説明

電磁波による鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査装置及び方法

【課題】 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物のクラック、空洞等からの反射波信号をより確実に検出する。
【解決手段】 内部に鉄筋9が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物6の表面上の複数位置に移動可能な検査装置本体1と、検査装置本体に搭載され、鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射手段2と、検査装置本体に搭載され、前記電磁波照射装置から照射された電磁波の反射波信号を取得する受波手段3と、受波手段によって取得された反射波信号を信号処理することによって鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理手段4とを有し、受波手段は、検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得し、信号処理手段は、前記受波手段によって取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物を電磁波により非破壊検査する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート構造物の劣化による事故が多発する中、これらの早急な検査及び補修が叫ばれている。このようなコンクリート構造物には、トンネル壁のように基本的には鉄筋が含まれない構造物と、ビルディング、橋梁を始めとする鉄筋コンクリート構造物がある。これらに対する非破壊検査手法としては、打音法、超音波法、電磁波レーダ法、レーザ法、赤外線法など各種の手法が研究開発されて来てはいるが、それぞれ得失があり、いまだ安心して使えるものはない。
【0003】
また、レーダ(電磁波)を使用した非破壊検査手法も研究開発されて来ている。レーダは稼働性が良いという利点がある。ただ、従来の濃淡画像方式では、レーダ受信信号の濃淡画像を目視でみて異常の有無を判断するという方式であり、信頼度、精度が共に低く、推奨できない。
【0004】
従来方式である濃淡画像を用いた非破壊検査について説明する。濃淡画像とは、電磁波レーダで走査する際、一定距離ごとに電磁波パルスの送受信が行われるが、各ポイントにおいて得られた受信信号を整流した全波整流波形に応じて深度方向、走査方向に2次元的に濃淡をつけた画像である。そして、この濃淡画像を検査員が目視で観察することにより、コンクリート内部の異常を推測・診断するものである。参考のため、図27に深度80mm及び150mmの2層にわたって直径15.9mmの鉄筋が格子状に配筋されている鉄筋コンクリートに対し,隣り合う鉄筋の中央を通って、他の直交する鉄筋に交差するようレーダを走査したときの濃淡画像を示す。図のほぼ中央に現れる(上に凸の) 円弧状のパターンが、上部の交差鉄筋からの反射波によるものである。このパターンは、電磁波レーダと交差鉄筋との距離が近ければ、鉄筋からの反射波の到達時刻が早く、かつ反射波の振幅が大きいが、距離が遠ざかるにつれて到達時刻が遅れ、かつ振幅が小さくなるために生じるものである。また、これらの円弧状の画像の間で深度の深い箇所に、上に凸の薄い円弧状の画像が現れるが、これは下部の交差鉄筋からの反射波によるものである。このように、鉄筋コンクリートにおいては、鉄筋からの反射波が極めて大きいことがわかる。従って、クラック等が内部にあっても、これらからの反射波は鉄筋からの反射波に比べて小さく、濃淡画像からクラックを検知することは極めて困難である。
【0005】
特許文献1には、本発明の従来技術である、電磁波を用いた鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査技術が記載されている。測定された反射波の極値などを健全データと比較することにより鉄筋周辺のクラックを検出するものである。また、特許文献2にも同様に、本発明の従来技術が記載されている。実際の受波信号と予測受波信号波形とをパターンマッチングすることによりコンクリート構造物を非破壊検査するものである。
【特許文献1】特開2005−331404号公報
【特許文献2】特開2003−207463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物を電磁波により非破壊検査するにあたって、簡単な手法で鉄筋からの反射波信号を低減し、欠陥(クラック、空洞等)からの反射波信号をより確実に検出できる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は以下の構成になっている。
【0008】
