説明

電源逆接続保護回路

【課題】外部直流電源の逆接続や負サージの印加を認識し、確実に電子制御装置に過電流が発生することを防止できる電源逆接続保護回路を提供する。
【解決手段】外部直流電源の高電位側端子2と低電位側端子3とに接続される整流器12が備えられる。この整流器12の高電位側ノード13及び低電位側ノード14は逆接続保護制御回路11に接続される。外部直流電源の逆接続状態でも、整流器12は高電位側ノード13に高電位を発生し、低電位側ノード14に低電位を発生する。従って、逆接続保護制御回路11の比較器15は、電源端子3とグランド端子5への外部直流電源の逆接続状態を判定し、逆接続保護素子駆動回路16は逆接続保護素子10を確実にオフ動作させる。その結果、グランド端子5から電源端子3への過電流は確実に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に対して外部直流電源が正常とは逆に接続された電源逆接続時を検出して、その電子制御装置を過電流から保護する電源逆接続保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば車載用の電子制御装置等の電子機器に対してバッテリ等の外部直流電源を接続する際に、誤接続等により電源が逆極性に接続されると、電子機器に搭載されている素子に過電流が発生し、破壊する恐れがある。何故なら、例えば、電子制御装置等がMOSトランジスタを駆動素子として負荷駆動回路を構成した場合に、MOSトランジスタは、その構造上、寄生ダイオードを持っているため、その寄生ダイオードに順バイアスがかかり、過電流が発生するためである。
【0003】
そこで、従来、バッテリ等の外部直流電源の逆接続時に電子制御装置を保護するために、保護回路を設けることが行われている。
【0004】
例えば、直流電源の電源端子と電子制御装置との間(即ち、電源配線)に、前記直流電源の電源端子側をアノードとし、前記電子制御装置側をカソードとするダイオードを接続し、この接続により、前記直流電源の極性が逆に接続された場合には、前記ダイオードに逆バイアスが印加されて、電流の逆流が遮断され、前記電子制御装置の破壊を回避することが行われる。
【0005】
また、直流電源の電源端子と電子制御装置との間にヒューズを接続し、前記ヒューズと前記電子制御装置との間をカソードとし、前記直流電源のグランド端子をアノードとするダイオードを接続し、この接続により、前記直流電源が逆に接続された場合には、前記グランド端子から前記ダイオードを介して前記ヒューズに過電流が発生し、前記ヒューズが溶断して、過電流を遮断し、前記電子制御装置の破壊を回避することが行われる。
【0006】
しかし、前記従来の技術において、ダイオードにより過電流を遮断する方法では、電源の正常接続時においてダイオードに常時電流が発生するため、電圧降下が発生し、電子制御装置の動作電圧が低下すると共に、ダイオードが発熱してしまうという問題があった。
【0007】
また、ヒューズにより過電流を遮断する方法では、ヒューズが溶断した後に直流電源の接続を正常に戻しても、ヒューズを交換するまでは電子制御装置を駆動することができないという問題があった。
【0008】
そこで、従来、例えば特許文献1には、外部直流電源の逆接続から電子制御装置を保護する逆接続保護用FETを電子制御装置に直列に接続し、正常に直流電源が接続された場合は、逆接続保護用FETをオン制御し、逆接続時には逆接続保護用FETをオフさせる電源逆接続保護回路が記載されている。この電源逆接続保護回路では、具体的に、外部直流電源の正常接続時には、比較器により正常接続であることを認識して、チャージポンプ回路により電位を昇圧して前記逆接続保護用FETを完全にオンさせることにより、この逆接続保護用FETでの抵抗値を極く小さく制限し、前記逆接続保護用FETでの電力損失を低減する。一方、逆接続時には、チャージポンプ回路を停止させることにより、逆接続保護用FETをオンさせる信号を発生させずに、電子制御装置に正常動作時とは逆方向の過電流が発生することを防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−82374号公報(第13頁、第5図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1の構成では、電源逆接続時においてチャージポンプ回路は昇圧動作しないが、必ずしも前記逆接続保護用FETがオンしないとは限らない欠点がある。何故なら、前記逆接続保護用FETのソース端子は前記電子制御装置の電源端子であり、逆接続時においては接地電位である。前記逆接続保護用FETがオンしないためには、その制御端子を閾値電位以下にする必要があるものの、前記電子制御装置のグランド端子から印加される電源電位が内部素子を経由して前記制御端子に接続される可能性があるため、前記逆接続保護用FETがオンとなる場合があり、過電流を確実に阻止できないという課題を有する。
【0011】
また、特許文献1の構成では、正常接続時において、バッテリ等の外部直流電源に負サージが印加されると、逆接続保護FETの制御端子にはチャージポンプ回路で昇圧された電位が残っているため、逆接続保護用FETがオンする可能性があり、このため、前記逆接続時と同様に、前記電子制御装置のグランド端子から電源端子に向かって過電流が発生する場合があり、過電流の発生を確実に阻止することができないという課題を有する。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、その目的は、外部直流電源の逆接続時や負サージの印加時にも、確実に過電流の発生を阻止できる電源逆接続保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明では、FETなどの逆接続保護素子を有する電源逆接続保護回路において、備える比較器や逆接続保護素子制御回路の動作を、電源逆接続時や負サージの印加時にも正常接続時と同様に正常動作させることとして、外部直流電源からの電流を整流する整流器を備える構成を採用する。
