説明

電源装置および試験装置

【課題】電源装置におけるノイズの影響を低減する。
【解決手段】対象デバイスに電源電力を供給する電源装置であって、所定の電源電圧を出力する電源部と、電源部および対象デバイスを電気的に接続する伝送線路と、基準電位に接続される基準線路と、伝送線路と基準線路との間に設けられるコンデンサと、コンデンサおよび対象デバイスの間の伝送線路における電圧に基づいて、電源部が出力する電源電圧を調整する帰還部と、電源部およびコンデンサの間の伝送線路および基準線路の一部として設けられる同軸伝送線路とを備える電源装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。特に本発明は、対象デバイスに電源電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は、電源電力を供給する対象デバイスに所定の電圧を印加すると共に、電流を供給する。電源装置は、対象デバイスに印加されている電源電圧を監視して帰還する、フィードバック制御を行う。当該フィードバック制御により、電源装置は、対象デバイスの動作に応じて電源電流が変化しても、対象デバイスに印加する電源電圧の変動幅を一定の範囲内に収めることができる。関連する技術文献として、以下の特許文献1を把握している。
【0003】
【特許文献1】特開平7−241069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象デバイスの近傍に電源装置を配置すると、電源装置が放出する熱およびノイズが、対象デバイスの動作に影響を与える。そこで、電源装置と対象デバイスとの間の距離を離すことが好ましい。ところが、電源装置と対象デバイスとの距離が大きいと、電源装置および対象デバイス間の配線に含まれるインダクタンス成分が増加する。その結果、電源電流の変動に対する電源装置の応答性が低下する。特に、対象デバイスの動作周波数が高速になると、電源装置の応答性に対する配線のインダクタンス成分の影響が顕著になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、対象デバイスに電源電力を供給する電源装置であって、所定の電源電圧を出力する電源部と、電源部および対象デバイスを電気的に接続する伝送線路と、基準電位に接続される基準線路と、伝送線路と基準線路との間に設けられるコンデンサと、コンデンサおよび対象デバイスの間の伝送線路における電圧に基づいて、電源部が出力する電源電圧を調整する帰還部と、電源部およびコンデンサの間の伝送線路および基準線路の一部として設けられる同軸伝送線路とを備える電源装置を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様においては、対象デバイスを試験する試験装置であって、対象デバイスに電源電力を供給する電源装置と、対象デバイスに供給する試験信号を生成する試験モジュールとを備え、電源装置は、所定の電源電圧を出力する電源部と、電源部および対象デバイスを電気的に接続する伝送線路と、伝送線路と基準電位の間に設けられるコンデンサと、コンデンサおよび対象デバイスの間の伝送線路における電圧に基づいて、電源部が出力する電源電圧を調整する帰還部と、電源部およびコンデンサの間の伝送線路の一部として設けられる同軸伝送線路とを備える試験装置を提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、電源装置100を対象デバイス300に接続する場合の構成を示す。同図において、電源装置100は、電源部10および調整部44を有する。電源部10および調整部44は、伝送線路24を経由して、対象デバイス300に接続される。伝送線路24は、プリント基板に形成される銅線、または、基板間を接続するケーブルであってよい。伝送線路24は、電源装置100と対象デバイス300との間の距離に応じた等価インダクタンス(図1においては、Lcとする)を有する。コンデンサ32は、対象デバイス300の電源端子および基準端子の間に接続されたバイパスコンデンサである。
【0010】
電源部10は、電界効果トランジスタ12、直流電圧源14、インダクタ16、ダイオード18、および、コンデンサ30を有する。電界効果トランジスタ12のゲート端子は、調整部44に接続されており、調整部44によってスイッチング制御が行われる。電界効果トランジスタ12は、パワーMOS電界効果トランジスタであってよい。
【0011】
