説明

電源装置

【課題】 設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比が100%以下の調光の場合でも半導体発光素子を所望する調光下限まで制御することができる電源装置を提供する。
【解決手段】 所定のデューティ比で調光下限となる基準電圧VF1を補正値VFoで補正して基準電圧VFを生成し、この基準電圧VFを用いてLDE照明灯26の調光を制御することにより調光下限となるタイミングを補正前のデューティ比より小さい領域で実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED素子)などの半導体発光素子を調光点灯可能にした電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、LED素子の電源装置としてスイッチング手段を用いた直流の電源装置が多く用いられている。
【0003】
そして、この種の電源装置として、特許文献1に開示されるように負荷であるLED素子に流れる負荷電流を検出し、この検出信号と予め用意される基準信号との比較結果に基づいて制御回路によりスイッチング素子をオンオフさせてLED素子に対する出力を制御するようなものがある。また、このような電源装置には、外部からのデューティ比の異なるPWM信号を調光深度の異なるPWM調光信号として入力し、このPWM調光信号に基づいて基準信号を可変することでLED素子の光出力の調光を可能にした調光機能を有するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−313423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LED素子の調光機能を有する電源装置では、PWM調光信号のデューティ比と基準信号の基準電圧との関係を図6(a)の直線Aに示すように、デューティ比が0%で基準電圧VF1を最大とし、その後、デューティ比が増加するに従い基準電圧VF1をリニアに減少させ、デューティ比100%のときに基準電圧がゼロにすることで広い範囲で光出力を制御することが考えられる。このようにすれば、PWM調光信号のデューティ比が0%付近でLED素子の光出力が全光(100%)となり、デューティ比が100%になるとLED素子の光出力がゼロになって消灯する。
【0006】
ところが、このような電源装置を既設の、例えば、設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比が85%までしか可変できないものに使用しようとした場合、図6(b)の直線A1に示すように下限が全光(100%)の25%までしかLED素子の光出力を調光することができない。これは、オンデューティ比85%から100%の間は、基準電圧VF11が25%で固定されてしまうからで、LED素子の光出力が25%から消灯状態まで制御することができない。
【0007】
このため、従来では、設定可能な最大デューティ比が100%以下の調光器を使用する場合は、最適な基準電圧を発生する基準電圧発生部を有する電源装置を調光器の仕様ごとに用意している。しかし、調光器のPWM調光信号の最大デューティ比に応じて種類の異なる電源装置を揃えることは、製品のばらつきや品質管理が煩雑になり、経済的に不利になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比が100%以下の調光の場合でも半導体発光素子を所望する調光下限まで制御することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、直流出力を生成する直流出力生成手段と、前記直流出力生成手段より生成される直流出力により点灯される半導体発光素子と、デューティ比の異なるPWM調光信号に応じて可変されることにより、所定のデューティ比で調光下限となるように前記半導体発光素子を調光可能とする第1の基準信号を生成するとともに、該第1の基準電圧を補正する補正値を設定し、該補正値による前記第1の基準信号の補正によりPWM調光信号の前記所定のデューティ比よりもデューティ比が小さい領域で所望の調光下限値となるように前記半導体発光素子を調光可能とする第2の基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号生成手段の第2の基準信号に基づいて半導体発光素子の光出力の調光を制御する調光制御手段と を具備したことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基準信号生成手段の補正値は、第2の基準信号をゼロにする前記所定のデューティ比に応じて異なる値に設定可能にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定のデューティ比で調光下限となる第1の基準信号を所定の補正値で補正して第2の基準信号を生成し、この第2の基準電圧を用いて半導体発光素子の調光を制御することにより調光下限となるタイミングを補正前のデューティ比より小さい領域で実現することができる。
【0012】
