説明

電磁波吸収フィルム構造とその製造方法

【課題】 波の位相の相殺特性により、電磁波が、相殺することや当該フィルム構造によって吸収される、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【解決手段】 複合層1と、複合層1上に位置する反射層2とが含有され、また、複合層1の厚さは、吸収する電磁波の波長の1/4の整数倍であり、位相が互いに干渉することにより、入射した電磁波が相殺され、複合層1には、更に2層や単層構造である吸収や反射粒子が添加されることによって、より多い吸収や反射或いは干渉が発生されることにより、入射した電磁波が相殺されて、電磁波が人体及ぼす障害を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波防止材料に関し、特に、波位相が互いに相殺する原理で形成される電磁波吸収フィルム構造とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや通信及び消費性コンピュータ製品の機能が絶えずに増加されることやディジタル化されること、高周波化されること及び普及化されることに伴い、人体が高いエネルギーである電磁波に露出する機会がより多くなり、これにより、人体の健康に傷害を与え、そして、白血病や脳腫瘍或いはDNA破壊等の罹患率が増加している。研究によると、電磁波が60ヘルツを超えると、人体の細胞のDNA構造に傷害を与え、また、海外の研究報告によると、携帯電話が、人の脳部に対して、記憶が一時的に失うことや行為能力の低下等の悪影響を与え、電磁波の悪影響が絶えずに発見されるため、電磁波を防止するための材料についての研究は、重要視される。
【0003】
一般の電磁波を防止するための材料の構造は、大雑把に、電界遮蔽材と磁界遮蔽材の両種類に分かられる。また、今において、特殊の金属繊維と他の繊維とをブレンドして作製されたEMI防止機能性織物により、或いは、高分子ドッピング処理技術を応用して、有機複合材料を表面に塗布することにより、例えば、金物やプラスチック、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、木材或いはセラミック等の材料の表面特性を改質することにより、電磁波を防止するための機能を実現する。
【0004】
しかしながら、従来の各種類の電磁波を防止するための装置は、厚さが大きい構造が多いため、例えば、軽薄小形化される電子製品である例えば携帯電話の応用範囲が制限される。そして、従来の電磁波を防止するための装置は、遮蔽効果がよいと称されても、実際上、その縁から大勢の電磁波が射出される。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解消するために、上記の問題を解決できる電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な目的は、波の位相の相殺特性により、電磁波が、相殺することや当該フィルム構造によって吸収される、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、より少ない層数且つより薄い厚さのフィルム構造で、より優れた電磁波遮蔽効果が得られる、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、接地するステップが必要しない、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するために、複数の粒子が混合され、厚さが吸収する電磁波の波長の1/4の整数倍である複合層と、当該複合層の一側面に位置し、屈折率が当該複合層の屈折率より大きい反射層とが含有される、電磁波吸収フィルム構造を提供する。
【0011】
本発明は、更に、高分子ポリマー溶液を提供し、当該高分子ポリマー溶液に粒子を混合し、成形工程により、当該高分子ポリマー溶液で、重合フィルムの厚さが吸収する電磁波の波長の1/4の整数倍である重合フィルムを形成し、そして、当該高分子ポリマーフィルムの一側面に、屈折率が当該複合層の屈折率より大きい反射層を形成する、上記の電磁波吸収フィルム構造を作製する方法を提供する。
【0012】
以下、図面を参照しながら、より良い実施例を挙げて、本発明の構造や特徴及び達成できる効果を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、波の弱め合う干渉原理に従って電磁波を相殺して、電磁波を吸収する目的が達成できる、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法である。
【0014】
