説明

電源遮断装置及びそれを備えるコンセント

【課題】地震発生に際してより早く電気機器やガス機器の作動を停止させることができるようにする。
【解決手段】地震発生時のP波報知電波信号を受信し、その受信時において作動指令信号を出力する受信手段60と、受信手段60からの作動指令信号に応笞して電源回路を遮断する電源遮断手段61とを備えてなることを特徴とする電源遮断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震発生時に安全機能を発揮する電源遮断装置及びコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
地震発生に際しては、火災の発生を防止すべく電気機器やガス機器の作動を停止させる必要があり、できれば地震発生に際してより早い段階でそれらの作動を停止させることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、地震発生に際してより早く電気機器やガス機器の作動を停止させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明においては、地震発生時のP波報知電波信号を受信し、その受信時において作動指令信号を出力する受信手段と、前記受信手段からの前記作動指令信号に応答して電源回路を遮断する電源遮断手段とを備えてなることを特徴とする電源遮断装置を提供する。
【0005】
この発明の電源遮断装置によれば、受信手段が地震発生に際して送られてくるP波報知電波信号を受信すると作動指令信号を出力し、この作動指令信号により電源遮断手段が電源を遮断する。P波報知電波信号を利用して自動的に電源を遮断するので、迅速、かつ、人手を要することなく電源が遮断される。現状ではP波報知が各種広報媒体によりなされるが、一般家庭等においてはそれに基づいて人が電源遮断処置をとるのでその処置が地震発生までに間に合わないのが現状である。なお、この発明は、気象庁等においてP波報知電波信号を提供する地震速報配信システムが構築されることが必要とされる。
【0006】
この発明の電源遮断装置は、コンセントや電気機器等に一体に備えてもよく、また、単体として提供して機器に接続使用する形態としてもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、地震発生に際しP波報知のなされるより早い段階に自動的に電源を停止して電気機器やガス機器の作動を停止でき、これにより、火災発生を防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1はこの発明の第1の実施形態のコンセントの前面図、図2は同回路構成図である。コンセント1は壁面取り付け用で前面のカバー部2面下部に差し込み4が設けられ、その上方には青と赤のLEDランプ7、8、テストボタン10、復帰ボタン9a、9bのそれぞれが設けられている。差し込み部4の下部には一方のアース端子3bが設けられ、また、差し込み4の内部に出力端子部13が設けられている。
【0009】
15は電源の入力端子部であり、その一方の端子15bが出力端子部13の一方の端子13bに直接に接続され、他方の端子15aは出力端子部13の端子13aに切り替えスイッチ21を介して接続されている。LEDランプ7、8はLED表示部6に設けられ、切り替えスイッチ21の切り替え作動に連動して入力端子部15からLEDランプ7、8に選択的に電源が与えられるようになっている。
【0010】
図3は上記切り替えスイッチ21とそれを作動させる振動感知センサー30部分の通常時における構成を示す。振動感知センサー30において、29は重り片で、下部に突出するロッド部31を一体に備え、このロッド部31の下端が固定ロッド部32の上端に付き合わされる状態において、両ロッド部31、32に一体に装着されるコイルバネ33により揺動可能に立設支持されている。35は上下作動片、36は水平作動片であり、通常時おいてはそれぞれの凸部35a、36aが重なり状態となって連接している。上下作動片35はバネ37により下方へ、水平作動片36はバネ38により上下作動片35側にそれぞれ付勢されている。上下作動片35の下端尖部は上記重り片29の上端尖部に接触配置される。
【0011】
水平作動片36に一体の上部片45の一方側には上記切り替えスイッチ21の一方側の接点21aが一体に取り付けられ、この接点21aに相対するするように、かつ、通常時は互いに接触するように他方側の接点21bが固定配置されている。また、上部片45の逆側には一方のLED接点47aが取り付けられ、このLED接点47aに相対するように、かつ、通常時は互いに離間するように他方側のLED接点47bが固定配置されている。
