電源装置
【課題】スイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置を提供する。
【解決手段】交流電源6と直流負荷7との間に接続された電源装置1は、交流電源6から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷7へ供給する。電源装置1は、スイッチングされた正負の電圧をトランスTの一次巻線N1に出力する第1のスイッチング回路3と、トランスTの二次巻線N2に誘導されスイッチングされた直流電力を、第2の交流端子Nd5,Nd6間に接続された直流負荷7に供給する第2のスイッチング回路4と、一次巻線N1に直列接続された共振インダクタLrと、第1および第2のスイッチング回路3,4が行うスイッチング動作を制御する制御部5とを備える。制御部5は、第2のスイッチング回路4が行うスイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する。
【解決手段】交流電源6と直流負荷7との間に接続された電源装置1は、交流電源6から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷7へ供給する。電源装置1は、スイッチングされた正負の電圧をトランスTの一次巻線N1に出力する第1のスイッチング回路3と、トランスTの二次巻線N2に誘導されスイッチングされた直流電力を、第2の交流端子Nd5,Nd6間に接続された直流負荷7に供給する第2のスイッチング回路4と、一次巻線N1に直列接続された共振インダクタLrと、第1および第2のスイッチング回路3,4が行うスイッチング動作を制御する制御部5とを備える。制御部5は、第2のスイッチング回路4が行うスイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源と直流負荷との間に接続され、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷へ供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全への意識が高まっている。この流れを受けて、交流電力を直流電力に変換して直流負荷へ供給する電源装置の高効率化が進んでいる。電源装置の高効率化を図れば省電力に貢献し、ひいては地球環境保全につながるからである。
【0003】
電源装置の高効率化を図るには、主としてふたつのアプローチがある。第1は、スイッチ素子に電流が流れることによる導通損失を低減すること、第2は、スイッチ素子がスイッチングすることによるスイッチング損失を低減することである。
【0004】
特許文献1の段落0017〜0020および図2には、トランスの2次側に位置するブリッジ整流回路の下側アーム部に一対の自己消弧素子(ダイオードに比べて順方向電圧降下が小さい)を、整流ダイオードに代えて接続することにより、導通損失の低減を図った電力変換装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2の段落0053〜0054および図6には、トランスの2次側に位置するブリッジ整流回路の下側アーム部に一対のスイッチ回路を、整流ダイオードに代えて接続する構成のコンデンサの充電装置が開示されている。この充電装置は、スイッチ回路がオンするとトランスの2次側に直列接続されたリアクトルに電流エネルギーを蓄積し、スイッチ回路がオフするとリアクトルの電流エネルギーを用いてコンデンサを充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−336943号公報
【特許文献2】特開2001−204170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に係る装置では、一対の自己消弧素子または一対のスイッチ回路は、電圧が印加された状態でターンオンするためスイッチング損失が大きい。そして、この損失が装置の高効率化を妨げる要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源装置は、交流電力を供給する交流電源と直流負荷との間に接続され、前記交流電源から供給された前記交流電力を直流電力に変換して前記直流負荷へ供給する電源装置が前提となる。
【0010】
本発明に係る電源装置は、第1のスイッチング回路と、第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、第2のスイッチング回路と、一次巻線または二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、制御部とを備える。
【0011】
第1のスイッチング回路は、交流電源の全波整流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する。
【0012】
第2のスイッチング回路は、前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、第2の直流端子間に接続された直流負荷に供給する。
【0013】
制御部は、第2のスイッチング回路が行う前記スイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子間を実質的に短絡するようにはたらく。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の回路図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2B】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2C】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2D】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2E】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図3】図3(a)〜(h)は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供するタイミングチャート図である。
【図4A】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4B】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4C】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4D】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4E】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供するタイミングチャート図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る電源装置のうち第1実施形態との相違点に係る三相整流ブリッジ回路を表す回路図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る電源装置1を組み込んだ電気自動車110の電源システムの概要を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の回路図である。この電源装置1は、図1に示すように、交流電源6と直流負荷7との間に接続され、交流電源6から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷7へ電力を供給する。この直流負荷7が二次電池を備える場合は、電源装置1は、交流電源6から供給された交流電力を変換した直流電力を用いて二次電池を充電する。なお、本発明で“接続”という用語を用いる場合は、特に断らない限り、“電気的に接続”することを意味するものとする。
【0017】
電源装置1は、図1に示すように、交流電源6の交流電圧波形を全波整流するブリッジ型の整流回路2と、第1および第2のスイッチング回路3,4と、これら第1および第2のスイッチング回路3,4が行うスイッチング動作を制御する制御部5とを備える。また、電源装置1は、一次巻線N1と二次巻線N2とを磁気結合するトランスTを備える。一次巻線N1の端子間には、共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrが直列接続される。
【0018】
整流回路2は、図1に示すように、相互にブリッジ接続された第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14を有し、これら第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14を用いて交流電源6の交流電圧波形を全波整流する。こうして全波整流された電圧は、平滑インダクタL1を介して第1の平滑コンデンサC1に印加される。一対の端子を有する第1の平滑コンデンサC1は、図1に示すように、一方の端子が第1の接続点Nd1に、他方の端子が第2の接続点Nd2に、それぞれ接続されている。第1および第2の接続点Nd1,Nd2は、本発明の“第1の直流端子”に相当する。
【0019】
第1のスイッチング回路3は、図1に示すように、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4をフルブリッジ接続して構成されている。第1および第2のスイッチング素子H1,H2は、第3の接続点Nd3を介して直列接続されている。この直列接続回路を第1のスイッチングレッグSL1と呼ぶ。第3および第4のスイッチング素子H3,H4は、第4の接続点Nd4を介して直列接続されている。この直列接続回路を第2のスイッチングレッグSL2と呼ぶ。これら第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は、相互に並列接続されている。なお、第3および第4の接続点Nd3,Nd4は、本発明の“第1の交流端子”に相当する。
【0020】
第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4としては、図1に示すように、MOSFETを好適に採用することができる。第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のそれぞれには、図1に示すように、第1〜第4のダイオードD1〜D4が逆並列接続されている。これらの第1〜第4のダイオードD1〜D4は、図1に示すように、MOSFETが本来的に内蔵するボディダイオードを利用してもよい。
【0021】
第1のスイッチング回路3では、図1に示すように、第1および第2の接続点Nd1,Nd2間を第1の直流端子間とし、第3および第4の接続点Nd3,Nd4間を第1の交流端子間としている。第1のスイッチング回路3では、第1の直流端子Nd1,Nd2間に接続されている第1の平滑コンデンサC1にチャージされた電圧を用いて、第1の交流端子Nd3,Nd4間に直列接続された共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1からなる直列接続回路に対し、正負の電圧を印加するようになっている。
【0022】
第2のスイッチング回路4は、図1に示すように、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1とを第5の接続点Nd5を介して直列接続してなる第3のスイッチングレッグSL3、および、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2とを第6の接続点Nd6を介して直列接続した第4のスイッチングレッグSL4を備える。これら第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は、相互に並列接続されている。なお、第5および第6の接続点Nd5,Nd6は、本発明の“第2の交流端子”に相当する。
【0023】
第5および第6のスイッチング素子S1,S2としては、図1に示すように、MOSFETを好適に採用することができる。第5および第6のスイッチング素子S1,S2のそれぞれには、図1に示すように、第6および第8のダイオードD6,D8が逆並列接続されている。これらの第6および第8のダイオードD6,D8は、図1に示すように、MOSFETが本来的に内蔵するボディダイオードを利用してもよい。
【0024】
第2のスイッチング回路4の後段(直流負荷7側)には、第2の平滑コンデンサC2および直流負荷7が並列接続されている。一対の端子を有する第2の平滑コンデンサC2は、図1に示すように、一方の端子が第7の接続点Nd7に、他方の端子が第8の接続点Nd8に、それぞれ接続されている。第7および第8の接続点Nd7,Nd8は、本発明の“第2の直流端子”に相当する。
【0025】
第2のスイッチング回路4では、第5および第6の接続点Nd5,Nd6の間を第2の交流端子間とし、第7および第8の接続点Nd7,Nd8の間を第2の直流端子間としている。第2のスイッチング回路4では、第2の交流端子Nd5,Nd6間に接続された二次巻線N2の電力を、第2の直流端子Nd7,Nd8間に並列接続された第2の平滑コンデンサC2および直流負荷7にそれぞれ供給するようになっている。
【0026】
換言すれば、第2のスイッチング回路4では、第3のスイッチングレッグSL3の端子(第2の直流端子Nd7,Nd8と等価である。)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点Nd5と、第7のダイオードD7および6のスイッチング素子S2の直列接続点Nd6との間を第2の交流端子間としている。
【0027】
第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2は、個々のスイッチング動作が制御部5によって統括制御される。制御部5は、交流電源6からの入力電流を交流電源6の電圧と概ね相似な正弦波状に制御する力率改善制御機能を有している。制御部5には、交流電源6からの入力電圧を検出する電圧センサ11、直流負荷7の電圧すなわち出力電圧を検出する電圧センサ12、交流電源6からの入力電流を検出する電流センサ13、並びに、直流負荷7への出力電流を検出する電流センサ14がそれぞれ接続されている。
【0028】
[第1の位相シフト制御]
電源装置1の第1の位相シフト制御の回路動作を、図2A〜図2E、および、図3(a)〜(h)を参照して説明する。図2A〜図2Eは、第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。具体的には、図2A〜図2Eは、第1の位相シフト制御に係るモード1a〜1eそれぞれの回路動作を示す。図2Aはモード1aに、図2Bはモード1bに、図2Cはモード1cに、図2Dはモード1dに、図2Eはモード1eに、それぞれ対応する。
【0029】
図3(a)〜(h)は、第1実施形態に係る電源装置1のうち各部のオンオフ状態と電流波形の時間推移を表すタイミングチャート図である。ここで、図1および図3(a)〜(h)に示すように、第1のスイッチング素子H1のオンオフ状態をSH1とし、第2のスイッチング素子H2のオンオフ状態をSH2とし、第3のスイッチング素子H3のオンオフ状態をSH3とし、第4のスイッチング素子H4のオンオフ状態をSH4とし、第5のスイッチング素子S1のオンオフ状態をSS1とし、第6のスイッチング素子S2のオンオフ状態をSS2としてそれぞれ定義する。図3(a)〜(f)に示すタイミングチャート図では、点線で表される基準レベルと同位の実線チャートがオフ状態を示し、基準レベルと比べて高位の実線チャートがオン状態を示す。また、共振インダクタLrに流れる電流をILrとし、二次巻線N2に流れる電流をIN2として定義する。
【0030】
なお、第1の位相シフト制御に係る説明では、交流電源6の電圧が一方の極性の場合の動作についてのみ説明し、交流電源6の電圧が他方の極性の場合の動作説明は省略する。後者の場合の動作は、前者の場合の動作を参酌すれば容易に理解できるからである。
【0031】
第1の位相シフト制御は、交流電源6の電圧が所定値以上か否かに係る制御部5の判定結果に基づいて、電源電圧が所定値以上の場合に実行される。この所定値は、出力電圧(直流負荷7の端子間電圧)を入力電圧(交流電源6の全波整流電圧)で除した値である昇圧比に基づいて決定される。換言すれば、第1の位相シフト制御は、昇圧比が所定の水準と比べて低い場合に実行される。なお、出力電圧が高いほど、および入力電圧が低いほど、昇圧比は高くなる。
【0032】
本第1実施形態の説明では、オン状態にあるスイッチング素子の端子間電圧、または、ダイオードの順方向降下電圧と同等もしくはそれ以下のレベルにある電圧をゼロ電圧と呼ぶ。また、あるスイッチング素子の端子間電圧がゼロ電圧である場合に、このスイッチング素子をターンオンすることをゼロ電圧スイッチングと呼ぶ。ゼロ電圧スイッチングによれば、スイッチング損失を抑制すると共に、高調波やEMI(Electro Magnetic Interference;電磁干渉)ノイズ等を低減する効果を期待することができる。ゼロ電圧スイッチングでは、スイッチング素子の端子間において、電圧・電流の過渡現象が原則的に生じないからである。
【0033】
