説明

電源装置および液晶表示装置

【課題】放電管に一定の電力を供給可能であり、かつ、製造コストが低い電源装置を実現する。
【解決手段】本発明に係る電源装置1は、交流電源の交流電力を直流電力に変換するPFC10と、前記直流電力を交流電力に変換する交流変換回路20とを備える。交流変換回路20は、4つのスイッチング素子21a〜21dからなり、放電管LをPWM制御するフルブリッジ回路21と、スイッチング素子21a〜21dを駆動する駆動回路22と、交流電源側と放電管側とを電気的に絶縁する絶縁トランス23と、放電管Lの管電圧を検出する検出回路25と、前記管電圧に応じて調光信号CP1、CP2を出力する制御回路26と、調光信号CP1、CP2を駆動回路22に伝達する信号トランス27とを備える。信号トランス27は、矩形波である調光信号CP1、CP2を微分波に変換し、パルス再生回路22bが、微分波を矩形波に再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷陰極管等の放電管を点灯させる放電管点灯装置に用いられる放電管駆動用電源装置及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置として、例えば、液晶ディスプレイ装置など自己発光型でないディスプレイ装置が用いられている。このようなディスプレイ装置においては、光源としてバックライトが用いられており、このバックライトから光が表示面に照射される。このようにして照射される光のうち、透過光と非透過光のコントラストにより、表示面に画像が生成される。バックライトに用いられる光源として放電管を用いる場合、ディスプレイ装置の電源部においては、放電管を駆動する交流電圧生成用の電源装置が備えられる。
【0003】
図3は、従来の放電管駆動用の電源装置100の構成を示すブロック図である。電源装置100では、先ず、PFC(力率改善回路)110により商用交流電源ACを直流電圧に変換し、PFC110の後段に接続されたDC−DCコンバータ120において、PFC110から出力された直流電圧について直流−直流電力変換を行って、安定化された所定のレベルの直流電源電圧を出力するように構成されている。ここで、DC−DCコンバータ120においては、例えば絶縁トランスなどにより一次側と二次側を直流的に絶縁するようにされている。つまり、商用交流電源側である一次側から直流電圧を入力し、二次側から直流電源電圧を出力するようにしている。
【0004】
DC−DCコンバータ120の二次側から出力される直流電源電圧は、この直流電源電圧を電源として動作する負荷130およびインバータ回路140に供給される。インバータ回路140では、入力された直流電源電圧について直流−交流電力変換を行って、交流電圧をバックライト部150に供給する。バックライト部150は、複数の放電管を備えており、この交流電圧によって放電管が駆動される。
【0005】
電源装置100では、バックライト部150を駆動するための交流電圧を生成するために、交流電源から交流−直流変換を行った後、DC−DCコンバータ120およびインバータ回路140によって、さらに二度の電力変換が行われることになる。このように、複数回の電力変換が行われるため、電力変換効率が低下して電力損失が大きいという問題がある。そこで、交流電源から交流−直流変換を行った後、直流−直流変換を行うことなく交流−直流変換を行うことにより、電力変換効率を向上させる構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0006】
図4は、特許文献1に記載の放電管駆動用の電源装置200の構成を示すブロック図である。電源装置200は、バックライト230の放電管Lを駆動する電源装置であり、制御・駆動回路210、ハーフブリッジ回路211、絶縁トランス220、検出回路240およびフォトカプラ250を備えている。ハーフブリッジ回路211は、2つのスイッチング素子211a・211bを備えており、ハーフブリッジ回路211には、図示しない直流変換回路(PFC)によって交流電力から変換された直流入力電圧Eiが印加される。スイッチング素子211a・211bは、制御・駆動回路210によって交互にオン/オフするように駆動される。
【0007】
ハーフブリッジ回路211は、絶縁トランス220の一次巻線に接続される。また、絶縁トランス220の二次巻線の一端には、電流制限用のコンデンサを介してバックライト230の放電管Lの一端が接続される。放電管Lの他端は、絶縁トランス220の二次巻線の他端に接続されている。検出回路240は、複数の放電管Lのうちのいずれかの管電圧を検出する。検出回路240は、検出された管電圧に基づき、放電管Lの発光量が一定となるようにフィードバック制御するための調光信号を出力する。当該調光信号は、フォトカプラ250を介して制御・駆動回路210に入力され、制御・駆動回路210は、この調光信号に基づき、ハーフブリッジ回路211を駆動する。これにより、放電管LがPWM制御され、放電管Lの発光量が一定となる。
