電源装置及び電源装置を備える車両
【課題】電池積層体と冷却プレートとの接触状態を安定的に維持する。
【解決手段】複数の角形電池セル1を積層してなる電池積層体5と、電池積層体5を側面で締結するための締結部材4と、締結部材4で締結された電池積層体5を上面に載置し、電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートとを備える電源装置であって、締結部材4は、電池積層体5の中間における複数箇所で冷却プレートと連結するための締結連結部4を備えており、さらに冷却プレートは、締結連結部4と連結するためのプレート連結部を備えており、締結連結部4とプレート連結部とを連結することで、電池積層体を冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成する。
【解決手段】複数の角形電池セル1を積層してなる電池積層体5と、電池積層体5を側面で締結するための締結部材4と、締結部材4で締結された電池積層体5を上面に載置し、電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートとを備える電源装置であって、締結部材4は、電池積層体5の中間における複数箇所で冷却プレートと連結するための締結連結部4を備えており、さらに冷却プレートは、締結連結部4と連結するためのプレート連結部を備えており、締結連結部4とプレート連結部とを連結することで、電池積層体を冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置及びこのような電源装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の組電池等、出力を高くした電源装置が求められている。このような電源装置では、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高く、出力電力を大きくしている。電池セルは、大電流で充放電されると発熱する。特に、使用する電池セルの数が増えるに従い、発熱量も増大する。よって、効率よく電池セルの放熱を熱伝導して発散させる放熱機構が求められる。このような放熱機構を備える電源装置は開発されている(例えば特許文献1参照)。この電源装置は、図16に示すように、内部に冷媒を循環して冷媒の気化熱で強制冷却する熱交換器104を内蔵した冷却プレート103と、この冷却プレート103の上に固定されると共に、複数の電池101を接続した電池ブロック102と、冷却プレート103を固定しているフレーム構造体105とを備え、冷却プレート103で電池ブロック102を強制冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238389号公報
【特許文献2】特開2010−123412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、冷却プレートの内部に冷媒を循環して冷媒の気化熱で強制冷却する構成においては、電池ブロックの発熱を冷却プレート側に確実に熱伝導できるよう、冷却プレートと電池ブロックとを熱接続状態とすることが肝要となる。しかしながら、電池ブロックと冷却プレートとが確実に接触状態となるような固定状態を維持することは容易でない。特に従来の電源装置では、電池セルを積層した電池積層体の端面の両側にエンドプレートを設け、エンドプレートで狭持した電池ブロックを構成しており、このエンドプレートでもって冷却プレートに固定する構成が採られている。この構成では、電池ブロックの中間部分を冷却プレートと固定する構造が無いため、冷却プレートとの接触状態が不十分となるおそれがあった。特に、車載用の電源装置のような、振動や衝撃に晒される環境では、外力を受けて中間部分の電池セルが振動や衝撃で浮き上がり、冷却プレートとの接触が損なわれることが考えられる。この結果、冷媒による冷却能力が十分に発揮されず、電池セルの放熱が十分になされない事態が生じ、電源装置の信頼性や安定性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電池積層体と冷却プレートとの接触状態を安定的に維持しもって冷却能力を十分に発揮させることが可能な電源装置及び電源装置を備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体と、電池積層体を側面で締結するための締結部材と、前記締結部材で締結された電池積層体を上面に載置し、前記電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートと、を備える電源装置であって、前記締結部材は、前記電池積層体の中間における複数箇所で前記冷却プレートと連結するための締結連結部を備えており、さらに前記冷却プレートは、前記締結連結部と連結するためのプレート連結部を備えており、前記締結連結部とプレート連結部とを連結することで、前記電池積層体を前記冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成できる。これにより、締結連結部とプレート連結部とを連結することで、電池積層体を中間部位の複数箇所で冷却プレートと連結でき、中間部分の浮き上がり等を回避して、冷却プレートで角形電池セルの放熱を効率よく放熱できる利点が得られる。
【0007】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、前記締結連結部が、先端を鉤状に形成した係止片を備えており、前記プレート連結部が、前記係止片を係止可能な係止孔に形成することができる。これにより、係止孔に係止片を挿入して容易に締結部材を冷却プレートに固定できる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、前記係止孔を貫通孔に形成できる。これにより、係止孔を容易に形成できる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、さらに断面視略コ字状に折曲されたストリップ状の連結バーを備え、前記連結バーの端面に、前記プレート連結部として第二係止孔が開口されてなり、前記連結バーを前記冷却プレートの底面に配置すると共に、該冷却プレートの側面に前記第二係止孔を開口できる。これにより、冷却プレートに容易にプレート連結部を付加でき、冷媒循環機能等を備える冷却プレートの形状を複雑化することなく連結機構を追加できる利点が得られる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、前記係止孔が、冷却プレートの中間で開口される一方、前記第二係止孔を、冷却プレートの側面に開口することができる。これにより、冷却プレート上に2つの電池積層体を並べた状態で、一の連結バーにて2つの電池積層体を連結できる利点が得られる。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、前記連結バーを、前記冷却プレートに向かって突出する方向に湾曲させることができる。これにより、連結バーで冷却プレートと電池積層体を連結した状態で、湾曲部分を押圧する反作用によって冷却プレートを電池積層体側に押圧でき、より密着力を発揮できる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、前記係止片の鉤状の突出方向を、前記電池積層体に対して内向きに形成することができる。これにより、複数の電池積層体を隣接させても、係止片が互いに干渉する事態を回避でき、密接させて配置でき省スペースへの配置が実現される。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、さらに前記電池積層体の長手方向における端面を狭持するためのエンドプレートを備え、前記締結部材で、前記エンドプレート同士を締結できる。これにより、エンドプレートを利用して電気積層体を狭持できる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る車両によれば、上記いずれかの電源装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る電源装置を備える電源装置の分解斜視図である。
【図2】図1の組電池を示す斜視図である。
【図3】図2の組電池を示す分解斜視図である。
【図4】図2を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図4の分解斜視図である。
【図6】図2の組電池を冷却プレートに固定する様子を示す分解斜視図である。
【図7】図6の組電池を冷却プレートに固定する様子を示す断面図である。
【図8】図7の組電池を冷却プレートに固定した様子を示す断面図である。
【図9】図8の固定部分を示す拡大断面図である。
【図10】冷却プレートの左右に貫通孔を設けた場合の構造を示す模式断面図である。
