ電力を供給するものであり、前記調整回路は、前記モータの始動の際、前記DC/DCコンバータを前記非作動状態とし、前記モータが始動してから前記モータの回転数が所定の回転数に到達した際、前記DC/DCコンバータを前記作動状態に切り換えるよう構成されている上記(2)に記載の電源回路。
【0015】(5) 前記DC/DCコンバータは、昇圧型DC/DCコンバータである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電源回路。
【0016】(6) 前記DC/DCコンバータは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に該スイッチング素子を駆動するパルス信号を入力する制御回路とを有するスイッチング型DC/DCコンバータであり、前記制御回路は、前記帰還電圧に基づいて前記出力電圧が所定値となるように前記パルス信号のデューティ比を制御するよう構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の電源回路。
【0017】(7) 前記調整回路はトランジスタを有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の電子装置。
【0018】(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の電源回路を有することを特徴とする電子装置。
【0019】(9) 当該電子装置は、プリンタである上記(8)に記載の電子装置。
【0020】(10) 当該電子装置は、光源を搭載した露光用ヘッドを有し、該露光用ヘッドにより感光型のプリント用紙を露光し、該感光型のプリント用紙に画像を再生するプリンタである上記(8)に記載の電子装置。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電源回路および電子装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明の電子装置をプリンタに適用した場合を説明する。
【0022】図1は、本発明の電子装置をプリンタに適用した場合の実施形態を示すブロック図である。
【0023】図1に示すプリンタ10は、画像データの供給源から入力された画像データに対応する画像を感光型のプリント用紙上に再生(印刷)するものであり、同図に示すように、プリンタ10は、発振器12と、メモリ14と、中央演算処理装置(CPU)16と、ゲートIC(デジタルIC)18と、LEDドライバ20およびLEDヘッド(露光用(光学)ヘッド)22と、モータドライバ24およびモータ26と、エンコーダ(図示せず)およびセンサ28と、ヒータドライバ30およびヒータ32と、電源部40、DC/DCコンバータ42および調整回路44で構成される電源回路46とを備えている。
【0024】ここで、画像データの供給源は、例えば、パーソナルコンピュータ(コンピュータ)、デジタルカメラ等のように、画像データをデジタルデータとして扱うデジタル機器や、ビデオデッキ、テレビ等のように、画像データをNTSCやPAL等の規格に準拠したビデオ信号として扱うアナログ機器である。
【0025】プリンタ10とパーソナルコンピュータ等のデジタル機器は、例えば、パラレルポートを介して接続され、例えば、シリアル通信により、画像データとして、パーソナルコンピュータ等のデジタル機器から送信されるデジタルデータがプリンタ10で受信される。また、プリンタ10とビデオデッキ等のアナログ機器は、例えば、ビデオ端子を介して接続され、画像データとして、ビデオデッキ等のアナログ機器から送信されるビデオ信号がプリンタ10で受信される。
【0026】なお、画像データの供給源は何ら限定されず、例えば、前述のように、画像データを送信可能なデジタル機器、アナログ機器のいずれも使用可能である。また、プリンタ10と画像データの供給源との接続方式や画像データも何ら限定されず、例えば、従来公知のインタフェース規格や通信プロトコル、各種フォーマットの画像データがいずれも利用可能である。
【0027】また、プリンタ10で使用可能なプリント用紙は、感光型のプリント用紙であれば何ら限定されず、例えば、感光型マイクロカプセル(サイリス)が塗布された(設けられた)プリント用紙(サイカラーメディア:サイカラー方式のプリント用紙)、ポラロイドフィルム等の従来公知のものがいずれも利用可能である。
【0028】なお、図示を省略しているが、プリンタ10は、上記各部位の他、このプリンタが接続される画像データの供給源とのインタフェース回路、前述のビデオ信号をデコードして画像データをデジタルデータに変換するビデオデコーダ、プリント用紙の搬送機構等の各部位を備えている。
【0029】ここで、本実施形態では、プリンタ10は、感光型マイクロカプセル(サイリス)が塗布された(設けられた)プリント用紙(サイカラーメディア:サイカラー方式のプリント用紙)に画像を再生(印刷)するサイカラー方式のものであり、露光後のプリント用紙に対して機械的な圧力をかけて現像(現像工程)を行う加圧機構222を備えている(図4参照)。加圧機構222としては、例えば、球面や円筒面を有するもの等を用いることができる。
【0030】以下、プリンタ10の各部位について順に説明する。図1に示すプリンタ10において、発振器12は、所定周波数のクロック信号を生成する。この発振器12で生成されたクロック信号は、例えば、中央演算処理装置16やゲートIC18等を含む各部位へ供給され、クロック信号が供給された各部位は、このクロック信号に同期して動作する。
【0031】メモリ14は、画像データの供給源から送信される画像データを格納(記憶)するためのバッファ(記憶手段)である。このメモリ14としては、例えば、SRAM(スタティックメモリ)、DRAM(ダイナミックメモリ)等の各種RAMや、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ等の各種不揮発性メモリ等を含む従来公知の各種の半導体メモリ等を用いることができる。
【0032】中央演算処理装置16は、LEDヘッド22に搭載されている複数のLEDの座標位置を検出(算出)する他、画像データの供給源との画像データの通信の制御、ヒータドライバ30の制御、LEDの電流制御(光の強度の制御)、プリント用紙の搬送機構等のメカニカルな部位の制御およびその動作異常の検出と処理、調整回路44の制御等を行う。
【0033】また、ゲートIC18は、LEDドライバ20の制御、モータドライバ24を介してモータ26の制御(モータサーボ)、メモリ14の制御等を行う。
