説明

電磁処理ライン

フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムをせん断するステップと、キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させる工程とステップとを有する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本願は、米国仮特許出願番号第61/225403号(2009年7月14日出願)である名称「電磁処理ライン(Electromagnetic Processing Line)」の優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムをせん断するステップと、キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
キャストフィルムおよびそれらを製造する方法は公知である。当業界には依然としてキャストフィルムの製造方法に関する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムをせん断するステップと、キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【0005】
フィルムを製造するための方法は、第1に、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、第2に、キャストフィルムをせん断するステップと、第3に、キャストフィルムに電界、磁界、またはその両方を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、第4に、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、第5に、キャストフィルムをアニールするステップと、第6に、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【0006】
フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムをせん断し、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【0007】
フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【0008】
硬化可能なマトリクス材を用いる処理の利点は、溶媒の使用を無くすことであり、これは、揮発性有機化合物(VOC)の取り扱いに関する問題、および最終のキャストフィルムから残留溶媒を完全に除去する困難を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの処理ゾーンの実施形態を示す概念図である。
【図2】有用な磁石の寸法を示す図である。
【図3】Awps、テスラ、およびギャップの間の関係の実施形態を示す表である。
【図4】電界モードにおける電磁処理(EMP)ラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
フィルムを製造するための方法は、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、キャストフィルムをせん断するステップと、キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、キャストフィルムをアニールするステップと、キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップとを含む方法である。
【0011】
実施形態は概して、キャストフィルムを製造するための複数の処理ゾーンを含む方法を提供する。図を参照して、実施形態はキャストフィルムを製造する方法を提供し、方法は、複数のキャストフィルム処理ゾーンを有する。この処理ゾーンは、フィルム成型ゾーン10、せん断ゾーン20、電界ゾーン30、磁界ゾーン40、紫外線放射ゾーン50、アニールゾーン60、溶媒蒸発ゾーン70、およびそれらの組み合わせを含む。
【0012】
実施形態は、種々の種類のキャストフィルム生成物の連続生産を提供する。処理の実施形態は、i)定常または振動せん断の組み合わせをともなう、またはともなわない電気的な力と、ii)磁界と、iii)欠陥の無いまたは実質的に欠陥の無いナノ構造生成物を生成するための、熱勾配下での熱アニールを含む。実施形態は、ロールトゥロール処理に含まれてもよいキャストフィルム処理ゾーンの任意の組み合わせを提供する。一部の実施形態では、「ロールトゥロール」処理は処理装置を通して単一パスにおいて実行される一連の方法ステップを意味する。1つ以上の主題の処理の実施形態により製造することができる有用なフィルム生成物の限定されない例としては、
a)次世代の生成におけるマイクロエレクトロクスおよびデータ保存のための大きな周期的なナノ形態を生成するための、相分離により、例えば円筒相などの、所望の相に変化したブロック共重合体フィルム。
b)光起電性のロールトゥロール製造、燃料電池膜を含む分離膜を含む広範囲の用途に有用な、フィルムの厚さ方向において磁気的に整列された機能性充填剤を有する薄フィルム、が挙げられる。
【0013】