また、本発明によれば、PWM調光信号の最大デューティ比に対応する第2の基準信号の設定を補正値の大きさの設定により対応できるので、PWM調光信号の最大デューティ比が100%以下の各種の調光器に対し電源装置の基本的な構成要素を共通にでき、経済的に有利にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電源装置が適用される照明器具の斜視図。
【図2】第1の実施の形態にかかる電源装置が適用される照明器具の断面図。
【図3】第1の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図4】第1の実施の形態に適用される調光制御部の回路例を示す図。
【図5】第1の実施の形態に適用される調光制御部の基準電圧生成部の具体的回路例を示す図。
【図6】第1の実施の形態に適用される調光制御部の基準電圧とデューティ比、光出力とデューティ比の関係を示す図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に適用される調光制御部の基準電圧とデューティ比、光出力とデューティ比の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の電源装置が適用される照明器具について簡単に説明する。図1及び図2において、1は器具本体で、この器具本体1は、アルミニウムのダイカスト製のもので、両端を開口した円筒状をしている。この器具本体1は、内部を仕切り部材1a、1bにより上下方向に3分割され、下方開口と仕切り部材1aの間の空間は、光源部2に形成されている。この光源部2には、半導体発光素子としての複数のLED2aと反射体2bが設けられている。複数のLED2aは、仕切り部材1a下面に設けられた円盤状の配線基板2cの円周方向に沿って等間隔に配置され実装されている。
【0016】
器具本体1の仕切り部材1aと1bの間の空間は電源室3に形成されている。この電源室3は、仕切り部材1a上部に配線基板3aが配置されている。この配線基板3aには、前記複数のLED2aを駆動するための電源装置を構成する各電子部品が設けられている。この直流電源装置と複数のLED2aは、リード線4により接続されている。
【0017】
器具本体1の仕切り板1bと上方開口の間の空間は、電源端子室5に形成されている。この電源端子室5は、仕切り板1bに電源端子台6が設けられている。この電源端子台6は、電源室3の電源装置に商用電源の交流電力を供給するための端子台で、電絶縁性の合成樹脂で構成されたボックス6aの両面に電源ケーブル用端子部となる差込口6b、送りケーブル用端子部となる差込口6c及び電源線及び送り線を切り離すリリースボタン6dなどを有している。
【0018】
図3は、このように構成された照明器具の電源室3に組み込まれる本発明の電源装置の概略構成を示している。
【0019】
図3において、11は交流電源で、この交流電源11は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源11には、全波整流回路12の入力端子が接続されている。全波整流回路12は、交流電源11からの交流電力を全波整流した出力を発生する。
【0020】
全波整流回路12には、電源手段として昇圧チョッパ回路13が接続されている。この昇圧チョッパ回路13は、全波整流回路12の正負極の出力端子間に昇圧用トランスを構成する第1のインダクタ14及びスイッチング素子としての電界効果トランジスタ15の直列回路が接続され、電界効果トランジスタ15に並列に図示極性のフライホイールダイオード16を介して平滑用コンデンサである電解コンデンサ17が接続されている。また、電解コンデンサ17の両端には、電圧検出手段として抵抗18,19の直列回路が接続されている。抵抗18,19は、電解コンデンサ17の出力より分圧電圧を発生し、このうち抵抗19の端子電圧を制御部27に出力する。電界効果トランジスタ15は、制御部27での抵抗19の端子電圧と予め用意される参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作される。第1のインダクタ14は、電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力を発生させる。制御部27については、後述する。
【0021】
昇圧チョッパ回路13には、出力発生手段としての降圧チョッパ回路20が接続されている。この降圧チョッパ回路20は、電解コンデンサ17の両端にスイッチング素子としての電界効果トランジスタ21、フライホイールダイオード22及び負荷電流検出手段として抵抗23の直列回路が接続されている。また、フライホイールダイオード22の両端には、第2のインダクタ24と平滑コンデンサ25の直列回路が接続されている。抵抗23は、後述するLDE照明灯26に流れる負荷電流を検出し、この検出出力を制御部27に出力する。電界効果トランジスタ21は、制御部27での抵抗23より検出される負荷電流に応じた検出出力と基準電圧生成部272aより生成される基準電圧VFとの比較結果に基づいてオンオフ動作されLDE照明灯26に流れる電流を制御することで光出力の調光を行う。第2のインダクタ24は、電界効果トランジスタ21のオンオフ動作に伴う電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ25両端に降圧された直流出力を発生させる。