調整部44は、帰還線路60を経由して、伝送線路24に接続される。帰還線路60は、プリント基板に形成された銅線、または、基板間を接続するケーブルであってよい。調整部44は、電源部10と伝送線路24との間の電圧観測点70で観測した電圧に基づいて、電界効果トランジスタ12のスイッチングタイミングを制御する。
【0012】
電界効果トランジスタ12のソース端子は、直流電圧源14に接続される。電界効果トランジスタ12のドレイン端子は、インダクタ16およびダイオード18のカソード端子に接続される。ダイオード18のアノード端子は、基準電位に接続される。コンデンサ30は、インダクタ16と接地電位との間に接続される。コンデンサ30は、電源部10の出力電圧を平滑する。
【0013】
電界効果トランジスタ12は、ゲート電圧が閾値以上か否かにより、インダクタ16に電流を流すか否かを切り替える。従って、電界効果トランジスタ12のゲート電圧が、閾値未満の場合には、電界効果トランジスタ12を通じてインダクタ16に電流が流れる。電界効果トランジスタ12のゲート電圧が、閾値以上の場合には、電界効果トランジスタ12を通じてインダクタ16に電流が流れない。
【0014】
電界効果トランジスタ12がオン状態の場合には、直流電圧源14が供給する電流は、インダクタ16を経由してコンデンサ30に流れ、コンデンサ30に電荷が蓄積される。電界効果トランジスタ12がオフ状態になると、コンデンサ30に蓄積された電荷が放電される。放電された電荷は、ダイオード18を経由して、インダクタ16に流れる。その結果、電界効果トランジスタ12が導通しているか否かにかかわらず、インダクタ16には電流が流れ、対象デバイス300に電流を供給することができる。
【0015】
対象デバイス300の電源電流が増減すると、電源部10および伝送線路24に含まれる抵抗成分等の影響により電圧変動が生じる。そこで、調整部44は、電圧観測点70で観測した電圧に基づいて、電圧変動を打ち消すフィードバック制御をする。具体的には、調整部44は、対象デバイス300の電源電流が大きくなり、電源電圧が低下すると、対象デバイス300に印加される電源電圧を上昇させるべく、電界効果トランジスタ12のオン/オフの時間を制御する。例えば、調整部44は、電界効果トランジスタ12がオンする時間の割合を大きくすることにより、電源電圧を上昇させる。
【0016】
これに対して、調整部44は、対象デバイス300の電源電流が小さくなり、電源電圧が上昇すると、対象デバイス300に印加される電源電圧を下降させるべくスイッチングタイミングを制御する。例えば、調整部44は、電界効果トランジスタ12がオンする時間を、より短くする。以上の動作により、電源装置100が対象デバイス300に印加する電源電圧が、所定の範囲内に収まる。
【0017】
ここで、電界効果トランジスタ12、インダクタ16、および、ダイオード18は、電界効果トランジスタ12のスイッチングに伴い、スイッチングノイズを発生する。また、電界効果トランジスタ12は、スイッチング時に生じる電力損失により、熱を発生する。これらのノイズおよび熱の影響を対象デバイス300に与えることを防ぐには、電源部10は、対象デバイス300と離れた位置に配置されることが好ましい。
【0018】
そこで、図1においては、調整部44は、対象デバイス300から離れた位置に設けられている。また、調整部44は、電源部10の出力端の電圧を検出する。その結果、調整部44は、対象デバイス300から離れた位置に設けられた電圧観測点70における電圧を検出する。
【0019】
しかし、対象デバイス300と電圧観測点70との距離が大きいと、対象デバイス300の電源電圧と、電圧観測点70における電圧との間に差が生じる。特に、伝送線路24はインダクタンス成分を有するので、電圧観測点70における電圧の変化は、対象デバイス300における電源電圧の急峻な変化に対して遅延する。その結果、電源装置100の出力電圧の精度は低下する。そこで、電圧観測点70は、対象デバイス300の近傍に設けられることが好ましい。
【0020】
図2は、電圧観測点70を対象デバイス300の近傍に変更した場合の電源装置100および対象デバイス300の構成を示す。同図において、電源装置100は、電源部10、帰還部40、伝送線路20、基準線路22、および、コンデンサ30を有する。コンデンサ30は、対象デバイス300の近傍で、対象デバイス300に接続される。伝送線路20は、インダクタンス成分Lcを含む。
【0021】
帰還部40は、コンデンサ30および対象デバイス300の間の伝送線路20における電圧に基づいて、電源部10が出力する電源電圧を調整する。具体的には、調整部44は、帰還線路60を経由して観測する電圧観測点70における電源電圧に基づいて、電源部10内の電界効果トランジスタ12を制御してよい。