フィルム成型ゾーン10においてキャストフィルムを生成するために、実施形態では搬送基板(例えば、マイラー、アルミニウムなど)上にキャストフィルム溶液が入れられ、搬送基板がステンレス鋼ベルト上に支持される。搬送基板上のキャストフィルムに加えて、実施形態ではさらに、ステンレス鋼ベルト上に直接キャストフィルムが供給される。一実施形態では、2貯留槽用のドクターブレード、および超精密花崗岩である支持基板を用いて溶媒キャスト法が実施されてもよい。一実施形態では、花崗岩部はギアポンプにより作動する溶液搬送システムを有する3マニフォールドフレックスリップスロットダイ組立体に加えて、2フィート長の多層ドクターブレードを収容するのに十分な長さを有する。一実施形態では、0.0002インチ(4マイクロメートル)〜0.100インチ(2540マイクロメートル)の範囲の初期厚さのフィルムが成型される。一実施形態では、フィルム状に成型される溶液の粘性は、5センチポアズ〜50000センチポアズの範囲でもよい。実施形態は、フィルムを有用な層厚に成型可能な個々のギアポンプ、配管、計量、弁、センサ、および供給装置を駆動する電気および機械自動化システムを含むシステムを提供する。
【0014】
基板上にフィルムを成型する任意の既知の方法が、成型ゾーン10において使用されてもよい。フィルムの成型に有用な溶液は、以下の成分、すなわち溶媒成分、高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、および磁性充填剤成分の種々の濃度、および種々の組み合わせを含んでもよい。
【0015】
溶媒成分の有用な濃度は、0重量パーセント〜約70重量パーセント、約2.5重量パーセント〜約67.5重量パーセント、約5重量パーセント〜約65重量パーセント、約7.5重量パーセント〜約60重量パーセント、約10重量パーセント〜約55重量パーセント、約12.5重量パーセント〜約50重量パーセント、約15重量パーセント〜約45重量パーセント、約17.5重量パーセント〜約40重量パーセント、約20重量パーセント〜約35重量パーセント、約22.5重量パーセント〜約30重量パーセント、または約25重量パーセント〜約27.5重量パーセントであってもよい範囲である。ここで、明細書および請求項のいかなる箇所とも同様に、個々の範囲値および/または制限は、さらなる非開示または新規の範囲、またはさらには非制限範囲さえも形成するように組み合わせることができる。有用な溶媒の限定されない例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、硫化ジメチル(DMS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、シクロヘキサン、ペンタン、シクロヘキサノン、アセトン、塩化メチレン、四塩化炭素、二塩化エチレン、クロロホルム、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、THF、MEK、MIBK、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、1−ペンタノール、水、またはこれらの2つ以上の適切な混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【表1】

【0016】
高分子成分の有用な濃度は、約5重量パーセント〜約50重量パーセント、約7.5重量パーセント〜約47.5重量パーセント、約10重量パーセント〜約45重量パーセント、約12.5重量パーセント〜約42.5重量パーセント、約15重量パーセント〜約40重量パーセント、約17.5重量パーセント〜約37.5重量パーセント、約20重量パーセント〜約35重量パーセント、約22.5重量パーセント〜約32.5重量パーセント、または約25重量パーセント〜約30重量パーセントであってもよい範囲である。ここで、明細書および請求項のいかなる箇所とも同様に、個々の範囲値および/または制限は、さらなる非開示または新規の範囲、またはさらには非制限範囲さえも形成するように組み合わせることができる。有用な高分子化合物の限定されない例としては、ポリイミドおよび機能性添加物、広範囲のブロック共重合体をさらに含むそれらの共重合体、イオノマー、ポリマブレンドが挙げられる。「磁性ポリマ」としても当業者に知られる磁気特性を有する高分子化合物もまた有用である。
【0017】
単量体成分の有用な濃度は、0重量パーセント〜100重量パーセントの範囲である。単量体の中間濃度における単量体の含有量次第で、残りの含有量は別の高分子化合物および溶媒混合液を含むことができる可能性がある。有用な単量体の限定されない例としては、光機能性単量体および有用な反応性を有する単量体が挙げられる。
【0018】
ナノ粒子成分の有用な濃度は、約0.01重量パーセント〜約30重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約27.5重量パーセント、約0.5重量パーセント〜約25重量パーセント、約1重量パーセント〜約22.5重量パーセント、約2.5重量パーセント〜約20重量パーセント、約5重量パーセント〜約17.5重量パーセント、約7.5重量パーセント〜約15重量パーセント、または約10重量パーセント〜約12.5重量パーセントであってもよい範囲である。ここで、明細書および請求項のいかなる箇所とも同様に、個々の範囲値および/または制限は、さらなる非開示または新規の範囲、またはさらには非制限範囲を形成するようにさえも組み合わせることができる。別の実施形態では、ナノ粒子成分の有用な濃度は、約1重量パーセント〜約8重量パーセントの範囲である。有用なナノ粒子の限定されない例としては、配位子修飾をともなう、またはともなわない磁性ナノ粒子、有機的に改質した粘土、炭素系ナノ粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(単一壁ならびに多壁)に加えて、他の無機および有機の合成ナノ粒子または天然のナノ粒子が挙げられる。
【0019】