【図11】変形例に係る冷却プレートを示す断面図である。
【図12】冷媒循環機構を示す模式図である。
【図13】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図14】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図15】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【図16】従来の電源装置を示す分解斜視図である。
【図17】他の変形例に係る冷却プレートを示す斜視図である。
【図18】電池積層体の両端部のみを連結する構造を示す模式底面図である。
【図19】図19(a)は変形例に係る連結バーを用いて冷却プレートと電池積層体を連結する様子を示す分解断面図であり、図19(b)は図19(a)で連結した状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0017】
図1〜図12に基づいて、実施例1に係る電源装置100として、車載用の電源装置100に適用した例を説明する。これらの図に示す電源装置100は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車や、モータのみで走行する電気自動車等の電動車両の電源に最適である。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車以外の車両に使用し、また、電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
(電源装置100)
【0018】
電源装置100の外観は、図1の分解斜視図に示すように、上面を長方形状とする箱形である。この電源装置100は、箱形の外装ケース70を二分割して、内部に複数の組電池10を収納している。外装ケース70は、下ケース71と、上ケース72と、これらの下ケース71、上ケース72の両端に連結している端面プレート73とを備えている。上ケース72と下ケース71は、外側に突出する鍔部74を有し、この鍔部74をボルトとナットで固定している。外装ケース70は、鍔部74を外装ケース70の側面に配置している。また図1に示す例では、組電池10を長手方向に2つ、横方向に2列、計4個下ケース71に収納している。なお、図2等に示す例では、組電池10を2つ、積層方向に並べた状態で、側面を締結部材で連結している。各組電池10は、外装ケース70内部の定位置に固定している。端面プレート73は、下ケース71と上ケース72の両端に連結されて、外装ケース70の両端を閉塞している。
(組電池10)
【0019】
組電池10は、図2〜図6に示すように、複数の角形電池セル1と、複数の角形電池セル1同士を積層する面に介在させて、角形電池セル1間を絶縁するセパレータ2と、複数の角形電池セル1とセパレータ2を交互に積層した電池積層体5の積層方向の端面に配置された一対のエンドプレート3と、電池積層体5の両端面でエンドプレート3同士を締結する金属製の複数の締結部材4とを備えている。さらに電池積層体5は、これを冷却するための冷却プレート60上に固定されている。冷却プレート60は、電池積層体5で発生する熱を熱伝導して放熱させるための部材であり、冷却プレート60の内部に冷媒を循環させている(詳細は後述)。また、冷却プレート60を電池積層体5よりも大きく形成することで、一枚の冷却プレート60上に複数の電池積層体5を載置して冷却できる。図4〜図6等の例では、各冷却プレート60上に2つの電池積層体5を並列に載置している。上述の通り、電池積層体5は長さ方向に2つの電池積層体5が直列に連結されており、このような連結状態にある電池積層体2本を、2枚の冷却プレート60で支持している。ただ、この例に限られず、例えば一枚の冷却プレート上に4つの電池積層体すべてを載置して、冷却プレートを共通化することもできる。あるいは、電池積層体の底面とほぼ同じ大きさの冷却プレートを用意し、各電池積層体5を冷却プレートで個別に冷却する構成としてもよい。
(電池積層体5)
【0020】
組電池10は、複数の角形電池セル1を、絶縁性のセパレータ2を介して積層して電池積層体5とし、この電池積層体5の両端面に一対のエンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3を締結部材4で連結している。以上の図に示す組電池10は、互いに隣接する角形電池セル1を絶縁するセパレータ2を角形電池セル1同士の積層面に介在させて、複数の角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5としている。
【0021】
なお組電池は、必ずしも角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要はない。例えば角形電池セルの外装缶を絶縁材で成形し、あるいは角形電池セルの外装缶の外周を絶縁シートや絶縁塗料等で被覆する等の方法で、互いに隣接する角形電池セル同士を絶縁することによって、セパレータを不要とできる。特に、角形電池セルの間に冷却風を強制送風して角形電池セルを冷却する空冷式によらず、冷媒等を用いて冷却させた冷却プレートを介して電池積層体を冷却する方式を採用する構成においては、角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要は必ずしも無い。
(角形電池セル1)
【0022】
角形電池セル1は、その外形を構成する外装缶を、幅よりも厚さを薄くした角形としている。この外装缶を閉塞する封口板に正負の電極端子を設けると共に、電極端子の間に安全弁を設けている。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。安全弁の開弁により、外装缶の内圧上昇を停止することができる。この角形電池セル1を構成する素電池は、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。特に、角形電池セル1にリチウムイオン電池を使用すると、パック電池全体の体積や質量に対する充電容量を大きくできる特長がある。
【0023】
角形電池セル1は、所定の厚さを有する四角形で、上面の両端部には正負の電極端子を突出して設けており、上面の中央部には安全弁の開口部を設けている。積層される角形電池セル1は、隣接する正負の電極端子をバスバー6で連結して互いに直列に接続している。隣接する角形電池セル1を互いに直列に接続する組電池10は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただ、組電池は、隣接する角形電池セルを並列に接続することもできる。また角形電池セル1は、金属製の外装缶で製作している。この角形電池セル11は、隣接する角形電池セル1の外装缶のショートを防止するために絶縁材のセパレータ2を挟着している。なお、角形電池セルの外装缶は、プラスチック等の絶縁材で製作することもできる。この場合、角形電池セルは外装缶を絶縁して積層する必要がないので、セパレータを金属製とすることもできる。
(セパレータ2)
【0024】
セパレータ2は、隣接する角形電池セル1を電気的、熱的に絶縁して積層するスペーサである。このセパレータ2はプラスチック等の絶縁材で製作しており、互いに隣接する角形電池セル1同士の間に配置されて、隣接する角形電池セル1を絶縁している。
(エンドプレート3)
【0025】
角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5の両端面には一対のエンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3で電池積層体5を締結している。エンドプレート3は、十分な強度を発揮する材質、例えば金属製とする。このエンドプレート3は、図1に示す下ケース71と固定するための固定構造を備えている。この例では、エンドプレート3の下端から突出させたケース固定部3aを設けており、下ケース71と螺合等により固定される。図4などに示すように、組電池10の底面で冷却プレート60の端面からケース固定部3aを突出させており、この状態で下ケース71とエンドプレート3とを固定することで、冷却プレート60は電池積層体5と下ケース71とで上下方向から狭持されるようにして固定される。
【0026】
また、冷却プレート側にエンドプレートを固定する構造を設けることもできる。図17に示す変形例では、冷却プレート60Dを一枚で構成すると共に、冷却プレート60Dに、エンドプレート3のケース固定部3aを挿入する固定孔3bを形成している。これにより、ケース固定部3aを固定孔3bに圧入して、エンドプレート3を介して電池積層体5を冷却プレート60Dに固定できる。
(締結部材4)
【0027】