【0022】
本構成においては、電圧観測点70と対象デバイス300との間の伝送線路24のインダクタンス成分のインダクタンスが、無視できる程度に小さくなるように、電圧観測点70が対象デバイス300の近傍に設けられる。従って、電圧観測点70における電圧は、対象デバイス300の電源電圧と略等しい。その結果、調整部44は、対象デバイス300の電源電流の変化に高速に応答して、電界効果トランジスタ12のスイッチングタイミングを切り替えることができる。つまり、電源装置100は、対象デバイス300の電源電流の変化に高速に応答して、電源電圧を制御することができる。
【0023】
以上のように、本実施形態の電源装置100において、電源部10は、対象デバイス300から離れて配される。また、帰還部40は、対象デバイス300の近傍で電圧を観測する。その結果、電源装置100は、対象デバイス300に対して、電源部10が発生する熱およびノイズの影響を及ぼさないと同時に、対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答して、電源電圧の制御をすることができる。
【0024】
ただし、図2において、インダクタ16、ダイオード18、および、コンデンサ30が形成するループには、伝送線路20が含まれる。電源部10と対象デバイス300との距離が離れ、当該ループの面積が大きくなると、電界効果トランジスタ12のスイッチングノイズが、当該ループから放射される。また、伝送線路20が含むインダクタンス成分は、外部ノイズと結合しやすい。その結果、外部ノイズの影響により、電源電圧が変動する場合が生じる。
【0025】
そこで、伝送線路20を同軸伝送線路により形成することが好ましい。同軸伝送線路の外部導体は、基準線路22に接続されてよい。電源装置100は、電圧観測点70を、同軸ケーブルにより形成される伝送線路20と対象デバイス300との間に有することにより、1)対象デバイス300に対して、電源部10が発生する熱およびノイズの影響を及ぼさない、2)対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答して、電源電圧を制御することができる、3)放射ノイズが低減すると共に、外部ノイズの影響を受けにくい、という有利な効果を得ることができる。
【0026】
図3は、第2の実施形態に係る電源装置100の構成を示す。電源装置100は、電源部10、伝送線路20、基準線路22、コンデンサ30、帰還部40、および、同軸伝送線路50を備える。電源装置100は、対象デバイス300に電源電力を供給する。
【0027】
電源部10は、所定の電源電圧を出力する。電源部10は、対象デバイス300に高圧側電源電圧および低圧側電源電圧を供給してよい。高圧側電源電圧は、対象デバイス300を駆動する電源電圧の電位であってよい。低圧側電源電圧は、電源部10および対象デバイス300の基準電位であってよい。
【0028】
伝送線路20は、電源部および対象デバイス300を電気的に接続する。伝送線路20は、対象デバイス300に高圧側電源電圧を伝送してよい。基準線路22は、電源部10および対象デバイス300を電気的に接続する。基準線路22は、対象デバイス300に低圧側電源電圧を伝送してよい。
【0029】
コンデンサ30は、高圧側電源電圧を伝送する伝送線路20および低圧側電源電圧を伝送する基準線路22の間に設けられる。コンデンサ30は、対象デバイス300を載置するボードに設けられてよい。
【0030】
コンデンサ30は、電源部10から供給される電荷を蓄積する。コンデンサ30は、対象デバイス300における消費電流の変化に、電源部10の供給電流の応答が追随できない場合に、蓄積した電荷を対象デバイス300に放電する。コンデンサ30が対象デバイス300の消費電流の変化に短時間で応答することにより、対象デバイス300に印加される電源電圧の変動を抑制することができる。
【0031】
コンデンサ30が、対象デバイス300における電源電流の変化に短時間で応答するには、コンデンサ30は、対象デバイス300の近傍に設けられることが好ましい。従って、電源装置100は、コンデンサ30を、電源部10と対象デバイス300との間において、対象デバイス300近傍に有してよい。例えば、電源装置100は、同軸伝送線路50と対象デバイス300との間に、コンデンサ30を有してよい。
【0032】