【0022】
降圧チョッパ回路20には、LDE照明灯26(図1のLED2aに該当する)が接続されている。このLDE照明灯26は、半導体発光素子として複数のLED素子を直列に接続したものである。この場合、LDE照明灯26は、複数のLED素子を直列に接続した直列回路を、さらに複数個並列に接続したものであってもよい。
【0023】
制御部27は、電源装置全体を制御するもので、電源出力制御部271と調光制御手段を構成する調光制御部272を有している。電源出力制御部271は、不図示の参照電圧が記憶されていて、参照電圧と抵抗19の端子電圧との比較結果に基づいて電界効果トランジスタ15のオンオフ動作を制御し、この電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う第1のインダクタ14での電磁的エネルギーの蓄積及び放出により電解コンデンサ17両端に昇圧された出力電圧を発生させる。調光制御部272は、図4に示すように基準信号生成手段としての基準電圧生成部35、比較器36およびスイッチング制御回路37を有している。基準電圧生成部35には、PWM調光信号発生部38が接続され、このPWM調光信号発生部38より入力されるデューティ比の異なるPWM調光信号に基づいて可変される第2の基準信号としての基準電圧VFを生成する。この基準電圧生成部35については後述する。比較器36は、一方端子に基準電圧生成部35で生成された基準電圧VFが入力され、他方端子に抵抗23より検出される負荷電流に応じた検出出力が入力され、これらの比較結果を出力する。スイッチング制御回路37は、比較器36の比較結果により電界効果トランジスタ21のスイッチング駆動を制御し、LDE照明灯26に流れる電流を制御することで光出力の調光を行う。
【0024】
図5は、基準電圧生成部35の具体的な回路例を示すものである。図5に示す入力端子t1、t2には、PWM調光信号発生部38よりデューティ比の異なるPWM調光信号が入力される。ここでは、オンデューティ比のPWM調光信号が入力されるものとする。入力端子t1、t2には、フォトカプラPhcのフォトダイオードPhDが接続されている。また、フォトカプラPhcのフォトトランジスタPhTには、抵抗R1とR2の直列回路が直列接続されている。また、フォトトランジスタPhTと抵抗R1とR2の直列回路には、抵抗R3とR4の直列回路が並列接続されている。そして、抵抗R1とR2の接続点にNPN型トランジスタTrのベースが接続され、さらにNPN型トランジスタTrのコレクタが抵抗R3とR4の接続点に、エミッタが抵抗R2とR4の接続点に接続されている。
【0025】
NPN型トランジスタTrは、PWM調光信号のオン期間にフォトトランジスタPhTがオンすると抵抗R1とR2の接続点に発生する電圧によりオンされる。抵抗R4には、抵抗R5とコンデンサC1の直列回路が並列接続されている。コンデンサC1は、NPN型トランジスタTrのオフの間に抵抗R4両端に発生する電圧を充電する。この場合のコンデンサC1の充電電圧は、PWM調光信号のオンデューティ比により決定される第1の基準信号としての基準電圧VF1である。
【0026】
抵抗R5とコンデンサC1の接続点には、OPアンプOP1の非反転入力端子に接続されている。OPアンプOP1は、出力端子を抵抗R6を介して反転入力端子に接続され、この反転入力端子に抵抗R7を介してOPアンプOP2の出力端子が接続されている。OPアンプOP2は、非反転入力端子に電源BT1が接続され、また、反転入力端子と出力端子が直接接続されている。この場合、電源BT1は、コンデンサC1両端に発生する基準電圧VF1を補正する補正値VFoを設定するもので、設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比に応じて異なる補正値VFoを設定可能にしている。つまり、PWM調光信号の最大デューティ比を100%以下の所定のデューティ比とした場合、補正値VFoによる基準電圧VF1の補正により、上記の所定のデューティ比のとき基準電圧VFがゼロとなるような値に補正値VFoが設定されている。ここでの補正値VFoは、PWM調光信号の最大デューティ比が85%のとき基準電圧VFをゼロとするような値に設定されている。
【0027】
OPアンプOP1は、コンデンサC1の端子電圧と、OPアンプOP2の出力電圧の差を出力するもので、ここでは、負帰還をかけてn点とp点の電位が等しくなるように動作し出力端子に(VF1−VFo)×(R6+R7)/VFoの基準電圧VFを発生する。
【0028】
図6(a)は、基準電圧VF、VF1および補正電圧VFoのそれぞれの関係を示すものである。この場合、基準電圧VF1は、PWM調光信号のオンデューティ比に応じて直線Aに示すように100〜0%の範囲で変化する。また、補正値VFoが、図示Bのように設定されると、基準電圧VF1を補正値VFoにより補正して得られる基準電圧VFは、基準電圧VF1の直線Aに対して平行移動されPWM調光信号の最大デューティ比が85%でゼロになる直線Cとして得られる。
