説明

電着可能なコーティング組成物および関連する方法

【課題】オルガノスズ触媒を含有するカチオン電着可能コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】水性媒体中に分散された樹脂相の、電着可能なコーティング組成物が提供され、この樹脂相は、(a)活性水素を含有する、カチオン性の塩の基を含む樹脂;および(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤を含有する。この組成物は、オルガノスズ触媒を含有し、この触媒は、式(I)[R1][R2]−Sn=Oのジアルキルスズ化合物であるかまたはこのジアルキルスズ化合物から誘導され、式(I)において、RおよびRは、同じかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRにおける炭素原子の合計は、8より大きい。この触媒は、670°F(171.1℃)以下の温度で硬化を引き起こすために十分な量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2002年10月1日に出願された、米国仮特許出願番号60/15,146の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
(I.発明の分野)
本発明は、ヒドロキシル基含有カチオン樹脂、ブロックされたポリイソシアネート硬化剤、およびオルガノスズ触媒を含有するカチオン性電着可能コーティング組成物;このような組成物を調製する方法;ならびにこのような組成物を塗布するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(II.技術的問題)
電着によるコーティングの塗布は、印加される電位の影響下での、フィルム形成組成物の、導電性基材への沈着を包含する。電着は、コーティング産業において目立つようになっている。なぜなら、非電気泳動コーティング方法と比較して、電着は、より高い塗料利用、優れた腐食耐性、および低い環境汚染を提供するからである。市販の電着プロセスにおける初期の試みは、アニオン電着を使用し、ここで、コーティングされるべき加工片が、アノードとして働く。しかし、カチオン電着が、次第に人気が出ており、そして現在、電着の最も流行している方法である。
【0004】
現在使用されている多くのカチオン電着組成物は、ポリエポキシドから誘導される活性水素を含有する樹脂、およびキャップされたかまたはブロックされたポリイソシアネート硬化剤に基づく。代表的に、これらのカチオン電着組成物はまた、ブロッキング剤がブロックされたポリイソシアネートから放出される温度を低下させ、そして電着組成物の硬化を活性にするために、オルガノスズ触媒を含有する。
【0005】
通常のオルガノスズ触媒としては、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、およびジメチルスズオキシド)、ならびにこれらの誘導体(例えば、ジブチルスズジカルボキシレートおよびジブチルスズメルカプチド)が挙げられる。電着組成物の硬化を促進する際にある程度は効果的であるが、カチオン電着組成物におけるこのような触媒の使用は、いくつかの欠点を提示し得る。例えば、通常のジアルキルスズオキシドの大部分は、高融点のアモルファス固体物質であり、これは、この固体触媒を、極端に高いせん断条件下で顔料湿潤樹脂中に分散させることによって調製される、触媒ペーストの形態で、この組成物に導入されなければならない。安定な触媒ペーストの調製は、非常に費用がかかり、そして時間集約的であり得る。
【0006】
さらに、上記オルガノスズ触媒のいくつかは、硬化した電着コーティング組成物における多数の表面欠損を引き起こし得ることが注目されている。例えば、ジブチルスズオキシド分散物は、電着槽中で凝集し得、大きすぎるジブチルスズオキシド凝集物または粒子を生じ、これは、撹拌が乏しい電着タンクの領域に沈降し得る。この凝集現象は、コーティング組成物からの触媒の損失となり、乏しい硬化応答を生じる。さらに、凝集粒子は、硬化していない電着コーティング上に沈降し得、局在化した「ホットスポット」またはピンホールを、硬化したコーティングの表面に引き起こす。また、電着槽の安定性が、いくらかのオルガノスズ触媒の使用によって悪影響を受け得る。柔軟な浮動性の泡が、オルガノスズ触媒、ポリイソシアネート硬化剤および微視的気泡の混合物を形成し得ることが、観察されている。
【0007】
当該分野において公知の、カチオン電着可能コーティング組成物中の触媒として使用するためのものは、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジブチルスズオキシド)とヒドロキシル化合物(例えば、脂肪族アルコール、アルカノールアミン、およびフェノール)との縮合生成物である。これらの触媒は、貯蔵安定性であり、その有機物親和性(organophilic)分子セグメントは、これらが樹脂相および従って脱水されたフィルムに留まることを可能にすると主張されている。
【0008】
また、当該分野において公知の、カチオン電着可能コーティング組成物中の触媒として使用するためのものは、ジアルキルスズ芳香族カルボン酸塩であり、これは、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジブチルスズオキシド)を芳香族カルボン酸と反応させることによって調製される。このような触媒は、樹脂結合剤系とより適合性であり、改善された槽安定性を提供し、そして亀裂およびシーディングのような欠損がないコーティングフィルムを生じるといわれる。さらに、触媒効果が、対応するジアルキルスズオキシドを用いるより低い温度で観察され得、そして硬化したフィルムは、改善された腐食体性を有する。このような触媒はまた、ビスマス化合物および/またはジルコニウム化合物と組み合わせて使用されて、優れた腐食体性、低温での硬化性、および良好な電着槽安定性カチオン電着組成物を提供し得る。
【0009】
ジアルキルスズオキシドのカルボン酸誘導体およびメルカプト誘導体(例えば、ジオルガノスズビス−カルボキシレートおよびジオルガノスズビス−メルカプチド)もまた、当該分野において、カチオン電着可能コーティング組成物のための触媒として公知である。このジオルガノスズビス−カルボキシレートは、ジアルキルスズオキシドを、適切なヒドロキシ−カルボン酸またはメルカプタンと反応させることによって、調製され得る。カチオン電着組成物中の触媒としての、このような化合物の使用は、触媒の揮発性に付随する問題を防止し得、そしてヒドロキシ官能性を介して、1つ以上の組成物成分と化学的に結合することによって、エマルジョン安定性を提供することが主張されている。しかし、低級カルボン酸誘導体(例えば、アセテート、ホルメートおよびラウレート)を用いると、オルガノスズ誘導体は加水分解し得、そして対応するジオルガノスズオキシド沈澱物を形成し得る。これらの低分子量のカルボン酸の遊離はまた、電着組成物の均一電着性を低下させ得、そしてアノードの腐食を増加させ得る。高級カルボン酸誘導体(例えば、ジブチルスズジオレエート)の慎重な組み込みは、電着コーティング組成物に、改善された安定性を提供するが、これらのオルガノスズ化合物の少なくとも部分的な加水分解からの遊離酸は、被覆された鋼鉄基板上に適用される場合に、コーティング性能にネガティブに影響を与え得る。これらの高級カルボン酸誘導体を用いて、高級な酸は、硬化後にフィルム中に残り得、そして亜鉛−電着コーティング界面に移動し得、接着の損失および乏しい腐食体性を引き起こすことが注目されている。
【0010】
アルキルスズジアセチルアセトネート(例えば、ジブチルスズジアセチルアセトネート)は、ブロックされたポリイソシアネート硬化剤を含有するカチオン電着コーティング組成物の成分を硬化させるための触媒として使用されている。このような触媒は、代表的に、エポキシアミン付加体とブロックされたポリイソシアネート硬化剤とのブレンドに、水への分散の前に添加される。アルキルスズジアセチルアセトネート触媒は、容易に分散され、そして水性電着槽中に分散したままであるといわれている。当該分野は、このような材料が、従来の電気コーティング条件下で長期間にわたって加水分解に対して安定であると教示する。しかし、実際には、いくらかの加水分解が起こり得、ジアルキルスズオキシドおよびアセチルアセトネートの再形成を生じることが、当該分野において公知である。アセチルアセトネートは、ケチミン含有化合物と、主要なフィルム形成樹脂のエポキシ基との反応の結果として、カチオン組成物中に存在する任意の第一級アミンと容易に反応し得、これによって、高分子量種を形成する。このような例において、コーティングの外観は、第一級アミンとアセチルアセトネートとの反応から生じる、ジアルキルスズオキシド沈澱物および抗分子量種の粒子の存在に起因して、不利に影響を受け得る。
【0011】
トリオルガノスズ化合物は、活性水素を含有する樹脂およびブロックされたポリイソシアネート硬化剤からなる、電着可能コーティング組成物中の触媒として使用するために公知である。例えば、トリオルガノスズ化合物(例えば、ビス(トリブチルスズ)オキシド、ビス(トリオクチルスズ)オキシド、ビス(トリブチルスズ)スルフィド、およびビス(トリオクチルスズ)アジペート)(これらは、好ましくは、室温で液体である)を使用することが、公知である。これらの材料は、電着可能な組成物に容易に組み込まれ、そして比較的低いレベルおよび150℃未満の温度においてさえ、良好な触媒活性を有する。しかし、このようなトリオルガノスズ化合物は、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂成分と組み合わせて使用される場合に、乏しい硬化応答を有することが観察されている。さらに、いくつかのトリアルキルスズ化合物(例えば、トリブチルスズ化合物)は、代表的な硬化温度において揮発性であることが公知である。また、いくつかのトリアルキルスズ化合物は、毒性であり得る。さらに、多くのトリオルガノスズ化合物は、代表的に、高い費用という欠点を有する。
【0012】
上記のことを考慮して、上で議論されたような触媒を含有する従来技術の組成物を用いて遭遇する問題を克服する、オルガノスズ触媒を含有するカチオン電着可能コーティング組成物を提供することが、有利である。これらの問題は、オルガノスズ触媒が、検索およびミリングの操作の必要なしで樹脂相に組み込まれ得る、本発明の電着可能な組成物によって、解決される。このような組成物は、硬化したフィルムの外観および性能特性を損なうことなく、改善された貯蔵安定性および低い硬化温度での硬化応答を実証する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本発明は、水性媒体中に分散された樹脂相を含有する、改善された電着可能コーティング組成物に関し、この樹脂相は、(a)活性水素を含有するカチオン性塩の基を含有する樹脂;および(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤を含有する。その改善は、この電着可能コーティング組成物中への、樹脂(a)と硬化剤(b)との間で効果を生じるためのオルガノスズ触媒の組み込みを包含する。このオルガノスズ触媒は、以下の構造(I):
[R][R]−Sn=O (I)
を有するジアルキルスズ化合物であるか、またはこの化合物から誘導され、ここで、RおよびRは、同じであるかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRにおける炭素原子の合計は、8より大きい。この触媒は、この電着可能コーティング組成物中に、340°F(171.1℃)以下の温度でのこの電着可能な組成物の硬化を生じるために充分な量で存在する。
【0014】