【0034】これらの中央演算処理装置16、メモリ14およびゲートIC18は、アドレスバス“ADDRESS”およびデータバス“DATA”を介して相互に接続されている。メモリ14に格納された画像データは、アドレスバス“ADDRESS”およびデータバス“DATA”を介して中央演算処理装置16およびゲートIC18の両方から参照可能である。
【0035】画像データの供給源から供給された画像データは、中央演算処理装置16からデータバス“DATA”を介してメモリ14へ供給され、アドレスバス“ADDRESS”を介して指定されるメモリ14の所定アドレスに書き込まれる(格納される)。
【0036】そして、プリント用紙に画像を再生(印刷)する際は、中央演算処理装置16により、前記メモリ14へ格納された画像データが、読み出され、その画像データに対応するアドレスデータと共に、ゲートIC18へ供給される。
【0037】前記中央演算処理装置16およびゲートIC18により、プリンタ10の駆動を制御する制御手段が構成される。
【0038】なお、本実施形態における中央演算処理装置16とゲートIC18の機能分担は単なる一例であって、必要に応じて適宜機能分担を変更してもよい。
【0039】電源回路46は、モータドライバ24を介しモータ26へ電力を供給する手段であり、前述したように、電源部40と、DC/DCコンバータ42と、調整回路44とで構成されている。
【0040】電源部40は、プリンタ10を構成する各部位に所定の電圧を供給するものであり、この電源部40からDC/DCコンバータ42へ所定の電圧が入力(印加)される。
【0041】DC/DCコンバータ42は、帰還電圧に基づいて出力電圧が所定値となるように制御し、前記電源部40から入力される電圧を昇圧して、モータ26へ出力し、そのモータ26を駆動(回転)させる昇圧型のDC/DCコンバータである。
【0042】調整回路44は、前記DC/DCコンバータ42の帰還電圧を調整する回路である。この調整回路44は、DC/DCコンバータ42の帰還電圧を調整することにより、DC/DCコンバータ42を、DC/DCコンバータとして機能する「作動状態」と、DC/DCコンバータとして機能しない「非作動状態」とに切り換える。
【0043】次に、電源回路46について詳細に説明する。図2は、本発明の電源回路の実施形態を示す回路図である。
【0044】図2に示すように、DC/DCコンバータ42は、抵抗素子R、Rと、N型の電界効果トランジスタ(スイッチング素子)Qと、誘導コイルLと、ショットキーダイオードDと、前記トランジスタQにトランジスタQを駆動するパルス信号を入力する制御回路51とで構成されるスイッチング型DC/DCコンバータ42である。
【0045】制御回路51は、帰還電圧VFBに基づいて出力電圧Vが所定値(一定値)となるようにパルス信号“FET CTL”のデューティ比を制御する。
【0046】DC/DCコンバータ42の入力端子101は、電源部40と接続されており、DC/DCコンバータ42の出力端子102は、モータドライバ24のモータ供給電源端子と接続されている。
【0047】調整回路44は、NPN形のトランジスタ(スイッチング素子)Qで構成されており、このトランジスタQのベース端子(B)には前記中央演算処理装置16が接続されている。
【0048】中央演算処理装置16は、トランジスタQのベース端子(B)の電圧を制御することで、トランジスタQのON/OFFを切り換える。なお、ベース端子(B)の電圧レベルがハイレベルのときは、トランジスタQはONとなり、ベース端子(B)の電圧レベルがロウレベル(L)のときは、トランジスタQはOFFとなる。
【0049】調整回路44は、モータ26の始動の際、OFFであり、このとき、DC/DCコンバータ42は「非作動状態」である。
【0050】また、調整回路44は、モータ26が始動してからモータの回転数が所定の回転数に到達した際、OFFからONに切り換わる。このとき、DC/DCコンバータ42は「非作動状態」から「作動状態」に切り換わる。
【0051】以下、DC/DCコンバータ42が「非作動状態」のときと、DC/DCコンバータ42が「作動状態」のときのDC/DCコンバータ42の動作について説明する。
【0052】■DC/DCコンバータ42が「非作動状態」のときの動作DC/DCコンバータ42を「非作動状態」とするときは、中央演算処理装置16は、トランジスタQのベース端子(B)の電圧レベルをロウレベルにする。これにより、調整回路44がOFFとなる。
【0053】DC/DCコンバータ42が「非作動状態」のときは、調整回路44がOFFとなっているため、抵抗素子R、Rに電流が流れない。すなわち、制御回路51の帰還電圧VFBと出力電圧Vとが等しくなる。
【0054】このとき、制御回路51は、パルス信号“FET CTL”のディーティ比を0%にしてトランジスタQのゲート端子(G)に入力する。パルス信号“FET CTL”のデューティ比が0%のときは、電圧レベルにハイレベル(H)の期間がないパルス信号“FET CTL”、すなわち、電圧レベルがロウレベルで一定のパルス信号“FET CTL”がトランジスタQのゲート端子(G)に入力される。
【0055】トランジスタQのゲート端子(G)に電圧レベルがロウレベルの一定の状態のパルス信号が入力されると、トランジスタQはOFFとなり、このトランジスタQには電流が流れない。このため、電源部40から誘導コイルLへQを介してGNDへ流れるパルス電流が流れず、誘導コイルLには電流の変化による誘導起電力が生じないことから、入力電圧Vと出力電圧Vとがほぼ等しくなる。
【0056】このように、DC/DCコンバータ42が「非作動状態」のときは、入力電圧Vが昇圧されずに出力端子101へ出力される。すなわち、入力電圧Vが昇圧されずにモータ26へ出力される。
【0057】■DC/DCコンバータ42が「作動状態」のときの動作DC/DCコンバータ42を「作動状態」とするときは、中央演算処理装置16は、トランジスタQのベース端子(B)の電圧レベルをハイレベルにする。これにより、調整回路44がONとなる。
【0058】DC/DCコンバータ42が「作動状態」のときは、トランジスタQがONとなっているため、帰還電圧VFBと出力電圧Vとの関係は、下記式に示すとおりになる。
【0059】
FB≒V・R/(R+R)・・・(1)
【0060】上記(1)式において、出力電圧Vが一定のときは帰還電圧VFBは一定である。また上記(1)式において、帰還電圧VFBは出力電圧Vの値によって変化するともいうことができる。
【0061】制御回路51は帰還電圧VFBの値が所定の電圧になるように、パルス信号“FET CTL”のデューティ比を所定の値に変化させてトランジスタQのゲート端子(G)に入力する。