【0029】
なお、上述の補正値VFoは、基準電圧VFがPWM調光信号の最大デューティ比85%でゼロになる場合であるが、例えば、基準電圧VFがPWM調光信号の最大デューティ比95%でゼロになるようにするには、図示Eに示すように補正値をVFo1に変更して直線Fに示す基準電圧VFを生成すればよい。
【0030】
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
【0031】
この場合、図5に示す基準電圧生成部35は、PWM調光信号発生部38より入力端子t1、t2にオンデューティ比の異なるPWM調光信号が入力される。すると、PWM調光信号のオン期間ではフォトカプラPhcのフォトトランジスタPhTがオンし、抵抗R1とR2の接続点に発生する電圧によりNPN型トランジスタTrがオンする。また、PWM調光信号のオフ期間では、フォトトランジスタPhTがオフし、NPN型トランジスタTrもオフする。これにより、抵抗R4両端に発生する電圧が抵抗R5を介してコンデンサC1に充電され、コンデンサC1両端にPWM調光信号のオンデューティ比により決定される基準電圧VF1が発生する(図6(a)の直線A参照)。この基準電圧VF1は、OPアンプOP1に入力される。OPアンプOP1には、OPアンプOP2より電源BT1による補正値VFoが入力されており(図6(a)のB参照)、OPアンプOP1の出力端子より(VF1−VFo)×(R6+R7)/VFoの基準電圧VFが発生する。このときの基準電圧VFは、PWM調光信号の最大デューティ比が85%でゼロになる(図6(a)の直線C参照)。
【0032】
このようにして基準電圧生成部35より生成される基準電圧VFは、図4に示す比較器36に入力される。この状態で、交流電源11の交流電力が全波整流回路12で全波整流され、昇圧チョッパ回路13に供給される。昇圧チョッパ回路13では、電界効果トランジスタ15が抵抗19の端子電圧と、電源出力制御部271に予め用意された参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作し、この電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う第1のインダクタ14の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力電圧を発生する。
【0033】
昇圧チョッパ回路13の出力電圧は、降圧チョッパ回路20に供給される。この場合、制御部27の調光制御部272では、比較器36の一方端子に基準電圧生成部35の基準電圧VFが入力され、他方入力端子に抵抗23より検出される負荷電流に応じた検出出力が入力される。比較器36は、基準電圧VFと負荷電流に応じた検出出力の比較結果を出力し、スイッチング制御回路37は、比較器36の比較結果に応じた駆動信号により電界効果トランジスタ21をスイッチング駆動する。
【0034】
これにより、電界効果トランジスタ21のオンオフ動作に伴う第2のインダクタ24の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ25両端に降圧された出力電圧(直流出力)が発生し、この出力電圧によりLDE照明灯26が点灯され、同時に、LDE照明灯26に流れる電流が基準電圧VFに応じて制御され、LDE照明灯26の光出力が調光制御される。
【0035】
この状態で、PWM調光信号発生部38より入力されるPWM調光信号のオンデューティ比を可変すれば、このときのPWM調光信号のオンデューティ比に応じた基準電圧VFによりLDE照明灯26の光出力が図6(b)の直線B1に示すようにデューティ比が最大デューティ比の85%以下の範囲で変化し、LDE照明灯26の光出力を変化させることができる。
【0036】
したがって、このようにすれば、基準電圧生成部35よりPWM調光信号のオンデューティ比に応じて100〜0%の範囲で変化する基準電圧VF1を生成するとともに、基準電圧VF1を補正する補正値VFoを設定し、この補正値VFoにより基準電圧VF1を補正することで、PWM調光信号のデューティ比が100%以下の所定のデューティ比、例えば、PWM調光信号の最大デューティ比が85%のときゼロとなるような基準電圧VFを生成し、この基準電圧VFを用いてLDE照明灯26の調光を制御するようにした。これにより、図6(b)の直線B1に示すようにデューティ比が最大デューティ比の85%以下の範囲では基準電圧VFに応じてLDE照明灯26の光出力を変化させることができ、所望する調光を行うことができ、また、デューティ比が最大デューティ比85%に達すると基準電圧VFがゼロになることで、LDE照明灯26の光出力が0%となり消灯することができる。この結果、例えば、PWM調光信号の最大デューティ比が85%までしか可変できない調光器を使用した場合も、調光器のデューティ比が85%に達すると、光出力が固定してしまうようなことがなく、LDE照明灯26の光出力を0%、つまり消灯まで制御することができる。