磁性充填剤成分の有用な濃度は、約0.01重量パーセント〜約15重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約12.5重量パーセント、約0.5重量パーセント〜約10重量パーセント、約1重量パーセント〜約7.5重量パーセント、約1.25重量パーセント〜約5重量パーセント、約1.5重量パーセント〜約4重量パーセント、約1.75重量パーセント〜約3.5重量パーセント、約2重量パーセント〜約3重量パーセントの範囲である。ここで、明細書および請求項のいかなる箇所とも同様に、個々の範囲値および/または制限は、さらなる非開示または新規の範囲、またはさらには非制限範囲さえも形成するように組み合わせることができる。有用な磁性充填剤の限定されない例としては、Co、Ni、CoPt、FePt、FeCo、Fe34、Fe23、CoFe24が挙げられる。当業者は行っていない実験を実行する必要無く有用なキャストフィルム溶液を生成および特定することができるであろう。
【0020】
実施形態は、耐食性を有する非磁性のオーステナイトモリブデン合金ステンレス鋼から製造されるステンレス鋼ベルトを提供する。ステンレス鋼ベルトは、厚さの均一性のために、表面仕上げされ、かつ処理されてもよい。
【0021】
実施形態は、独立した駆動制御を有するステンレス鋼ベルトおよび搬送ベルト(本明細書では搬送ベルトは、搬送基板とも呼ばれる)の両方を提供する。全体の速度範囲能力は0.2インチ/分〜840インチ/分の範囲でもよい。0.2〜400インチ/分(0.5センチメートル/分〜1010センチメートル/分)の範囲では、0.01パーセント以内の範囲の制御精度は、実施形態の範囲内である。搬送ベルトに加えて、ステンレス鋼ベルトならびに搬送ベルトに対するプログラム可能な速度制御は、実施形態の範囲内である。実施形態は、線形モードに加えて、規定速度、停止および滞留時間における移動距離をユーザ入力することができるムーブストップムーブタイプのモードを含む。
【0022】
搬送基板およびステンレス鋼ベルトの両方は、処理全体を通して自動ベルト追跡を有してもよい。ステンレス鋼ベルトのためのドラムは非腐食性であってもよい。搬送ベルト基板は、0.05〜3PLIの範囲の調節可能なウェブ張力を有してもよい。
【0023】
せん断ゾーン20を有する実施形態は、ステンレス鋼ベルトの上方を移動する補助的なのベルトまたはせん断ベルト(例えば、6フィート長)を備える。このせん断ベルトとステンレス鋼ベルトとの間の距離は調節可能である。(i)ステンレス鋼ベルトまたは搬送基板と、(ii)垂直ベルトとの間の距離は、約10〜約2000マイクロメータの範囲とすることができる。この補助的なのまたはせん断ベルトの機能は、搬送基板またはステンレス鋼ベルトのいずれかの上を移動中のキャストフィルムをせん断することである。
【0024】
実施形態は、せん断ベルトの移動を自動化し、3つの操作モードをともなうせレシピ選択可能な方策を提供する。
(1)前進(時計回り駆動)(材料の流れに従う)。
(2)逆転(反時計回り)(材料の流れに逆らう)。
(3)振動(前後運動。振動の距離(0〜2フィート)である振幅は、0〜60反転/分の頻度内で調節可能とするべきである)。
実施形態は、4〜400インチ/分の範囲の速度要件を提供する。実施形態はさらに、前述のせん断ベルトの操作モードの任意の組み合わせの使用を提供する。
【0025】
せん断ベルトの熱膨張の課題、およびせん断ベルトの経時的なたるみも考慮される。(i)ステンレス鋼ベルトまたは搬送基板と、(ii)垂直ベルトとの間の距離を、レーザセンサまたは同等のセンサを用いて、この距離を正確に維持し、かつ張力調整または当業界で既知の他の方法により、制御する、連続的に監視する手段があってもよい。
【0026】
一実施形態は、頻度(反転/分)および振幅(距離)範囲が調節可能な振動能力に加えて、一定の速度(0.2〜400インチ/分)を有する先端せん断ベルトを提供する。一実施形態では、0〜2フィートの範囲の距離は、0〜60反転/分の調節可能な反転/分の頻度の範囲において調節可能である。他の有用なせん断ベルトの距離および反転/分の頻度は、本発明の範囲内であり、行われていない実験を実行する必要無く当業者により達成される場合がある。
【0027】
ステンレス鋼ベルトへのキャストフィルムの付着を防止するために、ステンレス鋼ベルトとキャストフィルムとの間の搬送基板または層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系のフィルムでもよい。実施形態では、せん断上端ベルトと組み合わせて利用される搬送制御駆動能力が提供される。せん断ゾーンから出た後、キャストフィルムを上端せん断ベルトから分離するために、分離ブレードまたは剥離ナイフが用いられてもよい。
【0028】
電気保存ゾーン30を有する実施形態では、キャストフィルムに対する電界の印加は自動化されてもよい。実施形態は、キャストフィルムに電圧を印加する電界を提供する。キャストフィルムがせん断ゾーンにある間に、キャストフィルムに電界が印加されてもよい。任意の範囲の電圧がキャストフィルムに印加されてもよく、一実施形態では、印加電圧は0V〜25KV/cm(マイクロアンペア範囲において)の範囲である。磁界ゾーン40を有する実施形態では、キャストフィルムに分散する磁性充填剤を整列させるために磁界ゾーンが用いられてもよい。
【0029】
実施形態では、磁界ゾーン内に磁界を印加するシステムは自動で、かつレシピ駆動される。一実施形態では、磁気システムは2つの軸により自動化されてもよい(10フィートの水平移動、および6インチのギャップが設定される)。対象となるキャストフィルムが磁界の下または磁界の間をゆっくりと通過する間に、水平方向に沿って前後に磁界で一掃することにより複数の通路を達成することができるように、水平方向の磁気移動はレシピ設定可能である。磁界の生成に有用な磁石の限定されない例としては、GMWモデル3474FG−140電磁石が挙げられる。
【0030】
一実施形態では、電磁石は、それを材料方向に自動で移動する能力を有する線形ステージに取り付けられる。一実施形態では、磁石は10フィートの軌道上でモーター駆動の平行移動能力を有する。一実施形態では、電磁石の位置はレシピで選択されるべきである。一実施形態では、補助的なのリフトオフ磁石およびライン内の空間が、この品目のために確保されてもよい。