帰還部40は、コンデンサ30および対象デバイス300の間の伝送線路20における電圧に基づいて、電源部10が出力する電源電圧を調整する。具体的には、帰還部40は、電圧観測点70における電源電圧が所定の値となるように、電源部10が出力する電源電圧を調整してよい。
【0033】
同軸帰還線路42は、コンデンサ30および対象デバイス300の間の伝送線路20における電圧を帰還する。同軸帰還線路42は、コンデンサ30および対象デバイス300の間の伝送線路20における高圧側電源電圧、および、基準線路22における低圧側電源電圧を帰還してよい。電源装置100は、帰還部40の電圧観測点70を、同軸伝送線路50と対象デバイス300との間に有してよい。
【0034】
調整部44は、同軸帰還線路42が帰還した電圧に基づいて、電源部10が出力する電源電圧を調整する。調整部44は、同軸帰還線路42が帰還した電圧に基づいて、電源部10が出力する高圧側電源電圧および低圧側電源電圧を調整してよい。
【0035】
具体的には、調整部44は、電圧観測点70で観測した電源電圧の値が所定の電圧よりも低い場合には、電界効果トランジスタ12のオン状態の期間を長くするべく、スイッチングタイミングを制御してよい。これに対して、調整部44は、電圧観測点70で観測した電源電圧の値が所定の電圧よりも高い場合には、電界効果トランジスタ12のオン状態の期間を短くするべく、スイッチングタイミングを制御してよい。
【0036】
同軸伝送線路50は、電源部10およびコンデンサ30の間の伝送線路20の一部として設けられる。同軸伝送線路50は、内部導体、絶縁体、外部導体、および、保護被覆を有する同軸ケーブルであってよい。電源部10は、同軸伝送線路50の内部導体に高圧側電源電圧を印加すると共に、同軸伝送線路50の外部導体に低圧側電源電圧を印加してよい。
【0037】
ここで、対象デバイス300における電源電流が増加すると、コンデンサ30は、蓄積した電荷を放電する。コンデンサ30は、対象デバイス300が必要とする電源電流を供給することにより、電源電圧を一定に保つ。しかし、コンデンサ30が蓄積できる電荷の量が不十分な場合には、対象デバイス300が必要とする電源電流を十分に供給できない。この場合、電源部10は、不足する電源電流を対象デバイス300に供給する必要がある。そこで、電源部10は、対象デバイス300の電源電流が変動した場合に、できるだけ短時間で高圧側電源電圧を増加する応答を行うことが好ましい。
【0038】
ところが、一般に、同軸伝送線路50は約50Ωの特性インピーダンスを有する。同軸伝送線路50およびコンデンサ30は、同軸伝送線路50の特性インピーダンスとコンデンサ30のキャパシタンスの積に比例する時定数を有する。その結果、同軸伝送線路50の特性インピーダンスが約50Ωの場合には、対象デバイス300の電源電流の変化に対して、電源部10が供給する電源電圧の変化の応答速度が不十分になる場合が生じる。
【0039】
そこで、同軸伝送線路50の特性インピーダンスを、約50Ωの特性インピーダンスの約1/10に相当する5Ω以下のインピーダンスにすることが好ましい。同軸伝送線路50の特性インピーダンスが5Ω以下であれば、特性インピーダンスが50Ωの場合に比べて、同軸伝送線路50およびコンデンサ30の時定数を1/10にできるので、電源部10の応答が速くなる。その結果、電源部10は、対象デバイス300の電源電流の変動に追随して電源電圧を増減することができる。
【0040】
同軸伝送線路50の特性インピーダンスは、同軸伝送線路50の構造を変更することにより小さくすることができる。例えば、同軸ケーブルの特性インピーダンスは、信号線の外径と、信号線の外周に設けられた絶縁体の外径とが近いほど、小さくなることが知られている。例えば、絶縁体の厚さを極薄として、絶縁体の外径を相対的に小さくすることにより、同軸ケーブルの特性インピーダンスを数Ω程度にすることができる。
【0041】
同軸伝送線路50の特性インピーダンスは、同軸帰還線路42の特性インピーダンスよりも小さいことが好ましい。例えば、電源装置100は、同軸伝送線路50として特性インピーダンスが数Ωとなる同軸ケーブルを有すると共に、同軸帰還線路42として特性インピーダンスが約50Ωとなる同軸ケーブルを有してよい。つまり、同軸伝送線路50の特性インピーダンスを、同軸帰還線路42の特性インピーダンスの1/20ないし1/10の値としてよい。この場合、同軸帰還線路42を低コストで実現できる。
【0042】
