説明

電磁場に対する組織の反応を測定する方法

本発明は、電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を測定する方法であって、i)前記身体の皮膚領域を、1以上の可逆性mnAChRアンタゴニストを含んでなる局所組成物で処理する工程と、ii)該処理された皮膚領域に測定装置を適用する工程と、iii)該測定装置によって、前記電磁場に対する反応に依存する少なくとも一つのパラメータを測定する工程を含んでなる方法;血中のグルコース含量をインビボで測定する方法、該方法に有用な局所組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を測定するための方法;身体、特に血中におけるグルコースレベルをインビボで測定するための方法;並びに前記方法に有用な局所組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
ヒトまたは動物の身体における生理学的パラメータの決定は、例えば前記身体の疾患または機能障害の診断を樹立すること、またはこれらを適切に治療することに関連する。この状況において、非侵襲的方法を樹立することが有利である。更に、特定の適用においては、測定結果を連続的に提供する方法を使用するのが有利である。このような測定結果を提供する種々の装置、例えばグルコースモニターまたは心臓機能モニターは、皮膚に装着されなければならない。かかる装置により得られる測定結果は、例えばi)皮膚の可変性、ii)水分喪失およびiii)可能な過敏性のため不完全である。
【0003】
特に関連のあるパラメータは血液のグルコース含量である。グルコースのインビトロ測定は当該分野において既知である。
【0004】
グルコースのインビボ測定方法は、例えばWO02/069791;WO2005/053526;WO2005/053523に記載されており、これら文書の内容を、本明細書の一部として援用する。これら方法は良好な結果を提供する;しかし、それらは長い測定時間および/または限定された信頼性の欠点を伴う。
【0005】
更に、WO04/093833は二面パッドを開示しており、経皮検知、送達またはモニター装置の特性を高めるために、その第一の面は洗浄剤を含んでおり、第二の面は水和剤を含んでいる。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明の目的は、既知の方法の欠点を克服した、生理学的パラメータのインビボ測定のための改善された方法を提供することである。
【0007】
これは請求項1に記載の方法によって達成される。本発明の更なる側面は、独立請求項および明細書に開示される。有利な実施形態は、従属請求項および明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】
【図2】
【発明の詳細な説明】
【0009】
以下において、本発明を更に詳細に説明する。本明細書中に提供/開示される種々の実施形態、選択、および範囲は自在に組み合わされてよいことが理解されるべきである。更に、特定の実施形態に応じて、選択された定義、実施形態または範囲は適用されなくてもよい。
【0010】
本発明に関しては、以下の定義が適用されるべきである。
【0011】
「電磁場」の用語は既知である。それは、例えば高周波電磁場(例えば1MHz〜10GHz)、1MHz未満の低周波電磁場(例えば60Hz)、紫外光、可視光および赤外光(0.2〜100μm)、並びにマイクロ波放射線を包含する。このような電磁場は、1以上の電磁場発生電極(低/高周波電磁場)によって、0.2〜100μmの範囲の光を放出する1以上の光源によって、または1以上のマイクロ波発生器によって発生される。
【0012】
「測定装置」の用語は、電磁場に反応する組織の少なくとも一つのパラメータを測定できる何れかの装置を言う。典型的には(しかし必ずではない)、該測定装置はまた電磁場をも発生する。
【0013】
「局所製剤」の用語は、皮膚に適用できる何れかの製剤を定義する。かかる製剤は当該分野において既知であり、(噴霧可能な)液体、クリーム、ゲルを包含するものである。
【0014】
筋肉のニコチンアセチルコリン受容体の可逆的アンタゴニスト(「mnAChRアンタゴニスト」)として作用する化合物が知られており、および/または標準の試験により同定され得る。かかる化合物の例には、式(I)の化合物のような天然および合成のトリペプチド、およびその塩、例えばジアセテート塩が含まれる。
【化1】

【0015】