まず、弱め合う干渉(destructive interference)の原理について説明する。弱め合う干渉は、同源反対方向である二つの波が行き逢うと、一つの波高点がもう一つの波の波底に重ね合うことにより、二つの波が互いに相殺されることであり、以下は、この原理に基づく本発明を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例の概念図であり、本発明に係わる電磁波吸収フィルム構造と被遮蔽物との位置関係を表するために、被遮蔽物6が図示される。本発明は、主として、高分子ポリマーをキャリア12として、適当な粒子14が混合される複合層1と、複合層1上に位置する反射層2とが含有される。複合層1の厚さは、波の弱め合う干渉原理を満足する吸収する電磁波の波長の1/4のn倍であり、その中、nが自然数で、これにより、複合層1へ入射する波が障害物によって屈折されて、波の前進経路が波長の1/2のn倍になり、経路差が波長の1/2のn倍になる時、波高点がもう一つの波の波底に重ね合うため、二つの波が完全に互いに相殺する。
【0016】
そして、例を挙げて、上記の本発明において、混合される粒子について、説明し、まず、当該粒子14は、反射粒子16であり、また、反射粒子16は、2層構造を有する反射粒子18でもよく、その内層182が、例えば、カーボランダムやPorphyries Andesite、遠赤外セラミック及び電気石等の波吸収材質であり、また、外層184が、例えば、金属である反射材質である。図2を参照しながら、入射した電磁波が、前進方向で反射粒子18に到達すると、低いエネルギーである波が、反射粒子18の外層184により反射され、そして、反射された波が、もう一つの反射粒子18に到達し、そして、更にもう一つの反射粒子18に到達することが、繰り替えるため、電波吸収体という効果が得られて、電磁波が相殺し、また、反射粒子18に入射した電磁波は、一部が内層182によって吸収され、他の外部へ射出された電磁波のエネルギーが大幅に減衰されるため、内層182を透過した後、外層184により屈折され、このように、反射粒子18の内部で、屈折や相殺或いは吸収により、電磁波が相殺される。
【0017】
本発明の反射粒子16は、一部の反射粒子が2層構造を有する反射粒子18と、一部の粒子が単層構造を有する反射粒子16との混合により構成されても良く、波吸収材からなる小さい吸収粒子21を高分子キャリア12に混合して、高分子内の粒子の分布が緊密になり、これにより、ハチの巣状である複合層1が形成され、波が複合層1内で屈折や相殺及び吸収されることが向上され、図3のように、この方法は、高い混合比で、反射粒子16により導通される問題を防止できる。
【0018】
図4を参照しながら、本発明の吸収粒子21は、2層構造を有する吸収粒子22であってもよく、即ち、内層222が例えば金属である反射材質で、外層224が例えばカーボランダムやPorphyries Andesite、遠赤外セラミック或いは電気石等の波吸収材質である。電磁波が2層構造を有する吸収粒子22に到達すると、電磁波が、まず、吸収され、そして、外層を透過した電磁波が、内層により外層である吸収層へ反射され、これにより、電磁波のエネルギーが大幅に低減され、そして、電磁波が完全に吸収されることになる。
【0019】
勿論、上記の各種類の粒子は、必要に応じて、単独的に使用されることや混合して使用されることにより、より良い電磁波の吸収や相殺が得られる。
【0020】
そして、本発明の反射層2について説明し、本発明に係わる反射層2は、複合層1の上に位置し、当該反射層2は、複合層1を透過する電磁波を複合層1へ反射するためのもので、そのため、当該反射層2の材料は、複合層1のキャリア12により選択され、反射層2の屈折率n1をキャリア12の屈折率n2より大きくすることにより、電磁波が緊密な媒体から緊密でない媒体へ入射するようになり、これにより、ブレステンアングル(Brewsten angle)条件を満たし、電磁波が複合層1へ反射する機会が、大幅に増大される。一般的に、屈折層2が、合金属によって形成されるが、アルミニウム層やニッケル層、鉄層、銅層或いはコバルト層等からなる集積層で形成されても良く、合金属を選択した場合、合金の種類は、アルミニウムやニッケル、鉄、コバルト或いは銅からなるグループから選択することが出来、また、少量のマンガンを添加しても良い。
【0021】