本発明に従って、電着可能コーティング組成物を調製するための改善された方法が、さらに提供され、この組成物は、水性媒体中二分散された樹脂相を含有し、この樹脂相は、(a)活性水素を含有するカチオン性塩の基を含有する樹脂;(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤;および(c)樹脂(a)と硬化剤(b)との硬化を生じるためのオルガノスズ触媒を含有する。この方法は、(1)樹脂(a)を、反応性成分の混合物から調製する工程;(2)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤(b)を、樹脂(a)とは別に、ポリイソシアネートおよびブロッキング剤を反応させることによって調製する工程;(3)樹脂(a)と硬化剤(b)とを混合して、樹脂混合物を形成する工程;(4)有機酸および/または無機酸を、樹脂混合物とブレンドして、酸性化混合物を形成する工程;ならびに(5)(4)の酸性化混合物を水性媒体に分散させる工程を包含する。改善は、工程(1)において、樹脂(a)の調製の間に、反応性化合物の混合物にオルガノスズ触媒(c)を組み込むことを包含し、ここで、触媒(c)は、上記構造(I)を有するアルキルスズ化合物であるか、またはこの化合物から誘導され、ここで、RおよびRは、この構造について上に記載されたとおりであり、この触媒は、340°F(171.1℃)以下の温度でこの組成物の硬化を生じるために十分な量で、電着可能コーティング組成物中に存在する。
【0015】
本発明はまた、カソードおよびアノードを備える電気回路組成物においてカソードとして働く伝導性基材を電気被覆する、改善された方法に関し、これらのカソードおよびアノードは、水性電気コーティング組成物中に浸漬される。この方法は、カソードとアノードとの間に電流を流して、電気コーティング組成物の、基材上への、実質的に連続的なフィルムとしての堆積を引き起こす工程を包含し、この水性電気コーティング組成物は、水性媒体中に分散された樹脂相を含有する。この樹脂相は、以下を含有する(a)活性水素を含有する、カチオン基を含有する電着可能樹脂、および(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤。改善は、樹脂(a)と硬化剤(b)との間に硬化を生じるための、電気コーティング組成物中への有機触媒の含有であり、ここで、ここで、この触媒は、構造(I)を有するジアルキルスズ化合物であるか、またはこの化合物から誘導され、ここで、RおよびRは、この構造について上に記載されるとおりである。この触媒は、340°F(171.1℃)以下の温度でこの電着可能コーティング組成物の硬化を生じるために十分な量で、電着可能コーティング組成物中に存在する。
【0016】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
水性媒体中に分散した樹脂相を含有する、電着可能なコーティング組成物において、該樹脂相は、以下:
(a)活性水素を含有する、カチオン性の塩の基を含有する樹脂;および
(b)少なくとも部分的にブロックされた、ポリイソシアネート硬化剤、
を含有し、改善が、該電着可能なコーティング組成物中に、オルガノスズ触媒を組み込むことを包含し、該オルガノスズ触媒は、該樹脂(a)と該硬化剤(b)との間の硬化を生じるためのものであり、該触媒は、以下の構造(I):
[R][R]−Sn=O (I)
を有するジアルキルスズ化合物であるか、または該ジアルキルスズ化合物から誘導され、
ここで、RおよびRは、同じかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRの炭素原子の合計が、8より大きく、
該触媒は、該電着可能なコーティング組成物中に、340°F(171.1℃)以下の温度で該電着可能な組成物の硬化を生じるために十分な量で存在する、電着可能なコーティング組成物。
(項目2)
およびRのうちの少なくとも1つが、少なくとも4個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、但し、RおよびRのうちの少なくとも1つが、4個より多い炭素原子を有する一価炭化水素基を表す、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目3)
前記樹脂相を前記水性媒体中に分散させる前に、前記触媒の少なくとも一部が、前記樹脂(a)と前記硬化剤(b)との一方または両方に分散される、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目4)
前記樹脂相の前記水性媒体中への分散の前に、前記触媒の少なくとも一部が、該水性媒体中に分散される、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目5)
前記樹脂相の前記水性媒体中への分散の前に、前記触媒の少なくとも一部が、該水性媒体中に分散される、項目3に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目6)
前記触媒が、前記コーティング組成物中に、320°F(160℃)以下で該コーティング組成物の硬化を生じるために十分な量で存在する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目7)
前記樹脂(a)が、反応性ヒドロキシル基および/または第一級アミン基から誘導される活性水素を含有する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目8)
前記ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を含む、項目7に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目9)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドと、多価フェノールのジグリシジルエーテルとの反応生成物である、項目7に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目10)
前記樹脂(a)に存在する活性水素の少なくとも一部が、ケチミン含有化合物とエポキシ基含有材料との反応から誘導される第一級アミン基を構成する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目11)
前記硬化剤(b)が、1つ以上の1,3−グリコールおよび/または1,2−グリコールを含むブロッキング剤で少なくとも部分的にブロックされている、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目12)
前記1,2−グリコールが、C〜Cの1,2−グリコールを含む、項目11に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目13)
前記硬化剤(b)が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールの少なくとも1つから選択されるブロッキング剤を含有する、項目11に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目14)
前記樹脂(a)が、反応性ヒドロキシル基および/または第一級アミン基を含有し、そして前記硬化剤(b)が、1つ以上の1,2−グリコールを含有するブロッキング剤で少なくとも部分的にブロックされている、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目15)
前記反応性ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を含む、項目14に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目16)
前記触媒が、340°F(171.1℃)以下の温度で実質的に不揮発性である、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目17)
およびRのうちの少なくとも1つが、8個以上の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目18)
前記触媒が、ジオクチルスズオキシドおよび/またはその誘導体を含有する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目19)
前記触媒が、前記コーティング組成物中に、該電着可能なコーティング組成物中に存在する樹脂固体の総重量に基づいて、0.1〜5.0重量%の範囲の量のスズで存在する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目20)
前記樹脂相を前記水性媒体中に分散させる前に、前記触媒が、前記樹脂(a)と前記硬化剤(b)との一方または両方に分散される、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目21)
鉛含有化合物を含有しない、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目22)
ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、および亜鉛化合物のうちの少なくとも1つをさらに含有する、項目1に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目23)
水性媒体中に分散された樹脂相を含有する電着可能なコーティング組成物を調製するための方法において、該樹脂相は、以下:
(a)活性水素を含有する、カチオン性の塩の基を含有する樹脂;
(b)少なくとも部分的にブロックされた、ポリイソシアネート硬化剤;および
(c)該樹脂(a)と該硬化剤(b)との硬化を生じるためのオルガノスズ触媒、
を含有し、
該方法は、以下の工程:
(1)該樹脂(a)を、反応性成分の混合物から調製する工程;
(2)該少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤(b)を、該樹脂(a)とは別個に、ポリイソシアネートとブロッキング剤とを反応させることによって調製する工程;
(3)該樹脂(a)および該硬化剤(b)を混合して、樹脂混合物を形成する工程;
(4)有機酸および/または無機酸を、該樹脂混合物とブレンドして、酸性化された混合物を形成する工程;ならびに
(5)(4)の該酸性化された混合物を水性媒体中に分散させる工程、
を包含し、
改善は、該オルガノスズ触媒(c)を、工程(1)における該樹脂(a)の調製の間に、該反応性成分の混合物に組み込むことを包含し、
該触媒(c)は、以下の構造(I):
[R][R]−Sn=O (I)
を有するジアルキルスズ化合物であるか、または該ジアルキルスズ化合物から誘導され、
ここで、RおよびRは、同じかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRの炭素原子の合計が、8より大きく、
該触媒は、該電着可能なコーティング組成物中に、340°F(171.1℃)以下の温度で該電着可能な組成物の硬化を生じるために十分な量で存在する、方法。
(項目24)
およびRのうちの少なくとも1つが、少なくとも4個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、但し、RおよびRのうちの少なくとも1つが、4個より多い炭素原子を有する一価炭化水素基を表す、項目23に記載の電着可能なコーティング組成物。
(項目25)
オルガノスズカルボキシレートの加水分解から誘導される有機カルボン酸の当量対前記電着可能な組成物中に存在するオルガノスズの当量の比が、2.0以下である、項目23に記載の方法。
(項目26)
オルガノスズカルボキシレートの加水分解から誘導される有機カルボン酸の当量対前記電着可能な組成物中に存在するオルガノスズの当量の比が、1.0以下である、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記樹脂(a)が、工程(1)において、以下:
ポリエポキシド;
ポリヒドロキシル基含有材料であって、該ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を構成する、ポリヒドロキシル基含有材料;および
アミンおよびケチミンからなる群より選択される、カチオン性の塩の基の前駆物質、
を反応させることによって調製される、項目23に記載の方法。
(項目28)
前記硬化剤(b)が、工程(2)において、ポリイソシアネートを、C〜Cの1,2−グリコールを含有するブロッキング剤と反応させることによって調製される、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記触媒(c)が、ジオクチルスズオキシドおよび/またはその誘導体を含有する、項目23に記載の方法。
(項目30)
前記触媒(c)が、工程(1)の間に、前記電着可能なコーティング組成物中に存在する樹脂固体の総重量に基づいて、0.1〜5.0重量%のスズを提供するために十分な量で添加される、項目23に記載の方法。
