説明

電源装置

【課題】広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変な小型の電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置1は、一次側巻線14aと複数の二次側巻線14b,14cとを備える高周波トランス14と、高周波トランス14の一次側に設けられ、商用交流電源PSから供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ11と、高周波トランス14の一次側巻線14a及びコンバータ11に接続され、直流電力と交流電力との変換を行う電力変換回路12と、高周波トランス14が備える複数の二次側巻線14a,14bの接続関係を切り替える切替器15と、切替器15を介して高周波トランス14の二次側巻線14b,14cに接続され、直流電力と交流電力との変換を行う電力変換回路16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力の供給を行う電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会を実現すべく、動力発生源としてエンジンとモータとを併用するハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)や動力発生源としてモータのみを用いる電気自動車(EV:Electric Vehicle)の研究が盛んに行われている。これらハイブリッド自動車や電気自動車は、再充電が可能なリチウムイオン二次電池等の二次電池が用いられている。電気自動車に設けられた二次電池は、基本的には外部の電源装置を用いて充電される。また、ハイブリット自動車のうち、所謂プラグイン・ハイブリット車と呼ばれるものは、電気自動車と同様に外部の電源装置を用いて二次電池の充電が可能である。
【0003】
上記の電気自動車等に設けられる二次電池の充電に用いられる電源装置は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)コンバータ、PWMインバータ、及び整流器を備えており、電圧が200Vである商用交流電源から二次電池の充電に必要となる直流電力を生成する。ここで、電気自動車等に設けられる二次電池は、接地されずに電気的に浮いた状態にあるため、電源装置は、二次電池と商用交流電源とを絶縁するためのトランスをPWMコンバータの入力側に備える。しかしながら、商用交流電源の周波数は50Hz又は60Hzと低く大型のトランスが必要になるため、電源装置が大型化するという問題があった。
【0004】
ここで、電源装置を小型化するためには当然ながら小型のトランスを用いれば良いが、そのためにはトランスの一次側に入力される交流の周波数を高める必要がある。以下の特許文献1には、直流電源を高周波出力に変換する高周波リンク方式のインバータをトランスの一次側に設けるとともに、トランスの二次側に整流回路等を設けて、直流電源の電圧変換を行うDC/DCコンバータが開示されている。このDC/DCコンバータでは、インバータによって変換された交流波出力をトランスの一次側に入力しているため、小型のトランスを用いることが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−197733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示されたDC/DCコンバータを上記の電源装置に適用すれば小型のトランスを用いることが可能であるため、電源装置の小型化を図ることができるとも考えられる。しかしながら、引用文献1に開示されたDC/DCコンバータは、トランスの二次側の出力電圧が一次側巻線と二次側巻線との巻線比でほぼ決まってしまう。このため、引用文献1に開示されたDC/DCコンバータが仮に電源装置に適用できたとしても、その出力電圧の可変幅が狭いという問題がある。
【0007】
電気自動車等に用いられる二次電池の電圧が一定であれば、電源装置の出力電圧の可変幅が狭くとも問題は生じない。しかしながら、二次電池の電圧は電気自動車等のメーカー毎に様々であり、50〜500V程度の範囲内のものが用いられると想定される。このため、電気自動車等に設けられる二次電池の充電に用いられる電源装置は、上述した広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変である必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変な小型の電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電源装置は、商用交流電源(PS)から直流電力を生成する電源装置(1)であって、一次側巻線(14a)と複数の二次側巻線(14b、14c)とを備える高周波トランス(14)と、前記高周波トランスの一次側に設けられ、前記商用交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ(11)と、前記高周波トランスの一次側巻線及び前記コンバータに接続され、直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路(12)と、前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線の接続関係を切り替える切替器(15)と、前記切替器を介して前記高周波トランスの二次側巻線に接続され、直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路(16)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の電源装置において、前記切替器は、前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線を、直列接続するのか又は並列接続するのかを切り替えることを特徴としている。
