説明

電源装置および画像形成装置

【課題】負荷への電力の供給が途絶えることがなく、省エネモードからの復帰時に電源の立ち上がりが遅れることがなく、効率がよいこと。
【解決手段】通常動作モード時に負荷に対して電力を供給するためのメイン電源部11と、省エネモード時に負荷に対して電力を供給するためのサブ電源部12と、を有し、メイン電源部には、メイン電源電力発生部11aと、メイン電源電力発生部を制御するメイン電源制御部11bとが設けられ、サブ電源部には、サブ電源電力発生部12aと、サブ電源電力発生部を制御するサブ電源制御部12bとが設けられ、メイン電源制御部およびサブ電源制御部の動作に必要な電力はサブ電源電力発生部から供給され、サブ電源部は通常動作モード時および省エネモード時のいずれも動作状態となるように制御され、省エネモード時には、サブ電源電力発生部からメイン電源制御部への電力の供給が停止されるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常動作モードおよび省エネモードに対応して動作可能な電源装置、およびそのような電源装置が搭載された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置をはじめとする事務用の機器などにおいて省エネ化(省エネルギー化)が図られている。省エネ化された機器では、メイン電源部およびサブ電源部の2つの電源部を備え、通常動作モードと省エネモードとに対応して動作可能となっている。
【0003】
メイン電源部は、消費電力の大きい通常動作モード時(通常動作時)における電力の供給用に効率が最適化され、サブ電源部は消費電力の小さい省エネモード時(スリープ時など)における電力の供給用に効率が最適化される。そして、動作モードに応じて、それぞれ効率が最適化された電源部から電力の供給が行われる。
【0004】
また、画像形成装置の使用状態によってメイン電源からサブ電源への切り替えタイミングを考慮して制御を行う二電源方式のスイッチング電源装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1によると、スリープモードへの移行時は、サブ電源をONすると同時に計数回路で時間計測を開始し、一定の時間を経た後にメイン電源のスイッチ回路をOFFする。これにより、負荷が大きい時(プリントモード)にはメイン電源をONし且つサブ電源をOFFの状態とし、負荷が小さな省エネモード時(スタンバイモードまたはスリープモード)にはメイン電源をOFFし、サブ電源のみをONの状態とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−324820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の電源装置では、メイン電源とサブ電源との切り替えが行われるが、そのタイミングの制御にミスがあった場合に負荷への電源の供給が途絶えて負荷の動作が停止する可能性がある。また、その場合に、補助電源巻線、整流ダイオード、および平滑コンデンサで構成される補助電源が動作しないため、省エネモードからの復帰時に電源の立ち上がりが遅れる可能性がある。
【0008】
また、メイン電源の制御ICにはスリープモードにおいても電源が供給されるので、メイン電源から電力を供給する必要のないときにもその制御ICによって電力が消費され、最良の効率であるとはいえない。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、負荷への電力の供給が途絶えることがなく、省エネモードからの復帰時に電源の立ち上がりが遅れることのない、効率のよい電源装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る電源装置は、通常動作モード時に負荷に対して電力を供給するためのメイン電源部と、省エネモード時に負荷に対して電力を供給するためのサブ電源部と、を有し、前記メイン電源部には、メイン電源電力発生部と、前記メイン電源電力発生部を制御するメイン電源制御部とが設けられ、前記サブ電源部には、サブ電源電力発生部と、前記サブ電源電力発生部を制御するサブ電源制御部とが設けられ、前記メイン電源制御部および前記サブ電源制御部の動作に必要な電力は前記サブ電源電力発生部から供給され、前記サブ電源部は通常動作モード時および省エネモード時のいずれも動作状態となるように制御され、省エネモード時には、前記サブ電源電力発生部から前記メイン電源制御部への電力の供給が停止されるように制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、負荷への電力の供給が途絶えることがなく、省エネモードからの復帰時に電源の立ち上がりが遅れることのない、効率のよい電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態の電源装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】メイン電源部の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る実施形態の電源装置の回路の例を示す図である。