第一の側面において、本発明は、電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を測定する方法であって、i)前記身体の皮膚領域を、1以上の可逆性mnAChRアンタゴニストを含んでなる局所組成物で処理する工程と、ii)該処理された皮膚領域に測定装置を適用する工程と、iii)該測定装置によって、前記電磁場に対する反応に依存する少なくとも一つのパラメータを測定する工程を含んでなる方法に関する。ヒトまたは動物の身体組織とは、前記身体の何れかの組織を意味する;皮膚および下地組織が好ましい。一般に予期されるように、皮膚は多くの組織、特に「皮膚」を形成する真皮および上皮から構成されている。従って、多くの組織の反応もまた開示された方法に包含される。疑義を回避するために、血液もまた本発明の内容における組織として考慮される。組織の反応とは、適用された電磁場が、組織において測定できる物理的プロセスに導く事実を意味する。例えば、印加された電磁場は少なくとも部分的に吸収され、散乱され、反射され、または位相シフトされ、或いは電流が誘導され、次いで測定することができる。皮膚領域の処理とは、1以上の可逆的mnAChRアンタゴニストを含有する有効量の局所組成物を皮膚に塗布することを意味する。適切な皮膚領域は、有利には1〜100cmのサイズを有する。また、ここに記載する方法については、2以上の領域を処理することも可能である。例えば、電磁場が印加される領域および反応が測定される領域が処理されてよい。このような処理は場合によって反復されてよい。例えば、皮膚は1日1回処理される。測定装置を適用するとは、測定装置が皮膚の反応を検出できるようにする工程を意味する。前記装置は皮膚と直接接触していてもよく、または例えば皮膚と測定装置の間に不活性物質を配置することによって、直接の皮膚接触から分離されてもよい。
【0016】
好ましい実施形態において、ここに記載する方法に使用される電磁場は、1以上の電極(電磁場発生電極)によって適用される。これらの電極は、1kHz〜10GHzの電磁場を発生させてよい。このような電磁場は、例えば電磁場を変化させることによって組織の反応を生じさせ、これは測定装置の電極(「測定電極」)によって測定される。電磁場が適用される場合、測定装置は前記反応を測定できる1以上の電極を含むであろう。電磁場発生電極および測定電極は、同一または別個の電極であってよい。有利には、前記1以上の電極は、上記で述べた処理された皮膚領域に適用される。「電極を処理された皮膚領域に適用する」工程は、電極および処理された皮膚領域を、電磁場を発生させることを可能にし、また該電磁場に対する組織の反応を測定することを可能にするように配置することを意味する。従って、上記で言及した電極は、皮膚に直接配置されてもよく、または例えば皮膚と電極の間に不活性物質を配置することによって直接の皮膚接触から離間されてもよい。
【0017】
更に好ましい実施形態において、ここで説明する方法で使用される電磁場は、UV光、可視光または赤外光の1以上によって適用される。波長が0.8〜100μmの光が好ましい。このスペクトル範囲において水は強い光吸収を与え、この理由で本発明の適用は特に有利である。前記処理された皮膚領域に前記光が入射する方法が好ましい。この実施例に関して適切な測定装置は、1以上の光検知センサを含んでなるものである。斯かるセンサは前記発光源の同じ側または反対側に配置されてよい。
【0018】
更なる有利な実施形態において、ここに記載する方法に使用される前記可逆的mnAChRアンタゴニストは、天然および合成のポリペプチドからなる群から選択され、特に式(I)の化合物である。トリペプチドの用語は、ペプチド部分[−N(R)−CO−;ここでのRは水素または(シクロ)アルキルを表す]によって結合された三つのアミノ酸からなるペプチドに関する。前記アミノ酸は、天然または合成であってよい。天然に存在するこれらトリペプチドは、「合成トリペプチド」とは対照的に「天然トリペプチド」と称される。本発明に関して使用される処方に応じて、トリペプチドまたはその薬学的に許容される塩(例えば酢酸塩)が使用されてよい。該トリペプチドは、1以上のキラル炭素原子を有してよい;即ち、トリペプチドのエナンチオマーおよびジアステレオマーが存在してよい。本発明の範囲内には、全ての可能な光学異性体が包含される。しかし、全ての不斉炭素原子上でSコンフィギュレーションを有するトリペプチドが好ましい。
【0019】
更に有利な実施形態において、上記で述べた局所組成物は、液剤、ゲル、またはクリームとして処方される。ゲル、クリーム、または液剤を製造するための適切な賦形剤は、当該技術分野において知られている。液剤の用語は、溶液および懸濁液を含むものである。
【0020】
更に有利な実施形態では、ヒトの身体がここに記載される方法の適用を受ける。
【0021】
更に有利な実施形態において、本発明は、電磁場に対する1以上の組織、特に血液の反応をインビボで測定するための方法に関する。
【0022】