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上の複数位置に移動可能な検査装置本体と、前記検査装置本体に搭載され、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記検査装置本体に搭載され、前記電磁波照射手段から照射された電磁波の反射波信号を取得する受波手段と、前記受波手段によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理手段と、を有する鉄筋コンクリート構造物検査装置であって、前記受波手段は、前記検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得し、前記信号処理手段は、前記受波手段によって取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出することを特徴とする。
【0009】
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上の複数位置に検査装置本体を移動させる検査装置本体移動工程と、前記検査装置本体に搭載された電磁波照射手段により、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射工程と、前記電磁波照射工程で照射された電磁波の反射波信号を、前記検査装置本体に搭載された受波手段により取得する工程であって、前記検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得する受波工程と、前記受波工程によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する工程であって、取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理工程と、を有する。
【0010】
また、以下の実施態様を有する。
【0011】
前記検査装置本体の移動範囲は、交差鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記交差鉄筋と隣接する次の交差鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間であり、前記信号処理手段(工程)は、前記移動範囲内での位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋コンクリートの欠陥を検出することを特徴とする。
【0012】
前記加算又は平均された反射波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号と、クラックからのクラック反射波信号との和で表現され、前記信号処理手段(工程)は、前記複数の反射波信号、及び、前記クラック反射波信号の各成分を抽出・解析することにより、クラックを検出することを特徴とする。
【0013】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、少なくとも、前記鉄筋コンクリート構造物の表面からの反射波である表面反射波信号、及び、前記鉄筋コンクリート構造物の底面からの反射波である底面反射波信号を含むことを特徴とする。
【0014】
前記鉄筋コンクリート構造物は表面に1つ以上の表面層を有しており、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記1つ以上の表面層の各底面からの反射波である表面層底面反射波信号を含むことを特徴とする。前記表面層としては、アスファルト面などがある。
【0015】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記検査装置本体の移動方向に平行な鉄筋からの反射波である平行鉄筋反射波信号を含むことを特徴とする。
【0016】
前記表面反射波信号は、走査方向に平行な鉄筋からの反射波信号及び欠陥からの反射波信号が現れない正常箇所の表面を走査したときの反射波信号の平均値で近似されることを特徴とする。
【0017】
前記欠陥は、クラック、空洞、又は底面形状の欠陥である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記構成を採用したことにより、簡単な手法で鉄筋からの反射波信号を低減し、欠陥(クラック、空洞等)からの反射波信号をより確実に検出できる。送受波位置を変えると交差鉄筋からの反射波信号の到達時間が変わるので、送受波位置が異なる交差鉄筋からの反射波信号はそれぞれ位相が相違している。一方、クラック等の欠陥は、比較的同じ深さに広がっていることが多く、送受波位置を変えても反射波信号の位相はほとんど変化しない。本発明者は、位置の異なる複数の反射波信号を単純に加算(平均)することで、交差鉄筋からの反射波信号成分を相殺することができ、クラック等の欠陥からの信号は強調されることを見出した。信号を単純に加算するだけで良いので、簡単な信号処理で済み、装置を簡略化できるとともに検査スピードも向上する。また、走査範囲を、交差鉄筋の真上から、隣接する交差鉄筋との中間部の真上との間にすることにより、より確実に交差鉄筋からの反射波信号を相殺することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の装置の概略図である。検査装置本体1に、電磁波照射手段2と受波手段3が搭載されている。検査装置本体1は、鉄筋コンクリート構造物6の表面上を移動するようになっている。鉄筋コンクリート構造物6の表面にはアスファルト7があり、その下にコンクリート8がある。また、コンクリート8には、周期的に鉄筋9が埋め込まれている。検査装置本体1の移動にともなって電磁波照射手段2と受波手段3を駆動して、それぞれ異なる位置からの反射波信号を取得する。信号処理手段4は、取得した異なる位置からの反射波信号を加算(平均)処理し、クラック等の欠陥からの信号を検出して、検出結果を表示手段5で表示する。