【0062】コイルに発生する自己誘導起電力eはコイルの自己インダクタンスをLとすると、e=−L・di/dtで表される。すなわちトランジスタQをオンにし、その微少時間の間誘導コイルLに流れる電流を変化させることにより、トランジスタQがオフ期間中トランジスタQから誘導コイルLの方向に電流が流れるような方向の起電力が発生する(ただし実際にこの方向に電流が流れるわけではない)。この様にして入力電圧Vは昇圧されるが、この昇圧幅(起電力の大きさ)はトランジスタQに流れる電流の大きさと、トランジスタQをオフにする時間で変化する。つまりトランジスタQのゲート端子Gに入力されるパルスのデューティー比が100%に近づくほど、誘導コイルLの電流変化が大きく、なおかつ電流の変化時間(Qのオフ時間)が小さくなるので、誘導コイルLの自己誘導起電力が大きくなり、昇圧幅も大きくなる。
【0063】以上のように出力端子102には、入力電圧Vと誘導コイルLに生じた誘導起電力とに基づいた電圧、すなわち、入力電圧Vを昇圧した電圧(出力電圧V)が出力され、この出力電圧Vは前記所定値で一定となっている。
【0064】ここで、上記(1)式において、出力電圧Vが前記所定値より上昇した場合、帰還電圧VFBも上昇する。
【0065】制御回路51は、帰還電圧VFBが上昇すると、前記所定のデューティ比よりもデューティ比を下げたパルス信号“FET CTL”をトランジスタQのゲート端子(G)に入力する。
【0066】前記所定のデューティ比よりもデューティ比を下げたパルス信号“FET CTL”がトランジスタQのゲート端子(G)に入力されると、このパルス信号“FET CTL”は前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”よりも電圧レベルがハイレベルとなる期間が短いため、トランジスタQに流れる電流が前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”のときよりも少なくなる。これにより、誘導コイルLに生じる誘導起電力は、前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”のときよりも小さくなり、出力端子102に出力される電圧(出力電圧V)は下降する。
【0067】また、上記(1)式において、出力電圧Vが前記所定値より下降した場合、帰還電圧VFBも下降する。
【0068】制御回路51は、帰還電圧VFBが下降すると、前記所定のデューティ比よりもデューティ比を上げたパルス信号“FET CTL”をトランジスタQのゲート端子(G)に入力する。
【0069】所定のデューティ比よりもデューティ比を上げたパルス信号“FET CTL”がトランジスタQのゲート端子(G)に入力されると、前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”よりもパルス信号“FET CTL”の電圧レベルがハイレベルとなる期間が長いため、トランジスタQに流れる電流が前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”のときよりも多くなる。これにより、誘導コイルLに生じる誘導起電力は、前記所定のデューティ比のパルス信号“FET CTL”のときよりも大きくなり、出力端子102に出力される電圧(出力電圧V)は上昇する。
【0070】このようにして、DC/DCコンバータ42が「作動状態」のときは、DC/DCコンバータ42によって、出力電圧Vが所定値(目標電圧V)となるように制御される。
【0071】このDC/DCコンバータ42では、入力電圧Vを昇圧して出力しているため、入力電流Iは、電圧を昇圧している分、出力電流Iよりも大きくなる。なお、出力電圧Vが目標電圧Vのときの入力電流Iを電源部40から供給し得る定格電流とする。
【0072】ここで、モータ26が駆動(回転)を開始するとき(始動するとき)は、モータ26では大電流を必要とし、DC/DCコンバータ42を「作動状態」にしてモータ26を駆動すると、出力電流Iが大きくなり、これにより、入力電流Iが定格電流よりも大きくなってしまう。
【0073】したがって、この電源回路46では、モータ26の始動の際は、DC/DCコンバータ42を「非作動状態」にする。すなわち、入力電圧Vを昇圧させないでモータ26へ出力し、モータ26を始動させる。これにより、DC/DCコンバータ42では、出力電圧Vが目標電圧Vのときの入力電流Iよりも小さい電流、すなわち、定格電流より小さい電流が電源部40から供給されており、モータ26の始動の際に、出力電流Iが大きくなっても、電源部40は、出力電流Iが大きくなった分だけ、電源部40から電流を供給すればよい。これにより、確実にモータ26を始動させることができる。
【0074】そして、モータ26が始動してからモータの回転数が所定の回転数に到達したら、入力電圧Vを昇圧してモータ26を駆動する必要があるため、DC/DCコンバータ42を「作動状態」にする。すなわち、出力電圧Vが目標電圧Vとなっている状態でモータ26を駆動させる。
【0075】このように、この電源回路46では、モータ26の始動の際にモータ26で大電流が必要となっても、電源部40からは定格電流以上の電流を供給する必要がないので、電源部40を小さくすることができ、確実にモータ26を始動させることができる。
【0076】これにより、例えば、電源部40が乾電池の場合は、乾電池の本数を少なくすることができ、また、電源部40がバッテリーの場合は、バッテリーの容量を小さくすることができる。
【0077】また、電源回路46の小型化、軽量化を図ることができ、また価格を安価にすることができる。
【0078】続いて、LEDヘッド(露光用(光学)ヘッド)22は、プリント用紙を露光するものであり、R(赤:赤色)の光を発するLED(RのLED)(光源)と、G(緑:緑色)の光を発するLED(GのLED)(光源)と、B(青:青色)の光を発するLED(BのLED)(光源)とを備えている。これらRGBの3色のLEDの駆動(例えば、発光タイミング等)は、ゲートICにより、LEDドライバ20を介してそれぞれ個別に制御される。
【0079】このLEDヘッド22は、少なくともRGBの各色のLEDをそれぞれ1個づつ備えていればよいが、例えば、RGBのうちの任意の1色のLEDを複数個備えていてもよく、また、任意の2色のLEDをそれぞれ複数個づつ備えていてもよく、また、3色のLEDをそれぞれ複数個づつ備えていてもよい。同じ色のLEDを複数個設けることにより、印刷速度を高速化することができ、また、画像を高解像度化した時に露光量が不足してしまうのを防止することができる。詳細は後述するが、本実施形態では、LEDヘッド22は、RGBのLEDをそれぞれ3個づつ備えている。
