説明

電源接続端子、電源コードの調整ガイド、及び電源コードの係止構造

【課題】電気機器の電源コードの長さを、コード巻取り部を用いることなく、簡易かつ確実に調整可能とすることを課題とする。
【解決手段】電気機器の筐体に収容された回路基板に対して電源コードを接続するための電源接続端子10であって、回路基板に接続されるベース12と、このベース12に挿通された電源コードに圧着されることにより、この電源コードの被覆を破ってコード芯線に至る接合部と、このベース12に対して移動されることにより、接合部と電源コードとの少なくとも一方を他方に対して圧着させる移動プレート14と、この移動プレート14を移動させる操作ネジ15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の筐体に収容された回路基板に対して電源コードを接続するための電源接続端子等に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電気機器に対して電力を供給する構造としては、一般的に、電気機器に内蔵した電池を用いて電力供給を行う電池式と、電気機器に電源コード(ACコード)を接続して電力供給を行う有線供給式とがある。特に、消費電力が大きい電気機器に対しては、長時間に渡って安定的に電力を供給するため、有線供給式が採用されることが多い。
【0003】
例えば、監視領域で発生した各種の異常を検出して警報を発する警報器のうち、特にガス漏れ検出機能を有するガス漏れ警報器や、ガス漏れ検出機能と火災検出機能を複合的に有する火災ガス漏れ警報器においては、ガス検出用の素子において消費される電力が比較的大きいことから、電源コードを用いて電力供給を行う有線供給式が採用されていた。
【0004】
ここで、このように電源コードを用いて電力供給を行う場合、電源コードの長さの調整に関する問題が発生し得る。すなわち、警報器からコンセントに至るまでの長さは当該警報器の設置場所に応じて様々に異なるため、作業員が、設置場所において、電源コードの長さを設置場所に応じた長さに調整する必要が生じる。
【0005】
このように電源コードの長さを調整する方法として、最も単純な方法は、電源コードの両端のいずれか一方を適切な長さに切断し、この切断端部における被覆を剥いてコード芯線を露出させ、このコード芯線を警報器又はコンセントタップの内部の電源接続端子に接続する方法である。ここで、従来の電源接続端子は、2枚のプレートを1本のネジにて締結して構成されており、これら2枚のプレートの間にコード芯線を差し込んで、ネジを締めることで、これら2枚のプレートの間にコード芯線を挟持するように構成されていた。
【0006】
また、電源コードの長さを調整する他の方法として、警報器の裏面に電源コードを巻取る方法があった。具体的には、警報器の裏面に肉厚状のコード巻取り部を設け、このコード巻取り部に、余分な電源コードを1回から複数回だけ巻取り可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平8−190683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電源コードを切断する方法では、電源コードを任意の長さに完全に調整できる反面、様々な問題を要していた。すなわち、被覆を剥いてコード芯線を露出させなければならなかったので、専用の器具を用いる必要があったり、被覆と共にコード芯線まで誤って切断してしまうといった問題があった。あるいは、露出させたコード芯線を電源接続端子に差し込む際には、コード芯線が纏めるために当該コード芯線を手で捩らなければならない等、手間を要していた。
【0009】
また、電源コードをコード巻取り部に巻取る方法においては、警報器の裏面に肉厚状のコード巻取り部を設ける必要があったので、部材が増える分だけ警報器の製造コストが上昇していた。また、警報器が厚くなるので、警報器を小型化したいという近年の要望に反すると共に、意匠性を低下させるという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、警報器やその他の任意の電気機器の電源コードの長さを、コード巻取り部を用いることなく、簡易かつ確実に調整可能とするための電源接続端子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の電源接続端子は、電気機器の筐体に収容された回路基板に対して電源コードを接続するための電源接続端子であって、前記回路基板に接続されるベースと、前記ベースに挿通された前記電源コードに圧着されることにより、前記電源コードの被覆を破ってコード芯線に至る接合手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の電源接続端子は、請求項1に記載の電源接続端子において、前記ベースに対して移動されることにより、前記接合手段と前記電源コードとの少なくとも一方を他方に対して圧着させる移動手段と、前記移動手段を移動させる操作手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の電源接続端子は、請求項1又は2に記載の電源接続端子において、前記ベースには、前記回路基板に対して接続される端子を設け、この端子を非直線形状に形成したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の電源接続端子は、請求項1から3のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースには、前記回路基板に対して接続される複数の端子を設け、これら複数の端部の少なくとも一部の形状を、他の端部と異なる形状としたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の電源接続端子は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースには、前記筐体に対して係合することにより、当該ベースの動揺を防止するためのベース側動揺防止手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の電源接続端子は、請求項1から5のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースには、前記電源コードを挿通するための開口部を設け、前記開口部の内縁に、前記接合手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の電源接続端子は、請求項1から6のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースにおける前記接合手段に対応する位置に、接合受け手段を設け、これら接合手段と接合受け手段との間に前記電源コードを圧着自在としたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の電源接続端子は、請求項2から7のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記移動手段は、前記ベースに挿通された前記電源コードに対して、前記接合手段を上下動させるネジ又はバネを備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の電源接続端子は、請求項2から8のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記移動手段を、前記電源コードの挿通方向における前記ベースの中央位置よりも後方側に配置したことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の電源接続端子は、請求項2から9のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記移動手段には、前記筐体又は前記ベースに係合することにより、当該移動手段の動揺を防止するための移動手段側動揺防止手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に記載の電源接続端子は、請求項2から10のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースの上端近傍位置には、前記電源コードを挿通するための開口部を設け、前記操作手段は、前記移動手段を前記開口部の近傍に向けて移動させることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に記載の電源接続端子は、請求項2から11のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記移動手段を、反転バネとして形成し、この反転バネの反転部分に前記接合部を配置したことを特徴とする。
【0023】
また、請求項13に記載の電源接続端子は、請求項2から12のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記移動手段の移動を規制するための移動規制手段を設けたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項14に記載の電源接続端子は、請求項1から13のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースに挿通された前記電源コードに対して、当該電源コードの挿通方向と逆方向に所定圧力を加える抵抗付加手段を備えることを特徴とする。
【0025】
また、請求項15に記載の電源接続端子は、請求項1から14のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースには第1の突起を設けると共に、前記移動手段には第2の突起を設け、これら第1の突起と第2の突起とを相互に係合自在としたことを特徴とする。
【0026】
また、請求項16に記載の電源接続端子は、請求項1から15のいずれか一項に記載の電源接続端子において、前記ベースに挿通された前記電源コードに圧着されることにより、前記電源コードを切断する切断手段を設けたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項17に記載の電源コードの調整ガイドは、電気機器の筐体外部に設けられ、当該筐体に挿通される電源コードの長さを調整するためのガイドであって、当該筐体の内部に収容される電源コードと略同等の長さを表示するガイド手段を備えることを特徴とする。