【0014】
具体的に、請求項1記載の発明の電源逆接続保護回路は、外部直流電源の高電位側端子と低電位側端子とを電源端子とグランド端子とに接続して、前記電源端子とグランド端子とに接続される負荷に対して外部直流電源から電源供給を行う場合に、前記外部直流電源の前記電源端子及びグランド端子への逆接続に対して保護する電源逆接続保護回路であって、前記外部直流電源に対して前記負荷と直列に接続される逆接続保護素子と、前記電源端子とグランド端子とに接続されて整流する整流器と、前記整流器で整流された電圧で動作し、前記外部直流電源の前記電源端子とグランド端子に対する接続状態を認識して、前記逆接続保護素子のオン動作及びオフ動作を制御する逆接続保護素子制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、前記整流器は、4個のダイオードを有するダイオードブリッジ整流器であり、前記電源端子とグランド端子とに接続される2つの端子と、整流後の高電位が発生する高電位側ノード及び整流後の低電位が発生する低電位側ノードとを有し、前記高電位側ノードと低電位側ノードとが前記逆接続保護素子制御回路に接続されることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記請求項2記載の電源逆接続保護回路において、前記逆接続保護素子は、IGBT又はMOSトランジスタで構成されることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、前記整流器は、低電位生成用の2個のダイオードと、低電位側ノードのみを有し、前記逆接続保護素子は、前記直流電源の逆接続時に逆方向のダイオード接続となる構成を有し、前記負荷は、前記直流電源の逆接続時に順方向のダイオード接続となる構成を有し、前記逆接続保護素子での前記逆方向のダイオード接続となる構成部分と、前記負荷での前記順方向のダイオード接続となる構成部分とが前記整流器での高電位生成用の2個のダイオードとして機能し、前記逆接続保護素子と前記負荷との接続点が前記整流器の高電位側ノードとして前記逆接続保護素子制御回路に接続されることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、前記整流器は、高電位生成用の2個のダイオードと、高電位側ノードのみを有し、前記逆接続保護素子は、前記直流電源の逆接続時に逆方向のダイオード接続となる構成を有し、前記負荷は、前記直流電源の逆接続時に順方向のダイオード接続となる構成を有し、前記逆接続保護素子での前記逆方向のダイオード接続となる構成部分と、前記負荷での前記順方向のダイオード接続となる構成部分とが前記整流器での低電位生成用の2個のダイオードとして機能し、前記逆接続保護素子と前記負荷との接続点が前記整流器の低電位側ノードとして前記逆接続保護素子制御回路に接続されることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記請求項4又は5記載の電源逆接続保護回路において、前記逆接続保護素子は、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタで構成されることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、前記請求項1〜6の何れか1項に記載の電源逆接続保護回路において、前記逆接続保護素子制御回路は、前記外部直流電源の高電位側端子と低電位側端子とが接続されて前記外部直流電源の逆接続を認識する比較器と、前記比較器の出力に基づいて前記逆接続保護素子の制御端子の電圧を制御して、前記逆接続保護素子のオン動作及びオフ動作の切り換えを行う逆接続保護素子駆動回路とを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、前記請求項1〜7の何れか1項に記載の電源逆接続保護回路において、前記逆接続素子制御回路は、前記直流電源の逆接続を認識したとき、警告信号を出力する機能を更に有することを特徴とする。
【0022】
以上により、請求項1〜8記載の発明では、外部直流電源の正常接続時においては、逆接続保護素子をオン制御して低抵抗として、電力損失を抑えつつ、外部直流電源の逆接続時や負サージの印加時には、整流器の出力は電源正常接続時と同等の電圧を出力するので、逆接続保護素子制御回路が正常動作して、逆接続保護素子を確実にオフ制御し、負荷へ過電流を発生させない。従って、確実に外部直流電源の逆接続や負サージの印加に対して保護される。
【0023】
特に、請求項4及び5記載の発明では、逆接続保護素子と負荷とのダイオード接続となる構成部分が整流器の高電位生成用又は低電位生成用の2個のダイオードとして機能して、整流するので、2個の整流素子が不要となり、整流器の部品点数を削減することができる。
【0024】
また、請求項6記載の発明では、NチャネルMOSトランジスタはバックゲートとソース端子とを接続することで寄生ダイオードを具備する素子であり、また、比較的低ON抵抗の素子であるので、より効果的に正常接続時の電力損失を低減できる。一方、PチャネルMOSトランジスタはバックゲート端子とソース端子とを接続することで寄生ダイオードを具備する素子であり、また、PチャネルMOSトランジスタはオン制御信号として外部直流電源の高電位側端子の電位以下でオン制御可能であるので、オン制御させるために昇圧回路等の回路を必要とせず、省面積化が図られる。
【0025】
更に、請求項7記載の発明では、外部直流電源の正常接続時においては、比較器により外部直流電源が正常接続されていると認識し、逆接続保護素子駆動回路が逆接続保護素子をオン制御するので、電力損失を低く抑えつつ、外部直流電源の逆接続時においては、比較器により電源が逆接続していると正常に認識され、逆接続保護素子駆動回路が逆接続保護素子を確実にオフ制御するので、負荷に過電流が発生することを確実に防止できる。
【0026】