また、本発明の電源装置において、前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線は、同じ巻線数であることを特徴としている。
また、本発明の電源装置において、前記高周波トランスは、一次側に対する二次側の昇圧比が1に設定されていることを特徴としている。
また、本発明の電源装置において、前記第1電力変換回路は、リアクトル(13)を介して前記高周波トランスの一次側巻線に接続されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高周波トランスの一次側にコンバータ及び第1電力変換回路を配置するとともに、高周波トランスの二次側に第2電力変換回路を配置し、直流電力を高周波の交流電力に変換して高周波トランスの一次側と二次側との間で電力の移行を行っている。また、高周波トランスに設けられた複数の二次側巻線の接続関係を切替器によって切り替えられるようにしている。これにより、小型であるとともに広い電圧範囲に亘って出力電圧を変えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による電源装置の要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施形態による電源装置が備える高周波トランスの二次側巻線の接続関係を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による電源装置の一部を抜き出した回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による電源装置が備える電力変換回路の制御例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による電源装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による電源装置の要部構成を示す回路図である。図1に示す通り、本実施形態の電源装置1は、コンバータ11、電力変換回路12(第1電力変換回路)、リアクトル13、高周波トランス14、切替器15、電力変換回路16(第2電力変換回路)、及びコンデンサ17を備えており、商用交流電源PSから供給される交流電力(例えば、電圧が200Vである三相交流電力)から直流電力を生成する。
【0013】
電源装置1によって生成された直流電力は、コンデンサ17の各々の電極に接続された出力端子T1,T2から外部に出力され、例えば出力端子T1,T2間に接続されたリチウムイオン二次電池等の二次電池Bを充電するために用いられる。ここで、本実施形態の電源装置1は、高周波トランス14の一次側から二次側への電力の移行のみならず、高周波トランス14の二次側から一次側への電力の移行が可能であるが、以下では説明を簡単にするために、主として高周波トランス14の一次側から二次側に電力が移行される場合について説明する。
【0014】
コンバータ11は、ダイオード21a〜21fとコンデンサ22とを備えており、商用交流電源PSから供給される三相交流電源を直流電力に変換する。ダイオード21a〜21fは三相全波整流回路を構成しており、商用交流電源PSから供給される三相交流電力を整流する。コンデンサ22は、ダイオード21a〜21fによって構成される三相全波整流回路に対して並列に接続されており、三相全波整流回路で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0015】
電力変換回路12は、トランジスタ23a〜23dとダイオード24a〜24dとを備えており、コンバータ11で変換された直流電力を交流電力に変換してリアクトル13側に出力する。尚、この電力変換回路12は、リアクトル13側から入力される交流電力を直流電力に変換してコンバータ11に出力することも可能である。トランジスタ23a〜23dは、バイポーラトランジスタであり、不図示の制御回路によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ23a〜23dとしてFETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いることも可能である。
【0016】
トランジスタ23a,23bは、コレクタ電極がコンバータ11に設けられたコンデンサ22の一方の電極に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ23c,23dのコレクタ電極にそれぞれ接続されている。また、トランジスタ23c,23dは、エミッタ電極がコンバータ11に設けられたコンデンサ22の他方の電極に接続されている。これらトランジスタ23a〜23dのベース電極は不図示の制御回路に接続されている。また、ダイオード24a〜24dは、トランジスタ23a〜23dのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0017】