【0028】
また、請求項18に記載の電源コードの係止構造は、電気機器の筐体内部に設けられ、当該筐体に挿通される電源コードを係止するための構造であって、複数の柱状のストッパーを、前記電源コードの挿通方向に略沿って直列的に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る電源接続端子によれば、電源コードを任意の長さに切断して、電源接続端子に挿通させ、操作ネジを廻すだけで、電源コードの接続を行うことができるので、電源コードのコード芯線を剥くような手間を省略できて、接続作業を容易に行うことができる。また、電源コードの巻取り部が不要になるので、警報器を薄厚に形成することができる。
【0030】
また、本発明に係る電源コードの調整ガイドによれば、ガイド手段に電源コードを沿えるだけで、筐体の内部に収容すべき電源コードの長さを把握することができ、この長さだけ残して電源コードを切断する等、電源コードの長さ調整を容易に行うことができる。
【0031】
また、本発明に係る電源コードの係止構造によれば、ストッパーに電源コードを巻き止めることができるので、電源コードが何らかの原因によって引っ張り荷重を受けた場合においても、この荷重がストッパーによって支持され、電源コードが一層確実に巻き止められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電源接続端子等の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔 I 〕本発明の基本的概念を説明した後、〔II〕本発明の各実施の形態について説明し、〔III〕最後に、本発明の各実施の形態に対する変形例について説明する。
【0033】
〔 I 〕本発明の基本的概念
まず、本発明の基本的概念について説明する。本発明は、電気機器に設けられ、この電気機器に対して電源コードを接続するための電源接続端子に関するものである。ここで、電気機器の具体的内容は任意であるが、以下では、監視領域における火災発生及びガス漏れを検出する火災ガス漏れ警報器(以下、単に警報器と称する)を例にとって説明する。
【0034】
この電源接続端子の基本的特徴は、電源コードの端部を電源接続端子に挿通させた後、電源接続端子の一部を移動させることで、この移動部分やその周辺に設けられた針状の部分を電源コードに圧着させ、この針状の部分が電源コードの被覆を破ってコード芯線に到達することにある。このことにより、コード芯線が、電源接続端子を介して、当該電源接続端子に接続された回路基板に間接的に接続され、電源コードを警報器に接続することができる。
【0035】
この構造において、接続時の具体的作業としては、電源コードを任意の長さに切断し、この電源コードの端部を電源接続端子に挿通させ、電源接続端子の一部を移動させるだけである。従って、電源コードの端部の被覆を剥いたりする作業が不要であるため、電源コードの接続が容易になる。また、電源コードを任意の長さに切断できるので、コード巻取り部が不要になり、警報器を薄厚化することができる。
【0036】
このような構成において、電源接続端子には、(1)接続の安定化、(2)移動部分の移動性、(3)作業の正確性や安定性等を含む、様々な特性を向上させるための種々の工夫が施されている。これらの詳細は、以下の各実施の形態で詳細に説明する。
【0037】
また、電源コードの長さ決定を容易化するため、電源コードの長さを測るための調節ガイドが設けられている。この調節ガイドの詳細については後述する。
【0038】
また、電源接続端子に電源コードを接続した状態において、電源コードが不用意に抜け落ちるようなことを防止するため、電源コードに引っ張り荷重が加えられたような場合にも、この荷重が電源コードと電源接続端子との接合部に直接加わらないように、電源コードの巻き止め部が設けられている。この巻き止め部の詳細については、以下の各実施の形態で説明する。
【0039】
〔II〕本発明の各実施の形態
以下、本発明に係る電源接続端子の各実施の形態について説明する。
【0040】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。最初に警報器の構成について説明するが、特に説明なき構成については、公知の構成を採用することができる。図1は、警報器の正面図、図2は、警報器の背面図、図3は、警報器の取り付け状態における側面図である。これら各図に示すように、本実施の形態1の警報器1は、筐体2、煙流入口3、ガス流入口4、及び、係止部5を備えて構成されている。なお、以下の説明では、警報器1に関する各方向を図2、3のX、Y、Zのように定義し、必要に応じて、X方向を横方向又は左右方向、Y方向を挿入方向又は前後方向、Z方向を高さ方向又は上下方向と称する。
【0041】
このうち、筐体2は、警報器1の基本構造体であり、表カバー6と裏カバー7とを相互に組み合わせて略方形状に構成されている。また、煙流入口3は、煙を警報器1の内部に導入するものであり、このように導入された煙の濃度を公知の方法にて測定することにより、火災発生の有無を検出することができる。また、ガス流入口4は、ガスを警報器1の内部に導入するものであり、このように導入されたガスのうち、メタンが公知の方法にて測定することで、ガス漏れの有無を検出し、一酸化炭素を公知の方法にて測定することで、不完全燃焼の有無を検出することができる。また、係止部5は、筐体2を監視領域に取付けるための固定手段であり、図2、3に例示するように、裏カバー7の上部に設けられている。
【0042】
ここで、図2、3に示すように、裏カバー7には、本体部7aと、この本体部7aの下方に位置する着脱部7bとが設けられており、着脱部7bは本体部7aに対して着脱自在とされている。この着脱部7bによって覆われる警報器1の裏面側下方には、接続空間部8が形成されており、この接続空間部8に電源接続端子10及び巻き止め部20が設けられている。そして、この接続空間部8の内部には、商用電源等に接続された2線式の電源コード9の一部が引き込まれており、この電源コード9の一部は、巻き止め部20によって巻き止められている。また、この電源コード9の各線の端部は、それぞれ電源接続端子10に接続されている。ここで、電源接続端子10は、図3に示すように、回路基板11に接続されており、すなわち、電源コード9は、電源接続端子10を介して回路基板11に接続されている。
【0043】
また、図2に示すように、裏カバー7には、調節ガイド7c、7dが描かれており、調節ガイド7c、7dの両端近傍位置には調節目印7e、7fが描かれている。これら調節ガイド7c、7d及び調節ガイド7c、7dは、電源コード9を適切な長さに切断するためのもので、特許請求の範囲におけるガイド手段に対応する。この調節目印7e、7fの間隔は、接続空間部8に引き込まれて電源接続端子10に至る電源コード9の最適な長さと略等しくなるように決定されている。従って、電源コード9の一端を商用電源に接続した後、この電源コード9の他端を警報器1に接続する際、この電源コード9の他端を調節ガイド7c、7dに沿わせ、調節目印7e、7fの間隔分だけ残して、残りを切断することで、電源コード9を警報器1に接続するための最適な長さに容易に調整することができる。なお、このようなガイド手段は、裏カバー7以外の任意の位置に設けることもでき、例えば、筐体2の側面に設けても良い。
【0044】
次に、実施の形態1に係る電源接続端子10について詳細に説明する。図4は、電源接続端子の斜視図、図5は、電源接続端子の図4とは異なる方向からの斜視図、図6は、電源接続端子の分解斜視図である。これら各図に示すように、電源接続端子10は、ベース12、接合部13、移動プレート14、及び、操作ネジ15を備えて構成されている。これら電源接続端子10の各部は、特記する場合を除いて、導電性を有する任意の部材、例えば、軽金属にて形成されており、これによって電源コード9からの供給された電力を回路基板11に伝達する。
【0045】
このうち、ベース12は、電源接続端子10の構造体を構成すると共に、回路基板11に対する接続体を構成するもので、特許請求の範囲におけるベースに対応する。このベース12の具体的形状は任意であるが、本実施の形態においてベース12は、側面形状が略下向きコ字状になるように形成されている。このベース12の一側面には、電源コード9の端部を挿通させるための開口部12aが形成されている。また、ベース12の下端には、4つの端子12bが形成されており、これら端子12bを、図示しない回路基板11の孔部に差込み、ハンダ等の公知の接続方法で回路基板11に電気的に接続することで、電源接続端子10を回路基板11に接続することができる。
【0046】
また、接合部13は、ベース12に挿通された電源コード9に圧着されることにより、電源コード9の被覆9aを破ってコード芯線9bに至るもので、特許請求の範囲における接合手段に対応する。この接合部13の具体的形状は任意であるが、本実施の形態において接合部13は、上方に向いた鋭角な針状体として構成されている。
【0047】
また、移動プレート14は、ベース12に対して移動されることにより、接合部13と電源コード9との少なくとも一方を他方に対して圧着させるものであり、特許請求の範囲における移動手段に対応する。この移動プレート14は、略平板状に形成されている。この移動プレート14の前端部に、上述した接合部13が一体に形成されており、これによって移動プレート14及び接合部13の側面形状は、全体として略上向きL字状になっている。
【0048】
また、操作ネジ15は、移動プレート14を移動させるもので、特許請求の範囲における操作手段に対応する。本実施の形態において、操作ネジ15は、図6に示すように、スプリングワッシャ15a及び平ワッシャ15bを挿通し、ベース12の孔部12eを貫通して、移動プレート14のネジ孔14cに螺合する。そして、操作ネジ15が廻されると、移動プレート14が上方に移動される。
【0049】