【0031】
限定されない例として、磁石の両極間の1インチのギャップ内の10インチ幅の磁界領域にわたって1.75テスラ(17.5キロガウス)が生成される。実施形態は、自動または手動調節を提供する。GMWモデル3474FG−140電磁石を使用して、140アンペア(最大電流)では、4.7インチのギャップの間に約1テスラをが生成することができる。140Aで完全に電圧を加えると、磁石の中心から1メートル(約40インチ)において約0.5ミリテスラ(5G)のフリンジ界がある場合がある。実施形態は、極キャップから40〜80インチ以内に電気成分を提供しない。
【0032】
磁石は冷却装置から循環する水により冷却されてもよい。実施形態では、電力供給装置は、1インチのギャップを有する10インチ幅磁界領域にわたって、100パーセントの負荷サイクルで、1テスラ(10キロガウス)を生成するのに適した水冷である。
【0033】
磁界の影響により、残留磁界を中和するために、ラインの端部にずっと少ない力を有するリフトオフの補助的なの磁石が要求される場合がある。実施形態は、固定されたこの補助的なの磁石が提供される。紫外線放射ゾーン50を有する実施形態は、キャストフィルム内の単量体または重合可能な官能基を硬化または重合する紫外線放射ゾーンを提供する。基板と相対的な紫外線放射源の位置は調節可能であり、一部の実施形態では、紫外線ゾーンは取り外し可能か、使用されない。
【0034】
システムは自動駆動され、かつレシピ駆動されてもよい。実施形態では、紫外線移動は、例えば10フィートの水平移動、および設置されたベルトから1フィートなどのように、2軸システム上である。実施形態は、処理されたキャストフィルムの通路に沿って移動する紫外線放射ユニットを提供する。一部の実施形態では、紫外線放射がせん断ゾーンの近く、アニールゾーンの近くに位置し、かつ/またはキャストフィルムが紫外線放射ゾーンを通過するときにキャストフィルムを追跡するなどのように、紫外線放射ユニットの移動はレシピ設定可能である。
【0035】
実施形態は、単独または組み合わせて用いられる以下の要素/特性を提供する。
・UV−LEDシステム。
・LEDの波長および強度を調節可能な、選択可能なUVユニット。
・垂直および材料方向に動く能力を与えるX−Zステージに取り付けられたUVユニット。
・10フィートの軌道上で、モーター駆動の平行移動機能を有するUVユニット。
・選択されたレシピを可能にする紫外線ユニット位置。
【0036】
アニールゾーン60または結晶粒粗大化ゾーン60において、実施形態は、振動する熱勾配を有する熱領域間を一定速度で動くキャストフィルムを提供する。アニールゾーンの温度勾配は、反射鏡に囲まれた温度制御された放射型の棒状ヒータの両側に配置された連続的な水冷式の冷却ブロックを用いて設定することができる。これは熱エネルギをフィルムに集中させて、空間的に振動する温度勾配を生成する。実施形態では、各ブロックは、1mmの空隙で互いから横方向に分離して、2.5フィート長に及ぶ。高温ブロックは0.5インチの長さおよび8インチの幅であり、一方、冷却ブロックは1インチの長さおよび8インチの幅でもよい(図1)。実施形態は合計20の冷却および20の高温ブロックを有する。各ブロックは個々の温度制御機能を有してもよく、一実施形態は、高温ブロックの例では最低50℃および最高250℃、冷却ブロックの例では最低5℃および最高40℃が提供する。実施形態は、このゾーンに約1センチメートル/分の低速の能力を提供する。このアニールゾーンにおけるフィルムに沿う所与の位置における温度プロファイルは、リアルタイムの温度プロファイルを特定するために0.5インチの精度を有する適切な熱スキャナを用いて記録されてもよい。
【0037】
溶媒蒸発ゾーン70において、実施形態は、使用されるベッド下の赤外線ヒータに加えて、層流空気流を供給する。実施形態では、ヒータは、材料が製造される250℃の処理温度を実現および維持する。加熱システムの実施形態は、以下を単独または組み合わせのいずれかで含む。
(A)HEPAフィルタを有する空気流。
(B)「I.R.」ヒータの利用
【0038】
さらなる有用な方法は、フィルムから溶媒を蒸発させるための既知の方法を含む。実施形態における方法が図4に示され、電界整列モードを示す。機械の左側において、所望の厚さに設定された精密なスロットダイを通して鋼鉄の搬送ウェブにより、高分子溶液の所望の混合液が供給される。フィルム成型ゾーン10のこの実施形態は、フィルムを3〜10インチの幅にすることが可能である。次に、キャスト溶液は、電極間に0〜25kV/cmの調節可能なAC電界を提供することができる電界ゾーン30に入る。空隙は上部電極内に設計された精密整列システムにより、正確に制御することができる。伝導板を変化させることによって露出時間を変えるように、電界ゾーンの長さを変更することができる。別の実施形態では、電界ゾーン30は、頻度、振幅および形状(正方形、正弦、鋸歯状など)が調節可能な振動するAC場に重ねてDCバイアスを印加するようにも設計される。キャスト溶液がこのゾーンを通る間、選択された整列高分子相に影響を及ぼす粘性を比較的低く維持するように、溶媒濃度および/または温度は調節されることになる。所望の膜形態を迅速に温度上昇、および凍結するために、電界ゾーンの端部における鋼鉄の搬送の下に取り付けられた放射型ヒータを利用することができる。高分子化合物の混合比、印加電圧、および熱仕上げパラメータは、高処理量のための最適な「組成整列処理ウインドウ」を特定するためにリアルタイムで変化させることができる。図4は、紫外線硬化可能なマトリクスに用いることができる、電界ゾーンの直後のEMPラインに組み込まれたUV灯を有する紫外線照射ゾーン50も示す。
【0039】