トランジスタ23a〜23dの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、コンバータ11からの直流電力が交流電力に変換されてリアクトル13側に出力される。これに対し、トランジスタ23a〜23dが全てオフ状態である場合にリアクトル13側から交流電力が供給されると、その交流電力がダイオード24a〜24dにより整流されてコンバータ11に出力される。
【0018】
リアクトル13は、一端がトランジスタ23bのエミッタ電極とトランジスタ23dのコレクタ電極との接続点に接続されており、他端が高周波トランス14が備える一次側巻線14の一端に接続されている。つまり、上述した電力変換回路12は、リアクトル13を介して高周波トランス14の一次側巻線14に接続されている。このリアクトル13は、力率を調整するために設けられる。尚、一次側巻線14aの他端は、トランジスタ23aのエミッタ電極とトランジスタ23cのコレクタ電極との接続点に接続されている。
【0019】
高周波トランス14は、上述した一次側巻線14aと複数の二次側巻線14b,14cとを備える。この高周波トランス14に設けられる二次側巻線14b,14cの巻線仕様は同じである。つまり、二次側巻線14b,14cは、太さ、断面形状、巻線数等が同じに設定される。また、高周波トランス14は、一次側に対する二次側の昇圧比が1に設定されている。従って、高周波トランス14は、その一次側に印加される電圧とほぼ同じ電圧が二次側巻線14b,14cにそれぞれ誘起される。この高周波トランス14が設けられていることにより、商用交流電源PSと二次電池Bとの間が絶縁されることになる。
【0020】
切替器15は、高周波トランス14が備える二次側巻線14b,14cの接続関係を切り替える。具体的には、不図示の制御回路の制御の下で、二次側巻線14b,14cを直列接続するのか、又は並列接続するのかを切り替える。図2は、本発明の一実施形態による電源装置が備える高周波トランスの二次側巻線の接続関係を示す図である。図2(a)は、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが並列接続された状態を示す図であり、図2(b)は、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが直列接続された状態を示す図である。
【0021】
前述した通り、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cは、巻線仕様が同じに設定されており、各々に同じ電圧が誘起される。ここで、二次側巻線14b,14cの各々に誘起される電圧をVとすると、図2(a)に示す並列接続がされている場合には、電力変換回路16の入力電圧はVになり、図2(b)に示す直列接続がされている場合には、電力変換回路16の入力電圧は2Vになる。出力端子T1,T2間に現れる電源装置1の出力電圧は、電力変換回路16の入力電力に依存するため、本実施形態では、切替器15による切り替えを行うだけで、電源装置1の出力電圧を容易に変えることができる。
【0022】
電力変換回路16は、トランジスタ25a〜25dとダイオード26a〜26dとを備えており、切替器15を介して高周波トランス14の二次側巻線14b,14cに接続され、高周波トランス14の一次側から二次側に移行される交流電力を直流電力に変換して出力する。尚、この電力変換回路16は、コンデンサ17側から供給される直流電力を交流電力に変換して切替器15(高周波トランス14の二次側巻線14b,14c)に出力することも可能である。トランジスタ25a〜25dは、電力変換回路12に設けられるトランジスタ23a〜23dと同様にバイポーラトランジスタであり、不図示の制御回路によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ25a〜25dとしてFETトランジスタを用いることも可能である。
【0023】
トランジスタ25a,25bは、コレクタ電極がコンデンサ17の一方の電極に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ25c,25dのコレクタ電極にそれぞれ接続されている。また、トランジスタ25c,25dは、エミッタ電極がコンデンサ17の他方の電極に接続されている。これらトランジスタ25a〜25dのベース電極は、トランジスタ23a〜23dのベース電極と同様に、不図示の制御回路に接続されている。また、ダイオード26a〜26dは、トランジスタ25a〜25dのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0024】
図2(a)に示す通り、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが切替器15によって並列接続されている場合には、トランジスタ25aのエミッタ電極とトランジスタ25cのコレクタ電極との接続点に二次側巻線14b,14cの一端が共に接続され、トランジスタ25bのエミッタ電極とトランジスタ25dのコレクタ電極との接続点に二次側巻線14b,14cの他端が共に接続される。これに対し、図2(b)に示す通り、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが切替器15によって直列接続されている場合には、トランジスタ25aのエミッタ電極とトランジスタ25cのコレクタ電極との接続点に二次側巻線14bの一端のみが接続され、トランジスタ25bのエミッタ電極とトランジスタ25dのコレクタ電極との接続点に二次側巻線14cの他端のみが接続される。