このような構成において、電源コード9の接続は下記のように行われる。図7は、接続前の状態における電源接続端子の縦断面図、図8は、接続前の状態における電源接続端子の正面図、図9は、接続後の状態における電源接続端子の縦断面図、図10は、接続後の状態における電源接続端子の正面図、図11は、接続前の状態における電源接続端子の斜視図、図12は、接続中の状態における電源接続端子の斜視図、図13は、接続後の状態における電源接続端子の斜視図である。
【0050】
図7、8、11に示すように、接続前の初期状態においては、移動プレート14が操作ネジ15の下端近傍に位置しており、これによって移動プレート14とベース12の上面との間にスペースが形成されている。このような状態において、図12に示す斜視図のように、任意の長さに切断された電源コード9の端部をベース12の開口部12aから挿通する。
【0051】
そして、操作ネジ15を所定方向にドライバー等にて廻すことで、この操作ネジ15に対して移動プレート14が上方に移動し、接合部13によって電源コード9が圧着される。より具体的には、図14の接続状態の接合部周辺の縦断面図に示すように、接合部13が、電源コード9の被覆9aを破ってコード芯線9bに至る状態になる。これにより、電源コード9の接続が完了する。
【0052】
ここで、電源接続端子10には、電源コード9の接合性を向上させるための種々の工夫が施されている。以下、この接合性向上に関する点について説明する。
【0053】
まず、図7〜10に示すように、これら移動プレート14及びベース12との間において電源コード9が圧着される。ここで、移動プレート14は操作ネジ15によって支持されており、さらに操作ネジ15はベース12の上面によって支持されている。従って、操作ネジ15を廻して電源コード9を圧着すると、この圧着力は、移動プレート14、電源コード9、及び、ベース12の上面の内部で伝達され、ベース12の下方へ伝達されることが防止される。このため、操作ネジ15を廻し過ぎたような場合においても、この締結力が電源接続端子10の内部のみで伝達され、電源接続端子10から回路基板11に向けて伝達されないため、電源接続端子10の端子12bが回路基板11から外れてしまうことや、回路基板11を変形等させることが防止される。ひいては、操作ネジ15を廻す作業に過大な注意力を払う必要がなくなり、作業を一層容易に行うことができる。
【0054】
また、図6に示すように、接合部13は、中央の接合歯部13aと、その両側の一対の接合支持部13bとを備えて構成されている。このうち、接合歯部13aは、電源コード9の被覆9aを破ってコード芯線9bに至るものである。また、一対の接合支持部13bは、電源コード9をその中央の接合歯部13aに向けてガイドすると共に、接合歯部13aの必要以上の移動を規制するものである。ここで、接合歯部13aは、その上面が接合支持部13bの上面よりも若干低くなるように形成されている。また、これら接合歯部13a及び接合支持部13bの高さは、接合部13にて電源コード9を圧着し、接合歯部13aがコード芯線9bに至る状態になった時点で、かつ、接合歯部13aによってコード芯線9bに必要以上のダメージが与えられていない状態において、接合支持部13bがベース12の上片内面に当接し、接合歯部13aのそれ以上の上方への移動が規制されるように決定されている。従って、接合歯部13aによって電源コード9を過度に圧着することがなくなり、電源コード9に不要なダメージを与えることがないので、接合性が向上する。
【0055】
また、図8に示すように、一対の接合支持部13b(図8には接合部13のみの符号を示す)の高さHと、ベース12の開口部12aの幅Wとは、高さH<幅Wとなるように決定されており、これによって、これら一対の接合支持部13bと開口部12aとに囲まれた空間部は横長の扁平状(非正方形状)に形成されている。また、接合支持部13bの高さHは、接合支持部13bの高さH<非圧着時の電源コード9の径Dとなるように決定されている。従って、電源コード9の端部を開口部12aに挿入して操作ネジ15を廻すことにより、電源コード9が上下から押されて、横方向に広がる。このように電源コード9を扁平形状に変形させることで、電源コード9に対して接合部13を確実に圧着させ、接合部13をコード芯線9bに確実に到達させることができる。
【0056】
また、操作ネジ15は、電源コード9の挿通方向において、ベース12の中央位置よりも後方側に配置されている。具体的には、図7において、ベース12の前面から操作ネジ15に至る距離をL1、操作ネジ15からベース12の後面に至る距離をL2とすると、L1>L2となるように、操作ネジ15の位置が決定されている。従って、ベース12の開口部12aに電源コード9の端部を挿通させた際、この電源コード9の端部が操作ネジ15に当たるまでの距離を長く確保することができ、電源コード9を一層確実にベース12に挿通することができて、接合性が向上する。また、作業者にとっては、電源コード9を挿通した感触をより感じることができるので、作業が一層容易になる。なお、電源接続端子10の全体寸法を十分に大きくできる場合で、電源コード9の挿通距離を十分確保できる場合には、操作ネジ15をベース12の中央位置や前方側の位置に配置しても良い。
【0057】
また、電源接続端子10には、電源コード9の接続の作業性を向上させるための種々の工夫が施されている。以下、この作業性向上に関する点について説明する。
【0058】
まず、図7、9に示すように、ベース12の開口部12aは、ベース12の上面近傍に配置されている。従って、図2、3に示すように、電源接続端子10を筐体2の内部に配置した状態において、ベース12の開口部12aが警報器1の裏面外部寄りに位置し、開口部12aが作業者にとって比較的アクセスし易い位置にくるので、電源コード9を一層容易に挿通させることができる。
【0059】
また、図7、9に示すように、移動プレート14及び接合部13は、操作ネジ15を廻すことによって図示上方に移動し、ベース12の上端に設けた開口部12aの近傍位置で、接合部13が電源コード9を圧着する。従って、図2、3に示すように、電源接続端子10を筐体2の内部に配置した状態において操作ネジ15を廻すと、移動プレート14及び接合部13が作業者にとって見易い位置に移動してくることになり、さらに電源コード9の圧着状態を開口部12aを介して目視できるため、作業性が一層向上する。
【0060】
また、図6に示すように、ベース12の上面には一対の切欠き部12cが設けられている。また、移動プレート14における上記切欠き部12cに対応する位置には切欠き部14aが設けられている。これら切欠き部12c、14aには、図11に示すように、筐体2に形成されたリブ2aが係合する(図11においては、電源接続端子10の一側方にのみリブ2aを図示しているが、実際には両側方にリブ2aが係合する)。従って、操作ネジ15が廻された場合に、移動プレート14やベース12の動揺がこのリブ2aによって規制され、移動プレート14やベース12が安定するので、操作ネジ15をスムーズに廻して接続を行うことができる。すなわち、これら切欠き部12c、14aは、ベース12の動揺を防止するためのもので、特許請求の範囲におけるベース側動揺防止手段に対応する。
【0061】
また、図5、6に示すように、ベース12には第2の開口部12dが形成されており、この開口部12dには、移動プレート14の後方側の端部が上下動自在に収容されている。さらに、移動プレート14の後方側の端部の近傍位置には、切欠き部14bが形成されており、この切欠き部14bには、ベース12の一部が係合する。そして、この係合状態を維持したまま、移動プレート14が移動することにより、移動プレート14の動揺が規制され、移動プレート14が安定するので、操作ネジ15をスムーズに廻して接続を行うことができる。すなわち、切欠き部14bは、移動プレート14の動揺を防止するためのもので、特許請求の範囲における移動手段側動揺防止手段に対応する。
【0062】
次に、巻き止め部20について説明する。図15には、巻き止め部20周辺の斜視図を示す。これら図2、15に示すように、巻き止め部20は、2つのストッパー21を挿入方向に沿って略直列的に配置することによって構成されている。各ストッパー21は、略角柱状に形成されている。このような構成において、図2に示すように、接続空間部に引き込まれた電源コード9が、ストッパー21の間に挿通されると共に、一方のストッパー21の周囲に略一周だけ巻き付けられている。
【0063】
このため、電源コード9が何らかの原因によって図2の下方側の荷重を受けた場合においても、この荷重がストッパー21によって支持され、電源接続端子10にまで伝達されないので、この電源接続端子10から電源コード9が抜けることを防止できる。特に、図15に示すように、各ストッパー21の上端部21aが幅広状に形成されているので、この上端部21aによって、電源コード9がストッパー21から外れることが防止され、電源コード9が一層確実に巻き止められる。
【0064】
このように実施の形態1によれば、電源コード9を任意の長さに切断して、電源接続端子10に挿通させ、操作ネジ15を廻すだけで、電源コード9の接続を行うことができるので、電源コード9のコード芯線9bを剥くような手間を省略できて、接続作業を容易に行うことができ、また、電源コード9の巻取り部が不要になるので、警報器1を薄厚に形成することができる。また、操作ネジ15による圧着力が、移動プレート14、電源コード9、及び、ベース12の上面の内部で伝達され、ベース12の下方へ伝達されることが防止されるので、回路基板11を変形等させることを防止できると共に、作業を一層容易に行うことができる。また、ベース12の開口部12aを扁平状に形成することで、電源コード9を扁平形状に変形させ、接合部13をコード芯線9bに確実に到達させることができる。また、接合部13の全高を、電源コード9の径Dと略同等に形成したので、接合部13によって電源コード9を過度に圧着することがなくなり、接合性が向上する。また、操作ネジ15を、電源コード9の挿通方向において、ベース12の中央位置よりも後方側に配置したので、電源コード9を一層確実にベース12に挿通することができて、接合性が向上する。また、ベース12の開口部12aを、当該ベース12の上面近傍に配置したので、開口部12aが警報器1の裏面外部寄りに位置し、電源コード9を一層容易に挿通させることができる。また、移動プレート14及び接合部13は、操作ネジ15を廻すことによって図示上方に移動するので、移動プレート14及び接合部13が作業者にとって見易い位置に移動してくることになり、作業性が一層向上する。また、ベース12の切欠き部12cや、移動プレート14の切欠き部14a及び切欠き部14bによって、移動プレート14やベース12の動揺がこのリブ2aによって規制され、操作ネジ15をスムーズに廻して接続を行うことができる。さらに、巻き止め部20を設けたので、電源コード9が何らかの原因によって下方側の荷重を受けた場合においても、この荷重がストッパー21によって支持され、電源コード9が一層確実に巻き止められる。