【0008】
電源装置200では、DC−DCコンバータによる電力変換が不要となるので、図3に示す構成に比べ、電源装置における電力損失を低減することができる。ただし、ハーフブリッジ回路は、交流電源側に設けられるので、雑音端子電圧ノイズや不要輻射ノイズの影響を受けやすい。これに対し、特許文献2および3には、放電管をPWM制御する回路として、ノイズ耐性の高いフルブリッジ回路を用いる構成が開示されている。
【0009】
図5は、特許文献2に記載の放電管駆動用の電源装置300の構成を示すブロック図である。電源装置300は、バックライト330の放電管Lを駆動する電源装置であり、駆動回路310、フルブリッジ回路311、絶縁トランス320、昇圧トランス321、検出回路340、制御回路341および伝達トランス350を備えている。フルブリッジ回路311は、4つのスイッチング素子311a〜311dを備えており、フルブリッジ回路311には、図示しない直流変換回路(PFC)によって交流電力から変換された直流入力電圧が印加される。スイッチング素子311a、311bおよびスイッチング素子311c、311dは、駆動回路310によって交互にオン/オフするように駆動される。
【0010】
フルブリッジ回路311は、絶縁トランス320の一次巻線に接続される。また、絶縁トランス320の二次巻線は、昇圧トランス321の一次巻線に接続され、昇圧トランス321の二次巻線の一端は、電流制限用のコンデンサを介してバックライト330の放電管Lの一端に接続される。昇圧トランス321は、絶縁トランス320からの交流出力電圧を昇圧して、放電管Lに高圧交流電圧を供給する。
【0011】
昇圧トランス321の二次巻線の他端には、検出回路340が接続され、検出回路340は、昇圧トランス321の出力電圧を検出する。制御回路341は、バックライト330に供給される電力を所定値にするため、検出回路340によって検出された電圧に基づいて、スイッチング素子311a〜311dの駆動パルス幅を調整するための調光信号を出力する。当該調光信号は、伝達トランス350を介して駆動回路310に入力され、駆動回路310は、この調光信号に基づき、フルブリッジ回路311を駆動する。これにより、放電管LがPWM制御され、放電管Lの発光量が一定となる。
【0012】
また、図6は、特許文献3に記載の放電管駆動用の電源装置400の構成を示すブロック図である。電源装置400は、バックライト450の放電管Lを駆動する電源装置であり、交流−直流変換回路410および直流−交流変換回路420を備えている。直流−交流変換回路420は、駆動回路430、フルブリッジ回路、絶縁トランス440、分流回路441、検出・制御回路460および2つのフォトカプラ470a、470bを備えている。フルブリッジ回路は、4つのスイッチング素子431a〜431dから構成されており、交流−直流変換回路410によって交流電力から変換された直流入力電圧が印加される。スイッチング素子431a、431bおよびスイッチング素子431c、431dは、駆動回路430によって交互にオン/オフするように駆動される。
【0013】
フルブリッジ回路は、絶縁トランス440の一次巻線に接続される。また、絶縁トランス440の二次巻線の一端は、分流回路441を介して放電管Lの一方の電極に接続される。放電管Lの他方の電極は、ダイオードおよび抵抗を介して検出・制御回路460に接続される。検出・制御回路460は、放電管Lに印加される電圧を検出し、当該電圧に基づいて、スイッチング素子431a〜431dの駆動パルス幅を調整するための2つの調光信号を出力する。これらの調光信号は、それぞれフォトカプラ470a、470bを介して駆動回路430に入力され、駆動回路430は、この調光信号に基づき、フルブリッジ回路を駆動する。これにより、放電管LがPWM制御され、放電管Lの発光量が一定となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−20992号公報(2005年1月20日公開)
【特許文献2】特開2008−117550号公報(2008年5月22日公開)
【特許文献3】特開2008−289319号公報(2008年11月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図4〜図6に示す従来の電源装置では、2次側に設けられる検出回路が、放電管に印加される電圧を検出して放電管をPMW制御するための調光信号を生成し、1次側に設けられる駆動回路に調光信号をフィードバックしている。調光信号を2次側から1次側にフィードバックする手段として、図4に示す電源装置200および図6に示す電源装置400では、フォトカプラが用いられ、図5に示す電源装置300では、トランスが用いられている。
【0016】