【0037】
また、設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比が100%以下の他の調光器を使用する場合も、基準電圧生成部35での補正値VFoを変更し、この補正値VFoによる基準電圧VF1の補正により、最大デューティ比でゼロになるような基準電圧VFを生成すれば、調光器においてPWM調光信号のデューティ比が最大デューティ比に調整されるとLDE照明灯26の光出力が固定されることがなく、0%の消灯状態まで制御することができる。これにより、設定可能なPWM調光信号の最大デューティ比が100%以下の各種の調光器に対して最適な基準電圧を発生するための基準電圧発生部を個々に用意することなく電源装置の基本的な構成要素を共通化できるので、異なる種類の電源装置を多数揃えることによる製品のばらつきを防止できるとともに、品質管理も容易となり経済的に有利にできる。
【0038】
(変形例)
上述の実施の形態では、基準電圧VF1の補正値VFoによる補正により、最大デューティ比85%で消灯となるような基準電圧VFを生成する例を述べたが、例えば、図7(b)のB11に示すように最大デューティ比85%で調光下限の光出力が5%となるように設定することもできる。この場合、基準電圧VF1は、図7(a)の直線Aに示すようにPWM調光信号のオンデューティ比に応じて100〜0%の範囲で変化する。また、補正値VFoにより基準電圧VF1を補正して基準電圧VFを生成するが、このときの基準電圧VFは、直線Dに示すように基準電圧VF1の直線Aに対して傾きを変え、最大デューティ比90%でゼロになるようにする。この場合、補正値VFoは、デューティ比に応じて大きさを変化するものが用いられる。このようにすれば、図7(a)の直線Aに示す基準電圧VF1に対して図7(b)のA11に示すPWM調光信号のオンデューティ比に応じて100〜0%の範囲で変化する光入力が得られるものが、図7(a)の直線Dに示す基準電圧VFを用いることで、図7(b)の直線B11に示すように最大デューティ比85%で調光下限の光出力が5%となるような調光を設定することができる。つまり、所定のデューティ比で調光下限となるような基準電圧VF1を補正値VFoで補正して新たな基準電圧VFを生成し、この基準電圧VFを用いてLDE照明灯26の調光を制御することにより調光下限となるタイミングを補正前のデューティ比より小さい領域で実現するものを得ることができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、制御部27は、アナログ回路の例を述べたが、マイコンやデジタル処理を用いた制御方式を採用したものを用いることができる。また、上述した基準電圧生成部35では、オンデューティ比のPWM調光信号に基づいて基準電圧VF1を得るようにしたが、オフデューティ比のPWM調光信号に基づいて基準電圧VF1を得るようにしてもよい。
【0040】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【符号の説明】
【0041】
1…器具本体、2…光源部、3…電源室
11…交流電源、12…全波整流回路
13…昇圧チョッパ回路、14…第1のインダクタ
15…電界効果トランジスタ、20…降圧チョッパ回路
21…電界効果トランジスタ、24…第2のインダクタ
26…LDE照明灯、27…制御部、271…電源出力制御部
272…調光制御部、35…基準電圧生成部、36…比較器
37…スイッチング制御回路、38…調光信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流出力を生成する直流出力生成手段と、
前記直流出力生成手段より生成される直流出力により点灯される半導体発光素子と、
デューティ比の異なるPWM調光信号に応じて可変されることにより、所定のデューティ比で調光下限となるように前記半導体発光素子を調光可能とする第1の基準信号を生成するとともに、該第1の基準電圧を補正する補正値を設定し、該補正値による前記第1の基準信号の補正によりPWM調光信号の前記所定のデューティ比よりもデューティ比が小さい領域で所望の調光下限値となるように前記半導体発光素子を調光可能とする第2の基準信号を生成する基準信号生成手段と、
前記基準信号生成手段の第2の基準信号に基づいて半導体発光素子の光出力の調光を制御する調光制御手段と
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記基準信号生成手段の補正値は、第2の基準信号をゼロにする前記所定のデューティ比に応じて異なる値に設定可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−205778(P2010−205778A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46742(P2009−46742)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】