(モード1a)
図3に示す時刻t11から時刻t12に至る期間で定義されるモード1aでは、図2A並びに図3(a)および図3(d)に示すように、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の平滑コンデンサC1の端子間に生じた電圧(以下、“第1の入力電圧”という。)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0034】
その結果、図2Aに示すように、第1の接続点Nd1→第1のスイッチング素子H1→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第4のスイッチング素子H4→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0035】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Aに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1aでは、図2Aおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0036】
交流電源6の周辺では、図2Aに示すように、第2の接続点Nd2→第4の整流ダイオードD14→交流電源6→第1の整流ダイオードD11→平滑インダクタL1→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0037】
(モード1b)
図3に示す時刻t12のタイミングで第4のスイッチング素子H4をターンオフ(図3(d)参照)すると、時刻t12から時刻t13に至る期間で定義されるモード1bの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第4のスイッチング素子H4を経由して流れていた共振インダクタ電流ILrは、行き場を失って第3のダイオードD3に転流する。
【0038】
その結果、図2Bに示すように、第1の接続点Nd1→第1のスイッチング素子H1→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3に逆並列接続された第3のダイオードD3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。
【0039】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Bに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1bでは、図2Bおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0040】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次および二次巻線N1,N2の電流ILr,IN2は、図3(g)および図3(h)に示すように漸減していく。モード1bの初期期間では、図3(c)に示すように、第3のスイッチング素子H3はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第3のスイッチング素子H3をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0041】
第2のスイッチング回路4、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図2Bに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。なお、モード1bにおいて、二次巻線電流IN2が流れ終わる前にスイッチング素子H1,H4をターンオフすると、次のモード1cが省略される場合がある。
【0042】
(モード1c)
二次巻線電流IN2が漸減して終に零になると、時刻t13から時刻t14に至る期間で定義されるモード1cの状態になる。第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図2Cに示すように、モード1bと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。このモード1cでは、共振インダクタLrおよび一次巻線N1には、トランスTの励磁電流が流れている(図3(g)参照)。第2のスイッチング回路4の周辺では、図2Cおよび図3(h)に示すように、二次巻線N2には電流が誘導されていない。
【0043】
(モード1d)
図3に示す時刻t14のタイミングで第1のスイッチング素子H1をターンオフ(図3(a)参照)すると、モード1dの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1のスイッチング素子H1に流れていた共振インダクタ電流ILrは、第2のダイオードD2に転流する。
【0044】
その結果、図2Dに示すように、第2の接続点Nd2→第2のスイッチング素子H2に逆並列接続された第2のダイオードD2→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0045】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次巻線N1の電流ILrは、図3(g)に示すように漸減してゆく。一方、二次巻線N2の電流IN2は、図3(h)に示すように漸増してゆく。モード1dの初期では、図3(b)に示すように、第2のスイッチング素子H2はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第2のスイッチング素子H2をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0046】
第2のスイッチング回路4の周辺では、モード1cにおいて、図2Cおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。この場合、モード1dにおいて、図2Dおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2を時刻t14までにターンオフしておく。
【0047】
交流電源6の周辺では、図2Dに示すように、モード1cと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0048】
(モード1e)
図3に示す時刻t15において一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの流通方向が反転(図3(g)の例では、正から負への反転)すると、モード1eの状態になる。このモード1eは、モード1aの対称動作である。
【0049】
具体的には、図3に示す時刻t15から時刻t16に至る期間で定義されるモード1eでは、図2E並びに図3(b)および図3(c)に示すように、モード1aとは対称的に、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧(第1の直流端子Nd1,Nd2間の電圧)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0050】
その結果、図2Eに示すように、第1の接続点Nd1→第3のスイッチング素子H3→第4の接続点Nd4→一次巻線N1→共振インダクタLr→共振コンデンサCr→第3の接続点Nd3→第2のスイッチング素子H2→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0051】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Eに示すように、モード1aとは対称的に、第8の接続点Nd8→第5のスイッチング素子S1→第5の接続点Nd5→二次巻線N2→第6の接続点Nd6→第7のダイオードD7→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1eでは、図2Eおよび図3(e)に示すように、第5のスイッチング素子S1がオン(同期整流)状態にある。
【0052】
交流電源6の周辺では、図2Eに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0053】
以降、モード1b〜1dのそれぞれの対称動作の後に、モード1aへと戻り、上記の処理を繰り返す。
【0054】
上述した第1の位相シフト制御では、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させ、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御を行うことにより、入力電流や出力電力を調整する。
【0055】
すなわち、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がともにオン状態にあるモード1aの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード1aの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。また、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がともにオン状態にあるモード1eの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード1eの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。
【0056】
第1の位相シフト制御では、第1および第4のスイッチング素子H1,H4のターンオフタイミングが同期した場合に、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さが最大となる。また、第2および第3のスイッチング素子H2,H3のターンオフタイミングが同期した場合に、第1のスイッチング回路3の出力端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さが最大となる。こうした場合に、第1の位相シフト制御では、最大の入力電力・出力電力が得られる。第1の位相シフト制御で得られる最大の入力電力・出力電力よりもさらに大電力の取得要求がある場合には、次述する第2の位相シフト制御を適用する。
【0057】
[第2の位相シフト制御]
電源装置1の第2の位相シフト制御の回路動作を、図4A〜図4E、および、図5(a)〜(h)を参照して説明する。図4A〜図4Eは、第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。具体的には、図4A〜図4Eは、第2の位相シフト制御に係るモード2a〜2eそれぞれの回路動作を示す。図4Aはモード2aに、図4Bはモード2bに、図4Cはモード2cに、図4Dはモード2dに、図4Eはモード2eに、それぞれ対応する。図5(a)〜(h)は、第1実施形態に係る電源装置1のうち各部のオンオフ状態と電流波形の時間推移を表すタイミングチャート図である。
【0058】
なお、第2の位相シフト制御に係る説明では、交流電源6の電圧が一方の極性の場合の動作についてのみ説明し、交流電源6の電圧が他方の極性の場合の動作説明は省略する。後者の場合の動作は、前者の場合の動作を参酌すれば容易に理解できるからである。
【0059】
第2の位相シフト制御は、交流電源6の電圧が所定値以上か否かに係る制御部5の判定結果に基づいて、電源電圧が所定値よりも低い場合に実行される。この所定値は、出力電圧(直流負荷7の端子間電圧)を入力電圧(交流電源6の全波整流電圧)で除した値である昇圧比に基づいて決定される。換言すれば、第2の位相シフト制御は、第1の位相シフト制御の場合とは逆に、昇圧比が所定の水準と比べて高い場合に実行される。
【0060】
(モード2a)
図5に示す時刻t21から時刻t22に至る期間で定義されるモード2aでは、図4A並びに図5(a)および図3(d)に示すように、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。その結果、図4Aに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0061】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Aに示すように、第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のスイッチング素子S1→第6のスイッチング素子S2に逆並列接続された第8のダイオードD8→第6の接続点Nd6の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。モード2aでは、図4Aおよび図5(e)に示すように、第5のスイッチング素子S1がオン(同期整流)状態にある。
【0062】
したがって、二次巻線N2の端子(第2の交流端子)Nd5,Nd6間は実質的に短絡された状態にある。ここで、本発明でいう“実質的に短絡”とは、電流経路内に無視できる程度の電圧降下成分(図4Aの例では、第8のダイオードD8による電圧降下成分)が介在していたとしても短絡とみなす、広義の電気的な短絡を意味する。
【0063】
二次巻線N2の端子Nd5,Nd6間が実質的に短絡された状態にあるということは、二次巻線N2と磁気的に結合された一次巻線N1の端子Nd3,Nd4間にも電圧は生じていない。このため、モード2aでは、第1のスイッチング回路3の周辺において、図5(g)に示すように、共振インダクタ電流ILrは線形に増大してゆく。図4Aに示す回路状態において、第2のスイッチング素子S2をオンすれば同期整流になる。
【0064】
交流電源6の周辺では、図4Aに示すように、モード1aと同様の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0065】
(モード2b)
図5に示す時刻t22のタイミングで第5のスイッチング素子S1をターンオフ(図5(e)参照)すると、時刻t22から時刻t23に至る期間で定義されるモード2bの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図4Bに示すように、モード2aと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0066】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次および二次巻線N1,N2の電流ILr,IN2は、図5(g)および図5(h)に示すように漸減してゆく。
【0067】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Bに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード2bでは、図4Bおよび図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0068】
図5に示す時刻t22のタイミングでは、図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第6のスイッチング素子S2をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0069】
なお、モード2bにおいて、二次巻線電流IN2が漸減して終に零になる前に第1および第4のスイッチング素子H1,H4をターンオフすると、次のモード2cが省略される場合がある。
【0070】
(モード2c)
二次巻線電流IN2が漸減して終に零になると、時刻t23から時刻t24に至る期間で定義されるモード2cの状態になる。第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図4Cに示すように、モード2bと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。このモード2cでは、共振インダクタLrおよび一次巻線N1には、トランスTの励磁電流が流れている。第2のスイッチング回路4の周辺では、図4Cに示すように、二次巻線N2には電流が誘導されていない。
【0071】
(モード2d)
図5に示す時刻t24のタイミングで第1および第4のスイッチング素子H1,H4を同時にターンオフ(図5(a)および図5(d)参照)すると、モード2dの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1および第4のスイッチング素子H1,H4にそれぞれ流れていた共振インダクタ電流ILrは、第2および第3のダイオードD2,D3にそれぞれ転流する。その結果、図4Dに示すように、第2の接続点Nd2→第2のスイッチング素子H2に逆並列接続された第2のダイオードD2→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3に逆並列接続された第3のダイオードD3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0072】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次巻線N1の電流ILrは、図5(g)に示すように漸減してゆく。一方、二次巻線N2の電流IN2は、図5(h)に示すように漸増してゆく。モード2dでは、第2および第3のスイッチング素子H2,H3は、図5(b)および図5(c)に示すように、それぞれオフ状態にある。そこで、このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第2および第3のスイッチング素子H2,H3を同時にターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0073】