締結部材4は、図2〜図6に示すように、両端にエンドプレート3が積層された電池積層体5の両側面に配置されて、一対のエンドプレート3に固定されて電池積層体5を締結する。この締結部材4は、図3の斜視図に示すように、電池積層体5の側面を覆う本体部41と、本体部41の両端で折曲され、エンドプレート3と固定される折曲片42と、上方で折曲されて電池積層体5の上面を保持する上面保持部43と、下方に突出される締結連結部44を備える。このような締結部材4は、十分な強度を有する材質、例えば金属製で構成される。なお図2等に示す例では、上述の通り2つの電池積層体5を積層方向に並べた状態で、両側側面を締結部材4で一体的に連結している。この構成では、締結部材4を電池積層体5同士を連結するための部材としても利用している。ここでは、端面に位置するエンドプレート3同士を締結部材4で固定すると共に、2つの電池積層体5の間で対向するエンドプレート3には、締結部材は固定されない。なお、各電池積層体にそれぞれ締結部材を設けることもでき、この場合は各電池積層体にそれぞれの端面の位置するエンドプレート同士を、締結部材で固定する。
(折曲片42)
【0028】
折曲片42は、エンドプレート3を側面から背面にかけて覆うようにして、エンドプレート3が電池積層体5の積層方向に拡張しないよう、押圧する。ここでは、図3の分解斜視図に示すように折曲片42の上下にねじ穴をそれぞれ開口し、さらにエンドプレート3側にもねじ穴を開口することで、ねじ止めによって締結部材4をエンドプレート3に固定している。
(上面保持部43)
【0029】
上面保持部43は、図3の分解斜視図及び図7、図8の断面図に示すように、本体部41の上面をL字状に折曲して角形電池セルの上面の係止する。これによって角形電池セル1が浮き上がる事態を阻止し、電池積層体5を冷却プレート60側に押圧した状態を維持でき、熱結合状態の維持に寄与する。また、このような上面保持部43を受けるため、角形電池セル1を狭持又は被覆するセパレータ2、あるいはセパレータを使用しない場合には角形電池セル1に直接、上面保持部43と係合される段差面を設けている。
(本体部41)
【0030】
また本体部41は、図3に示すように上下にほぼ平行に渡されたバインドバー本体41aと、2本のバインドバー本体41a同士の間を連結するように交差された複数の連結体41bとで構成される。これにより、本体部41には部分的な開口が複数設けられる。このように複数の開口部分を設けて電池積層体5を露出させることで、電池積層体5を外気に触れさせて放熱し易くできる。
【0031】
さらに、この開口部分から冷却風を角形電池セルの間に冷却風を強制的に送風して、角形電池セルを冷却する空冷機構を付加しても良い。この場合は、セパレータは角形電池セル1との間に、空気等の冷却気体を通過させる送風隙間を設ける。例えばセパレータの、角形電池セルとの対向面に、両側縁まで延びる溝を設けて、角形電池セルとの間に送風隙間を設けている。また、セパレータの両面に溝を設けることで、互いに隣接する角形電池セルとセパレータとの間に送風隙間を設けることができる。このように後述する冷媒による冷却と空冷による冷却を組み合わせることで、角形電池セルの熱暴走を有効に阻止しながら、角形電池セルを効率よく冷却でき、また一方の冷却機能では不十分な場合や機能しない場合の予備としても利用できる。ただ、このような空冷を採用しない構成としてもよいことはいうまでもない。
(締結連結部44)
【0032】
以上のように、本体部41の両端に設けられた折曲片42により、締結部材4はエンドプレート3と固定される。そしてこのエンドプレート3によって、電池積層体5は冷却プレート60と固定されている。ただ、これのみでは、電池積層体の両端で冷却プレートと固定された構造となって、電池積層体の中間部分が冷却プレートと十分な熱結合状態に接触されるよう維持するには、特に車載用途のような振動や衝撃に晒される環境では、信頼性が不十分であった。そこで、上述した上面保持部で電池積層体の上面から押圧する構成に加え、電池積層体の中間部分を冷却プレートと直接連結する構造を付加することで、一層接触状態が確実に発揮され、信頼性を向上できる。このような連結構造として、締結連結部44を本体部41の中間に設けている。締結連結部44は、図5、図6等に示すように、複数を互いに離間して設けることが好ましい。本発明では、2本のバインドバー本体41aのうち、冷却プレートに近い側の本体部41aに締結連結部44を設けているが、冷却プレートに遠い側の本体部41aに締結連結部44を設けても良く、締結連結部44を設ける箇所は特に限定しない。
(係止片45)
【0033】
締結連結部44は、図6等の例では、先端を鉤状に形成した係止片45としている。この係止片45は、好ましくは図8、図9等に示すように、鉤状の突出方向が、電池積層体5に対して内向きに形成する。これにより、電池積層体5から外向きに突出しないので、電池積層体5同士を隣接させても、隣接する鉤状同士が互いに干渉しない。よって、電池積層体5同士を近接して並べて配置でき、冷却プレート60上に効率よく電池積層体5を配置し、また大型化も回避できる。
(プレート連結部)
【0034】
一方で冷却プレート60側には、この締結連結部44と連結するための連結機構としてプレート連結部を設けている。プレート連結部は、締結連結部44を設けた位置と対応する位置に設けられる。このようなプレート連結部として、例えば係止片45を係止可能な係止孔46が形成される。これにより、この係止孔46に鉤状の係止片45を挿入して係止することで、締結部材4を容易に冷却プレート60に固定できる。
【0035】
図6の例では、上述の通り一の冷却プレート60に2つの電池積層体5を横に並べて固定している。各電池積層体5は、左右の側面に係止片45を設けている。このため、冷却プレート60の中央側では、係止孔46を貫通孔として形成している。図7、図8の断面図に示す例では、各締結部材4の係止片45を互いに内向きに形成しているため、一の係止孔46を2つの隣接する電池積層体5で共有できる。すなわち、一の係止孔46に、2つの係止片45を挿入して、係止孔46の左右でそれぞれ係止させている。
【0036】
一方で、冷却プレートの側面側でも、仮に貫通孔を冷却プレートに形成しようとすれば、図10に示すようにその分だけ冷却プレート60Bが大型化して電池積層体5の端面よりも幅tだけ突出する。一方で、このような突出を抑制しようとすれば、係止孔を形成する部分の強度が不十分となるおそれがある。そこで図6等に示す例では、別部材である連結バー50を用いて、第二係止孔52を付加している。
(連結バー50)
【0037】
連結バー50は、図3等の分解斜視図に示すように、ストリップ条を断面視略コ字状に折曲した形状としている。ストリップ条は、十分な強度を発揮できるよう金属板で構成する。図1の例では、ストリップ条の表面に段差を形成して強度を向上させている。この連結バー50の長さは、略コ字状の折曲部分で冷却プレートの底面を挟み込める大きさとする。この連結バー50の端面に、プレート連結部として第二係止孔52を開口している。図6等の例では、2つの電池積層体5を並べて固定しているので、各電池積層体5の、冷却プレート端面側に位置する係止片45が、第二係止孔52と係止され、また電池積層体5同士が互いに隣接した側に位置する係止片45は、冷却プレートの中央に開口された係止孔46と係止される。また係止孔46を連結バーで閉塞しないよう、ストリップ条の係止孔46と対応する位置には、係止孔51が開口される。このようにして、連結バー50を用いることで冷却プレートに容易にプレート連結部を付加できる。特に、冷媒循環機能等を備える冷却プレートの形状を複雑化することなく連結機構を追加できる。
【0038】
また、上記構成は一例であり、例えば各電池積層体にそれぞれ冷却プレートを設ける構成においては、図11に示すように連結バー50の第二係止孔52のみで係止片45を固定できる。この構成であれば、冷却プレート60Cに係止孔を設ける必要がないので、冷却プレートの構成を簡素化できる利点が得られる。
(連結バーの変形例)
【0039】
さらに連結バーに、電池積層体を冷却プレートに安定的に連結する構造を付加することもできる。締結連結部44を係止孔51及び第二係止孔52に係止する構造によれば、このような連結構造を設けた部分、すなわち電池積層体の両側部分では、図18に示すように電池積層体と冷却プレートとの接触が発揮されるものの、電池積層体の中間部分(図18において破線の斜線で囲む領域)では、連結構造が無いため、振動や衝撃などの外力を受けて接触状態が不安定となる可能性がある。そこで、電池積層体の中間部分を冷却プレート側に押圧する機構を、連結バーに付加することで、より安定的な接触状態を維持できる。このような例を、図19(a)、(b)の断面図に示す。この図に示す連結バー50Bは、係止孔51及び第二係止孔52を設けた位置で挟まれる領域を、断面視において、中間部分が突出するように湾曲させている。連結バーを金属板などの弾性を有する部材で構成することで、湾曲された山形部分が冷却プレート60に押圧されて変形されると、反発力が働いて、冷却プレート60を押し返す力が働く。図19(a)では、連結バー50Bの中間に係止孔51を設けているため、係止孔51の左右でそれぞれ連結バー50Bが湾曲されて、2つの山形を形成している。これによって、係止孔51及び第二係止孔52にそれぞれ係止片45を係止することで、山形に湾曲された部分が冷却プレートを押し上げ、電池積層体5の中間部分が冷却プレートに押圧される。これによって電池積層体と冷却プレートの密着性が高まり、熱伝導性が発揮されて冷却による信頼性の向上が図られる。