加えて、請求項8記載の発明では、外部直流電源の逆接続時には、警告信号を他の電子制御装置に出力することにより、他の電子制御装置は動作を停止することができるので、前記他の電子制御装置において外部直流電源の逆接続を認識する回路を削減することができ、省面積化が図られる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明の電源逆接続保護回路は、電源正常接続時においては逆接続保護素子をオン制御して、電力損失を低減しつつ、電源逆接続時や負サージの印加時には、逆接続保護素子を確実にオフ制御できるので、過電流が発生せず、電子制御装置を破壊から確実に保護できる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1における電源逆接続保護回路の全体構成を示すブロック構成図である。
【図2】同電源逆接続保護回路の詳細な内部構成を示す図である。
【図3】同電源逆接続保護回路の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態2における電源逆接続保護回路の全体構成を示すブロック構成図である。
【図5】同電源逆接続保護回路の詳細な内部構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態3における電源逆接続保護回路の全体構成を示すブロック構成図である。
【図7】同電源逆接続保護回路の詳細な内部構成を示す図である。
【図8】同電源逆接続保護回路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本実施形態における電源逆接続保護回路のブロック構成図を示す。
【0031】
同図において、7は電源逆接続保護回路、1は前記電源逆接続保護回路7に負荷6を接続して成る電子制御装置である。前記電子制御装置1は、外部直流電源Bの高電位側端子2に接続される電源端子3と、前記外部直流電源Bの低電位側端子4に接続されるグランド端子5とを備えている。
【0032】
前記電子制御装置1では、前記負荷6の一端はグランド端子5に接続され、その他端は電源逆接続保護回路7の出力端子8に接続される。電源逆接続保護回路7の入力端子9は前記電源端子3に接続される。従って、電子制御装置1では、前記外部直流電源Bの高電位が電源端子3及び電源逆接続保護回路7を介して負荷6に印加されて電力が供給される。
【0033】
前記電源逆接続保護回路7では、その入力端子9と出力端子8との間に逆接続保護素子10が接続される。この逆接続保護素子10の制御端子には逆接続保護素子制御回路11の出力端子が接続される。
【0034】
前記電源逆接続保護回路7は、整流器12を備える。この整流器12は、前記電源端子3とグランド端子5との間の電圧を入力とし、その高電位側ノード13は前記逆接続保護制御回路11の電源端子に接続され、その低電位側ノード14は前記逆接続保護制御回路11のグランド端子に接続される。
【0035】
前記電源逆接続保護回路7の詳細な回路構成図を図2に示す。
【0036】
同図において、逆接続保護素子制御回路11は、比較器15と、逆接続保護素子駆動回路16とにより構成されている。それ等の電源端子は整流器12の高電位側ノード13に接続され、それ等のグランド端子は整流器12の低電位側ノード14に接続される。
【0037】
前記比較器15は、その入力側に前記電源端子3とグランド端子5とが接続されており、その両端子3、5同士の電圧比較結果を逆接続保護素子駆動回路16に出力する。前記逆接続保護素子駆動回路16は、前記比較器15からの信号に応じて逆接続保護素子10を駆動する。
【0038】
図2では、逆接続保護素子10はNチャネルMOSトランジスタ17で構成され、整流器12は4個のダイオードD1〜D4を有して全波整流するダイオードブリッジ整流器として構成される。前記逆接続保護素子10であるNチャネルMOSトランジスタ17は、その構造上有する寄生ダイオードPDも外部直流電源Bの逆接続から保護するように、ソース端子が電源逆接続保護回路7の入力端子9に接続され、ドレイン端子が電源逆接続保護回路7の出力端子8に接続される。また、逆接続保護素子制御回路11は、内部に、図示しないが、発振回路と、その発振回路の発振によって充放電されるコンデンサ群とを備えており、このコンデンサ群の最終段のコンデンサに外部直流電源Bの高電位側端子2よりも高電位の昇圧電圧を出力して、この昇圧電圧を前記逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)の制御端子(ゲート端子)に印加して、この逆接続保護素子10をオン制御する。尚、この逆接続保護素子制御回路11は、更に、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)のゲート-ソース間を接続する抵抗(図示せず)を有して、その制御端子(ゲート)に残存する昇圧電荷を前記抵抗を介してソース端子に流してゲート-ソース間を等電位にして、イニシャル状態でこの逆接続保護素子10をオフ状態にし、不安定動作を回避するようにしている。
【0039】
以上のように構成された電源逆接続保護回路7について、以下、その動作を説明する。
【0040】
外部直流電源Bの正常接続時、すなわち、図1に破線で示すように、外部直流電源Bの高電位側電源端子2に電源端子3が接続され、外部直流電源Bの低電位側電源端子4にグランド端子5が接続された正常接続時では、整流器12によって、高電位側ノード13には整流された高電位(この高電位は、電源端子3の電位からダイオードD1の順方向電圧分だけ電圧降下した電位である)が出力される。また、整流器12の低電位側ノード14には、低電位(グランド端子5の電位からダイオードD4の順方向電圧分だけ高い電位)が出力される。これにより、比較器15及び逆接続保護素子駆動回路16は、それ等の電源端子に整流器12によって整流された高電位が印加され、それ等のグランド端子に整流器12によって整流された低電位が印加されて、正常動作状態となる。
【0041】