【0012】
40、41、42、43のそれぞれはリセットボタン9a、9b、テストボタン10、ソレノイド61に連動する作動片であり、リセットボタン9a、9b、テストボタン10のそれぞれはバネ55、56、57に抗して押し込み操作される。ソレノイド61はコンセント1内に図1に示すように設けられ、その作動片43の先端が重り片29に相対するように位置する。
【0013】
60は受信部で、地震発生時のP波報知電波信号を受信する回路とその受信時において作動指令信号を出力するマイクロコンピュータとを備え、この発明の受信手段として機能する。ソレノイド61が受信部60からの作動指令信号より作動し、この発明の電源遮断手段として機能する。
【0014】
以下、上記コンセント1の使用に伴う動作を説明する。通常時においては、切り替えスイッチ21は図3の状態であり、図2実線で示すように接点21aと21bとは接続されている。したがって、端子15a、13a間の電源ラインDが導通していることで出力端子部13に入力端子部15からの電源が与えられている。また、この状態においては接点47a、47bが離間していることで一方のLEDラインL1が導通し青色のLEDランプ7が点灯する。この青色のLEDランプ7の点灯を見ることでこのコンセント1に電源が与えられ差し込み4が使用可能状態であることが認識できる。
【0015】
これに対し、地震等があって振動感知センサー30における重り片29が揺動変位すると、上下作動片35はバネ37の付勢力により下方に押し込まれ図4に示す状態となる。その際その凸部35aが下降することで凸部36aとの重なり状態が外れ水平作動片36はバネ38の付勢力により上下作動片35側に押し込まれる。これにより、切り替えスイッチ21の接点21a、21bは離間し(図2点線図示)、端子15a、13a間の電源ラインDが遮断されることで出力端子部13に入力端子部15からの電源が与えられなくなる。その結果、差し込み4に接続される電気ストーブ等の電気機器の動作が停止して安全性が確保される。また、この状態においては接点47a、47bが接触することで他方のLEDラインL2が導通し赤色のLEDランプ8が点灯する。この赤色のLEDランプ8の点灯を見ることでこのコンセント1に電源が与えられていなくて差し込み4が使用不可状態であることが認識できる。
【0016】
また、地震発生時に受信回路60が気象庁等の地震速報配信システムより発信されるP波報知電波信号を受信して作動指令信号を出力すると、ソレノイド61が作動してその作動片43が重り片29を押して図4と同様の状態となり、上記と同様にして電源ラインDが遮断されることで出力端子部13に入力端子部15からの電源が与えられなくなる。
【0017】
このコンセント1によれば、地震発生の初期には受信回路60のP波報知電波信号の受信よるソレノイド61の作動、実際の地震振動による振動感知センサー30の作動の両動作により電源遮断が確実になされ、高い安全性が確保される。
【0018】
地震発生後等の差し込み4の使用可能状態への復帰は、図4の状態において、復帰ボタン9a、9bを押すことで行う。まず、復帰ボタン9bを押すことで作動片41により上部片45を押してバネ38の付勢力に抗して水平作動片36を押し込み、さらに復帰ボタン9aを押すことで作動片40を矢印方向に移動させて下部に差し込んで上下作動片35をバネ37の付勢力に抗して押し上げる。上下作動片35の押圧力が解除されることで重り片29はバネ33のバネ力により図3の状態に復帰する。上記のように、復帰動作を2個の復帰ボタン9a、9bによる2操作により行えるようしたことで、復帰動作が不意に行われることが無いようにして安全性を確保している。
【0019】
テストボタン10は地震等の発生時に電源遮断が確実になされるかどうかのテストを行なうためのもので、このテストボタン10が押されることで、作動片42が重り片29を押して図4の状態となるようにしており、このテストを行ない赤色のLEDランプ8の点灯を見ることで地震発生時等にコンセント1が正常に遮断機能を果たすことが確認できる。このテストボタン10使用後の復帰も上記と同様に行なえる。
【0020】