ここで、調光信号の波形は矩形であり、正確なフィードバック制御を行うために、1次側の駆動回路には、波形が崩れないように調光信号を伝達しなければならない。そのため、フィードバック手段がフォトカプラである場合、高速のフォトカプラを用いる必要がある。また、フィードバック手段がトランスである場合も、励磁インダクタンスが1mH以上のトランスを用いる必要がある。このように、従来の電源装置では、調光信号のフィードバック手段として、高性能のフォトカプラやトランスを用いる必要があるため、電源装置の製造コストが高くなるという問題がある。
【0017】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、放電管に一定の電力を供給可能であり、かつ、製造コストが低い電源装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電源装置は、放電管を駆動するための電源装置であって、交流電源の交流電力を直流電力に変換する直流変換回路と、前記直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を前記放電管に供給する交流変換回路と、を備え、前記交流変換回路は、交流電源側に配置された一次巻線と放電管側に配置された二次巻線とにより前記交流電源側と前記放電管側とを電気的に絶縁する絶縁トランスと、前記交流電源側に配置され、ブリッジ構成の4つのスイッチング素子からなり、前記直流電力を入力として前記絶縁トランスの一次巻線に電流を流すことにより、前記放電管をPWM制御するフルブリッジ回路と、前記交流電源側に配置され、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、放電管側に配置され、放電管の管電圧を検出する検出回路と、放電管側に配置され、前記管電圧に応じて、前記放電管に一定の電力が供給されるように前記スイッチング素子を駆動するための調光信号を出力する制御回路と、前記調光信号を前記駆動回路に伝達する信号伝達手段と、を備え、前記信号伝達手段は、矩形波である前記調光信号を微分波に変換する伝達トランスであり、前記駆動回路は、前記微分波を前記調光信号に再生するパルス再生回路を備えることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、直流変換回路が交流電源の交流電力を直流電力に変換し、フルブリッジ回路のスイッチング素子のオン/オフ制御によって、直流電力が交流電力に変換されて、絶縁トランスの一次巻線に入力される。絶縁トランスは、交流電力を所定の電圧に変換して、放電管に交流電力を供給する。また、検出回路と制御回路と信号伝達手段とで、放電管への電力供給を一定にするためのフィードバック手段を構成しており、検出回路によって検出された管電圧に基づいて、制御回路が放電管に供給される電力を一定とするための調光信号を出力し、信号伝達手段によって調光信号が放電管側から交流電源側の駆動回路に伝達される。
【0020】
ここで、信号伝達手段は矩形波のパルスを微分波のパルスに変換する伝達トランスであり、微分波に変換された調光信号は、パルス再生回路によって矩形波の調光信号に再生される。そのため、調光信号は、波形が崩れることなく駆動回路にフィードバックされる。また、伝達トランスとして、励磁インダクタンスの低いトランスを用いることができるので、従来の電源装置と比較して、信号伝達手段を低コストで実現することができる。また、パルス再生回路は、駆動回路が設けられる半導体チップに容易に集積化可能であるので、パルス再生回路を設けることによるコストの増加は殆どない。したがって、放電管に一定の電力を供給可能であり、かつ、製造コストが低い電源装置を実現することができる。
【0021】
本発明に係る電源装置では、前記放電管は、複数並列接続され、前記交流変換回路は、各放電管に供給される電力が等しくなるように、前記絶縁トランスからの交流電力を分流する分流回路を備えることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、分流回路によって、各放電管に等しい電力が供給されるので、複数の放電管を均等に並列駆動することができる。
【0023】
本発明に係る電源装置では、前記交流変換回路は、前記絶縁トランスと前記放電管との間に、前記絶縁トランスからの交流電力を昇圧する昇圧トランスを備えることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、放電管に高電圧を容易に印加することができる。
【0025】