本明細書で詳述した特定の実施形態を特に参照して本発明を詳細に記述したが、他の実施形態が同じ結果を実現することができる。本発明の変更および変形は当業者に明らかであり、本発明は添付請求項の中に、全てのこのような変更および均等物を含むように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを製造するための方法であって、
(A)高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、
(B)前記キャストフィルムをせん断するステップと、
(C)前記キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、
(D)前記キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、
(E)キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、
(F)前記キャストフィルムをアニールするステップと、
(G)前記キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記キャストフィルムは、基板上に高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有する溶液を成型することにより生成され、前記キャストフィルムは、前記キャストフィルムの表面をせん断ベルトの表面に接触させることによりせん断され、前記キャストフィルムの成分は前記キャストフィルムに紫外線放射を印加することにより硬化または重合され、前記キャストフィルムは振動する熱放射を前記キャストフィルムに印加することによりアニールされ、前記溶媒は前記キャストフィルムに熱放射、空気流、またはそれらの組み合わせを適用することにより、前記キャストフィルムから蒸発する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液中の前記磁性充填剤成分の濃度は、約0.01重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液中の前記単量体成分の濃度は、約1重量パーセント〜約100重量パーセントの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液粘度は約5センチポアズ〜約50000センチポアズの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基板はマイラー、アルミニウム、またはステンレス鋼である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記溶液は約4ミクロン〜約2540ミクロンの範囲の厚さで前記基板上に成型される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記キャストフィルムは約1ミクロン〜約500ミクロンの範囲の厚さにせん断される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電界は、約1KV/cm〜約25KV/cmの範囲の量で前記キャストフィルムに印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記磁界は少なくとも約1テスラの強度において前記キャストフィルムに印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記キャストフィルムに紫外線放射を印加することにより、キャストフィルム成分が硬化または重合される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記紫外線は約150ナノメートル〜約400ナノメートルの範囲の波長において前記キャストフィルムに印加される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記振動する熱放射の相対的な最高温度は約50℃〜約250℃の範囲であり、前記振動する熱勾配の最低温度は約5℃〜約40℃の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記方法ステップは装置を通り抜ける単一のパスにおいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
フィルムを製造するための方法であって、
(1)高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、
(2)前記キャストフィルムをせん断するステップと、
(3)前記キャストフィルムに電界、磁界、またはその両方を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、
(4)キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、
(5)前記キャストフィルムをアニールするステップと、
(6)前記キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記方法ステップは装置を通り抜ける単一のパスにおいて実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィルムを製造するための方法であって、
(i)高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、
(ii)前記キャストフィルムをせん断するステップと、
(iii)前記キャストフィルムをアニールするステップと、
(iv)前記キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