【0020】
鉄筋コンクリートに対し、電磁波レーダの送信器から電磁波を発射すると、正常箇所では図2のように,受信器にはコンクリート表面、交差鉄筋及び底面からの3つの反射波が重畳したものが観測される。図2には1層鉄筋の場合の断面を示すが、2層鉄筋の場合には、2層目(下部層) の交差鉄筋からの弱い反射波も加わる。従って、鉄筋コンクリートのように、数多くの鉄筋が1層あるいは2層にわたって格子状に配筋されているような場合には、クラックからの小さな反射波は鉄筋からの大きな反射波に埋もれてしまい、濃淡画像の目視でクラックを検出するのは困難である。そこで、ここでは、交差鉄筋からの反射波を効果的に除去するための前処理について述べる。いま,レーダを隣り合う鉄筋の中央部分を通って他の直交する交差鉄筋と直交交差するように走査すれば、レーダと交差する交差鉄筋との距離が変わるため、交差鉄筋からの反射波の到達時間が走査距離に応じて変化する。従って、電磁波レーダの基本反射波形が紡錘型振動波形であることを考慮すれば、適切な区間の受信信号を平均処理すると、位相のシフトした多くの交差鉄筋からの反射波を加えることになり、交差鉄筋からの反射波の影響を低減化できる。もちろん、コンクリート表面及び底面からの反射波はそれぞれ平均しても消えることはないから、受信信号を平均化することにより、これら2つの反射波を加えたものが受信信号として残る訳である。従って、もし表面にある程度平行なクラックが内部にあれば、このクラックからの反射波も平均処理により消えることはないから、先の2つの反射波に加わる。よって、この平均波形に、信号伝播モデルによる非破壊検査法を適用すれば、クラック位置及びクラック深度が正確に検出されることになる。なお、平均化する区間であるが、交差鉄筋の真上から次の交差鉄筋との中央までを単位とすればよい。
【0021】
交差鉄筋からの反射波の除去について、確認のため、シミュレーションを行ってみる。いま、表面から80mmの深度の直径20mmの鉄筋に垂直に電磁波レーダを走査させた場合を考える。なお,ここでは,コンクリート表面からの反射波(以下,表面波と呼称) 及び交差鉄筋からの基本反射波形として、実験により得た図3及び図4の波形を使用した。また、交差鉄筋からの反射波の強度及び伝播時間としては、発明者が先に導いた信号伝播モデルによるものを充てた(特願2006−132996)。参考のため、交差鉄筋の真上(x = 0mm) 及び交差鉄筋から60mm、120mm 離れた位置に電磁波レーダの中心を置いたときの受信信号波形を示したシミュレーション波形が図5である。表面波の後半の部分で受信信号波形が大きく変わっていることがわかる。いま、交差鉄筋の真上(x = 0mm) からx =125mmの区間の受信信号波形を平均した波形を求めると、図6の破線のようになった。図には表面波も(実線で) 合わせて描いているが、両者は酷似しており、本実施形態により交差鉄筋からの反射波が効果的に除去できることがわかる。参考のため、x = 0mm、x = 60mmにおける受信信号及び上記の平均波形から表面波を差し引いてみると図7のようになり、平均波形は、平均値処理を行わない(x =0mm及び60mmの) 受信信号に比べ、交差鉄筋からの反射波の影響を大幅に抑えることができている。
【0022】
ここでは、コンクリート表面にほぼ平行なクラックが生じていると仮定して、受信信号のモデル化を行う。いま、コンクリート表面からの反射波形をr0(t)、クラックなど媒質境界面からの基本反射波形をr(t)で表すことにすれば、平均波形rave(t)は次式でモデル化できる。
【0023】
【数1】

ただし,ai(i = 0,
1, 2)はそれぞれ表面、クラック、底面からの反射波の一次結合係数を、またTi(i = 0,
1, 2)はそれら反射波の伝播時間を表す。ここで、表面波の一次結合係数a0及び伝播時間T0 は実験により予め求めることができるので、既知とできる。従って、求めるべき未知パラメータは{a1, a2, T1, T2}となるが、これらは次の評価関数を最小化することにより求められる。
【0024】
【数2】

ここで、rave(t)は実際に求められた平均波形である。つまり、実際の平均波形rave(t)とモデル波形r*(t)のパターンマッチング角を最小にするパラメータ{a1, a2, T1, T2} を求めることにより、クラックの深度を求めようとするものである。なお、(数2)式において、最適なa1, a2 はrave(t) -a0r0(t-T0)をr(t
- T1), r(t - T2)で張られる空間に直交射影することにより,任意のT1, T2 に対して解析解