本発明に係る液晶表示装置は、バックライトの放電管を駆動する電源装置として、上記のいずれかの電源装置を備えることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、表示画面の明るさを一定に保つことができ、製造コストの低い液晶表示装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係る電源装置は、放電管を駆動するための電源装置であって、交流電源の交流電力を直流電力に変換する直流変換回路と、前記直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を前記放電管に供給する交流変換回路と、を備え、前記交流変換回路は、交流電源側に配置された一次巻線と放電管側に配置された二次巻線とにより前記交流電源側と前記放電管側とを電気的に絶縁する絶縁トランスと、前記交流電源側に配置され、ブリッジ構成の4つのスイッチング素子からなり、前記直流電力を入力として前記絶縁トランスの一次巻線に電流を流すことにより、前記放電管をPWM制御するフルブリッジ回路と、前記交流電源側に配置され、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、放電管側に配置され、放電管の管電圧を検出する検出回路と、放電管側に配置され、前記管電圧に応じて、前記放電管に一定の電力が供給されるように前記スイッチング素子を駆動するための調光信号を出力する制御回路と、前記調光信号を前記駆動回路に伝達する信号伝達手段と、を備え、前記信号伝達手段は、矩形波である前記調光信号を微分波に変換する伝達トランスであり、前記駆動回路は、前記微分波を前記調光信号に再生するパルス再生回路を備えるので、放電管に一定の電力を供給可能であり、かつ、製造コストが低い電源装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る放電管駆動用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記電源装置の制御回路26から出力される調光信号、伝達トランスにから出力される微分パルス信号、パルス再生回路から出力される調光信号、および駆動信号生成回路から出力される駆動信号の各波形を示す図である。
【図3】従来の放電管駆動用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図4】特許文献1に記載の放電管駆動用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図5】特許文献2に記載の放電管駆動用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【図6】特許文献3に記載の放電管駆動用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0030】
(電源装置1の構成)
図1は、本実施形態に係る放電管駆動用の電源装置1の構成を示すブロック図である。電源装置1は、液晶表示装置の表示パネルの光源であるバックライト30の放電管Lを駆動する電源装置であり、直流変換回路(PFC)10および交流変換回路20を備えている。PFC10は、交流電源の交流電力を直流電力(例えば400V)に変換して、変換された直流電力を交流変換回路20に出力する。交流変換回路20は、PFC10からの直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を放電管に供給する回路であり、フルブリッジ回路21、駆動回路22、絶縁トランス23、分流回路24、検出回路25、制御回路26および伝達トランス27(信号伝達手段)を備えている。また、放電管Lは、複数並列接続されている。
【0031】
フルブリッジ回路21は、PFC10からの直流電力により絶縁トランス23の1次巻線に電流を流すことにより、放電管LをPWM制御する回路であり、ブリッジ構成の4つのスイッチング素子21a〜21dから構成されている。スイッチング素子21a〜21dはNMOSトランジスタであり、スイッチング素子21a、21bの各ドレインは、PFC10に接続されている。なお、スイッチング素子21a〜21dはPMOSトランジスタであってもよい。
【0032】
スイッチング素子21aのソースは、スイッチング素子21cのドレインおよび絶縁トランスの一次巻線の一端に接続されている。スイッチング素子21bのソースは、スイッチング素子21dのドレインおよび絶縁トランスの一次巻線の他端に接続されている。スイッチング素子21c、21dの各ソースは、接地されている。スイッチング素子21a、21bおよびスイッチング素子21c、21dは、駆動回路22によって交互にオン/オフするように駆動される。
【0033】
駆動回路22は、駆動信号生成回路22aおよびパルス再生回路22bを備えている。駆動信号生成回路22aは、スイッチング素子21a〜21dのオン/オフを制御するための駆動信号DP1〜DP4を生成する回路であり、駆動信号DP1〜DP4は、それぞれスイッチング素子21a〜21dの各ゲートに入力される。パルス再生回路22bは、微分波のパルスを矩形波のパルスに再生する回路である。パルス再生回路22bについては、後述する。
【0034】