【0080】なお、本発明では、露光用ヘッドはこのLEDヘッド22に限定されず(光源は、LED(発光ダイオード)に限定されず)、感光型のプリント用紙を露光するための所定波長の光を発光する光源が搭載されているものであれば、例えば従来公知のものがいずれも利用可能である。
【0081】モータ26は、ゲートIC18の制御によって、モータドライバ24より駆動される。モータ26が駆動すると、図示しないギア等の動力伝達機構により、LEDヘッド22は、主走査方向へ所定の一定速度で往復運動(移動)すると共に、図示しない搬送機構により、プリント用紙は、主走査方向とほぼ直交する副走査方向へ所定の一定速度で搬送される。この際、プリント用紙は、LEDヘッド22によって露光され、画像データに対応した潜像が記録(形成)される。
【0082】エンコーダおよびセンサ28は、プリント用紙に対するLEDヘッド22の主走査方向および副走査方向の位置(座標位置)、すなわち、LEDヘッド22が往復運動する際の各ドット(画素)と、プリント用紙に対するLEDヘッド22の進行方向等の検出等に用いられる。
【0083】エンコーダは、帯状の複数の白黒の印刷パターンを備えたリニアエンコーダであり、該エンコーダに対してLEDヘッド22が主走査方向に移動し得るようにLEDヘッド22から離間した所定の位置に設けられている。このエンコーダのパターンは、LEDヘッド22の移動方向(主走査方向)に沿って、所定の一定間隔(所定のピッチ)で並設されている。なお、本実施形態では、前記パターンのピッチは、画像のドット(画素)のピッチに対応している。
【0084】一方、センサ28は、前記エンコーダに向けて光を照射(投光)する投光部と、前記投光部から照射され、前記エンコーダで反射した光を受光(光電変換)する複数の受光部とを有している。
【0085】前記投光部としては、例えば、LED(発光ダイオード)等を用いることができ、また、受光部としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ等を用いることができる。
【0086】本実施形態では、LEDヘッド22と、センサ28とは図示しないキャリッジ上に一体化されており、このキャリッジ(LEDヘッド22)が移動するのに伴って、センサ28からは、図3のタイミングチャートに示すように、互いに位相が90゜ずれた2つのエンコードパルスFG1,FG2が出力される。これらのエンコードパルスFG1,FG2は共にゲートIC18に供給される。
【0087】前記エンコードパルスFG1,FG2の1周期(レベルがハイレベルの期間とロウレベルの期間とを加算した期間)は、それぞれ、画像の主走査方向の2ドット(画素)分の時間、すなわち、画像のドット(画素)の主走査方向のピッチの2倍分の時間に相当する。
【0088】また、LEDヘッド22が所定方向に移動しているときは、エンコードパルスFG1の位相は、エンコードパルスFG2の位相に対して90゜遅れ、LEDヘッド22が前記と逆方向に移動しているときは、エンコードパルスFG1の位相は、エンコードパルスFG2の位相に対して90゜進む。
【0089】前述のゲートIC18では、図3のタイミングチャートに示すように、センサ28から入力されるエンコードパルスFG1の立ち上がりでエンコードパルスFG2のレベルをラッチ(保持)して、LR信号を出力する。
【0090】LR信号の1周期(レベルがハイレベルの期間とロウレベルの期間とを加算した期間)は、画像の2ライン分の時間、すなわち、画像のドット(画素)の副走査方向のピッチの2倍分の時間に相当する。
【0091】このLR信号により、LEDヘッド22の進行方向を検出(判別)することができる。すなわち、LR信号のレベルがロウレベルの期間は、LEDヘッド22の進行方向が所定方向(例えば、右側)、ハイレベルの期間は、LEDヘッド22の進行方向が前記と逆方向(例えば、左側)である。
【0092】また、図3中、エンコードパルスFG1,FG2のパルス幅の長い期間は、LEDヘッド22が折り返しを行う期間(折り返し期間)である。すなわち、この折り返し期間において、LEDヘッド22の進行方向が変更(反転)される。
【0093】前記LR信号と、前述のエンコードパルスFG1,FG2の内の1つ(エンコードパルス“FG”とする)とは、それぞれ、中央演算処理装置16に供給される。
【0094】中央演算処理装置16は、これらLR信号およびエンコードパルス“FG”により、LEDヘッド22の進行方向と、LEDヘッド22(LEDヘッド22の基準部位)の主走査方向および副走査方向の位置(座標位置)とを検出する。すなわち、中央演算処理装置16は、LR信号のレベルからLEDヘッド22の進行方向を検出すると共に、エンコードパルス“FG”およびLR信号をそれぞれカウントすることにより、LEDヘッド22に搭載されている複数のLEDの主走査方向および副走査方向の位置(座標位置)をそれぞれ順次検出(算出)する。
【0095】また、中央演算処理装置16は、算出した複数のLEDの座標位置に対応する画像データを順次メモリ14から読み出し、この画像データと、画像データに対応するLEDを示すアドレスデータとをゲートIC18へ供給し、前記画像データを後述する第1のレジスタ群へ設定する。
【0096】なお、本実施形態では、中央演算処理装置16が複数のLEDの座標位置を演算して算出するように構成されているが、本発明では、これに限らず、例えば、前記座標位置を演算し、前記画像データを後述する第1のレジスタ群へ設定するハード演算器を設けてもよい。
【0097】ハード演算器は、中央演算処理装置16のように、複数のLEDの座標位置を順番に算出するのではなく、全てのLEDの座標位置をパラレル処理して同時に算出することができるので、極めて高速に、短時間で座標位置を算出することができるという利点がある。これにより、中央演算処理装置16は高速動作が要求されないので、動作速度の遅い安価なものを使用することができ、その分、プリンタ10のコストを削減することができる。また、例えば、印刷時間をより短縮するために、LEDヘッド22をより高速に移動させたり、搭載するLEDの個数を増加させる場合や、画像の解像度をさらに高くする場合にも、より確実に対応することができる。
【0098】このハード演算器は、例えば、ゲートIC18の一部として設けてもよく、また、別途、設けてもよい。
【0099】最後に、図1に示すプリンタ10において、ヒータ32は、露光現像後のプリント用紙を加熱して定着させるためのものであり、その駆動(例えば、発熱タイミング等)は、中央演算処理装置16により、ヒータドライバ30を介して制御される。