【0025】
【数3】

が得られるので、(数2)式の最小化はT1, T2に対してのみ数値的に行えばよい。なお、(数3)式のr1,r2はr1 = r(t - T1),r2 = r(t - T2) の意である。なお,(・,・) 及び||・||はそれぞれヒルベルト空間の内積及びノルム記号である。上記の最適化により{a*1, a*2 , T*1 , T*2} が得られれば、a*1の大きさを見ることにより、クラックの有無を判断することができる。つまり、a*1はクラックからの反射波の大きさを表すことになるので、(1)a*1 が小さな値であれば、底面以外からの反射波は生じていない(つまり,正常)ことになるが、(2)大きな値であれば、クラックがあり、かつ、そのときの伝播時間T*1によってクラックの深度L*= [(T*1 - T0)/2]Vが求まることになる。なお、V (=c/√ε) (c:光速,ε:比誘電率) はコンクリート中の電磁波速度を表す。
【0026】
従って,適当ないき値γを設け、a*1<γであれば正常と判定し(このときのコンクリート構造物の厚みは[(T*2 - T0)/2]V )、a*1>γ であれば、異常と判定し,このときのクラックの深度及びコンクリートの厚みはそれぞれ[(T*1 - T0)/2]V 、[(T*2 - T0)/2]Vにより求まる。
【0027】
以上、クラックが1 個の場合について述べたが、クラックが2 個以上ある場合、あるいは空洞がある場合も、反射波の数を増やすことにより、上記の検査システムは容易に拡張可能である。つまり、クラックが2 個ある場合は反射波の数をひとつ、空洞が1 個ある場合は空洞底面からの反射波の分ひとつを増やせばよい。
【実施例】
【0028】
以下に実験結果を示す。
【0029】
[実施例1] アスファルトを剥がした床版の場合
ここでは、鉄筋コンクリート構造物のひとつとして、高速道路床版を考える。そして、まず、高速道路床版を切り出し、その後、表面のアスファルト部分を剥がした試験体を考えてみた。試験体の概略図を図8に示す。本試験体は高速道路床版であるが、アスファルトを剥がしているため、ビルディングの鉄筋コンクリートと見立てることもできる。試験体の厚みは180mmであるが、鉄筋径がいずれも15.9mmの上下2層の格子状鉄筋が配筋されている。なお、第1層目及び第2層目の鉄筋の深度はそれぞれ約70mm及び140mmである。
【0030】
図中のy軸方向は車輌の進行する方向を、x軸方向はそれに直交する方向を表すが、第1層目の鉄筋のピッチはy軸及びx軸方向でそれぞれ約250mm,320mmである。一方、第2層目の鉄筋のピッチは、y軸及びx軸方向でそれぞれ約125mm,160mmである。つまり、第2層目の鉄筋のピッチが第1 層目の半分の間隔に(つまり,密に)なっている。更に、第2層目においては,同図(b)に示すように、ところどころ強度を高めるため2 本の鉄筋が束ねて配置されている箇所もある(同図(a)
には,第1層目の鉄筋配置のみを示している)。
【0031】
上記の試験体に対し,y軸方向の隣り合う鉄筋の中央を通って、x軸方向にある交差鉄筋と直交するようにx 軸方向に[0mm,950mm] の区間を電磁波レーダにより走査したときの(従来の)B モード濃淡画像を図9に示す。図より、円弧状の濃い濃淡画像がそれぞれ150mm,480mm,800mmの3箇所に現れるが、これらは第1層目の交差鉄筋によるものであることは明らかである。これらの円弧状の濃淡画像の間に、極めて薄い他の円弧状の濃淡画像が下の方におぼろげながら見えているが、これらは第2 層目の交差鉄筋による反射波を表している。従来の濃淡画像目視方式では、高々これ位までのことしかわからず、コンクリート中にクラック等の異常があるのか否かの判断は困難である。
【0032】
次に、本論の方式で交差鉄筋からの反射波の影響を除去するため、検査区間全体[0mm,950mm]を、(交差鉄筋の真上から隣接する交差鉄筋の中央までを1区間とする)6つの区間S1〜S6に分割し、各区間で受信信号の平均波形を求め、各平均波形に対し提案手法を適用した。その際、クラックからの基本反射波形としては図10に示すものを使用した。また、コンクリート表面からの反射波である表面反射波としては、交差鉄筋と直交交差走査したときの電磁波レーダ受信信号を平均したものを近似解として用いた。この結果、クラックからの反射波の一次結合係数a*1は図11に示すようになった。なお、各区間の中央の箇所に係数a*1を代表させて示している。今、いき値をγ= 0.05としたため、図よりS1からS4までは異常、S5,S6の区間では正常と判定できた。そして異常と判定した区間S1〜S4では、T*1 ,T*2 よりクラック位置と底面位置を、また正常と判定した区間S5とS6ではT*2より底面位置を求めた結果、図12に示すようになった。なお、図で□印及び*印で示すのが、それぞれクラック及び床版底面の位置(つまり、深度)である。なお、コンクリートの比誘電率としては、一般的なコンクリートに対して用いられる8を採用した。
【0033】