図5はこの発明の第2の実施形態のコンセントの回路構成図である。この実施形態においては、第1の実施形態のものにおける回路において、入力端子部の接点15aとアース端子3bとの間をLED接点47a、47bを介して導通するブレーカー遮断ラインBを設けている。このような構成により、ソレノイド61、振動感知センサー30の両動作によりLED接点47a、47bが接続された場合にはブレーカー遮断ラインBが導通するようにしている。ブレーカー遮断ラインBが導通することでこのブレーカー遮断ラインBに繋がるブレーカー内の一方の電源ラインに電流が流れ、これを検出することでブレーカーは遮断され、これにより、家屋内の電気機器全ての作動が停止されるようになっている。70は電流制限抵抗である。その他の構成及び作用は第1の実施形態のものと同様であり、その説明は省略する。
【0021】
図6はこの発明の第3の実施形態の電源遮断ユニットの使用形態の回路構成を含む構成図である。100は電源遮断ユニットで、ガスレンジ101に接続使用されている。電源遮断ユニット100内における各要素において、上記第1と第2の実施形態のものと同じ図番を付しているものはそれらと同様の要素であり、同様の機能を果す。
【0022】
電源遮断ユニット100からはガスレンジ101へ接続されるプラグ102が延出し、そのプラグ102の接続端子102a、102bは電源遮断ユニット100の接点21a、21bと接続されている。
【0023】
ガスレンジ101にはプラグ102が接続されるコネクタ104が設けられ、コネクタ104における接続端子104a、104bは、プラグ102が接続されない場合には接続し(点線図示)、プラグ102が接続さた場合には離間されるように設けられ、プラグ102は図示しないがその対応構造を備えている。
【0024】
ガスレンジ101にはバーナー106に臨むように熱電対107が設けられ、この熱電対107からガス流路109を開閉する電磁弁108に接続端子104a、104bを介して作動電源が与えられ、バーナー106が着火しておらず熱電対107から電源が与えられない場合は電磁弁108は作動せず閉じられるようになっている。すなわち、バーナー106着火時に沸きこぼれ等の何らかの理由により火が消えた場合には、電磁弁108が閉じるようにしてバーナー106からのガス漏れを防止するようになっている。ガスレンジ101は電源遮断ユニット100が連結されない状態においては接続端子104a、104b接続されていることで上記の安全動作を行う。
【0025】
ガスレンジ101のコネクタ104に電源遮断ユニット100のプラグ102が接続された場合には、接続端子104a、104bそれぞれに接続端子102a、102bそれぞれが接続されることで熱電対107は電磁弁108に切り替えスイッチ21の接点21a、21bを介して接続される状態となる。これにより、地震時には受信回路60のP波報知電波信号の受信よるソレノイド61の作動、実際の地震振動による振動感知センサー30の作動の両動作により電磁弁108の電源が遮断され、ガス漏れが回避されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態のコンセントの外観正面図
【図2】 この発明の第1の実施形態のコンセントの回路構成図
【図3】 この発明の第1の実施形態のコンセントの要部構成略図
【図4】 この発明の第1の実施形態のコンセントの要部構成略図
【図5】 この発明の第2の実施形態のコンセントの回路構成図
【図6】 この発明の第3の実施形態の電源遮断ユニットの使用形態の回路構成を含む構成図
【符号の説明】
1 コンセント
60 受信部(受信手段)
61 ソレノイド(電源遮断手段)
D 電源ライン(電源回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震発生時のP波報知電波信号を受信し、その受信時において作動指令信号を出力する受信手段と、
前記受信手段からの前記作動指令信号に応答して電源回路を遮断する電源遮断手段と、
を備えてなることを特徴とする電源遮断装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源遮断装置を備えるコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−172987(P2008−172987A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27322(P2007−27322)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(505145770)株式会社ルモマ (3)
【出願人】(507039590)
【Fターム(参考)】