【0100】続いて、プリンタ10のLEDヘッド22の構造について説明する。図4は、プリンタ10のLEDヘッド22の構成例を示す底面図である。
【0101】同図に示すように、本実施形態のLEDヘッド22は、ヘッド基板221を有し、そのヘッド基板221上に、RGBの3色のLEDをそれぞれ3個づつ、合計9個のLEDを備えている。
【0102】ここで、ヘッド基板221上には、9個のLEDが、3行×3列の行列状(マトリックス状)であって、互いに、図4中上下方向(副走査方向)および図3R>3中左右方向(主走査方向)に所定ドット(画素)ずれるように配置されている。
【0103】すなわち、図4中の最も上側の行には、RのLEDR3、BのLEDB3およびGのLEDG3が、図4中右側からRのLEDR3、BのLEDB3、GのLEDG3の順に、図4中上下方向に所定ドットづつずらして一列に配置されている。図示例の場合、GのLEDG3を上下方向の中心として、RのLEDR3はGのLEDG3の所定ドット上側に配置され、また、BのLEDB3はGのLEDG3の所定ドット下側に配置されている。
【0104】また、図4中の上から2番目(真中)の行には、RのLEDR2、BのLEDB2およびGのLEDG2が、前記と同様に、図4中右側からRのLEDR2、BのLEDB2、GのLEDG2の順に、図4中上下方向に所定ドットづつずらして一列に配置され、図4中の最も下側の行には、RのLEDR1、BのLEDB1およびGのLEDG1が、前記と同様に、図4中右側からRのLEDR1、BのLEDB1、GのLEDG1の順に、図4中上下方向に所定ドットづつずらして一列に配置されている。
【0105】また、Rの3個のLEDR3、R2およびR1は、図4中左右方向に所定ドットづつずらして図4中上下方向に一列に配置されている。図示例の場合、LEDR2を左右方向の中心として、LEDR1はLEDR2の所定ドット左側に配置され、また、LEDR3はLEDR2の所定ドット右側に配置されている。
【0106】また、Bの3個のLEDB3、B2およびB1も前記と同様に、図4中左右方向に所定ドットづつずらして図4中上下方向に一列に配置され、また、Gの3個のLEDG3、G2およびG1も前記と同様に、図4R>4中左右方向に所定ドットづつずらして図4中上下方向に一列に配置されている。
【0107】前述のように、本実施形態のプリンタ10では、LEDヘッド22を主走査方向に移動させると共に、プリント用紙を副走査方向へ移動させる。この際、感光型のプリント用紙に、LEDヘッド22に搭載された9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3によって、画像データに対応した色の光を画像データに対応した時間、順次照射してプリント用紙を2次元的に露光し、潜像を記録する。
【0108】言い換えると、プリント用紙の各ドット(画素)からすると、それぞれ、LEDヘッド22に搭載された9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3から順次光が照射されることによって、画像データに対応した潜像が記録される。なお、各ドットでは、それぞれ、そのドットに対するRの3つのLEDR1〜R3に設定される画像データは同一である。同様に、Gの3つのLEDG1〜G3に設定される画像データは同一であり、また、Bの3つのLEDB1〜B3に設定される画像データは同一である。
【0109】ここで、各ドットからすると、LEDヘッド22を主走査方向へ移動する際、図示例のLEDヘッド22では、RGBの各LEDが副走査方向にずれているので、例えばRのLEDR3によってRの光が照射されてから、次のGのLEDG3によってGの光が照射されるまでには所定ライン分以上の時間間隔があり、また、GのLEDG3によってGの光が照射されてから、次のBのLEDB3によってBの光が照射されるまでには所定ライン分以上の時間間隔がある。
【0110】感光型のプリント用紙、特に、感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント用紙では、連続的に光を照射するよりも、間隔をおいて光を照射した方が感度が上昇するという特性がある。したがって、図示例のLEDヘッド22のように、RGBの各LEDの配置を副走査方向へずらすことにより、その分プリント用紙の感度を向上させることができるという利点がある。
【0111】なお、RGBの各LEDの配置(例えば、間隔、ずれ量等)は、特に限定されず、例えば、必要に応じて適宜変更することができる。
【0112】また、ヘッド基板221上には、露光後のプリント用紙に対して機械的な圧力をかけて現像(現像工程)を行う加圧機構222が設けられている。この加圧機構222は、ヘッド基板221の図3中下側に配置されている。
【0113】続いて、プリンタ10のゲートIC18の内部構造について説明する。図5は、プリンタ10のゲートIC18の構成例であって、その主要部を示すブロック図である。
【0114】図5には、ゲートIC18のうちのLEDドライバ20を制御する部分が示されており、同図に示すように、ゲートIC18は、アドレスデコーダ34と、LED制御回路36と、第1のレジスタ群REG1と、第2のレジスタ群REG2と、比較回路群38とを備えている。なお、これ以外のゲートIC18の各部位は、説明を簡略化するために省略してある。
【0115】中央演算処理装置16からは、画像データ“LED DATA”がデータバス“DATA”を介して第1のレジスタ群REG1へ入力されると共に、その画像データ“LED DATA”に対応するLED(第1のレジスタ)を示すアドレス信号がアドレスバス“ADDRESS”を介してアドレスデコーダ34へ入力される。
【0116】アドレスデコーダ34は、中央演算処理装置16からアドレスバス“ADDRESS”を介して入力されるアドレス信号をデコードし、このアドレス信号に対応した第1のレジスタを選択(指定)するためのイネーブル信号“ENA”を出力する。
【0117】LED制御回路36は、センサ28から入力されるエンコードパルスFG1,FG2の内の1つ(ここでは、エンコードパルス“FG”とする)に基づいて、イネーブル信号“ENA”および比較データ“COMP DATA”を生成し、出力する。
【0118】LED制御回路36から出力されるイネーブル信号“ENA”は、第1のレジスタ群REG1に設定された画像データ“LED DATA”を第2のレジスタ群REG2に同時(パラレル)に保持(シフト)するためのタイミング信号であり、第1のレジスタ群REG1にRGBの9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”が全て設定完了し、かつ、対応する9ドット(画素)の露光が完了した後、所定のタイミングで出力される。