(冷媒循環機構)
【0040】
冷却プレートは、その内部に冷媒循環機構を設けている。図12に、このような冷媒循環機構を一例を示す。図12に示す組電池10は、複数の角形電池セル1を積層している電池積層体5を、冷却プレート60の上面に配置している。この冷却プレート60は、電池積層体5を構成する角形電池セル1に熱結合状態に配置している。冷却プレート60は、冷媒配管61を配設しており、この冷媒配管61を冷却機構69に連結している。この組電池10は、電池積層体5を冷却プレート60に接触させて直接、効果的に冷却できる。また、電池積層体のみならず、例えば電池積層体の端面に配置した各部材等も併せて冷却することもできる
(冷却プレート60)
【0041】
冷却プレート60は、角形電池セル1の熱を熱伝導して外部に放熱するための放熱体であり、図の例では冷媒配管61を配設している。冷却プレート60は、熱交換器として、冷却液である液化された冷媒を循環させる銅やアルミ等の冷媒配管61の冷却パイプを内蔵している。冷却パイプは、図示しないが、冷却プレート60の上面板に熱結合されており、底板との間には断熱材を配設して、底板との間を断熱している。また、冷却プレート60にはこのような冷媒による冷却機能を付加する他、金属板のみで構成することもできる。例えば放熱フィンを設けた金属体等、放熱、伝熱性に優れた形状とする。または金属製に限らず、絶縁性を有する伝熱シートを利用しても良い。
【0042】
冷却プレート60は、内部に配管された冷媒配管61に、冷却機構69から冷却液が供給されて冷却される。冷却プレート60は、冷却機構69から供給される冷却液を、冷媒配管61の内部で気化する気化熱で冷却プレート60を冷却する冷媒としてより効率よく冷却できる。
【0043】
さらに冷却プレート60は、複数の角形電池セル1の温度を均等化する均熱化手段としても機能する。すなわち、冷却プレート60が角形電池セル1から吸収する熱エネルギーを調整して、温度が高くなる角形電池セル、例えば中央部の角形電池セルを効率よく冷却して、温度が低くなる領域、例えば両端部の角形電池セルの冷却を少なくして、角形電池セルの温度差を少なくする。これによって、角形電池セルの温度むらを低減して、一部の角形電池セルの劣化が進み過充電、過放電となる事態を回避できる。
【0044】
なお、図12では、電池積層体5の底面に冷却プレート60を配置する例を示したが、この構成に限られるものでない。例えば冷却プレートを電池セルの側面に配置することもできる。
【0045】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0046】
図13に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0047】
また図14に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0048】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図15に示す。この図に示す電源装置100は、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の電池セルが直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0049】
電源装置100で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100と接続されている。電源装置100の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図15の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0050】
各電池パック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、パック入出力端子DIと、パック異常出力端子DAと、パック接続端子DOとを含む。パック入出力端子DIは、他のパック電池や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、パック接続端子DOは子パックである他のパック電池に対して信号を入出力するための端子である。またパック異常出力端子DAは、パック電池の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池パック81同士を直列、並列に接続するための端子である。
【0051】
さらにこの電源装置100は、電池ユニット82の均等化のための均等化モードを備える。電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。このため電源コントローラ84に制御される均等化回路86を備えている。均等化回路86によって、複数の電池ユニット82間の電池残存容量のばらつきを抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0053】
100…電源装置
1…角形電池セル
2…セパレータ
3…エンドプレート;3a…ケース固定部;3b…固定孔
4…締結部材
5…電池積層体
6…バスバー
10…組電池
41…本体部;41a…バインドバー本体;41b…連結体
42…折曲片
43…上面保持部
44…締結連結部
45…係止片
46…係止孔
50、50B…連結バー
51…係止孔
52…第二係止孔
60、60B、60C、60D…冷却プレート
61…冷媒配管
69…冷却機構
70…外装ケース
71…下ケース
72…上ケース
73…端面プレート
74…鍔部
81…電池パック
82…電池ユニット
84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ
86…均等化回路
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
101…電池;102…電池ブロック;103…冷却プレート;104…熱交換器;105…フレーム構造体
t…幅;EV、HV…車両
LD…負荷;CP…充電用電源;DS…放電スイッチ;CS…充電スイッチ
OL…出力ライン;HT…ホスト機器
DI…パック入出力端子;DA…パック異常出力端子;DO…パック接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置及びこのような電源装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の組電池等、出力を高くした電源装置が求められている。このような電源装置では、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高く、出力電力を大きくしている。電池セルは、大電流で充放電されると発熱する。特に、使用する電池セルの数が増えるに従い、発熱量も増大する。よって、効率よく電池セルの放熱を熱伝導して発散させる放熱機構が求められる。このような放熱機構を備える電源装置は開発されている(例えば特許文献1参照)。この電源装置は、図16に示すように、内部に冷媒を循環して冷媒の気化熱で強制冷却する熱交換器104を内蔵した冷却プレート103と、この冷却プレート103の上に固定されると共に、複数の電池101を接続した電池ブロック102と、冷却プレート103を固定しているフレーム構造体105とを備え、冷却プレート103で電池ブロック102を強制冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238389号公報