【図4】図3に示す電源装置の動作の様子の例を示すタイミング図である。
【図5】電源装置を搭載した画像形成装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、一実施形態の電源装置1の回路構成が示されている。電源装置1は、画像形成装置その他の各種装置、機器、またはシステムなどに搭載される。
【0014】
電源装置1は、例えば、コピー機能、ネットワークプリンティング機能、FAX機能、スキャナ機能、およびドキュメントサーバ機能など多機能を備えた画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals)に搭載することが可能である。このようなMFPは、コンピュータとしての機能を持っており、種々のデータ処理、およびネットワークNWを介したデータ通信を行うことも可能である。
【0015】
図1において、電源装置1は、メイン電源部11およびサブ電源部12を有する。メイン電源部11は、通常動作モード時に負荷に対して電力を供給するための電源である。サブ電源部12は、省エネモード時に負荷に対して電力を供給するための電源である。
【0016】
通常動作モード時には、電源装置1の負荷が重く、省エネモード(スリープモード)時には、電源装置1の負荷が軽い。なお、省エネモードには、通常動作モードよりも消費電力の低い種々の省エネ化(低消費電力化)のためのモードを含めることができる。
【0017】
サブ電源部12が出力する電圧Vsはメイン電源部11が出力する電圧Vmよりも低く設定されている。メイン電源部11の出力およびサブ電源部12の出力は、それぞれダイオードD1,D2を介して並列に接続されて負荷15に供給されるようになっている。
【0018】
また、省エネモード時には、サブ電源部12の出力に接続されたダイオードD2の両端が短絡されるように制御されている。ダイオードD2が短絡されることにより、ダイオードD2による順方向電圧降下の影響を受けることなく、サブ電源部12の電圧Vsをそのまま負荷15に出力することができる。
【0019】
ダイオードD2の両端を短絡するために、当該ダイオードD2と並列にスイッチSW2が接続されている。スイッチSW2として、例えば、リレー(継電器)のノーマルクローズ接点(b接点)が用いられる。ノーマルクローズ接点を用いた場合には、電源装置1の起動時には接点がオンとなってダイオードD2が短絡されるので、サブ電源部12の起動時に一層の省エネ化が実現される。
【0020】
メイン電源部11には、メイン電源電力発生部11aおよびメイン電源制御部11bが設けられる。
【0021】
メイン電源電力発生部11aは、メインの電力を発生するための回路である。メイン電源電力発生部11aは、例えば、商用電源またはバッテリーなどのエネルギー源である電源Eから取り出された電力を、負荷に供給するに相応しい電力に変換して出力する。
【0022】
メイン電源電力発生部11aは、例えば、商用電源から供給される交流電力を整流する第1のコンバータ回路(第1の整流回路)、第1のコンバータ回路により得られる直流電力を交流電力に変換するインバータ回路(DC/ACコンバータ)、および、インバータ回路により得られる交流電力を直流電力に変換する第2のコンバータ回路(第2の整流回路)を有する。バッテリーなどから直流電力が供給される場合には、第1のコンバータ回路は不要である。
【0023】
コンバータ回路(整流回路)には、ダイオードまたはダイオードブリッジ、コンデンサなどが用いられる。トランジスタによる電圧レギュレータ(電圧監視回路、電圧安定回路)が用いられることもある。インバータ回路には、FETなどによるスイッチング素子およびトランスなどが用いられる。
【0024】
なお、第2のコンバータ回路に用いられるダイオードまたはダイオードブリッジは、メイン電源部11の出力に接続されるダイオードD1と兼用することが可能である。すなわち、メイン電源電力発生部11aの終段に整流のためのダイオードが用いられた場合に、そのダイオードを逆流防止用のダイオードD1と兼用することができる。このようにすることによって、ダイオードの数が低減し、電圧降下による電力損失を低減して効率を高めることができる。
【0025】