このとき、比較器15は、電源端子3とグランド端子5との電位同士を比較する。電源正常接続状態においてはグランド端子5よりも電源端子3の方が高い電位となるので、比較器15は電源正常接続状態と認識し、オン信号を逆接続保護素子駆動回路16に出力する。
【0042】
前記比較器15からオン信号を受けた逆接続保護素子駆動回路16は、逆接続保護素子10をオン抵抗領域で駆動させるためにオン駆動信号を出力する。このオン駆動信号は、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)のソース端子電圧(すなわち、電源逆接続保護回路7の入力端子9の電圧)を前記発振回路及びコンデンサ群により昇圧した電圧であり、逆接続保護素子10の制御端子に出力される。その結果、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)はオンし、電源逆接続保護回路7の出力端子8には、外部直流電源Bの高電位側端子2の電位と同等の電位が出力される。
【0043】
以上のように、外部直流電源Bの正常接続時には、逆接続保護素子制御回路11は、電源正常接続状態であることを認識して、逆接続保護素子10をオン動作させる信号を生成し、逆接続保護素子10をオン制御する。
【0044】
次に、外部直流電源Bの逆接続時、すなわち、電源端子3に外部直流電源Bの低電位側端子4が接続され、グランド端子5に外部直流電源Bの高電位側端子2が接続された逆接続状態について説明する。
【0045】
整流器12は、高電位側ノード13に、整流された高電位として、グランド端子5の電位からダイオードD2の順方向電圧分だけ電圧降下した電位を出力し、低電位側ノード14に、整流された低電位として、電源端子3の電位からダイオードD3の順方向電圧分だけ高い電位を出力する。これにより、外部直流電源Bの正常接続時と同様に、比較器15及び逆接続保護素子駆動回路16は、それ等の電源端子に整流器12によって整流された高電位が印加され、それ等のグランド端子に整流器12によって整流された低電位が印加されて、正常動作状態となる。
【0046】
このとき、比較器15は、電源端子3とグランド端子5との両電位を比較する。外部直流電源Bの逆接続状態にはグランド端子5よりも電源端子3の方が低電位となるので、比較器15は外部直流電源Bの逆接続状態と認識し、オフ信号を逆接続保護素子駆動回路16に出力する。
【0047】
前記比較器15からオフ信号を受けた逆接続保護素子駆動回路16では、電源電圧の正常供給により正常動作して、逆接続保護素子10をオフさせるために、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)のソース端子電圧である電源逆接続保護回路7の入力端子9の電位を逆接続保護素子10の制御端子に出力し、逆接続保護素子10を完全にオフ状態に保つ。このとき、逆接続保護素子10の寄生ダイオードPDは逆バイアスとなっているので、グランド端子5から負荷6を経て電源端子3に流れる逆電流は発生しない。
【0048】
従って、外部直流電源Bの逆接続時にも、逆接続保護素子制御回路11は、外部直流電源Bの逆接続状態を正常に認識し、逆接続保護素子10をオフ動作させる信号を出力し、逆接続保護素子10を確実にオフ制御する。
【0049】
続いて、外部直流電源Bの正常接続状態において、外部直流電源Bの高電位側端子2に負サージが印加されて、電源逆接続状態となった場合について説明する。
【0050】
外部直流電源の正常接続状態においては、前述したように、逆接続保護素子駆動回路16によって外部直流電源Bの高電位側端子2の電圧よりも高電位の昇圧電圧が逆接続保護素子10の制御端子に印加されている。
【0051】
ここで、このような電源正常接続状態から負サージの印加により電源逆接続状態に切替った場合には、逆接続保護素子駆動回路16内の昇圧用のコンデンサ(図示せず)に蓄積された電荷は保持されるが、この際には、逆接続保護素子制御回路11が、既述した電源逆接続状態と同様に、電源逆接続状態を認識し、逆接続保護素子10の制御端子に電源逆接続保護回路7の入力端子9の電位を出力し、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)のゲート-ソース間電圧を等電圧にするので、この逆接続保護素子10はオフに切換え制御される。従って、負サージの印加時においても、逆電流の発生による破壊を確実に防止することができる。
【0052】
更に、逆接続保護素子制御回路11によって電源逆接続状態を認識した信号を、警告信号19として他回路に出力する構成を採用すれば、他回路は電子制御装置1が異常状態であることを認識することができ、他回路においても同様に保護状態に切替えることが可能である。例えば、車載用の電子制御装置等の電子機器にバッテリ等の直流電源を誤って逆接続し、動作しなかった場合には、この警告信号19によって動作しない原因が逆接続によるものと判るので、正常接続に接続し直すことも可能である。
【0053】
また、例えば、同一直流電源を用いた複数の電子制御装置がある場合において、この警告信号19を用いることにより、他の電子制御装置から比較器15のような逆接続を認識する構成部分を削除することができ、省面積化することも可能である。
【0054】
以上により、本実施形態によれば、外部直流電源Bの電源逆接続時や負サージの印加時においても、整流器12によって逆接続保護素子制御回路11を正常に動作させて、逆接続を認識できるようにしたので、確実に逆接続保護素子10をオフさせて、過電流の発生を防止し、電子制御装置を破壊から保護することができる。
【0055】
尚、本実施形態では、比較器15は、外部直流電源Bの逆接続を認識してオフ信号を出力しているが、必ずしも、電源端子3の電位とグランド端子5の電位とが逆転している必要はなく、その両端子3、5間の電位差が予め定めた所定の電位差になった時にオフ信号を出力する構成としても良い。
【0056】