【0119】また、比較データ“COMP DATA”は、第2のレジスタ群REG2に保持された画像データ“LED DATA”と比較して、9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3を発光させる時間を決定するために用いられるものであり、エンコードパルス“FG”に同期して、クロック信号“CLK”をカウントすることにより生成され、出力される。
【0120】この比較データ“COMP DATA”の生成には、例えば、図5のタイミングチャートに示すように、エンコードパルス“FG”に同期して、(2^n)−1〜0までダウンカウントし、その後、0〜(2^n)−1までアップカウントすることを繰り返し行うnビットのカウンタが用いられる。このカウンタのダウン、アップの動作は、図6のタイミングチャートでは、三角波のような状態で示されている。ここで、本実施形態では、n=8であるが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0121】なお、前述のように、本実施形態では、エンコードパルス“FG”の1周期は、画像の主走査方向の2ドット(画素)分の時間に相当するので、前述のカウンタの動作(カウント)は、エンコードパルス“FG”のハイレベルおよびロウレベルの期間共に行われる。
【0122】第1のレジスタ群REG1および第2のレジスタ群REG2は、それぞれ、LEDヘッド22に搭載されているLEDの個数分のレジスタを備えており、比較回路群38は、LEDヘッド22に搭載されているLEDの個数分の比較回路を備えている。本実施形態では、LEDヘッド22に、RGBそれぞれ3個づつ、合計9個のLEDが搭載されているので、第1のレジスタ群REG1は、9個の第1のレジスタを備えており、第2のレジスタ群REG2は、9個の第2のレジスタを備えており、比較回路群38は、9個の比較回路“Compare”を備えている。
【0123】第1のレジスタ群REG1は、中央演算処理装置16からデータバス“DATA”を介して供給される、LEDヘッド22に搭載されているRGBの各LEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”を設定するためのものである。
【0124】この第1のレジスタ群REG1は、前述したように、9個の第1のレジスタ、図示例では、図5中上側から下側に向かって、Rの3個のLEDR1,R2,R3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第1のレジスタR1REG1,R2REG1,R3REG1、Gの3個のLEDG1,G2,G3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第1のレジスタG1REG1,G2REG1,G3REG1、Bの3個のLEDB1,B2,B3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第1のレジスタB1REG1,B2REG1,B3REG1を備えている。
【0125】第1のレジスタ群REG1には、図7のタイミングチャートに示すように、エンコードパルス“FG”に同期して、また、中央演算処理装置16から入力されるライトイネーブル信号“_WE”の立ち上がりに同期して、前述のイネーブル信号“ENA”により選択された第1のレジスタに、前述のRGBの9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”が順次設定される。なお、前記イネーブル信号“ENA”による第1のレジスタの選択動作は、後述する第1のレジスタ群REG1から第2のレジスタ群REG2への画像データ“LED DATA”の転送(シフト)が完了した後、すなわち、画像データ“LED DATA”が第2のレジスタ群REG2に保持された後に開始される。
【0126】このようにして、中央演算処理装置16から、LEDヘッド22の合計9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”が、第1のレジスタR1REG1〜R3REG1,G1REG1〜G3REG1,B1REG1〜B3REG1に順次(時系列に)設定される。
【0127】なお、前述のように、本実施形態では、エンコードパルス“FG”の1周期は、画像の主走査方向の2ドット(画素)分の時間に相当するので、中央演算処理装置16から第1のレジスタ群REG1への画像データの設定は、エンコードパルス“FG”のハイレベルおよびロウレベルの期間共に行われる。
【0128】一方、第2のレジスタ群REG2は、第1のレジスタ群REG1に順次設定されたRGBの9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”を同時に保持するものである。
【0129】第2のレジスタ群REG2は、前述したように、9個の第2のレジスタ、図示例では、図5中上側から下側に向かって、Rの3個のLEDR1,R2,R3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第2のレジスタR1REG2,R2REG2,R3REG2、Gの3個のLEDG1,G2,G3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第2のレジスタG1REG2,G2REG2,G3REG2、Bの3個のLEDB1,B2,B3に対応する画像データ“LED DATA”を保持する第2のレジスタB1REG2,B2REG2,B3REG2を備えている。
【0130】第2のレジスタ群REG2には、図8のタイミングチャートに示すように、エンコードパルス“FG”に同期して、また、イネーブル信号“ENA”としてロウレベルが入力されるタイミングで、発振器12から供給されるクロック信号“CLK”の立ち上がりに同期して、第1のレジスタ群REG1に設定されたRGBの9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”が同時に(パラレルに)保持(シフト)される。
【0131】すなわち、第1のレジスタ群R1REG1〜R3REG1,G1REG1〜G3REG1,B1REG1〜B3REG1に設定された合計9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データ“LED DATA”が、第2のレジスタ群R1REG2〜R3REG2,G1REG2〜G3REG2,B1REG2〜B3REG2に同時に保持される。