メイン電源制御部11bは、メイン電源電力発生部11aが負荷に必要な電力を供給できるように、制御を行う。メイン電源制御部11bは、例えば、メイン電源電力発生部11aのインバータ回路に対するスイッチング制御を行うための回路を含む。その場合に、メイン電源制御部11bは、メイン電源電力発生部11aのインバータ回路をパルス制御によってオンオフするためのパルス列、例えばPWM(Pulse Width Modulation) 制御またはPAM(Pulse Anplitude Modulation) 制御などのためのパルス列を出力する。
【0026】
なお、上の説明で分かるように、負荷に電力を供給するための電流は、メイン電源電力発生部11aを通って負荷に流れることとなり、メイン電源制御部11bには流れないかまたはほとんど流れない。メイン電源制御部11bには制御のための電流が流れる。
【0027】
サブ電源部12には、サブ電源電力発生部12aおよびサブ電源制御部12bが設けられる。
【0028】
サブ電源電力発生部12aは、メイン電源電力発生部11aに対する補助的な電力を発生するための回路である。サブ電源電力発生部12aは、例えば、メイン電源電力発生部11aの場合と同様に、電源Eから取り出された電力を、負荷15(制御基板SK)および他の負荷に補助的に供給するに相応しい電力に変換して出力する。
【0029】
なお、サブ電源電力発生部12aは、負荷15にも電力を供給することがあるが、これはメイン電源電力発生部11aの補助としてであり、負荷15への電力の供給のほとんどはメイン電源電力発生部11aが行う。
【0030】
つまり、サブ電源電力発生部12aは、メイン電源電力発生部11aと協働して負荷15に電力を供給するとともに、メイン電源制御部11bおよびサブ電源制御部12bにも電力を供給する。すなわち、メイン電源制御部11bおよびサブ電源制御部12bの動作に必要な電力はサブ電源電力発生部12aから供給される。
【0031】
サブ電源電力発生部12aの構成および回路などは、メイン電源電力発生部11aの場合と同様である。
【0032】
サブ電源制御部12bは、サブ電源電力発生部12aが上に述べた必要な箇所に電力を供給できるように、制御を行う。つまり、サブ電源電力発生部12aが、負荷15、メイン電源制御部11b、およびサブ電源制御部12bに必要な電力を供給できるように、サブ電源制御部12bが制御を行う。
【0033】
サブ電源制御部12bの構成および回路などは、メイン電源制御部11bの場合と同様である。但し、サブ電源制御部12bは、電力を補助的に供給するものであるから、扱う電力および電流は小さく、回路素子などは小型のものまたは簡易なものなどを用いることが可能である。
【0034】
サブ電源部12は、通常動作モード時および省エネモード時のいずれにおいても動作状態となるように制御される。これに対してメイン電源部11は、通常動作モード時には動作状態となるが、省エネモード時には停止状態となるように制御される。
【0035】
つまり、サブ電源電力発生部12aからメイン電源制御部11bへの電力の供給をオンオフするために、スイッチSW1が設けられている。スイッチSW1がオンすることによって、サブ電源電力発生部12aからメイン電源制御部11bに電力が供給され、これによってサブ電源部12は正常に動作し、負荷15に電力を供給する。
【0036】
スイッチSW1がオフしてメイン電源制御部11bへの電力の供給が停止すると、メイン電源電力発生部11aは動作が停止し、電力を負荷15へ供給しない。
【0037】
負荷15は、電源装置1からの電力によって動作する装置、機器、部品、回路(制御回路)などであり、本実施形態では電源装置1の全体を制御するための制御基板(制御回路)SKが含まれる。
【0038】
つまり、電源装置1の負荷15として設けられた制御基板SKによって、電源装置1の全体が制御され、また、電源装置1が搭載された装置、機器、またはシステムなどの全体または一部が制御される。
【0039】
図1においては、制御基板SKによって、スイッチSW1,2が制御される。すなわち、通常動作モードであるかまたは省エネモードであるかによって、スイッチSW1,2のオンオフが制御される。
【0040】
通常動作モード時には、スイッチSW1はオン(接点が閉じた状態)となり、スイッチSW2はオフ(接点が開いた状態)となる。省エネモード時には、スイッチSW1がオフしてメイン電源制御部11bへの電力の供給が停止され、同時に、スイッチSW2がオンしてダイオードD2が短絡される。
【0041】
なお、電源Eとメイン電源電力発生部11aとの間にスイッチを設け、そのスイッチを、通常動作モード時にオンとなるよう、省エネモード時にオフとなるように制御してもよい。このようにすると、省エネモード時において、メイン電源電力発生部11aの動作を確実に停止させることができる。
【0042】
図2には、メイン電源部11の回路構成の例が示されている。
【0043】
図2において、メイン電源部11は、第1の整流回路21、DC/ACコンバータ(インバータ)22、第2の整流回路23、レギュレータ24、およびスイッチング制御回路25を有する。