図より,本実施例により計測された床版の厚みはほぼ180mmとなっており、実際の値とほとんど一致することがわかる。また、S1からS4の区間に深度が48mmから76mmにわたって傾斜クラックが生じていることがわかる。これらの診断結果を検証するため、区間S2とS3の境界付近でコアリングを行った。このときのコアリング穴内部の写真を図13に示すが、コアリングにより実際に観察したクラックは傾斜を有しており、しかもクラックの深度は55mmから70mm程度にわたっていた。よって、本実施例ではかなり高精度にクラックの位置及び深度が計測できていることがわかる。
【0034】
参考のため,異常箇所S2及び正常箇所S6における平均処理後の受信信号波形及び提案手法による(モデルに基づく) 最適予測波形を図14及び図15に示すが、いずれの箇所も、2つの波形はよく類似しており、本実施例手法の合理性が確認できる。
【0035】
[実施例2] アスファルトを剥がしていない床版の場合
次に、アスファルトを剥がす前の状態で高速道路床版試験体に対し実験を行ってみた。つまり、実質的に高速道路のままの床版について検査実験をしてみた。これは、アスファルトを剥がさない状態でも、高速道路床版の異常診断が的確に行えるか否かをみるためである。試験体及び実験の概略図を図16に示す。走査ラインは実施例1と同一である。
【0036】
参考のため、図17にこのときの濃淡画像を示すが、アスファルトの厚さが50mmあるため、交差鉄筋からの反射波による円弧状のパターンが深度の深い方へ後退しているだけでなく、画像が前のときよりも薄くなっている。このときのレーダ受信信号に対し、実施例1と同様に走査範囲をS1からS6の6区間に分割した。そして各区間において受信信号の平均化を行い、本実施例方式を適用した。
【0037】
参考のため、このときの区間S1に対する平均波形を図18に示すが、受信信号の最初の部分から、波形がアスファルトを剥がした場合の波形(図14、図15)と異なることがわかる。これは、アスファルトとコンクリートの境界面からの反射波が新たに受信信号に加わっているためである。このことから、アスファルトを剥がさない状態における床版の異常診断に際しては、もしクラックがあれば、表面、クラック、底面からの3つの反射波に、新たにアスファルトとコンクリートの境界面からの反射波を考えた4反射波モデルを採用しなければならないことがわかる。
【0038】
従って、このアスファルト付き高速道路床版試験体に対し、4反射波モデルを用いて、まず表面波、(アスファルトと鉄筋コンクリートの)境界面、クラック及び底面の反射波の一次結合係数a*0,a*1,a*2,a*3及び伝播時間T*1 ,T*2 ,T*3を求めた(T*0は既知)。このときの区間S1からS6に対するクラックからの反射波の一次結合係数a*2を示したのが図19である。実施例1と同じいき値γ=0.05を採用すれば、S1からS4の範囲では(クラックからの反射波の一次結合係数) a*2がいき値よりも大きくなっていることから、これらの4 つの区間においてはクラックが生じていることがわかる。そして、この区間に対してはT*1 ,T*2 ,T*3よりそれぞれアスファルトの厚み、クラック及び底面の位置を求め、また残りの区間S5, S6に対してはa*2がいき値より小さくなったため正常と判定し、この区間に対してはT*1 ,T*3よりアスファルトの厚み及び底面の位置を求めた結果、図20のようになった。なお、図中の△印はアスファルトとコンクリートの境界面の位置を、□印及び*印は実施例1と同様、それぞれクラック及び床版底面の位置を示す。なお、ここではアスファルト及びコンクリートの比誘電率としてそれぞれ標準的な5及び8を採用した。
【0039】
図より、アスファルトの厚さがほとんど誤差なく高精度に測れているだけでなく、アスファルトを剥がさなくてもクラック位置・深度が高精度に検出できていることがわかる(参考のため、アスファルトを剥がさない場合と剥がした場合とでクラック深度の計測値の差を求めると、最大で4.5mm)。ただ、底面の深度が実測値230mmより若干浅めに測れているが、これはこの深度が本実験で使用した電磁波レーダの探査深度の限界付近であるためである。このことから、アスファルトを剥がさずに、底面の位置までより正確な計測・診断を行うためには、もう少し探査深度の大きい(つまり,パワーの大きい)電磁波レーダを使用する必要があることがわかる。
【0040】
とにかく、アスファルトを張った状態での高速道路床版試験体に対する非破壊検査結果は、アスファルトを剥がした試験体とほとんど同程度の高精度な検査結果となることがわかった。
【0041】
なお、比誘電率などの物性値はここでは便宜上標準的な値を用いたが、これでも十分な精度の計測結果が得られている。現地で更に信頼度のある計測値を得ようと思えば、コアリングして解析をするか、あるいは鉄筋からの反射波を利用して比誘電率を計測することなどが考えられる。
【0042】
実施例1及び2では、電磁波レーダの走査に際して理想的な場合を、つまり走査ラインとして2本の隣接する鉄筋の中央を通って他の直交する交差鉄筋方向へ走査した場合を考えたが、現場での検査においては、当然、走査ラインに関する制約ができるだけ少ないことが望まれる。そこで、以下は、実施例1及び2とは異なる走査を行った場合の実施例である。