【0065】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1に対して、移動プレートの端部と連係するベースの切欠き部を開放状にした点において、切欠き部を非開放状としている実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の名称又は符号を付する。
【0066】
図16は、電源接続端子の斜視図、図17は、電源接続端子の縦断面図、図18は、電源接続端子の分解斜視図である。これら各図に示すように、電源接続端子30は、ベース31、接合部13、移動プレート32、及び、操作ネジ15を備えて構成されている。ここで、図18に示すように、ベース31の後方の側面には、下方を開放した切欠き部31bが形成されている。一方、移動プレート32の後方側の端部は、この切欠き部31bと略同幅に形成され、この切欠き部31bの内部に摺動自在に配置される。このような構成において、操作ネジ15を廻すことによって移動プレート32を移動させると、これに伴って移動プレート32の後方側の端部が切欠き部31bの内部において摺動し、移動プレート32の動揺を規制して、作業性を向上させる。
【0067】
このように実施の形態2においては、実施の形態1と同様の効果に加えて、ベース31の切欠き部31bが方を開放するように形成されているので、ベース31の型成形が一層容易になると共に、ベース31に対する移動プレート32の組立てが一層容易になる。
【0068】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、接合部をベースに固定した点において、接合部を移動プレートに固定した実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0069】
図19は、電源接続端子の斜視図、図20は、電源接続端子の縦断面図、図21は、電源接続端子の分解斜視図である。これら各図に示すように、電源接続端子40は、ベース41、接合部42、移動プレート43、及び、操作ネジ15を備えて構成されている。ここで、ベースに41の前面には、実施の形態1の開口部12aよりも広幅の開口部41aが形成されており、この開口部41aの内縁に接合部42が一体に形成されている。この接合部42は、ベース41の内部下方に向かう鋭角状体として形成されている。一方、移動プレート43は、略平板状に形成されている。
【0070】
このような構造において、操作ネジ15を廻すことによって移動プレート43を上方に移動させると、この移動プレート43によって電源コード9の端部が上方に移動し、接合部42が電源コード9に上方から圧着する。このように、接合部42は、移動プレート43ではなくベース41に形成することもでき、また上方ではなく下方に向けて形成しても良い。
【0071】
このように実施の形態3によれば、接合部42をベース41に下向きに形成したことにより、実施の形態1と同様の効果を異なる構成で得ることができる。
【0072】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、ベースの下方に設けた複数の端子を屈曲状に形成すると共に、これら複数の端子の一部を他の端子とは異なる太さにした点において、複数の端子が直線状かつ相互に略同一の太さで形成されている実施の形態1とは異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0073】
図22は、電源接続端子の斜視図、図23は、電源接続端子の側面図、図24は、電源接続端子を基板と共に示す縦断面図である。これら各図に示すように、電源接続端子50は、ベース51、接合部14、移動プレート14、及び、操作ネジ15を備えて構成されている。
【0074】
ここで、ベース51の下方には複数の端子51a〜51dが形成されており、図22に示すように、これら各端子51a〜51dの下端部は、基部に対して屈曲状とされている。より具体的には、各端子51a〜51dの下端部は、基部に対して所定方向(図23、24の左側)に曲がっており、図23に示すように、基部に対して角度αを形成している。このように端子51a〜51dを屈曲状に形成することにより、図24に示すように、電源接続端子50を作業者から見て手前側(図24の左側)から回路基板11に載置する際、この電源接続端子50の上部を手前側に若干傾けた状態であっても、各端子51a〜51dの下端部が回路基板11に対して略直交するため、この下端部を回路基板11に設けた図示しない孔部に容易に差し込むことができる。従って、電源接続端子50を手前側から回路基板11に容易に接続させることができ、作業性が向上する。
【0075】
そして、上記のように端子51a〜51dの下端部を回路基板11に差し込んだ後、さらに電源接続端子50を回路基板11に押し付けることで、端子51a〜51dの基部が回路基板11に略直交する状態にすることができ、この状態において端子51a〜51dと回路基板11とを接合することができる。ただし、端子51a〜51dと回路基板11との接合強度が十分確保できる限りにおいては、図24のように端子51a〜51dの下端部のみを回路基板11の孔部に差し込んだ状態で、両者を接合しても良い。さらに、電源接続端子50が回路基板11に接合された状態において、開口部52aが斜め上方に向くことから、電源コード9を開口部52aに一層容易に挿通させることができる。
【0076】
なお、端子51a〜51dを屈曲させる角度αの具体的な数値は任意であり、電源接続端子50の載置のし易さや加工コスト等を考慮して決定することができる。また、端子51a〜51dの屈曲が開始する位置(図23におけるP1及びP2)についても任意に決定することができる。なお、本実施の形態4においては、端子51a〜51dの下端部を「屈曲状」としているが、基部から下端部に至るにつれて徐々に角度が変るように曲線状に湾曲させても良く、この場合には、端子51a〜51dの下端部を孔部に差し込んだ後、さらに電源接続端子50を回路基板11に押し付ける作業を一層スムーズに行うことができる。すなわち、端子51a〜51dを少なくとも「非直線状」とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、本実施の形態4においては、図22に示すように、端子51a〜51dのうち、端子51aの外径を、端子51b〜51dの外径よりも太くしている。また、これに対応して、回路基板11においては、端子51a〜51dを差し込む図示しない孔部のうち、端子51aを差し込む孔部の内径を、他の孔部の内径よりも広くしている。従って、作業者が端子51a〜51dを回路基板11の孔部に差し込む際、端子51aを所定の孔部以外に差し込むことが防止され、結果として、端子51a〜51dを回路基板11に対する所定位置に確実に配置することができる。なお、この他にも、例えば、端子51aの横断面形状を丸形状にする一方で、他の端子51b〜51dの横断面形状を角形状にする等、断面形状を変えても良い。また、1つの端子51aのみでなく、複数の端子を相互に異なる形状にしても良い。すなわち、端子51a〜51dの一部を少なくとも「異なる形状」とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0078】
このように実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、各端子51a〜51dを屈曲状としたので、各端子51a〜51dを回路基板11に設けた図示しない孔部に容易に差し込むことができ、作業性が向上する。また、端子51a〜51dの一部のみ太くしたので、端子51a〜51dを回路基板11に対する所定位置に確実に配置することができる。また、電源接続端子50の開口部52aが斜め上に向くことから、電源コード9を一層容易に開口部52aに挿通させることができる。
【0079】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、移動プレートの下方にガイドを設けた点において、このようなガイドのない実施の形態3とは異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態3と同様であり、実施の形態3と略同一の構成の一部については、実施の形態3の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0080】
図25は、電源接続端子の斜視図である。この図25に示すように、電源接続端子60は、ベース41、接合部42、移動プレート43、操作ネジ15、及び、移動ガイド61を備えて構成されている。この移動ガイド61は、特許請求の範囲における移動規制手段に対応するもので、略上向きコ字状に形成されており、ベース41の上面から下方に延出している。そして、この移動ガイド61の内部に、移動プレート43が配置されている。ここで、移動ガイド61の下部の高さは、操作ネジ15の下端に移動プレート43が配置された状態における当該移動プレート43の高さに略対応するように決定されている。
【0081】
このような構成において、接合された電源コード9を何らかの事情によって取り外すような場合等において、作業者が、移動プレート43を下方に移動させる方向に操作ネジ15を操作した場合、操作ネジ15の下端に移動プレート43が移動した時点で、この移動プレート43のそれ以上の下方への移動が移動ガイド61によって規制される。従って、移動プレート61が操作ネジ15から脱落することを防止することができるので、操作ネジ15の操作に過大な注意力を払う必要がなくなり、操作性が向上する。
【0082】
このように実施の形態5によれば、実施の形態3と同様の効果に加えて、移動ガイド61を設けたので、移動プレート61が操作ネジ15から脱落することを防止することができ、操作性が向上する。