【0044】
第1の整流回路21は、第1のコンバータ回路の例であり、商用電源から供給される交流電力を整流して直流電力に変換する。DC/ACコンバータ22は、第1の整流回路21により得られる直流電力を交流電力に変換する。第2の整流回路23は、第2のコンバータ回路の例であり、DC/ACコンバータ22により得られる交流電力を直流電力に変換する。レギュレータ24は、第2の整流回路23の出力する直流電力の電圧を制御し、所定の電圧値となるように調整する。スイッチング制御回路25は、DC/ACコンバータ22に対するスイッチング制御を行う。
【0045】
なお、サブ電源部12においても、図2に示すメイン電源部11と同様の構成とすることができる。
【0046】
上に示した実施形態の電源装置1によると、サブ電源部12は常に動作状態で負荷15に電力を供給できる状態であるので、負荷への電力の供給が途絶えることがない。そして、省エネモードから通常動作モードへの復帰時に電源の立ち上がりが遅れることがなく、動作が安定している。しかも、省エネモード時には、メイン電源部11は動作を停止しており、電力消費の少ないサブ電源部12のみが動作しているので、効率がよい。
【0047】
また、通常動作モード時において、メイン電源部11およびサブ電源部12の出力する電力が2つのダイオードD1,D2によって合成されて負荷15に供給されるので、メイン電源部11とサブ電源部12との合計の電力を負荷15に供給することが可能である。しかも、メイン電源部11の出力する電圧Vmがサブ電源部12が出力する電圧Vsよりも高いので、通常動作モード時における電力は第一にメイン電源部11から供給され、その電圧Vmが低下したときにサブ電源部12からも供給されるようになる。
【0048】
省エネモード時においては、サブ電源部12によって電力の供給が行われているが、ダイオードD2が短絡されるのでその順方向電圧降下の影響を受けることなく高い電圧を出力することができ、これにより一層の省エネ化が図られる。
【0049】
図3には、電源装置1Bの具体的な回路の一例が示されている。なお、図3の説明において、図1について説明した事項については説明を簡略化する。
【0050】
図3において、電源装置1Bは、メイン電源部11Bおよびサブ電源部12Bを有する。
【0051】
メイン電源部11Bは、ダイオードブリッジD3、ダイオードD4、コンデンサC1,C2、トランスT1、スイッチング素子TG1、スイッチSW1,SW3、メイン電源制御部11Bb、レギュレータ24A、抵抗R1,R2、ダイオードD1などを有する。
【0052】
電源EのラインLが、スイッチSW3を介してダイオードブリッジD3の一方の端子に入力される。他方のラインNは、ダイオードブリッジD3の他方の端子に入力される。
【0053】
ダイオードブリッジD3により整流された電圧は、平滑用のコンデンサC1によって平滑される。トランスT1の一次巻線とコンデンサC1との間に、MOS−FETなどのスイッチング素子TG1が接続されており、スイッチング素子TG1のオンオフの繰り返しによってトランスT1の一次巻線にパルス状の交流電流が流れる。これによって、トランスT1の二次巻線に交流電圧が発生し、ダイオードD4により整流され、コンデンサC2によって平滑される。
【0054】
レギュレータ24Aは、コンデンサC2の両端の電圧Vmを2つの抵抗R1,R2で分圧した電圧を監視し、電圧Vmが所定の値になるようにメイン電源制御部11Bbにフィードバックする。ここでの例では、メイン電源制御部11Bbは、電圧Vmが3.4ボルトになるよう、スイッチング素子TG1に対してPWM制御を行う。
【0055】
サブ電源部12Bは、ダイオードブリッジD5、ダイオードD6,D7、コンデンサC3,C4,C5、トランスT2、スイッチング素子TG2、スイッチSW2、サブ電源制御部12Bb、レギュレータ24B、抵抗R3,R4、ダイオードD2などを有する。
【0056】
電源EのラインL,Nが、ダイオードブリッジD5の両方の端子に入力される。ダイオードブリッジD5により整流された電圧は、コンデンサC3によって平滑される。トランスT2の一次巻線とコンデンサC3との間に、MOS−FETなどのスイッチング素子TG2が接続されており、スイッチング素子TG2のオンオフの繰り返しによってトランスT2の一次巻線にパルス状の交流電流が流れる。これによって、トランスT2の二次巻線に電圧が発生し、ダイオードD6により整流され、コンデンサC4によって平滑される。
【0057】
レギュレータ24Bは、コンデンサC4の両端の電圧Vsを2つの抵抗R3,R4で分圧した電圧を監視し、電圧Vsが所定の値になるようにサブ電源制御部12Bbにフィードバックする。ここでの例では、サブ電源制御部12Bbは、電圧Vsが3.3ボルトになるよう、スイッチング素子TG2に対してPWM制御を行う。