(モード2e)
図5に示す時刻t25のタイミングで一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの流通方向が反転(図5(g)の例では、正から負への反転)すると、モード2eの状態になる。このモード2eは、モード2aの対称動作である。
【0074】
具体的には、図5に示す時刻t25から時刻t26に至る期間で定義されるモード2eでは、図4E並びに図5(b)および図5(c)に示すように、モード2aとは対称的に、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧(第1の直流端子Nd1,Nd2間の電圧)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0075】
その結果、図4Eに示すように、第1の接続点Nd1→第3のスイッチング素子H3→第4の接続点Nd4→一次巻線N1→共振インダクタLr→共振コンデンサCr→第3の接続点Nd3→第2のスイッチング素子H2→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0076】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Eに示すように、モード2aとは対称的に、第8の接続点Nd8→第5のスイッチング素子S1→第5の接続点Nd5→二次巻線N2→第6の接続点Nd6→第6のスイッチング素子S2→第8の接続点Nd8の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。モード2eでは、図4Eおよび図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0077】
交流電源6の周辺では、図4Eに示すように、モード2aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0078】
以降、モード2b〜2dのそれぞれの対称動作の後に、モード2aへと戻り、上記の処理を繰り返す。
【0079】
上述した第2の位相シフト制御では、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させ、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加しながら二次巻線N2の端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御を行うことにより、入力電流や出力電力を調整する。
【0080】
すなわち、第1,第4および第5のスイッチング素子H1,H4,S1がともにオン状態にあるモード2aの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード2aの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。また、第2,第3および第6のスイッチング素子H2,H3,S2がともにオン状態にあるモード2eの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード2eの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。
【0081】
ところで、制御部5の動作モードを、第1の位相シフト制御と第2の位相シフト制御との間で切り替えた場合に、その切り替え部分での出力の変化が不連続になる場合がある。このような場合には、第1の位相シフト制御と第2の位相シフト制御との中間の状態を設け、この中間の状態を経由して動作モードを切り替えるようにすれば、出力変化が不連続となるレベルを改善することができる。
【0082】
具体的には、第1の位相シフト制御の最大出力状態、かつ第2の位相シフト制御の最小出力状態として、第1および第4のスイッチング素子H1,H4(または、第2および第3のスイッチング素子H2,H3)のターンオフタイミングと同期して、第6のスイッチング素子S2(または、第5のスイッチング素子S1)がターンオフする構成を採用すればよい。詳しく述べると、第1のスイッチング素子H1(または、第2のスイッチング素子H2)のターンオフから第6のスイッチング素子S2(または、第5のスイッチング素子S1)のターンオフまでの期間を、第1の位相シフト制御ではゼロ等に固定し、第2の位相シフト制御では長くしてゆく構成を採用すればよい。
【0083】
制御部5は、力率改善制御機能を有している。入力電流の調整は、出力電力の調整と同様にして行う。すなわち、出力電力を増加させるようにすれば入力電流も増加し、逆に出力電力を減少させるようにすれば入力電流も減少する。したがって、交流電源6から入力する電圧と電流の力率を向上するように制御すると、交流電源6からの入力電力は交流電源6の2倍の周波数で変動するため、出力電力も交流電源6の2倍の周波数で変動する。
【0084】
しかしながら、直流負荷7として二次電池を充電するような場合には、仮に出力電力が変動しても、特段の問題を生じさせることはない。もちろん、例えば、第2の平滑コンデンサC2として十分に容量が大きいものを用いるか、または、第2の平滑コンデンサC2と直流負荷7との間にインダクタとコンデンサから成るLCフィルタを介挿すれば、直流負荷7へ供給する電力や電圧や電流の変動を抑えることができる。
【0085】
なお、共振コンデンサCrには、一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの直流成分を除去してトランスTの偏磁を防止する効果がある。もちろん、共振コンデンサCrとして容量が小さいものを用いれば、共振インダクタLrやトランスTの励磁インダクタンスとの直列共振により昇圧比を増加させることもできる。
【0086】
以上、説明したように、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、第2のスイッチング回路4が行うスイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡することとした。これにより、電源装置1に用いられる全てのスイッチング素子H1〜H4,S1,S2についてのゼロ電圧スイッチングを実現することができる。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、スイッチング素子H1〜H4,S1,S2におけるスイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0087】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、交流電源6から供給された交流電力のうち電流を正弦波状に制御する力率改善制御を行うこととした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、交流電力の力率改善が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0088】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、正負の全波整流電圧を第1の直流端子Nd1,Nd2間に印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御(第1の位相制御)と、正負の全波整流電圧を第1の直流端子Nd1,Nd2間に印加しながら第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御(第2の位相制御)とのうち少なくとも一方(両制御を同時に実行する態様を含む)を実行することにより、直流負荷7に供給する直流電力の大きさを調整することとした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、直流電力の精密なる微調整および調整範囲の拡大が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0089】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のスイッチング回路3は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2を直列接続した第1のスイッチングレッグSL1と、第3および第4のスイッチング素子H3,H4を直列接続した第2のスイッチングレッグSL2とを備え、第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は相互に並列接続される。第1のスイッチングレッグSL1の端子(第1の接続点Nd1および第2の接続点Nd2)間を第1の直流端子間とし、第1および第2のスイッチング素子H1,H2の直列接続点(第3の接続点Nd3)と第3および第4のスイッチング素子H3,H4の直列接続点(第4の接続点Nd4)との間を第1の交流端子間とする。
【0090】
また、第2のスイッチング回路4は、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1を直列接続した第3のスイッチングレッグSL3と、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2を直列接続した第4のスイッチングレッグSL4とを備え、第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は相互に並列接続される。第3のスイッチングレッグSL3の端子(第7の接続点Nd7および第8の接続点Nd8)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点(第5の接続点Nd5)と、第7のダイオードD7および第6のスイッチング素子S2の直列接続点(第6の接続点Nd6)との間を第2の交流端子間とした。
【0091】
したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2のスイッチング回路3,4の具体的な構成が規定された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0092】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のデューティ制御は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および第4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御であり、第2のデューティ制御は、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御であるとする、構成を採用した。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2の位相シフト制御を用いて出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。
【0093】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、第1の直流端子Nd1,Nd2を介して入力した電圧と、第2の直流端子Nd7,Nd8から出力される電圧との昇圧比に基づいて、第1および第2のデューティ制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて実行することとした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて用いて、出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。さらに、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方の択一的な選択を昇圧比に基づいて行うようにしたため、入力と出力のバランスが考慮された適切な位相シフト制御モードの切り替えを実現することができる。
【0094】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、交流電源6の全波整流電圧をつくりだす整流回路2を備え、整流回路2は、第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14をブリッジ接続してなる構成を採用している。第1実施形態に係る電源装置1によれば、整流回路2を用いて交流電源6の全波整流電圧をつくりだすことができ、直流電力への変換対象となる全波整流電圧を簡易かつ適確に得ることができる。
【0095】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、交流電源6と第1の平滑コンデンサC1との間に平滑インダクタL1を接続したので、高調波ノイズの除去が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0096】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1の交流端子Nd3,Nd4間に、一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振コンデンサCrをさらに備えたため、コイル(一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者)と共振コンデンサCrの組合せに係る直列共振回路によって、交流電力の蓄積、力率の改善、並びに、通過帯域幅の選択性が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0097】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2のそれぞれにダイオードを逆並列接続したため、導通損失およびスイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0098】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、直流負荷7は二次電池を備え、第2の直流端子Nd7,Nd8から出力された直流電力を用いて二次電池を充電するため、二次電池の高効率な充電が考慮された電源装置1を提供することができる。
【0099】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のスイッチング回路3と、第2のスイッチング回路4と、一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタLrと、第1および第2のスイッチング回路3,4がそれぞれ行うスイッチング動作を制御する制御部5と、を備える構成を採用した。
【0100】
第1のスイッチング回路3は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2を直列接続した第1のスイッチングレッグSL1と、第3および第4のスイッチング素子H3,H4を直列接続した第2のスイッチングレッグSL2とを備え、第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は相互に並列接続される。第1のスイッチングレッグSL1の端子(第1の接続点Nd1および第2の接続点Nd2)間を第1の直流端子間とし、第1および第2のスイッチング素子H1,H2の直列接続点(第3の接続点Nd3)と第3および第4のスイッチング素子H3,H4の直列接続点(第4の接続点Nd4)との間を第1の交流端子間とする。
【0101】
一方、第2のスイッチング回路4は、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1を直列接続した第3のスイッチングレッグSL3と、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2を直列接続した第4のスイッチングレッグSL4とを備え、第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は相互に並列接続される。第3のスイッチングレッグSL3の端子(第7の接続点Nd7および第8の接続点Nd8)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点(第5の接続点Nd5)と、第7のダイオードD7および第6のスイッチング素子S2の直列接続点(第6の接続点Nd6)との間を第2の交流端子間とした。
【0102】