【0132】前述のように、本実施形態では、エンコードパルス“FG”の1周期は、画像の主走査方向の2ドット(画素)分の時間に相当するので、第1のレジスタ群REG1から第2のレジスタ群REG2への画像データのシフトも、エンコードパルス“FG”のハイレベルおよびロウレベルの期間共に行われる。
【0133】図7および図8のタイミングチャートからも分るように、中央演算処理装置16から第1のレジスタ群REG1への画像データの設定と、第2のレジスタ群REG2における画像データの保持およびLEDの発光(プリント用紙への露光)とは、同時に(パラレルに)行われている。
【0134】具体的には、(n−2)回目の露光のための画像データが第2のレジスタ群REG2に保持されており、その画像データに基づいて(n−2)回目の露光を行っている最中に、中央演算処理装置16から第1のレジスタ群REG1への(n−1)回目(次)の露光のための画像データの設定が行われる。
【0135】そして、前記画像データの設定および前記露光が完了した後に、第1のレジスタ群REG1に設定された画像データが、第2のレジスタ群REG2へ転送(シフト)され、その第2のレジスタ群REG2で保持される。
【0136】この後、(n−1)回目の露光と、中央演算処理装置16から第1のレジスタ群REG1へのn回目の露光のための画像データの設定とが行われる。以降、前述した動作が繰り返される。
【0137】このように、このプリンタ10では、第2のレジスタ群REG2を備えていることによって、第1のレジスタ群REG1に9個全ての画像データの設定が完了した時点で、その画像データを第2のレジスタ群REG2に保持し、LEDのドライブには、第2のレジスタ群REG2に保持された画像データを使用するので、中央演算処理装置16は、第1のレジスタ群REG1から第2のレジスタ群REG2への画像データの転送が完了した時点で、第1のレジスタ群REG1に対して次の画像データの設定を行うことができる。
【0138】すなわち、このプリンタ10では、画像データの設定用の第1のレジスタ群REG1とLEDのドライブ用の第2のレジスタ群REG2とを分離した構造(構成)になっているので、1ドット分(1回分)の露光時間の間に次の画像データを設定することができればよく、このため、中央演算処理装置16として動作速度の遅い安価なものを使用しても、LEDヘッド22に設定すべき複数の画像データを十分な余裕を持って確実に設定することができ、印刷速度の高速化、すなわち印刷時間の短縮や、画像の高解像度化(高精細化)に容易に対応することができる。
【0139】続いて、比較回路群38の各比較回路“Compare”は、LEDドライバ20を制御するためのLED制御信号“LED CTL”を出力する。
【0140】この場合、比較回路群38の各比較回路“Compare”へは、中央演算処理装置16から、印刷状態と非印刷状態とを切り替える印刷オン/オフ信号“PAINT_ON/OFF”が入力され、第2のレジスタ群REG2の対応する第2のレジスタから、画像データ“LED DATA”が入力され、LED制御回路36から、比較データ“COMP DATA”が入力される。そして、比較回路群38の各比較回路“Compare”は、それぞれ、第2のレジスタ群REG2に保持された画像データ“LED DATA”とLED制御回路36から入力される比較データ“COMP DATA”とを比較するとともに、中央演算処理装置16から入力される印刷オン/オフ信号“PAINT_ON/OFF”とから、LEDドライバ20を制御するためのLED制御信号“LED CTL”を出力する。
【0141】図6のタイミングチャートに示すように、このLED制御信号“LED CTL”は、画像データ“LED DATA”の値(レベル)が比較データ“COMP DATA”の値(レベル)より大きい期間(画像データ“LED DATA”>比較データ“COMP DATA”の期間)であって、かつ、印刷オン/オフ信号“PAINT_ON/OFF”のレベルが印刷状態を示すレベルの期間だけロウレベルとされ、このロウレベルとされた期間、LEDは発光する。
【0142】なお、LED制御信号“LED CTL”の極性は何ら限定されず、図示例の場合とはLED制御信号“LED CTL”の極性を逆にして、LED制御信号“LED CTL”がハイレベルの期間だけLEDを発光させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0143】本実施形態のサイカラー方式のプリンタ10では、プリント用紙とLEDヘッド22とが近接して対向する位置に配置され、LEDヘッド22を主走査方向に移動させながら、感光型のプリント用紙に、画像データに対応した色の光を照射して露光する。そして、LEDヘッド22が端部に到達したとき、プリント用紙を副走査方向へ移動させ、その後、同様に、LEDヘッド22を主走査方向に移動させながら、前記プリント用紙に、画像データに対応した色の光を照射して露光する。以降、前記の動作を繰り返し行う。
【0144】これにより、プリント用紙はLEDヘッド22によって2次元的に露光され、そのプリント用紙に潜像が記録される。
【0145】露光工程では、LEDヘッド22が移動するのに伴って、エンコーダおよびセンサ28によりエンコードパルスFG1,FG2が生成され、このエンコードパルスFG1,FG2からLR信号が生成される。これらのエンコードパルス“FG”とLR信号とから、中央演算処理装置16により、LEDヘッド22に搭載されたRGBの9個のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3の座標位置が算出され、各々のLEDR1〜R3、G1〜G3、B1〜B3に対応する画像データがメモリ14から読み出されて、ゲートIC18内の第1のレジスタ群REG1に順次設定される。
【0146】露光後のプリント用紙、すなわち、プリント用紙のうちの露光を完了した部分は、加圧機構222と図示しない所定の部材とで挟み込まれることにより、機械的な圧力がかけられ、現像される。この現像は、前記LEDヘッド22の主走査方向への移動により、主走査方向に連続的に行われ、これと、前記プリント用紙の副走査方向への移動とにより、プリント用紙全体が現像される。
【0147】前記現像工程では、硬化していない柔らかいままの状態のカプセルが押しつぶされ、つぶされたカプセル内部のインクが互いに混ざり合うことにより、画像データに対応した色に発色され、プリント用紙に所望の画像が再生される。
【0148】その後、現像後のプリント用紙は、ヒータ32によって加熱され、これにより画像が定着し、印刷が完了する。
【0149】以上説明したように、この電源回路46およびプリンタ10によれば、モータ26を始動させるときは、DC/DCコンバータ42を「非作動状態」にして始動させるため、電源部46を大きくすることなく、確実に駆動させることができる。