(項目31)
前記樹脂(a)に存在する活性水素が、反応性ヒドロキシル基、および/または第一級アミン基から誘導され、該反応性ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を構成し、そして該第一級アミン基が、ケタミン含有化合物とエポキシ基含有材料との反応から誘導される、項目27に記載の方法。
(項目32)
カソードおよびアノードを備える電気回路において、該カソードとして働く伝導性基板を電気被覆する方法において、該カソードおよびアノードは、水性電気被覆組成物中に浸漬されており、
該方法は、電流を、該カソードとアノードとの間に流して、該基板上への、該電気被覆組成物の、実質的に連続的なフィルムとしての沈着を引き起こす工程を包含し、該水性電気被覆組成物は、水性媒体中に分散された樹脂相を含有し、該樹脂相は、以下:
(a)活性水素基を含有する、カチオン性の基を含有する、電着可能な樹脂;および
(b)少なくとも部分的にブロックされた、ポリイソシアネート硬化剤、
を含有し、
改善は、該樹脂(a)と該硬化剤(b)との間の硬化を生じるための、オルガノスズ触媒の、該電気被覆組成物中への組み込みを包含し、該触媒は、以下の構造(I):
[R][R]−Sn=O (I)
を有するジアルキルスズ化合物であるか、または該ジアルキルスズ化合物から誘導され、
ここで、RおよびRは、同じかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRの炭素原子の合計が、8より大きく、
該触媒は、該電気被覆可能なコーティング組成物中に、340°F(171.1℃)以下の温度で該電気被覆可能な組成物の硬化を生じるために十分な量で存在する、方法。
(項目33)
およびRのうちの少なくとも1つが、少なくとも4個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、但し、RおよびRのうちの少なくとも1つが、4個より多い炭素原子を有する一価炭化水素基を表す、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記触媒が、前記電気被覆組成物中に、320°F(160℃)以下で該コーティング組成物の硬化を生じるために十分な量で存在する、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記樹脂(a)が、反応性ヒドロキシル基および/または第一級アミン基から誘導される活性水素を含有する、項目32に記載の方法。
(項目36)
前記ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を構成する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドと多価アルコールとの反応生成物である、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記樹脂(a)に存在する前記活性水素の少なくとも一部が、ケタミン含有化合物とエポキシ基含有材料との反応から誘導される第一級アミン基を構成する、項目32に記載の方法。
(項目39)
前記硬化剤(b)が、1つ以上の1,3−グリコールおよび/または1,2−グリコールを含有するブロッキング剤で少なくとも部分的にブロックされている、項目32に記載の方法。
(項目40)
前記1,2−グリコールが、C〜Cの1,2−グリコールを含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記硬化剤(b)が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールの少なくとも1つから選択されるブロッキング剤を含有する、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記樹脂(a)が、反応性ヒドロキシル基および/または第一級アミン基を含有し、そして前記硬化剤(b)が、1つ以上の1,2−グリコールを含有するブロッキング剤で少なくとも部分的にブロックされている、項目32に記載の方法。
(項目43)
前記反応性ヒドロキシル基の少なくとも一部が、フェノール性ヒドロキシル基を含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記触媒が、340°F(171.1℃)以下の温度で実質的に不揮発性である、項目32に記載の方法。
(項目45)
およびRのうちの少なくとも1つが、8個以上の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す、項目32に記載の方法。
(項目46)
前記触媒が、ジオクチルスズオキシドおよび/またはその誘導体を含有する、項目32に記載の方法。
(項目47)
前記触媒が、前記電気被覆組成物中に、該電気被覆組成物中に存在する樹脂固体の総重量に基づいて、0.1〜5.0重量%の範囲の量のスズで存在する、項目32に記載の方法。
(項目48)
前記樹脂相を前記水性媒体中に分散させる前に、前記触媒の少なくとも一部が、前記樹脂(a)と前記硬化剤(b)との一方または両方に分散される、項目32に記載の方法。
(項目49)
前記水性媒体中への前記樹脂相の分散の前に、前記触媒の少なくとも一部が該水性媒体中に分散される、項目32に記載の方法。
(項目50)
前記水性媒体中への前記樹脂相の分散の前に、前記触媒の少なくとも一部が該水性媒体中に分散される、項目48に記載の方法。
(項目51)
前記電気被覆組成物が、鉛含有化合物を含有しない、項目32に記載の方法。
(項目52)
前記電気被覆組成物が、ビスマス化合物、および亜鉛化合物のうちの少なくとも1つをさらに含有する、項目32に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
操作実施例の場合を除いて、または他に示される場合を除いて、本明細書中および特許請求の範囲において使用される、成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。従って、逆のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲における数値パラメータなどは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に依存して、変動し得る。少なくとも、そして特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常の丸め技術の適用によって、解釈されるべきである。
【0018】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それらのそれぞれの試験手段において見出される標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差を固有に含む。
【0019】
また、本明細書中に記載される任意の数値範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、範囲1〜10は、記載される最小値1と記載される最大値10との間であり、かつこれらの値を含む(すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する)、全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0020】
先に言及されたように、本発明は、水性媒体中に分散された樹脂相を含有する、改善された電着可能コーティング組成物に関し、この組成物は、以下を含有する:(a)活性水素を含有する、カチオン性の塩の基を含有する樹脂;および(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤。改善は、樹脂(a)と硬化剤(b)との間での硬化を生じるためのオルガノスズ触媒の、電着可能コーティング組成物への含有を包含する。
【0021】
オルガノスズ触媒は、以下の構造(I):
[R][R]−Sn=O (I)
を有するジアルキルスズ化合物であるか、またはこの化合物から誘導され、ここで、RおよびRは、同じであるかまたは異なり、そして各々独立して、一価炭化水素基を表し、ここで、RおよびRの炭素原子の合計は、8より大きい。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは異なり得、そして各々独立して、少なくとも4個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、但し、RおよびRのうちの少なくとも1つは、4個より多い炭素原子を有する一価炭化水素基を表す。触媒は、340°F(171.1℃)以下の温度でこの電着可能コーティング組成物の硬化を生じるために十分な量で、電着可能コーティング組成物中に存在する。
【0023】
本明細書中において使用される場合、「一価炭化水素基」とは、排他的に炭素に基づく骨格反復を有する、一価の基を意味する。本明細書中において使用される場合、「一価」とは、置換基として、1つのみの共有単結合を形成する置換基をいう。本明細書中において使用される場合、「炭化水素基」は、分枝と非分枝との両方の炭化水素機を包含することが意図される。従って、「一価炭化水素基」に言及する場合、この炭化水素機は、分枝であっても非分枝であってもよく、非環式であっても環式であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、そして1〜24個(または芳香族基の場合には、3〜24個)の炭素原子を含み得る。このような炭化水素機の非限定的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルカリール基、およびアルコキシアリール基が挙げられる。低級アルキル基の非限定的な例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基が挙げられる。本明細書中において使用される場合、「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。炭化水素の水素原子のうちの1つ以上は、ヘテロ原子で置換され得る。本明細書中において使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素以外の元素(例えば、酸素原子、窒素原子、およびハロゲン原子)を意味する。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、RおよびRの1つまたは両方は、4個より多い炭素原子、および代表的には8個以上の炭素原子を有する、一価炭化水素基を表し得る。
【0025】
本発明のカチオン性電着可能コーティング組成物における使用に適切なオルガノスズ触媒の非限定的な例としては、ジベンジルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジイソペンチルスズオキシド、ジヘキシルスズオキシド、ジイソアミルスズオキシド、およびこれらの混合物尾が挙げられる。本発明の特定の実施形態において、オルガノスズ触媒としては、ジオクチルスズオキシドおよび/またはその誘導体(例えば、ジオクチルスズオキシドと1モルの酢酸との反応混合物である、ジオクチルスズアセテート)が挙げられる。
【0026】
先に言及されたように、構造(I)を有するジアルキルスズ化合物の誘導体はまた、本発明の電着可能コーティング組成物のための触媒として適切である。適切なこのような誘導体としては、ジアルキルスズカルボキシレート(例えば、ジオクチルスズオキシドとカルボン酸との縮合生成物)が挙げられるが、これらに限定されない。このカルボン酸は、例えば、短鎖カルボン(例えば、酢酸、乳酸、ギ酸、およびプロピオン酸);および長鎖カルボン酸(例えば、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびミリスチン酸)である。他の適切なオルガノスズ誘導体としては、ジアルキルスズフェノキシド、アルキルスズメルカプチド、およびジアルキルスズアルコキシドが挙げられる。
【0027】