【特許文献2】特開2010−123412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、冷却プレートの内部に冷媒を循環して冷媒の気化熱で強制冷却する構成においては、電池ブロックの発熱を冷却プレート側に確実に熱伝導できるよう、冷却プレートと電池ブロックとを熱接続状態とすることが肝要となる。しかしながら、電池ブロックと冷却プレートとが確実に接触状態となるような固定状態を維持することは容易でない。特に従来の電源装置では、電池セルを積層した電池積層体の端面の両側にエンドプレートを設け、エンドプレートで狭持した電池ブロックを構成しており、このエンドプレートでもって冷却プレートに固定する構成が採られている。この構成では、電池ブロックの中間部分を冷却プレートと固定する構造が無いため、冷却プレートとの接触状態が不十分となるおそれがあった。特に、車載用の電源装置のような、振動や衝撃に晒される環境では、外力を受けて中間部分の電池セルが振動や衝撃で浮き上がり、冷却プレートとの接触が損なわれることが考えられる。この結果、冷媒による冷却能力が十分に発揮されず、電池セルの放熱が十分になされない事態が生じ、電源装置の信頼性や安定性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電池積層体と冷却プレートとの接触状態を安定的に維持しもって冷却能力を十分に発揮させることが可能な電源装置及び電源装置を備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体と、電池積層体を側面で締結するための締結部材と、前記締結部材で締結された電池積層体を上面に載置し、前記電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートと、を備える電源装置であって、前記締結部材は、前記電池積層体の中間における複数箇所で前記冷却プレートと連結するための締結連結部を備えており、さらに前記冷却プレートは、前記締結連結部と連結するためのプレート連結部を備えており、前記締結連結部とプレート連結部とを連結することで、前記電池積層体を前記冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成できる。これにより、締結連結部とプレート連結部とを連結することで、電池積層体を中間部位の複数箇所で冷却プレートと連結でき、中間部分の浮き上がり等を回避して、冷却プレートで角形電池セルの放熱を効率よく放熱できる利点が得られる。
【0007】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、前記締結連結部が、先端を鉤状に形成した係止片を備えており、前記プレート連結部が、前記係止片を係止可能な係止孔に形成することができる。これにより、係止孔に係止片を挿入して容易に締結部材を冷却プレートに固定できる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、前記係止孔を貫通孔に形成できる。これにより、係止孔を容易に形成できる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、さらに断面視略コ字状に折曲されたストリップ状の連結バーを備え、前記連結バーの端面に、前記プレート連結部として第二係止孔が開口されてなり、前記連結バーを前記冷却プレートの底面に配置すると共に、該冷却プレートの側面に前記第二係止孔を開口できる。これにより、冷却プレートに容易にプレート連結部を付加でき、冷媒循環機能等を備える冷却プレートの形状を複雑化することなく連結機構を追加できる利点が得られる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、前記係止孔が、冷却プレートの中間で開口される一方、前記第二係止孔を、冷却プレートの側面に開口することができる。これにより、冷却プレート上に2つの電池積層体を並べた状態で、一の連結バーにて2つの電池積層体を連結できる利点が得られる。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、前記連結バーを、前記冷却プレートに向かって突出する方向に湾曲させることができる。これにより、連結バーで冷却プレートと電池積層体を連結した状態で、湾曲部分を押圧する反作用によって冷却プレートを電池積層体側に押圧でき、より密着力を発揮できる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、前記係止片の鉤状の突出方向を、前記電池積層体に対して内向きに形成することができる。これにより、複数の電池積層体を隣接させても、係止片が互いに干渉する事態を回避でき、密接させて配置でき省スペースへの配置が実現される。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、さらに前記電池積層体の長手方向における端面を狭持するためのエンドプレートを備え、前記締結部材で、前記エンドプレート同士を締結できる。これにより、エンドプレートを利用して電気積層体を狭持できる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る車両によれば、上記いずれかの電源装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る電源装置を備える電源装置の分解斜視図である。
【図2】図1の組電池を示す斜視図である。
【図3】図2の組電池を示す分解斜視図である。
【図4】図2を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図4の分解斜視図である。
【図6】図2の組電池を冷却プレートに固定する様子を示す分解斜視図である。
【図7】図6の組電池を冷却プレートに固定する様子を示す断面図である。
【図8】図7の組電池を冷却プレートに固定した様子を示す断面図である。
【図9】図8の固定部分を示す拡大断面図である。
【図10】冷却プレートの左右に貫通孔を設けた場合の構造を示す模式断面図である。
【図11】変形例に係る冷却プレートを示す断面図である。
【図12】冷媒循環機構を示す模式図である。
【図13】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図14】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図15】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【図16】従来の電源装置を示す分解斜視図である。
【図17】他の変形例に係る冷却プレートを示す斜視図である。
【図18】電池積層体の両端部のみを連結する構造を示す模式底面図である。
【図19】図19(a)は変形例に係る連結バーを用いて冷却プレートと電池積層体を連結する様子を示す分解断面図であり、図19(b)は図19(a)で連結した状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0017】
図1〜図12に基づいて、実施例1に係る電源装置100として、車載用の電源装置100に適用した例を説明する。これらの図に示す電源装置100は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車や、モータのみで走行する電気自動車等の電動車両の電源に最適である。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車以外の車両に使用し、また、電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
(電源装置100)
【0018】
電源装置100の外観は、図1の分解斜視図に示すように、上面を長方形状とする箱形である。この電源装置100は、箱形の外装ケース70を二分割して、内部に複数の組電池10を収納している。外装ケース70は、下ケース71と、上ケース72と、これらの下ケース71、上ケース72の両端に連結している端面プレート73とを備えている。上ケース72と下ケース71は、外側に突出する鍔部74を有し、この鍔部74をボルトとナットで固定している。外装ケース70は、鍔部74を外装ケース70の側面に配置している。また図1に示す例では、組電池10を長手方向に2つ、横方向に2列、計4個下ケース71に収納している。なお、図2等に示す例では、組電池10を2つ、積層方向に並べた状態で、側面を締結部材で連結している。各組電池10は、外装ケース70内部の定位置に固定している。端面プレート73は、下ケース71と上ケース72の両端に連結されて、外装ケース70の両端を閉塞している。
(組電池10)
【0019】
組電池10は、図2〜図6に示すように、複数の角形電池セル1と、複数の角形電池セル1同士を積層する面に介在させて、角形電池セル1間を絶縁するセパレータ2と、複数の角形電池セル1とセパレータ2を交互に積層した電池積層体5の積層方向の端面に配置された一対のエンドプレート3と、電池積層体5の両端面でエンドプレート3同士を締結する金属製の複数の締結部材4とを備えている。さらに電池積層体5は、これを冷却するための冷却プレート60上に固定されている。冷却プレート60は、電池積層体5で発生する熱を熱伝導して放熱させるための部材であり、冷却プレート60の内部に冷媒を循環させている(詳細は後述)。また、冷却プレート60を電池積層体5よりも大きく形成することで、一枚の冷却プレート60上に複数の電池積層体5を載置して冷却できる。図4〜図6等の例では、各冷却プレート60上に2つの電池積層体5を並列に載置している。上述の通り、電池積層体5は長さ方向に2つの電池積層体5が直列に連結されており、このような連結状態にある電池積層体2本を、2枚の冷却プレート60で支持している。ただ、この例に限られず、例えば一枚の冷却プレート上に4つの電池積層体すべてを載置して、冷却プレートを共通化することもできる。あるいは、電池積層体の底面とほぼ同じ大きさの冷却プレートを用意し、各電池積層体5を冷却プレートで個別に冷却する構成としてもよい。