第二の側面において、本発明は、血液中のグルコース含量をインビボで測定する方法であって、i)前記身体の皮膚領域を、1以上の可逆的mnAChRアンタゴニストを含んでなる局所組成物で処理する工程と、ii)該処理された皮膚領域に測定装置を適用する工程と、iii)前記測定装置によって、前記電磁場に対する反応に依存する少なくとも一つのパラメータを測定する工程と、iv)前記グルコース含量を決定する工程を含んでなる方法に関する。工程i)、ii)およびiii)については、電磁場に対するヒトまたは動物の身体反応を測定する方法(「第一の側面」)の関係において上記で既に述べた。従って、種々の好ましく且つ有利な実施形態は、この第二の側面にも同様に適用されてよい。工程iv)、即ち、グルコース含量の決定は、測定結果を検量曲線と比較することにより達成されてよい。
【0023】
第三の側面において、本発明は、10−1〜10−3重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%の可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物を含んでなる局所組成物に関する。驚くべきことに、斯かる局所組成物は、上記の方法において使用し得ることが見出された。斯かる局所組成物の使用は、電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を含む測定方法を顕著に改善する。従って、より迅速に且つより高い信頼性をもった結果が得られる。理論に拘泥するものではないが、式(I)の化合物のような可逆性mnAChRアンタゴニストは、有効な濃度で適用されたときに汗腺のダウンレギュレーションを生じ、従って電磁場に対する組織の反応を改善する。本発明者により、本発明に関連して使用されるべき適切な局所組成物は、以下の問題に対処するであろうことが見出された:i)少なくとも汗腺のダウンレギュレーション;ii)経皮的な水の流れ(TEWL)を任意に制御すること;iii)任意に皮膚を湿潤化すること。これらの目的は、ここに記載した局所組成物によって達成される。
【0024】
本発明に従う局所組成物は、閉塞剤(occlusive agents)、湿潤剤、柔軟剤および局所組成物に適した既知の賦形剤の類から選ばれる活性成分のような、更なる成分を含有してよい。以下に、適切な更なる成分に関する概観を提供する。
【0025】
閉塞剤は、S.C.からの水の蒸発を防止することによりTEWLを減少させる疎水性物質である。閉塞剤はまた、皮膚の脂質障壁層の修復を補助してもよい。閉塞剤は、当該技術分野において知られており、脂質およびワセリンが含まれる。ワセリンがTEWLを低下させ得るのに対して、脂質は、皮膚または皮膚の特定組織の水分含量を保持するのを補助し得る。
【0026】
湿潤剤は、水を皮膚に引き寄せる物質である。典型的には、水はより深い真皮から、希には環境から引き寄せられる。湿潤剤は当該技術分野において知られており、グリセロール、パーテノール(pahtehnol)、乳酸アンモニウム、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシカルボン酸(特に乳酸およびその塩、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸の単独または組合せ)、一群の天然保湿因子(「NMF」;特に尿素、ピロリドンカルボン酸、乳酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、リン酸塩、アミノ酸、アンモニア、尿酸の単独または組合せ)が含まれる。驚くべきことに、一定量の天然保湿因子(NMF)、例えば、乳酸塩、クエン酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、アミノ酸、アンモニア、尿酸の単独または組合せの添加は、上記で述べた局所組成物の性質を改善することが見出された。
【0027】
柔軟剤は、皮膚または粘膜を柔らかく、または滑らかにする効果を持った物質である。柔軟剤は当該技術分野において知られており、シリコーン、トリグリセリド(特に必須脂肪酸、ワックスおよび蝋物質、脂肪アルコール、ステロール)、飽和および不飽和の炭化水素(特にパラフィンおよびワックス)が含まれる。
【0028】
賦形剤は、上記で述べた局所組成物のためのキャリア、充填剤などとしてとして使用される不活性物質である。適切な賦形剤は当該技術分野において知られており、当業者によって選択されることができる。
【0029】
好ましい追加の成分について以下に述べる:
驚くべきことに、一定量の尿素の添加はこの効果を更に改善することが見出された。これは、水と、皮膚組織の水含量を安定化させる尿素との間の相互作用に関連しているかも知れない。事実、可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば、式(I)の化合物および尿素は相互に積極的に影響し合い、相乗効果を与える。従って、好ましい実施形態において、本発明はまた、10−1〜10−3重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%の可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物と、有効量の尿素、例えば0.1〜10重量%の尿素を含んでなる局所組成物に関する。
【0030】
驚くべきことに、一定量のヒアルロン酸の添加がこの効果を更に改善することも見出された。この効果は、ヒアルロン酸の水結合特性に関連しているかも知れない。ヒアルロン酸は皮膚を貫通しないと考えられるが、それはTESLを減少させて皮膚の水和を増大させる。事実、可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物およびヒアルロン酸は互いに積極的に影響し合い、相乗効果を提供する。従って、好ましい実施形態において、本発明はまた、10−1〜10−3重量%の可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物と、有効量のヒアルロン酸、例えば0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%ヒアルロン酸を含んでなる局所組成物に関する。
【0031】
更にまた、驚くべきことに、一定量のグリセロールの添加がこの効果を更に改善することが見出された。事実、可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物およびグリセロールは互いに積極的に影響し合って、相乗効果を提供する。従って、好ましい実施形態において、本発明はまた、10−1〜10−3重量%の可逆性mnAChRアンタゴニスト、例えば式(I)の化合物と、有効量のグリセロール、例えば30重量%未満、好ましくは20重量%未満、例えば2〜3重量%のグリセロールを含んでなる局所組成物に関する。
【0032】
本発明はまた、更なる実施形態において、医薬溶液、ゲルまたはクリームとして処方されるここで述べた局所組成物に関する。粘度は、殆ど個体(口紅に匹敵する)から希薄な流体(噴霧可能な溶液に匹敵する)までの広い範囲で変化し得る。このような製剤は、局所塗布に適している。ゲルおよびクレームは、低いアレルギー能、良好な吸収および高い水和効果のため有利であると思われる。
【0033】
本発明はまた、更なる実施形態において、ここで述べた局所組成物の製造に関する。斯かる製剤は、既知の賦形剤、例えば上記で述べた成分を使用して、既知の手順に従って製造されてよい。従って、ここで述べる局所製剤は、先ず既知の手順に従ってo/wまたはw/oエマルジョンを調製し(例えば、有利には60〜80℃の温度で全ての親油性成分および全ての親水性成分を別々に混合し、次いで撹拌しながら親水性層を親油性層に添加する)、次いで、任意に適切な希釈剤中に溶解した1以上のmnAChRアンタゴニストおよび任意に更なる成分を、有利には0℃〜45℃、例えば35℃の温度で上記エマルジョンに添加する。更なる詳細は実施例に記載される。
【0034】
ここに記載した局所製剤は、チューブまたはディスペンサーのような標準的なパッケージで消費者に供給される。しかし、上記で述べた測定方法について最良の結果を得るために、特別に適合された塗布装置を提供するのが有利であることが分かった。従って、本発明はまた、更なる実施形態において、ここで述べた局所組成物の塗布に特に適合された塗布装置に関する。このような塗布装置には、単一のサシェーおよびブリスター様のパッケージが含まれる。有利な実施形態において、該塗布装置は二つのコンパートメントを含んでおり、一方にはここで述べた局所組成物が含まれ、他方にはクレンジング組成物が含まれる。斯かる装置は、予め定義された量の製剤が皮膚に塗布されるので有利であると思われる。従って、これらコンパートメントは、各々0.5〜5mLの容量を収容するように有利に適合される。
【0035】
一実施形態において、これらのコンパートメントは並べて配置され、各コンパートメントが開放のための手段を有している。図1aは斯かる塗布装置(1)の一例を示しており、クレンジング製剤および局所製剤のためのコンパートメント(2、2’)、並びに開放装置(3)を備えている。
【0036】
別の実施形態において、二つのコンパートメントは対面して配置され、各コンパートメントが開放のための手段を有している。図1bはこのような塗布装置(1)の一例を示しており、中央シート(4)および開放装置(3)によって分離された、クレンジング製剤および局所製剤のためのコンパートメント(2、2’)を備えている。
【0037】
適切なクレンジング組成物は、皮膚を洗浄するための当該分野で知られた何れかの組成物である。典型的には、斯かる製剤は、エタノールまたはイソプロパノールのような1以上のアルコール、任意の水および任意の香料を含んでいる。典型的には、斯かる組成物は液剤として処方される。