以下は、本発明に係わる製造方法について説明し、図5を参照しながら、まず、ステップS1のように、融解状態の高分子ポリマーを、キャリア12として、用意し、そして、ステップS2のように、キャリア12に前記の粒子を混合し、混合する粒子を選択する時、前記の反射粒子や吸収粒子、2層反射粒子及び2層吸収粒子を単独選択や混合選択することができ、また、ステップS3のように、成形工程により、キャリア12を複合層1にし、また、当該成形工程において、例えば、押出しにより、複合層1のフィルムの厚さを所定の厚さにし、最後、ステップS4のように、複合層1の表面に反射層2を形成し、当該反射層2の形成方法は、真空スパッタ(vacuum sputter)や電気メッキ等の方法である。また、本発明に係わる電磁波を吸収するフィルムの応用を広げるため、ステップS5のように、複合層1のもう一つの側面に対して、または、反射層2のもう一つの側面に対して、粘着できるゲル層24を形成するためのゲル塗り(ゲル塗り位置は、粘着位置により異なる)ステップを追加し、これにより、ユーザーは、容易に、本発明を電磁波を防止しようとする位置に貼り付けることができ、また、反射層2のもう一つの側面にゲル塗りする場合、前もって反射層2の当該側面に、電流が導通しないための絶縁層26を形成し、製品は、図1のようである。
【0022】
そして、本発明を、例えば、携帯電話等の電磁波通信器材に応用する実施例について説明し、まず、図6を参照しながら、アンテナに応用することについて説明し、携帯電話は、電磁波発射器とアンテナとにより、電磁波信号を基地局へ発射するため、アンテナが電磁波を発射する位置で、人体に悪影響を与えることが明らかである。本発明は、上記の問題を解消するため、アンテナの外部に本発明の電磁波吸収フィルムを貼り付け、その貼り付けは、図6のように、アンテナ3と螺着素子4との周りに、電磁波が発射するための幅が”a”である本発明の吸収フィルムがない部位を保留するように、本発明の吸収フィルム5を形成するか貼り付けることにし、当該a幅は、携帯電話が発射する電磁波の波長の整数倍であり、また、当該幅aは、人体の接触面と反対方向に位置する。また、図7のように、本発明の吸収フィルム5を、携帯電話の筐体7の内側において、適当な位置に貼り付けることにより、完璧に電磁波を防止することも出来る。
【0023】
上記の例は、貼り付けにより実現するものであるが、例えば、携帯電話の筐体の部品をベースとして、本発明の電磁波吸収フィルムをベースに形成しても、電磁波を吸収する効果が得られる。そのため、部品をベースとする場合、本発明に係わる電磁波吸収フィルムを作製する工程において、まず、部品の内表面に反射層を形成し、そして、粒子を混合した複合層を反射層に塗布する。このステップにおいての順の変更にについて、この技術を良く分かる熟練者であれば、簡単に出来ると思うから、その説明を省略する。
【0024】
以上のように、本発明は、電磁波吸収フィルム構造とその製造方法であり、主として、波の位相の相殺特性と屈折及び吸収により、電磁波同士が相殺され、そのため、一般の金属遮蔽材は、電子を導流するための接地が必要とし、また、本発明は、位相により相殺する原理を基づくため、一つの複合層で電磁波を消去する目的が達成され、これにより、電磁波防止材がより軽薄化できる技術領域に入る。
【0025】
以上の説明は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されず、また、本発明の特許請求範囲に記載される形状や構造、特徴及び精神に従って、等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わるキャリアに単層と2層反射粒子だけを混合した実施例の概念図。
【図2】波が2層構造の反射粒子内で吸収や屈折及び反射される時の概念図。
【図3】本発明に係わるキャリアに単層と2層反射粒子と単層吸収粒子を混合した実施例の概念図。
【図4】本発明に係わるキャリアに単層反射粒子と2層反射粒子と単層吸収粒子と2層吸収粒子を混合した実施例の概念図。
【図5】本発明の工程ステップの流れ図。
【図6】本発明を携帯電話のアンテナに応用する実施例の概念図。
【図7】本発明を携帯電話の筐体に応用する実施例の概念図。
【符号の説明】
【0027】
1…複合層
2…反射層
3…アンテナ
4…螺着素子
5…吸収フィルム
6…被遮蔽物
7…筐体
12…キャリア
14…粒子
16…反射粒子
18…反射粒子
21…吸収粒子
22…吸収粒子
24…ゲル層
26…絶縁層
182…内層
184…外層
222…内層
224…外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子が混合され、厚さが吸収する電磁波の波長の1/4の整数倍である複合層と、
当該複合層の一側面に位置し、屈折率が当該複合層の屈折率より大きい反射層とが含有される、ことを特徴とする電磁波吸収フィルム構造。
【請求項2】
当該粒子は反射粒子である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項3】
当該反射粒子は、内層が波吸収材質で、外層が反射材質である2層構造である、ことを特徴とする請求項2に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項4】
当該粒子は、反射粒子と、粒径が反射粒子と異なる吸収粒子とが含有される、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項5】