【0043】
[実施例3] 走査ラインが2本の平行鉄筋の中央からはずれた場合
図21に示すように、実施例2のアスファルトを剥がさない場合の高速道路床版試験体について、y=0mmを走査方向鉄筋の真上とした±120mmの範囲で、20mm間隔にて電磁波レーダを中央からシフトしx軸に平行に走査させた。ただし、x軸方向の走査区間は、共通に先のS3の区間(約160mm)とし、走査ラインごとに当該区間の受信信号の平均波形を求めた。なお、走査ラインが走査方向鉄筋に近い場合は、受信信号に走査方向鉄筋からの反射波が絶えず加わるため、先の反射波モデルに、新たに走査方向鉄筋からの反射波を加えたものを採用することにした。つまり、アスファルト表面、アスファルト底面、走査方向鉄筋、クラック、床版底面からの5つの反射波を考慮した5反射波モデルを採用した。
【0044】
このとき、提案システムにより求めたクラックからの反射波の一次結合係数を図22に示すが、走査方向鉄筋に近い走査ラインでは、この走査方向鉄筋からの反射波が大きいため、相対的にクラックからの反射波の一次結合係数が小さくなる。なお、この走査方向鉄筋からの反射波の係数を図23に示すが、走査方向鉄筋の近くでは反射波の係数の絶対値が大きな値となるが、この走査方向鉄筋から40mm程度離れると走査方向鉄筋からの反射波一次結合係数は急激に小さくなることがわかる。逆に、クラックからの反射波一次結合係数は大きくなる。
【0045】
ところで、前実施例と同様、クラックからの反射波の一次結合係数に対するいき値を0.05として、この値よりも一次結合係数が大きい箇所について(クラック有りと判定し)、反射波到達時刻よりアスファルト底面、クラック、床版底面の深度を求め、それ以外の箇所ではアスファルト底面及び床版底面の深度を求めた。この結果を図24に示すが、アスファルト底面及び床版底面の深度は実施例2と同様な計測値が得られており、かつクラックについても、計測された深度は105mm程度であり、前実施例のように走査方向鉄筋の中央を走査したときとほとんど同一の結果が得られている。ただ、走査方向鉄筋の付近ではこの走査方向鉄筋からの反射波が大きいため、この近辺±40mmの領域ではクラックが検出されず、正しく検出しようとすれば走査ラインを走査方向鉄筋から40mm程度離す必要があることがわかる。
【0046】
参考のため、この走査方向の鉄筋に対しても、クラックの場合と共通のいき値0.05を採用し、このいき値より大きな一次結合係数の走査ラインの箇所で走査方向鉄筋の深度を求めた結果を図24に太線で示している。図より、レーダと走査方向鉄筋の距離が離れるにつれて鉄筋の深度が深くなるのは、走査方向鉄筋からの反射波の到達時刻が遅れるからである。また、これがクラックでなく、走査方向鉄筋からの影響であるというのは、反射波一次結合係数が負であることから容易に識別できる。
【0047】
以上より、電磁波レーダの走査に際し、走査方向鉄筋と40mm程度以上離れれば、クラックの検出及びクラック深度の計測が可能であることがわかった。なお、走査方向鉄筋の近くではクラックの反射波係数はいき値0.05よりも低下するが、試しにクラックがあるとしてクラック深度を強引に求めてみると◆印のようになり、走査方向鉄筋から離れた走査ラインで求まったクラック深度とほぼ一致することがわかる。よって、走査方向鉄筋からの反射波の有無に拘わらず、反射波があるとした一般的なシステムを作成することもできる。
【0048】
[実施例4] 走査ラインが鉄筋と斜めに交差する場合
次に、レーダが鉄筋と直交交差でなく、ある角度をもって斜めに交差する場合を考えてみる。参考のため、ここでは、交差鉄筋となす角度が10度,30度,60度の3通りについての非破壊検査結果を示す。但し、交差箇所はクラックのある領域S3としている。このとき、先と同じように、鉄筋と交差する手前120mmから交差ポイントまでの受信データの平均波形に対して提案システムを適用したときのクラックからの反射波一次結合係数を示したのが図25である。いずれの角度の場合においても、一次結合係数は先に挙げたいき値0.05よりも大きな値をとっており、走査ライン直下にクラックが生じていることがわかる。なお、ここでは4反射波モデルを採用しているが、このときの各反射波の到達時間より、アスファルトの底面、クラック、コンクリート底面の深度を求めると図26のようになった。
【0049】
以上のように、実施例3,4によれば、電磁波レーダの走査ラインにかなりの自由度を与えても、クラックの検出及び位置計測が高精度に行えることがわかった。このことは、換言すれば、クラックがコンクリート表面に対し傾斜をもった場合にもクラックからの反射波を強調できる方向を見い出せることを意味し,クラックが必ずしもコンクリート表面に平行でなくてもよいことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態の概略図。
【図2】電磁波の伝播経路を示す図。
【図3】コンクリート表面からの反射波の波形。
【図4】鉄筋からの反射波を示す波形。
【図5】検査装置本体が鉄筋上を動いたときの各位置ごとの波形(xは鉄筋からの水平距離)。
【図6】表面からの反射波と平均化した反射波の波形の違い示すグラフ。