【0058】
また、トランスT2には補助捲線が設けられており、補助捲線に発生した電圧はダイオードD7により整流され、コンデンサC5によって平滑される。コンデンサC5の両端に発生した電圧は、メイン電源制御部11Bbおよびサブ電源制御部12Bbの電源として用いられる。つまり、メイン電源制御部11Bbおよびサブ電源制御部12Bbの動作に必要な電力は、サブ電源電力発生部12BaにおけるトランスT2の補助捲線の出力をダイオードD7で整流して得られた電圧(電源)から供給される。
【0059】
ダイオードD4により整流された電圧VmとダイオードD6により整流された電圧Vsとは、ダイオードD1,D2を介して負荷15に出力される。
【0060】
制御基板SKによって、省エネモード時にスイッチSW3がオフとなるように制御される。これとともに、制御基板SKは、省エネモード時に、スイッチSW1をオフし、スイッチSW2をオンする。
【0061】
なお、制御基板SKは、操作ボタン、表示装置、演算処理装置、メモリ、種々のインタフェ−ス、種々の制御機能および通信機能などを備え、またはそれらを制御する機能を備えることが可能である。その場合に、操作ボタンなどに対するユーザの操作などに応じて、制御基板SKが通常動作モードまたは省エネモードを選択して設定する処理を行う。
【0062】
次に、電源装置1Bの作用動作について説明する。
【0063】
なお、電源装置1Bに電源Eが接続された時点において、電源装置1Bは省エネモードで立ち上がるものとして説明する。しかし、通常動作モードで立ち上がるようにすることも可能である。また、省エネモードで立ち上がり、立ち上がった直後に通常動作モードに切り替わるようにすることも可能である。
【0064】
電源装置1Bに電源Eが接続されてサブ電源部12Bに電力が供給されると、サブ電源電力発生部12Baが3.3V一定の電圧Vsを発生し、負荷15である制御基板SKに供給する。このとき、まだ省エネモードであるので、スイッチSW3はオフであり、メイン電源電力発生部11Baは電圧Vmを出力しない。このとき、スイッチSW1もオフとなってメイン電源制御部11Bbへの電力の供給も停止し、省エネ化を実現する。さらに、スイッチSW2がオンとなってダイオードD2を短絡し、さらなる省エネ化を実現する。
【0065】
次に、制御基板SKによって省エネモードが解除されて通常動作モードになったとき、スイッチSW3がオンとなり、メイン電源電力発生部11BaにおいてコンデンサC1の両端に電圧が発生する。このとき、スイッチSW1もオンとなるので、メイン電源制御部11Bbにも同時に電力が供給され、サブ電源部12Bは3.4ボルト一定の電圧Vmを出力する。
【0066】
また、スイッチSW2がオフとなるので、メイン電源部11Bおよびサブ電源部12BのいずれもダイオードD1またはD2を介して負荷15に電力を供給することとなる。ダイオードD1,D2の順方向降下電圧が同じであるとすると、メイン電源部11Bの出力電圧Vmの方が高いので、負荷15にはメイン電源部11Bのみから供給されることとなる。負荷15が大きくなることなどによってメイン電源部11Bの出力電圧が低下すると、サブ電源部12Bからの電力が合わせて負荷15に供給される。このように、負荷15の変動に対しても安定的に電力を供給することができる。
【0067】
次に、省エネモードへの移行時の動作について説明する。
【0068】
制御基板SKが省エネモードへ移行することを判断すると、制御基板SKは省エネ制御信号(スリープ制御信号など)を出力し、これによってスイッチSW1,SW3をオフし、スイッチSW2をオンする。スイッチSW1,SW3がオフになると、メイン電源部11は動作を停止する。スイッチSW2がオンすることにより、ダイオードD2が短絡され、サブ電源部12の出力によって負荷15に印加される電圧が上昇する。これらによって省エネ化が図られる。
【0069】
このようにして、負荷15への電力の供給が途絶えることなく、メイン電源部11Bからサブ電源部12Bへ、またサブ電源部12Bからメイン電源部11Bへ、それぞれの切り換えが円滑に行われる。
【0070】
なお、モードの切り換えによって、メイン電源部11Bまたはサブ電源部12Bの出力する電圧が、3.4ボルトまたは3.3ボルトに変化するが、負荷15に印加されるまでのドロップ電圧は、負荷が重い通常動作モード時に大きくなり、負荷が軽い省エネモード時に小さくなるので、負荷15にはほぼ同じ電圧が印加されることとなる。
【0071】
そのため、通常動作モード時および省エネモード時においてそれぞれ最大の電源効率を実現することができる。
【0072】
図4には、電源装置1Bの動作の様子を示す例が示されている。次に、電源装置1Bの作用動作について、図4に基づいて説明する。
【0073】