そして、制御部5は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および第4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御と、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御を択一的に実行することとした。
【0103】
第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2のスイッチング回路3,4の具体的な構成が規定された高効率の電源装置1を提供することができる。しかも、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて用いて、出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。
【0104】
[第1実施形態に係る電源装置1の変形例]
図6は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の変形例を表す回路図である。この変形例では、単相の交流電源6に代えて、三相の交流電源91を採用している。この変形に伴って、整流回路2に代えて、相互にブリッジ接続された第21〜第26の整流ダイオードD21〜D26を有する三相ブリッジ型整流回路93を採用している。なお、その他の部分の構成は同じである。
【0105】
本発明の第1実施形態に係る電源装置1の変形例によれば、三相の交流電源91の対応が考慮された高効率の電源装置を提供することができる。
【0106】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に電気自動車の電源システムの説明に先立って、本発明の背景技術について説明する。
近年、地球環境保全への意識の高まりから、電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車は、モータを駆動源としてもち、モータ駆動用の二次電池をもつ。この二次電池を、商用の交流電源から電力変換して得た直流電力を用いて充電する。二次電池に充電された直流電力は、交流電力に逆変換されてモータの駆動用に供される。
【0107】
商用電源から二次電池に、より少ない電力で安全に充電するためには、変換効率が高く、かつ絶縁型のコンバータが必要になる。通常、交流電源から絶縁された直流電力を得るには、非絶縁型のAC−DCコンバータを用いる。交流電源からの入力電流を正弦波状に制御しつつ直流電力を生成し、この直流電力を絶縁型DC−DCコンバータにより絶縁して直流電力を得る。
【0108】
しかし、上記の構成では、非絶縁型AC−DCコンバータと絶縁型DC−DCコンバータの2段構成となるため、電源装置が大型化し、また変換効率も低下しやすいという問題があった。
【0109】
そこで、本第1実施形態に係る電源装置1を、電気自動車に適用することが考えられた。図7は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1を適用した第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111の概要構成図である。
【0110】
第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111は、図7に示すように、第1実施形態に係る電源装置1と、補機バッテリ106へ電力供給する第1のDC−DCコンバータ100と、各種の電装機器101と、インバータ103へ電力供給する第2のDC−DCコンバータ102と、駆動用モータ104を駆動するインバータ103と、電気自動車110の車輪(不図示)を駆動する駆動用モータ104と、二次電池105と、電装機器101への給電を担う補機バッテリ106と、急速充電器などの外部直流電源(不図示)を接続するための急速充電コネクタ107と、外部の交流電源109に接続するためのプラグイン充電コネクタ108とを備える。
【0111】
第1実施形態に係る電源装置1は、直流負荷としての二次電池105と、プラグイン充電コネクタ108とに接続されている。二次電池105には、第1および第2のDC−DCコンバータ100,102と、急速充電コネクタ107とが接続されている。
【0112】
第1実施形態に係る電源装置1は、プラグイン充電コネクタ108を介して接続された交流電源109の交流電力を直流電力に変換して二次電池105を充電するように動作する。
【0113】
第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111によれば、第1実施形態に係る電源装置1を適用することにより、電気自動車110に搭載された二次電池105を、例えば商用の交流電源109から高効率をもって充電することができる。なお、第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111は、電気自動車110に代えて、ハイブリッド自動車に適用してもよい。
【0114】
[その他の実施形態]
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0115】
例えば、本第1実施形態に係る電源装置1において、第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2としてMOSFETを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やGaNデバイス、SiC(Silicon Carbide)デバイスなどをスイッチング素子として用いてもよい。ただし、かかるデバイス類をスイッチング素子として用いる場合、それぞれのスイッチング素子には、ダイオードを逆並列接続することが必要である。
【0116】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、第1のスイッチング回路3として、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4をフルブリッジ接続する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第1のスイッチング回路3として、一次巻線N1に電圧を印加する時間を変化させることが可能であれば、他の回路方式を採用してもよい。
【0117】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、第2のスイッチング回路4として、図1に示すように、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1とを第5の接続点Nd5を介して直列接続してなる第3のスイッチングレッグSL3、および、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2とを第6の接続点Nd6を介して直列接続した第4のスイッチングレッグSL4を備え、これら第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4を、相互に並列接続してなる態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第2のスイッチング回路4として、二次巻線N2を実質的に短絡することが可能であれば、他の回路方式を採用してもよい。なお、二次巻線N2を実質的に短絡する経路にコンデンサが介在する変形例も、本発明の技術的範囲の射程に包含される。
【0118】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、本発明に係る共振インダクタLrとして、独立したインダクタを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、本発明に係る共振インダクタLrとして、本発明が求める大きさの電磁エネルギーを蓄えることが可能であれば、例えば電線がもつインダクタンス成分であってもよい。このことは、平滑インダクタL1も同様である。
【0119】
最後に、本第1実施形態に係る電源装置1において、交流電源6および整流回路2を備える態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、交流電源6および整流回路2に代えて、直流電力を供給する直流電源を採用してもよい。このように構成すれば、直流電源から供給された直流電圧のレベルを調整(入力レベルと出力レベルとが同一となる態様を含む)して直流負荷に供給可能なDC−DCコンバータを具現化することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 電源装置
2 整流回路
3 第1のスイッチング回路
4 第2のスイッチング回路
5 制御部
6 交流電源
7 直流負荷
110 電気自動車
111 第2実施形態に係る電気自動車の電源システム
L1 平滑インダクタ
Lr 共振インダクタ
C1 第1の平滑コンデンサ
C2 第2の平滑コンデンサ
Cr 共振コンデンサ
T トランス
N1 一次巻線
N2 二次巻線
H1〜H4,S1,S2 第1〜第6のスイッチング素子
D1〜D8 第1〜第8のダイオード
D11〜D14 第1〜第4の整流ダイオード
Nd1〜Nd8 第1〜第8の接続点
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源と直流負荷との間に接続され、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷へ供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全への意識が高まっている。この流れを受けて、交流電力を直流電力に変換して直流負荷へ供給する電源装置の高効率化が進んでいる。電源装置の高効率化を図れば省電力に貢献し、ひいては地球環境保全につながるからである。
【0003】
電源装置の高効率化を図るには、主としてふたつのアプローチがある。第1は、スイッチ素子に電流が流れることによる導通損失を低減すること、第2は、スイッチ素子がスイッチングすることによるスイッチング損失を低減することである。
【0004】
特許文献1の段落0017〜0020および図2には、トランスの2次側に位置するブリッジ整流回路の下側アーム部に一対の自己消弧素子(ダイオードに比べて順方向電圧降下が小さい)を、整流ダイオードに代えて接続することにより、導通損失の低減を図った電力変換装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2の段落0053〜0054および図6には、トランスの2次側に位置するブリッジ整流回路の下側アーム部に一対のスイッチ回路を、整流ダイオードに代えて接続する構成のコンデンサの充電装置が開示されている。この充電装置は、スイッチ回路がオンするとトランスの2次側に直列接続されたリアクトルに電流エネルギーを蓄積し、スイッチ回路がオフするとリアクトルの電流エネルギーを用いてコンデンサを充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−336943号公報
【特許文献2】特開2001−204170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に係る装置では、一対の自己消弧素子または一対のスイッチ回路は、電圧が印加された状態でターンオンするためスイッチング損失が大きい。そして、この損失が装置の高効率化を妨げる要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源装置は、交流電力を供給する交流電源と直流負荷との間に接続され、前記交流電源から供給された前記交流電力を直流電力に変換して前記直流負荷へ供給する電源装置が前提となる。
【0010】
本発明に係る電源装置は、第1のスイッチング回路と、第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、第2のスイッチング回路と、一次巻線または二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、制御部とを備える。
【0011】
第1のスイッチング回路は、交流電源の全波整流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する。
【0012】
第2のスイッチング回路は、前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、第2の直流端子間に接続された直流負荷に供給する。
【0013】
制御部は、第2のスイッチング回路が行う前記スイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子間を実質的に短絡するようにはたらく。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の回路図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2B】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2C】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2D】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図2E】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図3】図3(a)〜(h)は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供するタイミングチャート図である。
【図4A】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4B】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4C】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4D】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図4E】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供するタイミングチャート図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る電源装置のうち第1実施形態との相違点に係る三相整流ブリッジ回路を表す回路図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る電源装置1を組み込んだ電気自動車110の電源システムの概要を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の回路図である。この電源装置1は、図1に示すように、交流電源6と直流負荷7との間に接続され、交流電源6から供給された交流電力を直流電力に変換して直流負荷7へ電力を供給する。この直流負荷7が二次電池を備える場合は、電源装置1は、交流電源6から供給された交流電力を変換した直流電力を用いて二次電池を充電する。なお、本発明で“接続”という用語を用いる場合は、特に断らない限り、“電気的に接続”することを意味するものとする。
【0017】
電源装置1は、図1に示すように、交流電源6の交流電圧波形を全波整流するブリッジ型の整流回路2と、第1および第2のスイッチング回路3,4と、これら第1および第2のスイッチング回路3,4が行うスイッチング動作を制御する制御部5とを備える。また、電源装置1は、一次巻線N1と二次巻線N2とを磁気結合するトランスTを備える。一次巻線N1の端子間には、共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrが直列接続される。
【0018】
整流回路2は、図1に示すように、相互にブリッジ接続された第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14を有し、これら第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14を用いて交流電源6の交流電圧波形を全波整流する。こうして全波整流された電圧は、平滑インダクタL1を介して第1の平滑コンデンサC1に印加される。一対の端子を有する第1の平滑コンデンサC1は、図1に示すように、一方の端子が第1の接続点Nd1に、他方の端子が第2の接続点Nd2に、それぞれ接続されている。第1および第2の接続点Nd1,Nd2は、本発明の“第1の直流端子”に相当する。
【0019】
第1のスイッチング回路3は、図1に示すように、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4をフルブリッジ接続して構成されている。第1および第2のスイッチング素子H1,H2は、第3の接続点Nd3を介して直列接続されている。この直列接続回路を第1のスイッチングレッグSL1と呼ぶ。第3および第4のスイッチング素子H3,H4は、第4の接続点Nd4を介して直列接続されている。この直列接続回路を第2のスイッチングレッグSL2と呼ぶ。これら第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は、相互に並列接続されている。なお、第3および第4の接続点Nd3,Nd4は、本発明の“第1の交流端子”に相当する。