本発明の特定の実施形態において、電着可能な組成物中に存在するオルガノスズ化合物の当量に対する、オルガノスズ触媒のカルボン酸誘導体の加水分解から生じる有機酸の当量の比は、2.0以下であり、そして代表的に、1.0以下である。オルガノスズオキシド触媒のカルボン酸誘導体は、取り扱いの容易さおよび電着可能な組成物中への組み込みの容易さという利点を提供するが、このような材料は、オルガノスズカルボキシレートの加水分解の際に生成するカルボン酸が組成物のpHを低下させ得、組成物の均一電着性に不利に影響を与え、そして浴内で細菌がはびこることを促進することに起因して、望ましくなくあり得ることが観察されている。
【0028】
本発明の目的のために、オルガノスズ触媒は、上記構造(I)を有する1つ以上のジアルキルスズ化合物、その1つ以上の誘導体、およびこれらの混合物を含有し得るが、但し、この組成物は、以下に議論されるように貯蔵安定であり、そしてこの触媒は、340°F(171.1℃)以下の温度でのこの電着可能な組成物の硬化を生じるために充分な量で存在することが理解されるべきである。
【0029】
上で詳細に記載されたオルガノスズ触媒は、本発明の電着可能コーティング組成物中に、この電着可能コーティング組成物中に存在する全樹脂固形物の重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する。また、このオルガノスズ触媒は、本発明の電着可能コーティング組成物中に、この電着可能コーティング組成物中に存在する全樹脂固形物の重量に基づいて、5.0重量%以下のスズ、しばしば、3.0重量%以下のスズ、そして代表的には、1.0重量%以下のスズの量で存在し得る。電着可能コーティング組成物中に存在するオルガノスズ触媒のレベルは、記載された値を含めて、これらの値の任意の組み合わせの値の範囲であり得るが、ただし、この触媒は、340°F(171.1℃)の温度でこの組成物の硬化を生じるために充分な量で存在する。
【0030】
本明細書中で使用される場合、組成物と組み合わせて使用される場合の用語「硬化」(例えば、「硬化した場合の組成物」または「硬化した組成物」)とは、この組成物の任意の架橋可能な成分が、少なくとも部分的に架橋されることを意味する。本発明の特定の実施形態において、架橋可能な成分の架橋密度(すなわち、架橋度)は、完全架橋の5%〜100%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全架橋の35%〜85%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全架橋の50%〜85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および程度(すなわち、架橋密度)が、種々の方法(例えば、窒素下で実施される、TA機器DMA 2980 DMTA分析器を使用する動的機械的熱分析(DMTA))によって決定され得ることを理解する。この方法は、コーティングまたはポリマーの自由フィルムのガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化した材料のこれらの物理的特性は、架橋した網目構造の構造に関連する。本発明の1つの実施形態において、硬化が十分であることは、硬化したフィルムの溶媒耐性に対して評価される。例えば、溶媒耐性は、往復アセトン摩擦の回数を決定することによって測定され得る。本発明の目的で、フィルムが、このフィルムの実質的な軟化なしで、そしてこのフィルムの除去なしで、少なくとも100往復のアセトン摩擦に耐え得る場合に、そのコーティングは「硬化した」とみなされる。
【0031】
前述のように、オルガノスズ触媒および/またはその誘導体に加えて、本発明の電着可能コーティング組成物は、(a)活性水素を含有するカチオン性の塩の基を含有する樹脂、および(b)少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤を含有する。
【0032】
カチオン性樹脂(a)は、代表的に、ポリエポキシドから誘導され、そしてポリエポキシドと、ポリヒドロキシル基含有材料(アルコール性ヒドロキシル基含有材料およびフェノール性ヒドロキシル基含有材料から選択される)とを一緒に反応させて、鎖を伸長させるか、またはポリエポキシドの分子量を構築することによって、調製され得る。次いで、反応生成物は、カチオン性の塩の基の形成物(former)と反応されて、カチオン性樹脂を生成し得る。
【0033】
鎖を伸長されたポリエポキシドは、代表的に、以下のように調製される:ポリエポキシドおよびポリヒドロキシル基含有材料が、ニートでかまたは有機溶媒(例えば、ケトン(メチルイソブチルケトンおよびメチルアミルケトンが挙げられる)、芳香族物質(例えば、トルエンおよびキシレン)、ならびにグリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールのジメチルエーテル))の存在下で一緒に反応される。この反応は、代表的に、80℃〜160℃の温度で、30〜180分間、エポキシ基含有樹脂の反応生成物が得られるまで実施される。
【0034】
反応物の当量比;すなわち、エポキシ対ポリヒドロキシル基含有材料は、代用的に、1.00:0.50〜1.00:2.00である。
【0035】
ポリエポキシドは、代表的に、少なくとも2つの1,2−エポキシ基を有する。一般に、このポリエポキシドのエポキシド当量は、100〜約2000、代表的に、約180〜500の範囲である。このエポキシ化合物は、飽和であっても不飽和であってもよく、環式であっても非環式であってもよく、脂肪族であっても脂環式であっても芳香族であっても複素環式であってもよい。これらは、ハロゲン基、ヒドロキシル基、およびエーテル基のような置換基を含み得る。
【0036】
ポリエポキシドの例は、1より大きくそして好ましくは約2である、1,2−エポキシ当量を有するものである;すなわち、1分子あたり平均して2つのエポキシド基を有するポリエポキシドである。好ましいポリエポキシドは、多価アルコール(例えば、環状ポリオール)ポリグリシジルエーテルである。特に好ましいものは、多価フェノール(例えば、ビスフェノールA)のポリグリシジルエーテルである。これらのポリエポキシドは、多価フェノールを、エピハロヒドリンまたはジハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリン)で、アルカリの存在下でエーテル化することによって生成され得る。多価フェノールに加えて、他の環状ポリオールが、環状ポリオールのポリグリシジルエーテルを調製する際に使用され得る。他の環状ポリオールの例としては、脂環式ポリオール、特に、シクロ脂肪族ポリオール(例えば、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン)が挙げられる。好ましいポリエポキシドは、約180〜2000、好ましくは、約186〜1200の範囲のエポキシド当量を有する。エポキシ基含有アクリルポリマーもまた使用され得る。これらのポリマーは、代表的に、約750〜2000の範囲のエポキシ当量を有する。
【0037】
ポリエポキシドの鎖伸長または分子量の増加(すなわち、ヒドロキシル−エポキシ反応を介する)のために使用されるポリヒドロキシル基含有材料の例としては、アルコール性ヒドロキシル基含有材料およびフェノール性ヒドロキシル基含有材料が挙げられる。アルコール性ヒドロキシル基含有材料の例は、ネオペンチルグリコールのような単純なポリオール;米国特許第4,148,772号に記載されるもののようなポリエステルポリオール;米国特許第4,468,307号に記載されるもののようなポリエーテルポリオール;および米国特許第4,931,157号に記載されるもののようなウレタンジオールが挙げられる。フェノール性ヒドロキシル基含有材料の例は、多価フェノール(例えば、ビスフェノールA、フロログルシノール、カテコール、およびレゾルシノール)である。アルコール性ヒドロキシル基含有材料とフェノール性ヒドロキシル基含有材料との混合物もまた、使用され得る。ビスフェノールAが好ましい。
【0038】
樹脂は、カチオン性塩の基を含み、これは、以下のように、樹脂分子に組み込まれ得る:上記のように調製された樹脂性の反応生成物が、カチオン性塩の基の形成物とさらに反応される。「カチオン性塩の基の形成物」とは、エポキシ基と反応性であり、そしてエポキシ基との反応の前、反応中または反応後に酸性化されて、カチオン性塩の基を形成し得る材料を意味する。適切な材料の例としては、アミン(例えば、第一級アミンまたは第二級アミン(これらは、エポキシ基との反応後に酸性化されてアミン塩の基を形成し得る)、あるいは第三級アミン(これらは、エポキシ基との反応の前に酸性化され得、そしてエポキシ基との反応後に、第四級アンモニウム塩の基を形成し得る))が挙げられる。他のカチオン性塩の基の形成物の例は、スルフィドであり、これらは、エポキシ基との反応の前に酸と混合され得、そして引き続くエポキシ基との反応の際に、三元のスルホニウム塩の基を形成し得る。
【0039】
アミンがカチオン性塩の形成物として使用される場合、代表的に、モノアミンが使用され、そしてヒドロキシル基含有アミンが特に好ましい。ポリアミンが使用され得るが、樹脂をゲル化させる傾向に起因して、推奨はされていない。
【0040】
第三級アミンおよび第二級アミンは、第一級アミンより好ましい。なぜなら、第一級アミンは、エポキシ基に対して多官能性であり、そして反応混合物をゲル化させる、より大きい傾向を有するからである。ポリアミンまたは第一級アミンが使用される場合、これらは、ゲル化を防止するために、ポリエポキシド中のエポキシ官能基に対してかなり化学量論的に過剰に使用されるべきであり、そしてこの過剰のアミンは、反応の最後に、減圧ストリッピングまたは他の技術によって、この反応混合物から除去されるべきである。エポキシは、過剰のアミンを確実にするように、アミンに添加され得る。
【0041】
ヒドロキシル含有アミンの例としては、アルカノールアミン、ジアルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、およびアラルキルアルカノールアミンが挙げられ、これらは、1〜18個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を含有する。特定の例としては、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、3−アミノプロピルジエタノールアミン、およびN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンが挙げられる。
【0042】
モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、およびトリアルキルアミン、ならびに混合されたアリールアルキルアミンのようなアミンの、ヒドロキシルを含有せず、そしてアミンとエポキシとの間の反応にネガティブに影響を与えない、ヒドロキシル以外の基で置換されたヒドロキシル基またはアミンを含有するものもまた、使用され得る。特定の例としては、エチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ジココアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、およびN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが挙げられる。
【0043】
上述のアミンの混合物もまた、使用され得る。
【0044】
第一級アミンおよび/または第二級アミンと、ポリエポキシドとの反応は、これらのアミンとポリエポキシドとを混合する際に起こる。アミンがポリエポキシドに添加されてもよく、その逆でもよい。この反応は、ニートでか、または適切な溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン、キシレン、または1−メトキシ−2−プロパノール)の存在下で実施され得る。しかし、約50〜150℃の中くらいの温度への加熱が、この反応を促進するためになされ得る。
【0045】
第一級アミンおよび/または第二級アミンとポリエポキシドとの反応生成物は、酸で少なくとも部分的に中和することによって、カチオン性にされ、そして水分散性にされる。適切な酸としては、有機および無機酸が挙げられる。適切な有機酸の非限定的な例としては、蟻酸、酢酸、および乳酸が挙げられる。適切な向き酸の非限定的な例としては、燐酸およびスルファミン酸が挙げられる。「スルファミン酸」とは、スルファミン酸自体およびその誘導体;すなわち、以下の式:
【0046】
【化1】