(電池積層体5)
【0020】
組電池10は、複数の角形電池セル1を、絶縁性のセパレータ2を介して積層して電池積層体5とし、この電池積層体5の両端面に一対のエンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3を締結部材4で連結している。以上の図に示す組電池10は、互いに隣接する角形電池セル1を絶縁するセパレータ2を角形電池セル1同士の積層面に介在させて、複数の角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5としている。
【0021】
なお組電池は、必ずしも角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要はない。例えば角形電池セルの外装缶を絶縁材で成形し、あるいは角形電池セルの外装缶の外周を絶縁シートや絶縁塗料等で被覆する等の方法で、互いに隣接する角形電池セル同士を絶縁することによって、セパレータを不要とできる。特に、角形電池セルの間に冷却風を強制送風して角形電池セルを冷却する空冷式によらず、冷媒等を用いて冷却させた冷却プレートを介して電池積層体を冷却する方式を採用する構成においては、角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要は必ずしも無い。
(角形電池セル1)
【0022】
角形電池セル1は、その外形を構成する外装缶を、幅よりも厚さを薄くした角形としている。この外装缶を閉塞する封口板に正負の電極端子を設けると共に、電極端子の間に安全弁を設けている。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。安全弁の開弁により、外装缶の内圧上昇を停止することができる。この角形電池セル1を構成する素電池は、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。特に、角形電池セル1にリチウムイオン電池を使用すると、パック電池全体の体積や質量に対する充電容量を大きくできる特長がある。
【0023】
角形電池セル1は、所定の厚さを有する四角形で、上面の両端部には正負の電極端子を突出して設けており、上面の中央部には安全弁の開口部を設けている。積層される角形電池セル1は、隣接する正負の電極端子をバスバー6で連結して互いに直列に接続している。隣接する角形電池セル1を互いに直列に接続する組電池10は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただ、組電池は、隣接する角形電池セルを並列に接続することもできる。また角形電池セル1は、金属製の外装缶で製作している。この角形電池セル11は、隣接する角形電池セル1の外装缶のショートを防止するために絶縁材のセパレータ2を挟着している。なお、角形電池セルの外装缶は、プラスチック等の絶縁材で製作することもできる。この場合、角形電池セルは外装缶を絶縁して積層する必要がないので、セパレータを金属製とすることもできる。
(セパレータ2)
【0024】
セパレータ2は、隣接する角形電池セル1を電気的、熱的に絶縁して積層するスペーサである。このセパレータ2はプラスチック等の絶縁材で製作しており、互いに隣接する角形電池セル1同士の間に配置されて、隣接する角形電池セル1を絶縁している。
(エンドプレート3)
【0025】
角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5の両端面には一対のエンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3で電池積層体5を締結している。エンドプレート3は、十分な強度を発揮する材質、例えば金属製とする。このエンドプレート3は、図1に示す下ケース71と固定するための固定構造を備えている。この例では、エンドプレート3の下端から突出させたケース固定部3aを設けており、下ケース71と螺合等により固定される。図4などに示すように、組電池10の底面で冷却プレート60の端面からケース固定部3aを突出させており、この状態で下ケース71とエンドプレート3とを固定することで、冷却プレート60は電池積層体5と下ケース71とで上下方向から狭持されるようにして固定される。
【0026】
また、冷却プレート側にエンドプレートを固定する構造を設けることもできる。図17に示す変形例では、冷却プレート60Dを一枚で構成すると共に、冷却プレート60Dに、エンドプレート3のケース固定部3aを挿入する固定孔3bを形成している。これにより、ケース固定部3aを固定孔3bに圧入して、エンドプレート3を介して電池積層体5を冷却プレート60Dに固定できる。
(締結部材4)
【0027】
締結部材4は、図2〜図6に示すように、両端にエンドプレート3が積層された電池積層体5の両側面に配置されて、一対のエンドプレート3に固定されて電池積層体5を締結する。この締結部材4は、図3の斜視図に示すように、電池積層体5の側面を覆う本体部41と、本体部41の両端で折曲され、エンドプレート3と固定される折曲片42と、上方で折曲されて電池積層体5の上面を保持する上面保持部43と、下方に突出される締結連結部44を備える。このような締結部材4は、十分な強度を有する材質、例えば金属製で構成される。なお図2等に示す例では、上述の通り2つの電池積層体5を積層方向に並べた状態で、両側側面を締結部材4で一体的に連結している。この構成では、締結部材4を電池積層体5同士を連結するための部材としても利用している。ここでは、端面に位置するエンドプレート3同士を締結部材4で固定すると共に、2つの電池積層体5の間で対向するエンドプレート3には、締結部材は固定されない。なお、各電池積層体にそれぞれ締結部材を設けることもでき、この場合は各電池積層体にそれぞれの端面の位置するエンドプレート同士を、締結部材で固定する。
(折曲片42)
【0028】
折曲片42は、エンドプレート3を側面から背面にかけて覆うようにして、エンドプレート3が電池積層体5の積層方向に拡張しないよう、押圧する。ここでは、図3の分解斜視図に示すように折曲片42の上下にねじ穴をそれぞれ開口し、さらにエンドプレート3側にもねじ穴を開口することで、ねじ止めによって締結部材4をエンドプレート3に固定している。
(上面保持部43)
【0029】
上面保持部43は、図3の分解斜視図及び図7、図8の断面図に示すように、本体部41の上面をL字状に折曲して角形電池セルの上面の係止する。これによって角形電池セル1が浮き上がる事態を阻止し、電池積層体5を冷却プレート60側に押圧した状態を維持でき、熱結合状態の維持に寄与する。また、このような上面保持部43を受けるため、角形電池セル1を狭持又は被覆するセパレータ2、あるいはセパレータを使用しない場合には角形電池セル1に直接、上面保持部43と係合される段差面を設けている。
(本体部41)
【0030】
また本体部41は、図3に示すように上下にほぼ平行に渡されたバインドバー本体41aと、2本のバインドバー本体41a同士の間を連結するように交差された複数の連結体41bとで構成される。これにより、本体部41には部分的な開口が複数設けられる。このように複数の開口部分を設けて電池積層体5を露出させることで、電池積層体5を外気に触れさせて放熱し易くできる。
【0031】
さらに、この開口部分から冷却風を角形電池セルの間に冷却風を強制的に送風して、角形電池セルを冷却する空冷機構を付加しても良い。この場合は、セパレータは角形電池セル1との間に、空気等の冷却気体を通過させる送風隙間を設ける。例えばセパレータの、角形電池セルとの対向面に、両側縁まで延びる溝を設けて、角形電池セルとの間に送風隙間を設けている。また、セパレータの両面に溝を設けることで、互いに隣接する角形電池セルとセパレータとの間に送風隙間を設けることができる。このように後述する冷媒による冷却と空冷による冷却を組み合わせることで、角形電池セルの熱暴走を有効に阻止しながら、角形電池セルを効率よく冷却でき、また一方の冷却機能では不十分な場合や機能しない場合の予備としても利用できる。ただ、このような空冷を採用しない構成としてもよいことはいうまでもない。
(締結連結部44)
【0032】