また、本実施形態によれば、逆接続保護素子10としてNチャネルMOSトランジスタ17を用いて説明しているが、必ずしもNチャネルMOSトランジスタ17を用いる必要はなく、例えば図3に示すように、PチャネルMOSトランジスタ18や、寄生ダイオードを有しないIGBTなどの他のトランジスタ素子を用いても良いのは勿論である。NチャネルMOSトランジスタのオン抵抗値は、一般的にはPチャネルMOSトランジスタのオン抵抗値よりも小さいので、電力損失を抑えることが可能である。しかし、NチャネルMOSトランジスタを用いる場合、これをオン動作させるためには、昇圧回路等によって外部直流電源Bの高電位側端子2の電圧以上の電圧を生成する必要があって、回路規模の増大に繋がるが、PチャネルMOSトランジスタを用いた場合には、そのような回路は必要なく、例えば抵抗分割等によりオンに制御することが可能である利点がある。
【0057】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0058】
図4は、本実施形態における電源逆接続保護回路のブロック構成図を示す。
【0059】
同図において、7は電源逆接続保護回路、21は前記電源逆接続保護回路7に負荷6を接続して成る電子制御装置である。
【0060】
同図の電源逆接続保護回路7が図1に示した電源逆接続保護回路7と相違する点は、次の通りである。すなわち、図1では整流器12の出力である高電位側ノード13が逆接続保護素子制御回路11の電源端子に接続されていたが、図4では、整流器12の高電位側ノード13が設けられておらず、電源逆接続保護回路7の出力端子8が逆接続保護素子制御回路11の電源端子に接続されている点が異なる。また、負荷6としては、図5に示すように、例えばモータ駆動用のHブリッジ回路22が例示されている。このHブリッジ回路22の駆動用素子としては、MOSトランジスタが使われており、一般的に、同図に示したように、MOSトランジスタを2個直列接続したものを1対用意し、その2つのMOSトランジスタ直列回路のそれぞれの接続点を誘導性負荷(モータM)で接続して構成されている。
【0061】
更に、ダイオード整流器12は、低電位生成用の2個のダイオードD3、D4のみで構成される。すなわち、整流器12を構成する高電位生成用の2個のダイオードは、本実施形態では、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)の寄生ダイオードPDと、負荷6(モータ駆動用のHブリッジ回路22)の4つのMOSトランジスタの寄生ダイオードPD1〜PD4で構成、兼用されている。従って、電源逆接続保護回路7の出力端子8が整流器12の高電位側ノードとして機能して、逆接続保護素子制御回路11の電源端子に接続される構成である。
【0062】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0063】
前述したように、MOSトランジスタでは、その構造上、寄生ダイオードを持っているため、電源逆接続によって「MOSトランジスタの段数×ダイオードの順方向電圧(以下、Vfと称する)」以上の電圧がかかると、過電流が発生する。前記Hブリッジ回路22の例では、2Vf以上の電圧となると、過電流が発生する。
【0064】
電源端子3に外部直流電源の高電位側端子2を接続し、グランド端子5に外部直流電源の低電位側端子4を接続した外部直流電源の正常接続状態では、電源端子3から逆接続保護素子10の寄生ダイオードPDを通り、次に電源逆接続保護回路7の出力端子(整流器12の高電位側ノード)8から逆接続保護素子制御回路11を通り、整流器12の低電位側ノード14から整流器12の低電位生成用ダイオードD4を通り、グランド端子5に至る経路を通り、通電する。
【0065】
前記通電と同時に、電源逆接続保護回路7の出力端子(整流器12の高電位側ノード)8に高電位(具体的には、電源端子3の電位からVf分だけ電圧降下した電位)が発生する。また、整流器12の低電位側ノード14には低電位(具体的には、グランド端子5の電位からVf分だけ高い電位)が出力される。これにより、比較器15及び逆接続保護素子駆動回路16は正常動作状態となる。
【0066】
このとき、比較器15は電源端子3の電位とグランド端子5の電位とを比較する。電源正常接続状態においては、グランド端子5よりも電源端子3の方が高い電位となるので、比較器15は電源正常接続状態と認識し、オン信号を逆接続保護素子駆動回路16に出力する。
【0067】
前記比較器15からオン信号を受けた逆接続保護素子駆動回路16は、逆接続保護素子10をオン抵抗領域で制御するために、オン制御信号を出力する。逆接続保護素子10はNチャネルMOSトランジスタ17であるため、逆接続保護素子駆動回路16は、NチャネルMOSトランジスタ17のソース端子電圧である電源逆接続保護回路7の入力端子9の電圧を昇圧し、NチャネルMOSトランジスタ17のゲート端子(制御端子)に出力する。その結果、逆接続保護素子10はオンし、電源逆接続保護回路7の出力端子8に外部直流電源の高電位側端子2の電位と同等の電位が出力される。
【0068】
従って、電源正常接続時には、逆接続保護素子制御回路11は、電源正常接続状態であることを認識し、逆接続保護素子10をオン動作させる信号を生成し、逆接続保護素子10をオン制御する。
【0069】
次に、誤って電源端子3に外部直流電源の低電位側端子4を接続し、グランド端子5に外部直流電源の高電位側端子2を接続した電源逆接続状態について説明する。
【0070】
グランド端子5から負荷6のHブリッジ回路22におけるMOSトランジスタの寄生ダイオードPD1〜PD4を通り、次に電源逆接続保護回路7の出力端子(整流器12の高電位側ノード)8から逆接続保護素子制御回路11を通り、整流器12の低電圧側ノード14から整流器12の低電位生成用のダイオードD3を通り、電源端子3に至る経路を通り、通電する。
【0071】
この通電と同時に、電源逆接続保護回路7の出力端子8に高電位(具体的には、グランド端子5の電位から2Vf分だけ電圧降下した電位)が発生し、整流器12の低電位側ノード14には低電位(具体的には、電源端子3の電位からVf分だけ高い電位)が出力されて、正常接続状態の電位と同等となる。これにより、比較器15及び逆接続保護素子駆動回路16は正常動作状態となる。