【0038】
第四の側面において、本発明は、電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を測定するための装置、または血液中のグルコース含量をインビボで測定する方法における、ここに記載した局所組成物の使用に関する。
【0039】
本発明は、WO2002/069791、WO2005/053526、またはWO2005/053523に記載されたタイプの装置および方法を用いた応用に特に適している。グルコースの測定とは別に、本発明はまた、他のタイプの測定においても有利に使用することができる。特に、それは湿度測定のような、組織の電気インピーダンスを測定する何れかのタイプの測定のために使用することができる。言及したように、それはまた光学的測定、例えば、少なくとも一部は光の吸収または反射の測定に基づくグルコース測定または熱パルス測定のために使用することもできる。グルコースの測定のための本発明の適用は、身体が低血糖状態にあるときに、従来の光学的または電気的測定の精度は過剰な発汗により生じる劣化を受けるので特に有利である。従って、本発明は、低血糖状態および非低血糖状態にある身体中のグルコース含量をインビボで測定するための方法に関する。本発明による方法は、mnAChRアンタゴニストは、処理された皮膚領域において斯かる発汗を防止または減少させると信じられているので、特に適している。
【0040】
有利には、ここに記載したmnAChRアンタゴニストは経皮的に適用される。
【0041】
以下の実施例は、本発明を更に例示するために与えられる。これらの実施例はここに記載される発明を限定することを意図するものではない。
【0042】
実施例1:[局所組成物の製造:クリーム]
1.1 一般的手順:最初に、全ての親油性物質(番号1〜3)および全ての親水性物質(番号4、5)を別々に合体し、混合し、60〜80℃に加熱して、二つの均一な相を得る。その後、撹拌下に、水(親水性)相を親油性相の中に投入してエマルジョンを得る。該エマルジョンを約35℃に冷却し、精油、活性成分(mnAChRアンタゴニストを含む)および保存剤(番号6〜8)のような追加の物質を撹拌しながら前記エマルジョンの中に添加する。o/wクリームのための基本的な処方を下記に提示する:
【表1】

【0043】
1.2 乾燥皮膚に適したW/oクリーム:成分A〜Dを80℃のウオーターバス中で溶融させることにより、軟質クリームを得た。成分Eは、別途ウオーターバス中で溶融し、次いで成分A〜Dの混合物中に投入する。成分FをGの中に溶解し、90℃に加熱する。成分H、I、KおよびLは、この水相(F+G)に加える。最後に、この水相を親油性相に加えて乳化する。得られたクリームをアルミニウム製チューブの中に充填し、2〜8℃で冷蔵庫の中に保存する。
【表2】

【0044】
1.3 o/wクリーム:成分AおよびBを55〜60℃で溶融させ、次いで成分CおよびDを添加する。成分Eを7.5mLのFの中に溶解させる(溶液1)。Fの残りの部分を加え、5分間震盪させて均一な相にする。全ての相を徐々に25℃に冷却し、その後に溶液1を加え、次いで水を加えて均一化する。最後に、成分Fを加え、更に均一化する。
【表3】

【0045】
1.4 o/wクリーム:成分A〜Hを65℃で溶融および均一化する。次いで成分J、K、L、MおよびNをIに添加し、撹拌および70℃に加熱しながら溶解させる。こうして得た水相を、撹拌しながら上記で調製した親油性相に加える。得られたエマルジョンを35℃に冷却し、成分N、O、Pを加える。
【表4】

【0046】
1.5 ゲル:成分A〜Hを50℃で混合し、次いで成分Iを徐々に加え、得られた組成物を室温にまで冷却し、成分Jを加える。
【表5】

【0047】
1.6 クリーム:成分F〜Jを溶融させ、65℃で均一化する。成分A〜DをEに加え、撹拌および70℃への加熱の下に溶解させる。こうして得られた水相を、撹拌しながら上記で調製した親油性相に加える。得られたエマルジョンを35℃に冷却し、成分Kを加える。
【表6】

【0048】
実施例2:[実施例1による局所組成物を使用したインピーダンススペクトルの測定]