当該吸収粒子は、内層が反射材質で、外層が波吸収材質である2層構造である、ことを特徴とする請求項3に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項6】
当該粒子は、吸収粒子である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項7】
当該反射粒子は、内層が反射材質で、外層が波吸収材質である2層構造である、ことを特徴とする請求項6に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項8】
当該反射層は、金属層である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項9】
当該金属は、アルミニウムやニッケル、鉄、銅或いはコバルトから選ばれるものである、ことを特徴とする請求項8に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項10】
当該金属層は、当該複合層に、真空スパッタや電気メッキ等の方法によって形成される、ことを特徴とする請求項9に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項11】
当該複合層は、高分子ポリマーである、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。
【請求項12】
請求項1の電磁波吸収フィルム構造を製造する方法であって、
高分子ポリマー溶液を提供し、
当該高分子ポリマー溶液に粒子を混合し、
成形工程により、当該高分子ポリマー溶液で複合層を形成し、当該複合層の厚さが、吸収する電磁波の波長の1/4の整数倍であり、
当該高分子ポリマーフィルムの一側面に、屈折率が当該複合層の屈折率より大きい反射層を形成する、
ことを特徴とする電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項13】
当該粒子は、単層反射粒子や2層構造反射粒子、単層吸収粒子及び2層構造吸収粒子から選ばれるものを混合して使用されるや単独的に使用される、ことを特徴とする請求項12に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項14】
当該2層構造反射粒子は、内層が波吸収材質で、外層が反射材質である2層構造である、ことを特徴とする請求項13に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項15】
当該2層構造吸収粒子は、内層が反射材質で、外層が吸収材質である2層構造である、ことを特徴とする請求項13に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項16】
当該反射層は、金属層である、ことを特徴とする請求項12に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項17】
当該金属は、アルミニウムやニッケル、鉄、銅或いはコバルトから選ばれるものである、ことを特徴とする請求項16に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項18】
当該金属層は、当該複合層に、真空スパッタや電気メッキ等の方法によって形成される、ことを特徴とする請求項16に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項19】
更に、当該反射層の表面に、順に絶縁層とゲル層が形成される、ことを特徴とする請求項12に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項20】
更に、当該複合層の底面に、ゲル層が形成される、ことを特徴とする請求項12に記載の電磁波吸収フィルム構造の製造方法。
【請求項21】
当該電磁波吸収フィルムは、携帯電話のアンテナが発射した電磁波を吸収することに供する場合、当該電磁波フィルムを除外する部分であるアンテナ開口が、携帯電話が発射する帯域波長の整数倍であることを原則として、当該アンテナの外層を覆う、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収フィルム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−36081(P2007−36081A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220089(P2005−220089)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(505287438)
【Fターム(参考)】