の酸を意味し、ここで、Rは、水素または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0047】
スルファミン酸が好ましい。上述の酸の混合物もまた、使用され得る。
【0048】
カチオン性電着可能な組成物の中和の程度は、関与する特定の反応生成物と共に変化する。しかし、電着可能な組成物を水中に分散させるために、充分な量の酸が使用される。代表的に、使用される酸の量は、全中和の少なくとも20%を提供する。100%の完全中和のために必要とされる量を超える、過剰の酸もまた使用され得る。
【0049】
第三級アミンとポリエポキシドとの反応において、この第三級アミンは、中和用の酸と予め反応されて、アミン塩を形成し得、次いで、このアミン塩が、ポリエポキシドと反応されて、第四級塩の基を含有する樹脂を形成し得る。この反応は、水中で、アミン塩をポリエポキシドと混合することによって実施される。代表的に、この水は、全反応混合物固形物に基づいて約1.75〜約20重量%の範囲の量で存在する。
【0050】
第四級アンモニウム塩の基を含有する樹脂を形成する際に、反応温度は、反応が進行する最低温度(一般に、室温またはそれよりわずかに高温)から、約100℃(大気圧で)の最高温度まで変動し得る。圧力がより高いほど、より高い反応温度が使用され得る。好ましくは、反応温度は、約60〜100℃の範囲である。立体障害を有するエステル、エーテル、または立体障害を有するケトンのような溶媒が使用され得るが、これらの使用は、必ずしも必須ではない。
【0051】
上で開示された第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミンに加えて、ポリエポキシドと反応されるアミンの部分は、ポリアミンのケチミン(例えば、米国特許第4,104,147号の第6欄第34行〜第7欄第23行に記載されるもの)であり得る。ケチミン基は、水中へのアミン−エポキシ樹脂反応生成物の分散の際に、分解する。本発明の1つの実施形態において、樹脂(a)に存在する活性水素の少なくとも一部は、上記のもののような、ケチミン含有化合物とエポキシ基含有材料との反応から誘導される、第一級アミン基を含む。
【0052】
アミン塩および第四級アンモニウム塩の基を含有する樹脂に加えて、三元スルホニウム基を含有するカチオン性樹脂が、本発明の組成物において使用され得る。これらの樹脂およびそれらの調製の方法の例は、Debonaに対する米国特許第3,793,278号およびBossoらに対する同第3,959,106号に記載されている。
【0053】
カチオン性樹脂に付随する活性水素としては、先に議論されたような、電着可能な組成物の硬化のために充分な温度(すなわち、340°F(171.1℃)以下の温度)で、イソシアネートと反応する任意の活性水素が挙げられる。活性水素は、代表的に、反応性ヒドロキシル基、ならびに第一級アミノおよび第二級アミノ(ヒドロキシルおよび第一級アミノのような、混合された基を含む)から誘導される。本発明の1つの実施形態において、活性水素の少なくとも一部は、フェノール性ヒドロキシル基を含むヒドロキシルから誘導される。カチオン性樹脂は、樹脂固形物1グラム当たり1〜4ミリ当量、代表的には2〜3ミリ当量の活性水素の活性水素含有量を有し得る。
【0054】
カチオン性塩の基の形成の程度は、この樹脂が水性媒体および他の成分と混合される場合に、電着可能な組成物の安定な分散物が形成されるような程度であるべきである。「安定な分散物」とは、沈降しないか、またはいくらかの沈降が起こる場合には容易に再分配されるものを意味する。さらに、分散物は、水性分散物中に浸漬されたアノードとカソードとの間に電位が設定される場合に、分散された樹脂粒子がカソード上に電着されるために十分にカチオン性の性質であるべきである。
【0055】
一般に、本発明の電着可能な組成物中のカチオン性樹脂は、樹脂固形物1グラム当たり、約0.1〜3.0ミリ当量、好ましくは、約0.1〜0.7ミリ当量のカチオン性塩の基を含有する。カチオン性樹脂は、代表的にゲル化されず、約2000〜約15,000、好ましくは約5000〜約10,000の範囲の数平均分子量を有する。「ゲル化されない」とは、樹脂が実質的に架橋を含まず、そしてカチオン性塩の基の形成の前に、この樹脂が、適切な溶媒に溶解される場合に測定可能な固有粘度を有することを意味する。対照的に、本質的に無限の分子量を有する、ゲル化した樹脂は、測定できないほど高い固有粘度を有する。
【0056】
活性水素含有の、カチオン性塩基を含む樹脂(a)は、組成物中に存在する樹脂固体の総重量に基づいて40〜95重量%、代表的には、50〜75重量%の電着可能組成物中に存在し得る。
【0057】
本発明の電着可能組成物はまた、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤を含む。このポリイソシアネート硬化剤は、実質的にイソシアネート基を含まない完全にブロックされたポリイソシアネートであり得るか、または、米国特許第3,984,299号に記載されるような、樹脂骨格で部分的にブロックされ得、かつ反応し得る。ポリイソシアネートは、脂肪族もしくは芳香族のポリイソシアネート、またはこれら2つの混合物であり得る。ジイソシアネートが好ましいが、高次のポリイソシアネートが、ジイソシアネートに代わって、または、ジイソシアネートと組み合せて使用され得る。
【0058】
適切な脂肪族ジイソシアネートの例は、直鎖脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ノルボン酸ジイソシアネート、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)である。また、環状脂肪族ジイソシアネートが使用され得る。例としては、イソフォロンジイソシアネートおよび4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。適切な芳香族ジイソシアネートの例は、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよび2,4−トルエンジイソシアネートもしくは2,6−トルエンジイソシアネートである。適切な高次ポリイソシアネートの例は、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ならびに、1,6−ヘキサメイレンジイソシアネートの三量体である。
【0059】
イソシアネートプレポリマー(例えば、ポリイソシアネートとポリオール(例えば、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパン)または高分子ポリオール(例えば、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール(NCO/OH当量比が1以上)との反応生成物)がまた、使用され得る。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートの混合物が好ましい。
【0060】
任意の適切なアルコールまたはポリオールが、本発明の電着可能組成物におけるポリイソシアネートに対するブロッキング剤として使用され得る。但し、この薬剤は、硬化温度において非ブロック化し、ゲル化生成物が形成されない。任意の適切な脂肪族、環状脂肪族または芳香族アルキルアルコールが、ポリイソシアネートに対するブロッキング剤として使用され得、これらとしては、例えば、低級脂肪族モノアルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびn−ブタノール);環状脂肪族アルコール(例えば、シクロヘキサノール);芳香族−アルキルアルコール(例えば、フェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノール)が挙げられる。グリコールエーテルがまた、ブロッキング剤として使用され得る。適切なグリコールエーテルとしては、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。グリコールエーテルの中でもジエチレングリコールブチルエーテルが、好ましい。
【0061】
本発明の1つの実施形態において、ブロッキング剤は、1つ以上の1,3−グリコールおよび/または1,2−グリコールを含む。本発明の1つの実施形態において、ブロッキング剤は、1つ以上の1,2−グリコール、代表的には、1つ以上のC〜C 1,2−グリコールを含む。例えば、ブロッキング剤は、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールのうちの少なくとも1つから選択され得る。このようなブロッキング剤の存在が、樹脂相またはその成分中のオルガノスズ触媒の分解または分散を促進することが観察されている。