電源部10は、このような構成を有することにより、1)対象デバイス300に対して、電源部10が発生する熱およびノイズの影響を及ぼさない、2)対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答して、電源電圧を制御することができる、3)放射ノイズが低減すると共に、外部ノイズの影響を受けにくい、4)コスト上昇を軽減することができる、という有利な効果を得ることができる。
【0043】
電源装置100は、並列に接続された複数の同軸ケーブルにより、同軸伝送線路50を構成すると共に、1本の同軸ケーブルにより同軸帰還線路42を構成してもよい。数Ωの特性インピーダンスを有する複数の同軸ケーブルを並列に接続することにより、電源部10と対象デバイス300との間の伝送線路の特性インピーダンスをさらに小さくすることができる。それぞれの同軸ケーブルの一方の端部は電源部10に接続され、他方の端部はコンデンサ30および対象デバイス300に接続されてよい。
【0044】
以上のように、電源部10と対象デバイス300との間を同軸伝送線路50で接続することにより、インダクタ16、ダイオード18、および、コンデンサ30で形成されるループによる影響が軽減される。その結果、電源部10は、対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答すると同時に、放射ノイズおよび外部から受けるノイズを低減することができる。
【0045】
図4は、第3の実施形態に係る電源装置100の構成を示す。同図において、基準線路22は、伝送線路20と同様に、同軸伝送線路52により形成されてよい。
【0046】
この場合、同軸伝送線路50の内部導体には、高圧側電源電圧を印加してよい。また、同軸伝送線路52の内部導体には、低圧側電源電圧を印加してよい。同軸伝送線路50および同軸伝送線路52の外部導体は、共通の基準電位に接続されてもよい。このような構成により、高圧側電源電圧の伝送線路および低圧側電源電圧の伝送線路を、それぞれ離れた位置に配することが可能になる。
【0047】
図5は、本実施形態に係る試験装置200の構成を示す。同図において、試験装置200は、テストヘッド400、ソケットボード500、同軸帰還線路42、および、同軸伝送線路50を備える。テストヘッド400は、電源部10、調整部44、および、試験モジュール210を有する。ソケットボード500は、対象デバイス300およびコンデンサ30を有する。テストヘッド400およびソケットボード500は、同軸伝送線路50および同軸帰還線路42により接続されてよい。
【0048】
試験モジュール210は、対象デバイス300の試験に用いる信号を対象デバイス300に対して出力する。対象デバイス300は、試験モジュール210から受信した信号に応じて応答信号を生成する。試験装置200は、対象デバイス300が生成した応答信号を受信して、対象デバイス300の良否を判定する。
【0049】
本実施形態における電源装置100においては、同軸伝送線路50が、電源部10および対象デバイス300を接続する。また、同軸帰還線路42は、調整部44および対象デバイス300を接続する。
【0050】
同軸伝送線路50は、同軸帰還線路42よりも小さな特性インピーダンスを有してよい。また、同軸伝送線路50は、並列に接続された複数の同軸ケーブルを含んでよい。以上の構成により、試験装置200は、電源部10および調整部44が対象デバイス300と異なる装置に収容される場合であっても、対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答して電源電圧を制御できる。さらに、試験装置200は、放射ノイズおよび外部から受けるノイズを低減することができる。試験装置200は、対象デバイス300の試験時には、対象デバイス300の通常動作の数倍の電源電流を供給する。従って、試験装置200においては、電源装置100が、対象デバイス300の電源電流の変動に対して高速に応答するという効果が顕著である。
【0051】
さらに、同軸伝送線路50は、並列に接続された複数の同軸ケーブルを含み、それぞれの同軸ケーブルは、テストヘッド400およびソケットボード500との間で取り外し可能であってよい。また、同軸伝送線路50が含む同軸ケーブルの本数は、テストヘッド400とソケットボード500との間の距離に応じて定めてよい。本構成により、テストヘッド400とソケットボード500との間の距離に応じて、必要最小限の数の同軸ケーブルを使用して、対象デバイス300の電源電流の変動に高速に応答して電源電圧を制御できる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】電源装置100を対象デバイス300に接続した場合の構成を示す。