【0150】このため、例えば、電源部40が乾電池の場合は、乾電池の本数を少なくすることができ、また、電源部40がバッテリーの場合は、バッテリーの容量を小さくすることができる。
【0151】これにより、電源回路46の小型化、軽量化を図ることができ、この電源回路46を搭載したプリンタ10の小型化、軽量化を図ることができる。
【0152】また、これにより、電源回路46およびこの電源回路46を搭載したプリンタ10の価格を安価にすることができる。
【0153】以上、本発明の電源回路および電子装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0154】なお、本実施形態では、電源回路によって駆動する駆動装置をモータとしているが、本発明は、これに限らず、例えば、ヒータ、冷却装置、LED等の発光素子、等が挙げられる。
【0155】また、本実施形態では、電源回路を備えた電子装置はプリンタであるが、本発明は、これに限らず、例えば、光ディスク装置、小型カメラ、小型ハンディービデオ等が挙げられる。
【0156】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電源部を大きくすることなく、例えば、モータ等の駆動装置を確実に駆動させることができる。
【0157】これにより、電源回路の小型化、軽量化を図ることができ、この電源回路を有する電子装置の小型化、軽量化を図ることができる。
【0158】また、これにより、電源回路およびこの電源回路を有する電子装置の価格を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子装置(プリンタ)の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の電源回路の実施形態を示す回路図である。
【図3】図1に示すプリンタの2つのエンコードパルスFG1,FG2とLR信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】図1に示すプリンタのLEDヘッドの構成例を示す底面図である。
【図5】図1に示すプリンタのゲートICの構成例であって、その主要部を示すブロック図である。
【図6】図1に示すプリンタの画像データとLED制御信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図7】図1に示すプリンタの第1のレジスタ群に画像データを設定する時の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】図1に示すプリンタの第2のレジスタ群に画像データを保持する時の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 プリンタ
12 発振器
14 メモリ
16 中央演算処理装置
18 ゲートIC
20 LEDドライバ
22 LEDヘッド
221 ヘッド基板
222 加圧機構
24 モータドライバ
26 モータ
28 センサ
30 ヒータドライバ
32 ヒータ
R1〜R3,G1〜G3,B1〜B3 LED
34 アドレスデコーダ
36 LED制御回路
REG1 第1のレジスタ群
REG2 第2のレジスタ群
38 比較回路群
40 電源部
42 DC/DCコンバータ
44 調整回路
46 電源回路
51 制御回路
101 入力端子
102 出力端子
、R 抵抗素子
、Q、Q トランジスタ
導コイル
ショットキーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 帰還電圧に基づいて出力電圧が所定値となるように制御するDC/DCコンバータを有する電源回路であって、前記DC/DCコンバータの帰還電圧を調整する調整回路を備えていることを特徴とする電源回路。
【請求項2】 前記調整回路は、前記DC/DCコンバータの帰還電圧を調整することにより、該DC/DCコンバータを、DC/DCコンバータとして機能する作動状態と、DC/DCコンバータとして機能しない非作動状態とに切り換えるよう構成されている請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】 当該電源回路は、モータへ電力を供給するものである請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】 当該電源回路は、モータへ電力を供給するものであり、前記調整回路は、前記モータの始動の際、前記DC/DCコンバータを前記非作動状態とし、前記モータが始動してから前記モータの回転数が所定の回転数に到達した際、前記DC/DCコンバータを前記作動状態に切り換えるよう構成されている請求項2に記載の電源回路。
【請求項5】 前記DC/DCコンバータは、昇圧型DC/DCコンバータである請求項1ないし4のいずれかに記載の電源回路。
【請求項6】 前記DC/DCコンバータは、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に該スイッチング素子を駆動するパルス信号を入力する制御回路とを有するスイッチング型DC/DCコンバータであり、前記制御回路は、前記帰還電圧に基づいて前記出力電圧が所定値となるように前記パルス信号のデューティ比を制御するよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の電源回路。
【請求項7】 前記調整回路はトランジスタを有する請求項1ないし6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の電源回路を有することを特徴とする電子装置。
【請求項9】 当該電子装置は、プリンタである請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】 当該電子装置は、光源を搭載した露光用ヘッドを有し、該露光用ヘッドにより感光型のプリント用紙を露光し、該感光型のプリント用紙に画像を再生するプリンタである請求項8に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−88108(P2003−88108A)
【公開日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−272582(P2001−272582)
【出願日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】