【0020】
第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4としては、図1に示すように、MOSFETを好適に採用することができる。第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のそれぞれには、図1に示すように、第1〜第4のダイオードD1〜D4が逆並列接続されている。これらの第1〜第4のダイオードD1〜D4は、図1に示すように、MOSFETが本来的に内蔵するボディダイオードを利用してもよい。
【0021】
第1のスイッチング回路3では、図1に示すように、第1および第2の接続点Nd1,Nd2間を第1の直流端子間とし、第3および第4の接続点Nd3,Nd4間を第1の交流端子間としている。第1のスイッチング回路3では、第1の直流端子Nd1,Nd2間に接続されている第1の平滑コンデンサC1にチャージされた電圧を用いて、第1の交流端子Nd3,Nd4間に直列接続された共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1からなる直列接続回路に対し、正負の電圧を印加するようになっている。
【0022】
第2のスイッチング回路4は、図1に示すように、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1とを第5の接続点Nd5を介して直列接続してなる第3のスイッチングレッグSL3、および、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2とを第6の接続点Nd6を介して直列接続した第4のスイッチングレッグSL4を備える。これら第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は、相互に並列接続されている。なお、第5および第6の接続点Nd5,Nd6は、本発明の“第2の交流端子”に相当する。
【0023】
第5および第6のスイッチング素子S1,S2としては、図1に示すように、MOSFETを好適に採用することができる。第5および第6のスイッチング素子S1,S2のそれぞれには、図1に示すように、第6および第8のダイオードD6,D8が逆並列接続されている。これらの第6および第8のダイオードD6,D8は、図1に示すように、MOSFETが本来的に内蔵するボディダイオードを利用してもよい。
【0024】
第2のスイッチング回路4の後段(直流負荷7側)には、第2の平滑コンデンサC2および直流負荷7が並列接続されている。一対の端子を有する第2の平滑コンデンサC2は、図1に示すように、一方の端子が第7の接続点Nd7に、他方の端子が第8の接続点Nd8に、それぞれ接続されている。第7および第8の接続点Nd7,Nd8は、本発明の“第2の直流端子”に相当する。
【0025】
第2のスイッチング回路4では、第5および第6の接続点Nd5,Nd6の間を第2の交流端子間とし、第7および第8の接続点Nd7,Nd8の間を第2の直流端子間としている。第2のスイッチング回路4では、第2の交流端子Nd5,Nd6間に接続された二次巻線N2の電力を、第2の直流端子Nd7,Nd8間に並列接続された第2の平滑コンデンサC2および直流負荷7にそれぞれ供給するようになっている。
【0026】
換言すれば、第2のスイッチング回路4では、第3のスイッチングレッグSL3の端子(第2の直流端子Nd7,Nd8と等価である。)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点Nd5と、第7のダイオードD7および6のスイッチング素子S2の直列接続点Nd6との間を第2の交流端子間としている。
【0027】
第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2は、個々のスイッチング動作が制御部5によって統括制御される。制御部5は、交流電源6からの入力電流を交流電源6の電圧と概ね相似な正弦波状に制御する力率改善制御機能を有している。制御部5には、交流電源6からの入力電圧を検出する電圧センサ11、直流負荷7の電圧すなわち出力電圧を検出する電圧センサ12、交流電源6からの入力電流を検出する電流センサ13、並びに、直流負荷7への出力電流を検出する電流センサ14がそれぞれ接続されている。
【0028】
[第1の位相シフト制御]
電源装置1の第1の位相シフト制御の回路動作を、図2A〜図2E、および、図3(a)〜(h)を参照して説明する。図2A〜図2Eは、第1実施形態に係る電源装置1の第1の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。具体的には、図2A〜図2Eは、第1の位相シフト制御に係るモード1a〜1eそれぞれの回路動作を示す。図2Aはモード1aに、図2Bはモード1bに、図2Cはモード1cに、図2Dはモード1dに、図2Eはモード1eに、それぞれ対応する。
【0029】
図3(a)〜(h)は、第1実施形態に係る電源装置1のうち各部のオンオフ状態と電流波形の時間推移を表すタイミングチャート図である。ここで、図1および図3(a)〜(h)に示すように、第1のスイッチング素子H1のオンオフ状態をSH1とし、第2のスイッチング素子H2のオンオフ状態をSH2とし、第3のスイッチング素子H3のオンオフ状態をSH3とし、第4のスイッチング素子H4のオンオフ状態をSH4とし、第5のスイッチング素子S1のオンオフ状態をSS1とし、第6のスイッチング素子S2のオンオフ状態をSS2としてそれぞれ定義する。図3(a)〜(f)に示すタイミングチャート図では、点線で表される基準レベルと同位の実線チャートがオフ状態を示し、基準レベルと比べて高位の実線チャートがオン状態を示す。また、共振インダクタLrに流れる電流をILrとし、二次巻線N2に流れる電流をIN2として定義する。
【0030】
なお、第1の位相シフト制御に係る説明では、交流電源6の電圧が一方の極性の場合の動作についてのみ説明し、交流電源6の電圧が他方の極性の場合の動作説明は省略する。後者の場合の動作は、前者の場合の動作を参酌すれば容易に理解できるからである。
【0031】
第1の位相シフト制御は、交流電源6の電圧が所定値以上か否かに係る制御部5の判定結果に基づいて、電源電圧が所定値以上の場合に実行される。この所定値は、出力電圧(直流負荷7の端子間電圧)を入力電圧(交流電源6の全波整流電圧)で除した値である昇圧比に基づいて決定される。換言すれば、第1の位相シフト制御は、昇圧比が所定の水準と比べて低い場合に実行される。なお、出力電圧が高いほど、および入力電圧が低いほど、昇圧比は高くなる。
【0032】
本第1実施形態の説明では、オン状態にあるスイッチング素子の端子間電圧、または、ダイオードの順方向降下電圧と同等もしくはそれ以下のレベルにある電圧をゼロ電圧と呼ぶ。また、あるスイッチング素子の端子間電圧がゼロ電圧である場合に、このスイッチング素子をターンオンすることをゼロ電圧スイッチングと呼ぶ。ゼロ電圧スイッチングによれば、スイッチング損失を抑制すると共に、高調波やEMI(Electro Magnetic Interference;電磁干渉)ノイズ等を低減する効果を期待することができる。ゼロ電圧スイッチングでは、スイッチング素子の端子間において、電圧・電流の過渡現象が原則的に生じないからである。
【0033】
(モード1a)
図3に示す時刻t11から時刻t12に至る期間で定義されるモード1aでは、図2A並びに図3(a)および図3(d)に示すように、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の平滑コンデンサC1の端子間に生じた電圧(以下、“第1の入力電圧”という。)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0034】
その結果、図2Aに示すように、第1の接続点Nd1→第1のスイッチング素子H1→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第4のスイッチング素子H4→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0035】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Aに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1aでは、図2Aおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0036】
交流電源6の周辺では、図2Aに示すように、第2の接続点Nd2→第4の整流ダイオードD14→交流電源6→第1の整流ダイオードD11→平滑インダクタL1→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0037】
(モード1b)
図3に示す時刻t12のタイミングで第4のスイッチング素子H4をターンオフ(図3(d)参照)すると、時刻t12から時刻t13に至る期間で定義されるモード1bの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第4のスイッチング素子H4を経由して流れていた共振インダクタ電流ILrは、行き場を失って第3のダイオードD3に転流する。
【0038】
その結果、図2Bに示すように、第1の接続点Nd1→第1のスイッチング素子H1→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3に逆並列接続された第3のダイオードD3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。
【0039】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Bに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1bでは、図2Bおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0040】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次および二次巻線N1,N2の電流ILr,IN2は、図3(g)および図3(h)に示すように漸減していく。モード1bの初期期間では、図3(c)に示すように、第3のスイッチング素子H3はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第3のスイッチング素子H3をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0041】
第2のスイッチング回路4、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図2Bに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。なお、モード1bにおいて、二次巻線電流IN2が流れ終わる前にスイッチング素子H1,H4をターンオフすると、次のモード1cが省略される場合がある。
【0042】
(モード1c)
二次巻線電流IN2が漸減して終に零になると、時刻t13から時刻t14に至る期間で定義されるモード1cの状態になる。第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図2Cに示すように、モード1bと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。このモード1cでは、共振インダクタLrおよび一次巻線N1には、トランスTの励磁電流が流れている(図3(g)参照)。第2のスイッチング回路4の周辺では、図2Cおよび図3(h)に示すように、二次巻線N2には電流が誘導されていない。
【0043】
(モード1d)
図3に示す時刻t14のタイミングで第1のスイッチング素子H1をターンオフ(図3(a)参照)すると、モード1dの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1のスイッチング素子H1に流れていた共振インダクタ電流ILrは、第2のダイオードD2に転流する。
【0044】
その結果、図2Dに示すように、第2の接続点Nd2→第2のスイッチング素子H2に逆並列接続された第2のダイオードD2→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0045】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次巻線N1の電流ILrは、図3(g)に示すように漸減してゆく。一方、二次巻線N2の電流IN2は、図3(h)に示すように漸増してゆく。モード1dの初期では、図3(b)に示すように、第2のスイッチング素子H2はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第2のスイッチング素子H2をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0046】
第2のスイッチング回路4の周辺では、モード1cにおいて、図2Cおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。この場合、モード1dにおいて、図2Dおよび図3(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2を時刻t14までにターンオフしておく。
【0047】
交流電源6の周辺では、図2Dに示すように、モード1cと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0048】
(モード1e)
図3に示す時刻t15において一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの流通方向が反転(図3(g)の例では、正から負への反転)すると、モード1eの状態になる。このモード1eは、モード1aの対称動作である。
【0049】
具体的には、図3に示す時刻t15から時刻t16に至る期間で定義されるモード1eでは、図2E並びに図3(b)および図3(c)に示すように、モード1aとは対称的に、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧(第1の直流端子Nd1,Nd2間の電圧)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0050】
その結果、図2Eに示すように、第1の接続点Nd1→第3のスイッチング素子H3→第4の接続点Nd4→一次巻線N1→共振インダクタLr→共振コンデンサCr→第3の接続点Nd3→第2のスイッチング素子H2→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0051】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図2Eに示すように、モード1aとは対称的に、第8の接続点Nd8→第5のスイッチング素子S1→第5の接続点Nd5→二次巻線N2→第6の接続点Nd6→第7のダイオードD7→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード1eでは、図2Eおよび図3(e)に示すように、第5のスイッチング素子S1がオン(同期整流)状態にある。
【0052】
交流電源6の周辺では、図2Eに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0053】
以降、モード1b〜1dのそれぞれの対称動作の後に、モード1aへと戻り、上記の処理を繰り返す。
【0054】
上述した第1の位相シフト制御では、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させ、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御を行うことにより、入力電流や出力電力を調整する。
【0055】
すなわち、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がともにオン状態にあるモード1aの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード1aの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。また、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がともにオン状態にあるモード1eの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード1eの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。
【0056】