【0083】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、移動プレートを下方に移動させる点や接合部を上向きに配置した点等において、移動プレートを上方に移動させると共に接合部を下向きに配置している実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0084】
図26は、電源接続端子の斜視図、図27は、電源接続端子の縦断面図である。これら各図に示すように、電源接続端子70は、ベース71、接合部72、移動プレート73、スプリング74、及び、操作ネジ15を備えて構成されている。
【0085】
このうち、ベース71の前後の両側面には、開口部71aが形成されている。そして、この開口部71aの下方内縁に接合部72が一体形成されている。ここで、接合部72は、図示のように、上方に向いた鋭角状体として形成されている。一方、移動プレート73は、図27に示すように、上部プレート73a及び下部プレート73bを備え、全体として略コ字状に形成されている。この移動プレート73の下部プレート73bは、ベース71の開口部71aに挿通されている。また、移動プレート73の上部プレート73aは、ベース71の上方に延出しており、この上部プレート73とベース71との間にはスプリング74が介装されている。そして、このスプリング74によって、上部プレート73aが上方に常時押圧されている。また、操作ネジ15は、上部プレート73の図示しない孔部及びスプリング74を順次貫通し、ベース71に設けられた図示しないネジ孔に螺合する。なお、これら操作ネジ15及びスプリング74は、協働して移動プレート73を移動させるものであり、特許請求の範囲における操作手段に対応する。
【0086】
このような構成において、前方側の開口部71aに電源コード9の端部を挿通させた後、操作ネジ15を廻すことで、スプリング74の押圧力に抗して移動プレート73を下方に移動させる。そして、この移動プレート73によって電源コード9が接合部72に圧着され、接合が行われる。このように、移動プレート73は、上方ではなく下方に移動させても良い。
【0087】
このように実施の形態6によれば、実施の形態1と略同様の効果に加えて、移動プレート73がコ字状に形成されて、その上部プレート73a及び下部プレート73bの両方を操作ネジ15が貫通しているので、移動プレート73が上下の2点で支持されて安定的に移動されると共に、移動プレート73が操作ネジ15から脱落することを防止できる。
【0088】
〔実施の形態7〕
次に、実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、操作手段として、スプリングを用いている一方で操作ネジを省略している点において、操作手段として操作ネジを用いている実施の形態1とは異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0089】
図28は、電源接続端子の斜視図、図29は、電源接続端子の側面図である。これら各図に示すように、電源接続端子80は、ベース81、接合部84、移動プレート85、スプリング86、及び、操作ロッド87を備えて構成されている。
【0090】
このうち、接合部84及び移動プレート85は相互に略一体に形成されており、全体として略上向きL字状に形成されている。ここで、ベース81の内部における接合部84と対応する位置には、接合受け部81bが形成されており、これら接合部84と接合受け部81bとの間に電源コード9を挟持することができる。また、移動プレート85とベース81の下部との間にはスプリング86が介装されており、このスプリング86によって移動プレート85が常時上方に押圧されつつ支持されている。また、操作ロッド87は、移動プレート85を移動させるものであり、特許請求の範囲における操作手段に対応する。この操作ロッド87は、ベース81の上部を貫通して移動プレート85に至る棒状体で、この移動プレート85に固定されている。
【0091】
このような構成において、操作ロッド87を押下げることで、移動プレート85がスプリング86の押圧力に抗して下方に押し下げられ、接合部84と接合受け部81bとの間隔が確保される。この状態を維持しつつ、電源コード9の端部を開口部81aを介して接合部84と接合受け部81bとの間に挿通させ、操作ロッド87の押下げを解除すると、移動プレート85がスプリング86の押圧力によって自動的に上方に移動し、これら接合部84と接合受け部81bとによって電源コード9が挟持される。
【0092】
このように実施の形態7によれば、実施の形態1と略同様の効果に加えて、操作ネジに代えて操作ロッド87を用いて移動プレート85の操作を行うようにしているので、ネジ回し等の道具が不要になり、操作ロッド87を押圧するだけで電源コード9の接続を行うことができる。
【0093】
〔実施の形態8〕
次に、実施の形態8について説明する。この実施の形態8は、接合部をベースに設けた点において、接合部を移動プレートと一体に設けた実施の形態7と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態7と同様であり、実施の形態7と略同一の構成の一部については、実施の形態7の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0094】
図30は、電源接続端子の斜視図、図31は、電源接続端子の側面図である。これら各図に示すように、電源接続端子90は、ベース91、接合部92、移動プレート93、スプリング86、及び、操作ロッド87を備えて構成されている。
【0095】
このうち、ベース91は、図示しない回路基板11に接続されるもので、その開口部91aの内縁には、接合部92が一体に形成されている。この接合部92は、下向きの鋭角状体として形成されている。また、移動プレート93は、ベース91の内部から、開口部91aを介して、ベース91の外部に若干突出するように配置されている。
【0096】
このような構成において、操作ロッド87を押下げることで、移動プレート93がスプリング86の押圧力に抗して下方に押し下げられ、移動プレート93と接合部92との間隔が確保される。この状態を維持しつつ、電源コード9の端部を、開口部91aを介して移動プレート93と接合部92との間に挿通させる。そして、操作ロッド87の押下げを解除すると、移動プレート93がスプリング86の押圧力によって自動的に上方に移動し、これら移動プレート93と接合部92とによって電源コード9が挟持される。
【0097】
このように実施の形態8によれば、実施の形態7と略同様の効果に加えて、操作ネジに代えて操作ロッド87を用いて移動プレート93の操作を行うようにしているので、ネジ回し等の道具が不要になり、操作ロッド87を押圧するだけで電源コード9の接続を行うことができる。
【0098】
〔実施の形態9〕
次に、実施の形態9について説明する。この実施の形態9は、電源コード9を挿入した際の挿入感を高めるための抵抗付加手段を設けた点において、抵抗付加手段が設けられていない実施の形態8と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態8と同様であり、実施の形態8と略同一の構成の一部については、実施の形態8の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0099】
図32は、接続前の状態における電源接続端子の側面図、図33は、接続後の状態における電源接続端子の側面図である。これら各図に示すように、電源接続端子100は、ベース91、接合部92、移動プレート93、スプリング86、操作ロッド87、及び、クリック部88を備えて構成されている。
【0100】
このうち、クリック部88は、電源コード9を挿入した際の挿入感を作業者に与えるためのもので、特許請求の範囲における抵抗付加手段に対応する。具体的には、クリック部88は、ベースの91の上面に接続された被押圧体91aと、移動プレート93の上面に形成された突起93aとを備えて構成されている。このうち、被押圧体91aは、ベース91の上面に回転自在に軸支されており、電源コード9の先端によって押圧されることによって、操作ロッド87の方に向けて回転する。また、突起93aは、被押圧体91aが移動プレート93に対して略直交する図32の状態において、この被押圧体91aの先端に係止するような位置及び高さに形成されている。
【0101】
このような構成において、操作ロッド87を押下げることで、移動プレート93がスプリング86の押圧力に抗して下方に押し下げられ、移動プレート93と接合部92との間隔が確保される。この状態を維持しつつ、電源コード9の端部を開口部91aを介して移動プレート93と接合部92との間に挿通させると、この電源コード9の先端によって被押圧体91aが押圧される。この時、被押圧体91aの先端に突起93aが係止しているため、被押圧体91aの回転が規制され、電源コード9を介して作業者に圧力が伝達される。この圧力に抗して作業者がさらに電源コード9を押し込むと、被押圧体91aの先端が突起93aを乗り越えて回転し、図33の状態になる。この状態で、作業者が操作ロッド87の押下げを解除すると、移動プレート93がスプリング86の押圧力によって自動的に上方に移動し、これら移動プレート93と接合部92とによって電源コード9が挟持される。
【0102】
このように実施の形態9によれば、実施の形態8と同様の効果に加えて、クリック部88によって作業者に電源コード9の挿入感を与えることができ、作業性を向上させることができる。
【0103】
〔実施の形態10〕
次に、実施の形態10について説明する。この実施の形態10は、操作手段として反転バネを用いている点において、操作ネジを用いている実施の形態1とは異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0104】
図34は、接続前の状態における電源接続端子の斜視図、図35は、図34の電源接続端子の側面図、図36は、接続後の状態における電源接続端子の側面図である。これら各図に示すように、電源接続端子110は、ベース111、反転バネ112、及び、接合部113とを備えて構成されている。
【0105】