【図2】電圧観測点70を対象デバイス300の近傍に変更した場合の電源装置100および対象デバイス300の構成を示す。
【図3】第2の実施形態に係る電源装置100の構成を示す。
【図4】第3の実施形態に係る電源装置100の構成を示す。
【図5】本実施形態に係る試験装置200の構成を示す。
【符号の説明】
【0055】
10 電源部
12 電界効果トランジスタ
14 直流電圧源
16 インダクタ
18 ダイオード
20 伝送線路
22 基準線路
24 伝送線路
30 コンデンサ
32 コンデンサ
40 帰還部
42 同軸帰還線路
44 調整部
50 同軸伝送線路
52 同軸伝送線路
60 帰還線路
70 電圧観測点
100 電源装置
200 試験装置
210 試験モジュール
300 対象デバイス
400 テストヘッド
500 ソケットボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象デバイスに電源電力を供給する電源装置であって、
所定の電源電圧を出力する電源部と、
前記電源部および前記対象デバイスを電気的に接続する伝送線路と、
基準電位に接続される基準線路と、
前記伝送線路と前記基準線路との間に設けられるコンデンサと、
前記コンデンサおよび前記対象デバイスの間の前記伝送線路における電圧に基づいて、前記電源部が出力する前記電源電圧を調整する帰還部と、
前記電源部および前記コンデンサの間の前記伝送線路の一部として設けられる同軸伝送線路と
を備える電源装置。
【請求項2】
前記帰還部は、前記コンデンサおよび前記対象デバイスの間の前記伝送線路における電圧を帰還する同軸帰還線路と、
前記同軸帰還線路が帰還した電圧に基づいて、前記電源部が出力する前記電源電圧を調整する調整部と
を有する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記同軸伝送線路は、前記同軸帰還線路よりインピーダンスが低い
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記コンデンサは、前記電源部と前記対象デバイスとの間において、前記対象デバイスよりに設けられる
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源部は、前記対象デバイスに高圧側電源電圧および低圧側電源電圧を供給し、
前記伝送線路は、前記対象デバイスに前記高圧側電源電圧を伝送し、
前記基準線路は、前記対象デバイスに前記低圧側電源電圧を伝送し、
前記同軸帰還線路は、前記コンデンサおよび前記対象デバイスの間の前記伝送線路における前記高圧側電源電圧、および、前記基準線路における低圧側電源電圧を帰還し、
前記調整部は、前記同軸帰還線路が帰還した電圧に基づいて、前記電源部が出力する前記高圧側電源電圧および前記低圧側電源電圧を調整する
請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記基準線路の一部に、さらに同軸伝送線路を含む
請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
対象デバイスを試験する試験装置であって、
前記対象デバイスに電源電力を供給する電源装置と、
前記対象デバイスに供給する試験信号を生成する試験モジュールと
を備え、
前記電源装置は、
所定の電源電圧を出力する電源部と、
前記電源部および前記対象デバイスを電気的に接続する伝送線路と、
基準電位に接続される基準線路と、
前記伝送線路と前記基準線路との間に設けられるコンデンサと、
前記コンデンサおよび前記対象デバイスの間の前記伝送線路における電圧に基づいて、前記電源部が出力する前記電源電圧を調整する帰還部と、
前記電源部および前記コンデンサの間の前記伝送線路の一部として設けられる同軸伝送線路と
を備える試験装置。
【請求項8】
前記電源部は、前記試験モジュールを格納するテストヘッドに設けられ、
前記コンデンサは、前記対象デバイスを載置するソケットボードに設けられる
請求項7に記載の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−148290(P2010−148290A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324591(P2008−324591)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】