【0072】
このとき、比較器15は電源端子3の電位とグランド端子5の電位とを比較する。電源逆接続状態においては、グランド端子5よりも電源端子3の方が低電位となるため、比較器15は電源逆接続状態と認識し、オフ信号を逆接続保護素子駆動回路16に出力する。
【0073】
前記比較器15からオフ信号を受けた逆接続保護素子駆動回路16は、NチャネルMOSトランジスタ17のソース端子電圧である電源逆接続保護回路7の入力端子9の電圧をそのNチャネルMOSトランジスタ17のゲート端子に出力して、逆接続保護素子10を完全にオフ状態に保つ。このとき、逆接続保護素子10の寄生ダイオードPDは逆バイアスとなるため、逆電流は発生しない。
【0074】
従って、電源逆接続時においては、逆接続保護素子制御回路11は、電源逆接続状態であることを確実に認識し、逆接続保護素子10をオフ動作させる信号を出力して、逆接続保護素子10を確実にオフ制御する。
【0075】
続いて、電源正常接続状態から直流電源の高電位側端子2に負サージが印加されて、電源逆接続状態となった場合について説明する。
【0076】
電源正常接続状態においては、前述したように、外部直流電源の高電位側端子2の電位より昇圧された電圧が逆接続保護素子10の制御端子に印加されている。
【0077】
ここで、電源正常接続状態から負サージの印加により電源逆接続状態に切替った場合には、逆接続保護素子駆動回路16内のコンデンサに蓄積された電荷は保持されるが、このとき、逆接続保護素子制御回路11は、前記電源逆接続状態と同様に正常動作して、逆接続保護素子10の制御端子に電源逆接続保護回路7の入力端子9の電位(NチャネルMOSトランジスタ17のソース端子電圧)を出力するため、逆接続保護素子10は確実にオフに制御される。従って、負サージの印加時においても、逆電流の発生による破壊を防ぐことができる。
【0078】
更に、逆接続保護素子制御回路11により電源逆接続状態を認識した信号を警告信号19として他回路に出力すれば、他回路は電子制御装置1が異常状態であることを認識することができるので、他回路も同様に保護状態に切替えることができる。例えば、車載用の電子制御装置等の電子機器にバッテリ等の直流電源を逆接続して、動作しなかった場合には、この警告信号19によって動作しない原因が逆接続によるものと判るので、正常接続に接続し直すことも可能である。また、例えば同一直流電源を用いた複数の電子制御装置がある場合において、この警告信号19を用いることにより、他の電子制御装置から比較器15のような逆接続を認識する機能を持つ構成を削除することができるので、省面積化することが可能である。
【0079】
以上により、本実施形態によれば、整流器12の2個の高電位生成用ダイオードとして、逆接続保護素子10が有するダイオード接続となる構成部分と、負荷6が有するダイオード接続となる構成部分とを利用すると共に、整流器12の高電位側ノードとして電源逆接続保護回路7の出力端子8を使用するので、前記実施形態1と同様に、電源逆接続時や負サージの印加時においても、逆接続保護素子制御回路11を正常に動作させて、その逆接続等を正常に認識できるので、確実に逆接続保護素子10をオフさせて、過電流の発生を防止できて、電子制御装置を破壊から確実に保護することができる。
【0080】
尚、逆接続保護素子10が有するダイオード接続構成部分や負荷6が有するダイオード接続構成部分は、配置されたダイオード自体や寄生ダイオードの何れであっても良い。
【0081】
更に、本実施形態では、実施形態1と比較すると、整流器12の高電位生成用の2個のダイオード(整流素子)が不要となるので、部品点数を削減することができる。
【0082】
尚、本実施形態では、比較器15は逆接続を認識してオフ信号を出力しているが、必ずしも電源端子3の電位とグランド端子5の電位とが逆転している必要はなく、その両端子間の電位差が予め定めた所定の電位差になったときオフ信号を出力する構成としても良い。
【0083】
また、本実施形態では、負荷6としてHブリッジ回路22を用いて説明しているが、必ずしもHブリッジ回路22を用いる必要はなく、少なくとも1対以上のMOSトランジスタ直列回路を有するモータ駆動装置、電源装置、バッファ回路や、MOSトランジスタとダイオードのカソード側を接続し、その接続点に誘導性負荷が接続される電源回路等、電源が逆接続されたときに、順方向のダイオード接続となる経路が発生する負荷であれば、適用が可能である。
【0084】
また、本実施形態では、逆接続保護素子10としてNチャネルMOSトランジスタ17を用いて説明しているが、必ずしもNチャネルMOSトランジスタ17を用いる必要はなく、例えば、PチャネルMOSトランジスタや寄生ダイオードを有する他のトランジスタ素子を用いても良い。NチャネルMOSトランジスタのオン抵抗値は、一般的にはPチャネルMOSトランジスタのオン抵抗値よりも小さいので、電力損失を抑えることが可能であるが、NチャネルMOSトランジスタを用いる場合には、昇圧回路等によって外部直流電源の高電位側端子2の電圧以上の電圧を生成する必要があって、回路規模の増大に繋がるが、PチャネルMOSトランジスタを用いた場合には、そのような昇圧回路は必要なく、例えば抵抗分割等によりオンに制御することが可能である。
【0085】
(実施形態3)
続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0086】
前述したように、一般的にNチャネルMOSトランジスタ素子はPチャネルMOSトランジスタに比べて、低オン抵抗であるが、電源端子側に逆接続保護素子を設けると、昇圧回路等の電圧生成回路が必要となる。一方、グランド端子側に逆接続保護素子を設けると、電源端子から印加される電位以下で制御することが可能であるので、昇圧回路を必要としない。
【0087】