このうち、反転バネ112は、ベース111に対して移動されることにより、接合部113と電源コード9との少なくとも一方を他方に対して圧着させるものであり、特許請求の範囲における移動手段に対応する。また、この反転バネ112は、移動手段である当該反転バネ112自身を移動させるものであり、特許請求の範囲における操作手段に対応する。すなわち、反転バネ112は、移動手段と操作手段の機能を兼ねるものである。具体的には、反転バネ112は、略中空半球状の弾性体であり、ベース111の上面に一体に形成されている。この反転バネ112は、図34、35のように、ベース111の上面よりも上方に突出した状態を初期状態とし、上方から押圧されて反転することによって、図36のように、ベース111の上面よりも下方に突出した状態に反転する。
【0106】
また、接合部113は、反転バネ112の内面に一体に形成されており、下方に向かって突出する針状に形成されている。そして、接合部113は、反転バネ112が初期状態である場合には、その先端をベース111の上面から下方にあまり突出させることのない位置に配置されており、従って、接合部113の下方にスペースが形成されて、このスペースに電源コード9を挿通することができる。一方、接合部113は、反転バネ112が反転した状態において、その先端をベース111の上面から下方に突出させ、電源コード9を貫く位置に移動される。
【0107】
このような構成において、反転バネ112を初期状態とし、電源コード9を開口部111aから挿通した後、反転バネ112を上方から押圧して反転させることによって、接合部113を電源コード9に圧着させることができる。
【0108】
このように実施の形態10によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、移動手段及び操作手段を反転バネ112で兼用しているので、極めて簡易な構成で電源コード9の接続を行うことができる。
【0109】
〔実施の形態11〕
次に、実施の形態11について説明する。この実施の形態11は、移動プレートが弾性力を持った板バネとして構成されている点において、移動プレートが弾性力のない平板状に構成されている実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0110】
図37は、電源接続端子の斜視図である。この図37に示すように、電源接続端子120は、ベース121、接合部122、板バネ123、及び、操作ロッド124とを備えて構成されている。このうち、ベース121は、図示しない回路基板11に接続されるものである。このベース121には開口部121aが形成されており、この開口部121aの上縁に接合部122が一体に形成されている。
【0111】
また、板バネ123は、ベース121に対して移動されることにより、接合部122と電源コード9との少なくとも一方を他方に対して圧着させるもので、特許請求の範囲における移動手段に対応する。この板バネ123は、上部プレート123a及び下部プレート123bを一体に備えて構成されており、その上部プレート123aの端部を開口部121aの内部に延出している。そして、板バネ123は、上部プレート123aと下部プレート123bとが相互に乖離する方向の弾性力を有し、操作ロッド124からの押圧力がない初期状態においては、上部プレート123aの端部を接合部122に略押し付けている。また、操作ロッド124は、板バネ123を操作するためのもので、特許請求の範囲における操作手段に対応する。この操作ロッド124は、板バネ123の上部プレート123aに連係され、この上部プレート123aを下方に押圧可能とする。
【0112】
このような構成において、操作ロッド124を板バネ123の弾性力に抗して下方に押下げると、上部プレート123aが下方に移動し、この上部プレート123aと接合部122との間にスペースが生じる。そして、このスペースに電源コード9の端部を挿通し、操作ロッド124を開放することで板バネ123を開放すると、上部プレート123aが接合部122に押し付けられる方向に移動し、電源コード9が接合部122に圧着される。
【0113】
このように実施の形態11によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、操作ネジに代えて操作ロッド124を用いて板バネ123の操作を行うようにしているので、ネジ回し等の道具が不要になり、操作ロッド124を押圧するだけで電源コード9の接続を行うことができる。
【0114】
〔実施の形態12〕
次に、実施の形態12について説明する。この実施の形態12は、移動プレートがベースに軸支されると共に渦巻きバネによって弾性力を与えられている点において、移動プレートがベースとは分離して配置されていると共に弾性力のない平板状に構成されている実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0115】
図38は、電源接続端子の斜視図である。この図38に示すように、電源接続端子130は、ベース131、移動プレート132、接合部133、渦巻きバネ134、及び、操作ロッド135とを備えて構成されている。ベース131は、図示しない回路基板11に接続されるもので、平台状に形成されており、この上部に移動プレート132が配置されている。この移動プレート132は、ベース131に対して移動されることにより、接合部133と電源コード9との少なくとも一方を他方に対して圧着させるもので、特許請求の範囲における移動手段に対応する。この移動プレート132は、平板状に形成されており、その後方側の端部において、ベース131に回動可能に軸支されている。また、この移動プレート132の前方端部には、接合部133が一体に形成されている。
【0116】
また、移動プレート132とベース131との間に渦巻きバネ134が配置されている。この渦巻きバネ134は、移動プレート132をベース131に押付ける方向の弾性力を有し、操作ロッド135からの持ち上げ力を受けない初期状態においては、接合部133をベース131に略押し付けている。また、操作ロッド135は、移動プレート132を操作するためのもので、特許請求の範囲における操作手段に対応する。この操作ロッド135は、移動プレート132に連係され、この移動プレート132を上方に持ち上げ可能とする。
【0117】
このような構成において、操作ロッド135を渦巻きバネ134の弾性力に抗して上方に持ち上げると、移動プレート132が上方に移動し、接合部133とベース131との間にスペースが生じる。そして、このスペースに電源コード9の端部を挿通し、操作ロッド135を開放することで移動プレート132を開放すると、接合部133がベース131に押し付けられる方向に移動し、電源コード9が接合部133に圧着される。
【0118】
このように実施の形態12によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、操作ネジに代えて操作ロッド135を用いて移動プレート132の操作を行うようにしているので、ネジ回し等の道具が不要になり、操作ロッド135を押圧するだけで電源コード9の接続を行うことができる。
【0119】
〔実施の形態13〕
次に、実施の形態13について説明する。この実施の形態13は、移動プレートとベースとが相互に係合する係合構造を有する点において、このような係合構造を持たない実施の形態1と異なる。また、実施の形態13の接合部の断面形状は、実施の形態1と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0120】
図39は、接続前の状態における電源接続端子の斜視図、図40は、接続後の状態における電源接続端子の斜視図(ただし、電源コード9を省略して示す)である。これら各図に示すように、電源接続端子140は、ベース141、接合部142、及び、移動プレート143を備えて構成されている。
【0121】
このうち、ベース141は、図示しない回路基板11に接続されるもので、上部及び側方を開放した略中空方形状に形成されている。このベース141の前部側面の上縁には、移動プレート143と係合するための第1の突部141bが形成されている。また、移動プレート143は、接合部142と電源コード9との少なくとも一方を他方に対して圧着させるもので、特許請求の範囲における移動手段に対応する。また、移動プレート143は、移動手段である当該移動プレート143自身を操作するための操作手段としても機能する。すなわち、移動プレート143は、移動手段及び操作手段を兼ねるものである。この移動プレート143は、平板状に形成されており、その後方側の端部において、ベース141の後部側面に回動可能に軸支されている。また、この移動プレート143の前方端部には、ベース141と係合するための第2の突部143aが形成されている。この第2の突部143aは、第1の突部141bを係脱自在に係合する。
【0122】
移動プレート143の下面の前後の略中央位置には、接合部142が下向きの状態で一体に形成されている。この接合部142は、図40のように移動プレート143が下方に移動した状態において、ベース141の上面に近接する。
【0123】
このような構成において、第1の突部141bと第2の突部143aとの係合状態を解除した初期状態においては、接合部142がベース141の上方の離れた位置にあり、これら両者の間にスペースが形成される。そして、このスペース141に電源コード9の端部を挿通し、移動プレート143を下方に押し下げると、第1の突部141bと第2の突部143aとが相互に係合して、移動プレート143が固定される。また、この移動に伴って、接合部142がベース141に近接することから、この接合部142が電源コード9に圧着される。
【0124】
このように実施の形態13によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、移動プレート143が移動手段と操作手段を兼ねており、また第1の突部141bと第2の突部143aとの係合によって移動プレート143を固定できるので、移動プレート143自体を押すだけで操作を行うことができ、ネジ回し等の道具を用いることなく電源コード9を接続できる。
【0125】
〔実施の形態14〕
次に、実施の形態14について説明する。この実施の形態14は、図26に示した実施の形態6の構成に対して、一対の接合部の一方を、電源コードを切断するための切断手段として点において異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態6と同様であり、実施の形態6と略同一の構成の一部については、実施の形態6の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0126】