絶縁トランス23は、1次側(交流電源側)に配置された一次巻線と、2次側(放電管側)に配置された二次巻線とを備え、1次側と2次側とを電気的に絶縁する。絶縁トランス23の一次巻線の一端は、スイッチング素子21aのソースとスイッチング素子21cのドレインとの接続点に接続され、絶縁トランス23の一次巻線の他端は、スイッチング素子21bのソースとスイッチング素子21dのドレインとの接続点に接続されている。絶縁トランス23の二次巻線の一端は、分流回路24を介してバックライト30の各放電管Lの一端に接続され、絶縁トランス23の二次巻線の他端は、接地されている。これにより、各放電管Lには正負対象の交流電力が供給される。なお、絶縁トランス23と分流回路24との間、または分流回路24と各放電管Lとの間に、絶縁トランス23からの交流電力を昇圧する昇圧トランスを設けてもよい。
【0035】
分流回路24は、並列接続された各放電管Lに供給される電力が等しくなるように、絶縁トランス23からの交流電力を分流する回路である。各放電管Lを並列駆動する方法としては、例えば、JIN−BALANCEやZAULaSなどの駆動システムを用いることができる。
【0036】
検出回路25は、複数の放電管Lのうちのいずれかの一端に接続されており、当該放電管Lの管電圧を検出する。検出回路25によって検出された管電圧のデータは、制御回路26に入力され、制御回路26は、該管電圧に応じて、放電管Lに一定の電力が供給されるようにフィードバック制御するための調光信号CP1および調光信号CP2を出力する。これらの調光信号CP1、CP2は、伝達トランス27を介して駆動回路22にフィードバックされ、駆動回路22は、フィードバックされた調光信号に基づき、フルブリッジ回路21を駆動する。
【0037】
(電源装置1における調光信号のフィードバック)
ここで、本実施形態では、2次側の制御回路26から1次側の駆動回路22に調光信号CP1、CP2をフィードバックする際に、伝達トランス27において矩形波の調光信号を微分波のパルスに変換し、駆動回路22のパルス再生回路22bにおいて、微分波のパルスから矩形波の調光信号に再度変換する。具体的には、伝達トランス27の励磁インダクタンスを低く設定する(例えば、100μH)ことにより、矩形波の調光信号が微分パルスに変換される。すなわち、伝達トランス27として、励磁インダクタンスの低いトランスを用いることができるので、従来の電源装置における調光信号のフィードバック手段に比べ、低コストでフィードバック手段を実現することができる。また、パルス再生回路22bは、駆動回路22が設けられる半導体チップに容易に集積化可能であるので、パルス再生回路22bを設けることによるコストの増加は殆どない。したがって、本実施形態に係る電源装置1は、従来の電源装置に比べ製造コストを抑えることができる。
【0038】
図2は、制御回路26から出力される調光信号CP1、CP2、伝達トランス27にから出力される微分パルス信号CP3、パルス再生回路22bから出力される調光信号CP4、および駆動信号生成回路22aから出力される駆動信号DP1〜DP4の各波形を示す図である。調光信号CP1は、フルブリッジ回路21のスイッチング素子21a、21bを駆動するための信号であり、調光信号CP2は、フルブリッジ回路21のスイッチング素子21c、21dを駆動するための信号である。調光信号CP1、CP2のパルス幅は、検出回路25によって検出される管電圧に応じて決定される。
【0039】
調光信号CP1は、伝達トランス27の二次巻線の一端に入力され、調光信号CP2は、伝達トランス27の二次巻線の他端に入力される。これにより、伝達トランス27の一次巻線の一端からは、正方向および負方向の短いパルス波形を有する微分パルス信号CP3が出力される。微分パルス信号CP3の正方向パルスは、調光信号CP1、CP2の立ち上がりに同期しており、微分パルス信号CP3の負方向パルスは、調光信号CP1、CP2の立ち下がりに同期している。
【0040】
微分パルス信号CP3は、駆動回路22のパルス再生回路22bに入力され、パルス再生回路22bは、微分パルス信号CP3から調光信号CP4を生成する。調光信号CP4は矩形波であり、立ち上がりが微分パルス信号CP3の正方向パルスに同期しており、立下りが微分パルス信号CP3の負方向パルスに同期している。すなわち、調光信号CP4は、調光信号CP1と調光信号CP2とを加算した信号となる。
【0041】
調光信号CP4は、駆動信号生成回路22aに入力され、駆動信号生成回路22aは、調光信号CP4から駆動信号DP1〜DP4を生成する。駆動信号DP1および駆動信号DP2は、それぞれ駆動信号DP3および駆動信号DP4の反転信号である。また、駆動信号DP1と駆動信号DP3との間、および、駆動信号DP2と駆動信号DP4との間には、所定のデッドタイムDTが設けられている。これにより、駆動信号DP1のパルス幅および駆動信号DP2のパルス幅は、それぞれ駆動信号DP3のパルス幅および駆動信号DP4のパルス幅よりも短くなっている。これにより、フルブリッジ回路21における貫通電流の発生を防止している。
【0042】
駆動信号DP1、DP4がHレベルで、駆動信号DP2、DP3がLレベルであるとき、スイッチング素子21a、21dがオンとなり、スイッチング素子21b、21cがオフとなる。このとき、PFC10からの電流は、スイッチング素子21a、絶縁トランス23の一次巻線、スイッチング素子21dを経てGNDに流れる。