【0025】
トランジスタ25a〜25dの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、コンデンサ17側から供給される直流電力が交流電力に変換されて切替器15(高周波トランス14の二次側巻線14b,14c)に出力される。これに対し、トランジスタ25a〜25dが全てオフ状態である場合に、高周波トランス14の一次側から二次側に交流電力が移行されると、その交流電力がダイオード26a〜26dにより整流されてコンデンサ17側に出力される。コンデンサ17は、電源装置1の出力端子T1,T2間に接続されており、電力変換回路16で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0026】
ここで、本実施形態の電源装置1は、高周波トランス14の一次側及び二次側にそれぞれ設けられた電力変換回路12,16を所定の関係をもって制御すると、高周波トランス14の一次側から二次側に移行される電力、又は高周波トランス14の二次側から一次側に移行される電力量を制御することができる。図3は、本発明の一実施形態による電源装置の一部を抜き出した回路図である。尚、図3においては、説明を簡単にするために、切替器15を省略し、高周波トランス14の二次側巻線14a,14bをまとめて二次側巻線Cとしている。この図3に示す回路は、コンデンサ22とコンデンサ17との間で、各々に蓄積された直流電力を相互に変換可能なDC/DCコンバータである。
【0027】
いま、図4に示す関係をもって電力変換回路12,16を制御する場合を考える。図4は、本発明の一実施形態による電源装置が備える電力変換回路の制御例を説明するための図である。つまり、図4に示す電圧V1が電力変換回路12の出力端に現れるように電力変換回路12に設けられたトランジスタ23a〜23dをスイッチングし、図4に示す電圧V2が電力変換回路16の入力端に現れるように電力変換回路16に設けられたトランジスタ25a〜25dをスイッチングする。
【0028】
図4に示す電圧V1,V2が現れるように、電圧変換回路12のトランジスタ23a〜23d及び電圧変換回路16のトランジスタ25a〜25dをそれぞれスイッチングした場合に、高周波トランス14の一次側から二次側に移行される電力量Pは、以下の(1)式で表される。
P=V1・V2/(2πfs・L)×φ(1−φ/π) …(1)
但し、上記(1)式中の変数Lはリアクトル13のインダクタンスであり、変数fsは電圧V1,V2の周波数であり、変数φは電圧V1に対する電圧V2の位相遅れである。
【0029】
つまり、上記(1)式から、電圧V1に対する電圧V2の位相遅れφを制御するだけで、高周波トランス14の一次側から二次側に移行される電力量を容易に制御可能であることが分かる。高周波トランス14の二次側から一次側に電力を移行させる場合も、電圧V1に対する電圧V2の位相遅れφを制御するだけで同様に電力量を制御することが可能である。但し、この場合には、電圧V2に対する電圧V1の位相遅れが生ずるよう制御する必要がある。
【0030】
次に、上記構成における電源装置1を用いて二次電池Bを充電する場合の動作について説明する。尚、上述した通り、本実施形態の電源装置1は、電力変換回路12,16の各々を制御することによって高周波トランス14の一次側から二次側に移行される電力量の制御が可能であるが、ここでは説明を簡単にするために、電力変換回路12のみを制御して充電を行う場合について説明する。
【0031】
まず、充電すべき二次電池Bを電源装置1に接続し、二次電池Bの正電極及び負電極を電源装置1の出力端子T1,T2にそれぞれ導通させる。次に、電源装置1に接続した二次電池Bの電圧に応じて切替器15を切り替える。つまり、二次電池Bの電圧が高い場合には、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが直列接続されるように切替器15を切り替え、二次電池Bの電圧が低い場合には、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cが並列接続されるように切替器15を切り替える。
【0032】
以上の作業が終了し、充電開始の指示が行われると、不図示の制御回路から電力変換回路12に制御信号が出力され、電力変換回路12に設けられたトランジスタ23a〜23dのスイッチング動作が開始される。ここで、商用交流電源PSから供給される三相交流電力はコンバータ11によって直流電力に変換され、トランジスタ23a〜23dのスイッチング動作が開始されることにより、その直流電力が交流電力に変換される。
【0033】
電力変換回路12によって変化された交流電力は、リアクトル13を介して高周波トランス14の一次側巻線14aに供給される。高周波トランス14は、二次側巻線14b,14cの巻線仕様が同じであるとともに、一次側に対する二次側の昇圧比が1に設定されている。このため、高周波トランス14の二次側巻線14b,14cには一次側巻線14aに印加された電圧とほぼ同じ電圧が誘起され、これにより交流電力が高周波トランス14の一次側から二次側に移行される。