第1の位相シフト制御では、第1および第4のスイッチング素子H1,H4のターンオフタイミングが同期した場合に、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さが最大となる。また、第2および第3のスイッチング素子H2,H3のターンオフタイミングが同期した場合に、第1のスイッチング回路3の出力端子Nd3,Nd4間に電圧を印加する期間の長さが最大となる。こうした場合に、第1の位相シフト制御では、最大の入力電力・出力電力が得られる。第1の位相シフト制御で得られる最大の入力電力・出力電力よりもさらに大電力の取得要求がある場合には、次述する第2の位相シフト制御を適用する。
【0057】
[第2の位相シフト制御]
電源装置1の第2の位相シフト制御の回路動作を、図4A〜図4E、および、図5(a)〜(h)を参照して説明する。図4A〜図4Eは、第1実施形態に係る電源装置1の第2の位相シフト制御に係る動作説明に供する図である。具体的には、図4A〜図4Eは、第2の位相シフト制御に係るモード2a〜2eそれぞれの回路動作を示す。図4Aはモード2aに、図4Bはモード2bに、図4Cはモード2cに、図4Dはモード2dに、図4Eはモード2eに、それぞれ対応する。図5(a)〜(h)は、第1実施形態に係る電源装置1のうち各部のオンオフ状態と電流波形の時間推移を表すタイミングチャート図である。
【0058】
なお、第2の位相シフト制御に係る説明では、交流電源6の電圧が一方の極性の場合の動作についてのみ説明し、交流電源6の電圧が他方の極性の場合の動作説明は省略する。後者の場合の動作は、前者の場合の動作を参酌すれば容易に理解できるからである。
【0059】
第2の位相シフト制御は、交流電源6の電圧が所定値以上か否かに係る制御部5の判定結果に基づいて、電源電圧が所定値よりも低い場合に実行される。この所定値は、出力電圧(直流負荷7の端子間電圧)を入力電圧(交流電源6の全波整流電圧)で除した値である昇圧比に基づいて決定される。換言すれば、第2の位相シフト制御は、第1の位相シフト制御の場合とは逆に、昇圧比が所定の水準と比べて高い場合に実行される。
【0060】
(モード2a)
図5に示す時刻t21から時刻t22に至る期間で定義されるモード2aでは、図4A並びに図5(a)および図3(d)に示すように、第1および第4のスイッチング素子H1,H4がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。その結果、図4Aに示すように、モード1aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0061】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Aに示すように、第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のスイッチング素子S1→第6のスイッチング素子S2に逆並列接続された第8のダイオードD8→第6の接続点Nd6の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。モード2aでは、図4Aおよび図5(e)に示すように、第5のスイッチング素子S1がオン(同期整流)状態にある。
【0062】
したがって、二次巻線N2の端子(第2の交流端子)Nd5,Nd6間は実質的に短絡された状態にある。ここで、本発明でいう“実質的に短絡”とは、電流経路内に無視できる程度の電圧降下成分(図4Aの例では、第8のダイオードD8による電圧降下成分)が介在していたとしても短絡とみなす、広義の電気的な短絡を意味する。
【0063】
二次巻線N2の端子Nd5,Nd6間が実質的に短絡された状態にあるということは、二次巻線N2と磁気的に結合された一次巻線N1の端子Nd3,Nd4間にも電圧は生じていない。このため、モード2aでは、第1のスイッチング回路3の周辺において、図5(g)に示すように、共振インダクタ電流ILrは線形に増大してゆく。図4Aに示す回路状態において、第2のスイッチング素子S2をオンすれば同期整流になる。
【0064】
交流電源6の周辺では、図4Aに示すように、モード1aと同様の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0065】
(モード2b)
図5に示す時刻t22のタイミングで第5のスイッチング素子S1をターンオフ(図5(e)参照)すると、時刻t22から時刻t23に至る期間で定義されるモード2bの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図4Bに示すように、モード2aと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0066】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次および二次巻線N1,N2の電流ILr,IN2は、図5(g)および図5(h)に示すように漸減してゆく。
【0067】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Bに示すように、第8の接続点Nd8→第6のスイッチング素子S2→第6の接続点Nd6→二次巻線N2→第5の接続点Nd5→第5のダイオードD5→第7の接続点Nd7の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。モード2bでは、図4Bおよび図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0068】
図5に示す時刻t22のタイミングでは、図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2はオフ状態にある。このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第6のスイッチング素子S2をターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0069】
なお、モード2bにおいて、二次巻線電流IN2が漸減して終に零になる前に第1および第4のスイッチング素子H1,H4をターンオフすると、次のモード2cが省略される場合がある。
【0070】
(モード2c)
二次巻線電流IN2が漸減して終に零になると、時刻t23から時刻t24に至る期間で定義されるモード2cの状態になる。第1のスイッチング回路3、並びに交流電源6のそれぞれの周辺では、図4Cに示すように、モード2bと同様の電流経路が形成される。その電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。このモード2cでは、共振インダクタLrおよび一次巻線N1には、トランスTの励磁電流が流れている。第2のスイッチング回路4の周辺では、図4Cに示すように、二次巻線N2には電流が誘導されていない。
【0071】
(モード2d)
図5に示す時刻t24のタイミングで第1および第4のスイッチング素子H1,H4を同時にターンオフ(図5(a)および図5(d)参照)すると、モード2dの状態になる。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1および第4のスイッチング素子H1,H4にそれぞれ流れていた共振インダクタ電流ILrは、第2および第3のダイオードD2,D3にそれぞれ転流する。その結果、図4Dに示すように、第2の接続点Nd2→第2のスイッチング素子H2に逆並列接続された第2のダイオードD2→第3の接続点Nd3→共振コンデンサCr→共振インダクタLr→一次巻線N1→第4の接続点Nd4→第3のスイッチング素子H3に逆並列接続された第3のダイオードD3→第1の接続点Nd1の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0072】
共振インダクタLrに蓄積されている電磁エネルギーは、トランスTの一次巻線N1へ供給される。その結果、一次巻線N1の電流ILrは、図5(g)に示すように漸減してゆく。一方、二次巻線N2の電流IN2は、図5(h)に示すように漸増してゆく。モード2dでは、第2および第3のスイッチング素子H2,H3は、図5(b)および図5(c)に示すように、それぞれオフ状態にある。そこで、このオフ状態にあるタイミングに合わせて、第2および第3のスイッチング素子H2,H3を同時にターンオンしておく(ゼロ電圧スイッチング)。
【0073】
(モード2e)
図5に示す時刻t25のタイミングで一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの流通方向が反転(図5(g)の例では、正から負への反転)すると、モード2eの状態になる。このモード2eは、モード2aの対称動作である。
【0074】
具体的には、図5に示す時刻t25から時刻t26に至る期間で定義されるモード2eでは、図4E並びに図5(b)および図5(c)に示すように、モード2aとは対称的に、第2および第3のスイッチング素子H2,H3がオン状態にある。この場合、第1のスイッチング回路3の周辺では、第1の入力電圧(第1の直流端子Nd1,Nd2間の電圧)は、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、および一次巻線N1にそれぞれ印加される。
【0075】
その結果、図4Eに示すように、第1の接続点Nd1→第3のスイッチング素子H3→第4の接続点Nd4→一次巻線N1→共振インダクタLr→共振コンデンサCr→第3の接続点Nd3→第2のスイッチング素子H2→第2の接続点Nd2の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。
【0076】
第2のスイッチング回路4の周辺では、一次巻線N1への通電に起因して二次巻線N2に電流が誘導される。その結果、図4Eに示すように、モード2aとは対称的に、第8の接続点Nd8→第5のスイッチング素子S1→第5の接続点Nd5→二次巻線N2→第6の接続点Nd6→第6のスイッチング素子S2→第8の接続点Nd8の各部を経由した電流経路が形成される。この電流経路を循環する電流が流れる。モード2eでは、図4Eおよび図5(f)に示すように、第6のスイッチング素子S2がオン(同期整流)状態にある。
【0077】
交流電源6の周辺では、図4Eに示すように、モード2aと同様の電流経路が形成される。この電流経路に沿って電流が流れる。そこで、その重複した説明を省略する。
【0078】
以降、モード2b〜2dのそれぞれの対称動作の後に、モード2aへと戻り、上記の処理を繰り返す。
【0079】
上述した第2の位相シフト制御では、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させ、第1のスイッチング回路3の第1の交流端子Nd3,Nd4間に電圧を印加しながら二次巻線N2の端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御を行うことにより、入力電流や出力電力を調整する。
【0080】
すなわち、第1,第4および第5のスイッチング素子H1,H4,S1がともにオン状態にあるモード2aの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード2aの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。また、第2,第3および第6のスイッチング素子H2,H3,S2がともにオン状態にあるモード2eの期間を短くして入力電流や出力電力を減少させる一方、これとは逆にモード2eの期間を長くして入力電流や出力電力を増加させる。
【0081】
ところで、制御部5の動作モードを、第1の位相シフト制御と第2の位相シフト制御との間で切り替えた場合に、その切り替え部分での出力の変化が不連続になる場合がある。このような場合には、第1の位相シフト制御と第2の位相シフト制御との中間の状態を設け、この中間の状態を経由して動作モードを切り替えるようにすれば、出力変化が不連続となるレベルを改善することができる。
【0082】
具体的には、第1の位相シフト制御の最大出力状態、かつ第2の位相シフト制御の最小出力状態として、第1および第4のスイッチング素子H1,H4(または、第2および第3のスイッチング素子H2,H3)のターンオフタイミングと同期して、第6のスイッチング素子S2(または、第5のスイッチング素子S1)がターンオフする構成を採用すればよい。詳しく述べると、第1のスイッチング素子H1(または、第2のスイッチング素子H2)のターンオフから第6のスイッチング素子S2(または、第5のスイッチング素子S1)のターンオフまでの期間を、第1の位相シフト制御ではゼロ等に固定し、第2の位相シフト制御では長くしてゆく構成を採用すればよい。
【0083】
制御部5は、力率改善制御機能を有している。入力電流の調整は、出力電力の調整と同様にして行う。すなわち、出力電力を増加させるようにすれば入力電流も増加し、逆に出力電力を減少させるようにすれば入力電流も減少する。したがって、交流電源6から入力する電圧と電流の力率を向上するように制御すると、交流電源6からの入力電力は交流電源6の2倍の周波数で変動するため、出力電力も交流電源6の2倍の周波数で変動する。
【0084】
しかしながら、直流負荷7として二次電池を充電するような場合には、仮に出力電力が変動しても、特段の問題を生じさせることはない。もちろん、例えば、第2の平滑コンデンサC2として十分に容量が大きいものを用いるか、または、第2の平滑コンデンサC2と直流負荷7との間にインダクタとコンデンサから成るLCフィルタを介挿すれば、直流負荷7へ供給する電力や電圧や電流の変動を抑えることができる。
【0085】
なお、共振コンデンサCrには、一次巻線N1に流れる共振インダクタ電流ILrの直流成分を除去してトランスTの偏磁を防止する効果がある。もちろん、共振コンデンサCrとして容量が小さいものを用いれば、共振インダクタLrやトランスTの励磁インダクタンスとの直列共振により昇圧比を増加させることもできる。
【0086】
以上、説明したように、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、第2のスイッチング回路4が行うスイッチング動作を制御することにより、第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡することとした。これにより、電源装置1に用いられる全てのスイッチング素子H1〜H4,S1,S2についてのゼロ電圧スイッチングを実現することができる。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、スイッチング素子H1〜H4,S1,S2におけるスイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0087】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、交流電源6から供給された交流電力のうち電流を正弦波状に制御する力率改善制御を行うこととした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、交流電力の力率改善が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0088】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、正負の全波整流電圧を第1の直流端子Nd1,Nd2間に印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御(第1の位相制御)と、正負の全波整流電圧を第1の直流端子Nd1,Nd2間に印加しながら第2の交流端子Nd5,Nd6間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御(第2の位相制御)とのうち少なくとも一方(両制御を同時に実行する態様を含む)を実行することにより、直流負荷7に供給する直流電力の大きさを調整することとした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、直流電力の精密なる微調整および調整範囲の拡大が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0089】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のスイッチング回路3は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2を直列接続した第1のスイッチングレッグSL1と、第3および第4のスイッチング素子H3,H4を直列接続した第2のスイッチングレッグSL2とを備え、第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は相互に並列接続される。第1のスイッチングレッグSL1の端子(第1の接続点Nd1および第2の接続点Nd2)間を第1の直流端子間とし、第1および第2のスイッチング素子H1,H2の直列接続点(第3の接続点Nd3)と第3および第4のスイッチング素子H3,H4の直列接続点(第4の接続点Nd4)との間を第1の交流端子間とする。
【0090】