図4において、通常動作モードでは、スイッチSW1,SW3がオンし、スイッチSW2がオフする。スイッチング素子TG1,TG2はスイッチング動作を行い、メイン電源電力発生部11Baおよびサブ電源電力発生部12Baともに電圧を出力する。
【0074】
省エネモードになると、スイッチSW1〜3はオンオフが反転し、スイッチング素子TG1はスイッチング動作を停止する。メイン電源部11Bからは電圧Vmが出力されなくなり、サブ電源部12Bからの電圧Vsのみが出力される。
【0075】
通常動作モードおよび省エネモードのいずれにおいても、電源装置1Bから負荷15へ出力電圧Voが出力される。
【0076】
次に、電源装置1(1B)が搭載された画像形成装置の例について説明する。
【0077】
図5において、画像形成装置100は、タンデム型のプリントエンジンを内蔵した電子写真方式のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、例えばLANなどのネットワークまたはパーソナルコンピュータなどに接続される。
【0078】
画像形成装置100に対して印刷(印字)が指示されると、画像形成装置100は、給紙トレイ502に収納された紙などの記録媒体PYを1枚ずつ給紙ローラ510aにより取り出し、搬送ローラ510b、510cによって搬送する。
【0079】
給紙動作と並行して、レーザユニツト503が、帯電された各色の感光体505a、505b、505c、505dを画像データに基づいて露光する。Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色の現像ユニット504a、504b、504c、504dは、それぞれ、感光体505a〜dの表面に形成された静電潜像を現像して各色のトナー画像を形成する。各トナー画像は、電圧の印加によって中間転写ベルト506上に転写され、4色が合成されたフルカラーのトナー画像が形成される。
【0080】
中間転写ベルト506上に形成されたトナー画像は、転写ローラ510dに印加された電圧によって、搬送されてきた記録媒体PYに転写される。記録媒体PY上に形成されたトナー画像は、定着器508を通過することにより熱と圧力が加えられ、定着される。トナー画像が定着された記録媒体PYは、排紙ローラ510eによって排紙トレイに排出される。
【0081】
現像ユニット504a〜d内のトナーが少なくなると、各色のトナーボトル507a、507b、507c、507d内に収納されたトナーが現像ユニット504a〜dに供給される。
【0082】
各部を駆動するために、制御基板SKによって直接的にまたは間接的に制御される種々のモータMが設けられている。
【0083】
メインモータM1は、給紙ローラ510aによる給紙から転写ローラ510dによる転写までの用紙搬送、および中間転写ベルト506、ブラック(黒)の感光体505dの駆動を行う。定着モータM2は、定着器508の駆動を行う。
【0084】
黒現像モータM3は、ブラック(黒)の現像ユニット504dの駆動を行う。カラーの現像モータM4は、Y,M,Cの現像ユニット504a〜cの駆動を行う。カラーの感光体モータM5は、Y,M,Cの感光体505a〜cの駆動を行う。
【0085】
これら各モータM1〜5を制御するために、制御基板SKが設けられる。モータM1〜5には、電源装置1から電力が供給され、または電源装置1以外の別の電源装置から電力が供給される。また、電源装置1とは別に高圧電源が設けられる。制御基板SKはそれらを制御する。
【0086】
また、図示は省略したが、操作ボタンおよび表示装置などを有した操作パネルが設けられ、画像処理などを行うための演算処理装置、メモリ、種々のインタフェ−ス、プリンタコントローラ、プリンタエンジン制御回路、省エネ制御回路(スリープ制御回路)などが、制御基板SK上に設けられる。しかし、それらの一部を制御基板SKとは別の基板に設けることも可能である。
【0087】
このような画像形成装置100において、電源装置1は、負荷15として接続された各部に必要な電力を供給する。制御基板SKは、電源装置1における通常動作モードおよび省エネモードにおける制御を行う。
【0088】
画像形成装置100では、通常動作モードにおいて、メイン電源部11およびサブ電源部12から各部に電力が供給される。省エネモードになると、制御基板SKに設けられた省エネ制御回路によって、メイン電源部11の動作は停止し、サブ電源部12のみから必要な箇所に電力が供給される。
【0089】
そして、通常動作モード時および省エネモード時においてそれぞれ最大の電源効率が実現される。つまり、電源装置1は、通常動作モードおよび省エネモードのいずれに対しても効率が最適化されている。通常動作モードと省エネモードとの切り換え時において、必要な箇所への電力の供給が途絶えることなく、切り換えが円滑に行われる。
【0090】