【図7】受信した反射波と表面からの反射波の波形の差分を示すグラフ。
【図8】実施例1の試験体の概略図。
【図9】実施例1の従来技術であるBモード濃淡画像。
【図10】クラックからの基本反射波形。
【図11】実施例1における、クラックからの反射波の一次結合係数を示すグラフ。
【図12】実施例1の測定結果を示すグラフ。
【図13】コアリング内部の写真。
【図14】異常区間S2における、平均処理後の受信信号波形と最適予測波形の比較を示すグラフ。
【図15】正常区間S6における、平均処理後の受信信号波形と最適予測波形の比較を示すグラフ。
【図16】実施例2の試験体及び実験の概略図。
【図17】実施例2の従来技術であるBモード濃淡画像。
【図18】実施例2における、区間S1に対する平均波形。
【図19】実施例2における、クラックからの反射波の一次結合係数を示すグラフ。
【図20】実施例2の測定結果を示すグラフ。
【図21】実施例3の試験体及び実験の概略図。
【図22】実施例3における、クラックからの反射波の一次結合係数を示すグラフ。
【図23】実施例3における、平行鉄筋からの反射波の一次結合係数を示すグラフ。
【図24】実施例3の測定結果を示すグラフ。
【図25】実施例4における、鉄筋からの反射波の一次結合係数を示すグラフ。
【図26】実施例4の測定結果を示すグラフ。
【図27】従来技術のBモード濃淡画像。
【符号の説明】
【0051】
1 検査装置本体
2 電磁波照射手段
3 受波手段
4 信号処理手段
5 表示手段
6 鉄筋コンクリート構造物
7 アスファルト
8 コンクリート
9 鉄筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上の複数位置に移動可能な検査装置本体と、
前記検査装置本体に搭載され、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記検査装置本体に搭載され、前記電磁波照射手段から照射された電磁波の反射波信号を取得する受波手段と、
前記受波手段によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理手段と、
を有する鉄筋コンクリート構造物検査装置であって、
前記受波手段は、前記検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得し、
前記信号処理手段は、前記受波手段によって取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項2】
前記検査装置本体の移動範囲は、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋と隣接する鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間であり、
前記信号処理手段は、前記移動範囲内での位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項3】
前記加算又は平均された反射波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号と、クラックからのクラック反射波信号との和で表現され、
前記信号処理手段は、前記複数の反射波信号、及び、前記クラック反射波信号の各成分を抽出・解析することにより、クラックを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項4】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、少なくとも、前記鉄筋コンクリート構造物の表面からの反射波である表面反射波信号、及び、前記鉄筋コンクリート構造物の底面からの反射波である底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項3記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項5】
前記鉄筋コンクリート構造物は表面に1つ以上の表面層を有しており、
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記1つ以上の表面層の各底面からの反射波である表面層底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項4記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項6】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記検査装置本体の移動方向に平行な鉄筋からの反射波である平行鉄筋反射波信号を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項7】
前記表面反射波信号は、走査方向に平行な鉄筋からの反射波信号及び欠陥からの反射波信号が現れない正常箇所の表面を走査したときの反射波信号の平均値で近似されることを特徴とする請求項4乃至6いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項8】