図41は、電源接続端子の斜視図、図42は、電源コードを挿通した状態における電源接続端子の斜視図である。これら各図に示すように、電源接続端子150は、ベース71、接合部72、移動プレート73、スプリング74(図示せず)、操作ネジ15、及び、切断部151を備えて構成されている。
【0127】
ベース71の前後の両側面に形成された開口部71aのうち、前方の開口部71aには、実施の形態6と同様に、接合部72が形成されている。一方、後方の開口部71aには、切断部151が形成されている。この切断部151は、電源コード9を切断するためのもので、特許請求の範囲における切断手段に対応する。この切断部151は、上向き鋭角状に形成されており、その上端は、移動プレート73が最下位置に移動された状態において、この移動プレート73の下部プレート73bの下面に略接するように配置されている。
【0128】
このような構成において、前方側の開口部71aに電源コード9の端部を挿通させた後、操作ネジ15を廻すことで、スプリング74の押圧力に抗して移動プレート73を下方に移動させる。そして、この移動プレート73によって電源コード9が接合部72に圧着され、接合が行われる。また、同時に、切断部151によって電源コード9の前端部が切断される。
【0129】
このように実施の形態14によれば、実施の形態6と略同様の効果に加えて、電源コード9の前端部が自動的に切断されるので、電源コード9を予め切断してその長さを調整する必要がなくなり、接続作業が一層容易になる。
【0130】
〔実施の形態15〕
次に、実施の形態15について説明する。この実施の形態15は、実施の形態1の構成に対して、異なる接合構造を有するものである。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0131】
図43は、電源接続端子の縦断面図、図44は、接合部周辺の拡大斜視図、図45は、接合部周辺の正面図、図46は、接続後の状態における接合部周辺の正面図である。これら各図に示すように、電源接続端子160は、ベース12、移動プレート15、操作ネジ15、接合部161、及び、押込み部162を備えて構成されている。このうち、接合部161は、第1の凹部161aと第2の凹部161bとを連続的に備えて構成されている。また、押込み部162は、押込み突起162aを備えて構成されている。ここで、第1の凹部161aの幅をW1、第2の凹部161bの幅をW2、電源コード9の外径をD1、コード芯線9bの外径をD2とすると、D2≦W2<D1≦W1のように決定されている。また、押込み突起162aは第1の凹部161aに略対応する形状に形成されている。
【0132】
このような構成において、前方側の開口部12a及び、第1の凹部161aに電源コード9の端部を挿通させた後、操作ネジ15を廻すことで、移動プレート14を上方に移動させる。そして、電源コード9が押込み突起162aに接することで、この押込み突起162aによって電源コード9が第2の凹部161bに押込まれる。この際、第2の凹部161bの幅W2は電源コード9の外径をD1より小さいことから、電源コード9の被覆9aが剥かれつつ押込みが行われる。この結果、図46に示すように、被覆9aが剥かれ、コード芯線9bのみが第2の凹部161bに押込まれ、これらコード芯線9bと第2の凹部161bとが相互に接触することで、導通が確保される。
【0133】
このように実施の形態15によれば、実施の形態1と略同様の効果に加えて、コード芯線9bのみを第2の凹部161bに押込むことで導通を行っているので、接合部をコード芯線9bに突き刺す場合に比べて、コード芯線9bに与えるダメージが少なくなり、接合性が一層向上する。
【0134】
〔実施の形態16〕
次に、実施の形態16について説明する。この実施の形態16は、実施の形態15の構成に対して、電源コード9の押込みを手動で行うようにしたものである。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態15と同様であり、実施の形態15と略同一の構成の一部については、実施の形態15の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0135】
図47は、電源接続端子の斜視図、図48は、接続後の状態における電源接続端子の斜視図である。これら各図に示すように、電源接続端子170は、ベース171、及び、接合部161を備えて構成されている。ここで、接合部161には、実施の形態15と同様に、第1の凹部161aと第2の凹部161bとが連続的に形成されている。この電源接続端子170を用いた接続には、押込み治具174を用いる。この押込み治具174は、押込み突起162aに取手176を一体に形成して構成されている。
【0136】
このような構成において、第1の凹部161aに電源コード9の端部を載置した後、作業者が、押込み治具174の押込み突起162aによって電源コード9を第2の凹部161bに押込む。この際、電源コード9の被覆9a(図示せず)が剥かれつつ押込みが行われ、図48に示すように、コード芯線9bのみが第2の凹部161bに押込まれ、これらコード芯線9bと第2の凹部161bとが相互に接触することで、導通が確保される。なお、この後、コード芯線9bが他の部分と不用意に接触して短絡等を招くことを避けるため、第2の凹部161bを任意の絶縁体でカバーしても良い。あるいは、押込み治具174を絶縁体で構成し、電源コード9を第2の凹部161bに押込んだ状態で、この押込み治具174をベース171に任意の方法で固定して、絶縁を行っても良い。
【0137】
このように実施の形態16によれば、実施の形態15と略同様の効果に加えて、電源コード9の押込みを押込み治具174で行っているので、電源接続端子170における移動手段と操作手段とを省略でき、電源接続端子170を一層簡易に構成することができる。
【0138】
〔実施の形態17〕
次に、実施の形態17について説明する。この実施の形態17においては、電源コード9を引抜き不能に巻き止めるための巻き止め部の他の形態について説明する。この実施の形態17の巻き止め部は、ストッパーが略台形状に形成されている点において、ストッパーが略柱状に形成されている実施の形態1の巻き止め部と異なる。ただし、特に説明なき構成については、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と略同一の構成の一部については、実施の形態1の説明中に使用した符号と同一の符号を付する。
【0139】
図49は、巻き止め部の斜視図、図50は、巻き止め部を電源コード9と共に示す縦断面図である。これら各図に示すように、巻き止め部180は、複数のストッパー181を前後方向に略直列的に配置して構成されている。各ストッパー181は、略台形状に形成されており、これらストッパー181の相互間に形成される巻き止め空間部182も略台形状に形成されている。ここで、図50に示すように、この巻き止め空間部182の上方の幅W1及び下方の幅W2は、電源コード9の径Dに対して、下方の幅W2<径D<上方の幅W1となるように決定されている。
【0140】
このような構成において、図示しない筐体2に引き込まれた電源コード9を、各ストッパー181の間の巻き止め空間部182に通し(この経路を図49において想像線にて示す)、電源コード9を下方に押圧することにより、図50のように電源コード9がストッパー181の相互間に挟まれることになり、自動的に固定される。
【0141】
このように実施の形態17によれば、実施の形態1の効果に加えて、電源コード9を下方に押圧するだけで自動的にストッパー181に固定でき、電源コード9の巻き止めが一層容易になる。
【0142】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明の具体的な構成及び方法は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0143】
(各実施の形態の相互関係について)
まず、上記各実施の形態に示した特徴は、他の実施の形態に適用することができる。例えば、図22に示した端子形状を、図4の端子に適用することができる。また、図2には電源接続端子を2個連接している状態を示しているが、単独で用いることもでき、あるいは、3つ以上の電源接続端子を連接しても良い。特に、複数を連接するような場合においては、ベースを共通化し、1つのベースに対して複数の移動プレートや操作ネジを設けることも出来る。
【0144】
(接合手段について)
上述したように、接合手段については、形成数が任意であり、複数設けても良い。また、形成方向については、上方から下方に向けって設けても良く、あるいは、下方から上方に向かって設けることもできる。また、接合手段と対抗する接合受け手段を設け、これらにて電源コード9を挟持するようにしても良い。また、接合部の形状は上述のものに限られず、例えば、その縦断面形状が多段的な鋭角形状をなすような形状であっても良い。
【0145】
(移動手段及び操作手段について)
実施の形態10に示したように、移動手段及び操作手段の両方の機能を兼ねる手段を設けても良く、あるいは、実施の形態16に示したように、移動手段及び操作手段の機能を作業者に委ねることで、電源接続端子の構成を簡易化しても良い。
【0146】
(導通性について)
また、電源接続端子の各部は、導通性を有する部材にて構成することができるが、電力供給に必要な部分にのみを導電性を持たせ、他の部分については必要に応じて絶縁等を施すことができる。
【0147】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
また、本発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、上記に記載されていない課題を解決したり、上記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、電源コードの被覆を若干剥く様な必要が生じた場合においても、従来よりわずかでも電源コード接続時の作業性が向上している限りにおいて、本発明の課題は達成されている。
【0148】