また、第2のスイッチング回路4は、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1を直列接続した第3のスイッチングレッグSL3と、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2を直列接続した第4のスイッチングレッグSL4とを備え、第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は相互に並列接続される。第3のスイッチングレッグSL3の端子(第7の接続点Nd7および第8の接続点Nd8)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点(第5の接続点Nd5)と、第7のダイオードD7および第6のスイッチング素子S2の直列接続点(第6の接続点Nd6)との間を第2の交流端子間とした。
【0091】
したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2のスイッチング回路3,4の具体的な構成が規定された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0092】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のデューティ制御は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および第4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御であり、第2のデューティ制御は、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御であるとする、構成を採用した。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2の位相シフト制御を用いて出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。
【0093】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、制御部5は、第1の直流端子Nd1,Nd2を介して入力した電圧と、第2の直流端子Nd7,Nd8から出力される電圧との昇圧比に基づいて、第1および第2のデューティ制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて実行することとした。したがって、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて用いて、出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。さらに、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方の択一的な選択を昇圧比に基づいて行うようにしたため、入力と出力のバランスが考慮された適切な位相シフト制御モードの切り替えを実現することができる。
【0094】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、交流電源6の全波整流電圧をつくりだす整流回路2を備え、整流回路2は、第1〜第4の整流ダイオードD11〜D14をブリッジ接続してなる構成を採用している。第1実施形態に係る電源装置1によれば、整流回路2を用いて交流電源6の全波整流電圧をつくりだすことができ、直流電力への変換対象となる全波整流電圧を簡易かつ適確に得ることができる。
【0095】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、交流電源6と第1の平滑コンデンサC1との間に平滑インダクタL1を接続したので、高調波ノイズの除去が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0096】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1の交流端子Nd3,Nd4間に、一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振コンデンサCrをさらに備えたため、コイル(一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者)と共振コンデンサCrの組合せに係る直列共振回路によって、交流電力の蓄積、力率の改善、並びに、通過帯域幅の選択性が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0097】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2のそれぞれにダイオードを逆並列接続したため、導通損失およびスイッチング損失の低減が考慮された高効率の電源装置1を提供することができる。
【0098】
また、第1実施形態に係る電源装置1によれば、直流負荷7は二次電池を備え、第2の直流端子Nd7,Nd8から出力された直流電力を用いて二次電池を充電するため、二次電池の高効率な充電が考慮された電源装置1を提供することができる。
【0099】
また、第1実施形態に係る電源装置1では、第1のスイッチング回路3と、第2のスイッチング回路4と、一次巻線N1または二次巻線N2のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタLrと、第1および第2のスイッチング回路3,4がそれぞれ行うスイッチング動作を制御する制御部5と、を備える構成を採用した。
【0100】
第1のスイッチング回路3は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2を直列接続した第1のスイッチングレッグSL1と、第3および第4のスイッチング素子H3,H4を直列接続した第2のスイッチングレッグSL2とを備え、第1および第2のスイッチングレッグSL1,SL2は相互に並列接続される。第1のスイッチングレッグSL1の端子(第1の接続点Nd1および第2の接続点Nd2)間を第1の直流端子間とし、第1および第2のスイッチング素子H1,H2の直列接続点(第3の接続点Nd3)と第3および第4のスイッチング素子H3,H4の直列接続点(第4の接続点Nd4)との間を第1の交流端子間とする。
【0101】
一方、第2のスイッチング回路4は、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1を直列接続した第3のスイッチングレッグSL3と、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2を直列接続した第4のスイッチングレッグSL4とを備え、第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4は相互に並列接続される。第3のスイッチングレッグSL3の端子(第7の接続点Nd7および第8の接続点Nd8)間を第2の直流端子間とし、第5のダイオードD5および第5のスイッチング素子S1の直列接続点(第5の接続点Nd5)と、第7のダイオードD7および第6のスイッチング素子S2の直列接続点(第6の接続点Nd6)との間を第2の交流端子間とした。
【0102】
そして、制御部5は、第1および第2のスイッチング素子H1,H2のターンオフタイミングと、第3および第4のスイッチング素子H3,H4のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御と、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4のターンオフタイミングと、第5および第6のスイッチング素子S1,S2のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御を択一的に実行することとした。
【0103】
第1実施形態に係る電源装置1によれば、第1および第2のスイッチング回路3,4の具体的な構成が規定された高効率の電源装置1を提供することができる。しかも、第1および第2の位相シフト制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて用いて、出力電力の柔軟な調整を実現可能な高効率の電源装置1を提供することができる。
【0104】
[第1実施形態に係る電源装置1の変形例]
図6は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の変形例を表す回路図である。この変形例では、単相の交流電源6に代えて、三相の交流電源91を採用している。この変形に伴って、整流回路2に代えて、相互にブリッジ接続された第21〜第26の整流ダイオードD21〜D26を有する三相ブリッジ型整流回路93を採用している。なお、その他の部分の構成は同じである。
【0105】
本発明の第1実施形態に係る電源装置1の変形例によれば、三相の交流電源91の対応が考慮された高効率の電源装置を提供することができる。
【0106】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に電気自動車の電源システムの説明に先立って、本発明の背景技術について説明する。
近年、地球環境保全への意識の高まりから、電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車は、モータを駆動源としてもち、モータ駆動用の二次電池をもつ。この二次電池を、商用の交流電源から電力変換して得た直流電力を用いて充電する。二次電池に充電された直流電力は、交流電力に逆変換されてモータの駆動用に供される。
【0107】
商用電源から二次電池に、より少ない電力で安全に充電するためには、変換効率が高く、かつ絶縁型のコンバータが必要になる。通常、交流電源から絶縁された直流電力を得るには、非絶縁型のAC−DCコンバータを用いる。交流電源からの入力電流を正弦波状に制御しつつ直流電力を生成し、この直流電力を絶縁型DC−DCコンバータにより絶縁して直流電力を得る。
【0108】
しかし、上記の構成では、非絶縁型AC−DCコンバータと絶縁型DC−DCコンバータの2段構成となるため、電源装置が大型化し、また変換効率も低下しやすいという問題があった。
【0109】
そこで、本第1実施形態に係る電源装置1を、電気自動車に適用することが考えられた。図7は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1を適用した第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111の概要構成図である。
【0110】
第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111は、図7に示すように、第1実施形態に係る電源装置1と、補機バッテリ106へ電力供給する第1のDC−DCコンバータ100と、各種の電装機器101と、インバータ103へ電力供給する第2のDC−DCコンバータ102と、駆動用モータ104を駆動するインバータ103と、電気自動車110の車輪(不図示)を駆動する駆動用モータ104と、二次電池105と、電装機器101への給電を担う補機バッテリ106と、急速充電器などの外部直流電源(不図示)を接続するための急速充電コネクタ107と、外部の交流電源109に接続するためのプラグイン充電コネクタ108とを備える。
【0111】
第1実施形態に係る電源装置1は、直流負荷としての二次電池105と、プラグイン充電コネクタ108とに接続されている。二次電池105には、第1および第2のDC−DCコンバータ100,102と、急速充電コネクタ107とが接続されている。
【0112】
第1実施形態に係る電源装置1は、プラグイン充電コネクタ108を介して接続された交流電源109の交流電力を直流電力に変換して二次電池105を充電するように動作する。
【0113】
第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111によれば、第1実施形態に係る電源装置1を適用することにより、電気自動車110に搭載された二次電池105を、例えば商用の交流電源109から高効率をもって充電することができる。なお、第2実施形態に係る電気自動車110の電源システム111は、電気自動車110に代えて、ハイブリッド自動車に適用してもよい。
【0114】
[その他の実施形態]
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0115】
例えば、本第1実施形態に係る電源装置1において、第1〜第6のスイッチング素子H1〜H4,S1,S2としてMOSFETを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やGaNデバイス、SiC(Silicon Carbide)デバイスなどをスイッチング素子として用いてもよい。ただし、かかるデバイス類をスイッチング素子として用いる場合、それぞれのスイッチング素子には、ダイオードを逆並列接続することが必要である。
【0116】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、第1のスイッチング回路3として、第1〜第4のスイッチング素子H1〜H4をフルブリッジ接続する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第1のスイッチング回路3として、一次巻線N1に電圧を印加する時間を変化させることが可能であれば、他の回路方式を採用してもよい。
【0117】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、第2のスイッチング回路4として、図1に示すように、第5のダイオードD5と第5のスイッチング素子S1とを第5の接続点Nd5を介して直列接続してなる第3のスイッチングレッグSL3、および、第7のダイオードD7と第6のスイッチング素子S2とを第6の接続点Nd6を介して直列接続した第4のスイッチングレッグSL4を備え、これら第3および第4のスイッチングレッグSL3,SL4を、相互に並列接続してなる態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第2のスイッチング回路4として、二次巻線N2を実質的に短絡することが可能であれば、他の回路方式を採用してもよい。なお、二次巻線N2を実質的に短絡する経路にコンデンサが介在する変形例も、本発明の技術的範囲の射程に包含される。
【0118】
また、本第1実施形態に係る電源装置1において、本発明に係る共振インダクタLrとして、独立したインダクタを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、本発明に係る共振インダクタLrとして、本発明が求める大きさの電磁エネルギーを蓄えることが可能であれば、例えば電線がもつインダクタンス成分であってもよい。このことは、平滑インダクタL1も同様である。
【0119】
最後に、本第1実施形態に係る電源装置1において、交流電源6および整流回路2を備える態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、交流電源6および整流回路2に代えて、直流電力を供給する直流電源を採用してもよい。このように構成すれば、直流電源から供給された直流電圧のレベルを調整(入力レベルと出力レベルとが同一となる態様を含む)して直流負荷に供給可能なDC−DCコンバータを具現化することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 電源装置
2 整流回路
3 第1のスイッチング回路
4 第2のスイッチング回路
5 制御部
6 交流電源
7 直流負荷
110 電気自動車
111 第2実施形態に係る電気自動車の電源システム
L1 平滑インダクタ
Lr 共振インダクタ
C1 第1の平滑コンデンサ
C2 第2の平滑コンデンサ
Cr 共振コンデンサ
T トランス
N1 一次巻線
N2 二次巻線
H1〜H4,S1,S2 第1〜第6のスイッチング素子
D1〜D8 第1〜第8のダイオード
D11〜D14 第1〜第4の整流ダイオード
Nd1〜Nd8 第1〜第8の接続点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を供給する交流電源と直流負荷との間に接続され、前記交流電源から供給された前記交流電力を直流電力に変換して前記直流負荷へ供給する電源装置において、
前記交流電源の全波整流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する第1のスイッチング回路と、
前記第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、
前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を前記二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、前記第2の直流端子間に接続された前記直流負荷に供給する第2のスイッチング回路と、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、