通常、電子制御装置においては、耐ノイズ性能を高めるため、又は、他の装置との入出力電位を合せるため等の理由から、グランド配線のインピーダンスを極力下げることが望ましい。しかし、十分にオン抵抗が小さく、また、負荷に発生する電流値が比較的小さく、逆接続保護素子での電圧降下が無視できるほど小さい場合においては、前記課題は問題にならない。
【0088】
つまり、グランド端子側に逆接続保護素子を設けることにより、低オン抵抗で且つ省部品の電子制御装置を構成することが可能となる。
【0089】
本実施形態3では、電子制御装置において、電源逆接続保護回路がグランド端子側に配置された場合を説明する。
【0090】
図6は、本実施形態における電源逆接続保護回路のブロック構成図を示す。同図において、7は電源逆接続保護回路、31は前記電源逆接続保護回路7に負荷6を接続して成る電子制御装置である。
【0091】
同図の電源逆接続保護回路7が図4に示した電源逆接続保護回路7と相違する点は、次の通りである。すなわち、図7にも示すように、負荷6としては、図5と同様に、例えばモータ駆動用のHブリッジ回路22が例示されているが、負荷6の一端は電源端子3に接続され、その他端は電源逆接続保護回路7の出力端子8に接続されている。また、逆接続保護素子制御回路11の入力端子9はグランド端子5に接続されている。
【0092】
加えて、ダイオード整流器12は、高電位生成用のダイオードD1、D2と、高電位側ノード13のみを有し、低電位生成用のダイオードと低電位側ノードは設けられていない。そして、逆接続保護素子10(NチャネルMOSトランジスタ17)の寄生ダイオードPDと、モータ駆動用のHブリッジ回路22の寄生ダイオードPD1〜PD4とを前記整流器12の低電位生成用のダイオードとし、更に、電源逆接続保護回路7の出力端子8が整流器12の低電位側ノードとして逆接続保護素子制御回路11のグランド端子に接続されている。
【0093】
以上のように構成された本実施形態の電源逆接続保護回路について、以下、その動作を図7を用いて説明する。
【0094】
電源端子3に外部直流電源の高電位側端子2を接続し、グランド端子5に外部直流電源の低電位側端子4を接続した電源正常接続状態では、電源端子3から整流器12のダイオードD1を通り、高電位側ノード13から逆接続保護素子制御回路11を通り、電源逆接続保護回路7の出力端子8を通り、逆接続保護素子10の寄生ダイオードPDを通り、グランド端子5に至る経路を通り、通電する。
【0095】
この通電と同時に、整流器12の高電位側ノード13には高電位(具体的には、電源端子3の電位からVf分だけ低い電位)が出力され、電源逆接続保護回路7の出力端子8には低電位(具体的には、グランド端子5の電位からVf分だけ高い電位)が出力される。これにより、比較器15及び逆接続保護駆動回路16は正常動作状態となる。
【0096】
比較器15及び逆接続保護駆動回路16の動作は、前記実施形態2の電源逆接続保護駆動回路16の動作と同じであるので、説明を割愛する。但し、逆接続保護駆動回路16において、逆接続保護素子10を駆動させるためのオン制御電圧は、外部直流電源の電圧で十分であるので、昇圧回路等によって昇圧、生成する必要はない。
【0097】
次に、電源端子3に外部直流電源の低電位側端子4を接続し、グランド端子5に外部直流電源の高電位側端子2を接続した電源逆接続状態について説明する。
【0098】
この電源逆接続状態では、グランド端子5から整流器12のダイオードD2を通り、高電位側ノード13から逆接続保護素子制御回路11を通り、電源逆接続保護回路7の出力端子8を通り、負荷6のHブリッジ回路22におけるMOSトランジスタの寄生ダイオードPD1〜PD4を通り、電源端子3に至る経路を通り、通電する。
【0099】
この通電と同時に、整流器12の高電位側ノード13には高電位(具体的には、グランド端子5の電位からVf分だけ低い電位)が出力され、電源逆接続保護回路7の出力端子8には低電位(具体的には、グランド端子3の電位から2Vf分だけ高い電位)が発生する。これにより、比較器15及び逆接続保護素子駆動回路16は正常動作状態となる。この比較器15及び逆接続保護駆動回路16の正常動作は、実施形態2で既述したので、説明を割愛する。また、電源逆接続時や負サージの印加時での動作は実施形態2と同様であるので、その説明も割愛する。
【0100】
以上により、本実施形態によれば、逆接続保護素子10としてNチャネルMOSトランジスタ17を用いた上で昇圧回路等の回路を不要として部品点数を削減できる電源逆接続保護回路の実現が可能である。
【0101】
尚、本実施形態では、逆接続保護素子制御回路11のグランド端子を電源逆接続保護回路7の出力端子8としているが、図8に示すように、整流器12により低電位側ノード14を設けて、この低電位側ノード14を逆接続保護素子制御回路11のグランド端子としても良い。
【0102】
また、本実施形態では、比較器15は逆接続を認識してオフ信号を出力しているが、必ずしも電源端子3の電位とグランド端子5の電位とが逆転している必要はなく、この両端子間の電位差が予め定めた所定の電位差になったときオフ信号を出力する構成としても良い。
【0103】
また、本実施形態では、負荷6としてHブリッジ回路22を用いて説明しているが、必ずしもHブリッジ回路22を用いる必要はなく、少なくとも1対以上のMOSトランジスタ直列回路を有するモータ駆動装置、電源装置、バッファ回路や、MOSトランジスタとダイオードのカソード側を接続し、その接続点に誘導性負荷が接続される電源回路などのように、外部直流電源が逆接続されたときに順方向のダイオード接続となる経路が発生する負荷であれば、適用が可能である。
【0104】
また、本実施形態では、逆接続保護素子10としてNチャネルMOSトランジスタ17を用いて説明しているが、必ずしもNチャネルMOSトランジスタ17を用いる必要はなく、例えばPチャネルMOSトランジスタや寄生ダイオードを有する他のトランジスタ素子を用いても良いのは勿論である。