以上のように、本体部41の両端に設けられた折曲片42により、締結部材4はエンドプレート3と固定される。そしてこのエンドプレート3によって、電池積層体5は冷却プレート60と固定されている。ただ、これのみでは、電池積層体の両端で冷却プレートと固定された構造となって、電池積層体の中間部分が冷却プレートと十分な熱結合状態に接触されるよう維持するには、特に車載用途のような振動や衝撃に晒される環境では、信頼性が不十分であった。そこで、上述した上面保持部で電池積層体の上面から押圧する構成に加え、電池積層体の中間部分を冷却プレートと直接連結する構造を付加することで、一層接触状態が確実に発揮され、信頼性を向上できる。このような連結構造として、締結連結部44を本体部41の中間に設けている。締結連結部44は、図5、図6等に示すように、複数を互いに離間して設けることが好ましい。本発明では、2本のバインドバー本体41aのうち、冷却プレートに近い側の本体部41aに締結連結部44を設けているが、冷却プレートに遠い側の本体部41aに締結連結部44を設けても良く、締結連結部44を設ける箇所は特に限定しない。
(係止片45)
【0033】
締結連結部44は、図6等の例では、先端を鉤状に形成した係止片45としている。この係止片45は、好ましくは図8、図9等に示すように、鉤状の突出方向が、電池積層体5に対して内向きに形成する。これにより、電池積層体5から外向きに突出しないので、電池積層体5同士を隣接させても、隣接する鉤状同士が互いに干渉しない。よって、電池積層体5同士を近接して並べて配置でき、冷却プレート60上に効率よく電池積層体5を配置し、また大型化も回避できる。
(プレート連結部)
【0034】
一方で冷却プレート60側には、この締結連結部44と連結するための連結機構としてプレート連結部を設けている。プレート連結部は、締結連結部44を設けた位置と対応する位置に設けられる。このようなプレート連結部として、例えば係止片45を係止可能な係止孔46が形成される。これにより、この係止孔46に鉤状の係止片45を挿入して係止することで、締結部材4を容易に冷却プレート60に固定できる。
【0035】
図6の例では、上述の通り一の冷却プレート60に2つの電池積層体5を横に並べて固定している。各電池積層体5は、左右の側面に係止片45を設けている。このため、冷却プレート60の中央側では、係止孔46を貫通孔として形成している。図7、図8の断面図に示す例では、各締結部材4の係止片45を互いに内向きに形成しているため、一の係止孔46を2つの隣接する電池積層体5で共有できる。すなわち、一の係止孔46に、2つの係止片45を挿入して、係止孔46の左右でそれぞれ係止させている。
【0036】
一方で、冷却プレートの側面側でも、仮に貫通孔を冷却プレートに形成しようとすれば、図10に示すようにその分だけ冷却プレート60Bが大型化して電池積層体5の端面よりも幅tだけ突出する。一方で、このような突出を抑制しようとすれば、係止孔を形成する部分の強度が不十分となるおそれがある。そこで図6等に示す例では、別部材である連結バー50を用いて、第二係止孔52を付加している。
(連結バー50)
【0037】
連結バー50は、図3等の分解斜視図に示すように、ストリップ条を断面視略コ字状に折曲した形状としている。ストリップ条は、十分な強度を発揮できるよう金属板で構成する。図1の例では、ストリップ条の表面に段差を形成して強度を向上させている。この連結バー50の長さは、略コ字状の折曲部分で冷却プレートの底面を挟み込める大きさとする。この連結バー50の端面に、プレート連結部として第二係止孔52を開口している。図6等の例では、2つの電池積層体5を並べて固定しているので、各電池積層体5の、冷却プレート端面側に位置する係止片45が、第二係止孔52と係止され、また電池積層体5同士が互いに隣接した側に位置する係止片45は、冷却プレートの中央に開口された係止孔46と係止される。また係止孔46を連結バーで閉塞しないよう、ストリップ条の係止孔46と対応する位置には、係止孔51が開口される。このようにして、連結バー50を用いることで冷却プレートに容易にプレート連結部を付加できる。特に、冷媒循環機能等を備える冷却プレートの形状を複雑化することなく連結機構を追加できる。
【0038】
また、上記構成は一例であり、例えば各電池積層体にそれぞれ冷却プレートを設ける構成においては、図11に示すように連結バー50の第二係止孔52のみで係止片45を固定できる。この構成であれば、冷却プレート60Cに係止孔を設ける必要がないので、冷却プレートの構成を簡素化できる利点が得られる。
(連結バーの変形例)
【0039】
さらに連結バーに、電池積層体を冷却プレートに安定的に連結する構造を付加することもできる。締結連結部44を係止孔51及び第二係止孔52に係止する構造によれば、このような連結構造を設けた部分、すなわち電池積層体の両側部分では、図18に示すように電池積層体と冷却プレートとの接触が発揮されるものの、電池積層体の中間部分(図18において破線の斜線で囲む領域)では、連結構造が無いため、振動や衝撃などの外力を受けて接触状態が不安定となる可能性がある。そこで、電池積層体の中間部分を冷却プレート側に押圧する機構を、連結バーに付加することで、より安定的な接触状態を維持できる。このような例を、図19(a)、(b)の断面図に示す。この図に示す連結バー50Bは、係止孔51及び第二係止孔52を設けた位置で挟まれる領域を、断面視において、中間部分が突出するように湾曲させている。連結バーを金属板などの弾性を有する部材で構成することで、湾曲された山形部分が冷却プレート60に押圧されて変形されると、反発力が働いて、冷却プレート60を押し返す力が働く。図19(a)では、連結バー50Bの中間に係止孔51を設けているため、係止孔51の左右でそれぞれ連結バー50Bが湾曲されて、2つの山形を形成している。これによって、係止孔51及び第二係止孔52にそれぞれ係止片45を係止することで、山形に湾曲された部分が冷却プレートを押し上げ、電池積層体5の中間部分が冷却プレートに押圧される。これによって電池積層体と冷却プレートの密着性が高まり、熱伝導性が発揮されて冷却による信頼性の向上が図られる。
(冷媒循環機構)
【0040】
冷却プレートは、その内部に冷媒循環機構を設けている。図12に、このような冷媒循環機構を一例を示す。図12に示す組電池10は、複数の角形電池セル1を積層している電池積層体5を、冷却プレート60の上面に配置している。この冷却プレート60は、電池積層体5を構成する角形電池セル1に熱結合状態に配置している。冷却プレート60は、冷媒配管61を配設しており、この冷媒配管61を冷却機構69に連結している。この組電池10は、電池積層体5を冷却プレート60に接触させて直接、効果的に冷却できる。また、電池積層体のみならず、例えば電池積層体の端面に配置した各部材等も併せて冷却することもできる
(冷却プレート60)
【0041】
冷却プレート60は、角形電池セル1の熱を熱伝導して外部に放熱するための放熱体であり、図の例では冷媒配管61を配設している。冷却プレート60は、熱交換器として、冷却液である液化された冷媒を循環させる銅やアルミ等の冷媒配管61の冷却パイプを内蔵している。冷却パイプは、図示しないが、冷却プレート60の上面板に熱結合されており、底板との間には断熱材を配設して、底板との間を断熱している。また、冷却プレート60にはこのような冷媒による冷却機能を付加する他、金属板のみで構成することもできる。例えば放熱フィンを設けた金属体等、放熱、伝熱性に優れた形状とする。または金属製に限らず、絶縁性を有する伝熱シートを利用しても良い。
【0042】
冷却プレート60は、内部に配管された冷媒配管61に、冷却機構69から冷却液が供給されて冷却される。冷却プレート60は、冷却機構69から供給される冷却液を、冷媒配管61の内部で気化する気化熱で冷却プレート60を冷却する冷媒としてより効率よく冷却できる。
【0043】
さらに冷却プレート60は、複数の角形電池セル1の温度を均等化する均熱化手段としても機能する。すなわち、冷却プレート60が角形電池セル1から吸収する熱エネルギーを調整して、温度が高くなる角形電池セル、例えば中央部の角形電池セルを効率よく冷却して、温度が低くなる領域、例えば両端部の角形電池セルの冷却を少なくして、角形電池セルの温度差を少なくする。これによって、角形電池セルの温度むらを低減して、一部の角形電池セルの劣化が進み過充電、過放電となる事態を回避できる。
【0044】
なお、図12では、電池積層体5の底面に冷却プレート60を配置する例を示したが、この構成に限られるものでない。例えば冷却プレートを電池セルの側面に配置することもできる。
【0045】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0046】
図13に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0047】
また図14に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0048】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図15に示す。この図に示す電源装置100は、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の電池セルが直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0049】