前記第1および第2のスイッチング回路がそれぞれ行う前記スイッチング動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2のスイッチング回路が行う前記スイッチング動作を制御することにより、前記第2の交流端子間を実質的に短絡する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記交流電源から供給された交流電力のうち電流を正弦波状に制御する力率改善制御を行う、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記正負の電圧を前記第1の交流端子間に印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御と、前記正負の電圧を前記第1の交流端子間に印加しながら前記第2の交流端子間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御とのうち少なくとも一方を実行することにより、前記直流負荷に供給する直流電力の大きさを調整する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記第1のスイッチング回路は、第1および第2のスイッチング素子を直列接続した第1のスイッチングレッグと、第3および第4のスイッチング素子を直列接続した第2のスイッチングレッグとを備え、
前記第1および第2のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第1のスイッチングレッグの端子間を前記第1の直流端子間とし、
前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第1の交流端子間とし、
前記第2のスイッチング回路は、第5のダイオードと第5のスイッチング素子を直列接続した第3のスイッチングレッグと、第7のダイオードと第6のスイッチング素子を直列接続した第4のスイッチングレッグとを備え、
前記第3および第4のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第3のスイッチングレッグの端子間を前記第2の直流端子間とし、
前記第5のダイオードおよび前記第5のスイッチング素子の直列接続点と、前記第7のダイオードおよび前記第6のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第2の交流端子間とした、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記第1のデューティ制御は、前記第1および第2のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第3および第4のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御であり、
前記第2のデューティ制御は、前記第1〜第4のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第5および第6のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御である、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記第1の直流端子を介して入力した電圧と、前記第2の直流端子から出力される前記直流電力のうち電圧との比に基づいて、前記第1および第2のデューティ制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて実行する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記交流電源の全波整流電圧をつくりだす整流回路を備え、
前記整流回路は、第1〜第4の整流ダイオードをブリッジ接続してなる、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記交流電源と前記第1の平滑コンデンサとの間に平滑インダクタを接続した、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第1の交流端子間に、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振コンデンサをさらに備えた、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第1〜第6のスイッチング素子のそれぞれにダイオードを逆並列接続した、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記直流負荷は二次電池を備え、
前記第2の直流端子から出力された前記直流電力を用いて前記二次電池を充電する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項12】
直流電力を供給する直流電源と直流負荷との間に接続され、前記直流電源から供給された直流電圧のレベルを調整して前記直流負荷へ供給する電源装置において、
前記直流電源から供給された直流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する第1のスイッチング回路と、
前記第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、
前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を前記二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、前記第2の直流端子間に接続された前記直流負荷に供給する第2のスイッチング回路と、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、
前記第1および第2のスイッチング回路がそれぞれ行う前記スイッチング動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1のスイッチング回路は、第1および第2のスイッチング素子を直列接続した第1のスイッチングレッグと、第3および第4のスイッチング素子を直列接続した第2のスイッチングレッグとを備え、
前記第1および第2のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第1のスイッチングレッグの端子間を前記第1の直流端子間とし、
前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第1の交流端子間とし、
前記第2のスイッチング回路は、第5のダイオードと第5のスイッチング素子を直列接続した第3のスイッチングレッグと、第7のダイオードと第6のスイッチング素子を直列接続した第4のスイッチングレッグとを備え、
前記第3および第4のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第3のスイッチングレッグの端子間を前記第2の直流端子間とし、
前記第5のダイオードおよび前記第5のスイッチング素子の直列接続点と、前記第7のダイオードおよび前記第6のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第2の交流端子間とし、
前記制御部は、前記第1および第2のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第3および第4のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御と、前記第1〜第4のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第5および第6のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御とのうち少なくとも一方を実行する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項1】
交流電力を供給する交流電源と直流負荷との間に接続され、前記交流電源から供給された前記交流電力を直流電力に変換して前記直流負荷へ供給する電源装置において、
前記交流電源の全波整流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する第1のスイッチング回路と、
前記第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、
前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を前記二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、前記第2の直流端子間に接続された前記直流負荷に供給する第2のスイッチング回路と、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、
前記第1および第2のスイッチング回路がそれぞれ行う前記スイッチング動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2のスイッチング回路が行う前記スイッチング動作を制御することにより、前記第2の交流端子間を実質的に短絡する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記交流電源から供給された交流電力のうち電流を正弦波状に制御する力率改善制御を行う、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記正負の電圧を前記第1の交流端子間に印加する期間の長さを変化させる第1のデューティ制御と、前記正負の電圧を前記第1の交流端子間に印加しながら前記第2の交流端子間を実質的に短絡する期間の長さを変化させる第2のデューティ制御とのうち少なくとも一方を実行することにより、前記直流負荷に供給する直流電力の大きさを調整する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記第1のスイッチング回路は、第1および第2のスイッチング素子を直列接続した第1のスイッチングレッグと、第3および第4のスイッチング素子を直列接続した第2のスイッチングレッグとを備え、
前記第1および第2のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第1のスイッチングレッグの端子間を前記第1の直流端子間とし、
前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第1の交流端子間とし、
前記第2のスイッチング回路は、第5のダイオードと第5のスイッチング素子を直列接続した第3のスイッチングレッグと、第7のダイオードと第6のスイッチング素子を直列接続した第4のスイッチングレッグとを備え、
前記第3および第4のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第3のスイッチングレッグの端子間を前記第2の直流端子間とし、
前記第5のダイオードおよび前記第5のスイッチング素子の直列接続点と、前記第7のダイオードおよび前記第6のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第2の交流端子間とした、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記第1のデューティ制御は、前記第1および第2のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第3および第4のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御であり、
前記第2のデューティ制御は、前記第1〜第4のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第5および第6のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御である、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電源装置であって、
前記制御部は、前記第1の直流端子を介して入力した電圧と、前記第2の直流端子から出力される前記直流電力のうち電圧との比に基づいて、前記第1および第2のデューティ制御のうちいずれか一方を択一的に切り替えて実行する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記交流電源の全波整流電圧をつくりだす整流回路を備え、
前記整流回路は、第1〜第4の整流ダイオードをブリッジ接続してなる、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記交流電源と前記第1の平滑コンデンサとの間に平滑インダクタを接続した、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第1の交流端子間に、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振コンデンサをさらに備えた、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第1〜第6のスイッチング素子のそれぞれにダイオードを逆並列接続した、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記直流負荷は二次電池を備え、
前記第2の直流端子から出力された前記直流電力を用いて前記二次電池を充電する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項12】
直流電力を供給する直流電源と直流負荷との間に接続され、前記直流電源から供給された直流電圧のレベルを調整して前記直流負荷へ供給する電源装置において、
前記直流電源から供給された直流電圧を第1の直流端子を介して入力し、前記入力した電圧に対してスイッチング動作を行うことにより生成した正負の電圧を、第1の交流端子間に接続されたトランスの一次巻線に出力する第1のスイッチング回路と、
前記第1の直流端子間に接続された第1の平滑コンデンサと、
前記一次巻線に磁気結合されて前記トランスを構成する二次巻線に誘導された電力を前記二次巻線の端子間に接続された第2の交流端子を介して入力し、前記入力した電力に対してスイッチング動作を行うことにより生成して第2の直流端子間に接続された第2の平滑コンデンサにより平滑化された直流電力を、前記第2の直流端子間に接続された前記直流負荷に供給する第2のスイッチング回路と、
前記一次巻線または前記二次巻線のいずれか一方、もしくは両者に直列接続された共振インダクタと、
前記第1および第2のスイッチング回路がそれぞれ行う前記スイッチング動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1のスイッチング回路は、第1および第2のスイッチング素子を直列接続した第1のスイッチングレッグと、第3および第4のスイッチング素子を直列接続した第2のスイッチングレッグとを備え、
前記第1および第2のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第1のスイッチングレッグの端子間を前記第1の直流端子間とし、
前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第1の交流端子間とし、
前記第2のスイッチング回路は、第5のダイオードと第5のスイッチング素子を直列接続した第3のスイッチングレッグと、第7のダイオードと第6のスイッチング素子を直列接続した第4のスイッチングレッグとを備え、
前記第3および第4のスイッチングレッグは相互に並列接続され、
前記第3のスイッチングレッグの端子間を前記第2の直流端子間とし、
前記第5のダイオードおよび前記第5のスイッチング素子の直列接続点と、前記第7のダイオードおよび前記第6のスイッチング素子の直列接続点との間を前記第2の交流端子間とし、
前記制御部は、前記第1および第2のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第3および第4のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第1の位相シフト制御と、前記第1〜第4のスイッチング素子のターンオフタイミングと、前記第5および第6のスイッチング素子のターンオフタイミングとの位相を変化させる第2の位相シフト制御とのうち少なくとも一方を実行する、
ことを特徴とする電源装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−249375(P2012−249375A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117673(P2011−117673)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【Fターム(参考)】
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