【0105】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上説明したように、本発明にかかる電源逆接続保護回路は、負荷を駆動する電子制御装置の電源逆接続時や負サージの印加時での過電流による破壊から素子を保護することが可能であるので、特に、車載分野における電源装置、モータ駆動装置等の負荷を有する駆動装置等の保護回路として有用である。
【符号の説明】
【0107】
1、21、31 電子制御装置
2 外部直流電源の高電位側端子
3 電源端子
4 外部直流電源の低電位側端子
5 グランド端子
6 負荷
7 電源逆接続保護回路
8 電源逆接続保護回路の出力端子
9 電源逆接続保護回路の入力端子
10 逆接続保護素子
PD 寄生ダイオード
11 逆接続保護素子制御回路
12 整流器
D1〜D4 ダイオード
13 高電位側ノード
14 低電位側ノード
15 比較器
16 逆接続保護素子駆動回路
17 NチャネルMOSトランジスタ
18 PチャネルMOSトランジスタ
19 警告信号
22 Hブリッジ回路
PD1〜PD4 寄生ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部直流電源の高電位側端子と低電位側端子とを電源端子とグランド端子とに接続して、前記電源端子とグランド端子とに接続される負荷に対して外部直流電源から電源供給を行う場合に、前記外部直流電源の前記電源端子及びグランド端子への逆接続に対して保護する電源逆接続保護回路であって、
前記外部直流電源に対して前記負荷と直列に接続される逆接続保護素子と、
前記電源端子とグランド端子とに接続されて整流する整流器と、
前記整流器で整流された電圧で動作し、前記外部直流電源の前記電源端子とグランド端子に対する接続状態を認識して、前記逆接続保護素子のオン動作及びオフ動作を制御する逆接続保護素子制御回路とを備えた
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項2】
前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、
前記整流器は、
4個のダイオードを有するダイオードブリッジ整流器であり、
前記電源端子とグランド端子とに接続される2つの端子と、
整流後の高電位が発生する高電位側ノード及び整流後の低電位が発生する低電位側ノードとを有し、
前記高電位側ノードと低電位側ノードとが前記逆接続保護素子制御回路に接続される
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項3】
前記請求項2記載の電源逆接続保護回路において、
前記逆接続保護素子は、IGBT又はMOSトランジスタで構成される
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項4】
前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、
前記整流器は、低電位生成用の2個のダイオードと、低電位側ノードのみを有し、
前記逆接続保護素子は、前記直流電源の逆接続時に逆方向のダイオード接続となる構成を有し、
前記負荷は、前記直流電源の逆接続時に順方向のダイオード接続となる構成を有し、
前記逆接続保護素子での前記逆方向のダイオード接続となる構成部分と、前記負荷での前記順方向のダイオード接続となる構成部分とが前記整流器での高電位生成用の2個のダイオードとして機能し、
前記逆接続保護素子と前記負荷との接続点が前記整流器の高電位側ノードとして前記逆接続保護素子制御回路に接続される
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項5】
前記請求項1記載の電源逆接続保護回路において、
前記整流器は、高電位生成用の2個のダイオードと、高電位側ノードのみを有し、
前記逆接続保護素子は、前記直流電源の逆接続時に逆方向のダイオード接続となる構成を有し、
前記負荷は、前記直流電源の逆接続時に順方向のダイオード接続となる構成を有し、
前記逆接続保護素子での前記逆方向のダイオード接続となる構成部分と、前記負荷での前記順方向のダイオード接続となる構成部分とが前記整流器での低電位生成用の2個のダイオードとして機能し、
前記逆接続保護素子と前記負荷との接続点が前記整流器の低電位側ノードとして前記逆接続保護素子制御回路に接続される
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項6】
前記請求項4又は5記載の電源逆接続保護回路において、
前記逆接続保護素子は、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタで構成される
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項7】
前記請求項1〜6の何れか1項に記載の電源逆接続保護回路において、
前記逆接続保護素子制御回路は、
前記外部直流電源の高電位側端子と低電位側端子が接続されて前記外部直流電源の逆接続を認識する比較器と、
前記比較器の出力に基づいて前記逆接続保護素子の制御端子の電圧を制御して、前記逆接続保護素子のオン動作及びオフ動作の切り換えを行う逆接続保護素子駆動回路とを備える
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。
【請求項8】
前記請求項1〜7の何れか1項に記載の電源逆接続保護回路において、
前記逆接続素子制御回路は、前記直流電源の逆接続を認識したとき、警告信号を出力する機能を更に有する
ことを特徴とする電源逆接続保護回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−259627(P2011−259627A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132464(P2010−132464)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】