上に述べた実施形態において、メイン電源部11,11B、サブ電源部12,12Bの出力する電圧をそれぞれ3.4ボルト、3.3ボルトとしたが、この電圧値に限ることなく、種々の電圧値を採用することができる。また、これらの電圧差が0.1ボルトであったが、これ以外の電圧差、例えば0.1〜1ボルト程度の電圧差とすることができる。また、例えば、電圧差を、ダイオードD2の順方向降下電圧と同じにすると、スイッチSW12によってダイオードD2を短絡したときに、サブ電源電力発生部12aの出力によって負荷15に供給される電圧がメイン電源電力発生部11aによって負荷15に供給される電圧と同じになる。
【0091】
上に述べた実施形態において、通常動作モードと省エネモードとの切り換え時における各部の動作タイミングについて、それぞれ適当な時間差を設けることも可能である。
【0092】
上に述べた実施形態において、メイン電源部11、サブ電源部12、負荷15、制御基板SK、電源装置1,1B、および画像形成装置100の各部または全体の構成、構造、回路、形状、個数、配置、素子の種類、電圧値などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0093】
1,1B 電源装置
11,11B メイン電源部
12,12B サブ電源部
11a メイン電源電力発生部
11b メイン電源制御部
12a サブ電源電力発生部
12b サブ電源制御部
15 負荷
21 第1の整流回路(第1のコンバータ回路)
22 DC/ACコンバータ(インバータ回路)
23 第2の整流回路(第2のコンバータ回路)
24 レギュレータ
25 スイッチング制御回路
SK 制御基板(負荷)
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ(ノーマルクローズ接点)
TG1,2 スイッチング素子
D1〜2 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作モード時に負荷に対して電力を供給するためのメイン電源部と、
省エネモード時に負荷に対して電力を供給するためのサブ電源部と、を有し、
前記メイン電源部には、メイン電源電力発生部と、前記メイン電源電力発生部を制御するメイン電源制御部とが設けられ、
前記サブ電源部には、サブ電源電力発生部と、前記サブ電源電力発生部を制御するサブ電源制御部とが設けられ、
前記メイン電源制御部および前記サブ電源制御部の動作に必要な電力は前記サブ電源電力発生部から供給され、
前記サブ電源部は通常動作モード時および省エネモード時のいずれも動作状態となるように制御され、
省エネモード時には、前記サブ電源電力発生部から前記メイン電源制御部への電力の供給が停止されるように制御されている、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記サブ電源部が出力する電圧は前記メイン電源部が出力する電圧よりも低く設定されており、
前記メイン電源部の出力および前記サブ電源部の出力は、それぞれダイオードを介して並列に接続されて負荷に供給されるようになっており、
省エネモード時には、前記サブ電源部の出力に接続されたダイオードの両端が短絡されるように制御されている、
請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記サブ電源部の出力に接続されるダイオードの両端を短絡するために、当該ダイオードと並列にリレーのノーマルクローズ接点が接続されている、
請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記メイン電源電力発生部および前記サブ電源電力発生部は、それぞれ、商用電源から供給される交流電力を整流する第1のコンバータ回路、前記第1のコンバータ回路により得られる直流電力を交流電力に変換するインバータ回路、および、前記インバータ回路により得られる交流電力を直流電力に変換する第2のコンバータ回路を有し、
前記メイン電源制御部および前記サブ電源制御部は、それぞれ、前記インバータ回路に対するスイッチング制御を行うための回路を含む、
請求項2または3記載の電源装置。
【請求項5】
前記メイン電源部の出力に接続されるダイオードは、前記メイン電源部の第2のコンバータ回路における整流のために設けられたダイオードが兼用されている、
請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電源装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−114973(P2012−114973A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259146(P2010−259146)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】