【0062】
他の適切なブロッキング剤としては、オキシム(例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトンオキシムおよびシクロヘキサノンオキシム)およびラクタム(例えば、ε−カプロラクタム)が挙げられる。
【0063】
ポリイソシアネート硬化剤(b)は、通常、樹脂固体の総重量に基づいて、約5〜60重量%、代表的には、約25〜50重量%の範囲の量で、電着可能組成物中に存在する。
【0064】
以前に記載されたオルガノスズ触媒、すなわち、上記の構造(1)を有するオルガノスズ触媒、これらの誘導体、およびこれらの混合物のいずれかが、任意の方法または手段によって本発明の電着可能組成物に組み込まれ得るが、組成物の安定性は損なわれないことが理解されるべきである。例えば、オルガノスズ触媒は、樹脂(a)の調製の間に、使用される反応剤と混合されるか、反応剤中に分散されて、樹脂(a)を形成し得る。また、オルガノスズ触媒は、樹脂調製の前に、使用される1つ以上の反応剤と混合されるか、または、反応剤中に分散されて、樹脂(a)を形成し得る。さらに、オルガノスズ触媒は、酸での中和の前または後のいずれかに、樹脂(a)と混合されるか、または樹脂(a)中に分散され得る。オルガノスズ触媒はまた、樹脂(a)と硬化剤(b)とを混合する前に、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート硬化剤(b)と混合されるか、または、硬化剤中に分散され得る。さらに、オルガノスズ触媒は、樹脂(a)と硬化剤(b)の混合物と混合されるか、または、この混合物中に分散され得る。あるいは、オルガノスズ触媒は、組成物への任意の成分の添加の前に、任意の添加物、溶剤または以下に記載されるようなアジュバント樹脂物質に添加され得る。また、オルガノスズ触媒は、水性媒体中の樹脂相の分散の前に、水性媒体と直接混合されるか、または水性媒体中に分散され得る。オルガノスズ触媒はまた、電着可能組成物にそのまま添加され得、引き続いて、水性媒体中で分散され得る。さらに、所望される場合、オルガノスズ触媒は、添加物物質の形態で、電着浴にオンラインで添加され得る。この触媒は、1つ以上の上記の方法によって電着可能組成物に組み込まれ得ることが理解されるべきである。
【0065】
電着可能組成物は、必要に応じて、合体溶剤(例えば、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトン)を含み得る。好ましい合体溶剤の例は、アルコールであり、これらとしては、ポリオール(例えば、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコール);エーテル(例えば、エチレングリコールのモノブチルエーテルおよびモノヘキシルエーテル);およびケトン(例えば、メチルイソブチルケトンおよびイソフォロン)が挙げられる。合体溶剤は、通常、電着可能組成物の総重量に基づいて、40重量%まで、代表的には、約0.05〜25重量%の範囲の量で存在する。
【0066】
本発明の電着可能組成物は、さらに、色素および種々の他の任意の添加物(例えば、可塑剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤および抗クレーター剤)ならびに、樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なるアジュバント樹脂物質を含み得る。これらの任意の成分は、存在する場合、通常、樹脂固体の重量に基づいて、30重量%まで、代表的には、約1〜20重量%の量で使用される。
【0067】
適切な色素としては、酸化鉄、酸化鉛、カーボンブラック、炭塵、二酸化チタン、タルク、粘土、シリカ、および硫酸バリウム、ならびに、着色色素(例えば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローなど)が挙げられるがこれらに限定されない。一般に、色素 対 樹脂(または色素 対 結合剤)比(P/B)として表される水性分散物の色素含量は、通常、0.05:1〜1:1である。特定の実施形態において、本発明の電着可能コーティング組成物は、鉛含有組成物を含まない。
【0068】
本発明の電着可能コーティング組成物は、水性分散物の形態で電着プロセスにおいて使用される。「分散物」とは、2相の透明、半透明または不透明な水性樹脂系を意味し、この樹脂系において、樹脂、色素および水溶性物質が、分散相中にあり、一方で、水および水溶性物質が、連続相を含む。分散相は、10ミクロン未満の平均粒子サイズを有し、5ミクロン未満であり得る。水性分散物は、分散物の特定の最終用途に依存して、樹脂固体の少なくとも0.05重量%、通常は0.05〜50重量%を含み得る。
【0069】
水性分散物の形態の本発明の電着可能組成物は、優れた保存安定性を有し、すなわち、140°F(60℃)の温度にて14日間の保存の際に、組成物は安定である。「安定な分散物」とは、本明細書中で、樹脂相およびオルガノスズ触媒が、組成物の水性相全体に均一に分散したままであることを意味する。上記の条件下での保存の際に、分散物は、固い堆積物を凝結または形成しない。経時的にいくつかの堆積が生じる場合、この堆積は、低せん断撹拌により容易に再分散され得る。
【0070】
電着のプロセスにおいて、水性分散物の形態での本発明の電着可能組成物は、電気導電性アノードおよびカソードと接するように配置され、この位置で、物質が、カソードとして機能する。水性分散物と接触している間に、アノードとカソードとの間に電流が通過する際に、電着可能組成物の粘着フィルムが、カソード上に、実質的に連続した様式で堆積する。このフィルムは、活性水素含有樹脂、ブロックされたポリイソシアネート硬化剤、オルガノスズ触媒、および、分散剤の非水性相からの任意の添加物を含む。
【0071】
オルガノスズ触媒は、触媒が硬化温度で、すなわち、340°F(171.1℃)の温度またはそれより下の温度で、実質的に非揮発性である点で特徴付けられることが、本明細書中に記されるべきである。「実質的に非揮発性」とは、硬化プロセスの間に、これらの温度において、触媒が、硬化オーブン環境中にフィルムから揮発しないことを意味する。
【0072】
電着は、通常、約1ボルト〜数千ボルト、代表的には50〜500ボルトの範囲の定常電圧で実施される。電流密度は、通常、1.0アンペア〜15アンペア/平方フィート(10.8〜161.5アンペア/平方メートル)であり、電着プロセスの間に、急速に減少する傾向にあり、これは、連続的な自己絶縁フィルムの形成を示唆する。当該分野で公知の任意の導電性物質、特に、鋼鉄、亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウムなどのような金属物質が、本発明の電着可能組成物でコーティングされ得る。鋼鉄物質が好ましい。物質を、リン酸交換、通常は、リン酸亜鉛交換コーティングで前処理し、その後、変換コーティングに下地塗料を塗って(seal)リンスすることが慣習的である。
【0073】
堆積の後、コーティングを加熱して、堆積した組成物を硬化する。加熱または硬化操作は、250〜400°F(121.1〜204.4℃)、代表的には、300〜340°F(148.8〜171.1℃)の範囲の温度にて、1〜60分の範囲の時間にわたって、実施され得る。得られるフィルムの厚さは、代表的に、10〜50ミクロンの範囲であり得る。
【0074】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、さらに記載される。他に示されない限り、全ての部および百分率は、重量による。
【実施例】
【0075】
実施例Aは、実施例DおよびGの樹脂結合剤を調製するために使用される架橋剤の調製を記載する;実施例Bは、実施例Eの樹脂結合剤を調製するために使用される架橋剤の調製を記載する;実施例Cは、実施例DおよびGに結合剤の調製において使用される添加剤樹脂の調製を記載する。実施例D、EおよびFは、本発明の電着可能コーティング組成物において使用されるカチオン樹脂結合剤の調製を記載する。実施例Gは、触媒を含まないカチオン性樹脂の調製を記載する。実施例1から4は、本発明の電着可能コーティング組成物の調製を記載する。比較例5および6は、それぞれ、ジブチルスズオキシドおよびトリオクチルスズオキシドを含有する、カチオン性電着可能コーティング組成物の調製を記載する。
【0076】
(実施例A)
この実施例は、実施例DおよびGにおいて使用される架橋剤の調製を記載する。この架橋剤を、以下のように調製した:
【0077】
【表1】