【0034】
高周波トランス14の二次側に移行された高周波電力は電力変換回路16に入力され、電力変換回路16に設けられたダイオード26a〜26dによって整流された後にコンデンサ17で平滑されて直流電力に変換される。この直流電力は、接続端子T1,T2を介して二次電池Bに供給され、これにより二次電池Bが充電される。このようにして、電源装置1による二次電池Bの充電が行われる。
【0035】
以上の通り、本実施形態では、一次側巻線14aと複数の二次側巻線14a,14bとを備える高周波トランス14を設け、切替器15によって二次側巻線14a,14bの接続関係を切り替えられるようにしたため、広い電圧範囲に亘って電源装置1の出力電圧を変えることができる。これにより、電源装置1を用いて様々な種類の二次電池の充電を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、高周波トランス14の一次側にコンバータ11及び電力変換回路12を配置するとともに、高周波トランス14の二次側に電力変換回路16を配置し、直流電力を高周波の交流電力に変換して高周波トランス14の一次側と二次側との間で電力の移行を行っている。ここで、高周波トランス14は、商用交流電源PSと二次電池Bとの間を絶縁するためにも用いられており、この高周波トランス14としては小型のトランスを用いることができるため、電源装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態による電源装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、高周波トランス14に2つの二次側巻線14a,14bが設けられている例について説明したが、二次側巻線は3つ以上であっても良い。また、上記実施形態では、切替器15によって2つの二次側巻線14a,14bが直列接続されるのか、又は並列接続されるのかが切り替えられる例について説明したが、切替器15による二次側巻線の接続関係の切り替えは任意に設定することができる。例えば、直列接続される二次側巻線の数を任意に切り替え可能にしても良い。
【0038】
更に、上記実施形態では、商用交流電源10が三相交流電力を供給する電源である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は単相交流電力を直流電力に変換する電源装置にも適用することが可能である。尚、以上の実施形態では、電源装置1が二次電池の充電に用いられる電源であるとして説明した。しかしながら、本発明の電源装置は、二次電池の充電に用いられる電源に制限される訳ではなく、出力電圧の切り替えが可能な一般的な電源として用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 電源装置
11 コンバータ
12 電力変換回路
13 リアクトル
14 高周波トランス
14a 一次側巻線
14b,14c 二次側巻線
15 切替器
16 電力変換回路
PS 商用交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源から直流電力を生成する電源装置であって、
一次側巻線と複数の二次側巻線とを備える高周波トランスと、
前記高周波トランスの一次側に設けられ、前記商用交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記高周波トランスの一次側巻線及び前記コンバータに接続され、直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路と、
前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線の接続関係を切り替える切替器と、
前記切替器を介して前記高周波トランスの二次側巻線に接続され、直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記切替器は、前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線を、直列接続するのか又は並列接続するのかを切り替えることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記高周波トランスが備える複数の二次側巻線は、同じ巻線数であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記高周波トランスは、一次側に対する二次側の昇圧比が1に設定されていることを特徴とする請求項3記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1電力変換回路は、リアクトルを介して前記高周波トランスの一次側巻線に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234564(P2011−234564A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104165(P2010−104165)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】