【0043】
続いて、駆動信号DP3、DP4がHレベルで、駆動信号DP1、DP2がLレベルとなる。このとき、スイッチング素子21c、21dがオンとなり、スイッチング素子21a、21bがオフとなるので、絶縁トランス23の一次巻線には電流は流れない。
【0044】
続いて、駆動信号DP2、DP3がHレベルで、駆動信号DP1、DP4がLレベルとなる。このとき、スイッチング素子21b、21cがオンとなり、スイッチング素子21a、21dがオフとなるので、PFC10からの電流は、スイッチング素子21b、絶縁トランス23の一次巻線、スイッチング素子21cを経てGNDに流れる。
【0045】
このように、駆動信号DP1〜DP4によってスイッチング素子21a〜21dのオン/オフ制御を行うことにより、放電管LをPWM駆動することができる。
【0046】
(まとめ)
本実施形態に係る電源装置1は、調光信号を2次側から1次側にフィードバックするための伝達手段として、励磁インダクタンスの低い伝達トランス27を用いており、伝達トランス27によって矩形波の調光信号が、微分パルス信号に変換される。また、微分パルス信号を矩形波の調光信号に再度変換するためのパルス再生回路22bは、周知の簡単な再生回路を用いることができ、パルス再生回路22bを設けることによるコストの増加は殆どない。したがって、本実施形態に係る電源装置1は従来の電源装置に比べ製造コストを抑えることができる。
【0047】
(実施形態の総括)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、液晶表示装置のバックライトの光源となる放電管を駆動する電源装置に好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 電源装置
10 PFC(直流変換回路)
20 交流変換回路
21 フルブリッジ回路
21a スイッチング素子
21b スイッチング素子
21c スイッチング素子
21d スイッチング素子
22 駆動回路
22a 駆動信号生成回路
22b パルス再生回路
23 絶縁トランス
24 分流回路
25 検出回路
26 制御回路
27 伝達トランス(信号伝達手段)
30 バックライト
CP1 調光信号
CP2 調光信号
CP3 微分パルス信号
CP4 調光信号
DP1 駆動信号
DP2 駆動信号
DP3 駆動信号
DP4 駆動信号
L 放電管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電管を駆動するための電源装置であって、
交流電源の交流電力を直流電力に変換する直流変換回路と、
前記直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を前記放電管に供給する交流変換回路と、を備え、
前記交流変換回路は、
交流電源側に配置された一次巻線と放電管側に配置された二次巻線とにより前記交流電源側と前記放電管側とを電気的に絶縁する絶縁トランスと、
前記交流電源側に配置され、ブリッジ構成の4つのスイッチング素子からなり、前記直流電力を入力として前記絶縁トランスの一次巻線に電流を流すことにより、前記放電管をPWM制御するフルブリッジ回路と、
前記交流電源側に配置され、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路と、
放電管側に配置され、放電管の管電圧を検出する検出回路と、
放電管側に配置され、前記管電圧に応じて、前記放電管に一定の電力が供給されるように前記スイッチング素子を駆動するための調光信号を出力する制御回路と、
前記調光信号を前記駆動回路に伝達する信号伝達手段と、を備え、
前記信号伝達手段は、矩形波である前記調光信号を微分波に変換する伝達トランスであり、
前記駆動回路は、前記微分波を前記調光信号に再生するパルス再生回路を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記放電管は、複数並列接続され、
前記交流変換回路は、各放電管に供給される電力が等しくなるように、前記絶縁トランスからの交流電力を分流する分流回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記交流変換回路は、前記絶縁トランスと前記放電管との間に、前記絶縁トランスからの交流電力を昇圧する昇圧トランスを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
バックライトの放電管を駆動する電源装置として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119111(P2011−119111A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274778(P2009−274778)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】