前記欠陥は、クラック、空洞、又は底面形状の欠陥である、請求項1乃至7いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。
【請求項9】
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上の複数位置に検査装置本体を移動させる検査装置本体移動工程と、
前記検査装置本体に搭載された電磁波照射手段により、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射工程と、
前記電磁波照射工程で照射された電磁波の反射波信号を、前記検査装置本体に搭載された受波手段により取得する工程であって、前記検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得する受波工程と、
前記受波工程によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する工程であって、取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理工程と、
を有する鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項10】
前記検査装置本体の移動範囲は、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋と隣接する鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間であり、
前記信号処理工程は、前記移動範囲内での位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋コンクリートの欠陥を検出することを特徴とする請求項9記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項11】
前記加算又は平均された反射波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号と、クラックからのクラック反射波信号との和で表現され、
前記信号処理工程は、前記複数の反射波信号、及び、前記クラック反射波信号の各成分を抽出・解析することにより、クラックを検出することを特徴とする請求項9又は10記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項12】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、少なくとも、前記鉄筋コンクリート構造物の表面からの反射波である表面反射波信号、及び、前記鉄筋コンクリート構造物の底面からの反射波である底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項11記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項13】
前記鉄筋コンクリート構造物は表面に1つ以上の表面層を有しており、
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、1つ以上の表面層の各底面からの反射波である表面層底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項12記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項14】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記検査装置本体の移動方向に平行な鉄筋からの反射波である平行鉄筋反射波信号を含むことを特徴とする請求項12又は13記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項15】
前記表面反射波信号は、走査方向に平行な鉄筋からの反射波信号及び欠陥からの反射波信号が現れない正常箇所の表面を走査したときの反射波信号の平均値で近似されることを特徴とする請求項12乃至14いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
【請求項16】
前記欠陥は、クラック、空洞、又は底面形状の欠陥である、請求項9乃至15いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−39429(P2008−39429A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210270(P2006−210270)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【特許番号】特許第4038578号(P4038578)
【特許公報発行日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】