差動センサ特徴をもった幅200μmおよび4mmの二つの電極を用いて、インピーダンスを測定する。これら電極はハードウエアにより駆動されて、種々の周波数でマグニチュード(magnitude)および位相を測定することを可能にする。このような装置は知られており、例えばWO2005/120332、WO2007/053963に開示されている。2MHz(上)および150kHz(下)での結果が図2に示されており、ここでの点線はここに記載した組成物を用いた測定を示すのに対して、直線は未処理の比較測定を示す。これらの結果は、ここに記載した組成物の安定化効果を明瞭に証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁場に対するヒトまたは動物の身体組織の反応を測定する方法であって、i)前記身体の皮膚領域を、1以上の可逆性mnAChRアンタゴニストを含んでなる局所組成物で処理する工程と、ii)該処理された皮膚領域に測定装置を適用する工程と、iii)該測定装置によって、前記電磁場に対する反応に依存する少なくとも一つのパラメータを測定する工程を含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電磁場は電極によって、特に前記処理された皮膚領域に適用される電極によって印加される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記電磁場は可視光または赤外光、特に0.8〜100μmの波長の光を放出する光源によって適用され、また特に前記光は前記処理された皮膚領域に入射される方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、前記mnAChRアンタゴニストが天然および合成のトリペプチドからなる群、特に式(I)の化合物およびその塩、例えば二酢酸塩から選択される方法。
【化1】

【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の方法であって、前記局所組成物が液体、ゲルまたはクリームである方法。
【請求項6】
血液中のグルコース含量をインビボで測定する方法であって、i)前記身体の皮膚領域を、1以上の可逆的mnAChRアンタゴニストを含んでなる局所組成物で処理する工程と、ii)該処理された皮膚領域に測定装置を適用する工程と、iii)前記測定装置によって、前記電磁場に対する反応に依存する少なくとも一つのパラメータを測定する工程と、iv)前記グルコース含量を決定する工程を含んでなる方法
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記電磁場が電極によって印加され、特に、前記電磁場は1MHz〜10GHzの範囲の周波数を有するAC電磁場である方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記電磁場がUV光、可視光または赤外光、特に波長0.2〜100μm、中でも波長0.8μmを超える光を放出する光源によって印加される方法。
【請求項9】
請求項6〜8の何れか1項に記載の方法であって、前記mnAChRアンタゴニストが点々および合成のトリペプチド;特に請求項4に定義した式(I)の化合物からなる群から選択される方法。
【請求項10】
請求項6〜9の何れか1項に記載の方法であって、前記局所組成物が液体、ゲルまたはクリームである方法。
【請求項11】
特に天然および合成のトリペプチドから選ばれる10−1〜10−3重量%の1以上のmnAChRアンタゴニストと;任意に一以上の閉塞剤と;任意に一以上の湿潤剤と;任意に1以上の柔軟剤を含んでなる局所組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の局所組成物であって、10−1〜10−3重量%の1以上の請求項4で定義した式(I)の化合物と;任意に10重量%以下の尿素と;任意に10重量%以下のヒアルロン酸と;任意に30重量%以下のグリセロールを含んでなる局所組成物。
【請求項13】
請求項11または12に記載の局所組成物であって、溶液、ゲルまたはクリームの形態である局所組成物。
【請求項14】
二つの区画を含む単一のサシェーであって、一つの区画は請求項10〜12の何れか1項に記載の局所組成物を含み、他の区画は洗浄剤組成物を含むサシェー。
【請求項15】
請求項1〜10の何れか1項に記載の方法における、請求項11〜13の何れか1項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−531160(P2010−531160A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512478(P2010−512478)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000305
【国際公開番号】WO2008/154753
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506176799)ソリアニス・ホールディング・アーゲー (8)
【氏名又は名称原語表記】Solianis Holding AG
【住所又は居所原語表記】c/o Ernst & Young AG Bundesplatz 1  CH−6301 Zug Switzerland
【Fターム(参考)】