この他、上記文書中や図面中で示した構造例、各部の寸法関係や位置関係、肉厚等については、あくまで例示であり、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上のように、本発明に係る電源接続端子は、各種の電気機器に対して電源コードを接続するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】実施の形態1における警報器の正面図である。
【図2】図1の警報器の背面図である。
【図3】図1の警報器の取り付け状態における側面図である。
【図4】実施の形態1における電源接続端子の斜視図である。
【図5】電源接続端子の図4とは異なる方向からの斜視図である。
【図6】図4の電源接続端子の分解斜視図である。
【図7】接続前の状態における図4の電源接続端子の縦断面図である。
【図8】接続前の状態における図4の電源接続端子の正面図である。
【図9】接続後の状態における図4の電源接続端子の縦断面図である。
【図10】接続後の状態における図4の電源接続端子の正面図である。
【図11】接続前の状態における図4の電源接続端子の斜視図である。
【図12】接続中の状態における図4の電源接続端子の斜視図である。
【図13】接続後の状態における図4の電源接続端子の斜視図である。
【図14】接続後の状態における接合部と電源コードとの縦断面図である。
【図15】図2の巻き止め部周辺の斜視図である。
【図16】実施の形態2における電源接続端子の斜視図である。
【図17】図16の電源接続端子の縦断面図である。
【図18】図16の電源接続端子の分解斜視図である。
【図19】実施の形態3における電源接続端子の斜視図である。
【図20】図19の電源接続端子の縦断面図である。
【図21】図19の電源接続端子の分解斜視図である。
【図22】実施の形態4における電源接続端子の斜視図である。
【図23】図22の電源接続端子の側面図である。
【図24】図22の電源接続端子を基板と共に示す縦断面図である。
【図25】実施の形態5における電源接続端子の斜視図である。
【図26】実施の形態6における電源接続端子の斜視図である。
【図27】図26の電源接続端子の縦断面図である。
【図28】実施の形態7における電源接続端子の斜視図である。
【図29】図28の電源接続端子の側面図である。
【図30】実施の形態8における電源接続端子の斜視図である。
【図31】図30の電源接続端子の側面図である。
【図32】実施の形態9における接続前の状態における電源接続端子の側面図である。
【図33】図32の接続後の状態における電源接続端子の側面図である。
【図34】実施の形態10における接続前の状態における電源接続端子の斜視図である。
【図35】図34の電源接続端子の側面図である。
【図36】接続後の状態における図34の電源接続端子の側面図である。
【図37】実施の形態11における電源接続端子の斜視図である。
【図38】実施の形態12における電源接続端子の斜視図である。
【図39】実施の形態13における接続前の状態における電源接続端子の斜視図である。
【図40】図39の接続後の状態における電源接続端子の斜視図である。
【図41】実施の形態14における電源接続端子の斜視図である。
【図42】電源コードを挿通した状態における図41の電源接続端子の斜視図である。
【図43】実施の形態15における電源接続端子の縦断面図である。
【図44】図43の接合部周辺の拡大斜視図である。
【図45】図43の接合部周辺の正面図である。
【図46】接続後の状態における図43の接合部周辺の正面図である。
【図47】実施の形態16における電源接続端子の斜視図である。
【図48】接続後の状態における図47の電源接続端子の斜視図である。
【図49】実施の形態17における巻き止め部の斜視図である。
【図50】実施の形態17における巻き止め部を電源コード9と共に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0151】
1 警報器
2 筐体
3 煙流入口
4 ガス流入口
5 係止部
6 表カバー
7 裏カバー
9 電源コード
10、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160,170 電源接続端子
11 回路基板
12、31、41、51、71、81、91、111、121、131、141、161、171 ベース
13、42、72、84、92、113、122、133、142、161 接合部
14、32、43、73、85、93、132、143 移動プレート
15 操作ネジ
20、180 巻き止め部
21、181 ストッパー
61 移動ガイド
74、86 スプリング
87、124、135 操作ロッド
88 クリック部
112 反転バネ
123 板バネ
134 渦巻きバネ
151 切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の筐体に収容された回路基板に対して電源コードを接続するための電源接続端子であって、
前記回路基板に接続されるベースと、
前記ベースに挿通された前記電源コードに圧着されることにより、前記電源コードの被覆を破ってコード芯線に至る接合手段と、
を備えることを特徴とする電源接続端子。
【請求項2】
前記ベースに対して移動されることにより、前記接合手段と前記電源コードとの少なくとも一方を他方に対して圧着させる移動手段と、
前記移動手段を移動させる操作手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源接続端子。
【請求項3】
前記ベースには、前記回路基板に対して接続される端子を設け、この端子を非直線形状に形成したこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源接続端子。
【請求項4】
前記ベースには、前記回路基板に対して接続される複数の端子を設け、これら複数の端部の少なくとも一部の形状を、他の端部と異なる形状としたこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項5】
前記ベースには、前記筐体に対して係合することにより、当該ベースの動揺を防止するためのベース側動揺防止手段を設けたこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項6】
前記ベースには、前記電源コードを挿通するための開口部を設け、
前記開口部の内縁に、前記接合手段を設けたこと、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項7】
前記ベースにおける前記接合手段に対応する位置に、接合受け手段を設け、これら接合手段と接合受け手段との間に前記電源コードを圧着自在としたこと、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項8】
前記移動手段は、前記ベースに挿通された前記電源コードに対して、前記接合手段を上下動させるネジ又はバネを備えること、
を特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項9】
前記移動手段を、前記電源コードの挿通方向における前記ベースの中央位置よりも後方側に配置したこと、
を特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項10】
前記移動手段には、前記筐体又は前記ベースに係合することにより、当該移動手段の動揺を防止するための移動手段側動揺防止手段を設けたこと、
を特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項11】
前記ベースの上端近傍位置には、前記電源コードを挿通するための開口部を設け、
前記操作手段は、前記移動手段を前記開口部の近傍に向けて移動させること、
を特徴とする請求項2から10のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項12】
前記移動手段を、反転バネとして形成し、この反転バネの反転部分に前記接合部を配置したこと、
を特徴とする請求項2から11のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項13】
前記移動手段の移動を規制するための移動規制手段を設けたこと、
を特徴とする請求項2から12のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項14】
前記ベースに挿通された前記電源コードに対して、当該電源コードの挿通方向と逆方向に所定圧力を加える抵抗付加手段を備えること、
を特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項15】
前記ベースには第1の突起を設けると共に、前記移動手段には第2の突起を設け、これら第1の突起と第2の突起とを相互に係合自在としたこと、
を特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項16】
前記ベースに挿通された前記電源コードに圧着されることにより、前記電源コードを切断する切断手段、
を設けたことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の電源接続端子。
【請求項17】
電気機器の筐体外部に設けられ、当該筐体に挿通される電源コードの長さを調整するためのガイドであって、当該筐体の内部に収容される電源コードと略同等の長さを表示するガイド手段、
を備えることを特徴とする電源コードの調整ガイド。
【請求項18】
電気機器の筐体内部に設けられ、当該筐体に挿通される電源コードを係止するための構造であって、複数の柱状のストッパーを、前記電源コードの挿通方向に略沿って直列的に配置したこと、
を特徴とする電源コードの係止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2006−156057(P2006−156057A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342962(P2004−342962)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】