エタノール、プロピレングリコール、ポリオール、メチルイソブチルケトンお酔いMAZON 1651の最初のチャージを、反応フラスコに添加した。DESMODUR LS 2096を、約25℃で開始してゆっくりと添加し、この反応物を105℃まで発熱させ、一方で110℃を超えないようにした。この反応物を、IR分析が、全てのイソシアネートが消費されたことを示すまで、この温度に維持した。
【0078】
(実施例B)
この実施例は、実施例Eの樹脂において使用される架橋剤の調製を記載する。
【0079】
【表2】

1,2−ブタンジオール、メチルイソブチルケトンおよびジブチルスズジラウレートを、窒素雰囲気下で反応フラスコに充填し、そして30℃まで加熱した。この溶液に、PAPI 2940をゆっくりと添加し、この反応温度を80℃未満に維持した。添加の完了時に、メチルイソブチルケトンの第二のチャージを添加し、そしてこの混合物を、IR分析が未反応NCOが残っていることを示さなくなるまで、85℃に維持した。
【0080】
(実施例C)
この実施例は、実施例DおよびGの樹脂において使用される添加剤樹脂の調製を記載する。この添加剤を、以下の成分から調製した:
【0081】
【表3】

酢酸をMAZEEN 355 70に添加し、そして10分間徹底的に混合した。次いで、ジブチルスズジラウレートを添加し、そしてこの溶液を混合した。トルエンジイソシアネートをゆっくりと添加し、発熱を最大100℃に制御した。ジイソシアネートの添加が完了したら、その溶液を、IR分析によって決定される場合にイソシアネートが存在しなくなるまで、100℃で保持した。スルファミン酸を添加し、そしてその溶液を十分に混合した。脱イオン水をゆっくりと添加し、そしてその混合物を十分に混合して、110℃で1時間後に、36%の固形物含有量を有する分散物を得た。
【0082】
(実施例D)
ジオクチルスズオキシドを含有する電着可能樹脂を、以下の成分から調製した:
【0083】
【表4】

架橋剤、MAZON 1651、EPON 828、ビスフェノールAおよびTETRONIC 150R1を、Dean−Starkトラップを備える4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で充填した。この混合物を75℃まで加熱し、そしてジエタノールアミンを添加した。この混合物を30分間攪拌し、この間に、80℃への発熱が観察された。アミノプロピルジエタノールアミンを添加し、そしてその温度が132℃に上昇した。この混合物を、この温度で90分間保持し、この間に、Dean−Starkトラップに29.3gの溶媒が回収された。EPON 828の第二のチャージを添加し、そしてこの混合物をさらに1時間、132℃で保持した。この混合物を100℃まで冷却し、ジオクチルスズオキシドを添加し、そしてこの混合物を30分間保持した。1630gのこの混合物を、スルファミン酸、脱イオン水の第一のチャージ、乳酸および実施例Bの添加剤の予め混合した溶液に、激しく撹拌しながら注いだ。ロジンゴム溶液を添加し、そしてこの混合物を30分間撹拌した。脱イオン水の最後のチャージを添加し、そして十分に混合した。この混合物を減圧下で蒸留して、溶媒および水の一部を除去した。得られた分散物の固形物含有量を、脱イオン水の添加によって、およそ40%に調整した。
【0084】
(実施例E)
ジオクチルスズオキシドを含有する電着可能樹脂を、以下の成分から調製した:
【0085】
【表5】

EPON 828、ポリオールの最初のチャージ、ビスフェノールAおよびメチルイソブチルケトンの最初のチャージを反応容器に充填し、そして窒素雰囲気下で125℃まで加熱した。次いで、エチルトリフェニルホスホニウムヨージドを添加し、そしてこの混合物を、およそ145℃まで発熱させた。この反応物を145℃で2時間保持し、そしてポリオールの第二のチャージを添加した。次いで、この反応物を125℃まで冷却し、そしてメチルイソブチルケトンの第二のチャージ、実施例Bの架橋剤、ジケチミンおよびN−メチルエタノールアミンを連続して添加した。この混合物を発熱させ、次いで、122℃の温度が確立された。この混合物を122℃で2時間保持した。次いで、ジオクチルスズオキシドを添加し、そしてこの反応混合物を、122℃で15分間撹拌した。樹脂混合物(1600部)を、スルファミン酸および脱イオン水の第一のチャージの混合物に添加することによって、水性媒体中に分散させた。30分後、ロジンゴム溶液を添加し、そしてこの分散物を、脱イオン水の最後の2つのチャージで段階的に薄めた。この分散物を減圧ストリップして有機溶媒を除去し、110℃で1時間後に、43.58%の固形物含有量を有する分散物を得た。
【0086】
(実施例F)
ジオクチルスズオキシドを含有する電着可能樹脂を、以下の成分から調製した:
【0087】
【表6】