電源装置100で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100と接続されている。電源装置100の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図15の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0050】
各電池パック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、パック入出力端子DIと、パック異常出力端子DAと、パック接続端子DOとを含む。パック入出力端子DIは、他のパック電池や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、パック接続端子DOは子パックである他のパック電池に対して信号を入出力するための端子である。またパック異常出力端子DAは、パック電池の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池パック81同士を直列、並列に接続するための端子である。
【0051】
さらにこの電源装置100は、電池ユニット82の均等化のための均等化モードを備える。電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。このため電源コントローラ84に制御される均等化回路86を備えている。均等化回路86によって、複数の電池ユニット82間の電池残存容量のばらつきを抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0053】
100…電源装置
1…角形電池セル
2…セパレータ
3…エンドプレート;3a…ケース固定部;3b…固定孔
4…締結部材
5…電池積層体
6…バスバー
10…組電池
41…本体部;41a…バインドバー本体;41b…連結体
42…折曲片
43…上面保持部
44…締結連結部
45…係止片
46…係止孔
50、50B…連結バー
51…係止孔
52…第二係止孔
60、60B、60C、60D…冷却プレート
61…冷媒配管
69…冷却機構
70…外装ケース
71…下ケース
72…上ケース
73…端面プレート
74…鍔部
81…電池パック
82…電池ユニット
84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ
86…均等化回路
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
101…電池;102…電池ブロック;103…冷却プレート;104…熱交換器;105…フレーム構造体
t…幅;EV、HV…車両
LD…負荷;CP…充電用電源;DS…放電スイッチ;CS…充電スイッチ
OL…出力ライン;HT…ホスト機器
DI…パック入出力端子;DA…パック異常出力端子;DO…パック接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体と、
電池積層体を側面で締結するための締結部材と、
前記締結部材で締結された電池積層体を上面に載置し、前記電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートと、
を備える電源装置であって、
前記締結部材は、前記電池積層体の中間における複数箇所で前記冷却プレートと連結するための締結連結部を備えており、
さらに前記冷却プレートは、前記締結連結部と連結するためのプレート連結部を備えており、
前記締結連結部とプレート連結部とを連結することで、前記電池積層体を前記冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成してなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記締結連結部が、先端を鉤状に形成した係止片を備えており、
前記プレート連結部が、前記係止片を係止可能な係止孔に形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記係止孔が、貫通孔に形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載の電源装置であって、さらに、
断面視略コ字状に折曲されたストリップ状の連結バーを備え、
前記連結バーの端面に、前記プレート連結部として第二係止孔が開口されてなり、
前記連結バーを前記冷却プレートの底面に配置すると共に、該冷却プレートの側面に前記第二係止孔を開口してなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記係止孔が、冷却プレートの中間で開口される一方、
前記第二係止孔が、冷却プレートの側面に開口されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電源装置であって、
前記連結バーが、前記冷却プレートに向かって突出する方向に湾曲されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記係止片の鉤状の突出方向が、前記電池積層体に対して内向きに形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一に記載の電源装置であって、さらに、
前記電池積層体の長手方向における端面を狭持するためのエンドプレートを備え、
前記締結部材で、前記エンドプレート同士を締結してなることを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の電源装置を搭載してなる車両。
【請求項1】
複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体と、
電池積層体を側面で締結するための締結部材と、
前記締結部材で締結された電池積層体を上面に載置し、前記電池積層体で発生する熱を熱伝導するための冷却プレートと、
を備える電源装置であって、
前記締結部材は、前記電池積層体の中間における複数箇所で前記冷却プレートと連結するための締結連結部を備えており、
さらに前記冷却プレートは、前記締結連結部と連結するためのプレート連結部を備えており、
前記締結連結部とプレート連結部とを連結することで、前記電池積層体を前記冷却プレートと熱結合状態に連結可能に構成してなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記締結連結部が、先端を鉤状に形成した係止片を備えており、
前記プレート連結部が、前記係止片を係止可能な係止孔に形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記係止孔が、貫通孔に形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載の電源装置であって、さらに、
断面視略コ字状に折曲されたストリップ状の連結バーを備え、
前記連結バーの端面に、前記プレート連結部として第二係止孔が開口されてなり、
前記連結バーを前記冷却プレートの底面に配置すると共に、該冷却プレートの側面に前記第二係止孔を開口してなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記係止孔が、冷却プレートの中間で開口される一方、
前記第二係止孔が、冷却プレートの側面に開口されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電源装置であって、
前記連結バーが、前記冷却プレートに向かって突出する方向に湾曲されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記係止片の鉤状の突出方向が、前記電池積層体に対して内向きに形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一に記載の電源装置であって、さらに、
前記電池積層体の長手方向における端面を狭持するためのエンドプレートを備え、
前記締結部材で、前記エンドプレート同士を締結してなることを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の電源装置を搭載してなる車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−181972(P2012−181972A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43347(P2011−43347)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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