キャストフィルム成分を硬化または重合するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記キャストフィルムは、基板上に高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有する溶液を成型することにより生成され、前記キャストフィルムは前記キャストフィルムの表面をベルト基板に接触させることによりせん断され、前記キャストフィルムは前記キャストフィルムに振動する熱放射を印加することによりアニールされ、前記溶媒は前記キャストフィルムに熱放射、空気流、またはそれらの組み合わせを適用することにより、前記キャストフィルムから蒸発する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記キャストフィルムは、基板上に高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有する溶液を成型することにより生成され、前記キャストフィルムは前記キャストフィルムの表面をベルト基板に接触させることによりせん断され、前記キャストフィルムの成分は前記キャストフィルムに紫外線を印加することにより硬化または重合され、前記キャストフィルムは前記キャストフィルムに振動する熱放射を印加することによりアニールされ、前記溶媒は前記キャストフィルムに熱放射、空気流、またはそれらの組み合わせを適用することにより、前記キャストフィルムから蒸発する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
フィルムを製造するための方法であって、
(a)高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有するキャストフィルムを生成するステップと、
(b)前記キャストフィルムに電界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、
(c)前記キャストフィルムに磁界を印加することにより、キャストフィルム成分を整列させるステップと、
(d)キャストフィルム成分を硬化または重合するステップと、
(e)前記キャストフィルムをアニールするステップと、
(f)前記キャストフィルムから溶媒を蒸発させるステップと、を含む、方法。
【請求項24】
前記キャストフィルムは、基板上に高分子成分、単量体成分、ナノ粒子成分、磁性充填剤成分、またはそれらの組み合わせを有する溶液を成型することにより生成され、前記キャストフィルムの成分は前記キャストフィルムに紫外線放射を印加することにより硬化または重合され、前記キャストフィルムは前記キャストフィルムに振動する熱放射を印加することによりアニールされ、前記溶媒は前記キャストフィルムに熱放射、空気流、またはそれらの組み合わせを適用することにより、前記キャストフィルムから蒸発する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液中の前記磁性充填剤成分の濃度は、約0.01重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液中の前記単量体成分の濃度は、約1重量パーセント〜約100重量パーセントの範囲である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記溶液粘度は、約5センチポアズ〜約50000センチポアズの範囲である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記基板は、マイラー、アルミニウム、またはステンレス鋼である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記溶液は約4ミクロン〜約2540ミクロンの範囲の厚さで前記基板上に成型される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記電界は、約1KV/cm〜約25KV/cmの範囲の量で前記キャストフィルムに印加される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記磁界は少なくとも約1テスラの強度で前記キャストフィルムに印加される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記キャストフィルムに紫外線放射を印加することにより、キャストフィルム成分が硬化または重合される、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記紫外線放射は、約150ナノメートル〜約400ナノメートルの範囲の波長において前記キャストフィルムに印加される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記振動する熱放射の相対的な最高温度は約50℃〜約250℃の範囲であり、前記振動する熱勾配の最低温度は約5℃〜約40℃の範囲である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記方法ステップは装置を通り抜ける単一パスにおいて実行される、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533451(P2012−533451A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520750(P2012−520750)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/041992
【国際公開番号】WO2011/008870
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(505395700)ザ ユニバーシティ オブ アクロン (20)
【氏名又は名称原語表記】The University of Akron
【住所又は居所原語表記】302 E. Buchtel Common, Akron, OH 44325 U.S.A.
【Fターム(参考)】