DER732、エチレングリコールのn−ブチルエーテル、およびビスフェノールAを、フラスコに充填した。この混合物を130℃まで加熱し、そしてベンジルジメチルアミンを添加した。この反応混合物を、この混合物のエポキシド当量が1232になるまで135℃で保持した。エチレングリコールのn−ブチルエーテルの第二のチャージを添加し、そしてこの混合物を95℃まで冷却した。JEFFAMINE D400を添加し、そしてこの反応物を、メトキシプロパノール中に希釈したこの樹脂の50%溶液のGardner−Holdt粘度が「J」になるまで、95℃で保持した。EPON 828およびエチレングリコールのn−ブチルエーテルの第三のチャージの混合物を添加し、そしてこの混合物を、メトキシプロパノール中に希釈したこの樹脂の50%溶液のGardner−Holdt粘度が「P+」になるまで保持した。ジオクチルスズオキシドおよび酢酸を添加し、そしてこの混合物を20分間撹拌して、ジオクチルスズオキシドを溶解した。得られた樹脂(1138部)を、脱イオン水の第一のチャージおよびスルファミン酸の混合物に、撹拌しながら注ぎ、そして30分間撹拌した。脱イオン水の最後のチャージを添加し、そしてこの分散物を十分に混合した。最後の水性分散物は、110℃で1時間後に、29.7%の固形物含有量が測定された。
【0088】
(実施例G)
触媒を含まない電着可能樹脂組成物を、以下の成分から調製した:
【0089】
【表7】

架橋剤、MAZON 1651、EPON 828、ビスフェノールAおよびTETRONIC 150R1を、Dean−Starkトラップを備える4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で充填した。この混合物を75℃まで加熱し、そしてジエタノールアミンを添加した。この混合物を30分間撹拌し、この間に、およそ80℃までの発熱が観察された。アミノプロピルジエタノールアミンを添加し、そしてその温度は132℃まで上昇した。この混合物をこの温度で990分間保持し、この間に、Dean−Starkトラップ内に29.3部の溶媒が回収された。EPON 828の第二のチャージを添加し、そしてこの混合物を、132度でさらに1時間保持した。1630部のこの混合物を、スルファミン酸、脱イオン水の第一のチャージ、乳酸および実施例Bの添加剤の混合物に、激しく撹拌しながら注いだ。ロジンゴム溶液を添加し、そしてこの混合物を30分間撹拌した。脱イオン水の最後のチャージを添加し、そして十分に混合した。この混合物を減圧下で蒸留して、溶媒を除去した。得られた分散物の固形物含有量を、脱イオン水の添加によって、およそ40%に調整した。
【0090】
(塗料実施例)
(実施例1)
この実施例は、実施例2、3、4、および6のための電着塗料組成物において使用するために適切な顔料ペーストの調製を記載する。この顔料ペーストを、以下の成分から調製した:
【0091】
【表8】

上記成分を、示される順序で、高せん断撹拌しながら添加した。これらの成分を徹底的にブレンドした後に、その顔料ペーストを水平サンドミルに移し、そしてHegman値が7.0より高くなるまで粉砕した。次いで、この顔料ペーストを回収した。測定された固形物は、110℃で1時間後に、59.5%であった。
【0092】
(実施例2)
カチオン性電着可能コーティング組成物を、以下の成分から調製した:
【0093】
【表9】

中程度に撹拌しながら、MAZON 1651を、実施例1の顔料ペーストに添加した。次いで、酢酸イットリウム溶液を、400gの脱イオン水で希釈した後に添加した。この混合物を、200gの水で希釈した後に、撹拌しながら、実施例Dの樹脂に添加した。次いで、残りの量の水を添加した。この組成物を少なくとも4時間攪拌し、次いで、20%限外濾過した。
【0094】
(実施例3)
カチオン性電着可能コーティング組成物を、以下の成分から調製した:
【0095】
【表10】

中程度に撹拌しながら、MAZON 1651およびプロピレングリコールモノメチルエーテルを、実施例1の顔料ペーストに添加した。次いで、酢酸イットリウム溶液を、400gの水で希釈した後に添加した。この混合物を、200gの水に撹拌しながら希釈した後に、実施例Eの樹脂に添加した。次いで、残りの量の水を添加した。この組成物を少なくとも4時間攪拌し、次いで、20%限外濾過した。
【0096】
(実施例4)
カチオン性電着可能コーティング組成物を、以下の成分から調製した:
【0097】
【表11】

実施例Fの樹脂を200gの水で希釈し、次いで、実施例Gの樹脂に添加した。別の容器内で、中程度に撹拌しながら、MAZON 1651およびエチレングリコールものヘキシルエーテルを、実施例1の顔料ペーストに添加し、次いで、酢酸イットリウムを、400gの水に希釈した後に添加した。次いで、この混合物を、実施例FおよびGの樹脂のブレンドに添加し、次いで、残りの量の水を添加した。この組成物を少なくとも4時間攪拌し、次いで、20%限外濾過した。
【0098】
(実施例5−比較例(ジブチルスズオキシドコントロール))
カチオン性電着コーティング組成物を、以下の成分から調製した:
【0099】
【表12】

中程度に撹拌しながら、顔料ペーストE6301を200gの水で希釈し、そして樹脂ブレンドE6300を、400gの水で希釈した後に添加した。次いで、残りの量の水を添加した。この塗料を少なくとも4時間攪拌し、次いで、20%限外濾過した。
【0100】
(実施例6−比較例(トリオクチルスズオキシドコントロール))
【0101】
【表13】

中程度に撹拌しながら、トリオクチルスズオキシドおよびMAZON 1651を、実施例1の顔料ペーストに添加した。対で、酢酸イットリウム溶液を、400gの水で希釈した後に添加した。この混合物を、200gの水で撹拌しながら希釈した後に、実施例Gの樹脂に添加した。次いで、残りの量の水を添加した。この組成物を少なくとも4時間攪拌し、次いで、20%限外濾過した。
【0102】
(実施例7)
ジブチルスズジアセテート含有樹脂溶液を、以下の成分を一緒に撹拌することによって、調製した:
【0103】
【表14】

(実施例8)
トリオクチルスズオキシド含有樹脂溶液を、以下の成分を一緒に撹拌することによって、調製した:
【0104】
【表15】

(試験手順)
電着可能コーティング組成物を、ACT Laboratoriedから市販されているリン酸化した冷間圧延鋼鉄上に電着した。電着の時間は、各組成物について2分間であった。電着のさらなる条件を、表1に提示する。得られたフィルムを、320°Fで20分間硬化させた。硬化の程度を、往復溶媒摩擦(double solvent rubs)(DAR)によって試験した。この試験において、布片をアセトンに浸し、そしてフィルム表面上を200回まで擦った。これらの結果もまた、表1に、硬化した塗料を除去するために必要とされた往復アセトン摩擦の回数として報告する。
【0105】
【表16】

(樹脂安定性試験)
安定性を、以下に列挙されるスズ触媒含有樹脂の各々の4オンスを140°F未満で2週間置くことによって、試験した。これらを、スズ触媒なしの同じ樹脂と比較し、スズ主の導入直後および熱への曝露後の外観を記録した。結果を、以下の表2に提示する。
【0106】
【表17】

上記表1の例は、ジオクチルスズオキシド(DOTO;実施例2、3および4)を用いて調製した樹脂を含有する電着可能コーティング組成物が、活性であるために独立して粉砕されなければならないスズ触媒を含有するコーティング組成物と同程度に硬化することを実証する。これらの組成物はまた、組成物にDOTOを直接添加することによって調製された組成物よりはるかに優れた硬化応答を示す。
【0107】
さらに、DOTOを用いて作製された樹脂(実施例D)が、液体スズ触媒を含有する樹脂(これは、加水分解してスズ化合物を不活性化させる)より安定であることが、表2に実証される。
【0108】
変更が、上記実施形態に対して、本発明の広範な新規概念から逸脱することなくなされ売ることが、当業者に明らかである。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲内である修飾を網羅することが意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の組成物。

【公開番号】特開2008−144181(P2008−144181A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5066(P2008−5066)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【分割の表示】特願2004−542058(P2004−542058)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】